台本概要
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タイトル | 君はエキストラ |
---|---|
作者名 | あめがやまない |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 4人用台本(男1、女1、不問2) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
エキストラとして採用された田中。エキストラとは言えど、しっかりと役目を全うしなければならないという責任感に高揚感を覚え、ついつい余計なことをしそうになる。エキストラであるという自覚と奥深くに眠るエキストラの情熱が彼の中で交差してしまう。撮影は上手くいくのだろうか。
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キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
エキストラ | 不問 | 86 | ただのエキストラ。やけに気合が入っており、なにをしでかすか安心できない。名前は田中さん。 |
鈴原 | 女 | 74 | 今回の撮影の役者さん。ヒロイン役を務めるしっかりとした役者。人の心も兼ね備える業界の中でも優しい人。 |
大宮 | 男 | 71 | 今回の撮影の役者さん。主人公訳を務める役者。いいモノをつくりあげるために真面目に役と向き合う人。 |
監督 | 不問 | 39 | 監督さん。妥協を許さず、常に作品のクオリティにこだわり撮影をする。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:自宅
:
エキストラ:きょ、今日が・・・映画のエキストラとしてデビューする日。ドキドキが止まらねぇ。
エキストラ:きれいな役者さんをお目にかかることもできる。緊張するけど、楽しみだなぁ。
エキストラ:よし、気合入れていこう。
:
0:スタジオ入り
:
監督:役者さん入りまーす。
鈴原:よろしくお願いします。
大宮:よろしくお願いします。
監督:今日撮るシーンは大掛かりだからね。よろしく頼むよ。エキストラの皆さんも集まってください。
エキストラ:は、はい!
監督:今から撮るシーンはカット50。町中に巨大怪獣ガダインが現れ、町中の人々が逃げ戸惑うシーンね。エキストラの方は全体的に広がって一直線に逃げてください。
監督:そして逃げるシーンで鈴原さんがエキストラの人とぶつかります。その時大宮君が、すかさず鈴原さんを助けてね。
鈴原:すみません監督。ぶつかった際には大胆に転ぶというか、突き飛ばされるという感じでしょうか。
監督:そうだねぇ。エキストラの人には強めにぶつかってもらおうか。みんな逃げるのに必死だから、特に気にもされず走り去られる感じで。
鈴原:分かりました。ありがとうございます。
大宮:いいですか?監督。
監督:はいはい、どうした?
大宮:飛ばされた鈴原さんは、手を引っ張るか、抱えて走るかどちらがいいですかね。
監督:突き飛ばされるって言っても、歩けなくなるほどじゃないから手を引っ張っていこうか。
大宮:分かりました。ありがとうございます。
監督:それじゃあ、鈴原さんにぶつかってもらいたいんだけど・・・そうだ。君!
エキストラ:え、え?私?私ですか?
監督:そうだよ。君。鈴原さんにぶつかってもらっていいかな。普通に走ってぶつかってもらえばそれでいいからさ。
エキストラ:え、え!?いいんですか!?そんなことして!?
監督:そんなたいそうなことじゃないよ。あんまり重要じゃないから気楽にお願いね。
エキストラ:き、気楽にって言われても・・・。
鈴原:大丈夫ですよ?私何も気にしませんから。演技ですし、普通に飛ばしちゃってください。なれないでしょうけど、落ち着いて。
エキストラ:は、はい!ありがとうございます。よろしくお願いします!
大宮:あははは。そんなに緊張することないよ!人も多いから自然とできると思うよ!頑張って!エキストラ君!
エキストラ:あ、ありがとうございます!
:
エキストラ:(や、やばい。お二人とも優しすぎる。これがサービス精神ってやつなのか!?あんな笑顔で突き飛ばしていいですよだなんてやばいって!女神だよ。
エキストラ:そして、大宮さんもかっこよすぎる。爽やかすぎる。これはもうしっかりやるしかない。気合入ってきた。)
:
監督:ほかに気になる点はないかな?
監督:・・・なさそうだね。よし、さっそく配置につこうか。お願いしまーす。
:
0:配置につく
:
エキストラ:や、やっべー。この一直線に走った先に鈴原さんがいて、そしてぶつかるだと!?漫画か何かでしか起きないよ!緊張してきた・・・。
エキストラ:何百人もいるエキストラの中で使命を授かった。これは運命的なものなのだろうか。これで僕の人生が・・・いやまさか、エキストラで人生なんて変わんねーよなぁ。あははは。
大宮:台詞の確認は大丈夫?
鈴原:うん。大丈夫。ありがとう大宮君。
大宮:サクッと終わらそう。
鈴原:まだまだ序盤だもんね。がんばろ。
監督:配置は大丈夫ですかね・・・。よし、それじゃあいきまーす!カット50。
監督:よーい、アクション!
:
0:怪獣がでてくる
:
大宮:な、なんだよ・・・あれ。
鈴原:か、怪獣?・・・夢?
エキストラ:怪獣だー逃げろー!!
大宮:やばい、これマジだ!おい、鈴原!逃げるぞ!
鈴原:う、うん!
エキストラ:やばいやばいやばい!死ぬーーー!
大宮:はぁ、はぁ、はぁ、鈴原、大丈夫か!
鈴原:はぁ、はぁ、大丈夫だよ!これ、どこに逃げればいいの!
大宮:はぁ、はぁ、分かんねぇ。とりあえず町中は危険だ!とにかくここから離れよう!
鈴原:わ、わかった、はぁ、はぁ、
エキストラ:どけどけー!
0:鈴原とぶつかる
鈴原:きゃぁ!
大宮:鈴原!
エキストラ:(やばい、だめだ、ぶつかっちまった。鈴原さんをケガさせてしまったのか・・・。うぅぅ・・だめだ。耐えられない)
:
エキストラ:す、すみません!立てますか?
鈴原:え?えぇ・・・大丈夫です。ありがとうございます。
エキストラ:ここは危険です!一度私の山奥の納屋に行きましょう!そこなら一時は安全だと思います。さあ!早く!
大宮:ちょ、ちょっとあんた・・・何言ってるんですか。
エキストラ:これは恐らく人類の危機です!うだうだしてる暇なんてありませんよ!二人とも!私についてきて!こっちです!
大宮:え、あぁ、待ってくださいよ!
監督:はい、カァー――――ット!!
エキストラ:あれ?
鈴原:・・・。
大宮:・・・。
監督:君・・・何してんの?
エキストラ:へ?
監督:だから、何してんのって聞いてるの。
エキストラ:私は、ただのエキストラを全うしただけであって・・・。
監督:全然できてないよ!邪魔しかしてないよね。なにべらべら語ってるの?ぶつかったらさっさと通り過ぎてって言ったよね。
エキストラ:いや、はい、すみません。つい。
監督:ったくもう。はい、撮り直します。今のがリハーサルみたいな感覚で!次本番いきまーす!
鈴原:私も、あなたの気持ちは分かるけど、エキストラも映像を作るのに大事な要素なの。分かるね?
エキストラ:はい・・・すみません。
鈴原:役だから気にすることないですよ。別にあなたに悪意があって突き飛ばしてるわけじゃないでしょう?罪悪感を覚えるのはいいことですが、この場では違います。
エキストラ:そうですよね・・・。
鈴原:よくあることです。お気になさらないでください。頑張りましょう。
エキストラ:ありがとうございます・・・。
大宮:俺もね、エキストラやった時、やっちゃったことあるからさ。気持ちわかるよ!まーでも状況は考えなよ?俺が言えることじゃないけどね。あはは!
エキストラ:すみませんでした。
大宮:謝ることないって!切り替えていこ!つぎつぎ!
エキストラ:ありがとうございます・・・。
:
エキストラ:(あの二人は懐の深さもけた違いなのか!?エキストラごときの自分に、ここまで丁寧に接してくれるのか!?これはもう二人のためにエキストラを全うしよう。)
監督:はい、それじゃあいきまーす。カット50。
監督:よーい、アクション!
:
0:怪獣がでてくる
:
大宮:な、なんだよ・・・あれ。
鈴原:か、怪獣?・・・夢?
エキストラ:怪獣だー逃げろー!!
大宮:やばい、これマジだ!おい、鈴原!逃げるぞ!
鈴原:う、うん!
エキストラ:やばいやばいやばい!死ぬーーー!
大宮:はぁ、はぁ、はぁ、鈴原、大丈夫か!
鈴原:はぁ、はぁ、大丈夫だよ!これ、どこに逃げればいいの!
大宮:はぁ、はぁ、分かんねぇ。とりあえず町中は危険だ!とにかくここから離れよう!
鈴原:わ、わかった、はぁ、はぁ、
エキストラ:どけどけー!
0:鈴原とぶつかる
鈴原:きゃぁ!
大宮:鈴原!
エキストラ:(うわぁぁ!「きゃぁ!」って声が胸に突き刺さる!苦しい!罪の意識が・・・うぅぅ・・だめだ。耐えられない)
:
エキストラ:すみません!大丈夫ですか!?
鈴原:えぇ。ありがとうございます。
大宮:大丈夫か?立てるか?
鈴原:うん、大丈夫。ありがとう。
エキストラ:・・・はっ!
大宮:ど、どうされました?
エキストラ:あなた、もしかしてエキストラの一族!?
鈴原:え、え?
大宮:エキストラ?
エキストラ:その首筋にある三つのほくろを持つ者はガダインと深い関係があると聞いたことがあります!
鈴原:な、なにを言っているんですか?
エキストラ:今は話せる状況ではありません!早く逃げてください!
大宮:いや、だからあんたは一体・・・。
エキストラ:通りすがりのエキストラですよ。
鈴原:あ、あぁ。
監督:カットカットカァ―――――ット!!
鈴原:はぁ・・・。
大宮:まじか・・・。
エキストラ:・・・あれ?
監督:君!何をしてるの!?二回目だよ!?何してるの!?
エキストラ:いえ・・・今回ばかりは、エキストラをしたはずなのですが・・・。
監督:君さ・・・勝手にエキストラの一族なんて作らないでくれるかな?
監督:エキストラっていうのはね?物語で重要性の少ない役を演じる出演者のことを言うんだよ!そのエキストラをしろって言ってるんだよ!
エキストラ:で、でも・・・エキストラにも人生があって、思うことはエキストラによって違うわけであって・・・。
監督:あーもう!君の感受性がいい感じに邪魔してるよ!エキストラで何か爪痕残したいんでしょ?そういうのよくあるよね!でもそんなの今必要ないから!おとなしくぶつかって終わってくれ!
エキストラ:す、すみませんでした・・・。
鈴原:んー、あなたは何がしたいの?映画製作の邪魔をしに来たの?
エキストラ:い、いえ!違います!そんなことはありません!
鈴原:じゃあ・・・なに。
エキストラ:映画のエキストラとして・・・ここにいます。
鈴原:そうよね。なのにどうして勝手な行動をするの?
エキストラ:すみません。鈴原さんの突き飛ばされた時の声を聴いてしまうと、居ても立っても居られなくなって。
鈴原:なるほどね・・・。わかった。
エキストラ:え?ど、どうしたんですか?
鈴原:私が悪かった。次はあなたにそんなことさせないようにする。安心して。
エキストラ:鈴原さんは何も悪く・・・。
鈴原:配置につきましょう。
エキストラ:あ、あぁ・・・。
:
監督:ったくもう!それじゃあいきまーす。カット50。
監督:よーい、アクション!
:
0:怪獣がでてくる
:
大宮:な、なんだよ・・・あれ。
鈴原:か、怪獣?・・・夢?
エキストラ:怪獣だー逃げろー!!
大宮:やばい、これマジだ!おい、鈴原!逃げるぞ!
鈴原:う、うん!
エキストラ:やばいやばいやばい!死ぬーーー!
大宮:はぁ、はぁ、はぁ、鈴原、大丈夫か!
鈴原:はぁ、はぁ、大丈夫だよ!これ、どこに逃げればいいの!
大宮:はぁ、はぁ、分かんねぇ。とりあえず町中は危険だ!とにかくここから離れよう!
鈴原:わ、わかった、はぁ、はぁ、
エキストラ:どけどけー!
0:鈴原とぶつかる
鈴原:いった!
大宮:鈴原!
エキストラ:(やっぱり、だめだ!抑えられ・・・)
鈴原:いってーなテメェ!ぶつかってんじゃねーよクソ野郎!
大宮:す、鈴原?
鈴原:生きるか死ぬかの状況で人突き飛ばしてんじゃねーぞ!てことはお前にもやられる覚悟があるんだよなぁ!?あぁ!?
エキストラ:え、あ、いや。
大宮:おい、鈴原!そんなことしてる場合じゃないって!早く行くぞ!手をかせ!
鈴原:ありがとう大宮くん・・・。お前の顔覚えたからな!?あの怪獣につぶされて消えろ!ゴミ!
エキストラ:あ、あぁ・・・。
監督:カットカットカァ―――――ット!!
鈴原:はぁ・・・。
大宮:えぇ?
エキストラ:あ、あぁ・・・。
監督:おい、鈴原さんどうしたの!?さっきまで凄い良かったのに急にどうしたの!
鈴原:エキストラの方が暴走してしまわないように、私が配慮しただけです。
監督:君が暴走しちゃってるんだよね。ヒロインの印象が最悪になっちゃうんだよね。鈴原さんならわかるよね?
鈴原:はい、分かります。
監督:なら今まで通りちゃんとやってくれよ!!!!!
鈴原:はい。申し訳ありません。
エキストラ:・・・鈴原さん。
鈴原:気にしないで。私の演技力が足りなかっただけ。
エキストラ:いや、演技は見事でした。ただ・・・役に沿わなかっただけだと思います。
鈴原:どうしたらいいのかしら・・・。
大宮:なんだそんなことしてたのか。
エキストラ:大宮さん。
大宮:鈴原さんがだめなら、俺の出番だな。
鈴原:大宮君・・・できる?
大宮:エキストラの君が、変なことしないような演技をすればいいんだろ?任せとけ。
エキストラ:本当にすみません。エキストラの分際でこんなことまでしてもらって。
大宮:映画は主役だけで作るモノじゃないからな!みんなで作るもんだ!気にするなよ!
エキストラ:ありがとうございます!
:
監督:もういい加減決めてくれよ!?カット50。
監督:よーい、アクション!
:
0:怪獣がでてくる
:
大宮:な、なんだよ・・・あれ。
鈴原:か、怪獣?・・・夢?
エキストラ:怪獣だー逃げろー!!
大宮:やばい、これマジだ!おい、鈴原!逃げるぞ!
鈴原:う、うん!
エキストラ:やばいやばいやばい!死ぬーーー!
大宮:はぁ、はぁ、はぁ、鈴原、大丈夫か!
鈴原:はぁ、はぁ、大丈夫だよ!これ、どこに逃げればいいの!
大宮:はぁ、はぁ、分かんねぇ。とりあえず町中は危険だ!とにかくここから離れよう!
鈴原:わ、わかった、はぁ、はぁ、
エキストラ:どけどけー!
0:鈴原とぶつかる
鈴原:きゃぁ!
大宮:鈴原!
エキストラ:(やっぱりだめだ!俺の中のエキストラ魂が!)
大宮:俺の鈴原をよくも!
エキストラ:え?
大宮:おらぁ!
0:腹を殴られる
エキストラ:ぐほっ
大宮:鈴原大丈夫か!?早く逃げよう!
鈴原:う、うん。でも、この人が・・・。
大宮:気にするな!突き飛ばした奴だぞ!自業自得だ!行こう!
監督:カットカットカァ―――――ット!!
エキストラ:い、いたぃ・・・。
監督:大宮君何してるの?エキストラを殴るシーンなんてないよ!?
大宮:俺なりのエキストラに対する配慮です。
監督:全然配慮できてないよ。それとも何だ、私の作品をめちゃくちゃにしたいのかい?
大宮:監督の作品を侮辱するつもりはありません。
監督:だったら、ちゃんとしてくれ!お願いだから!
大宮:すみませんでした。
エキストラ:すみません。僕のせいでこんなことに。
大宮:いや、俺も殴って悪かった。これじゃあダメだったなぁ。
鈴原:監督を納得させて、かつエキストラのあなたにも被害が出ない方法・・・。
エキストラ:もう、僕がエキストラしなければ解決するんじゃ・・・。
鈴原:それは妥協っていうのよ。妥協しちゃダメ。
大宮:その通りだ。エキストラになったからにはしっかりとエキストラに入り込め。
エキストラ:そ、そうですか・・・。
大宮:なにかねーかな。
鈴原:・・・わかった。
大宮:お、何か思いついたか!
鈴原:あなた、さっきから意味不明なアドリブばかりでしたよね。
エキストラ:は、はい。
鈴原:そのアドリブで、監督を納得させる演技をしましょう。
エキストラ:そ、そんなことしていいんですか!?
大宮:いいわけないだろう。
エキストラ:そ、そうですよね・・・。
鈴原:でもね、あなたを見て思い出したの。エキストラ一人も活かせないで何が役者なんだろうって。
大宮:役者魂ってやつだな。
鈴原:だから、私たちがあなたのアドリブに合わせる!最高のワンシーンにしましょう。
エキストラ:鈴原さん・・・!
大宮:そうだな!お前に全部任せたぜ!アドリブの才能は申し分ねぇ!
エキストラ:大宮さん・・・!
鈴原:さ、私たちで監督を納得させましょう!
エキストラ:はい!
:
監督:配置についたかー?悪ふざけはもうしないでくれよ?
監督:よーい、アクション!
:
0:怪獣がでてくる
:
大宮:な、なんだよ・・・あれ。
鈴原:か、怪獣?・・・夢?
エキストラ:怪獣だー逃げろー!!
大宮:やばい、これマジだ!おい、鈴原!逃げるぞ!
鈴原:う、うん!
エキストラ:やばいやばいやばい!死ぬーーー!
大宮:はぁ、はぁ、はぁ、鈴原、大丈夫か!
鈴原:はぁ、はぁ、大丈夫だよ!これ、どこに逃げればいいの!
大宮:はぁ、はぁ、分かんねぇ。とりあえず町中は危険だ!とにかくここから離れよう!
鈴原:わ、わかった、はぁ、はぁ、
エキストラ:どけどけー!
0:鈴原とぶつかる
鈴原:きゃぁ!
大宮:鈴原!
エキストラ:すみません!お嬢さん!大丈夫ですか。
鈴原:え、は、はい。
エキストラ:お二人とも早く逃げてください。ここは私が食い止めます。
大宮:え、いや、あんた何を言って。
エキストラ:私は、ガダイン特殊対策部隊「エキストラ」の者です。
大宮:エ、エキストラ・・・?
エキストラ:10年以内に現れるとは聞いていたが、まさかこんなに早く出現するとは・・・。
大宮:で、でも・・・あんた逃げてましたよね?
エキストラ:逃げていたのではない。人々の避難を誘導していただけだ。さぁ、君たちも早く逃げるんだ。
鈴原:で、でも・・・
エキストラ:気にするな!民衆の安全が我々の使命だ!
大宮:あ、あぁ。すまない。感謝する!
大宮:いこう鈴原。どうかお気をつけて!
エキストラ:あぁ!ありがとう!私も君たちの安全を願ってる!うおおおおお!
鈴原:だ、大丈夫かな・・・。
大宮:特殊部隊っていうくらいだ。信じよう。とりあえず今は逃げるんだ!
鈴原:そ、そうだね。急ごう。
監督:カットカットカァ―――――ット!!
監督:なにしてんの君たち。もうめちゃくちゃだよ。
大宮:この設定は活かせそうじゃないですか?
鈴原:特殊部隊エキストラ・・・これはありかもしれない。
監督:なしだよ!あるわけないだろ!何を考えているんだ!というか二人ともなんで乗っかっちゃってるの!?
大宮:彼をみていると初心を思い出してしまってつい。
鈴原:私もです。エキストラを活かさなければと思いまして。
監督:エキストラが君らを活かしてくれているんだよ。わからないのか。
エキストラ:監督!これが私の最高のエキストラです。どうでしょうか。
監督:それで自分は凄いとでも思っているのかい?呆れるよ!
大宮:脚本を一から作り直してみては?
監督:私が作りたいものを作ってほしいから君たちを抜擢したんだ!余計なことは言うな!
鈴原:特殊部隊エキストラ・・・実際にありそうじゃないですか!
監督:さっきから引っ張られすぎなんだよ君は!
エキストラ:私の名前は田中です!
監督:覚えるかー!
0:自宅
:
エキストラ:きょ、今日が・・・映画のエキストラとしてデビューする日。ドキドキが止まらねぇ。
エキストラ:きれいな役者さんをお目にかかることもできる。緊張するけど、楽しみだなぁ。
エキストラ:よし、気合入れていこう。
:
0:スタジオ入り
:
監督:役者さん入りまーす。
鈴原:よろしくお願いします。
大宮:よろしくお願いします。
監督:今日撮るシーンは大掛かりだからね。よろしく頼むよ。エキストラの皆さんも集まってください。
エキストラ:は、はい!
監督:今から撮るシーンはカット50。町中に巨大怪獣ガダインが現れ、町中の人々が逃げ戸惑うシーンね。エキストラの方は全体的に広がって一直線に逃げてください。
監督:そして逃げるシーンで鈴原さんがエキストラの人とぶつかります。その時大宮君が、すかさず鈴原さんを助けてね。
鈴原:すみません監督。ぶつかった際には大胆に転ぶというか、突き飛ばされるという感じでしょうか。
監督:そうだねぇ。エキストラの人には強めにぶつかってもらおうか。みんな逃げるのに必死だから、特に気にもされず走り去られる感じで。
鈴原:分かりました。ありがとうございます。
大宮:いいですか?監督。
監督:はいはい、どうした?
大宮:飛ばされた鈴原さんは、手を引っ張るか、抱えて走るかどちらがいいですかね。
監督:突き飛ばされるって言っても、歩けなくなるほどじゃないから手を引っ張っていこうか。
大宮:分かりました。ありがとうございます。
監督:それじゃあ、鈴原さんにぶつかってもらいたいんだけど・・・そうだ。君!
エキストラ:え、え?私?私ですか?
監督:そうだよ。君。鈴原さんにぶつかってもらっていいかな。普通に走ってぶつかってもらえばそれでいいからさ。
エキストラ:え、え!?いいんですか!?そんなことして!?
監督:そんなたいそうなことじゃないよ。あんまり重要じゃないから気楽にお願いね。
エキストラ:き、気楽にって言われても・・・。
鈴原:大丈夫ですよ?私何も気にしませんから。演技ですし、普通に飛ばしちゃってください。なれないでしょうけど、落ち着いて。
エキストラ:は、はい!ありがとうございます。よろしくお願いします!
大宮:あははは。そんなに緊張することないよ!人も多いから自然とできると思うよ!頑張って!エキストラ君!
エキストラ:あ、ありがとうございます!
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エキストラ:(や、やばい。お二人とも優しすぎる。これがサービス精神ってやつなのか!?あんな笑顔で突き飛ばしていいですよだなんてやばいって!女神だよ。
エキストラ:そして、大宮さんもかっこよすぎる。爽やかすぎる。これはもうしっかりやるしかない。気合入ってきた。)
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監督:ほかに気になる点はないかな?
監督:・・・なさそうだね。よし、さっそく配置につこうか。お願いしまーす。
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0:配置につく
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エキストラ:や、やっべー。この一直線に走った先に鈴原さんがいて、そしてぶつかるだと!?漫画か何かでしか起きないよ!緊張してきた・・・。
エキストラ:何百人もいるエキストラの中で使命を授かった。これは運命的なものなのだろうか。これで僕の人生が・・・いやまさか、エキストラで人生なんて変わんねーよなぁ。あははは。
大宮:台詞の確認は大丈夫?
鈴原:うん。大丈夫。ありがとう大宮君。
大宮:サクッと終わらそう。
鈴原:まだまだ序盤だもんね。がんばろ。
監督:配置は大丈夫ですかね・・・。よし、それじゃあいきまーす!カット50。
監督:よーい、アクション!
:
0:怪獣がでてくる
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大宮:な、なんだよ・・・あれ。
鈴原:か、怪獣?・・・夢?
エキストラ:怪獣だー逃げろー!!
大宮:やばい、これマジだ!おい、鈴原!逃げるぞ!
鈴原:う、うん!
エキストラ:やばいやばいやばい!死ぬーーー!
大宮:はぁ、はぁ、はぁ、鈴原、大丈夫か!
鈴原:はぁ、はぁ、大丈夫だよ!これ、どこに逃げればいいの!
大宮:はぁ、はぁ、分かんねぇ。とりあえず町中は危険だ!とにかくここから離れよう!
鈴原:わ、わかった、はぁ、はぁ、
エキストラ:どけどけー!
0:鈴原とぶつかる
鈴原:きゃぁ!
大宮:鈴原!
エキストラ:(やばい、だめだ、ぶつかっちまった。鈴原さんをケガさせてしまったのか・・・。うぅぅ・・だめだ。耐えられない)
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エキストラ:す、すみません!立てますか?
鈴原:え?えぇ・・・大丈夫です。ありがとうございます。
エキストラ:ここは危険です!一度私の山奥の納屋に行きましょう!そこなら一時は安全だと思います。さあ!早く!
大宮:ちょ、ちょっとあんた・・・何言ってるんですか。
エキストラ:これは恐らく人類の危機です!うだうだしてる暇なんてありませんよ!二人とも!私についてきて!こっちです!
大宮:え、あぁ、待ってくださいよ!
監督:はい、カァー――――ット!!
エキストラ:あれ?
鈴原:・・・。
大宮:・・・。
監督:君・・・何してんの?
エキストラ:へ?
監督:だから、何してんのって聞いてるの。
エキストラ:私は、ただのエキストラを全うしただけであって・・・。
監督:全然できてないよ!邪魔しかしてないよね。なにべらべら語ってるの?ぶつかったらさっさと通り過ぎてって言ったよね。
エキストラ:いや、はい、すみません。つい。
監督:ったくもう。はい、撮り直します。今のがリハーサルみたいな感覚で!次本番いきまーす!
鈴原:私も、あなたの気持ちは分かるけど、エキストラも映像を作るのに大事な要素なの。分かるね?
エキストラ:はい・・・すみません。
鈴原:役だから気にすることないですよ。別にあなたに悪意があって突き飛ばしてるわけじゃないでしょう?罪悪感を覚えるのはいいことですが、この場では違います。
エキストラ:そうですよね・・・。
鈴原:よくあることです。お気になさらないでください。頑張りましょう。
エキストラ:ありがとうございます・・・。
大宮:俺もね、エキストラやった時、やっちゃったことあるからさ。気持ちわかるよ!まーでも状況は考えなよ?俺が言えることじゃないけどね。あはは!
エキストラ:すみませんでした。
大宮:謝ることないって!切り替えていこ!つぎつぎ!
エキストラ:ありがとうございます・・・。
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エキストラ:(あの二人は懐の深さもけた違いなのか!?エキストラごときの自分に、ここまで丁寧に接してくれるのか!?これはもう二人のためにエキストラを全うしよう。)
監督:はい、それじゃあいきまーす。カット50。
監督:よーい、アクション!
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0:怪獣がでてくる
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大宮:な、なんだよ・・・あれ。
鈴原:か、怪獣?・・・夢?
エキストラ:怪獣だー逃げろー!!
大宮:やばい、これマジだ!おい、鈴原!逃げるぞ!
鈴原:う、うん!
エキストラ:やばいやばいやばい!死ぬーーー!
大宮:はぁ、はぁ、はぁ、鈴原、大丈夫か!
鈴原:はぁ、はぁ、大丈夫だよ!これ、どこに逃げればいいの!
大宮:はぁ、はぁ、分かんねぇ。とりあえず町中は危険だ!とにかくここから離れよう!
鈴原:わ、わかった、はぁ、はぁ、
エキストラ:どけどけー!
0:鈴原とぶつかる
鈴原:きゃぁ!
大宮:鈴原!
エキストラ:(うわぁぁ!「きゃぁ!」って声が胸に突き刺さる!苦しい!罪の意識が・・・うぅぅ・・だめだ。耐えられない)
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エキストラ:すみません!大丈夫ですか!?
鈴原:えぇ。ありがとうございます。
大宮:大丈夫か?立てるか?
鈴原:うん、大丈夫。ありがとう。
エキストラ:・・・はっ!
大宮:ど、どうされました?
エキストラ:あなた、もしかしてエキストラの一族!?
鈴原:え、え?
大宮:エキストラ?
エキストラ:その首筋にある三つのほくろを持つ者はガダインと深い関係があると聞いたことがあります!
鈴原:な、なにを言っているんですか?
エキストラ:今は話せる状況ではありません!早く逃げてください!
大宮:いや、だからあんたは一体・・・。
エキストラ:通りすがりのエキストラですよ。
鈴原:あ、あぁ。
監督:カットカットカァ―――――ット!!
鈴原:はぁ・・・。
大宮:まじか・・・。
エキストラ:・・・あれ?
監督:君!何をしてるの!?二回目だよ!?何してるの!?
エキストラ:いえ・・・今回ばかりは、エキストラをしたはずなのですが・・・。
監督:君さ・・・勝手にエキストラの一族なんて作らないでくれるかな?
監督:エキストラっていうのはね?物語で重要性の少ない役を演じる出演者のことを言うんだよ!そのエキストラをしろって言ってるんだよ!
エキストラ:で、でも・・・エキストラにも人生があって、思うことはエキストラによって違うわけであって・・・。
監督:あーもう!君の感受性がいい感じに邪魔してるよ!エキストラで何か爪痕残したいんでしょ?そういうのよくあるよね!でもそんなの今必要ないから!おとなしくぶつかって終わってくれ!
エキストラ:す、すみませんでした・・・。
鈴原:んー、あなたは何がしたいの?映画製作の邪魔をしに来たの?
エキストラ:い、いえ!違います!そんなことはありません!
鈴原:じゃあ・・・なに。
エキストラ:映画のエキストラとして・・・ここにいます。
鈴原:そうよね。なのにどうして勝手な行動をするの?
エキストラ:すみません。鈴原さんの突き飛ばされた時の声を聴いてしまうと、居ても立っても居られなくなって。
鈴原:なるほどね・・・。わかった。
エキストラ:え?ど、どうしたんですか?
鈴原:私が悪かった。次はあなたにそんなことさせないようにする。安心して。
エキストラ:鈴原さんは何も悪く・・・。
鈴原:配置につきましょう。
エキストラ:あ、あぁ・・・。
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監督:ったくもう!それじゃあいきまーす。カット50。
監督:よーい、アクション!
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0:怪獣がでてくる
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大宮:な、なんだよ・・・あれ。
鈴原:か、怪獣?・・・夢?
エキストラ:怪獣だー逃げろー!!
大宮:やばい、これマジだ!おい、鈴原!逃げるぞ!
鈴原:う、うん!
エキストラ:やばいやばいやばい!死ぬーーー!
大宮:はぁ、はぁ、はぁ、鈴原、大丈夫か!
鈴原:はぁ、はぁ、大丈夫だよ!これ、どこに逃げればいいの!
大宮:はぁ、はぁ、分かんねぇ。とりあえず町中は危険だ!とにかくここから離れよう!
鈴原:わ、わかった、はぁ、はぁ、
エキストラ:どけどけー!
0:鈴原とぶつかる
鈴原:いった!
大宮:鈴原!
エキストラ:(やっぱり、だめだ!抑えられ・・・)
鈴原:いってーなテメェ!ぶつかってんじゃねーよクソ野郎!
大宮:す、鈴原?
鈴原:生きるか死ぬかの状況で人突き飛ばしてんじゃねーぞ!てことはお前にもやられる覚悟があるんだよなぁ!?あぁ!?
エキストラ:え、あ、いや。
大宮:おい、鈴原!そんなことしてる場合じゃないって!早く行くぞ!手をかせ!
鈴原:ありがとう大宮くん・・・。お前の顔覚えたからな!?あの怪獣につぶされて消えろ!ゴミ!
エキストラ:あ、あぁ・・・。
監督:カットカットカァ―――――ット!!
鈴原:はぁ・・・。
大宮:えぇ?
エキストラ:あ、あぁ・・・。
監督:おい、鈴原さんどうしたの!?さっきまで凄い良かったのに急にどうしたの!
鈴原:エキストラの方が暴走してしまわないように、私が配慮しただけです。
監督:君が暴走しちゃってるんだよね。ヒロインの印象が最悪になっちゃうんだよね。鈴原さんならわかるよね?
鈴原:はい、分かります。
監督:なら今まで通りちゃんとやってくれよ!!!!!
鈴原:はい。申し訳ありません。
エキストラ:・・・鈴原さん。
鈴原:気にしないで。私の演技力が足りなかっただけ。
エキストラ:いや、演技は見事でした。ただ・・・役に沿わなかっただけだと思います。
鈴原:どうしたらいいのかしら・・・。
大宮:なんだそんなことしてたのか。
エキストラ:大宮さん。
大宮:鈴原さんがだめなら、俺の出番だな。
鈴原:大宮君・・・できる?
大宮:エキストラの君が、変なことしないような演技をすればいいんだろ?任せとけ。
エキストラ:本当にすみません。エキストラの分際でこんなことまでしてもらって。
大宮:映画は主役だけで作るモノじゃないからな!みんなで作るもんだ!気にするなよ!
エキストラ:ありがとうございます!
:
監督:もういい加減決めてくれよ!?カット50。
監督:よーい、アクション!
:
0:怪獣がでてくる
:
大宮:な、なんだよ・・・あれ。
鈴原:か、怪獣?・・・夢?
エキストラ:怪獣だー逃げろー!!
大宮:やばい、これマジだ!おい、鈴原!逃げるぞ!
鈴原:う、うん!
エキストラ:やばいやばいやばい!死ぬーーー!
大宮:はぁ、はぁ、はぁ、鈴原、大丈夫か!
鈴原:はぁ、はぁ、大丈夫だよ!これ、どこに逃げればいいの!
大宮:はぁ、はぁ、分かんねぇ。とりあえず町中は危険だ!とにかくここから離れよう!
鈴原:わ、わかった、はぁ、はぁ、
エキストラ:どけどけー!
0:鈴原とぶつかる
鈴原:きゃぁ!
大宮:鈴原!
エキストラ:(やっぱりだめだ!俺の中のエキストラ魂が!)
大宮:俺の鈴原をよくも!
エキストラ:え?
大宮:おらぁ!
0:腹を殴られる
エキストラ:ぐほっ
大宮:鈴原大丈夫か!?早く逃げよう!
鈴原:う、うん。でも、この人が・・・。
大宮:気にするな!突き飛ばした奴だぞ!自業自得だ!行こう!
監督:カットカットカァ―――――ット!!
エキストラ:い、いたぃ・・・。
監督:大宮君何してるの?エキストラを殴るシーンなんてないよ!?
大宮:俺なりのエキストラに対する配慮です。
監督:全然配慮できてないよ。それとも何だ、私の作品をめちゃくちゃにしたいのかい?
大宮:監督の作品を侮辱するつもりはありません。
監督:だったら、ちゃんとしてくれ!お願いだから!
大宮:すみませんでした。
エキストラ:すみません。僕のせいでこんなことに。
大宮:いや、俺も殴って悪かった。これじゃあダメだったなぁ。
鈴原:監督を納得させて、かつエキストラのあなたにも被害が出ない方法・・・。
エキストラ:もう、僕がエキストラしなければ解決するんじゃ・・・。
鈴原:それは妥協っていうのよ。妥協しちゃダメ。
大宮:その通りだ。エキストラになったからにはしっかりとエキストラに入り込め。
エキストラ:そ、そうですか・・・。
大宮:なにかねーかな。
鈴原:・・・わかった。
大宮:お、何か思いついたか!
鈴原:あなた、さっきから意味不明なアドリブばかりでしたよね。
エキストラ:は、はい。
鈴原:そのアドリブで、監督を納得させる演技をしましょう。
エキストラ:そ、そんなことしていいんですか!?
大宮:いいわけないだろう。
エキストラ:そ、そうですよね・・・。
鈴原:でもね、あなたを見て思い出したの。エキストラ一人も活かせないで何が役者なんだろうって。
大宮:役者魂ってやつだな。
鈴原:だから、私たちがあなたのアドリブに合わせる!最高のワンシーンにしましょう。
エキストラ:鈴原さん・・・!
大宮:そうだな!お前に全部任せたぜ!アドリブの才能は申し分ねぇ!
エキストラ:大宮さん・・・!
鈴原:さ、私たちで監督を納得させましょう!
エキストラ:はい!
:
監督:配置についたかー?悪ふざけはもうしないでくれよ?
監督:よーい、アクション!
:
0:怪獣がでてくる
:
大宮:な、なんだよ・・・あれ。
鈴原:か、怪獣?・・・夢?
エキストラ:怪獣だー逃げろー!!
大宮:やばい、これマジだ!おい、鈴原!逃げるぞ!
鈴原:う、うん!
エキストラ:やばいやばいやばい!死ぬーーー!
大宮:はぁ、はぁ、はぁ、鈴原、大丈夫か!
鈴原:はぁ、はぁ、大丈夫だよ!これ、どこに逃げればいいの!
大宮:はぁ、はぁ、分かんねぇ。とりあえず町中は危険だ!とにかくここから離れよう!
鈴原:わ、わかった、はぁ、はぁ、
エキストラ:どけどけー!
0:鈴原とぶつかる
鈴原:きゃぁ!
大宮:鈴原!
エキストラ:すみません!お嬢さん!大丈夫ですか。
鈴原:え、は、はい。
エキストラ:お二人とも早く逃げてください。ここは私が食い止めます。
大宮:え、いや、あんた何を言って。
エキストラ:私は、ガダイン特殊対策部隊「エキストラ」の者です。
大宮:エ、エキストラ・・・?
エキストラ:10年以内に現れるとは聞いていたが、まさかこんなに早く出現するとは・・・。
大宮:で、でも・・・あんた逃げてましたよね?
エキストラ:逃げていたのではない。人々の避難を誘導していただけだ。さぁ、君たちも早く逃げるんだ。
鈴原:で、でも・・・
エキストラ:気にするな!民衆の安全が我々の使命だ!
大宮:あ、あぁ。すまない。感謝する!
大宮:いこう鈴原。どうかお気をつけて!
エキストラ:あぁ!ありがとう!私も君たちの安全を願ってる!うおおおおお!
鈴原:だ、大丈夫かな・・・。
大宮:特殊部隊っていうくらいだ。信じよう。とりあえず今は逃げるんだ!
鈴原:そ、そうだね。急ごう。
監督:カットカットカァ―――――ット!!
監督:なにしてんの君たち。もうめちゃくちゃだよ。
大宮:この設定は活かせそうじゃないですか?
鈴原:特殊部隊エキストラ・・・これはありかもしれない。
監督:なしだよ!あるわけないだろ!何を考えているんだ!というか二人ともなんで乗っかっちゃってるの!?
大宮:彼をみていると初心を思い出してしまってつい。
鈴原:私もです。エキストラを活かさなければと思いまして。
監督:エキストラが君らを活かしてくれているんだよ。わからないのか。
エキストラ:監督!これが私の最高のエキストラです。どうでしょうか。
監督:それで自分は凄いとでも思っているのかい?呆れるよ!
大宮:脚本を一から作り直してみては?
監督:私が作りたいものを作ってほしいから君たちを抜擢したんだ!余計なことは言うな!
鈴原:特殊部隊エキストラ・・・実際にありそうじゃないですか!
監督:さっきから引っ張られすぎなんだよ君は!
エキストラ:私の名前は田中です!
監督:覚えるかー!