台本概要

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タイトル 異世界転移したら推しが隣にいた件について ①
作者名 てくす  (@daihooon)
ジャンル ファンタジー
演者人数 2人用台本(男1、女1) ※兼役あり
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 英理は普通の女子だが、ある日、配信アプリで推しを見つけ、ヘビーリスナーになっていた。
そんなある日、大天使と名乗る者が現れて……。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
英理 102 えり。ヒロインではない。主人公である。英雄の理。異世界に行き、スキルと加護を与えられた。
オシエル 65 英理の推しに激似な大天使。ただ、性格が真逆らしい。二千楓と兼ね役。
二千楓 24 にちか。英理の推し。配信時は別の名前を使っている。オシエルと兼ね役。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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オシエル:ぐッ…いかん!このままでは…! オシエル:世界の崩壊には変えられない…か オシエル:仕方ない、禁忌魔法式を発動する!! オシエル:頼むぞ!【異世界召喚】!! 0: 0:間 0: 英理:ただいまー…って、まだ誰も帰ってないか 0: 0: 0:自分の部屋に行き、ベッドに飛び込む英理 : 英理:ふぅ… 英理:……疲れた…… 英理:学校…行きたく、ないな… 英理:あーー!ダメダメ!嫌なこと考えると 英理:気分落ちちゃう!…あ!そうだ!今日は確か 0:携帯をいじり、何かを探す 英理:そうだ!そうだった!今日は推しのイベント配信日だ! 英理:色んな企画用意してるって言ってたもんなぁ… 英理:楽しみだなぁ…えっと時間は… 英理:え!?11時!?嘘!? 英理:…今が5時だから…よし!今から寝よう! 英理:今から寝れば夜更かししても大丈夫だよ…ね? 英理:うん!大丈夫!そうしよう! 英理:さて、そうと決まれば…おやすみなさーい! 0: 0:眠る英理 0: 0: オシエル:おい、いつまで寝てるんだ 英理:うぅん… オシエル:…おい!起きろ! 英理:えっ…お母さん…? 英理:もうご飯の時間…? オシエル:何寝ぼけている、起きろ 英理:え…?え!?!? 英理:推し!?何で推しがここに!? オシエル:"おし"?なんのことだ オシエル:確かに俺は大天使オシエルだが オシエル:オシと略された呼び方をされるのは初めてだな 英理:え、いや、え? 英理:大天使?オシエル? 0: 英理:(な、な、何がどうなってるの!? 英理:推しと同じ顔、同じ声した自称天使が目の前に!? 英理:いや、推し…だよね?……あ、羽生えてる 英理:え?マジ天使じゃん、推し天使じゃん、可愛い) 0: 英理:…あ!夢、これ夢だ!なーんだ! オシエル:残念だが、夢でも何でもないぞ オシエル:急なことで頭が混乱しているのだろう オシエル:だが、そろそろ本題に入っていいか? 英理:羽の生えた推しなんて、夢です! 英理:拝めただけで元気出ました! 英理:ありがとう神様、できれば毎日お願いします! 英理:おやすみなさい!配信あるので寝ます! オシエル:馬鹿か?お前は オシエル:夢でも何でもないって言ってるだろ オシエル:混乱どころの問題じゃないな オシエル:元々、狂ってるのか? 英理:…… 英理:(顔は推し、声も推し 英理:それはそうなんだけど… 英理:性格が真逆すぎじゃない!?) 0: 英理:推しはそんなに冷たくないです! 英理:悪口も言いません! 英理:ちゃんとしてください! オシエル:何の話だ!さっきから推し、推しと! オシエル:俺はオシエルだと言っているだろう!? オシエル:…ちっ、仕方ない オシエル:少し痛いけど我慢しろよ 英理:えっ、ちょっ、なん… 英理:ひゃっ!! 英理:(お、推しに髪触られてれる!?) オシエル:【メモリーアーカイブ】 英理:え? 英理:…痛っ!!いったぁぁぁあい! オシエル:その痛みで夢じゃないことはわかっただろ? オシエル:あとは説明が面倒だからな オシエル:俺の記憶の一部をお前に見せてやる オシエル:嫌でも理解してもらうぞ : 0:記憶の断片が英理の頭に流れ込む : 英理:うぅ…な、に…これ… 英理:映像が…見え…る? オシエル:それが俺の記憶だ 英理:なにこれ…怪物? オシエル:あぁ、モンスターと呼ばれる存在だ オシエル:そいつらが倒すべき敵 英理:うぅ…これは…魔王…? オシエル:そいつが元凶だな オシエル:よく覚えておくんだ 英理:…アスターシア…? オシエル:あぁ、その世界の名前だ オシエル:俺はその星の…天使だ : : 0:間 : 英理:(痛みが…治ってきた…) オシエル:そろそろ定着して痛みも消えた頃か オシエル:俺の記憶を見て、理解しただろう? オシエル:アスターシアは今、人と魔物との戦争が起こっている オシエル:そして、魔王の登場ともに世界が破滅へと向かい出した 英理:それで、その破滅を防ぐために、禁忌魔法を使った 英理:異世界召喚の魔法… オシエル:あぁ、そうだ オシエル:異世界の者には力を与えることができる オシエル:その力で魔王を倒して、世界を安定させてほしい 英理:何で、わたし何ですか… オシエル:それは俺も知らん オシエル:魔法に選ばれたとしか言えん オシエル:それとも神の意思か… オシエル:別の何かか 英理:神って…まさか、そんな オシエル:で、どうする? オシエル:正直、引き受けてもらえないと困る オシエル:禁忌魔法を一度使っただけで オシエル:魔力回路が壊れてしまった オシエル:もう禁忌魔法は使えない オシエル:次の異世界人を喚ぶこともできない オシエル:そうなったら自分の星が壊れるのを オシエル:指を咥えて見ていることしか出来なくなる 英理:そんなこと、わたしに言われても… 英理:(顔と声が推しすぎて、断るに断り辛い!!…だけどなぁ…) : 英理:N )正直、元の世界に未練はなかった 英理:あるとしたら推しの配信が見れなくなること 英理:けど、それ以上に…あの世界は生き辛かった : 英理:…やります オシエル:本当か! 英理:選ばれたんですよね、私 オシエル:あぁ、選ばれた 英理:だったら、何か意味があると思うから 英理:私、やります! オシエル:そうか!…よし!では先ずは オシエル:お前の世界に合わせるとしよう 英理:私の世界に合わせる? オシエル:そちらではゲームと言うんだろ? オシエル:ほら、ステータスと言ってみろ 英理:【ステータス】 0:ステータス画面が現れる 英理:うわ!ほんとだ、ゲームみたい オシエル:それがお前の情報だ オシエル:ちなみに上限値は1000だ 英理:えっと…パワー180…あ、あ、あじ? オシエル:なんだ、ゲームを知らないのか 英理:私、こういうRPG系は疎くて オシエル:では、もっとわかりやすく書き換える 英理:あぁ!素早さ!なるほど! オシエル:うーん、平均的なもんだな オシエル:世界を救う勇者とは言えないレベルだ オシエル:しかし、レベルが上がれば能力も上がる 英理:そこもゲームみたいなんですね オシエル:異世界人だけの特権だな オシエル:ほら、そこの能力を見てみろ 英理:『経験値』と『レベルアップ』ですか? オシエル:それは、アスターシアにいる生き物には備わっていない能力 オシエル:レベルアップ能力ってわけだ 英理:じゃあ、アスターシアの人たちは 英理:どうやって強くなるんですか? オシエル:お前の世界と一緒だよ オシエル:努力、才能、天性、加護 オシエル:そういうもんだ オシエル:簡単に言えばその『経験値』は オシエル:自分の努力を、わかりやすく数値化したもので オシエル:それがステータスに反映される オシエル:何十年と努力して得られる力を オシエル:敵を倒していくことで手に入れることができる オシエル:それが、『レベルアップ』だ 英理:なるほど、普通の人より早く強くなれると オシエル:そうじゃないと困るからな オシエル:何十年も努力されてたら オシエル:その間に世界は崩壊だ 英理:あはは…確かに… 英理:えっ、待って!何十年も努力って 英理:そういえば、私はもうアスターシアで一生を過ごすの!? オシエル:魔王を倒さないことには帰れない、当たり前だが オシエル:そして、帰れる保証も今のところは無い オシエル:それと、ここは、時の神殿と言われる場所で オシエル:今は、この空間以外の時間は止まっている オシエル:そう長くはここには居れないがな オシエル:それに、お前の世界とアスターシアでは時間軸が違う オシエル:アスターシアでの10年が、お前の世界での1日程度だろう 英理:なるほど…けど老けますよね? オシエル:はぁ…じゃあこれも付けてやる 英理:『不老』!?やったー! オシエル:魔王を倒すまでの限定だからな オシエル:さて、それでは魔王を倒すための力だ オシエル:次はそこ、スキルを見ろ 英理:スキル、スキル…えっと… 英理:『絶対切断』? オシエル:それはまた…近接タイプなスキルを引いたな 英理:凄く強そう…絶対切断!ふふふっ オシエル:正直、かなり強い オシエル:だが、斬らなきゃ意味がない能力だ 英理:敵に近づかないといけないわけですね… 英理:な、なんだか危なそうな… オシエル:『絶対切断』はその名の通り オシエル:斬撃特化のスキルだ オシエル:これも簡単に説明すると… オシエル:そうだな、お前の世界の…確かダイコンだったか オシエル:あの白い野菜は 英理:よく知ってますね!流石、推し! オシエル:…続けるぞ オシエル:お前はダイコンを切れるか? 英理:え?まぁ、普通に切れますけど オシエル:じゃあ、生まれたばかりの子どもにナイフを持たせて オシエル:ダイコンを切らせるとする、切れるか? 英理:絶対に無理だと思います 英理:ていうか、危ないですよ、それ オシエル:絶対切断はそんな子どもでも切れるようになるスキルだ オシエル:ステータスで言えば、力が180のお前と オシエル:力が0の子どもが同じものを切れるようになる 英理:そう言われると凄いですね オシエル:さらに力が上がれば、切れるモノも増える オシエル:そこは『レベルアップ』の出番だな オシエル:だが、それだけじゃない 英理:それだけじゃない? 英理:他にまだ隠された能力が!? オシエル:段々、ノってきたな オシエル:アスターシアには魔素というものがあり オシエル:それが魔法の元になる 英理:え!じゃあ私も魔法を!? オシエル:魔法のスキルは与えられていない オシエル:それは自分で努力するしかないな 英理:えぇ…そんなぁ… オシエル:しかし、アスターシアに生きる全ての生物が オシエル:生まれた瞬間から授かる能力がある オシエル:それは異世界人のお前も例外じゃない オシエル:あの地に足を踏み入れた時点で授かる 英理:な、なんなんですか、それは… オシエル:魔素殻(まそかく) 英理:まそかく? オシエル:身体を魔素が纏い、鎧になるんだ 英理:そんな便利能力が!? オシエル:つまりは、その【ステータス】にある オシエル:HP、つまりは体力なんだが オシエル:それがなくなると死ぬわけだ 英理:死ぬ!? オシエル:その体力が削られる前に、まずは魔素殻がダメージを負う オシエル:一定のダメージを受けると魔素殻は壊れ オシエル:次に体力へダメージが入る…ってわけだ オシエル:ただ、魔素殻があっても痛いのは多少痛いからな 英理:うっ…痛いのは嫌だな… オシエル:だが、お前は違う 英理:え?…私は違う? オシエル:その『絶対切断』は魔素殻ごと斬る オシエル:つまり魔素殻にも体力にも同じダメージを与えられる オシエル:お前を前にした敵は魔素殻が意味をなさないんだ 英理:それって…強くないですか!? オシエル:あぁ 英理:…けど、そっか 英理:痛いし、死ぬんですよね、当たり前ですけど オシエル:…… オシエル:お前は大丈夫だ 英理:そ、そんな無責任な オシエル:神の祝福はステータスには反映されない オシエル:だが、選ばれたってことは加護はあるはずだ オシエル:それに、俺はお前に賭けるしかない オシエル:だから、これを 英理:え? オシエル:最後だ、そこを見ろ 英理:称号?…【大天使の加護】!? オシエル:それと【インベントリ】 英理:【インベントリ】? 英理:わ!? 0:イベントリ画面が表示される 英理:…これは? オシエル:俺からのプレゼントだ オシエル:旅で役に立つだろうものを オシエル:少しだけ入れている オシエル:手に入れたものはそこに入れるといい 英理:入れる?どうやって? オシエル:かざすだけでいい オシエル:取り出す時は、取り出したいと思えば出てくる 英理:へぇ…便利ですね オシエル:あぁ、だから大丈夫だ 英理:そうですね… 英理:ここまで手厚くしてもらったんですから 英理:簡単には死ねませんね! オシエル:あぁ オシエル:あ、そうだ一つ言い忘れていた 英理:まだ何かあるんですか? オシエル:いや、手違いでな オシエル:どうやらお前以外に、もう一人転移したみたいだ 英理:え!?それって私以外の日本人が!? 英理:しかも超重要じゃない!?そんなサラッと言う!? 英理:お茶目推し!悪くは無いけど! オシエル:あぁ、それとな オシエル:ルール上、こういった力を与えられるのは一人だけなんだ オシエル:だからもう一人には何も与えられていない オシエル:つまり何も持たず、何も知らず異世界に飛ばされた オシエル:もし、今…魔物に捕まったら 英理:!! 英理:大変!すぐに助けないと! オシエル:本当にいいのか? オシエル:この決断はお前の人生を 英理:迷ってる暇はありません! 英理:私は行きます! オシエル:…わかった、せめてもの慈悲だ オシエル:なるべく近くに転送する 英理:ありがとうございます! 英理:それじゃあ推し… オシエル:お? 英理:…じゃなくて大天使様! 英理:私、行ってきます! オシエル:あぁ、この世界を オシエル:頼んだ 英理:はい! 0:英理、異世界へ オシエル:頼んだぞ、英理 : 0:間 : 英理:うっ…ここは…? 英理:そうか、アスターシア! 英理:本当に異世界に来たんだ… 英理:…たしかに見たことない植物がある 英理:まだ実感は湧かないけど…【インベントリ】! 英理:何々〜、えっと… 英理:お、これ絶対大事だよね! 0:英理、細剣を取り出す : 英理:なんだっけ?細い剣…思い出せないからいっか! 英理:とりあえず武器がないとね! 英理:……うん!軽くていいね!これなら大丈夫そう 0:近くで声が聞こえる 英理:え?…あ!そうだ!私以外に飛ばされた人がいるんだ! 英理:早く助けないと! : 0:間 : 二千楓:うわぁぁあ! 英理:!?近い! 二千楓:うっ…ここはどこなんだ… 二千楓:それにコレ…モンスター…? 二千楓:まさか夢?なんでこんなことに… 英理:いた! 二千楓:え? 英理:ていうか!どうやって戦えばいいの!? 英理:普通に切ったらいいのかな… 英理:ええい!流れに任せてそりゃぁあ! 0:敵を倒す英理 英理:ふぅー、多分さっきのスライムってやつよね? 英理:弱くて助かったー… 二千楓:あ、あの… 英理:あ!そうだった! 英理:(って、あれ?この声… 英理:どこかで聞いたことがあるような… ) 英理:え!? 二千楓:え? 英理:(ど、どうして推しが…!? 英理:まさか一緒に飛ばされたのって推し!?) 二千楓:えっと、すみません 二千楓:ここってどこなんですか? 二千楓:俺、さっきまで家にいたはずなんですけど 英理:(ど、ど、ど、どうしよう…推しから話しかけられてる…) 英理:マジ無理… 二千楓:え?無理? 英理:聞いてないよ!天使の推しぃぃい! 英理:一緒に来たのが推しって!! 英理:もう一回、あそこに呼んでぇぇぇえ! 英理:気持ちを整理させてぇぇぇえ! 二千楓:え、あの、大丈夫ですか…? 英理:はっ!だ、だ、大丈夫でしゅ! 英理:あはっ、あはは! 二千楓:…… 二千楓:ん?推し?それってもしかして 英理:ふぁい!推しでひゅ! 英理:ずっと前から推しのフャン(ファン)で! 英理:(全然噛むんですけど!?) 二千楓:てことは、あなたは俺のこと知ってるんですよね!? 二千楓:ここはどこなんですか!?日本…なんですか? 二千楓:気づいたらここにいて、何もわからなくて! 英理:あっ…えっと、落ち着いて… 二千楓:!!!危ない! 英理:きゃっ! 二千楓:痛っ… 英理:(ふぁぁぁぁあ!!!推しに触られたぁぁぁあ!!) 英理:って、推し!? 二千楓:大丈…夫…? 英理:私は…大丈夫ですけど… 英理:あっ!血が! 二千楓:このくらい、平気だよ 英理:……… 二千楓:? 英理:誰…? : 0:狼の魔物が出現していた : 英理:私の推しを怪我させたの…誰? 英理:あんた達?へぇ、そう? 二千楓:あ、あの!俺は平気だから 英理:あんた達がッッッ!!! 二千楓:待って! 英理:お、推し? 二千楓:俺のために怒ってくれてありがとう 二千楓:でも、君に危険なことはしてほしくないんだ 二千楓:女の子だし、それに俺のこと…応援してくれていた人なら 二千楓:尚更、そう思っちゃうんだ 英理:推し… 英理:(可愛っ…) 二千楓:だから、俺が守るよ 英理:やだ、カッコいい 英理:(そ、そんな…って心と言葉が逆になってた!) 英理:……っ 英理:大丈夫、大丈夫なの 二千楓:え? 英理:これが終わったら、ちゃんと説明します 英理:だから、ここは私に任せてもらえませんか? 二千楓:君は…一体… 英理:それじゃ、推しに怪我させた悪い奴ら 英理:懲らしめてきますね! 二千楓:(もしかしたら、この出会いは運命なのかもしれない 二千楓:そう思えるほどの衝撃だった) 英理:スッー… 英理:『絶対切断』!! 二千楓:(それからは目が離せなかった) 英理:推しに怪我させた奴はァァ! 英理:こうだぁぁぁぁぁあ!! 二千楓:凄い… 英理:推しは絶対、守ってみせる! 英理:そのためなら私は強くなれる! 0:第1話《はじまりの日》終わり

オシエル:ぐッ…いかん!このままでは…! オシエル:世界の崩壊には変えられない…か オシエル:仕方ない、禁忌魔法式を発動する!! オシエル:頼むぞ!【異世界召喚】!! 0: 0:間 0: 英理:ただいまー…って、まだ誰も帰ってないか 0: 0: 0:自分の部屋に行き、ベッドに飛び込む英理 : 英理:ふぅ… 英理:……疲れた…… 英理:学校…行きたく、ないな… 英理:あーー!ダメダメ!嫌なこと考えると 英理:気分落ちちゃう!…あ!そうだ!今日は確か 0:携帯をいじり、何かを探す 英理:そうだ!そうだった!今日は推しのイベント配信日だ! 英理:色んな企画用意してるって言ってたもんなぁ… 英理:楽しみだなぁ…えっと時間は… 英理:え!?11時!?嘘!? 英理:…今が5時だから…よし!今から寝よう! 英理:今から寝れば夜更かししても大丈夫だよ…ね? 英理:うん!大丈夫!そうしよう! 英理:さて、そうと決まれば…おやすみなさーい! 0: 0:眠る英理 0: 0: オシエル:おい、いつまで寝てるんだ 英理:うぅん… オシエル:…おい!起きろ! 英理:えっ…お母さん…? 英理:もうご飯の時間…? オシエル:何寝ぼけている、起きろ 英理:え…?え!?!? 英理:推し!?何で推しがここに!? オシエル:"おし"?なんのことだ オシエル:確かに俺は大天使オシエルだが オシエル:オシと略された呼び方をされるのは初めてだな 英理:え、いや、え? 英理:大天使?オシエル? 0: 英理:(な、な、何がどうなってるの!? 英理:推しと同じ顔、同じ声した自称天使が目の前に!? 英理:いや、推し…だよね?……あ、羽生えてる 英理:え?マジ天使じゃん、推し天使じゃん、可愛い) 0: 英理:…あ!夢、これ夢だ!なーんだ! オシエル:残念だが、夢でも何でもないぞ オシエル:急なことで頭が混乱しているのだろう オシエル:だが、そろそろ本題に入っていいか? 英理:羽の生えた推しなんて、夢です! 英理:拝めただけで元気出ました! 英理:ありがとう神様、できれば毎日お願いします! 英理:おやすみなさい!配信あるので寝ます! オシエル:馬鹿か?お前は オシエル:夢でも何でもないって言ってるだろ オシエル:混乱どころの問題じゃないな オシエル:元々、狂ってるのか? 英理:…… 英理:(顔は推し、声も推し 英理:それはそうなんだけど… 英理:性格が真逆すぎじゃない!?) 0: 英理:推しはそんなに冷たくないです! 英理:悪口も言いません! 英理:ちゃんとしてください! オシエル:何の話だ!さっきから推し、推しと! オシエル:俺はオシエルだと言っているだろう!? オシエル:…ちっ、仕方ない オシエル:少し痛いけど我慢しろよ 英理:えっ、ちょっ、なん… 英理:ひゃっ!! 英理:(お、推しに髪触られてれる!?) オシエル:【メモリーアーカイブ】 英理:え? 英理:…痛っ!!いったぁぁぁあい! オシエル:その痛みで夢じゃないことはわかっただろ? オシエル:あとは説明が面倒だからな オシエル:俺の記憶の一部をお前に見せてやる オシエル:嫌でも理解してもらうぞ : 0:記憶の断片が英理の頭に流れ込む : 英理:うぅ…な、に…これ… 英理:映像が…見え…る? オシエル:それが俺の記憶だ 英理:なにこれ…怪物? オシエル:あぁ、モンスターと呼ばれる存在だ オシエル:そいつらが倒すべき敵 英理:うぅ…これは…魔王…? オシエル:そいつが元凶だな オシエル:よく覚えておくんだ 英理:…アスターシア…? オシエル:あぁ、その世界の名前だ オシエル:俺はその星の…天使だ : : 0:間 : 英理:(痛みが…治ってきた…) オシエル:そろそろ定着して痛みも消えた頃か オシエル:俺の記憶を見て、理解しただろう? オシエル:アスターシアは今、人と魔物との戦争が起こっている オシエル:そして、魔王の登場ともに世界が破滅へと向かい出した 英理:それで、その破滅を防ぐために、禁忌魔法を使った 英理:異世界召喚の魔法… オシエル:あぁ、そうだ オシエル:異世界の者には力を与えることができる オシエル:その力で魔王を倒して、世界を安定させてほしい 英理:何で、わたし何ですか… オシエル:それは俺も知らん オシエル:魔法に選ばれたとしか言えん オシエル:それとも神の意思か… オシエル:別の何かか 英理:神って…まさか、そんな オシエル:で、どうする? オシエル:正直、引き受けてもらえないと困る オシエル:禁忌魔法を一度使っただけで オシエル:魔力回路が壊れてしまった オシエル:もう禁忌魔法は使えない オシエル:次の異世界人を喚ぶこともできない オシエル:そうなったら自分の星が壊れるのを オシエル:指を咥えて見ていることしか出来なくなる 英理:そんなこと、わたしに言われても… 英理:(顔と声が推しすぎて、断るに断り辛い!!…だけどなぁ…) : 英理:N )正直、元の世界に未練はなかった 英理:あるとしたら推しの配信が見れなくなること 英理:けど、それ以上に…あの世界は生き辛かった : 英理:…やります オシエル:本当か! 英理:選ばれたんですよね、私 オシエル:あぁ、選ばれた 英理:だったら、何か意味があると思うから 英理:私、やります! オシエル:そうか!…よし!では先ずは オシエル:お前の世界に合わせるとしよう 英理:私の世界に合わせる? オシエル:そちらではゲームと言うんだろ? オシエル:ほら、ステータスと言ってみろ 英理:【ステータス】 0:ステータス画面が現れる 英理:うわ!ほんとだ、ゲームみたい オシエル:それがお前の情報だ オシエル:ちなみに上限値は1000だ 英理:えっと…パワー180…あ、あ、あじ? オシエル:なんだ、ゲームを知らないのか 英理:私、こういうRPG系は疎くて オシエル:では、もっとわかりやすく書き換える 英理:あぁ!素早さ!なるほど! オシエル:うーん、平均的なもんだな オシエル:世界を救う勇者とは言えないレベルだ オシエル:しかし、レベルが上がれば能力も上がる 英理:そこもゲームみたいなんですね オシエル:異世界人だけの特権だな オシエル:ほら、そこの能力を見てみろ 英理:『経験値』と『レベルアップ』ですか? オシエル:それは、アスターシアにいる生き物には備わっていない能力 オシエル:レベルアップ能力ってわけだ 英理:じゃあ、アスターシアの人たちは 英理:どうやって強くなるんですか? オシエル:お前の世界と一緒だよ オシエル:努力、才能、天性、加護 オシエル:そういうもんだ オシエル:簡単に言えばその『経験値』は オシエル:自分の努力を、わかりやすく数値化したもので オシエル:それがステータスに反映される オシエル:何十年と努力して得られる力を オシエル:敵を倒していくことで手に入れることができる オシエル:それが、『レベルアップ』だ 英理:なるほど、普通の人より早く強くなれると オシエル:そうじゃないと困るからな オシエル:何十年も努力されてたら オシエル:その間に世界は崩壊だ 英理:あはは…確かに… 英理:えっ、待って!何十年も努力って 英理:そういえば、私はもうアスターシアで一生を過ごすの!? オシエル:魔王を倒さないことには帰れない、当たり前だが オシエル:そして、帰れる保証も今のところは無い オシエル:それと、ここは、時の神殿と言われる場所で オシエル:今は、この空間以外の時間は止まっている オシエル:そう長くはここには居れないがな オシエル:それに、お前の世界とアスターシアでは時間軸が違う オシエル:アスターシアでの10年が、お前の世界での1日程度だろう 英理:なるほど…けど老けますよね? オシエル:はぁ…じゃあこれも付けてやる 英理:『不老』!?やったー! オシエル:魔王を倒すまでの限定だからな オシエル:さて、それでは魔王を倒すための力だ オシエル:次はそこ、スキルを見ろ 英理:スキル、スキル…えっと… 英理:『絶対切断』? オシエル:それはまた…近接タイプなスキルを引いたな 英理:凄く強そう…絶対切断!ふふふっ オシエル:正直、かなり強い オシエル:だが、斬らなきゃ意味がない能力だ 英理:敵に近づかないといけないわけですね… 英理:な、なんだか危なそうな… オシエル:『絶対切断』はその名の通り オシエル:斬撃特化のスキルだ オシエル:これも簡単に説明すると… オシエル:そうだな、お前の世界の…確かダイコンだったか オシエル:あの白い野菜は 英理:よく知ってますね!流石、推し! オシエル:…続けるぞ オシエル:お前はダイコンを切れるか? 英理:え?まぁ、普通に切れますけど オシエル:じゃあ、生まれたばかりの子どもにナイフを持たせて オシエル:ダイコンを切らせるとする、切れるか? 英理:絶対に無理だと思います 英理:ていうか、危ないですよ、それ オシエル:絶対切断はそんな子どもでも切れるようになるスキルだ オシエル:ステータスで言えば、力が180のお前と オシエル:力が0の子どもが同じものを切れるようになる 英理:そう言われると凄いですね オシエル:さらに力が上がれば、切れるモノも増える オシエル:そこは『レベルアップ』の出番だな オシエル:だが、それだけじゃない 英理:それだけじゃない? 英理:他にまだ隠された能力が!? オシエル:段々、ノってきたな オシエル:アスターシアには魔素というものがあり オシエル:それが魔法の元になる 英理:え!じゃあ私も魔法を!? オシエル:魔法のスキルは与えられていない オシエル:それは自分で努力するしかないな 英理:えぇ…そんなぁ… オシエル:しかし、アスターシアに生きる全ての生物が オシエル:生まれた瞬間から授かる能力がある オシエル:それは異世界人のお前も例外じゃない オシエル:あの地に足を踏み入れた時点で授かる 英理:な、なんなんですか、それは… オシエル:魔素殻(まそかく) 英理:まそかく? オシエル:身体を魔素が纏い、鎧になるんだ 英理:そんな便利能力が!? オシエル:つまりは、その【ステータス】にある オシエル:HP、つまりは体力なんだが オシエル:それがなくなると死ぬわけだ 英理:死ぬ!? オシエル:その体力が削られる前に、まずは魔素殻がダメージを負う オシエル:一定のダメージを受けると魔素殻は壊れ オシエル:次に体力へダメージが入る…ってわけだ オシエル:ただ、魔素殻があっても痛いのは多少痛いからな 英理:うっ…痛いのは嫌だな… オシエル:だが、お前は違う 英理:え?…私は違う? オシエル:その『絶対切断』は魔素殻ごと斬る オシエル:つまり魔素殻にも体力にも同じダメージを与えられる オシエル:お前を前にした敵は魔素殻が意味をなさないんだ 英理:それって…強くないですか!? オシエル:あぁ 英理:…けど、そっか 英理:痛いし、死ぬんですよね、当たり前ですけど オシエル:…… オシエル:お前は大丈夫だ 英理:そ、そんな無責任な オシエル:神の祝福はステータスには反映されない オシエル:だが、選ばれたってことは加護はあるはずだ オシエル:それに、俺はお前に賭けるしかない オシエル:だから、これを 英理:え? オシエル:最後だ、そこを見ろ 英理:称号?…【大天使の加護】!? オシエル:それと【インベントリ】 英理:【インベントリ】? 英理:わ!? 0:イベントリ画面が表示される 英理:…これは? オシエル:俺からのプレゼントだ オシエル:旅で役に立つだろうものを オシエル:少しだけ入れている オシエル:手に入れたものはそこに入れるといい 英理:入れる?どうやって? オシエル:かざすだけでいい オシエル:取り出す時は、取り出したいと思えば出てくる 英理:へぇ…便利ですね オシエル:あぁ、だから大丈夫だ 英理:そうですね… 英理:ここまで手厚くしてもらったんですから 英理:簡単には死ねませんね! オシエル:あぁ オシエル:あ、そうだ一つ言い忘れていた 英理:まだ何かあるんですか? オシエル:いや、手違いでな オシエル:どうやらお前以外に、もう一人転移したみたいだ 英理:え!?それって私以外の日本人が!? 英理:しかも超重要じゃない!?そんなサラッと言う!? 英理:お茶目推し!悪くは無いけど! オシエル:あぁ、それとな オシエル:ルール上、こういった力を与えられるのは一人だけなんだ オシエル:だからもう一人には何も与えられていない オシエル:つまり何も持たず、何も知らず異世界に飛ばされた オシエル:もし、今…魔物に捕まったら 英理:!! 英理:大変!すぐに助けないと! オシエル:本当にいいのか? オシエル:この決断はお前の人生を 英理:迷ってる暇はありません! 英理:私は行きます! オシエル:…わかった、せめてもの慈悲だ オシエル:なるべく近くに転送する 英理:ありがとうございます! 英理:それじゃあ推し… オシエル:お? 英理:…じゃなくて大天使様! 英理:私、行ってきます! オシエル:あぁ、この世界を オシエル:頼んだ 英理:はい! 0:英理、異世界へ オシエル:頼んだぞ、英理 : 0:間 : 英理:うっ…ここは…? 英理:そうか、アスターシア! 英理:本当に異世界に来たんだ… 英理:…たしかに見たことない植物がある 英理:まだ実感は湧かないけど…【インベントリ】! 英理:何々〜、えっと… 英理:お、これ絶対大事だよね! 0:英理、細剣を取り出す : 英理:なんだっけ?細い剣…思い出せないからいっか! 英理:とりあえず武器がないとね! 英理:……うん!軽くていいね!これなら大丈夫そう 0:近くで声が聞こえる 英理:え?…あ!そうだ!私以外に飛ばされた人がいるんだ! 英理:早く助けないと! : 0:間 : 二千楓:うわぁぁあ! 英理:!?近い! 二千楓:うっ…ここはどこなんだ… 二千楓:それにコレ…モンスター…? 二千楓:まさか夢?なんでこんなことに… 英理:いた! 二千楓:え? 英理:ていうか!どうやって戦えばいいの!? 英理:普通に切ったらいいのかな… 英理:ええい!流れに任せてそりゃぁあ! 0:敵を倒す英理 英理:ふぅー、多分さっきのスライムってやつよね? 英理:弱くて助かったー… 二千楓:あ、あの… 英理:あ!そうだった! 英理:(って、あれ?この声… 英理:どこかで聞いたことがあるような… ) 英理:え!? 二千楓:え? 英理:(ど、どうして推しが…!? 英理:まさか一緒に飛ばされたのって推し!?) 二千楓:えっと、すみません 二千楓:ここってどこなんですか? 二千楓:俺、さっきまで家にいたはずなんですけど 英理:(ど、ど、ど、どうしよう…推しから話しかけられてる…) 英理:マジ無理… 二千楓:え?無理? 英理:聞いてないよ!天使の推しぃぃい! 英理:一緒に来たのが推しって!! 英理:もう一回、あそこに呼んでぇぇぇえ! 英理:気持ちを整理させてぇぇぇえ! 二千楓:え、あの、大丈夫ですか…? 英理:はっ!だ、だ、大丈夫でしゅ! 英理:あはっ、あはは! 二千楓:…… 二千楓:ん?推し?それってもしかして 英理:ふぁい!推しでひゅ! 英理:ずっと前から推しのフャン(ファン)で! 英理:(全然噛むんですけど!?) 二千楓:てことは、あなたは俺のこと知ってるんですよね!? 二千楓:ここはどこなんですか!?日本…なんですか? 二千楓:気づいたらここにいて、何もわからなくて! 英理:あっ…えっと、落ち着いて… 二千楓:!!!危ない! 英理:きゃっ! 二千楓:痛っ… 英理:(ふぁぁぁぁあ!!!推しに触られたぁぁぁあ!!) 英理:って、推し!? 二千楓:大丈…夫…? 英理:私は…大丈夫ですけど… 英理:あっ!血が! 二千楓:このくらい、平気だよ 英理:……… 二千楓:? 英理:誰…? : 0:狼の魔物が出現していた : 英理:私の推しを怪我させたの…誰? 英理:あんた達?へぇ、そう? 二千楓:あ、あの!俺は平気だから 英理:あんた達がッッッ!!! 二千楓:待って! 英理:お、推し? 二千楓:俺のために怒ってくれてありがとう 二千楓:でも、君に危険なことはしてほしくないんだ 二千楓:女の子だし、それに俺のこと…応援してくれていた人なら 二千楓:尚更、そう思っちゃうんだ 英理:推し… 英理:(可愛っ…) 二千楓:だから、俺が守るよ 英理:やだ、カッコいい 英理:(そ、そんな…って心と言葉が逆になってた!) 英理:……っ 英理:大丈夫、大丈夫なの 二千楓:え? 英理:これが終わったら、ちゃんと説明します 英理:だから、ここは私に任せてもらえませんか? 二千楓:君は…一体… 英理:それじゃ、推しに怪我させた悪い奴ら 英理:懲らしめてきますね! 二千楓:(もしかしたら、この出会いは運命なのかもしれない 二千楓:そう思えるほどの衝撃だった) 英理:スッー… 英理:『絶対切断』!! 二千楓:(それからは目が離せなかった) 英理:推しに怪我させた奴はァァ! 英理:こうだぁぁぁぁぁあ!! 二千楓:凄い… 英理:推しは絶対、守ってみせる! 英理:そのためなら私は強くなれる! 0:第1話《はじまりの日》終わり