台本概要

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タイトル こどもと秋の坂道で
作者名 真野ショウタ  (@eda2812)
ジャンル その他
演者人数 2人用台本(不問2)
時間 10 分
台本使用規定 商用、非商用問わず連絡不要
説明 ◆オトナ:村の薬屋さん
◆こども:無邪気なこども

「イチョウの葉っぱは何枚お持ちかな?」

【利用規約】(こまかいところ)
https://note.com/otetsudai_s/n/nd62bdc5b1067

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
オトナ 不問 45 村の薬屋さん
こども 不問 44 無邪気なこども
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
こども:「ねえねえ、おじさん。自転車の後ろに乗せってってよ」 オトナ:「だめだよ。警察に捕まっちゃうからね」 こども:「ここのチューザイさんなら乗せてくれるよ」 オトナ:「何やってんだあのおっさん……」 こども:「この坂道、自転車二人乗りすると、すっごいスピード出るんだよ」 オトナ:「そうじゃなくて、坂道をスピード出して下りると危ないでしょ? だからやっちゃいけないんだよ」 こども:「でも楽しいよ?」 オトナ:「怪我するかもしれないんだよ」 こども:「でも楽しいよ?」 オトナ:「死んじゃうかもしれないんだよ」 こども:「でも楽しいよ?」 オトナ:「全然引かないじゃん。坂道に取り憑かれてんのかよ」 こども:「だって楽しいんだもん」 オトナ:「楽しくてもだめ。夢中になりすぎだろ。将来が不安なるわ……」 こども:「しょうがないなあ。じゃあ、ゆっくりでいいから後ろ乗せてよ」 オトナ:「後ろは薬箱が乗ってるでしょ? そもそも乗れないよ」 こども:「今日は山ジイ、あんまり買ってくれなかったの?」 オトナ:「ん? そんなことないぞ?」 こども:「じゃあ、なんで空じゃないの?」 オトナ:「空になんて普通はならないんだよ」 こども:「エーギョー不足だね。ホケン屋さんなんだからもっと頑張らなきゃ」 オトナ:「うーーーーん、いっぱい間違ってるね。まず保険屋さんじゃないし」 こども:「えっ。でも、この村のホケンの先生でしょ?」 オトナ:「ああ、そういう間違いか。えっとお兄さんは薬屋さんなんだ」 こども:「あっ。知ってる! じゃあ、おじさんはヤクザイシさんなんだ」 オトナ:「うーーーーん、違うよ?」 こども:「じゃあ、おイシャさん?」 オトナ:「違うね」 こども:「違うの?」 オトナ:「薬学部にもいけなかったしね……。えっとね薬剤師さんよりも……ちょっと小さい仕事……かな? まあ薬屋さんだよ」 こども:「ふうん。ねえ、前のカゴには乗っちゃダメ?」 オトナ:「無邪気だなあ。ダメ」 こども:「ダメかあ」 オトナ:「ほら、帰るんだろ? 一緒に下りよう」 こども:「ヤクザさんは自転車乗らないの?」 オトナ:「うーーーーん、間違いだなあ」 こども:「何が?」 オトナ:「お兄さんは薬剤師でもないし、医師でもないし、ましてやヤクザでもないの。なるほどヤクザイシを小さくしたんだね。でも、俺は薬屋さん。OK?」 こども:「おじさんは薬屋さん。おっけー」 オトナ:「よし。それじゃあ、ゆっくり帰ろうか」 こども:「サボり?」 オトナ:「もう、配達はないから大丈夫なんだよ」 こども:「わかった!」 オトナ:「今日は山路さんの所で何してたの?」 こども:「これ! たくさん集めたんだ」 オトナ:「お、イチョウの葉っぱ」 こども:「綺麗なのだけを集めたんだ」 オトナ:「風情があるなあ。どんぐりは拾わなかったの」 こども:「どんぐりはもういい……」 オトナ:「ああ、山の洗礼はもう受けたか」 こども:「こないだお母さんにめちゃくちゃ怒られた。虫が入ってない綺麗なやつだけ山ジイに預けてる」 オトナ:「思い出したら、なんかポケットがムズムズしてきた」 こども:「でも、これは綺麗でしょ!」 オトナ:「おう、それはめちゃめちゃ綺麗だな」 こども:「ふふふふ……どうしてもというなら、売ってあげるよ」 オトナ:「むっ……そうだなあ。イチョウの葉っぱは何枚お持ちかな?」 こども:「えっと、二十枚……くらい!」 オトナ:「なら、五枚とこのちょっと温いならヤクルト一本と交換でどうだい?」 こども:「温いから八枚2本ちょうだい!」 オトナ:「商売上手だね。はいどうぞ」 こども:「ありがと。はい、葉っぱ。おまけで全部あげる」 オトナ:「え、あ、え……」 こども:「やっぱり一枚は持って帰る!」 オトナ:「あ、うん」 こども:「おじさん、オトナなのに葉っぱに目がないんだね」 オトナ:「うーーーーん……まあね」 こども:「こどもだなあ。はい、一本あげるね、ヤクルト」 オトナ:「奢られてしまった……」 こども:「温いけど、美味しい!」 オトナ:「無邪気だなあ」 0: オトナ:「この村は楽しい?」 こども:「うん、咳ももうほとんど出ないよ!」 オトナ:「そっか。よかったな」 こども:「うん、町よりずっと遊べるところがあって楽しいよ」 オトナ:「ああ、そっか。こども視点だとそうなるのかあ」 こども:「おじさんは町遊びの方がいいの?」 オトナ:「町遊びって言われるとなんかいかがわしいな」 こども:「イカガワシイ?」 オトナ:「なんでもないよ。あと、人混み嫌いだからここで十分楽しいよ。おじさんは」 こども:「あ、おじさんて認めた!」 オトナ:「おいこら、ついに譲歩してやったっていうのに」 こども:「んふふふ」 こども:「僕はここが好きだよ」 こども:「コンビニもないし、友だちも近くにいないし、学校に通うのもお母さんに送ってもらわなきゃダメだけど、ここはみんな僕と友だちになってくれるし、みんな僕と遊んでくれるもん」 オトナ:「うーん、確かになあ。楽しいってこういう童心みたいなのかもしれないなあ」 こども:「あ、遊びたいの? でももう僕そろそろ休まないと危ないかもしれないから。また今度遊んであげるね!」 オトナ:「そっか、じゃあ今度遊ぼうか」 こども:「その時は薬箱の中身全部売り尽くしといてね!」 オトナ:「たとえからにしてたとしても入れないから」 こども:「チューザイさんがこの山はチガイホウケンだからいいって……」 オトナ:「だから何やってんだ、あのおっさん……」

こども:「ねえねえ、おじさん。自転車の後ろに乗せってってよ」 オトナ:「だめだよ。警察に捕まっちゃうからね」 こども:「ここのチューザイさんなら乗せてくれるよ」 オトナ:「何やってんだあのおっさん……」 こども:「この坂道、自転車二人乗りすると、すっごいスピード出るんだよ」 オトナ:「そうじゃなくて、坂道をスピード出して下りると危ないでしょ? だからやっちゃいけないんだよ」 こども:「でも楽しいよ?」 オトナ:「怪我するかもしれないんだよ」 こども:「でも楽しいよ?」 オトナ:「死んじゃうかもしれないんだよ」 こども:「でも楽しいよ?」 オトナ:「全然引かないじゃん。坂道に取り憑かれてんのかよ」 こども:「だって楽しいんだもん」 オトナ:「楽しくてもだめ。夢中になりすぎだろ。将来が不安なるわ……」 こども:「しょうがないなあ。じゃあ、ゆっくりでいいから後ろ乗せてよ」 オトナ:「後ろは薬箱が乗ってるでしょ? そもそも乗れないよ」 こども:「今日は山ジイ、あんまり買ってくれなかったの?」 オトナ:「ん? そんなことないぞ?」 こども:「じゃあ、なんで空じゃないの?」 オトナ:「空になんて普通はならないんだよ」 こども:「エーギョー不足だね。ホケン屋さんなんだからもっと頑張らなきゃ」 オトナ:「うーーーーん、いっぱい間違ってるね。まず保険屋さんじゃないし」 こども:「えっ。でも、この村のホケンの先生でしょ?」 オトナ:「ああ、そういう間違いか。えっとお兄さんは薬屋さんなんだ」 こども:「あっ。知ってる! じゃあ、おじさんはヤクザイシさんなんだ」 オトナ:「うーーーーん、違うよ?」 こども:「じゃあ、おイシャさん?」 オトナ:「違うね」 こども:「違うの?」 オトナ:「薬学部にもいけなかったしね……。えっとね薬剤師さんよりも……ちょっと小さい仕事……かな? まあ薬屋さんだよ」 こども:「ふうん。ねえ、前のカゴには乗っちゃダメ?」 オトナ:「無邪気だなあ。ダメ」 こども:「ダメかあ」 オトナ:「ほら、帰るんだろ? 一緒に下りよう」 こども:「ヤクザさんは自転車乗らないの?」 オトナ:「うーーーーん、間違いだなあ」 こども:「何が?」 オトナ:「お兄さんは薬剤師でもないし、医師でもないし、ましてやヤクザでもないの。なるほどヤクザイシを小さくしたんだね。でも、俺は薬屋さん。OK?」 こども:「おじさんは薬屋さん。おっけー」 オトナ:「よし。それじゃあ、ゆっくり帰ろうか」 こども:「サボり?」 オトナ:「もう、配達はないから大丈夫なんだよ」 こども:「わかった!」 オトナ:「今日は山路さんの所で何してたの?」 こども:「これ! たくさん集めたんだ」 オトナ:「お、イチョウの葉っぱ」 こども:「綺麗なのだけを集めたんだ」 オトナ:「風情があるなあ。どんぐりは拾わなかったの」 こども:「どんぐりはもういい……」 オトナ:「ああ、山の洗礼はもう受けたか」 こども:「こないだお母さんにめちゃくちゃ怒られた。虫が入ってない綺麗なやつだけ山ジイに預けてる」 オトナ:「思い出したら、なんかポケットがムズムズしてきた」 こども:「でも、これは綺麗でしょ!」 オトナ:「おう、それはめちゃめちゃ綺麗だな」 こども:「ふふふふ……どうしてもというなら、売ってあげるよ」 オトナ:「むっ……そうだなあ。イチョウの葉っぱは何枚お持ちかな?」 こども:「えっと、二十枚……くらい!」 オトナ:「なら、五枚とこのちょっと温いならヤクルト一本と交換でどうだい?」 こども:「温いから八枚2本ちょうだい!」 オトナ:「商売上手だね。はいどうぞ」 こども:「ありがと。はい、葉っぱ。おまけで全部あげる」 オトナ:「え、あ、え……」 こども:「やっぱり一枚は持って帰る!」 オトナ:「あ、うん」 こども:「おじさん、オトナなのに葉っぱに目がないんだね」 オトナ:「うーーーーん……まあね」 こども:「こどもだなあ。はい、一本あげるね、ヤクルト」 オトナ:「奢られてしまった……」 こども:「温いけど、美味しい!」 オトナ:「無邪気だなあ」 0: オトナ:「この村は楽しい?」 こども:「うん、咳ももうほとんど出ないよ!」 オトナ:「そっか。よかったな」 こども:「うん、町よりずっと遊べるところがあって楽しいよ」 オトナ:「ああ、そっか。こども視点だとそうなるのかあ」 こども:「おじさんは町遊びの方がいいの?」 オトナ:「町遊びって言われるとなんかいかがわしいな」 こども:「イカガワシイ?」 オトナ:「なんでもないよ。あと、人混み嫌いだからここで十分楽しいよ。おじさんは」 こども:「あ、おじさんて認めた!」 オトナ:「おいこら、ついに譲歩してやったっていうのに」 こども:「んふふふ」 こども:「僕はここが好きだよ」 こども:「コンビニもないし、友だちも近くにいないし、学校に通うのもお母さんに送ってもらわなきゃダメだけど、ここはみんな僕と友だちになってくれるし、みんな僕と遊んでくれるもん」 オトナ:「うーん、確かになあ。楽しいってこういう童心みたいなのかもしれないなあ」 こども:「あ、遊びたいの? でももう僕そろそろ休まないと危ないかもしれないから。また今度遊んであげるね!」 オトナ:「そっか、じゃあ今度遊ぼうか」 こども:「その時は薬箱の中身全部売り尽くしといてね!」 オトナ:「たとえからにしてたとしても入れないから」 こども:「チューザイさんがこの山はチガイホウケンだからいいって……」 オトナ:「だから何やってんだ、あのおっさん……」