台本概要

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タイトル 掃除屋の鼹
作者名 ノイン  (@latimeria_Ya)
ジャンル その他
演者人数 5人用台本(不問5) ※兼役あり
時間 40 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明  鼹 = もぐら

情報屋のクロウは掃除屋のタルパに依頼の電話をする。タルパが仕事内容を確認すると、その作戦に参加するメンバーの詳細に目が止まった。とある伝言を頼むとクロウの提案で3人の殺し屋達に直接会いに行く事になるが…

【ジャンル】サスペンス
【シリーズ】6作目
【アドリブ】演じられるキャラの性別に合わせて一人称や言い回し等、変更頂いて大丈夫です。

※組織ボスは、オルク役かヴォルフ役の方に兼ね役をお願いします。渋めでも若めでも!

【登場人物の関係性】
ヴォルフ・オルク・モルフォ → 同盟
ヴォルフ・オルク ←契約→ クロウ
クロウ ←同盟→ モルフォ

シナリオをご覧頂きありがとうございます。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ヴォルフ 不問 65 銃全般を扱う殺し屋。一見やんちゃそうに見えるが実は真面目。普段周りの奴らに振り回されている苦労人。心を強く持って欲しい。 ※組織ボスは、オルク役かヴォルフ役の方に兼ね役をお願いします。
オルク 不問 52 刀やナイフを扱う殺し屋。言葉遣いが丁寧で一見真面目そうに見えるがとんでもない奴サイコパス。お気に入りのヴォルフに何かと突っかかる。 ※組織ボスは、オルク役かヴォルフ役の方に兼ね役をお願いします。
クロウ 不問 56 【二重人格】 クロウ → 元殺し屋の情報屋。自身の話はあまりしない為謎が多い。情報を巧みに操る。こいつを怒らせてはいけない。 もうひとつの人格であるパッセルを大切にしているがそれを隠しているツンデレ。 パッセル → 一般社会の中で生活している。皆の唯一の癒し。(今回は出てこない)
モルフォ 不問 42 毒を扱う殺し屋で変装も得意。温和でマイペース。殺し=実験。ただ誰彼構わず殺す訳ではない。良い人が好きで悪い奴は嫌い。ある意味ヤバイ人物。
タルパ 不問 102 裏社会の掃除屋。明るく陽気な性格で世渡り上手。食べ物を貰うとすぐ懐く。死体はただの肉の塊としか思っておらず、淡々と処理していく。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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0:着信音 タルパ:お、電話電話っと・・・ 0:電話を取る タルパ:お電話ありがとうございます。本日はどの様なご要件でしょうか? クロウ:やぁ、タルパ。 タルパ:クロウさん!どうもっす! タルパ:・・・・・・って!?またっすか!?自分新しい番号まだ教えてないっすよね!? クロウ:足取りを掴ませない為に一定の期間で番号を変えるお前のそのやり方、面倒臭くないか? タルパ:ぶっちゃけ凄い面倒臭いっす! クロウ:だけどそれでやりくり出来ているんだから大したものだ。 タルパ:こ〜んな危なっかしさの塊しかない業界だからこそ番号変えてるのに、どうしてあなたにはバレちゃうんすかねぇ・・・だっていつもっすよ!?なんで分かるんすか!? クロウ:急ぎの案件が出来たからね。より早く知る必要があったんだ。 タルパ:にしたって早すぎません?まだ30分も経ってないっすよ? クロウ:先に知ったからといって誰に言いふらす訳でもない。細かい事は良いじゃないか。 タルパ:まぁ、クロウさんには毎回伝えるんで別に良いんすけど・・・・・・いや?いや!?やっぱりなんかヤダ!てか悔しいっす!くぅ〜! クロウ:それより、元気にしてた? タルパ:多分聞かなくても分かってるっすよね、それも。 クロウ:それはどうかな? タルパ:・・・・・・・・・。あぁ〜〜〜!そういえば聞いて下さいよ!自分、一昨日めちゃくちゃ忙しかったんすよ〜! クロウ:1日で依頼3件こなしたやつか。移動距離や処理の方法もそれぞれ違うし大変だっただろう。 タルパ:ほらね!?知ってるじゃないすか!?そういうとこっすよ!? クロウ:たまたまだよ。 タルパ:ご本人に直接言うのもあれなんすけど!クロウさん情報網広すぎてめちゃくちゃ怖いんすよ!一体いくつ眼ぇ持ってんすか!? クロウ:人間の眼は2つだろう。 タルパ:はぁ・・・追求するだけ無駄そっすね。それでは、本題をどうぞ。 クロウ:2日後、害虫の駆除を行う。方法や対象の数、詳細を送った。確認してくれ。 0:害虫=殺害対象の人間の事 タルパ:2日後っすね、大丈夫っすよ。手配しときます。 クロウ:話がスムーズで助かるよ。 タルパ:クロウさんはうちのお得意様っすからね! 0:データを見て何かに気付くタルパ タルパ:それよりも・・・あのぉ〜、このメンバーっていつものお三方っすか? クロウ:あぁ。 タルパ:えぁ〜〜〜マジっすか・・・ タルパ:えっとぉ・・・あんま現場や害虫を派手にするのは良くないよ〜って伝えておいてもらえます?「あの」お2人に・・・ クロウ:良い機会かもしれないな。お前が直接伝えてみたらどう? タルパ:え!?自分が!?マジすか!? クロウ:お前が会いたいと言ってた奴にも会えるよ? タルパ:そ、それは確かにっ! クロウ:どうする? タルパ:ぐぬぬぬぬぬっ・・・・・・! クロウ:葛藤してるね。 タルパ:はぁ・・・分かったっすよ。 タルパ:(一息置いてから早口で) タルパ:殺されそうになったら助けて下さいね!? クロウ:大丈夫だ、そうはならないよ。 0:戦闘終了後シーン、何やら揉めている様子 ヴォルフ:てめぇ、オルクこの野郎!俺の射線上にずかずか入ってきやがって!撃ち殺されてぇのか!? オルク:いや〜私の標的が随分と派手に動き回ったものですから、ついうっかり。 ヴォルフ:とぼけてんじゃねぇぞ?お前のうっかりはうっかりじゃねぇって事くらいもう分かってんだよ! オルク:私に銃弾がかする事も無かったですし、やはり素晴らしい腕ですね! ヴォルフ:お前はいつもそうやって・・・! 0:モルフォ合流 モルフォ:2人ともお疲れ様・・・ってあれれ、また喧嘩してる。 ヴォルフ:とにかく!俺の邪魔にならない様に立ち回れ! オルク:気が向いたら考えておきます♪ ヴォルフ:どうせ考える気ねぇだろ。ったく、同盟さえ結んでなかったらあのまま撃ち殺してやったのによ。 オルク:ふふふ。 0:クロウ合流 クロウ:何やら揉めているが全部終わったな。お疲れ様。 モルフォ:クロウもお疲れ様。 クロウ:さてお前達、武装を解除しろ。 ヴォルフ:あ?なに?急に怖ぇーんだけど。 オルク:ヴォルフさん、何かやらかしました? ヴォルフ:んな訳ねぇだろうが。お前と一緒にすんなサイコパス野郎。 0:武装解除する3人 モルフォ:それで今から何を始めるの? クロウ:お前達に紹介したい奴がいる。 クロウ:入っておいで。 0:ガスマスクを付けた人物が現れる モルフォ:もしかして殺し屋? クロウ:安心して良い、殺し屋じゃないよ。 オルク:そうですか。別に私は殺し屋でも良かったんですけどね。 ヴォルフ:馬鹿言うな、面倒事に巻き込まれるのはごめんだぜ。 0:※殺し屋には、お互い顔を知られたらどちらかは死ぬという暗黙の了解がある タルパ:ど〜も皆さん初めまして!自分はタルパっていうっす!掃除屋やらせてもらってます! クロウ:お前達が暴れた後の現場処理は、いつもこいつのところに頼んでる。 タルパ:(コソコソと) タルパ:んで、クロウさんクロウさん。皆さん武器とか持ってないすけど、誰が誰っすか? クロウ:ここには銃・刀・毒を扱う殺し屋がいる。どいつがどれか分かる? タルパ:それ、間違えたら殺されたりします? モルフォ:あはは、そんな事じゃ殺さないよ。 タルパ:あ、なら良かったっす。 クロウ:これはちょっとしたゲームだ。 モルフォ:なるほど、その為に僕達の武装を解除させたんだね。 クロウ:タルパはお前達の現場を良く知っているから面白そうだと思って。 モルフォ:クロウって意外と遊び心あるよね。 ヴォルフ:どうでも良いからさっさと終わらせて本題に入ろーぜ。 タルパ:う〜ん。そうっすね〜、じゃあ・・・ タルパ:(モルフォを見て) タルパ:そこの温和そうなあなたが銃。 タルパ:(ヴォルフを見て) タルパ:勇ましそうなあなたが刀。 タルパ:(オルクを見て) タルパ:言葉遣いの丁寧なあなたが毒っすかね? 0:思わず吹き出すオルク オルク:ふっ!おっと、失礼。 0:片手で頭を抱えるヴォルフ ヴォルフ:よりにもよって最悪な奴と間違えられた・・・ モルフォ:あはは! タルパ:え!?なんすか!?なんすかその反応は!?!? モルフォ:残念、全部外れだよ。 タルパ:あちゃ〜マジっすか、すみません。 クロウ:ほらお前達、順番に答え合わせ。 オルク:ではまず私から。 オルク:初めまして、オルクと申します。私が刀を扱う殺し屋です。 タルパ:なるほどぉ、あなたが・・・ タルパ:オルクさん、聞いてみたい事があるんすけど良いすか? オルク:えぇ、どうぞ。 タルパ:死体に致命傷とは違う傷が無数にあったり、死体から指が2.3本無くなってる時があるんすけどぉ・・・どういう事っすかね? オルク:細かなところまで良く見ていらっしゃるんですね! タルパ:あは!まぁ職業柄見ちゃうっすよね〜! オルク:それにしても、切り落とした指の処理までされているとは! タルパ:当たり前じゃないすか!もう〜!探すの大変だったりするんすよぉ〜? オルク:関心しました!素晴らしいですね! タルパ:ありがとうございます!お金もらってる以上自分もプロっすからね!仕事はちゃんとするっす! タルパ:ちゃんとするっすよ!?するっすけどね!?やり方がちと気になるなぁ〜と!? オルク:私は穏便にお話を済ませたいんです。ですが、恥ずかしがり屋で無口な方やギャーギャー喚いてお話にならない方々がいらっしゃって。 タルパ:それであの死体が出来上がるって訳っすねぇ〜! オルク:その点ご理解頂けると幸いです! タルパ:あははぁ〜!なるほどっすぅ〜!まぁ正直ぃ?百本譲ってぇ?こんなのはまだ可愛らしいもんすよ! タルパ:それよりもやり方が気になるといえばぁ!?毒を扱う殺し屋さんがもう相当ヤバいっすからね!?どっちすか!? 0:ヴォルフとモルフォに目を向けるタルパ モルフォ:僕が毒を扱う殺し屋のモルフォだよ。よろしくね。 タルパ:はぃぃぃぃぃぃ!?この人畜無害そうで蟻の1匹すら殺さなさそうなこの人が!?最初見た時!『あれぇ?堅気の人が混じってるぅ?』って思ったっすよ!? オルク:人は見た目によらないんですよ。 ヴォルフ:お前が言うと説得力あんな。 オルク:なんの事でしょう? タルパ:モルフォさん!?単刀直入に言わせてもらうっすけど!?現場が悲惨過ぎるのもうちょい何とかならないっすかねぇ!? タルパ:死体は毒によってドロドロに溶けてるわ腫れたりしてるわで顔の判別がつかなかったり!臓器を抜き取るだけじゃなく、殺害対象丸ごと持ち帰る時だってある!もとから聞いてた数よりも死体が足んない時なんてマジで焦ったっすよ!? ヴォルフ:話だけでもえげつねぇーな。 モルフォ:実験に夢中になっていて、今までその後の事まで考えた事無かったなぁ。 タルパ:実験? モルフォ:僕は毒物の研究をしていてね。殺し屋としての仕事はこなしているものの、僕にとっての殺しは実験だからどうしてもそうなっちゃうんだよね。 タルパ:もしかしてっすけど、人間で実験する為に殺し屋にとか・・・? モルフォ:理由はそれだけじゃないけど・・・いや?ざっくりだとそんな感じなのかな? タルパ:あ〜〜〜はいはいはい!とりあえず事情は分かりました!理解したくないっすけど分かりました! タルパ:(一息置いて) タルパ:正直、モルフォさんの現場は残酷過ぎてうちの子達みんな行くの嫌がるんすよ。でもまぁ毒物は扱いも難しいし、いつも自分か本当に慣れた子が対応してるんすけど。 モルフォ:そっか・・・ごめんね。じゃあ、とりあえず死体を持ち帰る際は報告するよ。 タルパ:それは大変助かるっす。 モルフォ:(ぶつぶつ呟く様に) モルフォ:それで臓器を取り出したら縫合(ほうごう)して・・・でもそれだと地味に時間が掛かるなぁ。だったら生きたまま連れて帰るのが早いけど流石に僕1人では限度があるし、その後の遺体をどう処理するのかも問題になる。それにせっかくの機会だから複数同時に毒物を投与して個体差による反応の違いも確かめたいんだよねぇ・・・ タルパ:あの、えっと? モルフォ:溶けた死体に関しても、危険性を抑える為に薬品を無効にする処置と見た目をある程度隠す様にして・・・でも経過観察にギリギリまで時間を取りたい。あぁ、一体どうすれば・・・! オルク:こんなに饒舌(じょうぜつ)になるモルフォさん初めて見ました。 クロウ:実際に会ってみて分かっただろう?こういう奴らだ。 タルパ:ほんと、癖強いっすね。でも働きに見合った報酬はしっかり受け取らせて頂いてるんで、自分からはもうなにも言わないっす。それにさっきも言った通り、仕事はちゃんとやります。1度お耳に挟んどいてもらいたかったんすよ。色々言っちゃってすみませんでした。でもちょっとスッキリしたぁ〜! クロウ:そう、なら良かったよ。 タルパ:という事は、あなたがヴォルフさんっすね・・・ 0:ヴォルフにゆっくり近付くタルパ ヴォルフ:お、おう。 タルパ:自分は・・・・・・・・・・・あなたに会いたかったんすよ!! ヴォルフ:え? タルパ:急所を狙った的確な射撃!いろんな銃を扱いつつも決して無駄な弾は撃たないから、肉片の飛び散りも少ないし死体からの出血も最小限!掃除屋にとって働きやすい最強の現場っす! タルパ:自分の目は節穴でした・・・あんな方々と間違ってすみませんでした!! オルク:「あんな方々」扱いされてしまいましたよ、私達。 モルフォ:それは仕方ないよね。 ヴォルフ:ま、まぁな・・・!俺くらいになると、ざっとこんなもんだ・・・! タルパ:かっけぇっす!マジ尊敬っす! モルフォ:ヴォルフ、凄く嬉しそうだね。 ヴォルフ:べ、別にそんな事ねぇよ・・・! クロウ:実際良くやってくれてるのは本当だしね。 ヴォルフ:ちょ、おい、やめろって・・・! オルク:ふぅ〜!照れてるぅ〜! ヴォルフ:うるせぇ黙れ、どたまぶち抜くぞ。 オルク:え、私だけ? タルパ:(キリッとして) タルパ:これ、自分の連絡先っす。何かあればいつでも駆け付けます。 クロウ:良かったじゃないか。 ヴォルフ:というと? クロウ:タルパは殺し屋に対して自分の連絡先を滅多に渡さないんだ。 ヴォルフ:そうなのか。 クロウ:仕事の腕は申し分ない、それに信用出来る奴だ。 ヴォルフ:へぇ〜、クロウから随分と評価されてんだな。 タルパ:そう言ってもらえるとなんかむず痒いっすね、へへ。 ヴォルフ:んじゃ、ありがたく頂くぜ。 タルパ:はい! 0:仲間から処理終了の連絡を受けるタルパ タルパ:お、処理が終わったみたいなのでここから離れましょっか。 0:建物外に出る4人 0:ガスマスクを外すタルパ タルパ:ぷはぁ!やっぱ外の空気は新鮮っすね!そんで腹減ったぁ〜。 モルフォ:そのガスマスクはいつも着けてるの? タルパ:はい、仕事中は必ず。 0:美味しそうな匂いが流れてくる タルパ:あぁ〜、マスク取った後に美味そうな匂いがダイレクトにくるのは辛いっすねぇ。 ヴォルフ:腹減ったんならメシでも行くか。 タルパ:え? ヴォルフ:仕事上でとはいえ、いつも世話になってたみてぇだからな。なんつーか、その礼だ。奢るぜタルパ。 タルパ:マジすか!? クロウ:タルパはよく食べるよ? ヴォルフ:別に構わねぇよ。 タルパ:ヴォルフさんっ・・・!自分、一生付いて行くっす!! オルク:ヴォルフさんの奢りですか!何にしましょうかね! ヴォルフ:お前なんかに奢る訳ねぇだろ。先帰って寝てろ、てか一生寝てろ。 オルク:今日は一段と冷たいですね、どうしたんですか? ヴォルフ:正気でそれ言ってんならお前はもう手遅れだよ。 クロウ:僕とモルフォはこれでおいとまするよ。次の仕事の打ち合わせがあるからね。 ヴォルフ:そうか、じゃぁな。 モルフォ:うん、またね。 タルパ:失礼します! 0:飲食店から出てくるヴォルフとタルパ、そしてもうひとりの影 タルパ:いや〜食った食った!ごちそうさまでした! オルク:ごちそうさまでした〜! ヴォルフ:なんでオルクの飯代を俺が出す羽目にっ・・・! オルク:別会計出来ないお店でしたね。 ヴォルフ:いいか!とりあえず払っただけだ!お前には後で請求すっからな! オルク:いや〜凄い偶然ですよね〜!たまたま入ったお店にお2人が居たんですから! ヴォルフ:おいスルーすんな!払わねぇ気だなクソがっ!その代わり貸しひとつだからな! タルパ:あ、あっさりあきらめるんすね。 ヴォルフ:今のこいつに何言ったって、どーせいうこと聞かねーし。 タルパ:あー、なるほど。 ヴォルフ:だが後を付けられてる様な気配は無かった。という事はほんとに偶然か・・・? オルク:やはり私達は運命の糸で繋がってるんですよ♪ ヴォルフ:うあああぁやめろ気色悪ぃ!! タルパ:『ヴォルフさん・・・濃いメンツに囲まれ、いつも苦労してるんすね・・・』 ヴォルフ:にしても、良い食いっぷりだったな。 タルパ:あ、はい!食べる事は大好きっす! ヴォルフ:死体見た後でも普通に肉とか食えるもんなのか? タルパ:自分は全然平気っすよ。例えていうなら、手術後の医者が肉食べに行く感じっすかね。 ヴォルフ:そうか、いきなり変な事聞いちまって悪かったな。 タルパ:いえ。 オルク:掃除屋さんってどのくらい稼げるんですか?見た感じ装備や道具など充実してらっしゃいそうですし、意外と稼がれてそうですね。 タルパ:それが、残念ながらそんな事もないんすよね〜。死体がどんなに高級な時計を着けてたって、それを売れば形跡を残す事になる。 オルク:だから処分すると。 ヴォルフ:オルクなら何も気にせずに売ってんな。 オルク:売ります! タルパ:即答! オルク:ですが、装飾品だけでなく死体にも利用価値はあります。上手く細工さえすればリスクは抑えられますよね。 タルパ:自分の所は死体も売ったりしません。なんせ安全第一でやってるんで。 オルク:徹底されてるんですね。 タルパ:はい。 オルク:そういえば、武器も扱ったりするんですか? タルパ:え? オルク:袖の中に仕込ませてますよね? 0:何故か動揺するタルパ タルパ:あ・・・よ、よく分かりましたね・・・!これは護身用で、その・・・ ヴォルフ:おい、オルク。人の内情にそうずかずか踏み込むもんじゃねーよ。 オルク:タルパさんへの興味が沸いてしまってつい。すみませんね。 タルパ:いえいえ、あはは・・・ 0:その後、分かれ道にて ヴォルフ:じゃあ俺はこっちだから、ここで。 オルク:あれ、私の事忘れてません?私とヴォルフさんが帰る場所は同じじゃないですか。 タルパ:住んでるマンションが一緒とかっすか? オルク:シェアハウスしてるんですよ! タルパ:あー、それはなんというかー、毎日退屈しなさそうっすね。 オルク:それはもう!日々充実してます! ヴォルフ:心休まる暇がねぇ・・・ タルパ:ヴォルフさん・・・今度またご飯行きましょう。次はご馳走させて下さい。 ヴォルフ:ありがとな・・・久々にまともな奴に会えて嬉しいぜ。 オルク:はいはいヴォルフさーん、帰りますよ〜。 ヴォルフ:はぁ・・・じゃあまたな、タルパ。 タルパ:はい、今日はありがとうございました! 0:しばらく歩くタルパ タルパ:護身用の武器・・・っすか・・・ 0:物陰から姿を表す謎の人物達 組織ボス:お前がタルパだな。 タルパ:誰ですかそれ?人違いっすよ。 組織ボス:誤魔化そうとしてるなら無駄だ。4日前、俺の組織の部下が奇襲にあった。生きて帰って来た奴から、お前が殺しをしている所を見たと報告があってな。しかし調べて驚いたぜ、掃除屋と名乗っておきながら殺しをするとはな。 タルパ:『・・・・・・あの時の殺し屋の現場か。厄介な事になったなぁ。あーぁ、最悪っすね。』 タルパ:それで?自分を殺す用意をしてきたと? 組織ボス:殺すのはお前だけじゃない、お前の部下達もだ。既に追っ手を放っている。 タルパ:部下に手ぇ出したら許さないっすよ。 組織ボス:おー怖い顔。許すも許さないもお前は今ここで死ぬんだ、関係ない。 タルパ:こうなったら・・・ 0:構える組織の奴らとタルパ 組織ボス:こうなったら、どーする? タルパ:ひとまず逃げるっす! 組織ボス:逃がすな!終え! 0:タルパを追う足跡 0:建物内に身を潜めるタルパ タルパ:クソッ!これだから中途半端な仕事しか出来ないくせに、自分はプロの殺し屋だなんだのベラベラ名乗る奴は嫌いなんすよ!番号変えたからあんな奴もう二度と関わる事はないっすけど腹立つぅ!! タルパ:って、とりあえず今はみんなが心配っす!早く連絡して合流を・・・! 0:突然背後から声がする クロウ:見つけた。 0:何者かに口を抑えられるタルパ タルパ:しまっ・・・!?むぐっ!! クロウ:落ち着けタルパ、僕だ。 タルパ:クロウさん!?どうしてここに!?っ、自分今追われてて!それに、掃除屋のみんなが危ないんすよ! クロウ:知ってるよ、お前の事を追ってる奴らはモルフォに任せてある。 タルパ:モルフォさんもいるんすか? クロウ:次の仕事の打ち合わせがあるって言っていただろう?それがこの件だ。 タルパ:え・・・?まさか、こうなる事を予測してたって事っすか? クロウ:お前の仲間についても安心して良い、大丈夫だ。とりあえず、詳しい話は方が付いてからね。 0:とある部屋、タルパを探す敵達 組織ボス:チッ、この部屋行き止まりじゃねぇか。まだ遠くへは行っていないはずだ!見つけ次第殺せ! 0:扉が閉まる音 モルフォ:随分と賑やかだね。 組織ボス:あ?誰だテメェ。 モルフォ:掃除屋さんを探してるんでしょう? 組織ボス:なんだ、お前アイツの知り合いかなんかか? モルフォ:そうだよ。 組織ボス:そいつは好都合だ、大人しくアイツの居場所を教えろ。痛い目には合いたくないだろ。 モルフォ:危害を加えられても何も文句は言わないよ?だって、僕に危害を加える権利が君達にはあるからね。 組織ボス:何言ってんだコイツ。 モルフォ:僕は君達を殺しに来たんだ。 0:刺激臭が漂い始める 組織ボス:っ、なんだこの刺激臭は・・・!? モルフォ:この臭いは有毒ガスだよ。僕が開発した物なんだけど、早速試せる機会があって嬉しいな。 0:組織の部下がドアを開けようとするが開かない 組織ボス:なに!?ドアが開かないだと!? モルフォ:あぁ、鍵なら僕が持ってるよ。 組織ボス:その鍵を寄越せっ! 0:モルフォに掴み掛かろうとするが躱される モルフォ:おっと。 組織ボス:随分余裕ぶってるけど良いのか?お前、マスクもなんも着けてねぇじゃねーか。このままじゃ一緒にあの世行きだぞ? モルフォ:そこはお気になさらず、僕がしたくてこうしてるんだから。それよりも自分の心配をした方が良いんじゃないかな? 0:苦しみ出す敵達 組織ボス:うっ・・・ モルフォ:そろそろ効いてきたみたいだね。 モルフォ:僕はね、君達みたいな悪い人達を対象にこういう実験をしているんだ。悪い人とはいえ、命をもらって研究ができている訳だからちゃんとお礼は言わなきゃね。ありがとう。 組織ボス:っ、まさかあの情報屋・・・俺達を嵌めやがったのか・・・クソ野郎がっ・・・! モルフォ:さぁ、誰が一番最期まで生きてられるかなぁ? 0:一方その頃、数人の死体を目の前に会話するヴォルフとオルク ヴォルフ:なぁ、オルク。 オルク:はい、ヴォルフさん。 ヴォルフ:いきなり襲ってきたコイツら、なんだったんだ? オルク:さぁ、なんだったんだでしょうね。 ヴォルフ:てか殺すにしたってよ、普通敵の目的を問い詰めてから殺すだろ? オルク:不意打ちには不意打ちをと思いまして。まぁ、その辺りはクロウさんに聞けば分かる事でしょう。 ヴォルフ:なんでそこでクロウが出てくんだよ。 0:着信音 オルク:噂をすれば、クロウさんから電話ですね。 オルク:(クロウとの会話) オルク:もしもし。はい、了解しました。では後程。 0:通話終了 ヴォルフ:なんだって? オルク:合流との事です。 ヴォルフ:一応先に聞いとくけどよ、お前が俺達のいる店に来たのってほんとにまぐれだったのか? オルク:あぁ、あれですか。クロウさんが教えてくれました。 ヴォルフ:嫌な予感しかしねぇ・・・とりあえず向かうか。 0:合流する5人 クロウ:来たな。 ヴォルフ:モルフォにタルパまでいんじゃねぇか。 0:具合が悪そうなモルフォ モルフォ:やぁ・・・ヴォルフに、オルク・・・ ヴォルフ:って、良く見たらどうしたモルフォ!?大丈夫か!? クロウ:敵との戦闘で有毒ガスを吸い込んでね。 ヴォルフ:マスクとか着けてなかったのか!? クロウ:あえて着けなかったそうだ。 ヴォルフ:は? クロウ:有毒ガスに対しての耐性がどれくらいあるか確認する為にね。 タルパ:ホント恐ろしいっすよね。 クロウ:全員揃ったぞ、研究は一旦終わりだモルフォ。解毒剤を打て。 モルフォ:もう少しこのままで・・・僕ならまだ大丈夫だよ・・・ クロウ:モルフォ。(圧) モルフォ:・・・・・・・・・ごめん、分かったよ。 0:自分で注射器を刺すモルフォ モルフォ:・・・ふぅ。あーぁ、良い所だったのになぁ。 タルパ:回復はやっ! モルフォ:聴覚は特に問題無し。酷い頭痛に手足の痺れはあるけど、身体は何とか頑張って動かせるしある程度なら舌も回る。これはまだまだ改良の余地ありだね。 クロウ:お前以外は綺麗に全滅したんだ、もう十分だと思うけど。 ヴォルフ:色んな意味でやべぇな。 オルク:イカれてますね。あぁ、これは褒め言葉ですよ? クロウ:さて、説明するとしよう。 クロウ:タルパ・ヴォルフ・オルク。お前達3人に奇襲を仕掛けてきた奴らだけど、次の僕の標的だったんだ。偶然な事にそいつらからタルパの情報を求められてね。金と引き換えに情報を提供した。 タルパ:自分の情報売られてたっ・・・!! モルフォ:けどね、タルパの身の安全を保証する為にクロウは僕に協力を仰いだんだよ。 タルパ:そうだったんすね。 クロウ:怖い目に合わせたのは悪かったよ。 タルパ:いえ。仮にクロウさんが情報を売らなかったとしても、自分はさっきと同じ目に遭ってたと思うんすよ。だから結果的には助けてもらったって事っす。ありがとうございます。 クロウ:だけどお前を利用した事に変わりは無い。情報提供で受け取った金はお前に渡すよ。 タルパ:良いんすか?じゃあ、それはありがたく受け取らせて頂くっす! ヴォルフ:タルパはなんで狙われたんだ? タルパ:それは・・・ モルフォ:僕は打ち合わせの為にクロウから事情を聞いてしまったんだけど、タルパが話したくないなら無理に話さなくても良いんだよ。 タルパ:いえ、話します。 タルパ:数日前、とある殺し屋から依頼を受けました。いつもの様に作業に取り掛かろうとすると、1人だけまだ息のあった奴がいたんすよ。自分は死体処理をする掃除屋、仕事を引き受けた以上証拠を残す訳にはいかない。だから瀕死の人間を殺し、殺し屋の尻拭いをした。けど、見られたタイミングときたら。気が動転してて、それに気づかなかった自分も自分っすけど・・・。奴らに襲われた時に弁解した所で、自分が殺した事実は変わらない。 0:服の袖に隠してた武器を出すタルパ オルク:おや、それは。 タルパ:オルクさんに見抜かれた隠し武器、これは鉤爪(かぎづめ)っす。最初は本当に護身用にと持ってたんすけど、まさか殺しに使う日が来るなんて。 ヴォルフ:そんな事があったんだな。 タルパ:いつも死体見て処理してる自分がこんな事言うのもなんすけど、死体になる直前の姿を見るのは精神にくるものがあって・・・苦手なんすよ。 オルク:意外ですね。 タルパ:死体にさえなってしまえば、ただの肉の塊と同じなんでどうって事は無いんすけど。 ヴォルフ:それはそれですげぇな。 タルパ:苦手だからといって、掃除屋の仲間の誰かに汚れ役を押し付ける訳にはいかなかった。自分はリーダーっす、だから自分が。 クロウ:タルパ、お前は殺し屋ではなく掃除屋なんだ。もし今後何かあった時は僕を頼れ。お前にはいつも世話になっているから遠慮は要らない。 タルパ:クロウさん・・・ モルフォ:せっかく知り合いになれた訳だし、僕にも頼ってね。 ヴォルフ:もちろん俺にもな。いつでも連絡してこい。 オルク:面白そうな事があればぜひ私も呼んでくださいね。 ヴォルフ:オルクは絶対呼ばない方がいいぞ。 オルク:やけに突っかかってこられますね。私の事大好きなんですか? ヴォルフ:ぶち殺すぞ!! モルフォ:仲が良いのか悪いのか。 タルパ:皆さん、ありがとうございます。 オルク:では、次は私達が狙われた理由ですね。 クロウ:本来ならそこで取引は終了だったが、僕は追加で情報を提供した。ヴォルフとオルクが部下だと。 ヴォルフ:嘘つきじゃねぇか。 クロウ:その情報はサービスで提供したものであり、金は受け取っていない。信じるか信じないかは奴らの自由だ。 オルク:タダより怖いものはないというやつですね。 ヴォルフ:その情報で命落としてんだから洒落になんねぇけどな。てか!俺達を巻き込むなら先にそれ教えてくれたって良かったじゃねーか!? クロウ:オルクが最近刺激が足りないとボヤいていたからね、丁度良いと思って。 ヴォルフ:はぁ・・・そういう事な。 オルク:ふふふ、残念ながらあまり手応えのない方々でしたけど。 クロウ:もちろん報酬は支払う。あとお詫びといってはなんだけど、さっきのお前達の食事代は僕が持とう。 ヴォルフ:いや、飯代はいい。それとこれとはまた別だからな。 モルフォ:相変わらず律儀だねぇ。 タルパ:なんか色々心配になるくらい律儀っすね。 モルフォ:ところで、あの死体達はどうするの? クロウ:急で申し訳ないが仕事を頼めるかい?掃除屋さん。 タルパ:あはは!ほんとに急っすね!分かりました! タルパ:そのかわり今後とも!うちをどうぞご贔屓(ひいき)によろしく頼むっすよ!! 0:Fin

0:着信音 タルパ:お、電話電話っと・・・ 0:電話を取る タルパ:お電話ありがとうございます。本日はどの様なご要件でしょうか? クロウ:やぁ、タルパ。 タルパ:クロウさん!どうもっす! タルパ:・・・・・・って!?またっすか!?自分新しい番号まだ教えてないっすよね!? クロウ:足取りを掴ませない為に一定の期間で番号を変えるお前のそのやり方、面倒臭くないか? タルパ:ぶっちゃけ凄い面倒臭いっす! クロウ:だけどそれでやりくり出来ているんだから大したものだ。 タルパ:こ〜んな危なっかしさの塊しかない業界だからこそ番号変えてるのに、どうしてあなたにはバレちゃうんすかねぇ・・・だっていつもっすよ!?なんで分かるんすか!? クロウ:急ぎの案件が出来たからね。より早く知る必要があったんだ。 タルパ:にしたって早すぎません?まだ30分も経ってないっすよ? クロウ:先に知ったからといって誰に言いふらす訳でもない。細かい事は良いじゃないか。 タルパ:まぁ、クロウさんには毎回伝えるんで別に良いんすけど・・・・・・いや?いや!?やっぱりなんかヤダ!てか悔しいっす!くぅ〜! クロウ:それより、元気にしてた? タルパ:多分聞かなくても分かってるっすよね、それも。 クロウ:それはどうかな? タルパ:・・・・・・・・・。あぁ〜〜〜!そういえば聞いて下さいよ!自分、一昨日めちゃくちゃ忙しかったんすよ〜! クロウ:1日で依頼3件こなしたやつか。移動距離や処理の方法もそれぞれ違うし大変だっただろう。 タルパ:ほらね!?知ってるじゃないすか!?そういうとこっすよ!? クロウ:たまたまだよ。 タルパ:ご本人に直接言うのもあれなんすけど!クロウさん情報網広すぎてめちゃくちゃ怖いんすよ!一体いくつ眼ぇ持ってんすか!? クロウ:人間の眼は2つだろう。 タルパ:はぁ・・・追求するだけ無駄そっすね。それでは、本題をどうぞ。 クロウ:2日後、害虫の駆除を行う。方法や対象の数、詳細を送った。確認してくれ。 0:害虫=殺害対象の人間の事 タルパ:2日後っすね、大丈夫っすよ。手配しときます。 クロウ:話がスムーズで助かるよ。 タルパ:クロウさんはうちのお得意様っすからね! 0:データを見て何かに気付くタルパ タルパ:それよりも・・・あのぉ〜、このメンバーっていつものお三方っすか? クロウ:あぁ。 タルパ:えぁ〜〜〜マジっすか・・・ タルパ:えっとぉ・・・あんま現場や害虫を派手にするのは良くないよ〜って伝えておいてもらえます?「あの」お2人に・・・ クロウ:良い機会かもしれないな。お前が直接伝えてみたらどう? タルパ:え!?自分が!?マジすか!? クロウ:お前が会いたいと言ってた奴にも会えるよ? タルパ:そ、それは確かにっ! クロウ:どうする? タルパ:ぐぬぬぬぬぬっ・・・・・・! クロウ:葛藤してるね。 タルパ:はぁ・・・分かったっすよ。 タルパ:(一息置いてから早口で) タルパ:殺されそうになったら助けて下さいね!? クロウ:大丈夫だ、そうはならないよ。 0:戦闘終了後シーン、何やら揉めている様子 ヴォルフ:てめぇ、オルクこの野郎!俺の射線上にずかずか入ってきやがって!撃ち殺されてぇのか!? オルク:いや〜私の標的が随分と派手に動き回ったものですから、ついうっかり。 ヴォルフ:とぼけてんじゃねぇぞ?お前のうっかりはうっかりじゃねぇって事くらいもう分かってんだよ! オルク:私に銃弾がかする事も無かったですし、やはり素晴らしい腕ですね! ヴォルフ:お前はいつもそうやって・・・! 0:モルフォ合流 モルフォ:2人ともお疲れ様・・・ってあれれ、また喧嘩してる。 ヴォルフ:とにかく!俺の邪魔にならない様に立ち回れ! オルク:気が向いたら考えておきます♪ ヴォルフ:どうせ考える気ねぇだろ。ったく、同盟さえ結んでなかったらあのまま撃ち殺してやったのによ。 オルク:ふふふ。 0:クロウ合流 クロウ:何やら揉めているが全部終わったな。お疲れ様。 モルフォ:クロウもお疲れ様。 クロウ:さてお前達、武装を解除しろ。 ヴォルフ:あ?なに?急に怖ぇーんだけど。 オルク:ヴォルフさん、何かやらかしました? ヴォルフ:んな訳ねぇだろうが。お前と一緒にすんなサイコパス野郎。 0:武装解除する3人 モルフォ:それで今から何を始めるの? クロウ:お前達に紹介したい奴がいる。 クロウ:入っておいで。 0:ガスマスクを付けた人物が現れる モルフォ:もしかして殺し屋? クロウ:安心して良い、殺し屋じゃないよ。 オルク:そうですか。別に私は殺し屋でも良かったんですけどね。 ヴォルフ:馬鹿言うな、面倒事に巻き込まれるのはごめんだぜ。 0:※殺し屋には、お互い顔を知られたらどちらかは死ぬという暗黙の了解がある タルパ:ど〜も皆さん初めまして!自分はタルパっていうっす!掃除屋やらせてもらってます! クロウ:お前達が暴れた後の現場処理は、いつもこいつのところに頼んでる。 タルパ:(コソコソと) タルパ:んで、クロウさんクロウさん。皆さん武器とか持ってないすけど、誰が誰っすか? クロウ:ここには銃・刀・毒を扱う殺し屋がいる。どいつがどれか分かる? タルパ:それ、間違えたら殺されたりします? モルフォ:あはは、そんな事じゃ殺さないよ。 タルパ:あ、なら良かったっす。 クロウ:これはちょっとしたゲームだ。 モルフォ:なるほど、その為に僕達の武装を解除させたんだね。 クロウ:タルパはお前達の現場を良く知っているから面白そうだと思って。 モルフォ:クロウって意外と遊び心あるよね。 ヴォルフ:どうでも良いからさっさと終わらせて本題に入ろーぜ。 タルパ:う〜ん。そうっすね〜、じゃあ・・・ タルパ:(モルフォを見て) タルパ:そこの温和そうなあなたが銃。 タルパ:(ヴォルフを見て) タルパ:勇ましそうなあなたが刀。 タルパ:(オルクを見て) タルパ:言葉遣いの丁寧なあなたが毒っすかね? 0:思わず吹き出すオルク オルク:ふっ!おっと、失礼。 0:片手で頭を抱えるヴォルフ ヴォルフ:よりにもよって最悪な奴と間違えられた・・・ モルフォ:あはは! タルパ:え!?なんすか!?なんすかその反応は!?!? モルフォ:残念、全部外れだよ。 タルパ:あちゃ〜マジっすか、すみません。 クロウ:ほらお前達、順番に答え合わせ。 オルク:ではまず私から。 オルク:初めまして、オルクと申します。私が刀を扱う殺し屋です。 タルパ:なるほどぉ、あなたが・・・ タルパ:オルクさん、聞いてみたい事があるんすけど良いすか? オルク:えぇ、どうぞ。 タルパ:死体に致命傷とは違う傷が無数にあったり、死体から指が2.3本無くなってる時があるんすけどぉ・・・どういう事っすかね? オルク:細かなところまで良く見ていらっしゃるんですね! タルパ:あは!まぁ職業柄見ちゃうっすよね〜! オルク:それにしても、切り落とした指の処理までされているとは! タルパ:当たり前じゃないすか!もう〜!探すの大変だったりするんすよぉ〜? オルク:関心しました!素晴らしいですね! タルパ:ありがとうございます!お金もらってる以上自分もプロっすからね!仕事はちゃんとするっす! タルパ:ちゃんとするっすよ!?するっすけどね!?やり方がちと気になるなぁ〜と!? オルク:私は穏便にお話を済ませたいんです。ですが、恥ずかしがり屋で無口な方やギャーギャー喚いてお話にならない方々がいらっしゃって。 タルパ:それであの死体が出来上がるって訳っすねぇ〜! オルク:その点ご理解頂けると幸いです! タルパ:あははぁ〜!なるほどっすぅ〜!まぁ正直ぃ?百本譲ってぇ?こんなのはまだ可愛らしいもんすよ! タルパ:それよりもやり方が気になるといえばぁ!?毒を扱う殺し屋さんがもう相当ヤバいっすからね!?どっちすか!? 0:ヴォルフとモルフォに目を向けるタルパ モルフォ:僕が毒を扱う殺し屋のモルフォだよ。よろしくね。 タルパ:はぃぃぃぃぃぃ!?この人畜無害そうで蟻の1匹すら殺さなさそうなこの人が!?最初見た時!『あれぇ?堅気の人が混じってるぅ?』って思ったっすよ!? オルク:人は見た目によらないんですよ。 ヴォルフ:お前が言うと説得力あんな。 オルク:なんの事でしょう? タルパ:モルフォさん!?単刀直入に言わせてもらうっすけど!?現場が悲惨過ぎるのもうちょい何とかならないっすかねぇ!? タルパ:死体は毒によってドロドロに溶けてるわ腫れたりしてるわで顔の判別がつかなかったり!臓器を抜き取るだけじゃなく、殺害対象丸ごと持ち帰る時だってある!もとから聞いてた数よりも死体が足んない時なんてマジで焦ったっすよ!? ヴォルフ:話だけでもえげつねぇーな。 モルフォ:実験に夢中になっていて、今までその後の事まで考えた事無かったなぁ。 タルパ:実験? モルフォ:僕は毒物の研究をしていてね。殺し屋としての仕事はこなしているものの、僕にとっての殺しは実験だからどうしてもそうなっちゃうんだよね。 タルパ:もしかしてっすけど、人間で実験する為に殺し屋にとか・・・? モルフォ:理由はそれだけじゃないけど・・・いや?ざっくりだとそんな感じなのかな? タルパ:あ〜〜〜はいはいはい!とりあえず事情は分かりました!理解したくないっすけど分かりました! タルパ:(一息置いて) タルパ:正直、モルフォさんの現場は残酷過ぎてうちの子達みんな行くの嫌がるんすよ。でもまぁ毒物は扱いも難しいし、いつも自分か本当に慣れた子が対応してるんすけど。 モルフォ:そっか・・・ごめんね。じゃあ、とりあえず死体を持ち帰る際は報告するよ。 タルパ:それは大変助かるっす。 モルフォ:(ぶつぶつ呟く様に) モルフォ:それで臓器を取り出したら縫合(ほうごう)して・・・でもそれだと地味に時間が掛かるなぁ。だったら生きたまま連れて帰るのが早いけど流石に僕1人では限度があるし、その後の遺体をどう処理するのかも問題になる。それにせっかくの機会だから複数同時に毒物を投与して個体差による反応の違いも確かめたいんだよねぇ・・・ タルパ:あの、えっと? モルフォ:溶けた死体に関しても、危険性を抑える為に薬品を無効にする処置と見た目をある程度隠す様にして・・・でも経過観察にギリギリまで時間を取りたい。あぁ、一体どうすれば・・・! オルク:こんなに饒舌(じょうぜつ)になるモルフォさん初めて見ました。 クロウ:実際に会ってみて分かっただろう?こういう奴らだ。 タルパ:ほんと、癖強いっすね。でも働きに見合った報酬はしっかり受け取らせて頂いてるんで、自分からはもうなにも言わないっす。それにさっきも言った通り、仕事はちゃんとやります。1度お耳に挟んどいてもらいたかったんすよ。色々言っちゃってすみませんでした。でもちょっとスッキリしたぁ〜! クロウ:そう、なら良かったよ。 タルパ:という事は、あなたがヴォルフさんっすね・・・ 0:ヴォルフにゆっくり近付くタルパ ヴォルフ:お、おう。 タルパ:自分は・・・・・・・・・・・あなたに会いたかったんすよ!! ヴォルフ:え? タルパ:急所を狙った的確な射撃!いろんな銃を扱いつつも決して無駄な弾は撃たないから、肉片の飛び散りも少ないし死体からの出血も最小限!掃除屋にとって働きやすい最強の現場っす! タルパ:自分の目は節穴でした・・・あんな方々と間違ってすみませんでした!! オルク:「あんな方々」扱いされてしまいましたよ、私達。 モルフォ:それは仕方ないよね。 ヴォルフ:ま、まぁな・・・!俺くらいになると、ざっとこんなもんだ・・・! タルパ:かっけぇっす!マジ尊敬っす! モルフォ:ヴォルフ、凄く嬉しそうだね。 ヴォルフ:べ、別にそんな事ねぇよ・・・! クロウ:実際良くやってくれてるのは本当だしね。 ヴォルフ:ちょ、おい、やめろって・・・! オルク:ふぅ〜!照れてるぅ〜! ヴォルフ:うるせぇ黙れ、どたまぶち抜くぞ。 オルク:え、私だけ? タルパ:(キリッとして) タルパ:これ、自分の連絡先っす。何かあればいつでも駆け付けます。 クロウ:良かったじゃないか。 ヴォルフ:というと? クロウ:タルパは殺し屋に対して自分の連絡先を滅多に渡さないんだ。 ヴォルフ:そうなのか。 クロウ:仕事の腕は申し分ない、それに信用出来る奴だ。 ヴォルフ:へぇ〜、クロウから随分と評価されてんだな。 タルパ:そう言ってもらえるとなんかむず痒いっすね、へへ。 ヴォルフ:んじゃ、ありがたく頂くぜ。 タルパ:はい! 0:仲間から処理終了の連絡を受けるタルパ タルパ:お、処理が終わったみたいなのでここから離れましょっか。 0:建物外に出る4人 0:ガスマスクを外すタルパ タルパ:ぷはぁ!やっぱ外の空気は新鮮っすね!そんで腹減ったぁ〜。 モルフォ:そのガスマスクはいつも着けてるの? タルパ:はい、仕事中は必ず。 0:美味しそうな匂いが流れてくる タルパ:あぁ〜、マスク取った後に美味そうな匂いがダイレクトにくるのは辛いっすねぇ。 ヴォルフ:腹減ったんならメシでも行くか。 タルパ:え? ヴォルフ:仕事上でとはいえ、いつも世話になってたみてぇだからな。なんつーか、その礼だ。奢るぜタルパ。 タルパ:マジすか!? クロウ:タルパはよく食べるよ? ヴォルフ:別に構わねぇよ。 タルパ:ヴォルフさんっ・・・!自分、一生付いて行くっす!! オルク:ヴォルフさんの奢りですか!何にしましょうかね! ヴォルフ:お前なんかに奢る訳ねぇだろ。先帰って寝てろ、てか一生寝てろ。 オルク:今日は一段と冷たいですね、どうしたんですか? ヴォルフ:正気でそれ言ってんならお前はもう手遅れだよ。 クロウ:僕とモルフォはこれでおいとまするよ。次の仕事の打ち合わせがあるからね。 ヴォルフ:そうか、じゃぁな。 モルフォ:うん、またね。 タルパ:失礼します! 0:飲食店から出てくるヴォルフとタルパ、そしてもうひとりの影 タルパ:いや〜食った食った!ごちそうさまでした! オルク:ごちそうさまでした〜! ヴォルフ:なんでオルクの飯代を俺が出す羽目にっ・・・! オルク:別会計出来ないお店でしたね。 ヴォルフ:いいか!とりあえず払っただけだ!お前には後で請求すっからな! オルク:いや〜凄い偶然ですよね〜!たまたま入ったお店にお2人が居たんですから! ヴォルフ:おいスルーすんな!払わねぇ気だなクソがっ!その代わり貸しひとつだからな! タルパ:あ、あっさりあきらめるんすね。 ヴォルフ:今のこいつに何言ったって、どーせいうこと聞かねーし。 タルパ:あー、なるほど。 ヴォルフ:だが後を付けられてる様な気配は無かった。という事はほんとに偶然か・・・? オルク:やはり私達は運命の糸で繋がってるんですよ♪ ヴォルフ:うあああぁやめろ気色悪ぃ!! タルパ:『ヴォルフさん・・・濃いメンツに囲まれ、いつも苦労してるんすね・・・』 ヴォルフ:にしても、良い食いっぷりだったな。 タルパ:あ、はい!食べる事は大好きっす! ヴォルフ:死体見た後でも普通に肉とか食えるもんなのか? タルパ:自分は全然平気っすよ。例えていうなら、手術後の医者が肉食べに行く感じっすかね。 ヴォルフ:そうか、いきなり変な事聞いちまって悪かったな。 タルパ:いえ。 オルク:掃除屋さんってどのくらい稼げるんですか?見た感じ装備や道具など充実してらっしゃいそうですし、意外と稼がれてそうですね。 タルパ:それが、残念ながらそんな事もないんすよね〜。死体がどんなに高級な時計を着けてたって、それを売れば形跡を残す事になる。 オルク:だから処分すると。 ヴォルフ:オルクなら何も気にせずに売ってんな。 オルク:売ります! タルパ:即答! オルク:ですが、装飾品だけでなく死体にも利用価値はあります。上手く細工さえすればリスクは抑えられますよね。 タルパ:自分の所は死体も売ったりしません。なんせ安全第一でやってるんで。 オルク:徹底されてるんですね。 タルパ:はい。 オルク:そういえば、武器も扱ったりするんですか? タルパ:え? オルク:袖の中に仕込ませてますよね? 0:何故か動揺するタルパ タルパ:あ・・・よ、よく分かりましたね・・・!これは護身用で、その・・・ ヴォルフ:おい、オルク。人の内情にそうずかずか踏み込むもんじゃねーよ。 オルク:タルパさんへの興味が沸いてしまってつい。すみませんね。 タルパ:いえいえ、あはは・・・ 0:その後、分かれ道にて ヴォルフ:じゃあ俺はこっちだから、ここで。 オルク:あれ、私の事忘れてません?私とヴォルフさんが帰る場所は同じじゃないですか。 タルパ:住んでるマンションが一緒とかっすか? オルク:シェアハウスしてるんですよ! タルパ:あー、それはなんというかー、毎日退屈しなさそうっすね。 オルク:それはもう!日々充実してます! ヴォルフ:心休まる暇がねぇ・・・ タルパ:ヴォルフさん・・・今度またご飯行きましょう。次はご馳走させて下さい。 ヴォルフ:ありがとな・・・久々にまともな奴に会えて嬉しいぜ。 オルク:はいはいヴォルフさーん、帰りますよ〜。 ヴォルフ:はぁ・・・じゃあまたな、タルパ。 タルパ:はい、今日はありがとうございました! 0:しばらく歩くタルパ タルパ:護身用の武器・・・っすか・・・ 0:物陰から姿を表す謎の人物達 組織ボス:お前がタルパだな。 タルパ:誰ですかそれ?人違いっすよ。 組織ボス:誤魔化そうとしてるなら無駄だ。4日前、俺の組織の部下が奇襲にあった。生きて帰って来た奴から、お前が殺しをしている所を見たと報告があってな。しかし調べて驚いたぜ、掃除屋と名乗っておきながら殺しをするとはな。 タルパ:『・・・・・・あの時の殺し屋の現場か。厄介な事になったなぁ。あーぁ、最悪っすね。』 タルパ:それで?自分を殺す用意をしてきたと? 組織ボス:殺すのはお前だけじゃない、お前の部下達もだ。既に追っ手を放っている。 タルパ:部下に手ぇ出したら許さないっすよ。 組織ボス:おー怖い顔。許すも許さないもお前は今ここで死ぬんだ、関係ない。 タルパ:こうなったら・・・ 0:構える組織の奴らとタルパ 組織ボス:こうなったら、どーする? タルパ:ひとまず逃げるっす! 組織ボス:逃がすな!終え! 0:タルパを追う足跡 0:建物内に身を潜めるタルパ タルパ:クソッ!これだから中途半端な仕事しか出来ないくせに、自分はプロの殺し屋だなんだのベラベラ名乗る奴は嫌いなんすよ!番号変えたからあんな奴もう二度と関わる事はないっすけど腹立つぅ!! タルパ:って、とりあえず今はみんなが心配っす!早く連絡して合流を・・・! 0:突然背後から声がする クロウ:見つけた。 0:何者かに口を抑えられるタルパ タルパ:しまっ・・・!?むぐっ!! クロウ:落ち着けタルパ、僕だ。 タルパ:クロウさん!?どうしてここに!?っ、自分今追われてて!それに、掃除屋のみんなが危ないんすよ! クロウ:知ってるよ、お前の事を追ってる奴らはモルフォに任せてある。 タルパ:モルフォさんもいるんすか? クロウ:次の仕事の打ち合わせがあるって言っていただろう?それがこの件だ。 タルパ:え・・・?まさか、こうなる事を予測してたって事っすか? クロウ:お前の仲間についても安心して良い、大丈夫だ。とりあえず、詳しい話は方が付いてからね。 0:とある部屋、タルパを探す敵達 組織ボス:チッ、この部屋行き止まりじゃねぇか。まだ遠くへは行っていないはずだ!見つけ次第殺せ! 0:扉が閉まる音 モルフォ:随分と賑やかだね。 組織ボス:あ?誰だテメェ。 モルフォ:掃除屋さんを探してるんでしょう? 組織ボス:なんだ、お前アイツの知り合いかなんかか? モルフォ:そうだよ。 組織ボス:そいつは好都合だ、大人しくアイツの居場所を教えろ。痛い目には合いたくないだろ。 モルフォ:危害を加えられても何も文句は言わないよ?だって、僕に危害を加える権利が君達にはあるからね。 組織ボス:何言ってんだコイツ。 モルフォ:僕は君達を殺しに来たんだ。 0:刺激臭が漂い始める 組織ボス:っ、なんだこの刺激臭は・・・!? モルフォ:この臭いは有毒ガスだよ。僕が開発した物なんだけど、早速試せる機会があって嬉しいな。 0:組織の部下がドアを開けようとするが開かない 組織ボス:なに!?ドアが開かないだと!? モルフォ:あぁ、鍵なら僕が持ってるよ。 組織ボス:その鍵を寄越せっ! 0:モルフォに掴み掛かろうとするが躱される モルフォ:おっと。 組織ボス:随分余裕ぶってるけど良いのか?お前、マスクもなんも着けてねぇじゃねーか。このままじゃ一緒にあの世行きだぞ? モルフォ:そこはお気になさらず、僕がしたくてこうしてるんだから。それよりも自分の心配をした方が良いんじゃないかな? 0:苦しみ出す敵達 組織ボス:うっ・・・ モルフォ:そろそろ効いてきたみたいだね。 モルフォ:僕はね、君達みたいな悪い人達を対象にこういう実験をしているんだ。悪い人とはいえ、命をもらって研究ができている訳だからちゃんとお礼は言わなきゃね。ありがとう。 組織ボス:っ、まさかあの情報屋・・・俺達を嵌めやがったのか・・・クソ野郎がっ・・・! モルフォ:さぁ、誰が一番最期まで生きてられるかなぁ? 0:一方その頃、数人の死体を目の前に会話するヴォルフとオルク ヴォルフ:なぁ、オルク。 オルク:はい、ヴォルフさん。 ヴォルフ:いきなり襲ってきたコイツら、なんだったんだ? オルク:さぁ、なんだったんだでしょうね。 ヴォルフ:てか殺すにしたってよ、普通敵の目的を問い詰めてから殺すだろ? オルク:不意打ちには不意打ちをと思いまして。まぁ、その辺りはクロウさんに聞けば分かる事でしょう。 ヴォルフ:なんでそこでクロウが出てくんだよ。 0:着信音 オルク:噂をすれば、クロウさんから電話ですね。 オルク:(クロウとの会話) オルク:もしもし。はい、了解しました。では後程。 0:通話終了 ヴォルフ:なんだって? オルク:合流との事です。 ヴォルフ:一応先に聞いとくけどよ、お前が俺達のいる店に来たのってほんとにまぐれだったのか? オルク:あぁ、あれですか。クロウさんが教えてくれました。 ヴォルフ:嫌な予感しかしねぇ・・・とりあえず向かうか。 0:合流する5人 クロウ:来たな。 ヴォルフ:モルフォにタルパまでいんじゃねぇか。 0:具合が悪そうなモルフォ モルフォ:やぁ・・・ヴォルフに、オルク・・・ ヴォルフ:って、良く見たらどうしたモルフォ!?大丈夫か!? クロウ:敵との戦闘で有毒ガスを吸い込んでね。 ヴォルフ:マスクとか着けてなかったのか!? クロウ:あえて着けなかったそうだ。 ヴォルフ:は? クロウ:有毒ガスに対しての耐性がどれくらいあるか確認する為にね。 タルパ:ホント恐ろしいっすよね。 クロウ:全員揃ったぞ、研究は一旦終わりだモルフォ。解毒剤を打て。 モルフォ:もう少しこのままで・・・僕ならまだ大丈夫だよ・・・ クロウ:モルフォ。(圧) モルフォ:・・・・・・・・・ごめん、分かったよ。 0:自分で注射器を刺すモルフォ モルフォ:・・・ふぅ。あーぁ、良い所だったのになぁ。 タルパ:回復はやっ! モルフォ:聴覚は特に問題無し。酷い頭痛に手足の痺れはあるけど、身体は何とか頑張って動かせるしある程度なら舌も回る。これはまだまだ改良の余地ありだね。 クロウ:お前以外は綺麗に全滅したんだ、もう十分だと思うけど。 ヴォルフ:色んな意味でやべぇな。 オルク:イカれてますね。あぁ、これは褒め言葉ですよ? クロウ:さて、説明するとしよう。 クロウ:タルパ・ヴォルフ・オルク。お前達3人に奇襲を仕掛けてきた奴らだけど、次の僕の標的だったんだ。偶然な事にそいつらからタルパの情報を求められてね。金と引き換えに情報を提供した。 タルパ:自分の情報売られてたっ・・・!! モルフォ:けどね、タルパの身の安全を保証する為にクロウは僕に協力を仰いだんだよ。 タルパ:そうだったんすね。 クロウ:怖い目に合わせたのは悪かったよ。 タルパ:いえ。仮にクロウさんが情報を売らなかったとしても、自分はさっきと同じ目に遭ってたと思うんすよ。だから結果的には助けてもらったって事っす。ありがとうございます。 クロウ:だけどお前を利用した事に変わりは無い。情報提供で受け取った金はお前に渡すよ。 タルパ:良いんすか?じゃあ、それはありがたく受け取らせて頂くっす! ヴォルフ:タルパはなんで狙われたんだ? タルパ:それは・・・ モルフォ:僕は打ち合わせの為にクロウから事情を聞いてしまったんだけど、タルパが話したくないなら無理に話さなくても良いんだよ。 タルパ:いえ、話します。 タルパ:数日前、とある殺し屋から依頼を受けました。いつもの様に作業に取り掛かろうとすると、1人だけまだ息のあった奴がいたんすよ。自分は死体処理をする掃除屋、仕事を引き受けた以上証拠を残す訳にはいかない。だから瀕死の人間を殺し、殺し屋の尻拭いをした。けど、見られたタイミングときたら。気が動転してて、それに気づかなかった自分も自分っすけど・・・。奴らに襲われた時に弁解した所で、自分が殺した事実は変わらない。 0:服の袖に隠してた武器を出すタルパ オルク:おや、それは。 タルパ:オルクさんに見抜かれた隠し武器、これは鉤爪(かぎづめ)っす。最初は本当に護身用にと持ってたんすけど、まさか殺しに使う日が来るなんて。 ヴォルフ:そんな事があったんだな。 タルパ:いつも死体見て処理してる自分がこんな事言うのもなんすけど、死体になる直前の姿を見るのは精神にくるものがあって・・・苦手なんすよ。 オルク:意外ですね。 タルパ:死体にさえなってしまえば、ただの肉の塊と同じなんでどうって事は無いんすけど。 ヴォルフ:それはそれですげぇな。 タルパ:苦手だからといって、掃除屋の仲間の誰かに汚れ役を押し付ける訳にはいかなかった。自分はリーダーっす、だから自分が。 クロウ:タルパ、お前は殺し屋ではなく掃除屋なんだ。もし今後何かあった時は僕を頼れ。お前にはいつも世話になっているから遠慮は要らない。 タルパ:クロウさん・・・ モルフォ:せっかく知り合いになれた訳だし、僕にも頼ってね。 ヴォルフ:もちろん俺にもな。いつでも連絡してこい。 オルク:面白そうな事があればぜひ私も呼んでくださいね。 ヴォルフ:オルクは絶対呼ばない方がいいぞ。 オルク:やけに突っかかってこられますね。私の事大好きなんですか? ヴォルフ:ぶち殺すぞ!! モルフォ:仲が良いのか悪いのか。 タルパ:皆さん、ありがとうございます。 オルク:では、次は私達が狙われた理由ですね。 クロウ:本来ならそこで取引は終了だったが、僕は追加で情報を提供した。ヴォルフとオルクが部下だと。 ヴォルフ:嘘つきじゃねぇか。 クロウ:その情報はサービスで提供したものであり、金は受け取っていない。信じるか信じないかは奴らの自由だ。 オルク:タダより怖いものはないというやつですね。 ヴォルフ:その情報で命落としてんだから洒落になんねぇけどな。てか!俺達を巻き込むなら先にそれ教えてくれたって良かったじゃねーか!? クロウ:オルクが最近刺激が足りないとボヤいていたからね、丁度良いと思って。 ヴォルフ:はぁ・・・そういう事な。 オルク:ふふふ、残念ながらあまり手応えのない方々でしたけど。 クロウ:もちろん報酬は支払う。あとお詫びといってはなんだけど、さっきのお前達の食事代は僕が持とう。 ヴォルフ:いや、飯代はいい。それとこれとはまた別だからな。 モルフォ:相変わらず律儀だねぇ。 タルパ:なんか色々心配になるくらい律儀っすね。 モルフォ:ところで、あの死体達はどうするの? クロウ:急で申し訳ないが仕事を頼めるかい?掃除屋さん。 タルパ:あはは!ほんとに急っすね!分かりました! タルパ:そのかわり今後とも!うちをどうぞご贔屓(ひいき)によろしく頼むっすよ!! 0:Fin