台本概要

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タイトル Honey&Bear  第二話「聖杯にマティーニを」
作者名 ケットシー  (@caitsith_udmoon)
ジャンル ミステリー
演者人数 5人用台本(男2、女2、不問1) ※兼役あり
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 ブラックリリー襲撃事件の一夜から、ハニーとベアは数少ない手がかりからベニト石と「ある秘宝」との関わりを見つけ出す。二人はベニト石を博物館へ寄贈した「カウチ家」の金庫を襲撃することでより手がかりを得ようとするのであった。一方、ハニー&ベアからの予告を受けたマーシャルはカウチ家当主であり元恋人のリアーヌ・カウチへの未練を断ち切れずにいた・・・。
実在するロサンゼルス、そして、実在するアイテムや伝承をもとに描かれるミステリコメディの第二弾。

※ベニト石は「ベニトいし」で統一してください。
※note版とは一部表現が異なります。使用時は各メンバー使用台本を統一してください。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ハニー 69 セクシーでキュートな見た目に反して体術などを得意としており、 ベアとは『盗みはクレイジーなほど面白い』を信条に怪盗劇を続ける。
ベア 62 怪盗ハニーベアのハッキング、電気、機械系統、ドライバーをこなすオタクハッカー。とある政府のハッカーとして軟禁されていたところをハニーに『盗み』出される。本人は今の暮らしを気に入っており、ハニーは相棒としか見てないものの、盗み出された時にハニーを、『自分の守護天使』と思っている。
マーシャル 31 ロス市警警部/強盗殺人課 『ハニーベア』事件の担当。古風な警察官で、勘が鋭い。過去にリアーヌ・カウチという女性と交際しており、その正体に気付きながらも今も忘れないでいる。
アレックス 不問 15 ロス市警警部補/強盗殺人課『ハニーベア』事件担当。ほぼ、マーシャルの秘書。主に、情報整理、収集を得意としており、社内ではエリート。だが、マーシャルに憧れ、強盗殺人課への配属を希望した。
リアーヌ 17 ベニト石発見者の家、カウチ家の娘。宝石商をしながら様々なファッションブランドのオーナーも務めている。表向きは強気な女性実業家を演じているが、実は気が弱く、自分を退屈で、つまらなくて退屈な女と自嘲している。何か秘密があるようだが……?
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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0:【あらすじ】  :実在するロサンゼルスを舞台に、派手な盗みを繰り返す「怪盗Honey&Bear」。  :それを追うロス市警強盗殺人課のマーシャルとアレックスの元に、  :ある日、彼らからの予告状が届く。  :『2月28日 午前0時 ロサンゼルス自然史博物館、  :ベニト石を頂きに参る。Honey&Bear』  :その予告状から、彼らが思いもしなかった事件が始まるのであった・・・。  :  0:【シナリオ約束事項】  :性別変更→×  :アレンジ→○(話が壊れない程度、他のキャストに迷惑がかからないなら)  :人数変更→○(兼任など)  :改変→×  :初心者→○  :※シナリオに書かれていない、指を鳴らす、吐息、笑いなどシナリオ外の役を深める、  :セリフ外の演技は大歓迎です。ただし、こちらでもお話が壊れない程度でお願いします。  :※年齢、雰囲気キーワードはあくまで目安です。参考程度に捉えてください。  :  0:登場人物  :  ハニー: ハニー:性別・♀ ハニー:怪盗ハニーベアのプランの立案、盗みを担当。 ハニー:セクシーでキュートな見た目に反して体術などを得意としており、 ハニー:ベアとは『盗みはクレイジーなほど面白い』を信条に怪盗劇を続ける。 ハニー:いつでも陽気で、スリルを楽しむ大胆な女性。美しいもの、 ハニー:かわいいものが好きな一面がある。 ハニー:年齢・19〜28(13くらいのロリや、3のセクシーなお姉様でもよし) ハニー:雰囲気キーワードセクシー、キュート、小悪魔、アクティブ ハニー:口癖・セクシー   : ベア ベア:性別・♂ ベア:怪盗ハニーベアのハッキング、電気、機械系統、ドライバーをこなすオタクハッカー。 ベア:とある政府のハッカーとして軟禁されていたところをハニーに『盗み』出される。 ベア:本人は今の暮らしを気に入っており、ハニーは相棒としか見てないものの、 ベア:盗み出された時にハニーを、『自分の守護天使』と思っている。 ベア:年齢・19〜32(ハニーの立ち回りによっては、お兄さん、ショタもあり) ベア:雰囲気キーワード・オタク、情に厚い、厨二っぽいワル ベア:好きなもの・ネット、発明、エナジードリンク、ゲーム、アニメ   : マーシャル: マーシャル:性別・♂ マーシャル:ロス市警警部/強盗殺人課 『ハニーベア』事件の担当。 マーシャル:古風な警察官だが、勘が鋭い。 マーシャル:過去にリアーヌ・カウチという女性と交際しており、 マーシャル:その正体に気付きながらも今も忘れないでいる。 マーシャル:年齢・35〜 マーシャル:雰囲気キーワード・渋い、古風、熱血漢 マーシャル:好きなもの・タバコ、酒、コーヒー、つば広の中折れ帽子   : アレックス: アレックス:性別・♂♀どちらでも アレックス:ロス市警警部補/強盗殺人課『ハニーベア』事件担当。ほぼ、マーシャルの秘書。 アレックス:主に、情報整理、収集を得意としており、社内ではエリート。 アレックス:だが、マーシャルに憧れ、強盗殺人課への配属を希望した。 アレックス:年齢・20〜50 アレックス:雰囲気・秘書、冷静、真面目、マーシャルを尊敬している アレックス:好きなもの・スーツ、仕事道具、コーヒー アレックス:※銀行員の兼ね役が最初にあります   : リアーヌ: リアーヌ:性別・♀ リアーヌ:ベニト石発見者の家、カウチ家の娘。 リアーヌ:宝石商をしながら様々なファッションブランドのオーナーも務めている。 リアーヌ:表向きは強気な女性実業家を演じているが、実は気が弱く、自分を退屈で、 リアーヌ:つまらなくて退屈な女と自嘲している。 リアーヌ:何か秘密があるようだが……? リアーヌ:年齢35〜40 リアーヌ:雰囲気キーワード・優雅、大人な女性、コンプレックスをもつ、影がある リアーヌ:雰囲気キーワード(銀行シーン)・妖艶   : 0:以下、本編が始まります。   :  :【ウェストハリウッド銀行 金庫内】   : アレックス:(銀行員の声で) アレックス:これはこれは……、リアーヌ・カウチ様……。 アレックス:本日はようこそ……当銀行(とうぎんこう)へ、おいでくださいました。 アレックス:今回は、どう言ったご用件で? リアーヌ:あら、そんなにかしこまらないで? リアーヌ:……少し頼みたいことがあるのだけれど…… リアーヌ:このお金で足りるかしら……?   : 0:マーシャル、タイトルコールしてください   : マーシャル:Honey&Bear マーシャル:第二話『聖杯にマティーニを』  : 0:ハニー、ナレーションと、前回のセリフで海外ドラマっぽく演じてください。 ハニー:前回までのハニー&ベア。 マーシャル:『2/28 午前時 ロサンゼルス自然史博物館、ベニト石を頂きに参る。ハニーベア』か……。 ハニー:私達は、ロサンゼルス自然史博物館の、ベニト石を頂きに行くはずだった。 ベア:ったく、気軽にいってくれるぜ……。うちのお姫様は……よっと。 ハニー:けれど……、ロサンゼルス自然史博物館で私たちを待っていたのは……。 リアーヌ:ベニト石もお前達が盗むのよ! ハニー:FBIを名乗る、妙な女に鉛玉を頂いたあげく…… ハニー:ベニト石は盗まれ、……その罪は私たちに被せられてしまった。 ベア:ブラックリリィだとぉ?あの大怪盗か? ハニー:その女は顔が全く違うのに、その動き、その目は…… ハニー:2年前に焼死したはずの大怪盗、ブラックリリィに似ていた。 ハニー:ベニト石と、鉛玉の借りを返すために……・、ベアはあの妙な女について、 ハニー:私はベニト石の伝説について調べることにした。  : 0:ハニー、怒りを込めつつ、キュートセクシーに  : ハニー:やられっぱなしは気に入らない。あの女には、たっぷりお礼してやらないとねっ!  :  :【ロサンゼルス市内 某地下】  : 0:ハニーは銀行に潜入するための工作中、ベアとベニト石の伝説について話している 0:ハニーは地下で作業をしながら、ベアはパソコンの前で聞いている雰囲気です ベア:イタズラの準備はどうだ?ハニー? ハニー:上々よ。マーシャル警部はまたカンカンになるでしょうね。 ベア:そいつはいい。……で?石っころの話の続きだけどよ? ベア:つまりあのベニト石(ベニトいし)は、 ベア:この近くのサンベニトで初めて見つかった……ってことか。 ハニー:そ。日本でも見つかってるそうだけど、世界最大のものはサンベニトのものだけ。 ハニー:採掘されるのもこのあたり一帯のみ……と言っても、過言じゃないわ。 ベア:んで?その石ころの、どこがセクシーなんだよ。 ハニー:……ねえ、ベア、聖書に出てくる天使の堕天(だてん)は信じる? ベア:ああ?なんだ?藪(やぶ)から棒に。 ベア:世界一のベストセラーが、なんの関係あんだよ? ハニー:聖書は時代とともに、形を変えてきたわ。 ハニー:それは、あなたの知ってる聖書だけじゃなくて、いろいろな宗派でも同じね。 ハニー:現存(げんぞん)する最古の聖書は…… ベア:死海写本(しかいしゃほん)、だろ?エアンゲリオンに出てくる。 ベア:……んなこと世界中のオタクが知ってるぜ。 ハニー:(ため息)……エア……?……まあ、いいわ。 ハニー:ともかく、聖書には古代に起きた……、 ハニー:本当にあった事実が含まれている……という話があるの。 ハニー:そして、興味深いのは天使が堕天(だてん)して……、地に落ちたという話。 ベア:ああ、カードゲームでおなじみのやつだな……。 ハニー:……けれど、実は隕石の落下がその話の元になっているのではないか、という説があるのよ。 ベア:ほお……。 ハニー:で、アメリカもその例外ではないというわけ。 ベア:……おい、ちょっと待てよ。アメリカ大陸が発見されたのは、早くて11世紀ごろだぞ? ベア:死海写本が生まれたのは紀元前で、新訳聖書にしても2〜3世紀だ。 ベア:なんで、アメリカに天使が墜ちた……なんて、話が出てくるんだよ? ハニー:アメリカ大陸に……具体的に、天使が堕天(だてん)した、という話はないわね。 ハニー:だって、そのころは……地図どころか、地球を中心に宇宙が回っていたと思われていた時代よ。 ベア:……だろうな。 ベア:……地動説をコペルニクスが唱えたのは、16世紀のことだ。 ベア:それ以前に、その時代のアメリカ大陸には……、 ベア:天国のスーパースターをあがめるような宗教自体、なかったはずだ。 ベア:堕天(だてん)なんて話……、出るはずがねえ。 ハニー:けれど……、このあたりのインディアンの壁画(へきが)には、 ハニー:大きな火の玉が降り注ぐ絵がいくつもあるの。 ベア:実際に、隕石が降った……ってことか? ハニー:そ。隕石は大きなものほど、落下した場所の地質(ちしつ)に…… ハニー:大きな影響を与えることがわかっているわ。 ベア:そういえば、聖書に出てくるソドムとゴモラも、 ベア:消失したのは……、隕石が原因という学説(がくせつ)があったな。 ハニー:その通り。そして、そのソドムとゴモラが在ったとされる場所は…… ベア:死海近く……か。 ハニー:ビンゴ! ハニー:死海や、その近辺の地質は今もなお、科学的に未知な部分が多いの。 ベア:そういえば……、ベニト石の見つかったディアブロ山脈のあたりも……、 ベア:科学的にありえねえ地質だって、……サイエンス誌に載ったことがあったか……。 ベア:他にも……あのあたりは世界で唯一の地底火山があったり、 ベア:対策してるにもかかわらず定期的に山火事が起きてる……。 ベア:……考えてみれば、妙な話だ。 ハニー:サえてきたわね。くまちゃん。 ベア:だがよ……、なんでディアブロ山脈なんだ? ベア:地球にゃ、……隕石が落ちた場所なんて珍しかねえだろ? ハニー:聖書の一説によれば……、最も有名な堕天使は『暁の星』。 ハニー:青い光に包まれて地に落ち、消えたと言われているわ。 ハニー:……ベニト石は紫外線を当てると青く光る。……言ったの覚えてる? ベア:その堕天使の元になった隕石が……、ベニト石だった……ってことか? ハニー:さあね? ハニー:けれど……、ディアブロ山脈の近くでのみ、採掘されるベニト石。 ハニー:そして、そのベニト石は……聖書の堕天使と同じ色でかがやく。 ベア:おまけに……その堕天使ってのは、隕石を元にした逸話(いつわ)。 ベア:そして、隕石が落ちた場所に共通するおかしな地形が、ディアブロ山脈にもある……か。 ベア:ペーパーバックのネタとしちゃ……面白かったぜ。 ベア:本にして売れば、熱心な信者たちが配り歩くかもしれねえ。 ベア:だが……、らしくねえな。 ベア:それだけじゃ、セクシーとは言えねえんじゃねえか? ハニー:あら、せっかちな男は嫌われるわよ? ハニー:ベニト石とディアブロ山脈に関するセクシーないわれは、それだけじゃないわ。 ベア:……まだ、あんのかよ……。 ハニー:聖杯伝説は、知ってる? ベア:ああ……、なんでも願いをかなえてくれるってアレだろ。 ハニー:フフ……、それは映画の中での話ね。 ハニー:伝説によれば……聖杯は飲んだ人間の、傷や病をたちどころに癒し、不老不死を授ける。 ハニー:……全ての女性のロマンね。 ベア:へー、そうかい。是非とも、このモンキーエナジーを注いで…… 0:飲む演技 ベア:飲んでみたいもんだな。 ハニー:(軽く笑って)……また飲んでるの?好きね。 ベア:カフェインなしでこんな話、できるかよ。 ハニー:あらそう?じゃあ……その聖杯が、この近くにあるかもしれないって言ったら? ベア:はっ!……正気を疑うな。 ハニー:フフッ、それがそうでもないの。 ハニー:聖杯を隠したといわれる、テンプル騎士団はスコットランドから大西洋へ…… ハニー:西に謎の航海をしたと言われているわ。 ベア:それだけなら、アメリカとは限らね…… 0:気がついたように、パソコンに向かう ベア:いや、……聖杯が隠されたのは……、13世紀から14世紀。 ベア:そのころの船舶技術(せんぱくぎじゅつ)から、シミュレートして……、 ベア:テンプル騎士団が西に向かったんだとしたら……、そこには…… ベア:アメリカ大陸。 ハニー:そ。そして、その頃のアメリカ大陸は欧州圏(おうしゅうけん)が、 ハニー:こぞって開拓(かいたく)をしていた未開の地。 ベア:なるほどな……、何かを隠す場所にはうってつけだったわけか。 ハニー:ベニト石の見つかる、ディアブロ山脈は…… ハニー:昔から、人体に有害な場所だったわ。 ハニー:しかも、悪魔の風が吹き、火の絶えぬ山として……、 ハニー:古代の原住民からも恐れられていた。 ハニー:……加えて、テンプル騎士団は聖杯の位置に関してこう記している。 ベア:『ヘラクレスの柱の向こうにある』……だろ? ベア:日本のコミックスで、読んだことがある。 ハニー:不思議に思わない? ハニー:唯一神(ゆいいつしん)のはずのあの宗教が、他の神話の神の名を使う……だなんて。 ベア:……そういえば、そうだな……? ベア:普通なら、……名前を出すことも嫌がるはずだ……。 ベア:ヘラクレスは……ギリシャ神話の英雄だったか? ハニー:その通り。彼の12の功業(こうぎょう)については省くけど……、 ハニー:ネメアーの獅子、ヒュドラなどが有名ね。 ベア:ああ、なんかのゲームで見たことがあるな。 ハニー:それらの12の功業(こうぎょう)が……、当時のアメリカ大陸を示すとしたら? ベア:…:…?……どういうことだ? ハニー:テンプル騎士団が、本当にアメリカにたどり着いたとしたら…… ハニー:そのころはアメリカにはまだ、獅子がいたの。 ベア:獅子……。 ベア:……アメリカライオン、ピューマか。 ハニー:そ。……他にも、神話の中でしか聞いたことがないようなモンスターや、 ハニー:数々の光景を彼らは目にしたはずよ。 ベア:まさに、神話の世界だったわけか……。 ベア:確かに、聖杯なんて有名な伝説を隠すにはうってつけだな。 ハニー…:…葉を隠すなら森に……、ね。 ベア:だが、いまだに繋がらねえ。 ベア:何で、ディアブロ山脈に聖杯があるってんだ? ベア:どっか、そこら辺に隠せばいいじゃねえか……。 ハニー:……くまちゃんったら、……カフェインが頭に回ってないのかしら? ハニー:原住民の描いた、堕天使を思わせる火の玉。 ハニー:そして、その原住民は皆、その光が堕ちた大地に……悪魔がすむとウワサする。 ハニー:テンプル騎士団は……どう思ったかしらね? ベア:なるほどな……。 ベア:このディアブロ山脈は、熱心な信者にとっては……、 ベア:堕天使のすみかだったてわけか。 ハニー:それにね、実際に『ヘラクレスの柱』は……神話にも登場するの。 ハニー:彼は旅の途中、近道をするために巨大な山脈を ハニー:2つに砕いた ハニー:……のちの人々は、その二つの山脈を『ヘラクレスの柱』と呼んだ。 ベア:……ふたつの山脈……? ベア:そうか……。ディアブロ山脈の南には、……サンタクルーズ山脈がある! ハニー:テンプル騎士団は、アメリカ大陸を旅する中で…… ハニー:神話の中でしかあり得ない生き物や光景を見てきた。 ハニー:そして、……二つの巨大な山脈を見て、……思ったはずよ。 ベア:『まるでヘラクレスの柱だ』……か。 ハニー:……どう?セクシーだと思わない? ベア:そいつは……、セクシーだな。 ベア:だが、なぜ、……誰も気がつかない? ハニー:ここからは憶測よ? ハニー:ディアブロ山脈については、 ハニー:伝承などのくわしい文献(ぶんけん)が一切残されていないの。 ハニー:それに……あのあたりで吹く、悪魔の風は……、 ハニー:現代でも、定期的に山火事を起こしつづけてる。 ハニー:それなのに……、なぜ、アメリカ合衆国は大規模な対策に乗り出さないのかしら? ベア:……おい、もしかして……。 ベア:アメリカ合衆国の……隠蔽(いんぺい)か!? ハニー:……もしくは、世界全体かもしれないわね? ベア:おいおい!勘弁しろよ!? ベア:そんなもん、一体どうやって盗む!? ベア:そもそも! ベア:そんなもん盗むこと自体、世界を敵に回すようなもんじゃねえか! ハニー:あら、勘違いしないで? ハニー:私が欲しいのは、……世界最大のベニト石の方よ? ハニー:……紫外線を当てたら……どんな風に輝くのかしら? ハニー:しかも、そのベニト石は……伝説のお宝の鍵かもしれない……。 ハニー:……最高にセクシーじゃない? ベア:(ため息)……セクシーどころか、……クレイジーだ。 ハニー:あら、いつも言ってるでしょ? ハニー:盗みはクレイジーなほど…… 0:同時に合わせて ハニー:面白い! ベア:面白い……。   :  :【ロス市警 マーシャル警部のデスク】   : マーシャル:リアーヌ……カウチか……。 マーシャル:リアーヌ、また話すことになるとは……。 マーシャル:最初に出会ったのは……もう3年前……か……。   :  :【3年前 ロス市内 とあるバー】   : 0:マーシャル、ブランデーを味わいながら マーシャル:……ブラックリリー、焦っているな……。 マーシャル:待っていろよ。もう少しで顔を拝んでやる。 0:マーシャルに女性がぶつかり、飲み物がマーシャルにかかる リアーヌ:ああ!ごめんなさい!お洋服が汚れてしまったわ! マーシャル:あ、ああ……、気にしないでくれ。ただの安物だ。 リアーヌ:でも、シミになってしまうわ。クリーニング代ぐらいは出させていただける? マーシャル:気にしないでいい。美しい女性に酒を頂いて、できたシミなら……勲章みたいなもんだ。 リアーヌ:フフッ、面白いかた。それなら、別のお酒、おごらせていただけないかしら?   : 0:しばしの後   : リアーヌ:……あら、それならあなた、刑事さんでしたの? マーシャル:いや……、そんなたいそうなもんじゃない。 マーシャル:小さな事務所に押し込められてるだけの、ただの働きアリですよ。 リアーヌ:(軽く笑って)マーシャルさんったら、本当に面白い方ね。 リアーヌ:刑事さんって……、もっと怖い方だと思っていたわ。 マーシャル:(軽く笑って)……私の上司などはブルドッグのような男ですがね。 マーシャル:……割と気の良い連中ばかりですよ。 マーシャル:……ところで、あなたはなぜこんな場所へ? マーシャル:どうみても……こんな、そやな場所とは、 マーシャル:無縁(むえん)に見えるが? リアーヌ:あら……、やっぱり刑事さんね。 リアーヌ:……こんな場所にいたら……、逮捕されてしまうのかしら? マーシャル:いや、そんなことは……。 マーシャル:ただ、ここは悪い奴らもたまる場所でしてね……。 マーシャル:息抜きがてら、私も目を光らせてるんですよ。 0:リアーヌ見回して リアーヌ:あら……、それは気が付きませんでしたわ……。 マーシャル:ええ、正直に言えば、あなたのような身なりのいいご婦人が……、 マーシャル:来ていいような場所では……ありません。 マーシャル:……理由を伺っても? リアーヌ:(笑って)……職務質問なんて初めてね……。 マーシャル:いえ……、これは決して…… リアーヌ:マーシャルさん、わかっていますわ。 リアーヌ:……ただ、少し……長くて複雑な話になりますの。 リアーヌ:それでも、聞いてくださるかしら? マーシャル:ええ、差し支えなければ……。 リアーヌ:そうね……、少し……息が詰まってしまいましたの。 リアーヌ:わたくし、自慢にもなりませんけれど……、何不自由なく暮らしてきましたわ。 リアーヌ:宝石商の家に生まれて、当たり前に教育を受けて、そのまま家をついで…… リアーヌ:今では、ジュエリーやファッションに囲まれる日々。 リアーヌ:わたくしの周りのものは皆、笑いかけて、頭を下げる。 リアーヌ:けれど、それはわたくしの『オーナー』と言う立場にであって……、わたくしにではない。 リアーヌ:本当のわたくしはまったく別の人間で、その肩書を脱いでしまえば…… リアーヌ:一瞥(いちべつ)もされないつまらない女です。 リアーヌ:そんな、……自分が嫌になって、逃げたくてたまらなくなってしまって……。 リアーヌ:……世間知らずと思われるでしょう? リアーヌ:けれど、家のものからも逃げられるのは……こんな場所くらい……。 マーシャル:そうですか……。しかし、長居はしない方がいい。 マーシャル:おい、お前。今、このご婦人からすった財布を、今すぐこの場にだせ。そうしたら逮捕しないでおいてやる。  : 0:ベア役の方、『チッ』と舌打ちを入れる  : リアーヌ:これは……、わたくしの……。 マーシャル:店に入る前から、目をつけられていたんでしょう。 マーシャル:この場所じゃあ、こんなことは日常茶飯事だ。 マーシャル:あなたのようなご婦人がいて良い場所じゃない。 マーシャル:それに……、あなたが誰であれ……美しいことには変わりない。 リアーヌ:……そんな言葉をかけていただいたのは、初めてだわ……。 リアーヌ:今日は……どうしても帰る気になれなくて、ホテルに泊まっていますの。 リアーヌ:よければ……、ホテルのラウンジで……もう少しお話しできませんこと? マーシャル:シミだらけの私でよければ……あなたの気が晴れるまでお付き合いしましょう。 リアーヌ:(軽く笑って)本当に面白い方……。 リアーヌ:……まだ・・名乗っていませんでしたわね。わたくしはリアーヌ・カウチ。 リアーヌ:……もっと早く、あなたと出逢いたかった。  :  :【ロス市警 マーシャル警部のデスク】  : アレックス:マーシャル警部? マーシャル:……ああ、すまん。どうした? アレックス:念の為、ウェストハリウッド銀行に何名か見張りをつけていますが、今のところ異常なしだそうです。 アレックス:……?どうか、されましたか?顔色、悪いですよ? マーシャル:いや、大したことはない……。ご苦労さん。 アレックス:そうですか……。引き続き、監視カメラの確認に戻りますね。 アレックス:何か異常がありましたら、即報告します。 マーシャル:……ああ、ご苦労さん。 0:マーシャル、つぶやく マーシャル:……リアーヌ、君は……変わってしまったのか? マーシャル:それとも、変わったのは……俺か?  :  :【ロサンゼルス市内 某地下】  : ベア:……んで、そのクレイジーな盗みは……そろそろうまくいきそうか? ベア:Xファイルのネタ話は……もういい加減、飽きたぜ。 ハニー:ええ。あなたの作った、モグラちゃんたちが掘り進めてくれたおかげで……、 ハニー:ラクに銀行の真下にたどり着けたわ。 ハニー:そっちは、警察に怪しまれたりはしてない? ベア:ああ。下水工事なんざ……、ロサンゼルスじゃ日常風景だ。 ベア:書類も全て『合法』。記録上も……異常なし、だ。 ハニー:フフッ、まさかマーシャル警部も、こんな『天才』がいるなんて思ってもみないでしょうね。 ベア:褒めても、何も出ねえぞ? ベア:だが……、ハニー?気を付けろよ? ベア:重量(じゅうりょう)センサーと、監視カメラは……ごまかせても1分が限度だ。 ベア:その上、赤外線のセンサーは、 ベア:クモ一匹も通さねえぐらい……張り巡らされてる。 ハニー:……そのために、くまちゃんは……ラボにこもってたんでしょ? ベア:ああ。俺の作った地上型鏡面集積(ちじょうがたきょうめんしゅうせき)ドローンが、 ベア:プログラム通りに動けば……、いくつかは無効化できる。 ベア:だが、それでも抜けるのは至難の技。 ベア:ドローンをけっとばそうもんなら……、その時点でアウトだ。 ハニー:しかも、金庫に入れば通信はできない……。 ハニー:わかってる。 ハニー:そのために……シミュレーションもしたじゃない? 0:ベア、食い気味に ベア:間違っても!踏んだりすんなよ!?一個もなくすなよ!? ベア:それ一粒でも、ツーブロック先のハリウッドスターどもが、青ざめるような金額すんだからな!? ベア:お前が金庫から出た時点で……、全てボックスに帰るようにプログラムはしているが……、 ベア:とっとと……仕事終わらせて、確認してから出ろ。いいな? ハニー:(つぶやく)……ほんと、ガジェットのことになるとうるさいわね……。 ベア:ああ!? ハニー:ハイハイ、おしゃべりクマちゃん。 ハニー:わかったから、話を続けて。 ベア:……ったくよ……。もう一度確認だ。 ベア:銀行前の大通りに……、 ベア:人が多くなった時を見計らって、俺が水道管を破裂させる。 ハニー:それと同時に……、私はワイヤーボムで……床をボンッ! ハニー:床にエントランスができたら、ここでカウントスタートね。 ハニー:あなたが作ったビー玉を…… ベア:地上型鏡面集積(ちじょうがたきょうめんしゅうせき)ドローンだ!! ハニー:……どっちでもいいでしょ! ハニー:ともかく、あなたのなんとかドローンが、 ハニー:赤外線センサーに穴を開けてくれたら、私が侵入する。 ハニー:あなたの作ったメガネで……赤外線センサーを避けて、 ハニー:ターゲットの金庫にゴール! ベア:ああ、そしたら、俺特製のVIPカードで金庫を開き……、 ハニー:中身と一緒に、あなたのベイビーたちを連れて帰る。 ハニー:……これでいい? ベア:ああ、くれぐれも1分以内に、だ。 ベア:前回みたいなことは、なしにしてくれよ。 ハニー:安心して。今回はマーシャル警部も、変なFBIも来てないから。 ベア:ああ、それと、聞くまでもねえことだが、俺様特製のスマートグラスはつけてるな? ベア:『アイテムは持ってるだけじゃ意味がないぞ』!ってな。笑 ハニー:ええ、もちろん。さっきから、あなたのメガネで通信してるじゃない。 ハニー:でも、金庫内はオフラインなんでしょ?本当にこれ、大丈夫? 0:ゲームネタがわかってもらえないことにため息 ベア:……。 ハニー:くまちゃん?ちょっと……、大丈夫なの? ベア:……ああ、大丈夫だ。オフラインでも機能するように、 ベア:内蔵システムにナビシステムと拡張現実機能をプログラムしてある。 ハニー:ふうん?よくわからないけど、大丈夫なら問題ないわ。 ベア:それにしても……気に食わねえな。 ベア:その金庫の主(あるじ)、カウチ家ってのは何者なんだ? ベア:……警備、断ったんだろ? ベア:マーシャルの旦那……、怒って、電話ぶっ壊してたぜ? ハニー:……さあね。 ハニー:金庫破りなんて、お金持ちのお嬢様には……想像できないんじゃない? ベア:リアーヌ・カウチ。例のベニト石の……、発見者の娘だったか? ハニー:ええ。今は宝石店からファッションまで……多くのビジネスを成功させている実業家。 ハニー:でも、2年前から……ずっと両親の喪に服してるわ。変わり者よね。 ベア:監視カメラの映像じゃ、真っ黒なベールかぶって……幽霊みてえだったぜ……。 ベア:……薄気味悪い(うすきみわりい)……。 ハニー:あら?くまちゃん、幽霊なんて怖いの? ベア:ああ、苦手だよ。大方(おおかた)、合成だがな。 ベア:だが、あんな趣味の悪いもんを作る人間の気が知れねえよ。 ハニー:……。 ベア:どうした? ハニー:別に……。イヤなヤツを思い出しただけ……。 ハニー:……時計を合わせて。 ハニー:そろそろ、団体の観光客が正面を通るわ!準備はいい? ベア:おう。 ハニー:1、2、3、GO!  :  :【ロス市警 マーシャル警部のデスク】  : 0:アレックス駆け込んでくる、マーシャル我に返る アレックス:マーシャル警部! アレックス:ウェストハリウッド銀行前で……水道管が破裂しました! マーシャル:……もしや……ハニーベアか!? アレックス:確認したところ、ウェストハリウッド銀行には アレックス:カウチ家の保有金庫があるそうです! アレックス:恐らくは…… マーシャル:くそ!アレックス、行くぞ!! アレックス:はい!!   :  :【ウェストハリウッド銀行 金庫内】   : 0:床に綺麗な四角い穴が空き、ハニーは赤外線センサーを確認して、 ハニー:……本当に赤外線だらけね。 ハニー:オーケー。ベイビーちゃんたち、よろしく! 0:ハニーがボックスを開くと、ドローンが転がり、赤外線センサーを反射し、無効化する ハニー:……クールね。やっぱりベアは天才だわ。 ハニー:オープンセサミなんて言わなくても、魔法の扉を開いてくれる。 ハニー:次はアタシの番ね。 0:ここはナレーションで ハニーN:0・5秒で床に上がって、そのまま前転。 ハニーN:足は2センチ、床上(ゆかうえ)で維持。.3秒で、体を右へ9度回転。 ハニーN:その位置から横に5センチ、体をずらしたら、立ち上がって、 ハニーN:そのまま、1秒の間に一回側転し、体を左にひねる。 0:ハニー、静かに息を吐きだす。 ハニー:……。 ハニー:(つぶやく)オーケー。ここからね。 ハニーN:前に飛び込んだら、そのまま前転。その勢いで、体を1.2秒スライド。 ハニーN:止まったら、その場で、バク転して目の前のセンサーをくぐる。 ハニーN:そして、ブレないように三回、前転飛び!  : ハニー:ヒュー!やったわよ!優勝のぬいぐるみはいただ…… 0:ハニー被せ気味に慌てて、 ハニー:あっ!しまった・・!!   0:ハニー、聞き手がドキッとするように、少し沈黙してください   ハニー:……っと……。 ハニー:(ため息)……危ない……。メガネ、落とすところだった……。 ハニー:帰ったら、ベアにもっとしっかり固定できるように言わないとね? ハニー:……OK。金庫ナンバー322。 ハニー:……カウチ家の秘密、拝見(はいけん)させてもらうわよ? ハニー:……これは!?  :  :【ウェストハリウッド銀行正面】  : アレックス:……マーシャル警部、どういうことでしょうか? アレックス:あれだけの騒ぎが起きていながら、 アレックス:銀行にはなんの被害もなかったなんて……。 マーシャル:……わからん。 アレックス:ですが、それでは……あの予告状は……? マーシャル:苛立つように マーシャル:……それもわからん。 マーシャル:ハニーベアは予告状を違えたことがない。 マーシャル:それに……、あの銀行員の様子は……? マーシャル:アレックス、水道局からの報告はどうだった? アレックス:はい!そちらも異常はなく、予定外の工事やおかしな工作などの形跡もありませんでした。 マーシャル:それは確かか? アレックス:はい。データベースなども洗いましたが…… アレックス:クラッカー(悪質なハッカー)による侵入などもなかったようです。 マーシャル:……。 アレックス:どういたしますか? マーシャル:どうもこうもない。被害はなかったんだ。 マーシャル:あとは所轄(しょかつ)と消防に任せる。 マーシャル:俺たちは……おっと……。 0:女性がぶつかる 0:リアーヌではない声で リアーヌ:あら、ごめんなさい。 マーシャル:いや……、気にしないでくれ……。 0:知らないはずの女を目で追いかけるマーシャル。 マーシャル:……? アレックス:どうしました? マーシャル:……いや、気のせいだ。 マーシャル:アレックス、車に乗れ。 アレックス:承知しました。  : マーシャル:……一体、何が起きている?  :  :  :【続く】

0:【あらすじ】  :実在するロサンゼルスを舞台に、派手な盗みを繰り返す「怪盗Honey&Bear」。  :それを追うロス市警強盗殺人課のマーシャルとアレックスの元に、  :ある日、彼らからの予告状が届く。  :『2月28日 午前0時 ロサンゼルス自然史博物館、  :ベニト石を頂きに参る。Honey&Bear』  :その予告状から、彼らが思いもしなかった事件が始まるのであった・・・。  :  0:【シナリオ約束事項】  :性別変更→×  :アレンジ→○(話が壊れない程度、他のキャストに迷惑がかからないなら)  :人数変更→○(兼任など)  :改変→×  :初心者→○  :※シナリオに書かれていない、指を鳴らす、吐息、笑いなどシナリオ外の役を深める、  :セリフ外の演技は大歓迎です。ただし、こちらでもお話が壊れない程度でお願いします。  :※年齢、雰囲気キーワードはあくまで目安です。参考程度に捉えてください。  :  0:登場人物  :  ハニー: ハニー:性別・♀ ハニー:怪盗ハニーベアのプランの立案、盗みを担当。 ハニー:セクシーでキュートな見た目に反して体術などを得意としており、 ハニー:ベアとは『盗みはクレイジーなほど面白い』を信条に怪盗劇を続ける。 ハニー:いつでも陽気で、スリルを楽しむ大胆な女性。美しいもの、 ハニー:かわいいものが好きな一面がある。 ハニー:年齢・19〜28(13くらいのロリや、3のセクシーなお姉様でもよし) ハニー:雰囲気キーワードセクシー、キュート、小悪魔、アクティブ ハニー:口癖・セクシー   : ベア ベア:性別・♂ ベア:怪盗ハニーベアのハッキング、電気、機械系統、ドライバーをこなすオタクハッカー。 ベア:とある政府のハッカーとして軟禁されていたところをハニーに『盗み』出される。 ベア:本人は今の暮らしを気に入っており、ハニーは相棒としか見てないものの、 ベア:盗み出された時にハニーを、『自分の守護天使』と思っている。 ベア:年齢・19〜32(ハニーの立ち回りによっては、お兄さん、ショタもあり) ベア:雰囲気キーワード・オタク、情に厚い、厨二っぽいワル ベア:好きなもの・ネット、発明、エナジードリンク、ゲーム、アニメ   : マーシャル: マーシャル:性別・♂ マーシャル:ロス市警警部/強盗殺人課 『ハニーベア』事件の担当。 マーシャル:古風な警察官だが、勘が鋭い。 マーシャル:過去にリアーヌ・カウチという女性と交際しており、 マーシャル:その正体に気付きながらも今も忘れないでいる。 マーシャル:年齢・35〜 マーシャル:雰囲気キーワード・渋い、古風、熱血漢 マーシャル:好きなもの・タバコ、酒、コーヒー、つば広の中折れ帽子   : アレックス: アレックス:性別・♂♀どちらでも アレックス:ロス市警警部補/強盗殺人課『ハニーベア』事件担当。ほぼ、マーシャルの秘書。 アレックス:主に、情報整理、収集を得意としており、社内ではエリート。 アレックス:だが、マーシャルに憧れ、強盗殺人課への配属を希望した。 アレックス:年齢・20〜50 アレックス:雰囲気・秘書、冷静、真面目、マーシャルを尊敬している アレックス:好きなもの・スーツ、仕事道具、コーヒー アレックス:※銀行員の兼ね役が最初にあります   : リアーヌ: リアーヌ:性別・♀ リアーヌ:ベニト石発見者の家、カウチ家の娘。 リアーヌ:宝石商をしながら様々なファッションブランドのオーナーも務めている。 リアーヌ:表向きは強気な女性実業家を演じているが、実は気が弱く、自分を退屈で、 リアーヌ:つまらなくて退屈な女と自嘲している。 リアーヌ:何か秘密があるようだが……? リアーヌ:年齢35〜40 リアーヌ:雰囲気キーワード・優雅、大人な女性、コンプレックスをもつ、影がある リアーヌ:雰囲気キーワード(銀行シーン)・妖艶   : 0:以下、本編が始まります。   :  :【ウェストハリウッド銀行 金庫内】   : アレックス:(銀行員の声で) アレックス:これはこれは……、リアーヌ・カウチ様……。 アレックス:本日はようこそ……当銀行(とうぎんこう)へ、おいでくださいました。 アレックス:今回は、どう言ったご用件で? リアーヌ:あら、そんなにかしこまらないで? リアーヌ:……少し頼みたいことがあるのだけれど…… リアーヌ:このお金で足りるかしら……?   : 0:マーシャル、タイトルコールしてください   : マーシャル:Honey&Bear マーシャル:第二話『聖杯にマティーニを』  : 0:ハニー、ナレーションと、前回のセリフで海外ドラマっぽく演じてください。 ハニー:前回までのハニー&ベア。 マーシャル:『2/28 午前時 ロサンゼルス自然史博物館、ベニト石を頂きに参る。ハニーベア』か……。 ハニー:私達は、ロサンゼルス自然史博物館の、ベニト石を頂きに行くはずだった。 ベア:ったく、気軽にいってくれるぜ……。うちのお姫様は……よっと。 ハニー:けれど……、ロサンゼルス自然史博物館で私たちを待っていたのは……。 リアーヌ:ベニト石もお前達が盗むのよ! ハニー:FBIを名乗る、妙な女に鉛玉を頂いたあげく…… ハニー:ベニト石は盗まれ、……その罪は私たちに被せられてしまった。 ベア:ブラックリリィだとぉ?あの大怪盗か? ハニー:その女は顔が全く違うのに、その動き、その目は…… ハニー:2年前に焼死したはずの大怪盗、ブラックリリィに似ていた。 ハニー:ベニト石と、鉛玉の借りを返すために……・、ベアはあの妙な女について、 ハニー:私はベニト石の伝説について調べることにした。  : 0:ハニー、怒りを込めつつ、キュートセクシーに  : ハニー:やられっぱなしは気に入らない。あの女には、たっぷりお礼してやらないとねっ!  :  :【ロサンゼルス市内 某地下】  : 0:ハニーは銀行に潜入するための工作中、ベアとベニト石の伝説について話している 0:ハニーは地下で作業をしながら、ベアはパソコンの前で聞いている雰囲気です ベア:イタズラの準備はどうだ?ハニー? ハニー:上々よ。マーシャル警部はまたカンカンになるでしょうね。 ベア:そいつはいい。……で?石っころの話の続きだけどよ? ベア:つまりあのベニト石(ベニトいし)は、 ベア:この近くのサンベニトで初めて見つかった……ってことか。 ハニー:そ。日本でも見つかってるそうだけど、世界最大のものはサンベニトのものだけ。 ハニー:採掘されるのもこのあたり一帯のみ……と言っても、過言じゃないわ。 ベア:んで?その石ころの、どこがセクシーなんだよ。 ハニー:……ねえ、ベア、聖書に出てくる天使の堕天(だてん)は信じる? ベア:ああ?なんだ?藪(やぶ)から棒に。 ベア:世界一のベストセラーが、なんの関係あんだよ? ハニー:聖書は時代とともに、形を変えてきたわ。 ハニー:それは、あなたの知ってる聖書だけじゃなくて、いろいろな宗派でも同じね。 ハニー:現存(げんぞん)する最古の聖書は…… ベア:死海写本(しかいしゃほん)、だろ?エアンゲリオンに出てくる。 ベア:……んなこと世界中のオタクが知ってるぜ。 ハニー:(ため息)……エア……?……まあ、いいわ。 ハニー:ともかく、聖書には古代に起きた……、 ハニー:本当にあった事実が含まれている……という話があるの。 ハニー:そして、興味深いのは天使が堕天(だてん)して……、地に落ちたという話。 ベア:ああ、カードゲームでおなじみのやつだな……。 ハニー:……けれど、実は隕石の落下がその話の元になっているのではないか、という説があるのよ。 ベア:ほお……。 ハニー:で、アメリカもその例外ではないというわけ。 ベア:……おい、ちょっと待てよ。アメリカ大陸が発見されたのは、早くて11世紀ごろだぞ? ベア:死海写本が生まれたのは紀元前で、新訳聖書にしても2〜3世紀だ。 ベア:なんで、アメリカに天使が墜ちた……なんて、話が出てくるんだよ? ハニー:アメリカ大陸に……具体的に、天使が堕天(だてん)した、という話はないわね。 ハニー:だって、そのころは……地図どころか、地球を中心に宇宙が回っていたと思われていた時代よ。 ベア:……だろうな。 ベア:……地動説をコペルニクスが唱えたのは、16世紀のことだ。 ベア:それ以前に、その時代のアメリカ大陸には……、 ベア:天国のスーパースターをあがめるような宗教自体、なかったはずだ。 ベア:堕天(だてん)なんて話……、出るはずがねえ。 ハニー:けれど……、このあたりのインディアンの壁画(へきが)には、 ハニー:大きな火の玉が降り注ぐ絵がいくつもあるの。 ベア:実際に、隕石が降った……ってことか? ハニー:そ。隕石は大きなものほど、落下した場所の地質(ちしつ)に…… ハニー:大きな影響を与えることがわかっているわ。 ベア:そういえば、聖書に出てくるソドムとゴモラも、 ベア:消失したのは……、隕石が原因という学説(がくせつ)があったな。 ハニー:その通り。そして、そのソドムとゴモラが在ったとされる場所は…… ベア:死海近く……か。 ハニー:ビンゴ! ハニー:死海や、その近辺の地質は今もなお、科学的に未知な部分が多いの。 ベア:そういえば……、ベニト石の見つかったディアブロ山脈のあたりも……、 ベア:科学的にありえねえ地質だって、……サイエンス誌に載ったことがあったか……。 ベア:他にも……あのあたりは世界で唯一の地底火山があったり、 ベア:対策してるにもかかわらず定期的に山火事が起きてる……。 ベア:……考えてみれば、妙な話だ。 ハニー:サえてきたわね。くまちゃん。 ベア:だがよ……、なんでディアブロ山脈なんだ? ベア:地球にゃ、……隕石が落ちた場所なんて珍しかねえだろ? ハニー:聖書の一説によれば……、最も有名な堕天使は『暁の星』。 ハニー:青い光に包まれて地に落ち、消えたと言われているわ。 ハニー:……ベニト石は紫外線を当てると青く光る。……言ったの覚えてる? ベア:その堕天使の元になった隕石が……、ベニト石だった……ってことか? ハニー:さあね? ハニー:けれど……、ディアブロ山脈の近くでのみ、採掘されるベニト石。 ハニー:そして、そのベニト石は……聖書の堕天使と同じ色でかがやく。 ベア:おまけに……その堕天使ってのは、隕石を元にした逸話(いつわ)。 ベア:そして、隕石が落ちた場所に共通するおかしな地形が、ディアブロ山脈にもある……か。 ベア:ペーパーバックのネタとしちゃ……面白かったぜ。 ベア:本にして売れば、熱心な信者たちが配り歩くかもしれねえ。 ベア:だが……、らしくねえな。 ベア:それだけじゃ、セクシーとは言えねえんじゃねえか? ハニー:あら、せっかちな男は嫌われるわよ? ハニー:ベニト石とディアブロ山脈に関するセクシーないわれは、それだけじゃないわ。 ベア:……まだ、あんのかよ……。 ハニー:聖杯伝説は、知ってる? ベア:ああ……、なんでも願いをかなえてくれるってアレだろ。 ハニー:フフ……、それは映画の中での話ね。 ハニー:伝説によれば……聖杯は飲んだ人間の、傷や病をたちどころに癒し、不老不死を授ける。 ハニー:……全ての女性のロマンね。 ベア:へー、そうかい。是非とも、このモンキーエナジーを注いで…… 0:飲む演技 ベア:飲んでみたいもんだな。 ハニー:(軽く笑って)……また飲んでるの?好きね。 ベア:カフェインなしでこんな話、できるかよ。 ハニー:あらそう?じゃあ……その聖杯が、この近くにあるかもしれないって言ったら? ベア:はっ!……正気を疑うな。 ハニー:フフッ、それがそうでもないの。 ハニー:聖杯を隠したといわれる、テンプル騎士団はスコットランドから大西洋へ…… ハニー:西に謎の航海をしたと言われているわ。 ベア:それだけなら、アメリカとは限らね…… 0:気がついたように、パソコンに向かう ベア:いや、……聖杯が隠されたのは……、13世紀から14世紀。 ベア:そのころの船舶技術(せんぱくぎじゅつ)から、シミュレートして……、 ベア:テンプル騎士団が西に向かったんだとしたら……、そこには…… ベア:アメリカ大陸。 ハニー:そ。そして、その頃のアメリカ大陸は欧州圏(おうしゅうけん)が、 ハニー:こぞって開拓(かいたく)をしていた未開の地。 ベア:なるほどな……、何かを隠す場所にはうってつけだったわけか。 ハニー:ベニト石の見つかる、ディアブロ山脈は…… ハニー:昔から、人体に有害な場所だったわ。 ハニー:しかも、悪魔の風が吹き、火の絶えぬ山として……、 ハニー:古代の原住民からも恐れられていた。 ハニー:……加えて、テンプル騎士団は聖杯の位置に関してこう記している。 ベア:『ヘラクレスの柱の向こうにある』……だろ? ベア:日本のコミックスで、読んだことがある。 ハニー:不思議に思わない? ハニー:唯一神(ゆいいつしん)のはずのあの宗教が、他の神話の神の名を使う……だなんて。 ベア:……そういえば、そうだな……? ベア:普通なら、……名前を出すことも嫌がるはずだ……。 ベア:ヘラクレスは……ギリシャ神話の英雄だったか? ハニー:その通り。彼の12の功業(こうぎょう)については省くけど……、 ハニー:ネメアーの獅子、ヒュドラなどが有名ね。 ベア:ああ、なんかのゲームで見たことがあるな。 ハニー:それらの12の功業(こうぎょう)が……、当時のアメリカ大陸を示すとしたら? ベア:…:…?……どういうことだ? ハニー:テンプル騎士団が、本当にアメリカにたどり着いたとしたら…… ハニー:そのころはアメリカにはまだ、獅子がいたの。 ベア:獅子……。 ベア:……アメリカライオン、ピューマか。 ハニー:そ。……他にも、神話の中でしか聞いたことがないようなモンスターや、 ハニー:数々の光景を彼らは目にしたはずよ。 ベア:まさに、神話の世界だったわけか……。 ベア:確かに、聖杯なんて有名な伝説を隠すにはうってつけだな。 ハニー…:…葉を隠すなら森に……、ね。 ベア:だが、いまだに繋がらねえ。 ベア:何で、ディアブロ山脈に聖杯があるってんだ? ベア:どっか、そこら辺に隠せばいいじゃねえか……。 ハニー:……くまちゃんったら、……カフェインが頭に回ってないのかしら? ハニー:原住民の描いた、堕天使を思わせる火の玉。 ハニー:そして、その原住民は皆、その光が堕ちた大地に……悪魔がすむとウワサする。 ハニー:テンプル騎士団は……どう思ったかしらね? ベア:なるほどな……。 ベア:このディアブロ山脈は、熱心な信者にとっては……、 ベア:堕天使のすみかだったてわけか。 ハニー:それにね、実際に『ヘラクレスの柱』は……神話にも登場するの。 ハニー:彼は旅の途中、近道をするために巨大な山脈を ハニー:2つに砕いた ハニー:……のちの人々は、その二つの山脈を『ヘラクレスの柱』と呼んだ。 ベア:……ふたつの山脈……? ベア:そうか……。ディアブロ山脈の南には、……サンタクルーズ山脈がある! ハニー:テンプル騎士団は、アメリカ大陸を旅する中で…… ハニー:神話の中でしかあり得ない生き物や光景を見てきた。 ハニー:そして、……二つの巨大な山脈を見て、……思ったはずよ。 ベア:『まるでヘラクレスの柱だ』……か。 ハニー:……どう?セクシーだと思わない? ベア:そいつは……、セクシーだな。 ベア:だが、なぜ、……誰も気がつかない? ハニー:ここからは憶測よ? ハニー:ディアブロ山脈については、 ハニー:伝承などのくわしい文献(ぶんけん)が一切残されていないの。 ハニー:それに……あのあたりで吹く、悪魔の風は……、 ハニー:現代でも、定期的に山火事を起こしつづけてる。 ハニー:それなのに……、なぜ、アメリカ合衆国は大規模な対策に乗り出さないのかしら? ベア:……おい、もしかして……。 ベア:アメリカ合衆国の……隠蔽(いんぺい)か!? ハニー:……もしくは、世界全体かもしれないわね? ベア:おいおい!勘弁しろよ!? ベア:そんなもん、一体どうやって盗む!? ベア:そもそも! ベア:そんなもん盗むこと自体、世界を敵に回すようなもんじゃねえか! ハニー:あら、勘違いしないで? ハニー:私が欲しいのは、……世界最大のベニト石の方よ? ハニー:……紫外線を当てたら……どんな風に輝くのかしら? ハニー:しかも、そのベニト石は……伝説のお宝の鍵かもしれない……。 ハニー:……最高にセクシーじゃない? ベア:(ため息)……セクシーどころか、……クレイジーだ。 ハニー:あら、いつも言ってるでしょ? ハニー:盗みはクレイジーなほど…… 0:同時に合わせて ハニー:面白い! ベア:面白い……。   :  :【ロス市警 マーシャル警部のデスク】   : マーシャル:リアーヌ……カウチか……。 マーシャル:リアーヌ、また話すことになるとは……。 マーシャル:最初に出会ったのは……もう3年前……か……。   :  :【3年前 ロス市内 とあるバー】   : 0:マーシャル、ブランデーを味わいながら マーシャル:……ブラックリリー、焦っているな……。 マーシャル:待っていろよ。もう少しで顔を拝んでやる。 0:マーシャルに女性がぶつかり、飲み物がマーシャルにかかる リアーヌ:ああ!ごめんなさい!お洋服が汚れてしまったわ! マーシャル:あ、ああ……、気にしないでくれ。ただの安物だ。 リアーヌ:でも、シミになってしまうわ。クリーニング代ぐらいは出させていただける? マーシャル:気にしないでいい。美しい女性に酒を頂いて、できたシミなら……勲章みたいなもんだ。 リアーヌ:フフッ、面白いかた。それなら、別のお酒、おごらせていただけないかしら?   : 0:しばしの後   : リアーヌ:……あら、それならあなた、刑事さんでしたの? マーシャル:いや……、そんなたいそうなもんじゃない。 マーシャル:小さな事務所に押し込められてるだけの、ただの働きアリですよ。 リアーヌ:(軽く笑って)マーシャルさんったら、本当に面白い方ね。 リアーヌ:刑事さんって……、もっと怖い方だと思っていたわ。 マーシャル:(軽く笑って)……私の上司などはブルドッグのような男ですがね。 マーシャル:……割と気の良い連中ばかりですよ。 マーシャル:……ところで、あなたはなぜこんな場所へ? マーシャル:どうみても……こんな、そやな場所とは、 マーシャル:無縁(むえん)に見えるが? リアーヌ:あら……、やっぱり刑事さんね。 リアーヌ:……こんな場所にいたら……、逮捕されてしまうのかしら? マーシャル:いや、そんなことは……。 マーシャル:ただ、ここは悪い奴らもたまる場所でしてね……。 マーシャル:息抜きがてら、私も目を光らせてるんですよ。 0:リアーヌ見回して リアーヌ:あら……、それは気が付きませんでしたわ……。 マーシャル:ええ、正直に言えば、あなたのような身なりのいいご婦人が……、 マーシャル:来ていいような場所では……ありません。 マーシャル:……理由を伺っても? リアーヌ:(笑って)……職務質問なんて初めてね……。 マーシャル:いえ……、これは決して…… リアーヌ:マーシャルさん、わかっていますわ。 リアーヌ:……ただ、少し……長くて複雑な話になりますの。 リアーヌ:それでも、聞いてくださるかしら? マーシャル:ええ、差し支えなければ……。 リアーヌ:そうね……、少し……息が詰まってしまいましたの。 リアーヌ:わたくし、自慢にもなりませんけれど……、何不自由なく暮らしてきましたわ。 リアーヌ:宝石商の家に生まれて、当たり前に教育を受けて、そのまま家をついで…… リアーヌ:今では、ジュエリーやファッションに囲まれる日々。 リアーヌ:わたくしの周りのものは皆、笑いかけて、頭を下げる。 リアーヌ:けれど、それはわたくしの『オーナー』と言う立場にであって……、わたくしにではない。 リアーヌ:本当のわたくしはまったく別の人間で、その肩書を脱いでしまえば…… リアーヌ:一瞥(いちべつ)もされないつまらない女です。 リアーヌ:そんな、……自分が嫌になって、逃げたくてたまらなくなってしまって……。 リアーヌ:……世間知らずと思われるでしょう? リアーヌ:けれど、家のものからも逃げられるのは……こんな場所くらい……。 マーシャル:そうですか……。しかし、長居はしない方がいい。 マーシャル:おい、お前。今、このご婦人からすった財布を、今すぐこの場にだせ。そうしたら逮捕しないでおいてやる。  : 0:ベア役の方、『チッ』と舌打ちを入れる  : リアーヌ:これは……、わたくしの……。 マーシャル:店に入る前から、目をつけられていたんでしょう。 マーシャル:この場所じゃあ、こんなことは日常茶飯事だ。 マーシャル:あなたのようなご婦人がいて良い場所じゃない。 マーシャル:それに……、あなたが誰であれ……美しいことには変わりない。 リアーヌ:……そんな言葉をかけていただいたのは、初めてだわ……。 リアーヌ:今日は……どうしても帰る気になれなくて、ホテルに泊まっていますの。 リアーヌ:よければ……、ホテルのラウンジで……もう少しお話しできませんこと? マーシャル:シミだらけの私でよければ……あなたの気が晴れるまでお付き合いしましょう。 リアーヌ:(軽く笑って)本当に面白い方……。 リアーヌ:……まだ・・名乗っていませんでしたわね。わたくしはリアーヌ・カウチ。 リアーヌ:……もっと早く、あなたと出逢いたかった。  :  :【ロス市警 マーシャル警部のデスク】  : アレックス:マーシャル警部? マーシャル:……ああ、すまん。どうした? アレックス:念の為、ウェストハリウッド銀行に何名か見張りをつけていますが、今のところ異常なしだそうです。 アレックス:……?どうか、されましたか?顔色、悪いですよ? マーシャル:いや、大したことはない……。ご苦労さん。 アレックス:そうですか……。引き続き、監視カメラの確認に戻りますね。 アレックス:何か異常がありましたら、即報告します。 マーシャル:……ああ、ご苦労さん。 0:マーシャル、つぶやく マーシャル:……リアーヌ、君は……変わってしまったのか? マーシャル:それとも、変わったのは……俺か?  :  :【ロサンゼルス市内 某地下】  : ベア:……んで、そのクレイジーな盗みは……そろそろうまくいきそうか? ベア:Xファイルのネタ話は……もういい加減、飽きたぜ。 ハニー:ええ。あなたの作った、モグラちゃんたちが掘り進めてくれたおかげで……、 ハニー:ラクに銀行の真下にたどり着けたわ。 ハニー:そっちは、警察に怪しまれたりはしてない? ベア:ああ。下水工事なんざ……、ロサンゼルスじゃ日常風景だ。 ベア:書類も全て『合法』。記録上も……異常なし、だ。 ハニー:フフッ、まさかマーシャル警部も、こんな『天才』がいるなんて思ってもみないでしょうね。 ベア:褒めても、何も出ねえぞ? ベア:だが……、ハニー?気を付けろよ? ベア:重量(じゅうりょう)センサーと、監視カメラは……ごまかせても1分が限度だ。 ベア:その上、赤外線のセンサーは、 ベア:クモ一匹も通さねえぐらい……張り巡らされてる。 ハニー:……そのために、くまちゃんは……ラボにこもってたんでしょ? ベア:ああ。俺の作った地上型鏡面集積(ちじょうがたきょうめんしゅうせき)ドローンが、 ベア:プログラム通りに動けば……、いくつかは無効化できる。 ベア:だが、それでも抜けるのは至難の技。 ベア:ドローンをけっとばそうもんなら……、その時点でアウトだ。 ハニー:しかも、金庫に入れば通信はできない……。 ハニー:わかってる。 ハニー:そのために……シミュレーションもしたじゃない? 0:ベア、食い気味に ベア:間違っても!踏んだりすんなよ!?一個もなくすなよ!? ベア:それ一粒でも、ツーブロック先のハリウッドスターどもが、青ざめるような金額すんだからな!? ベア:お前が金庫から出た時点で……、全てボックスに帰るようにプログラムはしているが……、 ベア:とっとと……仕事終わらせて、確認してから出ろ。いいな? ハニー:(つぶやく)……ほんと、ガジェットのことになるとうるさいわね……。 ベア:ああ!? ハニー:ハイハイ、おしゃべりクマちゃん。 ハニー:わかったから、話を続けて。 ベア:……ったくよ……。もう一度確認だ。 ベア:銀行前の大通りに……、 ベア:人が多くなった時を見計らって、俺が水道管を破裂させる。 ハニー:それと同時に……、私はワイヤーボムで……床をボンッ! ハニー:床にエントランスができたら、ここでカウントスタートね。 ハニー:あなたが作ったビー玉を…… ベア:地上型鏡面集積(ちじょうがたきょうめんしゅうせき)ドローンだ!! ハニー:……どっちでもいいでしょ! ハニー:ともかく、あなたのなんとかドローンが、 ハニー:赤外線センサーに穴を開けてくれたら、私が侵入する。 ハニー:あなたの作ったメガネで……赤外線センサーを避けて、 ハニー:ターゲットの金庫にゴール! ベア:ああ、そしたら、俺特製のVIPカードで金庫を開き……、 ハニー:中身と一緒に、あなたのベイビーたちを連れて帰る。 ハニー:……これでいい? ベア:ああ、くれぐれも1分以内に、だ。 ベア:前回みたいなことは、なしにしてくれよ。 ハニー:安心して。今回はマーシャル警部も、変なFBIも来てないから。 ベア:ああ、それと、聞くまでもねえことだが、俺様特製のスマートグラスはつけてるな? ベア:『アイテムは持ってるだけじゃ意味がないぞ』!ってな。笑 ハニー:ええ、もちろん。さっきから、あなたのメガネで通信してるじゃない。 ハニー:でも、金庫内はオフラインなんでしょ?本当にこれ、大丈夫? 0:ゲームネタがわかってもらえないことにため息 ベア:……。 ハニー:くまちゃん?ちょっと……、大丈夫なの? ベア:……ああ、大丈夫だ。オフラインでも機能するように、 ベア:内蔵システムにナビシステムと拡張現実機能をプログラムしてある。 ハニー:ふうん?よくわからないけど、大丈夫なら問題ないわ。 ベア:それにしても……気に食わねえな。 ベア:その金庫の主(あるじ)、カウチ家ってのは何者なんだ? ベア:……警備、断ったんだろ? ベア:マーシャルの旦那……、怒って、電話ぶっ壊してたぜ? ハニー:……さあね。 ハニー:金庫破りなんて、お金持ちのお嬢様には……想像できないんじゃない? ベア:リアーヌ・カウチ。例のベニト石の……、発見者の娘だったか? ハニー:ええ。今は宝石店からファッションまで……多くのビジネスを成功させている実業家。 ハニー:でも、2年前から……ずっと両親の喪に服してるわ。変わり者よね。 ベア:監視カメラの映像じゃ、真っ黒なベールかぶって……幽霊みてえだったぜ……。 ベア:……薄気味悪い(うすきみわりい)……。 ハニー:あら?くまちゃん、幽霊なんて怖いの? ベア:ああ、苦手だよ。大方(おおかた)、合成だがな。 ベア:だが、あんな趣味の悪いもんを作る人間の気が知れねえよ。 ハニー:……。 ベア:どうした? ハニー:別に……。イヤなヤツを思い出しただけ……。 ハニー:……時計を合わせて。 ハニー:そろそろ、団体の観光客が正面を通るわ!準備はいい? ベア:おう。 ハニー:1、2、3、GO!  :  :【ロス市警 マーシャル警部のデスク】  : 0:アレックス駆け込んでくる、マーシャル我に返る アレックス:マーシャル警部! アレックス:ウェストハリウッド銀行前で……水道管が破裂しました! マーシャル:……もしや……ハニーベアか!? アレックス:確認したところ、ウェストハリウッド銀行には アレックス:カウチ家の保有金庫があるそうです! アレックス:恐らくは…… マーシャル:くそ!アレックス、行くぞ!! アレックス:はい!!   :  :【ウェストハリウッド銀行 金庫内】   : 0:床に綺麗な四角い穴が空き、ハニーは赤外線センサーを確認して、 ハニー:……本当に赤外線だらけね。 ハニー:オーケー。ベイビーちゃんたち、よろしく! 0:ハニーがボックスを開くと、ドローンが転がり、赤外線センサーを反射し、無効化する ハニー:……クールね。やっぱりベアは天才だわ。 ハニー:オープンセサミなんて言わなくても、魔法の扉を開いてくれる。 ハニー:次はアタシの番ね。 0:ここはナレーションで ハニーN:0・5秒で床に上がって、そのまま前転。 ハニーN:足は2センチ、床上(ゆかうえ)で維持。.3秒で、体を右へ9度回転。 ハニーN:その位置から横に5センチ、体をずらしたら、立ち上がって、 ハニーN:そのまま、1秒の間に一回側転し、体を左にひねる。 0:ハニー、静かに息を吐きだす。 ハニー:……。 ハニー:(つぶやく)オーケー。ここからね。 ハニーN:前に飛び込んだら、そのまま前転。その勢いで、体を1.2秒スライド。 ハニーN:止まったら、その場で、バク転して目の前のセンサーをくぐる。 ハニーN:そして、ブレないように三回、前転飛び!  : ハニー:ヒュー!やったわよ!優勝のぬいぐるみはいただ…… 0:ハニー被せ気味に慌てて、 ハニー:あっ!しまった・・!!   0:ハニー、聞き手がドキッとするように、少し沈黙してください   ハニー:……っと……。 ハニー:(ため息)……危ない……。メガネ、落とすところだった……。 ハニー:帰ったら、ベアにもっとしっかり固定できるように言わないとね? ハニー:……OK。金庫ナンバー322。 ハニー:……カウチ家の秘密、拝見(はいけん)させてもらうわよ? ハニー:……これは!?  :  :【ウェストハリウッド銀行正面】  : アレックス:……マーシャル警部、どういうことでしょうか? アレックス:あれだけの騒ぎが起きていながら、 アレックス:銀行にはなんの被害もなかったなんて……。 マーシャル:……わからん。 アレックス:ですが、それでは……あの予告状は……? マーシャル:苛立つように マーシャル:……それもわからん。 マーシャル:ハニーベアは予告状を違えたことがない。 マーシャル:それに……、あの銀行員の様子は……? マーシャル:アレックス、水道局からの報告はどうだった? アレックス:はい!そちらも異常はなく、予定外の工事やおかしな工作などの形跡もありませんでした。 マーシャル:それは確かか? アレックス:はい。データベースなども洗いましたが…… アレックス:クラッカー(悪質なハッカー)による侵入などもなかったようです。 マーシャル:……。 アレックス:どういたしますか? マーシャル:どうもこうもない。被害はなかったんだ。 マーシャル:あとは所轄(しょかつ)と消防に任せる。 マーシャル:俺たちは……おっと……。 0:女性がぶつかる 0:リアーヌではない声で リアーヌ:あら、ごめんなさい。 マーシャル:いや……、気にしないでくれ……。 0:知らないはずの女を目で追いかけるマーシャル。 マーシャル:……? アレックス:どうしました? マーシャル:……いや、気のせいだ。 マーシャル:アレックス、車に乗れ。 アレックス:承知しました。  : マーシャル:……一体、何が起きている?  :  :  :【続く】