台本概要
705 views
タイトル | Honey&Bear 第一話「蜜蜂とベニト石」 |
---|---|
作者名 | ケットシー (@caitsith_udmoon) |
ジャンル | ミステリー |
演者人数 | 5人用台本(男2、女2、不問1) ※兼役あり |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
実在するロサンゼルスを舞台に、派手な盗みを繰り返す『怪盗Honey&Bear』。二人を追うロス市警強盗殺人課のマーシャルとアレックスの元に、今日も彼らからの予告状が届く。『2月28日 午前0時 ロサンゼルス自然史博物館、ベニト石を頂きに参る。Honey&Bear』その予告状から、彼らが思いもしなかった事件が始まるのであった・・・。 ※ベニト石は「ベニトいし」で統一してください。 ※note版とは一部表現が異なります。使用時は各メンバー使用台本を統一してください。 705 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ハニー | 女 | 48 | 怪盗ハニーベアのプランの立案、盗み実行役など体力面を担当。 セクシーでキュートな見た目に反して体術などを得意としており、ベアとはとある事件をきっかけに、共にチームとして『盗みはクレイジーなほど面白い』を信条に怪盗劇を続けている。刺激的なものや、面白そうなものを見つけると「セクシーじゃない?」という口癖がある。 |
ベア | 男 | 29 | 怪盗ハニーベアのハッキング、電気、機械系統、ドライバーをこなすオタクハッカー。Honey &Bearでは頭脳面を担当。とある事件をきっかけに、ハニーに『盗み』出されたことをきっかけに、チームとして『盗みはクレイジーなほど面白い』を信条に怪盗劇を繰り返している。本人は今の暮らしを気に入っており、ハニーは相棒としてしか見ていないが、恋愛とは異なる特別な存在として認めている。 |
マーシャル | 男 | 53 | ロス市警警部/強盗殺人課 『ハニーベア』事件の担当。古風な警察官だが、勘が鋭い。仕事でも実直であり、捜査は資料と現場、足で稼ぐタイプ。仕事一徹の彼だが過去にリアーヌ・カウチという女性と交際しており、突然消えた彼女のことを今も忘れないでいる。 |
アレックス | 不問 | 41 | アレックス:ロス市警警部補/強盗殺人課『ハニーベア』事件担当。ほぼ、マーシャルの秘書。主に、情報整理、収集を得意としており、頭脳派。実は、署内ではエリート。だが、マーシャルに憧れ、強盗殺人課への配属を希望した。 |
ダニエ | 女 | 40 | ダニエはFBI特別捜査官。『ハニーベア』の捜査を担当。ロス市警がFBIからの『ハニーベア逮捕の協力要請』に応じたため、派遣された。過去に凶悪強盗犯『ブラックリリー』と死闘の末、生存した経緯を持ち、FBIの中でも指折りの捜査官とされている。 |
ダニエ? | 女 | 11 | ダニエのもう一人の人格。物語中盤から全く別の顔を垣間見せる。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:【あらすじ】
:実在するロサンゼルスを舞台に、派手な盗みを繰り返す「怪盗Honey&Bear」。
:それを追うロス市警強盗殺人課のマーシャルとアレックスの元に、
:ある日、彼らからの予告状が届く。
:『2月28日 午前0時 ロサンゼルス自然史博物館、
:ベニト石を頂きに参る。Honey&Bear』
:その予告状から、彼らが思いもしなかった事件が始まるのであった・・・。
:
0:【シナリオ約束事項】
:性別変更→×
:アレンジ→○(話が壊れない程度、他のキャストに迷惑がかからないなら)
:人数変更→○(兼任など)
:改変→×
:初心者→○
:※シナリオに書かれていない、指を鳴らす、吐息、笑いなどシナリオ外の役を深める、
:セリフ外の演技は大歓迎です。ただし、こちらでもお話が壊れない程度でお願いします。
:※年齢、雰囲気キーワードはあくまで目安です。参考程度に捉えてください。
:
0:登場人物
:
ハニー:(登場人物をタップすると、セリフにも色がつきます)
ハニー:性別・♀
ハニー:怪盗ハニーベアのプランの立案、盗みを担当。
ハニー:セクシーでキュートな見た目に反して体術などを得意としており、
ハニー:ベアとは「盗みはクレイジーなほど面白い」を信条に怪盗劇を続ける。
ハニー:いつでも陽気で、スリルを楽しむ大胆な女性。美しいもの、
ハニー:かわいいものが好きな一面がある。
ハニー:年齢・19〜28(13くらいのロリや、30のセクシーなお姉様でもよし)
ハニー:雰囲気キーワード:セクシー、キュート、小悪魔、アクティブ
ハニー:口癖・セクシー
:
ベア:(登場人物をタップすると、セリフにも色がつきます)
ベア:性別・♂
ベア:怪盗ハニーベアのハッキング、電気、機械系統、ドライバーをこなすオタクハッカー。
ベア:とある政府のハッカーとして軟禁されていたところをハニーに「盗み」出される。
ベア:本人は今の暮らしを気に入っており、ハニーは相棒としか見てないものの、
ベア:盗み出された時にハニーを、「自分の守護天使」と思っている。
ベア:年齢・19〜32(ハニーの立ち回りによっては、お兄さん、ショタもあり)
ベア:雰囲気キーワード・オタク、情に厚い、厨二っぽいワル
ベア:好きなもの・ネット、発明、エナジードリンク、ゲーム、アニメ
:
マーシャル:(登場人物をタップすると、セリフにも色がつきます)
マーシャル:性別・♂
マーシャル:ロス市警警部/強盗殺人課 「ハニーベア」事件の担当。
マーシャル:古風な警察官だが、勘が鋭い。
マーシャル:過去にリアーヌ・カウチという女性と交際しており、
マーシャル:その正体に気付きながらも今も忘れないでいる。
マーシャル:年齢・35〜50
マーシャル:雰囲気キーワード・渋い、古風、熱血漢
マーシャル:好きなもの・タバコ、酒、コーヒー、つば広の中折れ帽子
:
アレックス:(登場人物をタップすると、セリフにも色がつきます)
アレックス:性別・♂♀どちらでも
アレックス:ロス市警警部補/強盗殺人課「ハニーベア」事件担当。ほぼ、マーシャルの秘書。
アレックス:主に、情報整理、収集を得意としており、社内ではエリート。
アレックス:だが、マーシャルに憧れ、強盗殺人課への配属を希望した。
アレックス:年齢・20〜50
アレックス:雰囲気・秘書、冷静、真面目、マーシャルを尊敬している
アレックス:好きなもの・スーツ、仕事道具、コーヒー
:
ダニエ:(タップすると、セリフにも色がつきます)
ダニエ:性別・♀
ダニエ:FBI特別捜査官。「ハニーベア」の捜査を担当。
ダニエ:ロス市警がFBIからの「ハニーベア逮捕の協力要請」に応じたため、派遣された。
ダニエ:過去に凶悪強盗犯「ブラックリリー」と死闘の末、生存した敬意を持つ。
ダニエ:ブラックリリーはその際に焼死したとされているが・・・?
ダニエ:年齢・28〜40
ダニエ:雰囲気キーワード:エリート、ミステリアス
ダニエ:雰囲気キーワード2:ダニエ?のときは、妖艶、ミステリアス
:
0:以下本編です
:
:
0:ハニー、タイトルコールしてください
:
ハニー:Honey&Bear
ハニー:第一話 ミツバチとベニト石(ベニトいし)
:
:
:【ロス市警 マーシャル警部のデスク】
:
0:(予告状を見て)
マーシャル:『2月28日 午前0時
マーシャル:ロサンゼルス自然史博物館、
マーシャル:ベニト石(ベニトいし)を頂きに参る。ハニーアンドベア』、か・・・。
0:マーシャル、ため息をつく
マーシャル:・・・やりたい放題やってくれるなぁ、オイ・・・。
0:マーシャル、タバコに火をつける
アレックス:マーシャル警部、ハニーベアの事件資料をお持ちしました。
マーシャル:ああ・・・、そこに置いといてくれ・・・。
アレックス:これで・・・7件目、ですか・・・。
アレックス:性別、年齢はおろか・・・、一人なのか、グループ犯なのかも不明・・・。
アレックス:判明しているのは・・・、毎回大掛かりで、大胆な犯行を行う事。
アレックス:・・・そして、このハニーベアというふざけた名前のみ。
マーシャル:フンッ、ふざけた野郎だ・・・。
マーシャル:ご丁寧に、ハチとクマのマークまでつけて送りやがって・・・。
マーシャル:インクから特定が出来るかとも思ったが・・・
アレックス:・・・市場(しじょう)に登録の無いインク、だったんですよね。
アレックス:せめて、どこで作られたのか・・・わかればいいのですが・・・
マーシャル:あー!くそ!どうすりゃいい!?
マーシャル:前回は、床ごと爆破されたんだぞ!?
マーシャル:・・・奴はいつ、そんな準備をした?
マーシャル:痕跡(こんせき)すら・・・見当たらないのはなぜだ!?
マーシャル:やつらはどこに、そんな大掛かりな機材を隠している!?
アレックス:ああ、警部・・・、少し落ち着いてください・・・。
アレックス:やはり・・・犯人は二日後、予告通りに現れるでしょうか?
マーシャル:(深いため息)・・・これまで、奴が・・・
マーシャル:予告状を違えた(たがえた)事は無い。
マーシャル:・・・1分1秒も、だ。
マーシャル:奴なら間違いなく・・・、来るだろう・・・。
アレックス:・・・。(ため息)
アレックス:ああ、それと、警備局には既に手配を済ませました。
マーシャル:ああ、ご苦労。
アレックス:現在、うちの所轄と合同で警備と捜査を続けている所です。
アレックス:何か、ほかに、手配しておくことはありますか?
マーシャル:・・・蜂よけスプレーでも用意しておけ。できれば、クマ用の檻もな。
アレックス:えっ!?
0:冗談を察せないことに若干、恥ずかしそうに苛立ち
マーシャル:冗談だ!
0:アレックス、冗談であることに気がつき
アレックス:し、失礼しました・・・。
マーシャル:あー・・・、それと、もう1つ・・・伝えておくことがある。
アレックス:どうか、しましたか?
マーシャル:FBIが・・・、とうとう動き出した。
アレックス:それ・・、本当ですか?
マーシャル:昨日、協力要請があり・・・、受理したそうだ。
マーシャル:今後は共同で、捜査にあたる事になる。
マーシャル:・・・そろそろ、くる頃だが・・・?
0:ノック音
ダニエ:・・・マーシャル警部?
マーシャル:ああ、君が・・・ダニエか?
ダニエ:・・・どうも。
ダニエ:強盗グループ、ハニーアンドベア逮捕のため・・・、
ダニエ:FBIから派遣されました、ダニエ・クロフォードです。
マーシャル:ジャストタイミングだ、ダニエ。かけてくれ。
ダニエ:・・・ありがとうございます。
マーシャル:改めて紹介しよう。
マーシャル:私はロサンゼルス市警、強盗殺人課のマーシャル・アノーだ。
マーシャル:いまはハニーベアの逮捕に向けて、捜査にあたっている。
マーシャル:そこにいるのは、警部補のアレックス・ケイジだ。
マーシャル:同じくハニーベアの捜査にあたっている。
ダニエ:どうも。
アレックス:これから、よろしくお願いします。
マーシャル:さて、早速本題に入らせてもらおう。
マーシャル:今朝、ロサンゼルス自然史博物館に・・・、
マーシャル:ハニーベアから予告状が届いたことは知っているか?
ダニエ:はい。2日後の夜、ベニト石を狙うと聞いていますが・・・。
マーシャル:ああ。その通りだ。
マーシャル:これまでも奴らはターゲットに予告状を送りつけ・・・、
マーシャル:予想もつかん方法で、・・・あっという間に目的のブツを盗んで行く。
マーシャル:手口もド派手。そして、さまざまだ・・・。
マーシャル:それなのに・・・、身元が不自然なほどに特定できん。
マーシャル:・・・FBIはどこまで掴んでいる?
ダニエ:今のところ、それ以上の進展はありません。
ダニエ:それだから・・・、私たちも協力をお願いしているんですよ?マーシャル警部?
マーシャル:ほう・・・?
マーシャル:ではダニエ・・・、お前自身に聞きたい。
マーシャル:・・・お前は過去に、あのブラックリリーと対峙したそうじゃないか。
アレックス:なっ!?
アレックス:あの事件で生き残った捜査官って・・・ダニエさんだったんですか!?
マーシャル:・・・ああ、少なくとも俺はそう聞いている。
アレックス:怪盗ブラックリリー。
アレックス:その手口は大胆かつ、残酷。
アレックス:人を殺す事もいとわない大怪盗を止めることができた唯一の女捜査官。
アレックス:噂は聞いていましたが・・・!
アレックス:・・・まさか・・・、お会いできるとは・・・。
マーシャル:・・・アレックス、今は捜査の話だ。
0:アレックス、我に返り
アレックス:し、失礼しました・・・。
マーシャル:・・・さて、・・・そんなお前に教えて欲しい。
マーシャル:今回、ハニーベアはどんな手口を使って・・・、ベニト石を盗む?
ダニエ:かいかぶりにも程があります。・・・マーシャル警部。
ダニエ:アレは、評価していただくほどの事件ではありません。
ダニエ:あなたならば・・・、ご存知だと思いますが?
マーシャル:・・・。
マーシャル:(軽く笑って)まあ、そう言うな。他意(たい)はない。
マーシャル:お前の、ハニーベアに対する意見を聞きたい。それだけだ。
ダニエ:・・・わかりました。
ダニエ:アレックス警部補、少し確認させていただいても?
アレックス:・・・わ、私で答えられる範囲ならば・・・。
ダニエ:ハニーベア事件の、共通点を教えていただけますか?
アレックス:・・・はい。事件資料によると、ハニーアンドベア、通称ハニーベアは・・・
アレックス:どの事件においても・・・大がかりかつ、
アレックス:自身の犯行をアピールするような・・・ハデな手口で、襲撃を行っております。
アレックス:・・・ただし、どのような準備をしているかはまったく不明です。
アレックス:機材などの販売ルートも洗いましたが、目立った情報はなく・・・、
アレックス:・・・情けないことですが・・・、正直お手上げ、と言ったところです・・・。
ダニエ:今、最も重要なことは・・・、
ダニエ:小細工をさせる時間を、与えないことではないでしょうか?
ダニエ:・・・証拠品の捜査は、あとでいくらでもできます。
ダニエ:ハニーベアのこれまでの犯行は、時間が必要な大掛かりなものばかり・・・。
ダニエ:おかしな小細工を防ぐためにも、
ダニエ:1秒でも早く、警備を強めたいところですね。
ダニエ:特に、電気系統には十分に。
マーシャル:ふむ、それはなぜだ?
ダニエ:調べたところ、ターゲットになっている自然史博物館は、
ダニエ:・・・あまり警備体制がいいとは言えません。
ダニエ:閉館後に機能しているのは・・・警備員の巡回と、
ダニエ:センサー、そして・・・外の電気柵。
ダニエ:大元の電気が絶たれれてしまえば、犯人は物をとり放題でしょう。
マーシャル:なるほどな…。電源そのものを断たれて手も足も出せなくなるということか。
マーシャル:だが、送電線をチェックしている時間はなさそうだが・・・。
0:アレックス、少し考えて
アレックス:・・・それでは、警備室に予備電源を用意するのはどうでしょうか?
アレックス:そして、ベニト石の周囲に
アレックス:その予備の電源によって、稼働(かどう)するセンサーと電気柵を追加するんです。
マーシャル:・・・ふむ、悪くない案だな。加えて、各部屋の警備も増員し、常に複数名での巡回を行おう。
ダニエ:・・・それも良い案だと思うのですが・・・、私に1つ、考えがあります。
:
:【ハニーベア 隠れ家】
:
0:PCをいじるベア。その後ろでお風呂を楽しむハニー
ベア:おい、本当にやんのか・・・?
ハニー:なにを?
ベア:発電所のクラックだよ。
ベア:あたり一面を真っ暗にしてまで、・・・ベニト石ってのは、盗む価値があるのか?
ハニー:フッ、わかってないわね・・・。
ハニー:ベニト石というだけでも、数少ない貴重な宝石なのよ?
ハニー:その中でも、自然史博物館のベニト石は・・・世界最大。
ハニー:しかも、紫外線に当たることで美しく、青い光を放つ・・・。セクシーじゃない?
ベア:そりゃあ、たいそうなもんだ。
ベア:けどよ・・・、今回はむちゃくちゃすぎねえか?
ハニー:ベアって、本当に心配性よね・・・。
ハニー:私が間違ってたことがある?
ハニー:いままでだって、うまくいったでしょ?今回だって、必ず成功するわ。
ベア:でもよ・・・、発電所のシステムに侵入して、
ベア:停電を起こすなんて・・・クレイジーにも程があるぜ。
0:パソコンでのハッキングがうまくいかず、イラついて
ベア:ここのロックも・・・、くっそっ!固えんだよっ!
ハニー:ウフフ・・・、ベアったら本当のクマちゃんみたい。
ハニー:ベニト石にはね?他にもなかなかセクシーないわれがあるの。
ベア:セクシーないわれ?
ハニー:そ。だから、そこまでする価値はある・・・。賭けてもいいわ。
ハニー:それに、いつも言ってるでしょ?盗みはクレイジーなほど・・・
0:同時に合わせて
ハニー:面白い!
ベア:面白い・・・。
ハニー:あなたが発電所をクラックして・・・、博物館一帯を停電させたら・・・、
ハニー:闇に紛れて(まぎれて)私が侵入する。
ハニー:そして、囚われのお姫様を助け出してあげて・・・、
ハニー:そのままあなたの車でおさらば。簡単でしょ?
0:ベア、ため息をついて
ベア:・・・そんな簡単にいくかね?
ハニー:大丈夫よ!・・・この1週間、あなたがドローンで観察してくれたけれど、
ハニー:あの博物館の警備システムは・・・ザルもいいとこ。
ハニー:夜になれば赤外線センサーと、外の電気柵は機能するけれど・・・、
ハニー:それ以外は・・・警備員がペットのワンちゃんみたいに、決まったお散歩をする程度。
ベア:まあ、当然だな。
ベア:あの博物館には・・・
ベア:ダイナーのチラシよりも見飽きた、
ベア:ガラクタしかねえ。
ハニー:でしょ!絶対に、うまくいくわよ!
ベア:だが、イヌどもの動きがどうも気に食わねえ。
ベア:この前、床を派手にぶち抜いてやったってのに、予告状が届いても反応なしだ。
ベア:FBIから捜査官は来たようだが・・・。
ハニー:フフッ、あのダイヤより頭の硬いマーシャル警部だもの!白旗あげてるんでしょ!
ハニー:確かに・・・、新入りのプードルちゃんは気になるけれど・・・、
ハニー:目の前にフィールフリートゥー(ご自由にどうぞの意味)を無視するのはつまらないと思わない?
ハニー:なんなら、ベニト石は、もう私たちの手の中にあるようなもの・・・。そうでしょ?ベア?
ベア:ったく、気軽にいってくれるぜ・・・。
ベア:ま、その、石っころの価値は俺にゃわからねえが、楽しませてくれよ?っと
0:セリフ最後と共に、PCのキーを押す。(ベア)
:
:【2月28日 午後8時 ロサンゼルス自然史博物館前】
:
アレックス:ダニエ捜査官!マーシャル警部!
アレックス:警備の手配、そして新たな電気柵の配備、完了しました。
アレックス:現在、監視カメラなども正常に作動しています。
マーシャル:おう、ご苦労。
アレックス:・・・しかし、こんな警備で大丈夫なんでしょうか・・・?
アレックス:センサーと、監視カメラを追加した方が良かったのでは?
アレックス:それに・・・、警備の数を増やさず、そのままとは・・・。
ダニエ:まず前者から説明しますが、
ダニエ:これまでの記録から見て、警備の増員は逆効果です。
マーシャル:それは何故だ?
ダニエ:施設の80%を埋め尽くすほど、警備網(けいびもう)を張り巡らせても、
ダニエ:人数すら把握できていないのが・・・、その証拠では?
マーシャル:・・・逆効果、とは限らんだろう?
ダニエ:記録によれば、ハニーアンドベアの犯行は警備が大規模になる程、
ダニエ:犯行時間が不明であることがわかっています。
マーシャル:わかりやすく言ってくれ。
ダニエ:彼らがターゲットを偽物にすり替える、もしくはいつの間にか消えていた、
ダニエ:このような犯行方法は、警備が多いほどに使われていたということです。
アレックス:・・・あっ!ということは、犯人は・・・警備や客に紛れて、犯行を行っていたということですか?
ダニエ:そう見ています。
マーシャル:その事態を防ぐために、人数確認や検査などを徹底していたはずだが?
ダニエ:犯人が大掛かりな仕掛けを使う目的は、その警備体制を撹乱するためでしょう。
ダニエ:混乱を起こせば、大人数になるほど・・・紛れることは簡単になる。
ダニエ:つまり、警備を増やせば増やすほど、犯人には好都合だったというわけです。
アレックス:なるほど!流石はダニエ捜査官・・・。
マーシャル:・・・監視カメラや、センサーを増やすことに反対した理由は?
ダニエ:それについては、意味がないからです。
マーシャル:意味が、ない?
ダニエ:センサーも、監視カメラも電気がなければ意味がありません。
アレックス:ですが、そのために予備電源を用意したのでは?
ダニエ:あれはブラフです。
アレックス:ブラフ!?
ダニエ:センサーにしても、カメラにしても、この短期間で・・・博物館全体の監視を強化することは不可能です。
ダニエ:その上、用意した予備電源も切り替わるまでに、15分の時間が必要になる。
ダニエ:警備の機能しない時間が、15分もあれば・・・彼らにとって犯行は十分に可能でしょう・・・。
アレックス:そ、それならば、なおのこと・・・
0:マーシャル、ダニエの言いたいことを察して
マーシャル:なるほどな・・・。
マーシャル:つまり、この短期間で、博物館の警備を根本的に強化することは不可能。
マーシャル:ならば、逆に警備を弱体化させて見せたほうが相手は油断し、尻尾を出しやすい。
マーシャル:そう考えた。と?
ダニエ:おっしゃる通りです。
ダニエ:施設内の警備は少人数、警備体制も薄く見せれば、警戒はすれど・・・必ず犯人は現れる。
マーシャル:地下室の警備を強化したのは、前回のような手口を防ぐためか?
ダニエ:ええ。しかも、この博物館の地盤は硬い。前回のように床を爆破、なんてことは不可能でしょうね。
アレックス:な、なるほど・・・。
ダニエ:現場の警備も、私一人で行います。
アレックス:え!?・・・し、しかし、危険では?
ダニエ:私もFBIです。ご心配には及びません。
ダニエ:それに、お二人やあなたの部下は、彼らに警戒されている可能性が高い。
アレックス:それでも・・・お一人というのは不安です・・・。
アレックス:せめて、うちから増援を・・・。
ダニエ:不要です。これまでの事件ファイルによれば、こちらの情報があちらに漏れている可能性がある。
マーシャル:うちの課にスパイがいると言いたいのか?
ダニエ:さまざまな可能性を鑑みて(かんがみて)の話です。
ダニエ:今は言葉遊びをしている場合ではないのでは?マーシャル警部?
0:ダニエ、ゆっくりと、確認するように
ダニエ:現場には、私一人で張る方が・・・より目立たず、確実に犯人を捕まえられる・・・。よろしいですね?
0:マーシャル、少し沈黙して
マーシャル:・・・ダニエ、信じていいのか?
ダニエ:はい、もちろん。
0:マーシャル、ため息をついて
マーシャル:わかった。お前に任せよう・・・。
マーシャル:アレックス、警戒は怠らず、俺たちはここで待機するぞ。
アレックス:ですが!!
マーシャル:命令だ。
マーシャル:・・・ダニエ、気をつけろよ。
ダニエ:ありがとうございます。ご期待に応えられるよう、最善を尽くします。
マーシャル:・・・。
:
:【2月28日 午後11時40時 ロサンゼルス自然史博物館前】
:
ハニー:さあ、ナイトミュージアムの時間よ!
ハニー:準備はいい?発電所のシステムは?
ベア:OK。いつでも落とせる。
ハニー:上出来。
ハニー:それじゃあ、時計を合わせて。
ハニー:合図をしたら、電気を落としてちょうだい。
ハニー:すぐに、電気柵をくぐるわ。
ハニー:警備が混乱しているうちに、あなたの作った魔法の鍵で・・・
ハニー:ベニト石をいただく。この時点で5分。
ベア:ああ、警察に潜らせたドローンによれば、奴らは予備の電力を用意してる。
ベア:だが、とんだ安物だ。
ベア:予備に切り替わるまで、15分はかかる。
ハニー:舐められたものね。それとも、マーシャル警部は白旗かしら?
ハニー:その間、博物館の中は・・・ホーンテッドハウスみたいに真っ暗なのに!
ハニー:まあいいわ。暗闇の中を必死にワンちゃんたちが駆け回ってる隙に、
ハニー:私は元来た道を戻って、あなたのいる車へタッチダウン!
ハニー:そのあとはお姫様を乗せて、ナイトドライブを楽しむだけ。余裕ね!
ベア:・・・ホント、大したタマだよ。おめえは。
ベア:だが、計画通り、退路はプランCまで確保するぞ?
ベア:マーシャルの旦那も、最近は飢えたライオンみてえにイラだってる。
ベア:おまけに、今回はFBIも来ているらしい。
ハニー:それでこの警備?FBIはカカシでも送ってきたのかしら?
ベア:ああ、一人だけのようだがな。
ベア:だからこそ、ひっかかかるんだ・・・。どうにもクセえ。
ベア:念の為、監視カメラの映像もこっちでコントロールしておく。
ベア:オメエがトチってカゴのハチなっても、俺には荒事はできねえからな?
0:ハニー、やれやれという感じで
ハニー:クマちゃんったら・・・、本当に心配性・・・。
ハニー:・・・ストレスで胃に穴が空いたりしない?
ベア:何事も用意は周到に・・・、だ。
ベア:俺がマスター・ガードナーを支えるコルタバなら、
ベア:あと二つは用意してるところだ。
ハニー:コルタ・・・?誰それ?
ベア:この仕事がうまくいったら、紹介してやるよ。
ベア:なかなかクールな女だぜ?現実じゃお目にかかれないほどにな!
ハニー:(呆れて、ため息をついて)・・・好きね。やめておくわ。
ハニー:あら、・・・そろそろショータイムね!いってくる!
ベア:ああ、気をつけろよ
0:ハニー、投げキッスをして
ハニー:私を誰だと思ってるの?
:
:【ロサンゼルス自然史博物館 警備室】
:
0:博物館が停電する
アレックス:停電!?
マーシャル:ダニエの見立て通りか・・・。
マーシャル:慌てるな!予備電源への切り替えを急げ!
アレックス:はい!
アレックス:・・・ダニエ捜査官は、大丈夫でしょうか?
マーシャル:余計な心配はいらん。監視カメラの復旧を急げ!
マーシャル:・・・。
マーシャル:・・・なんだ?・・・この違和感は・・・?
:
:【ロサンゼルス自然史博物館 鉱物展示室】
:
ハニー:妙ね・・・。
ハニー:警備の数が、普段と変わってないことはともかく・・・、
ハニー:電気柵が、外部電源で追加されているのに・・・機能していない?
ハニー:いくら、警察の連中がお馬鹿さんだからって・・・、
ハニー:こんなミス、するかしら?
0:ハニー、少し考え、
ハニー:・・・フッ、まあ、いいわ。楽にいただけるなら、最高ね。
ハニー:マーシャル警部には悪いけど、
ハニー:あたしたちのしたい事は、させてもらうわよ?
0:ベニト石に手を伸ばす。
ダニエ:そこまでよ。
0:ハニーの背後でダニエ、銃を構える
ハニー:・・・!
ハニー:かくれんぼが上手ね・・・。気がつかなかったわ。
ダニエ:ベニト石から離れなさい。
ハニー:・・・あなたが・・・FBIの新顔?
ハニー:抜け作のマーシャル警部は・・・、バカンスかしら?
ダニエ:無駄口はいい。ハニービー。アンタの手口はよく知ってる。
ダニエ:相手を言葉で翻弄(ほんろう)し、隙を突く。
ダニエ:まさに、蜂のようにね。
ハニー:(ため息)それはそれは、嫌われたものね・・・。
ハニー:それじゃあ・・・、こういうのはどうかしら!?
0:ハニー、ダニエの不意をつき、掴みかかる。
0:しかし、ダニエ、薄く笑って受け流し、
ダニエ?:フッ、無駄よ。
0:蛇のような動きでハニーを掴み、投げ飛ばす。
0:ハニー、着地しつつも、予想外の動きに、ハニー警戒する。
ハニー:・・・あなた、何者?
ハニー:少なくとも・・・、FBIじゃないわね?
ハニー:今の蛇みたいな動き、FBIのアーツとは違う・・・。
0:ハニー、何かを思いだしかけ、頭が痛み始める
ハニー:それに、その動きは・・・
0:ダニエ、人が変わったように雰囲気が変わる。
0:ダニエ、蛇のように不敵に笑って、口調が変わる。
ダニエ?:・・・あらあらあら・・・、大変・・・。顔が真っ青ね?
ハニー:そもそも・・・、警察はまだ、
ハニー:私たちのことをクレイジーな怪盗ってこと以外、何もわかっていないはず・・・。
ハニー:それに・・・、あなたは私をハニービーと呼んだ・・・。
0:ハニー、頭痛と目眩がひどくなる
ハニー:その呼び方っ・・はっ・・・
0:ダニエ、愉快そうに
ダニエ?:んー、これだけヒントをあげているのに・・・まだ、思い出せないのかしら?
ダニエ?:ずいぶんと、鈍いわねぇ?ハニービー?
ダニエ?:もっと優秀な子だったと・・・、思うのだけれど?
0:ハニー、頭を押さえて、
ハニー:あなた・・・前に、どこかで・・・?
ダニエ?:(笑って)・・・さあねえ?
ダニエ?:思いだしてみたら?
0:ハニー、頭を振って、調子を戻す。
ハニー:・・・フッ、やめておくわ。
ハニー:アンタが誰でも、今の私には関係ないもの。
ハニー:それに、アンタみたいな気持ちの悪い女、大ッ嫌いなの。
ハニー:忘れたままでいる方が、楽しい人生送れそうだわ。
0:ダニエ、がっかりしたようなふりで、からかうようにハニーのいった言葉を真似して、
ダニエ?:(ため息)・・・それはそれは。嫌われたものねぇ?
0:ハニー、怒って
ハニー:イラつく女!せっかくのお楽しみが、台無し!
ハニー:・・・フン、いいわ。今日は、そちらのプリンセスをお迎えするのは諦めてあげる。
ハニー:おめでとう。あなたが誰にせよ、ハニーベアを止めた一人目の人間よ。
ハニー:でも、景品のくまちゃんは無し。
0:ダニエ、意外そうに
ダニエ?:あら、ずいぶんと諦めがいいのね?せっかく門まで開けてあげたというのに。
ハニー:ああ・・・?どうりで、マーシャル警部にしては弱気だと思ったわ。
ハニー:全部、アンタの茶番だった・・・っていうわけね?
ハニー:お楽しみのところ悪いけど、こう見えて私、忙しいのよ。
ハニー:アンタのお遊びに付き合っている暇なんてないの。
0:ハニー、腕時計を見て、
ハニー:(ため息)・・・ちょうど、舞踏会もおしまいの時間ね。魔法が解けてしまうわ。
ハニー:そろそろ、おうちに帰りたいんだけれど・・・、ダメかしら?
0:ダニエ?は評価するように
ダニエ?:ふうん・・・?諦めてしまうとまでは・・・思わなかったわ・・・。
ダニエ?:しかも、自分が誰かも、思い出せないとは。
ダニエ?:・・・まあ、焦ってもいけない。美味しい蜜を作るには幼虫から、よねぇ?
ハニー:アンタ、さっきから何をっ・・・
ダニエ?:まあ、いろいろ事故もあったけれど、成果は上々。
0:ダニエ、自分の中で結論づけるように
ダニエ?:及第点としましょう。
ダニエ?:その窓から出て、巣に帰るといいわ・・・。そうするつもりだったのでしょう?
0:ハニー、不審そうに
ハニー:それもアンタの手の内ってことね・・・。
ハニー:気に入らないわ。アンタの狙いはなに?
ダニエ?:あら、気にしないでいいわ。
ダニエ?:そのうち、わかるもの・・・。
ダニエ?:それに・・・、ベニト石もお前達が盗むのよ!
0:2回の銃声
ダニエ:(叫ぶ)
マーシャル:ダニエ!どうした!?ダニエ!!
ダニエ:・・・すいません、逃がしてしまいました・・・。
アレックス:・・・!電気柵のワイヤーが切られている!?
アレックス:くそっ!簡単に切れるはずがないのに・・・、いつの間に!?
ダニエ:・・・ずっと見張っていたのですが、気がついたら・・・逃げるところでした。
ダニエ:警告したのですが、逆に撃たれてしまって・・・。・・・女でした。
マーシャル:・・・。(釈然としない様子で)
マーシャル:・・・そうか。よく、がんばってくれた。
マーシャル:おかげで犯人の足がかりはできた。ダニエ、お手柄だ。
ダニエ:ありがとうございます・・・。痛っ・・・、血が・・・。
アレックス:救急車を呼びますか!?
ダニエ:・・・いえ、弾をかすめただけなので、自分でできます。
ダニエ:手当てをしてきても?
マーシャル:・・・。
アレックス:警部?
マーシャル:あ、ああ・・・、付き添ってやれ。
:
:【ハニーベア 逃走車中】
:
ベア:・・・ったく!!なんなんだよ!!くそっ!!ハニー!怪我はどうだ!?
0:ハニー、傷跡に指を入れ、弾を抜く
ハニー:・・・ぐ・・ううう!!っはぁ・・っはあ・・!
0:(苦しく息をしながら)
ハニー:・・・弾は抜いた。
ハニー:・・・あの女、一体・・・なんなの・・・?
ハニー:自分を撃ったと思ったら、
ハニー:笑いながら私を撃って・・・。
ハニー:まるで・・・、狂ってるみたいに・・・
ハニー:狂ってる・・・?
ハニー:(何かに気がついたように)ベア!あたしのスマートフォンは!?
ベア:ああ!?ほらっ!
0:ベア、ハニーにスマートフォンを放り投げる。
ハニー:あの女は、私をハニービーって呼んだ・・・。ハニービーって呼んだのよ!
ベア:・・だから、何だよ!?
ハニー:それに・・・、あの動き、あの話し方・・・!
0:絶望したように
ハニー:・・・ああ、そういうことね・・・。ちくしょう!
:
:【ロサンゼルス自然史博物館 鉱物展示室】
:
アレックス:・・・?警部、どうしました?窓になにか?
マーシャル:いや、ダニエはなんと言っていた?
アレックス:窓にいた犯人を撃とうとして、撃たれた、と。
マーシャル:・・・その時、ダニエはどこにいた?
アレックス:えっと・・・ここですかね?
マーシャル:構えてみろ。
アレックス:・・・こう、でしょうか?
マーシャル:(気付いて)・・・!!おい!!ダニエ!ダニエはどこへいった!
アレックス:し、止血のため・・・手洗いに、と。
マーシャル:くそ!!おい!ついてこい!!
アレックス:は、はい!!
マーシャル:ダニエ!いるか!開けるぞ!
:中はもぬけの殻
アレックス:だ、誰も・・・いない・・・。
マーシャル:く・・・、くそっ!!
0:扉を殴る音(マーシャル)
:
:【ハニーベア 逃走車中】
:
ベア:ブラックリリィだと!?あの大怪盗のか!?
ハニー:ええ、あの蛇みたいな動きも、あの話し方も、
ハニー:昔の私が書いた、・・・ブラックリリィそのものだった。
ベア:お前、ブラックリリィと会ったことあんのかよ!?
ベア:・・・でもよ、ブラックリリィは死んだって聞いたぜ?
0:ハニー、自分でもわからずパニック気味に
ハニー:わからない・・・!覚えてないのよ!
ハニー:でも、間違いない・・・。確実に・・・。私はあの女を知ってる。
ハニー:だって、あの目は・・・悪夢に出てくる、あの目にそっくり・・・。
ハニー:・・・一体、どうなってるの?
0:ベア、少し考え、ハニーを落ち着かせるためにいつもの調子で
ベア:・・・わかった。いや、わかんねえけど・・・、わかんねえことがわかった。
ベア:んで?クイーンビー。その女がブラックリリーとして、一体どうする?
0:ハニー、大きくため息をつき、少し考えて、いつもの調子を取り戻す
ハニー:・・・ありがと。
ハニー:そうね。相手が誰であれ、
ハニー:肩にキャンディー、プレゼントしてくれたお礼はしないとね?
ハニー:あいつが誰であれ、やられっぱなしは性に合わない!
ベア:・・・それでこそハニーだぜ。
ベア:んで?なにから始める?
ハニー:そうね・・・、ベアはあの女について調べてみて。
ハニー:私はあのベニト石について、調べてみる。
ベア:・・・調べるたってよ?誰だかもわかんねえんだろ?
ハニー:私が、ただ、鉛玉(なまりだま)ぶち込まれて終わると思った?
0:ハニー、ベアにカードを投げる。
0:ベア投げられたカードを受け止めて
ベア:あん?なんだ?
ハニー:あの女の身分証明書。そこから何かつかめるはず。
0:ベア、軽く笑って
ベア:・・・っほんと、大したタマだぜ。
ベア:石っころの方はどうする?
ハニー:見当はついてる・・・。
ハニー:あのベニト石を発掘した家、カウチ家よ。
:
:【???】
:
ダニエ?:おかげさまで、事がスムーズに運んだわ。
ダニエ?:ウフフ、ハニービー・・・、相変わらずかわいい子・・・。
ダニエ?:追っていらっしゃい。
ダニエ?:あなたがわたくしになるのが・・・、とても楽しみだわ。
:【続く】
0:【あらすじ】
:実在するロサンゼルスを舞台に、派手な盗みを繰り返す「怪盗Honey&Bear」。
:それを追うロス市警強盗殺人課のマーシャルとアレックスの元に、
:ある日、彼らからの予告状が届く。
:『2月28日 午前0時 ロサンゼルス自然史博物館、
:ベニト石を頂きに参る。Honey&Bear』
:その予告状から、彼らが思いもしなかった事件が始まるのであった・・・。
:
0:【シナリオ約束事項】
:性別変更→×
:アレンジ→○(話が壊れない程度、他のキャストに迷惑がかからないなら)
:人数変更→○(兼任など)
:改変→×
:初心者→○
:※シナリオに書かれていない、指を鳴らす、吐息、笑いなどシナリオ外の役を深める、
:セリフ外の演技は大歓迎です。ただし、こちらでもお話が壊れない程度でお願いします。
:※年齢、雰囲気キーワードはあくまで目安です。参考程度に捉えてください。
:
0:登場人物
:
ハニー:(登場人物をタップすると、セリフにも色がつきます)
ハニー:性別・♀
ハニー:怪盗ハニーベアのプランの立案、盗みを担当。
ハニー:セクシーでキュートな見た目に反して体術などを得意としており、
ハニー:ベアとは「盗みはクレイジーなほど面白い」を信条に怪盗劇を続ける。
ハニー:いつでも陽気で、スリルを楽しむ大胆な女性。美しいもの、
ハニー:かわいいものが好きな一面がある。
ハニー:年齢・19〜28(13くらいのロリや、30のセクシーなお姉様でもよし)
ハニー:雰囲気キーワード:セクシー、キュート、小悪魔、アクティブ
ハニー:口癖・セクシー
:
ベア:(登場人物をタップすると、セリフにも色がつきます)
ベア:性別・♂
ベア:怪盗ハニーベアのハッキング、電気、機械系統、ドライバーをこなすオタクハッカー。
ベア:とある政府のハッカーとして軟禁されていたところをハニーに「盗み」出される。
ベア:本人は今の暮らしを気に入っており、ハニーは相棒としか見てないものの、
ベア:盗み出された時にハニーを、「自分の守護天使」と思っている。
ベア:年齢・19〜32(ハニーの立ち回りによっては、お兄さん、ショタもあり)
ベア:雰囲気キーワード・オタク、情に厚い、厨二っぽいワル
ベア:好きなもの・ネット、発明、エナジードリンク、ゲーム、アニメ
:
マーシャル:(登場人物をタップすると、セリフにも色がつきます)
マーシャル:性別・♂
マーシャル:ロス市警警部/強盗殺人課 「ハニーベア」事件の担当。
マーシャル:古風な警察官だが、勘が鋭い。
マーシャル:過去にリアーヌ・カウチという女性と交際しており、
マーシャル:その正体に気付きながらも今も忘れないでいる。
マーシャル:年齢・35〜50
マーシャル:雰囲気キーワード・渋い、古風、熱血漢
マーシャル:好きなもの・タバコ、酒、コーヒー、つば広の中折れ帽子
:
アレックス:(登場人物をタップすると、セリフにも色がつきます)
アレックス:性別・♂♀どちらでも
アレックス:ロス市警警部補/強盗殺人課「ハニーベア」事件担当。ほぼ、マーシャルの秘書。
アレックス:主に、情報整理、収集を得意としており、社内ではエリート。
アレックス:だが、マーシャルに憧れ、強盗殺人課への配属を希望した。
アレックス:年齢・20〜50
アレックス:雰囲気・秘書、冷静、真面目、マーシャルを尊敬している
アレックス:好きなもの・スーツ、仕事道具、コーヒー
:
ダニエ:(タップすると、セリフにも色がつきます)
ダニエ:性別・♀
ダニエ:FBI特別捜査官。「ハニーベア」の捜査を担当。
ダニエ:ロス市警がFBIからの「ハニーベア逮捕の協力要請」に応じたため、派遣された。
ダニエ:過去に凶悪強盗犯「ブラックリリー」と死闘の末、生存した敬意を持つ。
ダニエ:ブラックリリーはその際に焼死したとされているが・・・?
ダニエ:年齢・28〜40
ダニエ:雰囲気キーワード:エリート、ミステリアス
ダニエ:雰囲気キーワード2:ダニエ?のときは、妖艶、ミステリアス
:
0:以下本編です
:
:
0:ハニー、タイトルコールしてください
:
ハニー:Honey&Bear
ハニー:第一話 ミツバチとベニト石(ベニトいし)
:
:
:【ロス市警 マーシャル警部のデスク】
:
0:(予告状を見て)
マーシャル:『2月28日 午前0時
マーシャル:ロサンゼルス自然史博物館、
マーシャル:ベニト石(ベニトいし)を頂きに参る。ハニーアンドベア』、か・・・。
0:マーシャル、ため息をつく
マーシャル:・・・やりたい放題やってくれるなぁ、オイ・・・。
0:マーシャル、タバコに火をつける
アレックス:マーシャル警部、ハニーベアの事件資料をお持ちしました。
マーシャル:ああ・・・、そこに置いといてくれ・・・。
アレックス:これで・・・7件目、ですか・・・。
アレックス:性別、年齢はおろか・・・、一人なのか、グループ犯なのかも不明・・・。
アレックス:判明しているのは・・・、毎回大掛かりで、大胆な犯行を行う事。
アレックス:・・・そして、このハニーベアというふざけた名前のみ。
マーシャル:フンッ、ふざけた野郎だ・・・。
マーシャル:ご丁寧に、ハチとクマのマークまでつけて送りやがって・・・。
マーシャル:インクから特定が出来るかとも思ったが・・・
アレックス:・・・市場(しじょう)に登録の無いインク、だったんですよね。
アレックス:せめて、どこで作られたのか・・・わかればいいのですが・・・
マーシャル:あー!くそ!どうすりゃいい!?
マーシャル:前回は、床ごと爆破されたんだぞ!?
マーシャル:・・・奴はいつ、そんな準備をした?
マーシャル:痕跡(こんせき)すら・・・見当たらないのはなぜだ!?
マーシャル:やつらはどこに、そんな大掛かりな機材を隠している!?
アレックス:ああ、警部・・・、少し落ち着いてください・・・。
アレックス:やはり・・・犯人は二日後、予告通りに現れるでしょうか?
マーシャル:(深いため息)・・・これまで、奴が・・・
マーシャル:予告状を違えた(たがえた)事は無い。
マーシャル:・・・1分1秒も、だ。
マーシャル:奴なら間違いなく・・・、来るだろう・・・。
アレックス:・・・。(ため息)
アレックス:ああ、それと、警備局には既に手配を済ませました。
マーシャル:ああ、ご苦労。
アレックス:現在、うちの所轄と合同で警備と捜査を続けている所です。
アレックス:何か、ほかに、手配しておくことはありますか?
マーシャル:・・・蜂よけスプレーでも用意しておけ。できれば、クマ用の檻もな。
アレックス:えっ!?
0:冗談を察せないことに若干、恥ずかしそうに苛立ち
マーシャル:冗談だ!
0:アレックス、冗談であることに気がつき
アレックス:し、失礼しました・・・。
マーシャル:あー・・・、それと、もう1つ・・・伝えておくことがある。
アレックス:どうか、しましたか?
マーシャル:FBIが・・・、とうとう動き出した。
アレックス:それ・・、本当ですか?
マーシャル:昨日、協力要請があり・・・、受理したそうだ。
マーシャル:今後は共同で、捜査にあたる事になる。
マーシャル:・・・そろそろ、くる頃だが・・・?
0:ノック音
ダニエ:・・・マーシャル警部?
マーシャル:ああ、君が・・・ダニエか?
ダニエ:・・・どうも。
ダニエ:強盗グループ、ハニーアンドベア逮捕のため・・・、
ダニエ:FBIから派遣されました、ダニエ・クロフォードです。
マーシャル:ジャストタイミングだ、ダニエ。かけてくれ。
ダニエ:・・・ありがとうございます。
マーシャル:改めて紹介しよう。
マーシャル:私はロサンゼルス市警、強盗殺人課のマーシャル・アノーだ。
マーシャル:いまはハニーベアの逮捕に向けて、捜査にあたっている。
マーシャル:そこにいるのは、警部補のアレックス・ケイジだ。
マーシャル:同じくハニーベアの捜査にあたっている。
ダニエ:どうも。
アレックス:これから、よろしくお願いします。
マーシャル:さて、早速本題に入らせてもらおう。
マーシャル:今朝、ロサンゼルス自然史博物館に・・・、
マーシャル:ハニーベアから予告状が届いたことは知っているか?
ダニエ:はい。2日後の夜、ベニト石を狙うと聞いていますが・・・。
マーシャル:ああ。その通りだ。
マーシャル:これまでも奴らはターゲットに予告状を送りつけ・・・、
マーシャル:予想もつかん方法で、・・・あっという間に目的のブツを盗んで行く。
マーシャル:手口もド派手。そして、さまざまだ・・・。
マーシャル:それなのに・・・、身元が不自然なほどに特定できん。
マーシャル:・・・FBIはどこまで掴んでいる?
ダニエ:今のところ、それ以上の進展はありません。
ダニエ:それだから・・・、私たちも協力をお願いしているんですよ?マーシャル警部?
マーシャル:ほう・・・?
マーシャル:ではダニエ・・・、お前自身に聞きたい。
マーシャル:・・・お前は過去に、あのブラックリリーと対峙したそうじゃないか。
アレックス:なっ!?
アレックス:あの事件で生き残った捜査官って・・・ダニエさんだったんですか!?
マーシャル:・・・ああ、少なくとも俺はそう聞いている。
アレックス:怪盗ブラックリリー。
アレックス:その手口は大胆かつ、残酷。
アレックス:人を殺す事もいとわない大怪盗を止めることができた唯一の女捜査官。
アレックス:噂は聞いていましたが・・・!
アレックス:・・・まさか・・・、お会いできるとは・・・。
マーシャル:・・・アレックス、今は捜査の話だ。
0:アレックス、我に返り
アレックス:し、失礼しました・・・。
マーシャル:・・・さて、・・・そんなお前に教えて欲しい。
マーシャル:今回、ハニーベアはどんな手口を使って・・・、ベニト石を盗む?
ダニエ:かいかぶりにも程があります。・・・マーシャル警部。
ダニエ:アレは、評価していただくほどの事件ではありません。
ダニエ:あなたならば・・・、ご存知だと思いますが?
マーシャル:・・・。
マーシャル:(軽く笑って)まあ、そう言うな。他意(たい)はない。
マーシャル:お前の、ハニーベアに対する意見を聞きたい。それだけだ。
ダニエ:・・・わかりました。
ダニエ:アレックス警部補、少し確認させていただいても?
アレックス:・・・わ、私で答えられる範囲ならば・・・。
ダニエ:ハニーベア事件の、共通点を教えていただけますか?
アレックス:・・・はい。事件資料によると、ハニーアンドベア、通称ハニーベアは・・・
アレックス:どの事件においても・・・大がかりかつ、
アレックス:自身の犯行をアピールするような・・・ハデな手口で、襲撃を行っております。
アレックス:・・・ただし、どのような準備をしているかはまったく不明です。
アレックス:機材などの販売ルートも洗いましたが、目立った情報はなく・・・、
アレックス:・・・情けないことですが・・・、正直お手上げ、と言ったところです・・・。
ダニエ:今、最も重要なことは・・・、
ダニエ:小細工をさせる時間を、与えないことではないでしょうか?
ダニエ:・・・証拠品の捜査は、あとでいくらでもできます。
ダニエ:ハニーベアのこれまでの犯行は、時間が必要な大掛かりなものばかり・・・。
ダニエ:おかしな小細工を防ぐためにも、
ダニエ:1秒でも早く、警備を強めたいところですね。
ダニエ:特に、電気系統には十分に。
マーシャル:ふむ、それはなぜだ?
ダニエ:調べたところ、ターゲットになっている自然史博物館は、
ダニエ:・・・あまり警備体制がいいとは言えません。
ダニエ:閉館後に機能しているのは・・・警備員の巡回と、
ダニエ:センサー、そして・・・外の電気柵。
ダニエ:大元の電気が絶たれれてしまえば、犯人は物をとり放題でしょう。
マーシャル:なるほどな…。電源そのものを断たれて手も足も出せなくなるということか。
マーシャル:だが、送電線をチェックしている時間はなさそうだが・・・。
0:アレックス、少し考えて
アレックス:・・・それでは、警備室に予備電源を用意するのはどうでしょうか?
アレックス:そして、ベニト石の周囲に
アレックス:その予備の電源によって、稼働(かどう)するセンサーと電気柵を追加するんです。
マーシャル:・・・ふむ、悪くない案だな。加えて、各部屋の警備も増員し、常に複数名での巡回を行おう。
ダニエ:・・・それも良い案だと思うのですが・・・、私に1つ、考えがあります。
:
:【ハニーベア 隠れ家】
:
0:PCをいじるベア。その後ろでお風呂を楽しむハニー
ベア:おい、本当にやんのか・・・?
ハニー:なにを?
ベア:発電所のクラックだよ。
ベア:あたり一面を真っ暗にしてまで、・・・ベニト石ってのは、盗む価値があるのか?
ハニー:フッ、わかってないわね・・・。
ハニー:ベニト石というだけでも、数少ない貴重な宝石なのよ?
ハニー:その中でも、自然史博物館のベニト石は・・・世界最大。
ハニー:しかも、紫外線に当たることで美しく、青い光を放つ・・・。セクシーじゃない?
ベア:そりゃあ、たいそうなもんだ。
ベア:けどよ・・・、今回はむちゃくちゃすぎねえか?
ハニー:ベアって、本当に心配性よね・・・。
ハニー:私が間違ってたことがある?
ハニー:いままでだって、うまくいったでしょ?今回だって、必ず成功するわ。
ベア:でもよ・・・、発電所のシステムに侵入して、
ベア:停電を起こすなんて・・・クレイジーにも程があるぜ。
0:パソコンでのハッキングがうまくいかず、イラついて
ベア:ここのロックも・・・、くっそっ!固えんだよっ!
ハニー:ウフフ・・・、ベアったら本当のクマちゃんみたい。
ハニー:ベニト石にはね?他にもなかなかセクシーないわれがあるの。
ベア:セクシーないわれ?
ハニー:そ。だから、そこまでする価値はある・・・。賭けてもいいわ。
ハニー:それに、いつも言ってるでしょ?盗みはクレイジーなほど・・・
0:同時に合わせて
ハニー:面白い!
ベア:面白い・・・。
ハニー:あなたが発電所をクラックして・・・、博物館一帯を停電させたら・・・、
ハニー:闇に紛れて(まぎれて)私が侵入する。
ハニー:そして、囚われのお姫様を助け出してあげて・・・、
ハニー:そのままあなたの車でおさらば。簡単でしょ?
0:ベア、ため息をついて
ベア:・・・そんな簡単にいくかね?
ハニー:大丈夫よ!・・・この1週間、あなたがドローンで観察してくれたけれど、
ハニー:あの博物館の警備システムは・・・ザルもいいとこ。
ハニー:夜になれば赤外線センサーと、外の電気柵は機能するけれど・・・、
ハニー:それ以外は・・・警備員がペットのワンちゃんみたいに、決まったお散歩をする程度。
ベア:まあ、当然だな。
ベア:あの博物館には・・・
ベア:ダイナーのチラシよりも見飽きた、
ベア:ガラクタしかねえ。
ハニー:でしょ!絶対に、うまくいくわよ!
ベア:だが、イヌどもの動きがどうも気に食わねえ。
ベア:この前、床を派手にぶち抜いてやったってのに、予告状が届いても反応なしだ。
ベア:FBIから捜査官は来たようだが・・・。
ハニー:フフッ、あのダイヤより頭の硬いマーシャル警部だもの!白旗あげてるんでしょ!
ハニー:確かに・・・、新入りのプードルちゃんは気になるけれど・・・、
ハニー:目の前にフィールフリートゥー(ご自由にどうぞの意味)を無視するのはつまらないと思わない?
ハニー:なんなら、ベニト石は、もう私たちの手の中にあるようなもの・・・。そうでしょ?ベア?
ベア:ったく、気軽にいってくれるぜ・・・。
ベア:ま、その、石っころの価値は俺にゃわからねえが、楽しませてくれよ?っと
0:セリフ最後と共に、PCのキーを押す。(ベア)
:
:【2月28日 午後8時 ロサンゼルス自然史博物館前】
:
アレックス:ダニエ捜査官!マーシャル警部!
アレックス:警備の手配、そして新たな電気柵の配備、完了しました。
アレックス:現在、監視カメラなども正常に作動しています。
マーシャル:おう、ご苦労。
アレックス:・・・しかし、こんな警備で大丈夫なんでしょうか・・・?
アレックス:センサーと、監視カメラを追加した方が良かったのでは?
アレックス:それに・・・、警備の数を増やさず、そのままとは・・・。
ダニエ:まず前者から説明しますが、
ダニエ:これまでの記録から見て、警備の増員は逆効果です。
マーシャル:それは何故だ?
ダニエ:施設の80%を埋め尽くすほど、警備網(けいびもう)を張り巡らせても、
ダニエ:人数すら把握できていないのが・・・、その証拠では?
マーシャル:・・・逆効果、とは限らんだろう?
ダニエ:記録によれば、ハニーアンドベアの犯行は警備が大規模になる程、
ダニエ:犯行時間が不明であることがわかっています。
マーシャル:わかりやすく言ってくれ。
ダニエ:彼らがターゲットを偽物にすり替える、もしくはいつの間にか消えていた、
ダニエ:このような犯行方法は、警備が多いほどに使われていたということです。
アレックス:・・・あっ!ということは、犯人は・・・警備や客に紛れて、犯行を行っていたということですか?
ダニエ:そう見ています。
マーシャル:その事態を防ぐために、人数確認や検査などを徹底していたはずだが?
ダニエ:犯人が大掛かりな仕掛けを使う目的は、その警備体制を撹乱するためでしょう。
ダニエ:混乱を起こせば、大人数になるほど・・・紛れることは簡単になる。
ダニエ:つまり、警備を増やせば増やすほど、犯人には好都合だったというわけです。
アレックス:なるほど!流石はダニエ捜査官・・・。
マーシャル:・・・監視カメラや、センサーを増やすことに反対した理由は?
ダニエ:それについては、意味がないからです。
マーシャル:意味が、ない?
ダニエ:センサーも、監視カメラも電気がなければ意味がありません。
アレックス:ですが、そのために予備電源を用意したのでは?
ダニエ:あれはブラフです。
アレックス:ブラフ!?
ダニエ:センサーにしても、カメラにしても、この短期間で・・・博物館全体の監視を強化することは不可能です。
ダニエ:その上、用意した予備電源も切り替わるまでに、15分の時間が必要になる。
ダニエ:警備の機能しない時間が、15分もあれば・・・彼らにとって犯行は十分に可能でしょう・・・。
アレックス:そ、それならば、なおのこと・・・
0:マーシャル、ダニエの言いたいことを察して
マーシャル:なるほどな・・・。
マーシャル:つまり、この短期間で、博物館の警備を根本的に強化することは不可能。
マーシャル:ならば、逆に警備を弱体化させて見せたほうが相手は油断し、尻尾を出しやすい。
マーシャル:そう考えた。と?
ダニエ:おっしゃる通りです。
ダニエ:施設内の警備は少人数、警備体制も薄く見せれば、警戒はすれど・・・必ず犯人は現れる。
マーシャル:地下室の警備を強化したのは、前回のような手口を防ぐためか?
ダニエ:ええ。しかも、この博物館の地盤は硬い。前回のように床を爆破、なんてことは不可能でしょうね。
アレックス:な、なるほど・・・。
ダニエ:現場の警備も、私一人で行います。
アレックス:え!?・・・し、しかし、危険では?
ダニエ:私もFBIです。ご心配には及びません。
ダニエ:それに、お二人やあなたの部下は、彼らに警戒されている可能性が高い。
アレックス:それでも・・・お一人というのは不安です・・・。
アレックス:せめて、うちから増援を・・・。
ダニエ:不要です。これまでの事件ファイルによれば、こちらの情報があちらに漏れている可能性がある。
マーシャル:うちの課にスパイがいると言いたいのか?
ダニエ:さまざまな可能性を鑑みて(かんがみて)の話です。
ダニエ:今は言葉遊びをしている場合ではないのでは?マーシャル警部?
0:ダニエ、ゆっくりと、確認するように
ダニエ:現場には、私一人で張る方が・・・より目立たず、確実に犯人を捕まえられる・・・。よろしいですね?
0:マーシャル、少し沈黙して
マーシャル:・・・ダニエ、信じていいのか?
ダニエ:はい、もちろん。
0:マーシャル、ため息をついて
マーシャル:わかった。お前に任せよう・・・。
マーシャル:アレックス、警戒は怠らず、俺たちはここで待機するぞ。
アレックス:ですが!!
マーシャル:命令だ。
マーシャル:・・・ダニエ、気をつけろよ。
ダニエ:ありがとうございます。ご期待に応えられるよう、最善を尽くします。
マーシャル:・・・。
:
:【2月28日 午後11時40時 ロサンゼルス自然史博物館前】
:
ハニー:さあ、ナイトミュージアムの時間よ!
ハニー:準備はいい?発電所のシステムは?
ベア:OK。いつでも落とせる。
ハニー:上出来。
ハニー:それじゃあ、時計を合わせて。
ハニー:合図をしたら、電気を落としてちょうだい。
ハニー:すぐに、電気柵をくぐるわ。
ハニー:警備が混乱しているうちに、あなたの作った魔法の鍵で・・・
ハニー:ベニト石をいただく。この時点で5分。
ベア:ああ、警察に潜らせたドローンによれば、奴らは予備の電力を用意してる。
ベア:だが、とんだ安物だ。
ベア:予備に切り替わるまで、15分はかかる。
ハニー:舐められたものね。それとも、マーシャル警部は白旗かしら?
ハニー:その間、博物館の中は・・・ホーンテッドハウスみたいに真っ暗なのに!
ハニー:まあいいわ。暗闇の中を必死にワンちゃんたちが駆け回ってる隙に、
ハニー:私は元来た道を戻って、あなたのいる車へタッチダウン!
ハニー:そのあとはお姫様を乗せて、ナイトドライブを楽しむだけ。余裕ね!
ベア:・・・ホント、大したタマだよ。おめえは。
ベア:だが、計画通り、退路はプランCまで確保するぞ?
ベア:マーシャルの旦那も、最近は飢えたライオンみてえにイラだってる。
ベア:おまけに、今回はFBIも来ているらしい。
ハニー:それでこの警備?FBIはカカシでも送ってきたのかしら?
ベア:ああ、一人だけのようだがな。
ベア:だからこそ、ひっかかかるんだ・・・。どうにもクセえ。
ベア:念の為、監視カメラの映像もこっちでコントロールしておく。
ベア:オメエがトチってカゴのハチなっても、俺には荒事はできねえからな?
0:ハニー、やれやれという感じで
ハニー:クマちゃんったら・・・、本当に心配性・・・。
ハニー:・・・ストレスで胃に穴が空いたりしない?
ベア:何事も用意は周到に・・・、だ。
ベア:俺がマスター・ガードナーを支えるコルタバなら、
ベア:あと二つは用意してるところだ。
ハニー:コルタ・・・?誰それ?
ベア:この仕事がうまくいったら、紹介してやるよ。
ベア:なかなかクールな女だぜ?現実じゃお目にかかれないほどにな!
ハニー:(呆れて、ため息をついて)・・・好きね。やめておくわ。
ハニー:あら、・・・そろそろショータイムね!いってくる!
ベア:ああ、気をつけろよ
0:ハニー、投げキッスをして
ハニー:私を誰だと思ってるの?
:
:【ロサンゼルス自然史博物館 警備室】
:
0:博物館が停電する
アレックス:停電!?
マーシャル:ダニエの見立て通りか・・・。
マーシャル:慌てるな!予備電源への切り替えを急げ!
アレックス:はい!
アレックス:・・・ダニエ捜査官は、大丈夫でしょうか?
マーシャル:余計な心配はいらん。監視カメラの復旧を急げ!
マーシャル:・・・。
マーシャル:・・・なんだ?・・・この違和感は・・・?
:
:【ロサンゼルス自然史博物館 鉱物展示室】
:
ハニー:妙ね・・・。
ハニー:警備の数が、普段と変わってないことはともかく・・・、
ハニー:電気柵が、外部電源で追加されているのに・・・機能していない?
ハニー:いくら、警察の連中がお馬鹿さんだからって・・・、
ハニー:こんなミス、するかしら?
0:ハニー、少し考え、
ハニー:・・・フッ、まあ、いいわ。楽にいただけるなら、最高ね。
ハニー:マーシャル警部には悪いけど、
ハニー:あたしたちのしたい事は、させてもらうわよ?
0:ベニト石に手を伸ばす。
ダニエ:そこまでよ。
0:ハニーの背後でダニエ、銃を構える
ハニー:・・・!
ハニー:かくれんぼが上手ね・・・。気がつかなかったわ。
ダニエ:ベニト石から離れなさい。
ハニー:・・・あなたが・・・FBIの新顔?
ハニー:抜け作のマーシャル警部は・・・、バカンスかしら?
ダニエ:無駄口はいい。ハニービー。アンタの手口はよく知ってる。
ダニエ:相手を言葉で翻弄(ほんろう)し、隙を突く。
ダニエ:まさに、蜂のようにね。
ハニー:(ため息)それはそれは、嫌われたものね・・・。
ハニー:それじゃあ・・・、こういうのはどうかしら!?
0:ハニー、ダニエの不意をつき、掴みかかる。
0:しかし、ダニエ、薄く笑って受け流し、
ダニエ?:フッ、無駄よ。
0:蛇のような動きでハニーを掴み、投げ飛ばす。
0:ハニー、着地しつつも、予想外の動きに、ハニー警戒する。
ハニー:・・・あなた、何者?
ハニー:少なくとも・・・、FBIじゃないわね?
ハニー:今の蛇みたいな動き、FBIのアーツとは違う・・・。
0:ハニー、何かを思いだしかけ、頭が痛み始める
ハニー:それに、その動きは・・・
0:ダニエ、人が変わったように雰囲気が変わる。
0:ダニエ、蛇のように不敵に笑って、口調が変わる。
ダニエ?:・・・あらあらあら・・・、大変・・・。顔が真っ青ね?
ハニー:そもそも・・・、警察はまだ、
ハニー:私たちのことをクレイジーな怪盗ってこと以外、何もわかっていないはず・・・。
ハニー:それに・・・、あなたは私をハニービーと呼んだ・・・。
0:ハニー、頭痛と目眩がひどくなる
ハニー:その呼び方っ・・はっ・・・
0:ダニエ、愉快そうに
ダニエ?:んー、これだけヒントをあげているのに・・・まだ、思い出せないのかしら?
ダニエ?:ずいぶんと、鈍いわねぇ?ハニービー?
ダニエ?:もっと優秀な子だったと・・・、思うのだけれど?
0:ハニー、頭を押さえて、
ハニー:あなた・・・前に、どこかで・・・?
ダニエ?:(笑って)・・・さあねえ?
ダニエ?:思いだしてみたら?
0:ハニー、頭を振って、調子を戻す。
ハニー:・・・フッ、やめておくわ。
ハニー:アンタが誰でも、今の私には関係ないもの。
ハニー:それに、アンタみたいな気持ちの悪い女、大ッ嫌いなの。
ハニー:忘れたままでいる方が、楽しい人生送れそうだわ。
0:ダニエ、がっかりしたようなふりで、からかうようにハニーのいった言葉を真似して、
ダニエ?:(ため息)・・・それはそれは。嫌われたものねぇ?
0:ハニー、怒って
ハニー:イラつく女!せっかくのお楽しみが、台無し!
ハニー:・・・フン、いいわ。今日は、そちらのプリンセスをお迎えするのは諦めてあげる。
ハニー:おめでとう。あなたが誰にせよ、ハニーベアを止めた一人目の人間よ。
ハニー:でも、景品のくまちゃんは無し。
0:ダニエ、意外そうに
ダニエ?:あら、ずいぶんと諦めがいいのね?せっかく門まで開けてあげたというのに。
ハニー:ああ・・・?どうりで、マーシャル警部にしては弱気だと思ったわ。
ハニー:全部、アンタの茶番だった・・・っていうわけね?
ハニー:お楽しみのところ悪いけど、こう見えて私、忙しいのよ。
ハニー:アンタのお遊びに付き合っている暇なんてないの。
0:ハニー、腕時計を見て、
ハニー:(ため息)・・・ちょうど、舞踏会もおしまいの時間ね。魔法が解けてしまうわ。
ハニー:そろそろ、おうちに帰りたいんだけれど・・・、ダメかしら?
0:ダニエ?は評価するように
ダニエ?:ふうん・・・?諦めてしまうとまでは・・・思わなかったわ・・・。
ダニエ?:しかも、自分が誰かも、思い出せないとは。
ダニエ?:・・・まあ、焦ってもいけない。美味しい蜜を作るには幼虫から、よねぇ?
ハニー:アンタ、さっきから何をっ・・・
ダニエ?:まあ、いろいろ事故もあったけれど、成果は上々。
0:ダニエ、自分の中で結論づけるように
ダニエ?:及第点としましょう。
ダニエ?:その窓から出て、巣に帰るといいわ・・・。そうするつもりだったのでしょう?
0:ハニー、不審そうに
ハニー:それもアンタの手の内ってことね・・・。
ハニー:気に入らないわ。アンタの狙いはなに?
ダニエ?:あら、気にしないでいいわ。
ダニエ?:そのうち、わかるもの・・・。
ダニエ?:それに・・・、ベニト石もお前達が盗むのよ!
0:2回の銃声
ダニエ:(叫ぶ)
マーシャル:ダニエ!どうした!?ダニエ!!
ダニエ:・・・すいません、逃がしてしまいました・・・。
アレックス:・・・!電気柵のワイヤーが切られている!?
アレックス:くそっ!簡単に切れるはずがないのに・・・、いつの間に!?
ダニエ:・・・ずっと見張っていたのですが、気がついたら・・・逃げるところでした。
ダニエ:警告したのですが、逆に撃たれてしまって・・・。・・・女でした。
マーシャル:・・・。(釈然としない様子で)
マーシャル:・・・そうか。よく、がんばってくれた。
マーシャル:おかげで犯人の足がかりはできた。ダニエ、お手柄だ。
ダニエ:ありがとうございます・・・。痛っ・・・、血が・・・。
アレックス:救急車を呼びますか!?
ダニエ:・・・いえ、弾をかすめただけなので、自分でできます。
ダニエ:手当てをしてきても?
マーシャル:・・・。
アレックス:警部?
マーシャル:あ、ああ・・・、付き添ってやれ。
:
:【ハニーベア 逃走車中】
:
ベア:・・・ったく!!なんなんだよ!!くそっ!!ハニー!怪我はどうだ!?
0:ハニー、傷跡に指を入れ、弾を抜く
ハニー:・・・ぐ・・ううう!!っはぁ・・っはあ・・!
0:(苦しく息をしながら)
ハニー:・・・弾は抜いた。
ハニー:・・・あの女、一体・・・なんなの・・・?
ハニー:自分を撃ったと思ったら、
ハニー:笑いながら私を撃って・・・。
ハニー:まるで・・・、狂ってるみたいに・・・
ハニー:狂ってる・・・?
ハニー:(何かに気がついたように)ベア!あたしのスマートフォンは!?
ベア:ああ!?ほらっ!
0:ベア、ハニーにスマートフォンを放り投げる。
ハニー:あの女は、私をハニービーって呼んだ・・・。ハニービーって呼んだのよ!
ベア:・・だから、何だよ!?
ハニー:それに・・・、あの動き、あの話し方・・・!
0:絶望したように
ハニー:・・・ああ、そういうことね・・・。ちくしょう!
:
:【ロサンゼルス自然史博物館 鉱物展示室】
:
アレックス:・・・?警部、どうしました?窓になにか?
マーシャル:いや、ダニエはなんと言っていた?
アレックス:窓にいた犯人を撃とうとして、撃たれた、と。
マーシャル:・・・その時、ダニエはどこにいた?
アレックス:えっと・・・ここですかね?
マーシャル:構えてみろ。
アレックス:・・・こう、でしょうか?
マーシャル:(気付いて)・・・!!おい!!ダニエ!ダニエはどこへいった!
アレックス:し、止血のため・・・手洗いに、と。
マーシャル:くそ!!おい!ついてこい!!
アレックス:は、はい!!
マーシャル:ダニエ!いるか!開けるぞ!
:中はもぬけの殻
アレックス:だ、誰も・・・いない・・・。
マーシャル:く・・・、くそっ!!
0:扉を殴る音(マーシャル)
:
:【ハニーベア 逃走車中】
:
ベア:ブラックリリィだと!?あの大怪盗のか!?
ハニー:ええ、あの蛇みたいな動きも、あの話し方も、
ハニー:昔の私が書いた、・・・ブラックリリィそのものだった。
ベア:お前、ブラックリリィと会ったことあんのかよ!?
ベア:・・・でもよ、ブラックリリィは死んだって聞いたぜ?
0:ハニー、自分でもわからずパニック気味に
ハニー:わからない・・・!覚えてないのよ!
ハニー:でも、間違いない・・・。確実に・・・。私はあの女を知ってる。
ハニー:だって、あの目は・・・悪夢に出てくる、あの目にそっくり・・・。
ハニー:・・・一体、どうなってるの?
0:ベア、少し考え、ハニーを落ち着かせるためにいつもの調子で
ベア:・・・わかった。いや、わかんねえけど・・・、わかんねえことがわかった。
ベア:んで?クイーンビー。その女がブラックリリーとして、一体どうする?
0:ハニー、大きくため息をつき、少し考えて、いつもの調子を取り戻す
ハニー:・・・ありがと。
ハニー:そうね。相手が誰であれ、
ハニー:肩にキャンディー、プレゼントしてくれたお礼はしないとね?
ハニー:あいつが誰であれ、やられっぱなしは性に合わない!
ベア:・・・それでこそハニーだぜ。
ベア:んで?なにから始める?
ハニー:そうね・・・、ベアはあの女について調べてみて。
ハニー:私はあのベニト石について、調べてみる。
ベア:・・・調べるたってよ?誰だかもわかんねえんだろ?
ハニー:私が、ただ、鉛玉(なまりだま)ぶち込まれて終わると思った?
0:ハニー、ベアにカードを投げる。
0:ベア投げられたカードを受け止めて
ベア:あん?なんだ?
ハニー:あの女の身分証明書。そこから何かつかめるはず。
0:ベア、軽く笑って
ベア:・・・っほんと、大したタマだぜ。
ベア:石っころの方はどうする?
ハニー:見当はついてる・・・。
ハニー:あのベニト石を発掘した家、カウチ家よ。
:
:【???】
:
ダニエ?:おかげさまで、事がスムーズに運んだわ。
ダニエ?:ウフフ、ハニービー・・・、相変わらずかわいい子・・・。
ダニエ?:追っていらっしゃい。
ダニエ?:あなたがわたくしになるのが・・・、とても楽しみだわ。
:【続く】