台本概要
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タイトル | Honey&Bear 第四話【蜂と帽子と黒百合と】 |
---|---|
作者名 | ケットシー (@caitsith_udmoon) |
ジャンル | ミステリー |
演者人数 | 5人用台本(男2、女2、不問1) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
ついに明かされたベニト石の秘密。ブラックリリーの真の望みとは?謎の執事は一体何者なのか?そして、ハニーとは誰なのか?ベニト石をまつわる秘密に終止符が打たれる、ハニーベア最終話。 ※ベニト石は「ベニトいし」で統一してください。 ※note版とは一部表現が異なります。使用時は各メンバー使用台本を統一してください。 88 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ハニー | 女 | 60 | 怪盗ハニーベアのプランの立案、盗みを担当。セクシーでキュートな見た目に反して体術などを得意としており、ベアとは『盗みはクレイジーなほど面白い』を信条に怪盗劇を続ける。いつでも陽気で、スリルを楽しむ大胆な女性。美しいもの、かわいいものが好きな一面がある。 |
ベア | 男 | 31 | 怪盗ハニーベアのハッキング、電気、機械系統、ドライバーをこなすオタクハッカー。とある政府のハッカーとして軟禁されていたところをハニーに『盗み』出される。本人は今の暮らしを気に入っており、ハニーは相棒としか見てないものの、盗み出された時にハニーを、『自分の守護天使』と思っている。 |
マーシャル | 男 | 33 | ロス市警警部/強盗殺人課 『ハニーベア』事件の担当。古風な警察官で、勘が鋭い。過去にリアーヌ・カウチという女性と交際しており、その正体に気付きながらも今も忘れないでいる。 |
執事 | 不問 | 24 | カウチ家に仕える執事。温和だが、自分の役割を優先することを常としている。しかし、リアーヌに同情し、ブラックリリーの後始末やサポートも行うことになり、両立できない思いに悩んでいる。 |
リアーヌ・ブラックリリー | 女 | 46 | ベニト石発見者の娘でありながら、残酷な怪盗ブラックリリー。しかし、本当は自分の運命を呪い、つまらない女と自重する苦しむ女性。ブラックリリーとして、マーシャルに近付くも……恋に落ちてしまう。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:【あらすじ】
:実在するロサンゼルスを舞台に、派手な盗みを繰り返す「怪盗Honey&Bear」。
:それを追うロス市警強盗殺人課のマーシャルとアレックスの元に、
:ある日、彼らからの予告状が届く。
:『2月28日 午前0時 ロサンゼルス自然史博物館、
:ベニト石を頂きに参る。Honey&Bear』
:その予告状から、彼らが思いもしなかった事件が始まるのであった・・・。
:
0:【シナリオ約束事項】
:性別変更→×
:アレンジ→○(話が壊れない程度、他のキャストに迷惑がかからないなら)
:人数変更→○(兼任など)
:改変→×
:初心者→○
:※シナリオに書かれていない、指を鳴らす、吐息、笑いなどシナリオ外の役を深める、
:セリフ外の演技は大歓迎です。ただし、こちらでもお話が壊れない程度でお願いします。
:※年齢、雰囲気キーワードはあくまで目安です。参考程度に捉えてください。
:
0:登場人物
:
ハニー:
ハニー:性別・♀
ハニー:怪盗ハニーベアのプランの立案、盗みを担当。
ハニー:セクシーでキュートな見た目に反して体術などを得意としており、
ハニー:ベアとは『盗みはクレイジーなほど面白い』を信条に怪盗劇を続ける。
ハニー:いつでも陽気で、スリルを楽しむ大胆な女性。美しいもの、
ハニー:かわいいものが好きな一面がある。
ハニー:年齢・19〜28(13くらいのロリや、30〜のセクシーなお姉様でもよし)
ハニー:雰囲気キーワードセクシー、キュート、小悪魔、アクティブ
ハニー:口癖・セクシー
:
ベア:
ベア:性別・♂
ベア:怪盗ハニーベアのハッキング、電気、機械系統、ドライバーをこなすオタクハッカー。
ベア:とある政府のハッカーとして軟禁されていたところをハニーに『盗み』出される。
ベア:本人は今の暮らしを気に入っており、ハニーは相棒としか見てないものの、
ベア:盗み出された時にハニーを、『自分の守護天使』と思っている。
ベア:年齢・19〜32(ハニーの立ち回りによっては、お兄さん、ショタもあり)
ベア:雰囲気キーワード・オタク、情に厚い、厨二っぽいワル
ベア:好きなもの・ネット、発明、エナジードリンク、ゲーム、アニメ
:
マーシャル:
マーシャル:性別・♂
マーシャル:ロス市警警部/強盗殺人課 『ハニーベア』事件の担当。
マーシャル:古風な警察官だが、勘が鋭い。
マーシャル:過去にリアーヌ・カウチという女性と交際しており、
マーシャル:その正体に気付きながらも今も忘れないでいる。
マーシャル:年齢・35〜50:
マーシャル:雰囲気キーワード・渋い、古風、熱血漢
マーシャル:好きなもの・タバコ、酒、コーヒー、つば広の中折れ帽子
:
執事:
執事:カウチ家に仕える執事。温和だが、自分の役割を優先することを常としている。
執事:しかし、リアーヌに同情し、ブラックリリーの後始末やサポートも行うことになり、
執事:両立できない思いに悩んでいる。
執事:年齢・25〜70:
執事:雰囲気キーワード・従順、丁寧、誠実、ミステリアス
:
リアーヌ・ブラックリリー:
リアーヌ・ブラックリリー:ベニト石発見者の娘でありながら、残酷な怪盗ブラックリリー。
リアーヌ・ブラックリリー:しかし、本当は自分の運命を呪い、つまらない女と自重する苦しむ女性。
リアーヌ・ブラックリリー:ブラックリリーとして、マーシャルに近付くも……恋に落ちてしまう。
リアーヌ・ブラックリリー:年齢・35〜40:
リアーヌ・ブラックリリー:雰囲気キーワード・優雅、大人な女性、コンプレックスをもつ、影がある
リアーヌ・ブラックリリー:雰囲気キーワード(ブラックリリー時)・妖艶、狂気、攻撃的
:
0:以下、本編
:
0:リアーヌ・ブラックリリー、タイトルコールしてください
:
リアーヌ・ブラックリリー:Honey&Bear 最終話【蜂と、帽子と、黒百合と】
:
0:ハニーのナレーションと、前回のセリフで海外ドラマっぽく演じてください。
ハニー:前回までのハニー&ベア。
ハニー:私たちはロサンゼルス自然史博物館にある世界最大のベニト石を狙うはずだった。
ハニー:でも、待っていたのは……、
リアーヌ・ブラックリリー:ベニト石もお前達が盗むのよ!
ハニー:謎の女が現れ、肩になまり玉を喰らった挙句、ベニト石を奪われてしまった。
ハニー:ベアは謎の女、ダニエ・クロフォードについて調べてくれたけど、どうにも怪しい……。
ハニー:おまけに、ベニト石の情報を求めて、狙ったカウチ家の金庫から出てきたのは……
ベア:で?金庫の中身は、その紙っぺら一枚だったのか?
ハニー:『青き石を救い出せし、英雄の屋敷にて待つ』……。
ハニー:私たちは残されたメッセージの示す場所、カウチ家に乗り込んだ。
ハニー:だけど、不意を突かれた挙句……
リアーヌ・ブラックリリー:フフフ……、特製の麻酔薬はいかが?
ハニー:捕まった上に、麻酔を打たれてしまった!
ハニー:そんな私の姿を笑いながら、ブラックリリーは……
ハニー:ついにベニト石の真実について、語り出し始めた……。
:
:【ハニー&ベア 隠れ家】
:
ベア:ああ、ちくしょうっ!
ベア:何がアークエンジェルだ!?
ベア:くっそ……、これはまずい!まずいぞ!?
ベア:……いや、こういう時こそ冷静に……、盤面を冷静に見るんだ……。
ベア:まだ、慌てる時じゃない……。
ベア:まず、あの女は……、やはりブラックリリーだった。
ベア:しかも、ハニーには暗示が仕込まれてた。
ベア:……信号が消えちまったってことは、
ベア:地下かどこかに連れ込まれてる。
ベア:(ため息)しかも……、なぜかマーシャルの旦那がカウチ家に来ちまった……と。
0:頭を抱えて取り乱す
ベア:ああ!!ダメだ!まずいことだらけじゃねえかっ!
0:叫んだ後にPCに向き直り、
ベア:……(深呼吸)
ベア:OK……。ピンチの時こそビー・クールだ!
ベア:マスターガードナーもそう言ってたぜ!
ベア:……まずは『入口』だ……。
ベア:カウチ家はガードはかてぇが、『線』はいくつも通ってる。
ベア:どこかに侵入する隙があるはずだ……。
ベア:今は信号が途絶えてるが……、
ベア:ハニーの信号が見えたら、
ベア:一気に掌握して、サポートする……。
ベア:OKOK。俺にはできる!
ベア:俺は天才だからな!
ベア:まずは……
ベア:ん?
ベア:……プロテクションに……、穴がある?
ベア:いったい誰が……、こんなの……どうみたって罠じゃねえか……。
0:ハニー、ささやくように
ハニー:……くまちゃんったら……怖がってるの……?
ベア:(ため息)……ああ……、ああ!そうだな!ハニー。
ベア:あの日から、俺とお前は……一心同体だ。
ベア:ホーンテッドハウスの、入り口をくぐった時から
ベア:逃げられねえことなんざ、わかってたことじゃねえか……。
ベア:罠だったとしても、ぶっ壊して……助け出してやるよ!
ベア:俺は、お前の……アークエンジェルだからな!
ベア:……だから……、早く姿を見せろよ……?
ベア:クイーンビー。
:
:【カウチ家 地下】
:
0:一転、青い結晶が一面に広がる洞窟
リアーヌ・ブラックリリー:……いい頃合いね。そろそろ夜が明けるわ。
リアーヌ・ブラックリリー:ハニービー?この石が、どんな役割を果たすのか?
リアーヌ・ブラックリリー:……あなたはわかった?
ハニー:……こ……の……。
リアーヌ・ブラックリリー:この石は部品であり、……カギ。
リアーヌ・ブラックリリー:この洞窟はすべて、ベニト石で覆われている……。
リアーヌ・ブラックリリー:あの穴から、太陽の光がさしこめば……、
リアーヌ・ブラックリリー:洞窟のなかは……壁から反射した光にみたされ、
リアーヌ・ブラックリリー:だれも、入ることの許されない……、
リアーヌ・ブラックリリー:地獄と化してしまう。
リアーヌ・ブラックリリー:でも……、このベニト石があれば、
リアーヌ・ブラックリリー:光は、この石に集まり……、あの洞窟の中央、
リアーヌ・ブラックリリー:聖杯を封印する、『約定(やくじょう)の箱』のカギとなる。
ハニー:……あ……う……・。
リアーヌ・ブラックリリー:これこそが……、このベニト石の秘密。
リアーヌ・ブラックリリー:……カウチ家が世界から託された秘密。
リアーヌ・ブラックリリー:そして……、わたくしを縛り続けた忌まわしい秘密……!
リアーヌ・ブラックリリー:フフフ……、でも、いいわ……。
リアーヌ・ブラックリリー:今は、わたくしの役に立つのだから……。
ハニー:……ふざ……け……
リアーヌ・ブラックリリー:さあ……、在るべき物を……在るべき場所へ……。
リアーヌ・ブラックリリー:世界中の人々が、ほっしてやまなかった伝説を……、
リアーヌ・ブラックリリー:目覚めさせてあげましょう……。
0:リアーヌがベニト石を置き、反射する光がベニト石へ集まる。
リアーヌ・ブラックリリー:ああ……、なんと美しい……。光が集まっていくわ……。
0:光が一点に集中し、箱が開かれ、輝く銀の杯が現れる。
リアーヌ・ブラックリリー:……さあ、……箱は開かれた。
リアーヌ・ブラックリリー:……感動のご対面といきましょう。
0:リアーヌ、杯を手に取り
リアーヌ・ブラックリリー:……ふうん、いざ目にしてみると……ちっぽけなものね。
リアーヌ・ブラックリリー:やはり、伝説は……、伝説のままにしておくにかぎるわ……。
ハニー:……。
リアーヌ・ブラックリリー:カウチ家の伝承には、真の杯(まことのさかずき)は、
リアーヌ・ブラックリリー:あらゆる傷や、病を癒し、命を与える。
リアーヌ・ブラックリリー:が、偽りの杯(いつわりのさかずき)は死をもたらす……、とあるの。
ハニー:……。
リアーヌ・ブラックリリー:おかしな話でしょう?
リアーヌ・ブラックリリー:だって……、これは、本物の聖杯なのだから。
リアーヌ・ブラックリリー:でもね……?わたくしは、全てにおいて万全を期(き)したいの。
リアーヌ・ブラックリリー:だから……、乾杯しましょう?
ハニー:……?
リアーヌ・ブラックリリー:この聖杯が……、
リアーヌ・ブラックリリー:真の杯(まことのさかずき)なら……
リアーヌ・ブラックリリー:あなたの麻酔も、暗示も、全てが治るはず。
リアーヌ・ブラックリリー:けれど、偽物なら……あなたは死ぬ。
ハニー:……!
リアーヌ・ブラックリリー:とても……ゴージャスで、エレガントなギャンブルでしょう?
リアーヌ・ブラックリリー:伝説の杯(さかずき)を使って、命を賭ける……。
0:リアーヌ、ぶどう酒を車椅子から取り出す。
リアーヌ・ブラックリリー:かの人は、『これは私の血である』といい、ワインを信徒(しんと)に飲ませた。
リアーヌ・ブラックリリー:注ぐのならば、やはり……それにならいましょう。
リアーヌ・ブラックリリー:1945年もの、ロマネ・コンティ。
リアーヌ・ブラックリリー:世界に一本しかないワインよ?
リアーヌ・ブラックリリー:安物だけれど……ふさわしいものは、
リアーヌ・ブラックリリー:コレしかないから、仕方がないわよね……?
0:ワインを聖杯に注ぎ、少し眺めて
リアーヌ・ブラックリリー:さあ、あなたからよ?ハニービー。
ハニー:……う……ぐう……!
リアーヌ・ブラックリリー:この杯(さかずき)が本物か、偽物か、
リアーヌ・ブラックリリー:あなたの体で……、確かめてちょうだい!
0:リアーヌ、ハニーに無理やり杯を飲ませる。
ハニー:(飲まされる)ぐっ……、あ、ああ……!
0:ハニー体を痙攣させ、ぐったりとする。
リアーヌ・ブラックリリー:……。
0:リアーヌ、ハニーの体をなぞりながら
リアーヌ・ブラックリリー:……ふうん……。
リアーヌ・ブラックリリー:生きては……、いるようね?
リアーヌ・ブラックリリー:……おめでとう、奇跡は成功よ。
0:リアーヌ、命じるように
リアーヌ・ブラックリリー:目覚めなさい。ハニービー。
0:ハニー、反応がない。
リアーヌ・ブラックリリー:暗示も効かない……。素晴らしい!
リアーヌ・ブラックリリー:わたくしの撃ち込んだ、銃の傷も消えて……?
リアーヌ・ブラックリリー:ん……?これは……何?……虫!?
0:ベアの虫型ドローンが拘束する縄を切断する
ハニー:この!くそ女!!
0:ハニー車椅子を蹴り、ブラックリリーに頭突きを入れる。
リアーヌ・ブラックリリー:フフッ!
0:ブラックリリー、軽く避ける。
ハニー:きつく結んでくれたわね!
0:ベア、通信が復旧する。
ベア:……い!おい!無事か!?
ハニー:ええ、くまちゃん!ありがと!
ハニー:あなたの、虫ちゃんがいなかったら……、抜け出せなかったわ!
リアーヌ・ブラックリリー:フフフ……、元気いっぱいねぇ……。
リアーヌ・ブラックリリー:この聖杯は、やはり本物のようだわ。
ハニー:ええ、そうね。おかげでベニト石の方は……頂けないようだし、
ハニー:……それを頂けると助かるんだけれど?
リアーヌ・ブラックリリー:いやと言ったら?
ハニー:……言わせないだけよ。
0:銃を取り出す
ハニー:あんただけは絶対に……、殺す。
ベア:お、おい、ハニー!
リアーヌ・ブラックリリー:あら、それは困るわね……。
リアーヌ・ブラックリリー:……でも、いいのかしら?
リアーヌ・ブラックリリー:わたくしが、このベニト石を少しでも動かせば……、
リアーヌ・ブラックリリー:あなたも死ぬことになるわよ?
ハニー:……くっ。
リアーヌ・ブラックリリー:ウフフ……、少し、待っていてちょうだいね?
リアーヌ・ブラックリリー:だって、ハニービー……。
リアーヌ・ブラックリリー:あなただけが味わうだなんて……、ずるいわ。
0:リアーヌ、ワインを聖杯に注ぎ
リアーヌ・ブラックリリー:ああ……、これが恵み。これこそが未来。
リアーヌ・ブラックリリー:命に……、乾杯。
マーシャル:待て!リアーヌ!!
リアーヌ・ブラックリリー:!?
リアーヌ・ブラックリリー:マーシャル!?どうして!?
リアーヌ・ブラックリリー:……どうして、ここにいるの!?
0:リアーヌ、顔を隠しながら
執事:わたくしが、お連れしたのです。その杯(さかずき)を飲んではいけません。
リアーヌ・ブラックリリー:クリス!?お前……、どういうつもりなの!?
リアーヌ・ブラックリリー:……ああ……、見ないで……。
リアーヌ・ブラックリリー:わたくしの顔を見ないで!マーシャル!
ハニー:(小声で)……チャンス!
0:ハニー、マーシャルに背を向けて崩れ落ちるブラックリリーに銃を向ける。
マーシャル:銃を捨てろ!ハニーベア!手をあげて、後ろに下がれ。
ハニー:(舌打ち)
ベア:(つぶやく)今回は……感謝するぜ……、マーシャルの旦那……。
ベア:ハニー、許せねえのも……わかる。
ベア:だが、殺しは……セクシーじゃねえ。
ベア:……お願いだから……、落ち着いてくれ。
ハニー:(ため息)……ハイハイ。
0:ハニー、銃を置いて
ハニー:……これでいい?
マーシャル:……リアーヌ。全て聞いた。
マーシャル:君がブラックリリーであったことも、火傷のことも、
マーシャル:……顔を変えて、俺に会いに来てくれていたことも……。
リアーヌ・ブラックリリー:……!?
マーシャル:あの日、君はブラックリリーとして、
マーシャル:……利用するために私に近付いたんだろう?
マーシャル:……気づいていた。
リアーヌ・ブラックリリー:……どういうこと?
マーシャル:君の手は……、会うたびに傷が増えていた。
マーシャル:……普通ではできない位置に、だ。
マーシャル:決定的だったのは、君の目だ。
マーシャル:……君は時々、恐ろしい目をする時があった。
マーシャル:そして、翌日には……必ずその視線の先にあったものが消えた。
リアーヌ・ブラックリリー:わたくしを……、騙していたの……?
マーシャル:違う!!
マーシャル:……許されないとはわかっていた。
マーシャル:だが……、君と話し、肌を重ねるうちに、
マーシャル:……どうしようもなく、……君に心惹かれた。
マーシャル:……愛してしまったんだ。
リアーヌ・ブラックリリー:嘘よ!わたくしは……わたくしは地味でつまらない……
マーシャル:そうじゃない!!
マーシャル:本当の君は、……俺の愛したリアーヌはいつだって微笑んでいた。
マーシャル:そして、いつも聡明(そうめい)で、美しい女性だった!
マーシャル:ブラックリリーなんかに負けるな!君はそんな弱い女性じゃない!
マーシャル:君が裁きを受けるなら、その罪は俺も背負う!
リアーヌ・ブラックリリー:……マーシャル……。
マーシャル:この二年間、ずっと俺を……、みていてくれたんだろう?
マーシャル:俺も……、ずっと君を想っていた。
マーシャル:二年前、君から一方的に別れを告げられたときには、辛かった……。
マーシャル:……だが、君の人生の重荷になるまいと……、身を引いた。
マーシャル:忘れようとした。
リアーヌ・ブラックリリー:……。
マーシャル:だが、気持ちは変わらなかった!愛しているんだ……。
マーシャル:二年も、君を1人にした……。
マーシャル:俺の言葉なんか、信じられないかもしれない。
マーシャル:だが、これだけは信じてくれ!頼む!
マーシャル:その杯(さかずき)を飲めば、君は死んでしまう!!
リアーヌ・ブラックリリー:……フッ、フフフ……アハハハハ!!(狂ったように笑う)
リアーヌ・ブラックリリー:信じてくれ……、ですって?
0:焼けただれた顔をマーシャルに見せつけ
リアーヌ・ブラックリリー:この顔を見ても、まだそう言えるのかしら!?
マーシャル:……!
リアーヌ・ブラックリリー:ウフフッ……!恐れたわね……?
リアーヌ・ブラックリリー:結局、あなたもそう……。
リアーヌ・ブラックリリー:わたくしがブラックリリーだから、
リアーヌ・ブラックリリー:そう言って、だますつもりなんでしょう!?
マーシャル:違う!!俺は本当に君のことを……!
リアーヌ・ブラックリリー:黙って!!
リアーヌ・ブラックリリー:……わたくしを誰だと思っているの……?
リアーヌ・ブラックリリー:怪盗、ブラックリリーよ!
マーシャル:違う!!君は……
リアーヌ・ブラックリリー:そして、あなたは警察。
リアーヌ・ブラックリリー:わたくしを追い、檻に閉じ込める者。
リアーヌ・ブラックリリー:……でも、安心してちょうだい。
リアーヌ・ブラックリリー:ブラックリリーは、ここで死ぬ!
リアーヌ・ブラックリリー:この聖杯こそが、わたくしを……
リアーヌ・ブラックリリー:あなたの愛した……、リアーヌにしてくれるのよ!
マーシャル:ダメだ!やめろ!リアーヌ!
0:リアーヌ、一息に杯をあおる
リアーヌ・ブラックリリー:(感嘆するように)ああ……
リアーヌ・ブラックリリー:う!!がぁっ!っぐう!!(苦しみだす)
リアーヌ・ブラックリリー:あ、ああ……な、なぜ……?この聖杯……は本物……
0:マーシャル、リアーヌに駆け寄り
マーシャル:リアーヌ!大丈夫か!?おい!しっかりしろ
0:リアーヌ手の先から塵になり始める
リアーヌ・ブラックリリー:ああ……、マーシャル……やっと……呼んでくれた……
リアーヌ・ブラックリリー:……ずっと……会いたかった。
マーシャル:リアーヌ!おい!なんとかしてくれ!!
0:執事、無念そうに首をふり……
執事:マーシャル様……、奇跡は……人の手では止められません……。
マーシャル:そんなこと、あってたまるか!リアーヌ!
リアーヌ・ブラックリリー:ああ……、マーシャル……、いいの……、いいのよ……。
リアーヌ・ブラックリリー:……ごめんなさい……。
リアーヌ・ブラックリリー:わたくしは……ずっと、あなたの腕に帰りたかった……。
リアーヌ・ブラックリリー:この恐ろしい顔とともに……、
リアーヌ・ブラックリリー:ブラックリリーをほうむって……、あなたの元へ……。
マーシャル:リアーヌ、俺は君が誰であれ、君自身が美しいと思ったんだ!
マーシャル:お願いだ!いかないでくれ!
リアーヌ・ブラックリリー:マーシャル……?こんなに澄んだ気持ちは初めてよ……。
リアーヌ・ブラックリリー:……わたくし、リアーヌになれたかしら?
マーシャル:リアーヌ!
リアーヌ・ブラックリリー:ああ、綺麗な……光ね……。
リアーヌ・ブラックリリー:……愛してるわ……、マーシャル……。
0:リアーヌ全身が白い塵になり、消える。
マーシャル:リアーヌ!?リアーヌ!?ああ……、神様!
0:塵を握りしめむせび泣くマーシャル
ハニー:……今のうちね……。
0:ハニー、転がり落ちた聖杯を足で止め、聖杯を持って気づかれぬように入り口へ移動する
執事:その杯(さかずき)、お返しいただけますか?ハニー様。
ハニー:!
ハニー:……タダ働きは、したくないんだけれど?
執事:その遺物(いぶつ)は……いずれ、破滅を招きます……。
執事:それに……、世界中から監視され、
執事:追われ続けることは……、
執事:あなた方にとって……本意ではないと思いますが……?
ベア:……おい、ハニー、俺は渡した方がいいと思うぜ?
ベア:……面倒はごめんだ。
ハニー:(ため息)……わかったわよ。
執事:ありがとうございます。
ハニー:その代わり、聞きたいんだけど?
ハニー:どうして、同じ聖杯で、同じお酒を飲んだ私は無事で、あの女は塵になったの?
執事:カウチ家の伝承にある、
執事:真の杯(まことのさかずき)、偽りの杯(いつわりのさかずき)とは
執事:……聖杯を飲む人間をしめしているのです。
執事:あなた様は……聖杯を飲まれたとき、強く……生きようと思われた。
執事:……真の杯(まことのさかずき)の、条件を満たしておりました。
執事:しかし……、リアーヌ様は自らを失い……、
執事:自身の一部である……ブラックリリーを殺そうと、……願った。
執事:聖杯は……すこしでも、その者に迷いがあれば、
執事:偽りの杯(いつわりのさかずき)として命を奪う……恐ろしい遺物(いぶつ)。
執事:ゆえに……、誰の手にも渡らぬよう、封印されていたのです。
執事:リアーヌ様にも、お伝えしましたが……、
執事:最後まで……聞いてはくださらなかった……。
ハニー:なるほど……。私はラッキーを引いたってわけね……。
執事:それもあなた様の意思があってこそ。
執事:成長されました……。メアリー様。
ハニー:フッ……、ようやくわかったわ。
ハニー:ブラックリリーが、……私の本当の名前を知らなかった理由。
ハニー:あなたが、私の情報を……隠してくれていたのね?
執事:主人のためとはいえ……、ご迷惑を……。
ハニー:とんだ食わせ者ね。あなた、何者なの?
執事:聖杯を外に出さぬ約定(やくじょう)を……、託された家に仕える者。
執事:それ以上でも、それ以下でもございません。
ハニー:……なるほどね。
執事:はい……。
執事:そうそう……、
執事:タダ働きはお嫌い(おきらい)とのこと、でしたね……?
執事:実は……処分に困る遺品を、たくさんかかえておりまして……、
執事:少しお持ちいただければ、幸いなのですが……。
ベア:マジかよ!?
ハニー:……ベア!いきなり、大声出さないで!
ベア:なあ!どのくらいだ!?トラックの手配は、任せろ!
ハニー:(ため息)……おしゃべりくまちゃん?……通信、切るわね?
0:通信が途中で切れるように
ベア:な!?おい!待っ
ハニー:……騒がしくて、ごめんなさいね。
執事:いいえ……、ベア様も大切なお客様です。
ハニー:……?どういうこと?
執事:リアーヌ様には報告をわすれておりましたが……、
執事:当家のネット回線へ、オンラインでお招きさせていただきました。
ハニー:……。(呆れて)
ハニー:フッ……、本当に……とんだ食わせ者ね。あなた。
執事:お褒めに預かり、光栄でございます……。
マーシャル:待て!
ハニー:……あら、マーシャル警部……。初めまして。
ハニー:いとしの彼女とのお別れは、……もういいのかしら?
マーシャル:黙れ!ハニーベア!貴様を……逮捕する!!
ハニー:フッ……、そういうタフな男……、嫌いじゃないわ。
ハニー:でもね……、女性の名前を間違えるのは……いただけないわ。ほら!
0:ハニー、聖杯をマーシャルに投げる。
マーシャル:なっ!?これは!?……聖杯!?
ハニー:フッ!
0:ハニー、穴へ、フックを使って飛ぶ
ハニー:それ、もういらないから……、あげるわ。
0:ハニー、朝日を背にマーシャルに向き直り、名乗る。
ハニー:それに、……私の名前はハニーベアじゃない……。ハニーよ!
ハニー:また会いましょう?マーシャル警部!
0:ハニー、姿を消す。
マーシャル:なっ!待て!!
0:銃を向けるがそこには日が差し込むのみ。
マーシャル:……。(呆然と息をつく)
執事:マーシャル警部。
マーシャル:……うおっ!?
執事:お返しいただけますか?
マーシャル:……!
マーシャル:……ああ……。すまない……。
執事:……恐れ入ります。
マーシャル:……。
マーシャル:(ため息)……執事さん、俺にはわからん……。
マーシャル:リアーヌは……なぜ、杯(さかずき)を飲んだ?
マーシャル:……俺は、間違えたのか……?
執事:貴方様は……何も、間違えてはおりません。
執事:間違えたのは、リアーヌ様でございます。
執事:あの方は……聖杯を危険と、お知りになりながら、
執事:……お手を出されました。
執事:その時点で……、お間違えになられていたのです……。
マーシャル:……しかし……、
執事:リアーヌ様は……、ご自分のなかの……、
執事:ブラックリリーを、ひどく恐れられていました……。
執事:ですが……、そのブラックリリーは、
執事:……間違いなく自分の一部であることも……、
執事:誰よりもご存知でした。
マーシャル:……!
マーシャル:……それは……つまり……
執事:ご自分を責めるのは……、どうか、おやめください。
執事:リアーヌ様はあなた様によって……、救われたのです。
執事:カウチ家に仕える者として、感謝いたします。
マーシャル:……これから、どうなる?
執事:何も変わることは、ございません。
執事:また……、『新たなカウチ家』の方々がこの家に住み、
執事:わたくしは……、その方々に仕えるだけでございます。
マーシャル:……。
マーシャル:(ため息)……そうか。
マーシャル:そうやって世界は……回っているんだな……。
執事:はい。世界はつつがなく……回っているのでございます。
マーシャル:……わかっていた……つもりだった……。
マーシャル:……が、辛いもんだな……。
執事:……。……誠に……その通りでございます……。
:
:【数日後 ハニー&ベアの隠れ家】
:
0:PCをいじるベア。その後ろでお風呂を楽しむハニー
ベア:……おい、ほんとに良かったのかよ?
ハニー:何がよ?
ベア:お宝に決まってんだろ。
ベア:あのあと、カウチ家に行って、もらえるもんはもらってきたが、
ベア:……大半は置いてきちまったじゃねえか。
ベア:絵画に、アンティーク、彫刻までありやがったのによ……、
ベア:持ってきたのは……、数点の絵と、宝石ばっかだ。
ハニー:バカねえ。くまちゃん?……ああいうのは足がつきやすいの。
ハニー:ブラックリリーが起こした事件まで、いただくのは……ごめんだわ……。
ハニー:悪趣味なものの方が……、多かったしね。
ベア:……まあ、それについては同感だな。
ベア:俺は美術品には、くわしくねえが……
ベア:これであのでっけえ石ころ……何個分くらいなんだ?
ハニー:さあね。でも、しゃくだけど……ブラックリリーの目利きは確かよ。
ハニー:このネックレス一つでも……、4---万ドルは下らないでしょうね
ベア:マジかよ……。
ハニー:まあ……、でも、惜しかったわ……。
ハニー:伝説の聖杯と、その鍵になる……宝石。
ハニー:あれほどセクシーな者には……、なかなか巡り合えないでしょうね。
ベア:まあ、『世界中を敵に回す』って、
ベア:言われちまったんなら……、仕方ねえな……っと。
ベア:……お?
ベア:『リアーヌ・カウチ女史(じょし)、死去
ベア:ジュエリー大手 Couchi(カウチ)などのオーナーで知られる、
ベア:リアーヌ・カウチ女史が交通事故で死亡。』……だとさ。
ハニー:(つぶやく)……ほんとに食わせ者ね……。
ベア:はは、お悔やみをだってよ。
ベア:あの女がどんな女だったか……、知ったらぶっ飛ぶぜ?こいつら。
ハニー:ベア!今すぐその口を、閉じてくれる?
ハニー:今は、そういう気分じゃないの!
ベア:っんだよ……。つれねえな……。
0:ベアのパソコンにメールが来る。
ベア:あ?誰だ?専用メールに。
ベア:……お、おい!きてみろよ!ハニー!
ハニー:何よ、クマちゃん?
ベア:いいから来いって!これ見てみろ!
ハニー:わかったわよ……。せっかくのバスタイムなのに……。
0:ハニー、バスローブを着て、ベアのパソコンを見る。
ベア:おい!見てみろ!これ!
ハニー:……なんなのよ?
ハニー:……!……このメールは……。
執事:ハニー様・ベア様
執事:先日は、誠にありがとうございました。
執事:今回の件は、リアーヌ様の独断のものと……報告させていただきました。
執事:お二人には、今後も監視などの手は及びません。
執事:また、本件のお礼としまして、
執事:お二人の口座へ、1-億ドルを振り込ませていただきました。
執事:今後も……お二人の健やかな日々を、お祈り申し上げております。
ベア:1-億ドル!?
ハニー:……。
ベア:マジだ!!1-億ドル振り込まれてるぜ!!
ハニー:……ほんと……食わせ者どころか、食えない執事さんね……。
ベア:おい、これからどうする?しばらく怪盗家業は休んで、
ベア:どっか豪遊(ごうゆう)するか!?
ハニー:(ため息)……それよりも専用メールと、
ハニー:仮想口座(かそうこうざ)を変えるところから、
ハニー:……始めた方がいいんじゃないかしら?
ベア:あ、ああ、そうか……。
ベア:……なあ、お前の言ってた執事、いったい何者なんだ?
ハニー:……さあね?でも、私たちのことを……、
ハニー:いつでも探し出せるって、意味もあるんでしょ……。
ハニー:……フッ。でも、悪くないわ。
ハニー:……そういうのも、スリルがあって……セクシーね!
ベア:な、なあ、これからどうするよ?世界でも回るか?
0:ハニー少し考えた後、楽しいことを思いついたように
ハニー:ふむ……、それも悪くないわね……。
ハニー:けれど、この世界にはまだまだセクシーなことが、たくさんあると思わない?
ハニー:それに、……警察のワンちゃんたちとの追いかけっこも、
ハニー:なかなか楽しいとは思わない?
ベア:それじゃあ……、この金はどうする?
ハニー:(軽く笑って)……バカね!クマちゃん。あなたがつかうのよ!
ハニー:……確かに、遊ぶのもいいわ。
ハニー:でも、私たちには……、この世界には……、それ以上にスリリングなことがあふれてる!
ハニー:もっと楽しいことをするために、このお金でありったけ……セクシーなものを作って!
ハニー:そして、もっともっと盗みましょう?
ハニー:世界の組織とやらが……、後悔するほどにね!
ハニー:だって、そうでしょ?盗みは……
ベア:クレイジーなほど……
0:セリフを合わせて、同時に
ハニー:面白い!
ベア:面白い!
:
:END
0:【あらすじ】
:実在するロサンゼルスを舞台に、派手な盗みを繰り返す「怪盗Honey&Bear」。
:それを追うロス市警強盗殺人課のマーシャルとアレックスの元に、
:ある日、彼らからの予告状が届く。
:『2月28日 午前0時 ロサンゼルス自然史博物館、
:ベニト石を頂きに参る。Honey&Bear』
:その予告状から、彼らが思いもしなかった事件が始まるのであった・・・。
:
0:【シナリオ約束事項】
:性別変更→×
:アレンジ→○(話が壊れない程度、他のキャストに迷惑がかからないなら)
:人数変更→○(兼任など)
:改変→×
:初心者→○
:※シナリオに書かれていない、指を鳴らす、吐息、笑いなどシナリオ外の役を深める、
:セリフ外の演技は大歓迎です。ただし、こちらでもお話が壊れない程度でお願いします。
:※年齢、雰囲気キーワードはあくまで目安です。参考程度に捉えてください。
:
0:登場人物
:
ハニー:
ハニー:性別・♀
ハニー:怪盗ハニーベアのプランの立案、盗みを担当。
ハニー:セクシーでキュートな見た目に反して体術などを得意としており、
ハニー:ベアとは『盗みはクレイジーなほど面白い』を信条に怪盗劇を続ける。
ハニー:いつでも陽気で、スリルを楽しむ大胆な女性。美しいもの、
ハニー:かわいいものが好きな一面がある。
ハニー:年齢・19〜28(13くらいのロリや、30〜のセクシーなお姉様でもよし)
ハニー:雰囲気キーワードセクシー、キュート、小悪魔、アクティブ
ハニー:口癖・セクシー
:
ベア:
ベア:性別・♂
ベア:怪盗ハニーベアのハッキング、電気、機械系統、ドライバーをこなすオタクハッカー。
ベア:とある政府のハッカーとして軟禁されていたところをハニーに『盗み』出される。
ベア:本人は今の暮らしを気に入っており、ハニーは相棒としか見てないものの、
ベア:盗み出された時にハニーを、『自分の守護天使』と思っている。
ベア:年齢・19〜32(ハニーの立ち回りによっては、お兄さん、ショタもあり)
ベア:雰囲気キーワード・オタク、情に厚い、厨二っぽいワル
ベア:好きなもの・ネット、発明、エナジードリンク、ゲーム、アニメ
:
マーシャル:
マーシャル:性別・♂
マーシャル:ロス市警警部/強盗殺人課 『ハニーベア』事件の担当。
マーシャル:古風な警察官だが、勘が鋭い。
マーシャル:過去にリアーヌ・カウチという女性と交際しており、
マーシャル:その正体に気付きながらも今も忘れないでいる。
マーシャル:年齢・35〜50:
マーシャル:雰囲気キーワード・渋い、古風、熱血漢
マーシャル:好きなもの・タバコ、酒、コーヒー、つば広の中折れ帽子
:
執事:
執事:カウチ家に仕える執事。温和だが、自分の役割を優先することを常としている。
執事:しかし、リアーヌに同情し、ブラックリリーの後始末やサポートも行うことになり、
執事:両立できない思いに悩んでいる。
執事:年齢・25〜70:
執事:雰囲気キーワード・従順、丁寧、誠実、ミステリアス
:
リアーヌ・ブラックリリー:
リアーヌ・ブラックリリー:ベニト石発見者の娘でありながら、残酷な怪盗ブラックリリー。
リアーヌ・ブラックリリー:しかし、本当は自分の運命を呪い、つまらない女と自重する苦しむ女性。
リアーヌ・ブラックリリー:ブラックリリーとして、マーシャルに近付くも……恋に落ちてしまう。
リアーヌ・ブラックリリー:年齢・35〜40:
リアーヌ・ブラックリリー:雰囲気キーワード・優雅、大人な女性、コンプレックスをもつ、影がある
リアーヌ・ブラックリリー:雰囲気キーワード(ブラックリリー時)・妖艶、狂気、攻撃的
:
0:以下、本編
:
0:リアーヌ・ブラックリリー、タイトルコールしてください
:
リアーヌ・ブラックリリー:Honey&Bear 最終話【蜂と、帽子と、黒百合と】
:
0:ハニーのナレーションと、前回のセリフで海外ドラマっぽく演じてください。
ハニー:前回までのハニー&ベア。
ハニー:私たちはロサンゼルス自然史博物館にある世界最大のベニト石を狙うはずだった。
ハニー:でも、待っていたのは……、
リアーヌ・ブラックリリー:ベニト石もお前達が盗むのよ!
ハニー:謎の女が現れ、肩になまり玉を喰らった挙句、ベニト石を奪われてしまった。
ハニー:ベアは謎の女、ダニエ・クロフォードについて調べてくれたけど、どうにも怪しい……。
ハニー:おまけに、ベニト石の情報を求めて、狙ったカウチ家の金庫から出てきたのは……
ベア:で?金庫の中身は、その紙っぺら一枚だったのか?
ハニー:『青き石を救い出せし、英雄の屋敷にて待つ』……。
ハニー:私たちは残されたメッセージの示す場所、カウチ家に乗り込んだ。
ハニー:だけど、不意を突かれた挙句……
リアーヌ・ブラックリリー:フフフ……、特製の麻酔薬はいかが?
ハニー:捕まった上に、麻酔を打たれてしまった!
ハニー:そんな私の姿を笑いながら、ブラックリリーは……
ハニー:ついにベニト石の真実について、語り出し始めた……。
:
:【ハニー&ベア 隠れ家】
:
ベア:ああ、ちくしょうっ!
ベア:何がアークエンジェルだ!?
ベア:くっそ……、これはまずい!まずいぞ!?
ベア:……いや、こういう時こそ冷静に……、盤面を冷静に見るんだ……。
ベア:まだ、慌てる時じゃない……。
ベア:まず、あの女は……、やはりブラックリリーだった。
ベア:しかも、ハニーには暗示が仕込まれてた。
ベア:……信号が消えちまったってことは、
ベア:地下かどこかに連れ込まれてる。
ベア:(ため息)しかも……、なぜかマーシャルの旦那がカウチ家に来ちまった……と。
0:頭を抱えて取り乱す
ベア:ああ!!ダメだ!まずいことだらけじゃねえかっ!
0:叫んだ後にPCに向き直り、
ベア:……(深呼吸)
ベア:OK……。ピンチの時こそビー・クールだ!
ベア:マスターガードナーもそう言ってたぜ!
ベア:……まずは『入口』だ……。
ベア:カウチ家はガードはかてぇが、『線』はいくつも通ってる。
ベア:どこかに侵入する隙があるはずだ……。
ベア:今は信号が途絶えてるが……、
ベア:ハニーの信号が見えたら、
ベア:一気に掌握して、サポートする……。
ベア:OKOK。俺にはできる!
ベア:俺は天才だからな!
ベア:まずは……
ベア:ん?
ベア:……プロテクションに……、穴がある?
ベア:いったい誰が……、こんなの……どうみたって罠じゃねえか……。
0:ハニー、ささやくように
ハニー:……くまちゃんったら……怖がってるの……?
ベア:(ため息)……ああ……、ああ!そうだな!ハニー。
ベア:あの日から、俺とお前は……一心同体だ。
ベア:ホーンテッドハウスの、入り口をくぐった時から
ベア:逃げられねえことなんざ、わかってたことじゃねえか……。
ベア:罠だったとしても、ぶっ壊して……助け出してやるよ!
ベア:俺は、お前の……アークエンジェルだからな!
ベア:……だから……、早く姿を見せろよ……?
ベア:クイーンビー。
:
:【カウチ家 地下】
:
0:一転、青い結晶が一面に広がる洞窟
リアーヌ・ブラックリリー:……いい頃合いね。そろそろ夜が明けるわ。
リアーヌ・ブラックリリー:ハニービー?この石が、どんな役割を果たすのか?
リアーヌ・ブラックリリー:……あなたはわかった?
ハニー:……こ……の……。
リアーヌ・ブラックリリー:この石は部品であり、……カギ。
リアーヌ・ブラックリリー:この洞窟はすべて、ベニト石で覆われている……。
リアーヌ・ブラックリリー:あの穴から、太陽の光がさしこめば……、
リアーヌ・ブラックリリー:洞窟のなかは……壁から反射した光にみたされ、
リアーヌ・ブラックリリー:だれも、入ることの許されない……、
リアーヌ・ブラックリリー:地獄と化してしまう。
リアーヌ・ブラックリリー:でも……、このベニト石があれば、
リアーヌ・ブラックリリー:光は、この石に集まり……、あの洞窟の中央、
リアーヌ・ブラックリリー:聖杯を封印する、『約定(やくじょう)の箱』のカギとなる。
ハニー:……あ……う……・。
リアーヌ・ブラックリリー:これこそが……、このベニト石の秘密。
リアーヌ・ブラックリリー:……カウチ家が世界から託された秘密。
リアーヌ・ブラックリリー:そして……、わたくしを縛り続けた忌まわしい秘密……!
リアーヌ・ブラックリリー:フフフ……、でも、いいわ……。
リアーヌ・ブラックリリー:今は、わたくしの役に立つのだから……。
ハニー:……ふざ……け……
リアーヌ・ブラックリリー:さあ……、在るべき物を……在るべき場所へ……。
リアーヌ・ブラックリリー:世界中の人々が、ほっしてやまなかった伝説を……、
リアーヌ・ブラックリリー:目覚めさせてあげましょう……。
0:リアーヌがベニト石を置き、反射する光がベニト石へ集まる。
リアーヌ・ブラックリリー:ああ……、なんと美しい……。光が集まっていくわ……。
0:光が一点に集中し、箱が開かれ、輝く銀の杯が現れる。
リアーヌ・ブラックリリー:……さあ、……箱は開かれた。
リアーヌ・ブラックリリー:……感動のご対面といきましょう。
0:リアーヌ、杯を手に取り
リアーヌ・ブラックリリー:……ふうん、いざ目にしてみると……ちっぽけなものね。
リアーヌ・ブラックリリー:やはり、伝説は……、伝説のままにしておくにかぎるわ……。
ハニー:……。
リアーヌ・ブラックリリー:カウチ家の伝承には、真の杯(まことのさかずき)は、
リアーヌ・ブラックリリー:あらゆる傷や、病を癒し、命を与える。
リアーヌ・ブラックリリー:が、偽りの杯(いつわりのさかずき)は死をもたらす……、とあるの。
ハニー:……。
リアーヌ・ブラックリリー:おかしな話でしょう?
リアーヌ・ブラックリリー:だって……、これは、本物の聖杯なのだから。
リアーヌ・ブラックリリー:でもね……?わたくしは、全てにおいて万全を期(き)したいの。
リアーヌ・ブラックリリー:だから……、乾杯しましょう?
ハニー:……?
リアーヌ・ブラックリリー:この聖杯が……、
リアーヌ・ブラックリリー:真の杯(まことのさかずき)なら……
リアーヌ・ブラックリリー:あなたの麻酔も、暗示も、全てが治るはず。
リアーヌ・ブラックリリー:けれど、偽物なら……あなたは死ぬ。
ハニー:……!
リアーヌ・ブラックリリー:とても……ゴージャスで、エレガントなギャンブルでしょう?
リアーヌ・ブラックリリー:伝説の杯(さかずき)を使って、命を賭ける……。
0:リアーヌ、ぶどう酒を車椅子から取り出す。
リアーヌ・ブラックリリー:かの人は、『これは私の血である』といい、ワインを信徒(しんと)に飲ませた。
リアーヌ・ブラックリリー:注ぐのならば、やはり……それにならいましょう。
リアーヌ・ブラックリリー:1945年もの、ロマネ・コンティ。
リアーヌ・ブラックリリー:世界に一本しかないワインよ?
リアーヌ・ブラックリリー:安物だけれど……ふさわしいものは、
リアーヌ・ブラックリリー:コレしかないから、仕方がないわよね……?
0:ワインを聖杯に注ぎ、少し眺めて
リアーヌ・ブラックリリー:さあ、あなたからよ?ハニービー。
ハニー:……う……ぐう……!
リアーヌ・ブラックリリー:この杯(さかずき)が本物か、偽物か、
リアーヌ・ブラックリリー:あなたの体で……、確かめてちょうだい!
0:リアーヌ、ハニーに無理やり杯を飲ませる。
ハニー:(飲まされる)ぐっ……、あ、ああ……!
0:ハニー体を痙攣させ、ぐったりとする。
リアーヌ・ブラックリリー:……。
0:リアーヌ、ハニーの体をなぞりながら
リアーヌ・ブラックリリー:……ふうん……。
リアーヌ・ブラックリリー:生きては……、いるようね?
リアーヌ・ブラックリリー:……おめでとう、奇跡は成功よ。
0:リアーヌ、命じるように
リアーヌ・ブラックリリー:目覚めなさい。ハニービー。
0:ハニー、反応がない。
リアーヌ・ブラックリリー:暗示も効かない……。素晴らしい!
リアーヌ・ブラックリリー:わたくしの撃ち込んだ、銃の傷も消えて……?
リアーヌ・ブラックリリー:ん……?これは……何?……虫!?
0:ベアの虫型ドローンが拘束する縄を切断する
ハニー:この!くそ女!!
0:ハニー車椅子を蹴り、ブラックリリーに頭突きを入れる。
リアーヌ・ブラックリリー:フフッ!
0:ブラックリリー、軽く避ける。
ハニー:きつく結んでくれたわね!
0:ベア、通信が復旧する。
ベア:……い!おい!無事か!?
ハニー:ええ、くまちゃん!ありがと!
ハニー:あなたの、虫ちゃんがいなかったら……、抜け出せなかったわ!
リアーヌ・ブラックリリー:フフフ……、元気いっぱいねぇ……。
リアーヌ・ブラックリリー:この聖杯は、やはり本物のようだわ。
ハニー:ええ、そうね。おかげでベニト石の方は……頂けないようだし、
ハニー:……それを頂けると助かるんだけれど?
リアーヌ・ブラックリリー:いやと言ったら?
ハニー:……言わせないだけよ。
0:銃を取り出す
ハニー:あんただけは絶対に……、殺す。
ベア:お、おい、ハニー!
リアーヌ・ブラックリリー:あら、それは困るわね……。
リアーヌ・ブラックリリー:……でも、いいのかしら?
リアーヌ・ブラックリリー:わたくしが、このベニト石を少しでも動かせば……、
リアーヌ・ブラックリリー:あなたも死ぬことになるわよ?
ハニー:……くっ。
リアーヌ・ブラックリリー:ウフフ……、少し、待っていてちょうだいね?
リアーヌ・ブラックリリー:だって、ハニービー……。
リアーヌ・ブラックリリー:あなただけが味わうだなんて……、ずるいわ。
0:リアーヌ、ワインを聖杯に注ぎ
リアーヌ・ブラックリリー:ああ……、これが恵み。これこそが未来。
リアーヌ・ブラックリリー:命に……、乾杯。
マーシャル:待て!リアーヌ!!
リアーヌ・ブラックリリー:!?
リアーヌ・ブラックリリー:マーシャル!?どうして!?
リアーヌ・ブラックリリー:……どうして、ここにいるの!?
0:リアーヌ、顔を隠しながら
執事:わたくしが、お連れしたのです。その杯(さかずき)を飲んではいけません。
リアーヌ・ブラックリリー:クリス!?お前……、どういうつもりなの!?
リアーヌ・ブラックリリー:……ああ……、見ないで……。
リアーヌ・ブラックリリー:わたくしの顔を見ないで!マーシャル!
ハニー:(小声で)……チャンス!
0:ハニー、マーシャルに背を向けて崩れ落ちるブラックリリーに銃を向ける。
マーシャル:銃を捨てろ!ハニーベア!手をあげて、後ろに下がれ。
ハニー:(舌打ち)
ベア:(つぶやく)今回は……感謝するぜ……、マーシャルの旦那……。
ベア:ハニー、許せねえのも……わかる。
ベア:だが、殺しは……セクシーじゃねえ。
ベア:……お願いだから……、落ち着いてくれ。
ハニー:(ため息)……ハイハイ。
0:ハニー、銃を置いて
ハニー:……これでいい?
マーシャル:……リアーヌ。全て聞いた。
マーシャル:君がブラックリリーであったことも、火傷のことも、
マーシャル:……顔を変えて、俺に会いに来てくれていたことも……。
リアーヌ・ブラックリリー:……!?
マーシャル:あの日、君はブラックリリーとして、
マーシャル:……利用するために私に近付いたんだろう?
マーシャル:……気づいていた。
リアーヌ・ブラックリリー:……どういうこと?
マーシャル:君の手は……、会うたびに傷が増えていた。
マーシャル:……普通ではできない位置に、だ。
マーシャル:決定的だったのは、君の目だ。
マーシャル:……君は時々、恐ろしい目をする時があった。
マーシャル:そして、翌日には……必ずその視線の先にあったものが消えた。
リアーヌ・ブラックリリー:わたくしを……、騙していたの……?
マーシャル:違う!!
マーシャル:……許されないとはわかっていた。
マーシャル:だが……、君と話し、肌を重ねるうちに、
マーシャル:……どうしようもなく、……君に心惹かれた。
マーシャル:……愛してしまったんだ。
リアーヌ・ブラックリリー:嘘よ!わたくしは……わたくしは地味でつまらない……
マーシャル:そうじゃない!!
マーシャル:本当の君は、……俺の愛したリアーヌはいつだって微笑んでいた。
マーシャル:そして、いつも聡明(そうめい)で、美しい女性だった!
マーシャル:ブラックリリーなんかに負けるな!君はそんな弱い女性じゃない!
マーシャル:君が裁きを受けるなら、その罪は俺も背負う!
リアーヌ・ブラックリリー:……マーシャル……。
マーシャル:この二年間、ずっと俺を……、みていてくれたんだろう?
マーシャル:俺も……、ずっと君を想っていた。
マーシャル:二年前、君から一方的に別れを告げられたときには、辛かった……。
マーシャル:……だが、君の人生の重荷になるまいと……、身を引いた。
マーシャル:忘れようとした。
リアーヌ・ブラックリリー:……。
マーシャル:だが、気持ちは変わらなかった!愛しているんだ……。
マーシャル:二年も、君を1人にした……。
マーシャル:俺の言葉なんか、信じられないかもしれない。
マーシャル:だが、これだけは信じてくれ!頼む!
マーシャル:その杯(さかずき)を飲めば、君は死んでしまう!!
リアーヌ・ブラックリリー:……フッ、フフフ……アハハハハ!!(狂ったように笑う)
リアーヌ・ブラックリリー:信じてくれ……、ですって?
0:焼けただれた顔をマーシャルに見せつけ
リアーヌ・ブラックリリー:この顔を見ても、まだそう言えるのかしら!?
マーシャル:……!
リアーヌ・ブラックリリー:ウフフッ……!恐れたわね……?
リアーヌ・ブラックリリー:結局、あなたもそう……。
リアーヌ・ブラックリリー:わたくしがブラックリリーだから、
リアーヌ・ブラックリリー:そう言って、だますつもりなんでしょう!?
マーシャル:違う!!俺は本当に君のことを……!
リアーヌ・ブラックリリー:黙って!!
リアーヌ・ブラックリリー:……わたくしを誰だと思っているの……?
リアーヌ・ブラックリリー:怪盗、ブラックリリーよ!
マーシャル:違う!!君は……
リアーヌ・ブラックリリー:そして、あなたは警察。
リアーヌ・ブラックリリー:わたくしを追い、檻に閉じ込める者。
リアーヌ・ブラックリリー:……でも、安心してちょうだい。
リアーヌ・ブラックリリー:ブラックリリーは、ここで死ぬ!
リアーヌ・ブラックリリー:この聖杯こそが、わたくしを……
リアーヌ・ブラックリリー:あなたの愛した……、リアーヌにしてくれるのよ!
マーシャル:ダメだ!やめろ!リアーヌ!
0:リアーヌ、一息に杯をあおる
リアーヌ・ブラックリリー:(感嘆するように)ああ……
リアーヌ・ブラックリリー:う!!がぁっ!っぐう!!(苦しみだす)
リアーヌ・ブラックリリー:あ、ああ……な、なぜ……?この聖杯……は本物……
0:マーシャル、リアーヌに駆け寄り
マーシャル:リアーヌ!大丈夫か!?おい!しっかりしろ
0:リアーヌ手の先から塵になり始める
リアーヌ・ブラックリリー:ああ……、マーシャル……やっと……呼んでくれた……
リアーヌ・ブラックリリー:……ずっと……会いたかった。
マーシャル:リアーヌ!おい!なんとかしてくれ!!
0:執事、無念そうに首をふり……
執事:マーシャル様……、奇跡は……人の手では止められません……。
マーシャル:そんなこと、あってたまるか!リアーヌ!
リアーヌ・ブラックリリー:ああ……、マーシャル……、いいの……、いいのよ……。
リアーヌ・ブラックリリー:……ごめんなさい……。
リアーヌ・ブラックリリー:わたくしは……ずっと、あなたの腕に帰りたかった……。
リアーヌ・ブラックリリー:この恐ろしい顔とともに……、
リアーヌ・ブラックリリー:ブラックリリーをほうむって……、あなたの元へ……。
マーシャル:リアーヌ、俺は君が誰であれ、君自身が美しいと思ったんだ!
マーシャル:お願いだ!いかないでくれ!
リアーヌ・ブラックリリー:マーシャル……?こんなに澄んだ気持ちは初めてよ……。
リアーヌ・ブラックリリー:……わたくし、リアーヌになれたかしら?
マーシャル:リアーヌ!
リアーヌ・ブラックリリー:ああ、綺麗な……光ね……。
リアーヌ・ブラックリリー:……愛してるわ……、マーシャル……。
0:リアーヌ全身が白い塵になり、消える。
マーシャル:リアーヌ!?リアーヌ!?ああ……、神様!
0:塵を握りしめむせび泣くマーシャル
ハニー:……今のうちね……。
0:ハニー、転がり落ちた聖杯を足で止め、聖杯を持って気づかれぬように入り口へ移動する
執事:その杯(さかずき)、お返しいただけますか?ハニー様。
ハニー:!
ハニー:……タダ働きは、したくないんだけれど?
執事:その遺物(いぶつ)は……いずれ、破滅を招きます……。
執事:それに……、世界中から監視され、
執事:追われ続けることは……、
執事:あなた方にとって……本意ではないと思いますが……?
ベア:……おい、ハニー、俺は渡した方がいいと思うぜ?
ベア:……面倒はごめんだ。
ハニー:(ため息)……わかったわよ。
執事:ありがとうございます。
ハニー:その代わり、聞きたいんだけど?
ハニー:どうして、同じ聖杯で、同じお酒を飲んだ私は無事で、あの女は塵になったの?
執事:カウチ家の伝承にある、
執事:真の杯(まことのさかずき)、偽りの杯(いつわりのさかずき)とは
執事:……聖杯を飲む人間をしめしているのです。
執事:あなた様は……聖杯を飲まれたとき、強く……生きようと思われた。
執事:……真の杯(まことのさかずき)の、条件を満たしておりました。
執事:しかし……、リアーヌ様は自らを失い……、
執事:自身の一部である……ブラックリリーを殺そうと、……願った。
執事:聖杯は……すこしでも、その者に迷いがあれば、
執事:偽りの杯(いつわりのさかずき)として命を奪う……恐ろしい遺物(いぶつ)。
執事:ゆえに……、誰の手にも渡らぬよう、封印されていたのです。
執事:リアーヌ様にも、お伝えしましたが……、
執事:最後まで……聞いてはくださらなかった……。
ハニー:なるほど……。私はラッキーを引いたってわけね……。
執事:それもあなた様の意思があってこそ。
執事:成長されました……。メアリー様。
ハニー:フッ……、ようやくわかったわ。
ハニー:ブラックリリーが、……私の本当の名前を知らなかった理由。
ハニー:あなたが、私の情報を……隠してくれていたのね?
執事:主人のためとはいえ……、ご迷惑を……。
ハニー:とんだ食わせ者ね。あなた、何者なの?
執事:聖杯を外に出さぬ約定(やくじょう)を……、託された家に仕える者。
執事:それ以上でも、それ以下でもございません。
ハニー:……なるほどね。
執事:はい……。
執事:そうそう……、
執事:タダ働きはお嫌い(おきらい)とのこと、でしたね……?
執事:実は……処分に困る遺品を、たくさんかかえておりまして……、
執事:少しお持ちいただければ、幸いなのですが……。
ベア:マジかよ!?
ハニー:……ベア!いきなり、大声出さないで!
ベア:なあ!どのくらいだ!?トラックの手配は、任せろ!
ハニー:(ため息)……おしゃべりくまちゃん?……通信、切るわね?
0:通信が途中で切れるように
ベア:な!?おい!待っ
ハニー:……騒がしくて、ごめんなさいね。
執事:いいえ……、ベア様も大切なお客様です。
ハニー:……?どういうこと?
執事:リアーヌ様には報告をわすれておりましたが……、
執事:当家のネット回線へ、オンラインでお招きさせていただきました。
ハニー:……。(呆れて)
ハニー:フッ……、本当に……とんだ食わせ者ね。あなた。
執事:お褒めに預かり、光栄でございます……。
マーシャル:待て!
ハニー:……あら、マーシャル警部……。初めまして。
ハニー:いとしの彼女とのお別れは、……もういいのかしら?
マーシャル:黙れ!ハニーベア!貴様を……逮捕する!!
ハニー:フッ……、そういうタフな男……、嫌いじゃないわ。
ハニー:でもね……、女性の名前を間違えるのは……いただけないわ。ほら!
0:ハニー、聖杯をマーシャルに投げる。
マーシャル:なっ!?これは!?……聖杯!?
ハニー:フッ!
0:ハニー、穴へ、フックを使って飛ぶ
ハニー:それ、もういらないから……、あげるわ。
0:ハニー、朝日を背にマーシャルに向き直り、名乗る。
ハニー:それに、……私の名前はハニーベアじゃない……。ハニーよ!
ハニー:また会いましょう?マーシャル警部!
0:ハニー、姿を消す。
マーシャル:なっ!待て!!
0:銃を向けるがそこには日が差し込むのみ。
マーシャル:……。(呆然と息をつく)
執事:マーシャル警部。
マーシャル:……うおっ!?
執事:お返しいただけますか?
マーシャル:……!
マーシャル:……ああ……。すまない……。
執事:……恐れ入ります。
マーシャル:……。
マーシャル:(ため息)……執事さん、俺にはわからん……。
マーシャル:リアーヌは……なぜ、杯(さかずき)を飲んだ?
マーシャル:……俺は、間違えたのか……?
執事:貴方様は……何も、間違えてはおりません。
執事:間違えたのは、リアーヌ様でございます。
執事:あの方は……聖杯を危険と、お知りになりながら、
執事:……お手を出されました。
執事:その時点で……、お間違えになられていたのです……。
マーシャル:……しかし……、
執事:リアーヌ様は……、ご自分のなかの……、
執事:ブラックリリーを、ひどく恐れられていました……。
執事:ですが……、そのブラックリリーは、
執事:……間違いなく自分の一部であることも……、
執事:誰よりもご存知でした。
マーシャル:……!
マーシャル:……それは……つまり……
執事:ご自分を責めるのは……、どうか、おやめください。
執事:リアーヌ様はあなた様によって……、救われたのです。
執事:カウチ家に仕える者として、感謝いたします。
マーシャル:……これから、どうなる?
執事:何も変わることは、ございません。
執事:また……、『新たなカウチ家』の方々がこの家に住み、
執事:わたくしは……、その方々に仕えるだけでございます。
マーシャル:……。
マーシャル:(ため息)……そうか。
マーシャル:そうやって世界は……回っているんだな……。
執事:はい。世界はつつがなく……回っているのでございます。
マーシャル:……わかっていた……つもりだった……。
マーシャル:……が、辛いもんだな……。
執事:……。……誠に……その通りでございます……。
:
:【数日後 ハニー&ベアの隠れ家】
:
0:PCをいじるベア。その後ろでお風呂を楽しむハニー
ベア:……おい、ほんとに良かったのかよ?
ハニー:何がよ?
ベア:お宝に決まってんだろ。
ベア:あのあと、カウチ家に行って、もらえるもんはもらってきたが、
ベア:……大半は置いてきちまったじゃねえか。
ベア:絵画に、アンティーク、彫刻までありやがったのによ……、
ベア:持ってきたのは……、数点の絵と、宝石ばっかだ。
ハニー:バカねえ。くまちゃん?……ああいうのは足がつきやすいの。
ハニー:ブラックリリーが起こした事件まで、いただくのは……ごめんだわ……。
ハニー:悪趣味なものの方が……、多かったしね。
ベア:……まあ、それについては同感だな。
ベア:俺は美術品には、くわしくねえが……
ベア:これであのでっけえ石ころ……何個分くらいなんだ?
ハニー:さあね。でも、しゃくだけど……ブラックリリーの目利きは確かよ。
ハニー:このネックレス一つでも……、4---万ドルは下らないでしょうね
ベア:マジかよ……。
ハニー:まあ……、でも、惜しかったわ……。
ハニー:伝説の聖杯と、その鍵になる……宝石。
ハニー:あれほどセクシーな者には……、なかなか巡り合えないでしょうね。
ベア:まあ、『世界中を敵に回す』って、
ベア:言われちまったんなら……、仕方ねえな……っと。
ベア:……お?
ベア:『リアーヌ・カウチ女史(じょし)、死去
ベア:ジュエリー大手 Couchi(カウチ)などのオーナーで知られる、
ベア:リアーヌ・カウチ女史が交通事故で死亡。』……だとさ。
ハニー:(つぶやく)……ほんとに食わせ者ね……。
ベア:はは、お悔やみをだってよ。
ベア:あの女がどんな女だったか……、知ったらぶっ飛ぶぜ?こいつら。
ハニー:ベア!今すぐその口を、閉じてくれる?
ハニー:今は、そういう気分じゃないの!
ベア:っんだよ……。つれねえな……。
0:ベアのパソコンにメールが来る。
ベア:あ?誰だ?専用メールに。
ベア:……お、おい!きてみろよ!ハニー!
ハニー:何よ、クマちゃん?
ベア:いいから来いって!これ見てみろ!
ハニー:わかったわよ……。せっかくのバスタイムなのに……。
0:ハニー、バスローブを着て、ベアのパソコンを見る。
ベア:おい!見てみろ!これ!
ハニー:……なんなのよ?
ハニー:……!……このメールは……。
執事:ハニー様・ベア様
執事:先日は、誠にありがとうございました。
執事:今回の件は、リアーヌ様の独断のものと……報告させていただきました。
執事:お二人には、今後も監視などの手は及びません。
執事:また、本件のお礼としまして、
執事:お二人の口座へ、1-億ドルを振り込ませていただきました。
執事:今後も……お二人の健やかな日々を、お祈り申し上げております。
ベア:1-億ドル!?
ハニー:……。
ベア:マジだ!!1-億ドル振り込まれてるぜ!!
ハニー:……ほんと……食わせ者どころか、食えない執事さんね……。
ベア:おい、これからどうする?しばらく怪盗家業は休んで、
ベア:どっか豪遊(ごうゆう)するか!?
ハニー:(ため息)……それよりも専用メールと、
ハニー:仮想口座(かそうこうざ)を変えるところから、
ハニー:……始めた方がいいんじゃないかしら?
ベア:あ、ああ、そうか……。
ベア:……なあ、お前の言ってた執事、いったい何者なんだ?
ハニー:……さあね?でも、私たちのことを……、
ハニー:いつでも探し出せるって、意味もあるんでしょ……。
ハニー:……フッ。でも、悪くないわ。
ハニー:……そういうのも、スリルがあって……セクシーね!
ベア:な、なあ、これからどうするよ?世界でも回るか?
0:ハニー少し考えた後、楽しいことを思いついたように
ハニー:ふむ……、それも悪くないわね……。
ハニー:けれど、この世界にはまだまだセクシーなことが、たくさんあると思わない?
ハニー:それに、……警察のワンちゃんたちとの追いかけっこも、
ハニー:なかなか楽しいとは思わない?
ベア:それじゃあ……、この金はどうする?
ハニー:(軽く笑って)……バカね!クマちゃん。あなたがつかうのよ!
ハニー:……確かに、遊ぶのもいいわ。
ハニー:でも、私たちには……、この世界には……、それ以上にスリリングなことがあふれてる!
ハニー:もっと楽しいことをするために、このお金でありったけ……セクシーなものを作って!
ハニー:そして、もっともっと盗みましょう?
ハニー:世界の組織とやらが……、後悔するほどにね!
ハニー:だって、そうでしょ?盗みは……
ベア:クレイジーなほど……
0:セリフを合わせて、同時に
ハニー:面白い!
ベア:面白い!
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:END