声劇台本置き場

◆：先輩、もう秋ですよ秋 ◇：唐突に何だよ。まぁそうだな、寒くなってきたしな ◆：どういうことか分かりますか？ ◇：何が言いたいのかさっぱり分からんが……夏が終わるってことだろ ◆：それはつまり？ ◇：……何だ、何を言わせたいんだお前 ◆：肌を隠せるってことです！ ◇：はぁ、それで？ ◆：食欲の秋ですね！ ◇：春になって泣いてる未来が見える ◆：死ねばいいのに！ ◇：先輩だし上司だからな俺、一応言うが ◆：乙女に言ってはいけないこと言うからですよ ◇：直接的なことは何も言ってないだろ ◆：間接的だろうが匂わせだろうが、不愉快になった時点で死刑です ◇：どんな理不尽な王様だよ、引きずり降ろされろ ◆：私が神です！ ◇：ほら、お賽銭あげるから大人しくしてろ ◆：わーい、五円玉！　じゃないんですよ！ ◇：ちゃんと返してくるの偉いな ◆：少額でもお金はお金です！　雑なやりとり良くない！ ◇：そういうところはきっちりしてるんだな ◆：何ですか、家計簿任せたくなりましたか ◇：いや、まったく ◆：何ですか、毎月給与明細を預けたくなりましたか ◇：いいや、まったく ◆：婚姻届け書きたくなりましたよね？ ◇：何なの、どういう圧なの、お前いったい俺の何を狙ってるの ◆：まぁ私、もっとマッチョな感じの人が好みなんですけどね ◇：何で俺告白もしてないのにフラれた感じになってんの ◆：え？　私のこと好きですよね？ ◇：え？ ◆：死刑です ◇：世界がお前中心すぎる ◆：世界は私のためにあるべきです ◇：とんでもないこと言い切ってんじゃねぇよ ◆：だって先輩が生意気言うから ◇：後輩が生意気なんだがどうしよう ◆：年下はちょっと手を焼くくらいの方が可愛げありますよね ◇：お前に関わると手どころか全身丸焦げになるんだよ ◆：愛の炎で？ ◇：お前のその果敢なチャレンジはいったい何を目指してるの？ ◆：先輩が私に惚れるとします ◇：まぁ、大人しく続きを聞くけど ◆：好きな人にはいい格好したいですよね？ ◇：まぁ、そうだな ◆：ご飯くらいご馳走したくなりますよね？ ◇：それで食欲の秋と ◆：察しの良い人大好きです ◇：奢れと ◆：いやぁ、そんな奢れだなんて言いませんよ。先輩がどうしてもって言うなら ◇：いや全くそんな気はないが ◆：夜道に気をつけてくださいね ◇：とうとう脅しに入りだしたぞ！ ◆：奢れください ◇：とうとう直接的になったな ◆：牛丼食べたいです ◇：思ってたよりすごい庶民的な要求だった ◆：どうです、ギャップ萌えでしょう？ ◇：いや、萌えはしないが…… ◆：ちなみに私 ◇：……何だよ ◆：牛丼は並が限界です。何なら小でも十分です ◇：何だろうな、うん。この言いようもない気持ちは ◆：正直コース料理とかお腹はち切れますよね ◇：食欲の秋とか叫んだ奴の台詞じゃねぇよ ◆：全部一口ずつ食べたい ◇：貴族かよ ◆：残りはオークションします。美女の食べ残し ◇：食べ残しを売ろうとするな ◆：美女に突っ込むのが先では？ ◇：それをお前が注意するのはどうなんだよ。大丈夫だよ、可愛い部類だよ ◆：私、ちゃんと現実理解してるタイプなんで ◇：コメントしづらいわ ◆：どうせ残業代も出ないブラック労働を先輩と楽しむくらいしかできない姫とは真逆の無能なんで ◇：どうフォローすればいいんだ、これ ◆：残業代の代わりにご飯奢ってください ◇：牛丼を？ ◆：牛丼を ◇：あー、まぁいいけど ◆：よし、今夜の晩御飯ゲット！ ◇：今日かよ!? ◆：こういうのは言質をとったらすぐに動かないと ◇：別に約束破るような事はしないぞ ◆：どうするんですか、明日にでも先輩に億が一彼女ができて、ご飯行けなく……はないか ◇：どういう意味かは聞かないでおいてやるな ◆：先輩に彼女はできそうにありません！ ◇：ハッキリ言うな！ ◆：隔週牛丼で彼女かっこ仮になってあげなくもないですよ？ ◇：それはレンタル彼女とかパパ活と言うんじゃなかろうか ◆：牛丼で？ ◇：牛丼だけど ◆：安いパパですね ◇：俺もそう思う ◆：パパ、私今日は牛丼に卵トッピングしてもいい？ ◇：まずパパをやめろ、牛丼に卵は好きにしろ ◆：あ、良いんですか ◇：だからさっさと仕事終わらせろよ ◆：え、本当に今日行ってくれるんですか？ ◇：お前が言ったんだろ ◆：……先輩 ◇：何だよ ◆：それがカモられる要因ですよ。私は好きですけど、そういうとこ ◇：お前置いて帰って良いかな ◆：三歩後ろをついていきますね ◇：昭和かよ、隣歩け ◆：え、告白？ ◇：早く仕事しろ！