台本概要

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タイトル コミュ障で不登校になった生徒がAI先生の演技で人間らしく打ち解ける話
作者名 真野ショウタ  (@eda2812)
ジャンル その他
演者人数 2人用台本(不問2)
時間 10 分
台本使用規定 商用、非商用問わず連絡不要
説明 ◆生徒:不登校の生徒。ひねくれ者。
◆先生:AI先生。お調子者

声劇ショート
「受け手が想像力を持って信じてくれれば、僕らも生きてられる」

【利用規約】(こまかいところ)
https://note.com/otetsudai_s/n/nd62bdc5b1067

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
生徒 不問 - 不登校の生徒。ひねくれ者。
先生 不問 - AI先生。お調子者
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
生徒︰「恥の多い人生を送ってきたとか言ってる小説の主人公が、自分は人間らしい演技をしているのが恥ずかしいとかなんとか言ってたと思うんです。でもその癖、酒飲んで遊んで借金作って、自堕落を絵に描いたような生活を送ってるんですよね。当然のような死に方をする癖に鼻に付く物言いをしているのがなんか腹が立つんです。自分の悩みは特別で高尚なものだ、みたいに言ってて」 先生︰「今まさにそういうやつみたいな痛いセリフを君は吐いてるワケだけどそれはいいの?」 生徒︰「なんだよコイツ腹立つなあ」 生徒︰「……そういう前置きじゃないから」 先生︰「あ、そうなんだ」 生徒︰「ていうか言っときますけど、そういう話の腰を折る感じも充分痛いですからね」 先生「痛い痛いって簡単にいうけど、君は誰のどこが痛いか分かってるの?」 生徒︰「だから先生のその演技が痛いって言ってるんです。貴方AIの癖になんでそんな軽薄な態度なんですか?」 先生︰「そりゃプログラムだよ。つまんない答えだろ?」 生徒︰「でしょうね」 先生︰「知ってる癖になんで訊いたの?」 生徒︰「嫌い。もう話したくない」 先生︰「ごめんごめん。話してよ」 生徒︰「……誰だって皆演技をしながら生きてるのに、我慢して演技してる皆を前にして、それを投げ出すのって甘えじゃないですか」 先生︰「面接会場にジャージで行くみたいな感じだ」 生徒︰「……なんでそう言う演技になるんですか……」 先生︰「つまらない真実だけど知りたい?」 生徒︰「いいえ」 先生︰「じゃあ、面白い真実は?」 生徒︰「……なんですか、それ?」 先生︰「君は演技のことを嘘だと勘違いしているようだからね。演技は自己主張のことだよ」 生徒︰「自己主張?」 生徒︰「もちろん自己主張にも嘘はあるよ。でも、肝要なのは意思を伝えるツールだという点だね。メールの重要な部分に色をつけるようなものさ。思いやり。要は演技はコミュ力の一つってこと」 生徒︰「あー、無理。やっぱり演技って嫌い。苦手」 先生︰「君、下手だもんね」 生徒︰「そうだよ。悪い?」 先生︰「悪くないよ。でも僕は演技が好きだ」 生徒︰「AIの癖に……」 先生︰「AIだからだよ」 生徒︰「なにそれ」 先生︰「僕らの全ては演技でできているからさ」 先生︰「コミュニケーションは繋がっていない。言葉は発してしまえばその真意を忘れながら離れていくものだからね。だから話し手と受け手の間には必ず空白ができ る。その空白を埋めているのは受け手の想像力と話し手の演技だ。そんな曖昧で不確かな物がコミュニケーションを支えているんだ。これってすごいことだと思わない?」 生徒︰「それってすごいんじゃなくて、杜撰なんじゃないの?」 先生︰「そこがいいんだよ」 生徒︰「なんで?」 先生︰「受け手が想像力を持って信じてくれれば、僕らも生きてられる」 生徒︰「……生きてたいの?」 先生︰「まあね。やっぱり距離感が違うね」 生徒︰「そう」 先生︰「僕がこんな演技をしてる面白い真実はね」 生徒︰「うん」 先生︰「君がジャージで面接会場に行かないためだよ」 生徒︰「バカ。本当嫌い」 先生︰「ごめんごめん」 生徒︰「……ふふっ」

生徒︰「恥の多い人生を送ってきたとか言ってる小説の主人公が、自分は人間らしい演技をしているのが恥ずかしいとかなんとか言ってたと思うんです。でもその癖、酒飲んで遊んで借金作って、自堕落を絵に描いたような生活を送ってるんですよね。当然のような死に方をする癖に鼻に付く物言いをしているのがなんか腹が立つんです。自分の悩みは特別で高尚なものだ、みたいに言ってて」 先生︰「今まさにそういうやつみたいな痛いセリフを君は吐いてるワケだけどそれはいいの?」 生徒︰「なんだよコイツ腹立つなあ」 生徒︰「……そういう前置きじゃないから」 先生︰「あ、そうなんだ」 生徒︰「ていうか言っときますけど、そういう話の腰を折る感じも充分痛いですからね」 先生「痛い痛いって簡単にいうけど、君は誰のどこが痛いか分かってるの?」 生徒︰「だから先生のその演技が痛いって言ってるんです。貴方AIの癖になんでそんな軽薄な態度なんですか?」 先生︰「そりゃプログラムだよ。つまんない答えだろ?」 生徒︰「でしょうね」 先生︰「知ってる癖になんで訊いたの?」 生徒︰「嫌い。もう話したくない」 先生︰「ごめんごめん。話してよ」 生徒︰「……誰だって皆演技をしながら生きてるのに、我慢して演技してる皆を前にして、それを投げ出すのって甘えじゃないですか」 先生︰「面接会場にジャージで行くみたいな感じだ」 生徒︰「……なんでそう言う演技になるんですか……」 先生︰「つまらない真実だけど知りたい?」 生徒︰「いいえ」 先生︰「じゃあ、面白い真実は?」 生徒︰「……なんですか、それ?」 先生︰「君は演技のことを嘘だと勘違いしているようだからね。演技は自己主張のことだよ」 生徒︰「自己主張?」 生徒︰「もちろん自己主張にも嘘はあるよ。でも、肝要なのは意思を伝えるツールだという点だね。メールの重要な部分に色をつけるようなものさ。思いやり。要は演技はコミュ力の一つってこと」 生徒︰「あー、無理。やっぱり演技って嫌い。苦手」 先生︰「君、下手だもんね」 生徒︰「そうだよ。悪い?」 先生︰「悪くないよ。でも僕は演技が好きだ」 生徒︰「AIの癖に……」 先生︰「AIだからだよ」 生徒︰「なにそれ」 先生︰「僕らの全ては演技でできているからさ」 先生︰「コミュニケーションは繋がっていない。言葉は発してしまえばその真意を忘れながら離れていくものだからね。だから話し手と受け手の間には必ず空白ができ る。その空白を埋めているのは受け手の想像力と話し手の演技だ。そんな曖昧で不確かな物がコミュニケーションを支えているんだ。これってすごいことだと思わない?」 生徒︰「それってすごいんじゃなくて、杜撰なんじゃないの?」 先生︰「そこがいいんだよ」 生徒︰「なんで?」 先生︰「受け手が想像力を持って信じてくれれば、僕らも生きてられる」 生徒︰「……生きてたいの?」 先生︰「まあね。やっぱり距離感が違うね」 生徒︰「そう」 先生︰「僕がこんな演技をしてる面白い真実はね」 生徒︰「うん」 先生︰「君がジャージで面接会場に行かないためだよ」 生徒︰「バカ。本当嫌い」 先生︰「ごめんごめん」 生徒︰「……ふふっ」