台本概要
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タイトル | Trick Knife |
---|---|
作者名 | VAL (@bakemonohouse) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
演技の幅、広げてください。
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キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
男 | 男 | 60 | 頑張って! |
女 | 女 | 55 | 応援してるよ! |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:※このシナリオはサシ劇のくせに、兼ね役ばっかりの最悪のシナリオです。
:
:
0:暗い部屋の中に、男が1人―――
:
男:やぁみなさん。こんにちは。ご機嫌はいかがですか?
男:え?私ですか?見ての通り囚人ですよ?はっはっは!麗しいわけなどあるわけがないですよ。
男:どうして私が捕まっているのか・・・。私はきっと、盗みすぎたんですよ。・・・人の心をね。
男:あ、そうだ。どうせ時間はたくさんあります。私の話を少ししましょう。どんなやり方で、どんな人の心を盗んでいたのかを・・・
:
0:5年前、某病院。若い医師と若い看護婦がいる。
:
男:「あ、君。あの患者さんのカルテ取ってきてもらえるかい?」
女:「わかりました。先生!」
男:当時の私は医者をしていた。あぁもちろん、免許は持ってないよ。私はね、ある依頼でここに来ていたんだよ。
男:ある企業の御曹司からの依頼だった。許婚が入院しているのだが、好きな人が出来た。自分の手は汚したくないというエゴの塊だねー。これだから金持ちって生き物は・・・
男:おっと、話がそれてしまったね。私はその女性に接触するために、この病院に潜入していたわけだ。
女:「先生、患者さんがお呼びです」
男:「あ、もう時間か」
女:「はい。その時間です。あの・・・」
男:「ん?」
女:「大丈夫ですか?仕事も激務なのに、あの患者さん、先生のことばかり指名して、疲れたりしないですか?」
男:「ははっ大丈夫だよ。いつもサポートありがとね」
女:「い、いえ。私の仕事なので・・・あの!じゃあ私とも・・・」
男:「じゃあ行って来るよ」
女:「あ・・・はい。行ってらっしゃいませ」
0:特別個室をノックして部屋に入る。
男:「お待たせしたね。どうかな?体の調子は。」
女:「そんなことはいいのよ。どういうつもり?私を待たせるなんて」
男:「すまないが、私は君だけの医師じゃないからね。特別扱いをできないさ」
女:「私のお父様が、この病院にいくら寄付しているとわかっているの?そんな生意気な口利いて、この病院に居続けられると思っているのかしら?」
男:「はは。確かに手痛いが、私はどこの病院でも、患者さんのために働くよ」
女:「・・・面白くない男ね。ほとんどの男は、私に従うっていうのに、あなただけは思う通りに行かないわ。」
男:「まぁ確かに、あなたほどの美女に懇願されたら、男はみんな骨抜きにされてしまうでしょうね。」
女:「そ、そういう意味じゃないわよ!・・・バカ」
男:「おや、顔が高潮しているね。もしかして熱か!?これはいけない。すぐに計らないと。」
女:「ちょ・・・もういいから!出ていって!」
男:「わ、わかったよ。何かあったらすぐ呼ぶんだよ?」
0:男は部屋から出て行く。
女:「もう・・・何よ。何なのよあの男。」
男:この女は、親が金持ちなのが自慢ではあったが、同時に。コンプレックスでもあり、対等に接してくれる人間を探していたんだ。だから私はあえて鈍感で単純そうな男を演じた。結果は見ての通りだ。
0:
女:「私、婚約者がいるのよ。親同士が決めた、いわゆる許婚ってやつね」
男:「そうなんだね。それじゃあ未来は安泰だね」
女:「・・・・・」
男:「どうした?気分でも悪くなったかな?」
女:「違うわ。・・・私、結婚したくないの」
男:「そうなのかい。まあ無理してするものでもないだろうし。」
女:「私は一緒にいたいの・・・あなたと。」
男:「・・・それは、難しいな。私には財力も何も無いし。住んでる世界が違いすぎるよ。」
女:「どっちにしろ、あの人と別れるわ。だって好きじゃないもの。」
男:「そうか。自分で決めた人生を選ぶといいさ。みんな自由に生きるべきだから。」
女:「ええ、そうさせてもらうわ。いい返事を期待してるわね」
男:この会話を最後に、私は病院から姿を消した。あの女は私をずっと探してるようだけど。まあ見つからないねー。そもそも私という医師はもともと存在しないし、見つけようが無いからね。
男:ま、何はともあれ、依頼は達成したから問題は無いさ。え?その後の話かい?確か・・・いや、やめておこう。ただ誰も幸せにはなってないとだけ言っておくよ。
:
0:
男:さて、ここまでの話はいかがだったかな?ん?まだ聞きたいか。なら、あの話にしよう。
:
男:確か、7年前かな。この頃の私は警官だった。あぁもちろん身分なんてものは偽っているよ。今回の依頼は、反社会組織からのものでね。どうやら、組長の娘が敵組織の若いのと恋仲になってしまったとか。ふーむ・・・私のやり方をしっているのかねぇ。にしても女子高生か・・・
:
女:「ねぇおじさん。私に何か用?」
男:「君ねぇ。今何時だとおもってんの?学生でしょ?」
女:「何?もしかしてポリ?うぜぇーマジだりぃんだけど」
男:「見ての通りだよ。さ、親御さんの連絡先は?」
女:「何で教えなきゃいけないの」
男:「法律だから仕方ないね。ほら早く教えて」
女:「うちの親怖いよ?おじさんどうなっても知らないよ?」
男:「仕事だから仕方ないね。ていうかおじさんじゃないから。まだ三十路にもなってないし。」
女:「おじさんじゃん。私まだ十七だし、それに比べれば、充分におじさんだよ!」
男:「ぐ・・・いいから、早く言いなさい。というか何でこんなとこにいたの。」
女:「は?関係ないでしょ」
男:「じゃあ親御さんに連絡ね」
女:「ちょ・・・彼氏待ってるだけだし。」
男:「こんな時間にかい!?もう2時だよ。学生は家にいるべき時間だよ!」
女:「うっるさいなぁ。あいつも遅いし。もううざい!」
男:「こ、こら!待ちなさい!」
:
男:結局この日は、わざと逃がしたんだったかな。この後に相手の男を取り調べるまでこぎ付けたんだけど、ふたを開けて見れば、ただのチンピラだったんだよなぁ。あとは、あの小娘を落とすだけ。
0:
女:「ぐすっ・・・」
男:「君、どうしたの?・・・泣いてるの?」
女:「関係ないでしょ。ガキは黙っててよ!」
男:「酷いな。多分、歳変わらないよ?」
女:「何でもいい・・・ほっといてよ」
男:「泣いてる女の子放っておけないよ。何があったかだけ話してみない?他人に話すほうが楽になるかも」
女:「・・・・・」
男:「ゆっくりでいいから話してみて」
女:「(深呼吸)私ね、彼氏が居たの。ま、出会ってからそんなに経ってないんだけど、学校に居るようなガキとは全然違って、強くてかっこいい人だった。ピアスとか刺青も似合ってて・・・」
女:「本当に理想の人だったのよ。それがいきなり別れようだなんて。住んでる世界が違うとか意味のわかんないこと言い出してさ。ありえない・・・わけわかんないよ・・・」
男:「それは、傷ついたね。かわいそうに。でも・・・」
女:「でも?何よ。」
男:「その人はきっと、見る目のない人なんだろうなって」
女:「え。何で・・・そう思うの?」
男:「君は純粋で可愛らしくて、いい奥さんになりそうな気がする。そんな子を手放すなんて、そうとしか思えないからね。」
女:「ちょっと!・・・やめてよ・・・恥ずかしい」
男:「あ、ごめんね。困らせるつもりはなかったんだ。」
女:「ううん。ありがと。少し楽になったわ。」
男:「それは良かった。」
女:「あなた、よく見ると綺麗な顔立ちしてるのね」
男:「さっきまでは涙で見えなかったかな?」
女:「ふふっ。急に意地悪するのね」
男:「やっと笑った。やっぱり笑顔の似合う人だよ。君は」
女:「もう。からかわないでよ。ねぇ、あなたの名前は?」
男:「僕の名前か・・・ごめん。今は教えられない。」
女:「え。どうして?」
男:「なんか弱みにつけこんだ気がして嫌なんだ。もしまた会う時があったら、その時に君の名前も教えてよ。」
女:「いいじゃない。名前くらい」
男:「ダメだよ。これは僕のルールなんだ。このままいると、破ってしまいそうだから行くね!元気でね。」
女:「ちょ、ちょっと待ってよ!・・・いっちゃった。あれ?これは・・・ボタン?有名な私立高校の・・・よし。私も頑張らないと!」
0:
男:その後の彼女は勉学に励み、真面目な生活を送ったそうだ。いるはずもない男子高校生の背を追って・・・ね。
男:まだまだ沢山、昔話はあるんだけれど・・・そろそろ客人が来そうだね。
女:「おい囚人。さっきからガタガタと何をやってるんだ?」
男:「看守さんじゃないですか。どうしました?こんな夜更けに。」
女:「他のやつから苦情が出たんだよ。独り言がうるさいってな。」
男:「あらあら漏れ出てましたか。皆気にしすぎなんですよね~」
女:「うるせぇ。ここに居る以上、ルールに従え。」
男:「はいはい。せっかく可愛いのに怒ってばっかりじゃもったいないですよ?」
女:「お前は本当に口の減らないやつだな。生憎私はそういうのには滅法強くてな。その辺のメスと同じにしてくれちゃあ困るんだよ。」
男:「あーそれは残念だ。君にも幸せになって欲しかったのに。」
女:「余計なお世話だ。くそ詐欺師が。」
男:「口の悪い女だなぁ」
女:「そいつぁどうも。挑発には乗らないからな。」
男:「・・・・・」
女:「どうした?もう弾切れか?聞いてたより、大したことないな」
男:「貴様はさっきから何を言っている?」
女:「え・・・なんだよお前。さっきと感じが・・・」
男:「お前だと?大人しく話を合わしてやっていたら図に乗りおって。」
女:「え、えっとあの・・・」
男:「何だ貴様。私の顔を見たことがないのか?」
女:「顔?・・・っ。看守長!?な、何で!?さっきまでここにいたのは囚人で・・・」
男:「まさか・・・勤務中に意識を飛ばしていたというのかね?」
女:「いえ!そのようなことは決して!!」
男:「ほう。牢の点検に来た私を囚人と間違えておいて。鍵まで周到に閉めた君がそれを言うかね。」
女:「いやそれは・・・あの確かに囚人は!」
男:「しつこい!!!貴様は言い訳ばかりだ!・・・もういい。早く開けたまえ。」
女:「は、はい・・・」
男:「ふむ。今回だけはお咎め無しにしてやるが、次同じことを繰り返せば・・・わかるな?」
女:「はいぃぃ!!気を付けます!!・・・・・あれ?看守長?もういなくなられたのですか?・・・いや、違う。わ、私は騙されたのか・・・?ははははは・・・」
0:
男:ここにいたのはただの暇つぶし。別に脱獄なんていつでも出来たからね。
男:声で人はあらゆる幻想を抱く。そこにないものがあるように。別人なのにその人物に見えるように。私はそれを操る者。またお会いしましょう皆さん。私だとわからないでしょうけどね。それでは、また会う日まで。さようなら。
0:※このシナリオはサシ劇のくせに、兼ね役ばっかりの最悪のシナリオです。
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0:暗い部屋の中に、男が1人―――
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男:やぁみなさん。こんにちは。ご機嫌はいかがですか?
男:え?私ですか?見ての通り囚人ですよ?はっはっは!麗しいわけなどあるわけがないですよ。
男:どうして私が捕まっているのか・・・。私はきっと、盗みすぎたんですよ。・・・人の心をね。
男:あ、そうだ。どうせ時間はたくさんあります。私の話を少ししましょう。どんなやり方で、どんな人の心を盗んでいたのかを・・・
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0:5年前、某病院。若い医師と若い看護婦がいる。
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男:「あ、君。あの患者さんのカルテ取ってきてもらえるかい?」
女:「わかりました。先生!」
男:当時の私は医者をしていた。あぁもちろん、免許は持ってないよ。私はね、ある依頼でここに来ていたんだよ。
男:ある企業の御曹司からの依頼だった。許婚が入院しているのだが、好きな人が出来た。自分の手は汚したくないというエゴの塊だねー。これだから金持ちって生き物は・・・
男:おっと、話がそれてしまったね。私はその女性に接触するために、この病院に潜入していたわけだ。
女:「先生、患者さんがお呼びです」
男:「あ、もう時間か」
女:「はい。その時間です。あの・・・」
男:「ん?」
女:「大丈夫ですか?仕事も激務なのに、あの患者さん、先生のことばかり指名して、疲れたりしないですか?」
男:「ははっ大丈夫だよ。いつもサポートありがとね」
女:「い、いえ。私の仕事なので・・・あの!じゃあ私とも・・・」
男:「じゃあ行って来るよ」
女:「あ・・・はい。行ってらっしゃいませ」
0:特別個室をノックして部屋に入る。
男:「お待たせしたね。どうかな?体の調子は。」
女:「そんなことはいいのよ。どういうつもり?私を待たせるなんて」
男:「すまないが、私は君だけの医師じゃないからね。特別扱いをできないさ」
女:「私のお父様が、この病院にいくら寄付しているとわかっているの?そんな生意気な口利いて、この病院に居続けられると思っているのかしら?」
男:「はは。確かに手痛いが、私はどこの病院でも、患者さんのために働くよ」
女:「・・・面白くない男ね。ほとんどの男は、私に従うっていうのに、あなただけは思う通りに行かないわ。」
男:「まぁ確かに、あなたほどの美女に懇願されたら、男はみんな骨抜きにされてしまうでしょうね。」
女:「そ、そういう意味じゃないわよ!・・・バカ」
男:「おや、顔が高潮しているね。もしかして熱か!?これはいけない。すぐに計らないと。」
女:「ちょ・・・もういいから!出ていって!」
男:「わ、わかったよ。何かあったらすぐ呼ぶんだよ?」
0:男は部屋から出て行く。
女:「もう・・・何よ。何なのよあの男。」
男:この女は、親が金持ちなのが自慢ではあったが、同時に。コンプレックスでもあり、対等に接してくれる人間を探していたんだ。だから私はあえて鈍感で単純そうな男を演じた。結果は見ての通りだ。
0:
女:「私、婚約者がいるのよ。親同士が決めた、いわゆる許婚ってやつね」
男:「そうなんだね。それじゃあ未来は安泰だね」
女:「・・・・・」
男:「どうした?気分でも悪くなったかな?」
女:「違うわ。・・・私、結婚したくないの」
男:「そうなのかい。まあ無理してするものでもないだろうし。」
女:「私は一緒にいたいの・・・あなたと。」
男:「・・・それは、難しいな。私には財力も何も無いし。住んでる世界が違いすぎるよ。」
女:「どっちにしろ、あの人と別れるわ。だって好きじゃないもの。」
男:「そうか。自分で決めた人生を選ぶといいさ。みんな自由に生きるべきだから。」
女:「ええ、そうさせてもらうわ。いい返事を期待してるわね」
男:この会話を最後に、私は病院から姿を消した。あの女は私をずっと探してるようだけど。まあ見つからないねー。そもそも私という医師はもともと存在しないし、見つけようが無いからね。
男:ま、何はともあれ、依頼は達成したから問題は無いさ。え?その後の話かい?確か・・・いや、やめておこう。ただ誰も幸せにはなってないとだけ言っておくよ。
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男:さて、ここまでの話はいかがだったかな?ん?まだ聞きたいか。なら、あの話にしよう。
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男:確か、7年前かな。この頃の私は警官だった。あぁもちろん身分なんてものは偽っているよ。今回の依頼は、反社会組織からのものでね。どうやら、組長の娘が敵組織の若いのと恋仲になってしまったとか。ふーむ・・・私のやり方をしっているのかねぇ。にしても女子高生か・・・
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女:「ねぇおじさん。私に何か用?」
男:「君ねぇ。今何時だとおもってんの?学生でしょ?」
女:「何?もしかしてポリ?うぜぇーマジだりぃんだけど」
男:「見ての通りだよ。さ、親御さんの連絡先は?」
女:「何で教えなきゃいけないの」
男:「法律だから仕方ないね。ほら早く教えて」
女:「うちの親怖いよ?おじさんどうなっても知らないよ?」
男:「仕事だから仕方ないね。ていうかおじさんじゃないから。まだ三十路にもなってないし。」
女:「おじさんじゃん。私まだ十七だし、それに比べれば、充分におじさんだよ!」
男:「ぐ・・・いいから、早く言いなさい。というか何でこんなとこにいたの。」
女:「は?関係ないでしょ」
男:「じゃあ親御さんに連絡ね」
女:「ちょ・・・彼氏待ってるだけだし。」
男:「こんな時間にかい!?もう2時だよ。学生は家にいるべき時間だよ!」
女:「うっるさいなぁ。あいつも遅いし。もううざい!」
男:「こ、こら!待ちなさい!」
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男:結局この日は、わざと逃がしたんだったかな。この後に相手の男を取り調べるまでこぎ付けたんだけど、ふたを開けて見れば、ただのチンピラだったんだよなぁ。あとは、あの小娘を落とすだけ。
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女:「ぐすっ・・・」
男:「君、どうしたの?・・・泣いてるの?」
女:「関係ないでしょ。ガキは黙っててよ!」
男:「酷いな。多分、歳変わらないよ?」
女:「何でもいい・・・ほっといてよ」
男:「泣いてる女の子放っておけないよ。何があったかだけ話してみない?他人に話すほうが楽になるかも」
女:「・・・・・」
男:「ゆっくりでいいから話してみて」
女:「(深呼吸)私ね、彼氏が居たの。ま、出会ってからそんなに経ってないんだけど、学校に居るようなガキとは全然違って、強くてかっこいい人だった。ピアスとか刺青も似合ってて・・・」
女:「本当に理想の人だったのよ。それがいきなり別れようだなんて。住んでる世界が違うとか意味のわかんないこと言い出してさ。ありえない・・・わけわかんないよ・・・」
男:「それは、傷ついたね。かわいそうに。でも・・・」
女:「でも?何よ。」
男:「その人はきっと、見る目のない人なんだろうなって」
女:「え。何で・・・そう思うの?」
男:「君は純粋で可愛らしくて、いい奥さんになりそうな気がする。そんな子を手放すなんて、そうとしか思えないからね。」
女:「ちょっと!・・・やめてよ・・・恥ずかしい」
男:「あ、ごめんね。困らせるつもりはなかったんだ。」
女:「ううん。ありがと。少し楽になったわ。」
男:「それは良かった。」
女:「あなた、よく見ると綺麗な顔立ちしてるのね」
男:「さっきまでは涙で見えなかったかな?」
女:「ふふっ。急に意地悪するのね」
男:「やっと笑った。やっぱり笑顔の似合う人だよ。君は」
女:「もう。からかわないでよ。ねぇ、あなたの名前は?」
男:「僕の名前か・・・ごめん。今は教えられない。」
女:「え。どうして?」
男:「なんか弱みにつけこんだ気がして嫌なんだ。もしまた会う時があったら、その時に君の名前も教えてよ。」
女:「いいじゃない。名前くらい」
男:「ダメだよ。これは僕のルールなんだ。このままいると、破ってしまいそうだから行くね!元気でね。」
女:「ちょ、ちょっと待ってよ!・・・いっちゃった。あれ?これは・・・ボタン?有名な私立高校の・・・よし。私も頑張らないと!」
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男:その後の彼女は勉学に励み、真面目な生活を送ったそうだ。いるはずもない男子高校生の背を追って・・・ね。
男:まだまだ沢山、昔話はあるんだけれど・・・そろそろ客人が来そうだね。
女:「おい囚人。さっきからガタガタと何をやってるんだ?」
男:「看守さんじゃないですか。どうしました?こんな夜更けに。」
女:「他のやつから苦情が出たんだよ。独り言がうるさいってな。」
男:「あらあら漏れ出てましたか。皆気にしすぎなんですよね~」
女:「うるせぇ。ここに居る以上、ルールに従え。」
男:「はいはい。せっかく可愛いのに怒ってばっかりじゃもったいないですよ?」
女:「お前は本当に口の減らないやつだな。生憎私はそういうのには滅法強くてな。その辺のメスと同じにしてくれちゃあ困るんだよ。」
男:「あーそれは残念だ。君にも幸せになって欲しかったのに。」
女:「余計なお世話だ。くそ詐欺師が。」
男:「口の悪い女だなぁ」
女:「そいつぁどうも。挑発には乗らないからな。」
男:「・・・・・」
女:「どうした?もう弾切れか?聞いてたより、大したことないな」
男:「貴様はさっきから何を言っている?」
女:「え・・・なんだよお前。さっきと感じが・・・」
男:「お前だと?大人しく話を合わしてやっていたら図に乗りおって。」
女:「え、えっとあの・・・」
男:「何だ貴様。私の顔を見たことがないのか?」
女:「顔?・・・っ。看守長!?な、何で!?さっきまでここにいたのは囚人で・・・」
男:「まさか・・・勤務中に意識を飛ばしていたというのかね?」
女:「いえ!そのようなことは決して!!」
男:「ほう。牢の点検に来た私を囚人と間違えておいて。鍵まで周到に閉めた君がそれを言うかね。」
女:「いやそれは・・・あの確かに囚人は!」
男:「しつこい!!!貴様は言い訳ばかりだ!・・・もういい。早く開けたまえ。」
女:「は、はい・・・」
男:「ふむ。今回だけはお咎め無しにしてやるが、次同じことを繰り返せば・・・わかるな?」
女:「はいぃぃ!!気を付けます!!・・・・・あれ?看守長?もういなくなられたのですか?・・・いや、違う。わ、私は騙されたのか・・・?ははははは・・・」
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男:ここにいたのはただの暇つぶし。別に脱獄なんていつでも出来たからね。
男:声で人はあらゆる幻想を抱く。そこにないものがあるように。別人なのにその人物に見えるように。私はそれを操る者。またお会いしましょう皆さん。私だとわからないでしょうけどね。それでは、また会う日まで。さようなら。