台本概要
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タイトル | リーンカーニャイト♯1 |
---|---|
作者名 | 狗山犬壱(イヌヤマ ケンイチ) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 3人用台本(男1、女2) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
猫を助けようとして車に引かれてしまった少年、ヤナギ。ひょんなことから転生してしまう。だが、彼が転生したのは… ※人によっては表現に不快な部分があるかもしれません。 151 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ヤナギ | 男 | 91 | 主人公。猫好き。転生前は好きな女の子がいた普通の元高校生 |
ミィ | 女 | 14 | 可愛いケットシーの女の子。三毛猫。明るい日だまりのような子。片想い中 |
ケイト | 女 | 27 | ケットシー達の先生。エルフ。剣術や魔術を適性に応じて教えている。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
ヤナギ:「(あ、オレ…死んだ)」
0:視界が眩い光に照らされたその刹那
0:自身の体に強い衝撃が走る
ヤナギ:「(痛ってぇ…)」
0:頭から何か温かいモノが流れ出ていく
0:自身の口からは荒い呼吸とともに
0:鉄の匂いがする何かが込み上げてくる
ヤナギ:「ゲッホゲホ!!」
0:激しく咳き込みそれを吐き出すが次から次へと
0:喉の奥から絶え間無く込み上げてくる
ヤナギ:「(あー…なんだか頭がボーッとしてきた…)」
0:チリンと鈴の鳴る音が耳に響く
ヤナギ:「(…鈴の音)」
0:痛みで動かない自身の頬を
0:温かいざりざりとした何かが
0:数回、下から上へと擦りあげる
ヤナギ:「(痛てて…!何だよ、これ?)」
0:にゃー、という鳴き声とともに
0:自身の手の甲に柔らかい何かが
0:擦られる
ヤナギ:「(猫…?)」
0:再び頬をざりざりとしたものが上下に擦られる
0:どうやら猫が彼の頬を舐めているようだ
ヤナギ:「(あー…思い出した)」
ヤナギ:「(オレ、猫を助けようとして…)」
0:不意に全身を寒気が襲う
0:先程までは体から温かい何かが流れていく感覚があったが
0:その感覚も薄れ、こんどは体の芯から凍てついていくような
0:寒さを感じる
ヤナギ:「(さ、寒い…)」
0:身体が痙攣を起こし始める
ヤナギ:「(オレ…死ぬのか)」
0:にゃー、と猫の声が聞こえ、頬の辺りから温もりを感じた
ヤナギ:「(さっき…助けた猫か…?)」
ヤナギ:「(あったけぇ…)」
0:ろくに動かない体をなんとか動かし
0:頬の辺りにいるであろう猫を撫でる
ヤナギ:「(猫の…恩返しって…ヤツか?)」
0:猫の喉がごろごろと鳴る音が聞こえる
ヤナギ:「(童貞のまま…死ぬのかよ…)」
ヤナギ:「(そんなの…あんまりじゃないか)」
ヤナギ:「(佐藤さんに…告白、出来てないのに…!)」
0:寒さの中、自身の最後に彼は絶望する
0:そして、薄れいく意識の中、少年は神にすがる
ヤナギ:「(もしも…神様がいるのなら…)」
0:少年は血を吐き出し、激しく咳き込み
0:視界はもう、何も見えない
ヤナギ:「(今度は猫のように…)」
0:少年は上に向けて手を伸ばす
ヤナギ:「(誰からも…愛されるような)」
0:伸ばした手を握りしめる
ヤナギ:「(そんな…モテモテの…人生を…!!)」
0:やがて、力なく腕は地面へと落ちる
ヤナギ:「(オレに…下さい…!)」
0:チリンと鈴の音が鳴り響く
0:少年の意識はその音色を耳にした後
0:暗闇へと飲まれていった
0:永遠に
0:
0:
0:
0:
0:
ヤナギ:「(ん…?な、なんだ…?)」
ヤナギ:「(何も見えない…)」
ヤナギ:「(なんだか…暖かい?)」
0:自身の体が狭くて暖かな所にあることを自覚する
ヤナギ:「(何だよ…ここ?)」
0:不意に体が下へと押し出される感覚が
0:少年を襲う
ヤナギ:「(おいおい!なんだ!?)」
ヤナギ:「(やめろ!痛い痛い痛い!)」
0:痛みを伴い、少年の体はだんだんと下に移動していく
ヤナギ:「(だから!痛いって…)」
0:やがて少年の体は
ヤナギ:「にゃあぁぁぁー!?」
0:自分の鳴き声とともに、外の世界へと産まれ落ちるのだった
0:
0:
ヤナギ:「…いや、猫のようにとは言ったけど」
0:ぷにぷにの肉球がついた自身の手の平を
0:ふにふにと握る
ヤナギ:「猫に転生したいとは言ってないよ!神様!」
0:少年…ヤナギが転生してから早くも半年が経っていた
ヤナギ:「しかし猫妖精(ケットシー)ねぇ…」
0:ケットシーは1歳半までは通常の猫と同じように加齢するが
0:それ以降は人間と同じ老化の速度を辿る
ヤナギ:「幸いにして1歳半(20歳)以降、老化の速度は」
ヤナギ:「人間と同じらしいから早死にしないのは救いだな」
ミィ:「おーい!ヤナギー!」
0:三毛猫のケットシー…幼馴染みのミーがヤナギに向かって走ってくる
ミィ:「もー!またこんな所でサボってる!」
ミィ:「センセが広場で待ってるよ!」
ヤナギ:「うげっ…マジか」
ミィ:「ほら!一緒に謝ってあげるから行こ!」
0:ミィはヤナギの手を握り、走り出す
ヤナギ:「お、おい!待てって!ミィ!」
ヤナギ:「そんなに腕を引っ張んなって!」
ミィ:「にゃはは♪ほらほら!急ぐよー!」
0:二人はケットシーの村の広場へと向かった
0:
0:ケットシーの村 広場
0:
0:
ケイト:「…ずいぶんと遅かったじゃないか?ヤナギ」
ヤナギ:「うげっ…け、ケイト先生…」
0:広場にはヤナギ達と同じ年頃のケットシー達が集まっていた
0:その中には一人だけ長身で長い耳…エルフの女性が立っていた
ケイト:「ほほう…遅刻しておいて先生に向かって、うげっとは」
ケイト:「いい度胸をしているね」
ヤナギ:「あ!いえ。これは…なんというか…その」
ケイト:「ヤナギ」
ヤナギ:「は、はい!」
0:ケイトはにっこりと笑う
ケイト:「村の外周を5周!」
ヤナギ:「そ、そんなぁ…」
0:その後、めちゃくちゃ走り込んだ
0:
0:夕方 ケットシーの村
0:
0:村の外れ
ヤナギ:「うぐぅ…ね、猫の足って走り辛い…」
ミィ:「これに懲りたらもう少し真面目に参加しなよー?」
ヤナギ:「一緒に謝ってくれるんじゃなかったのかよ…?」
ミィ:「にゃ、にゃはは…だ、だって、センセ怖かったんだもん」
ヤナギ:「薄情者めぇ…」
0:夕暮れ時を風がなぜる
ミィ:「ねー?ヤナギ」
ヤナギ:「んー?何?」
0:ヤナギはケットシーに転生してから
0:なぜか身に付いた仕草で顔を洗う
ミィ:「ヤナギってさ…どんな子が好き」
ヤナギ:「どんなって…うーん」
0:夕焼けに照らされたせいか、ミィの頬はほんのりと
0:赤く染まる
ミィ:「も、もしよかったら…」
ヤナギ:「スタイルのメッチャ良い人間の女の子」
ミィ:「…え?」
ヤナギ:「スタイルのメッチャ良い!人間の女の子!」
ミィ:「そ、そう…なんだ…」
ヤナギ:「もう胸は大きければ大きいほど良いね!」
ヤナギ:「後は…」
ミィ:「…ゴメン。ちょっと…用事あるから!…もう、行くね…!」
ヤナギ:「ん?そうなのか…って」
0:ミィは夕焼けの中、走っていった
ヤナギ:「…ごめんな、ミィ」
ヤナギ:「お前がオレなんかを好きになってくれたのは、嬉しい」
ヤナギ:「でも…オレ…」
0:ヤナギは空を見上げ、一筋の涙を流す
ヤナギ:「…ケモナーじゃ、ないんだ」
0:ケモナー…すなわち動物に近しい存在に性的興奮
0:又は萌えの感情を抱く勇者のことである
ヤナギ:「て言うか!この体おかしいんだよ!」
ヤナギ:「何でケイト先生みたいな超絶美人に」
ヤナギ:「オレの相棒はピクリとも反応しないんだよ!?」
ヤナギ:「オレ!バッキバキの童貞だぞ!?」
ヤナギ:「なぁ!答えてくれよ!マイケル!」
0:ヤナギは自身の股間に向けて叫ぶ
0:当然ながら返答はかえってこない
ヤナギ:「それなのにミィとか他のメスのケットシーには」
ヤナギ:「体が反応しちまう!!」
0:心とは裏腹に猫の本能に体が支配されてしまう
0:ケットシーは通常の猫とは違い発情期はない
0:1歳半を過ぎ、パートナーを見つけると
0:体が勝手に反応してしまう。
0:ヤナギは異常個体なのか生後半年で
0:ケットシーの本能に目覚めてしまったようだ
ヤナギ:「おまけに神様がオレの願いを聞き届けてくれたんだろうが」
ヤナギ:「もらったであろうスキルがやべぇ!」
0:ヤナギが神様に授けられたスキル…それは
ヤナギ:「ハーレムキング(同種族限定)とか…!」
ヤナギ:「ふっざけんなぁぁぁー!!」
0:ハーレムキング…それはどんなメスだろうと
0:墜としてしまう凶悪なスキル。
0:ただし、同種族に限る
ヤナギ:「効果はすげぇよ?童貞のオレには最強過ぎるスキルだ!」
ヤナギ:「だけど!オレ!人間の女の子が好きなの!」
ヤナギ:「どんだけ宝の持ち腐れだよ!?」
ヤナギ:「くそ!どうすれば…そうだ!」
0:ケットシーの村 ケイトの庵
ヤナギ:「…と言うわけで!教えて!エロイ人!」
ケイト:「誰がエロイ人だ。毛皮むしるぞクソ猫」
0:ケイトの絶対零度の視線に冷静さを取り戻すヤナギ
ヤナギ:「…失礼しました。」
ケイト:「折檻は後でするとして」
ヤナギ:「あ、するんですね折檻…」
ケイト:「人間の女の子と恋がしたい、ね」
ヤナギ:「助けて下さい先生!」
ヤナギ:「お、オレ…このままじゃハーレムキングに…!」
ケイト:「この部分だけ聞くとふざけてるようにしか聞こえないんだけどね」
ケイト:「正直、君の恋愛には興味はこれぽっちもないが」
ケイト:「ミィ達、可愛い教え子の明るい未来の為だ」
ヤナギ:「そ、それじゃあ…!」
ケイト:「そのスキルの封印具を作ってやる」
ケイト:「人間との恋愛は…まぁ、そこら辺の本でも調べてみれば?」
ケイト:「異種族の生殖関係の資料だから」
ケイト:「何かしらの情報は得られるんじゃない?」
ヤナギ:「あ、ありがとうございます!先生!」
ケイト:「さて、それじゃあ…早速」
ヤナギ:「はい!封印具…」
ケイト:「折檻と行こうか?」
ヤナギ:「…へ?」
0:その夜、オスの猫らしき汚ねぇ悲鳴が村の中に響き渡った
0:
0:
0:翌朝 ケットシーの村
ヤナギ:「…これだぁぁぁー!」
0:全身筋肉痛に教われながら一つの本を掲げる
ケイト:「おや?見つかったのかい?」
ヤナギ:「はい!これです!」
ケイト:「ふむ…異種族への転生、ね」
ヤナギ:「この資料によれば人間からエルフへと転生した例が」
ヤナギ:「一件だけあります!」
ケイト:「これは…300年前のエイオス帝国での出来事のようだが」
ケイト:「所々に突拍子もない記述がいくつか見受けられるね」
ケイト:「ふむ…正直、信憑性は低いと思うがね」
ヤナギ:「でも0%じゃない!」
ヤナギ:「ほんの僅かな可能性でもかけてみたいんです!」
ヤナギ:「オレは…人間になりたい!」
ケイト:「…ヤナギ、君はそこまで」
ヤナギ:「そして!美人でナイスバディの嫁さんを貰って!」
ヤナギ:「童貞を!卒業してみせる!!」
ケイト:「…少しでも感心した自分を恥じるよ」
ケイト:「くたばれクソ猫」
ヤナギ:「よし!そうと決まったら早速!」
ケイト:「早速?」
ヤナギ:「封印具の作成、お願いします!」
ケイト:「…最初の一歩が他力本願とは…泣けるね」
0:ケイトにスキルの封印具を作成を依頼したヤナギ
0:だが、そんなヤナギを見ていた一つの影
ミィ:「…ヤナギ」
0:彼は無事に人間になれるのだろうか?
0:想いを秘めたミィの動向は一体どうなるのか?
0:次回を待て
ヤナギ:「(あ、オレ…死んだ)」
0:視界が眩い光に照らされたその刹那
0:自身の体に強い衝撃が走る
ヤナギ:「(痛ってぇ…)」
0:頭から何か温かいモノが流れ出ていく
0:自身の口からは荒い呼吸とともに
0:鉄の匂いがする何かが込み上げてくる
ヤナギ:「ゲッホゲホ!!」
0:激しく咳き込みそれを吐き出すが次から次へと
0:喉の奥から絶え間無く込み上げてくる
ヤナギ:「(あー…なんだか頭がボーッとしてきた…)」
0:チリンと鈴の鳴る音が耳に響く
ヤナギ:「(…鈴の音)」
0:痛みで動かない自身の頬を
0:温かいざりざりとした何かが
0:数回、下から上へと擦りあげる
ヤナギ:「(痛てて…!何だよ、これ?)」
0:にゃー、という鳴き声とともに
0:自身の手の甲に柔らかい何かが
0:擦られる
ヤナギ:「(猫…?)」
0:再び頬をざりざりとしたものが上下に擦られる
0:どうやら猫が彼の頬を舐めているようだ
ヤナギ:「(あー…思い出した)」
ヤナギ:「(オレ、猫を助けようとして…)」
0:不意に全身を寒気が襲う
0:先程までは体から温かい何かが流れていく感覚があったが
0:その感覚も薄れ、こんどは体の芯から凍てついていくような
0:寒さを感じる
ヤナギ:「(さ、寒い…)」
0:身体が痙攣を起こし始める
ヤナギ:「(オレ…死ぬのか)」
0:にゃー、と猫の声が聞こえ、頬の辺りから温もりを感じた
ヤナギ:「(さっき…助けた猫か…?)」
ヤナギ:「(あったけぇ…)」
0:ろくに動かない体をなんとか動かし
0:頬の辺りにいるであろう猫を撫でる
ヤナギ:「(猫の…恩返しって…ヤツか?)」
0:猫の喉がごろごろと鳴る音が聞こえる
ヤナギ:「(童貞のまま…死ぬのかよ…)」
ヤナギ:「(そんなの…あんまりじゃないか)」
ヤナギ:「(佐藤さんに…告白、出来てないのに…!)」
0:寒さの中、自身の最後に彼は絶望する
0:そして、薄れいく意識の中、少年は神にすがる
ヤナギ:「(もしも…神様がいるのなら…)」
0:少年は血を吐き出し、激しく咳き込み
0:視界はもう、何も見えない
ヤナギ:「(今度は猫のように…)」
0:少年は上に向けて手を伸ばす
ヤナギ:「(誰からも…愛されるような)」
0:伸ばした手を握りしめる
ヤナギ:「(そんな…モテモテの…人生を…!!)」
0:やがて、力なく腕は地面へと落ちる
ヤナギ:「(オレに…下さい…!)」
0:チリンと鈴の音が鳴り響く
0:少年の意識はその音色を耳にした後
0:暗闇へと飲まれていった
0:永遠に
0:
0:
0:
0:
0:
ヤナギ:「(ん…?な、なんだ…?)」
ヤナギ:「(何も見えない…)」
ヤナギ:「(なんだか…暖かい?)」
0:自身の体が狭くて暖かな所にあることを自覚する
ヤナギ:「(何だよ…ここ?)」
0:不意に体が下へと押し出される感覚が
0:少年を襲う
ヤナギ:「(おいおい!なんだ!?)」
ヤナギ:「(やめろ!痛い痛い痛い!)」
0:痛みを伴い、少年の体はだんだんと下に移動していく
ヤナギ:「(だから!痛いって…)」
0:やがて少年の体は
ヤナギ:「にゃあぁぁぁー!?」
0:自分の鳴き声とともに、外の世界へと産まれ落ちるのだった
0:
0:
ヤナギ:「…いや、猫のようにとは言ったけど」
0:ぷにぷにの肉球がついた自身の手の平を
0:ふにふにと握る
ヤナギ:「猫に転生したいとは言ってないよ!神様!」
0:少年…ヤナギが転生してから早くも半年が経っていた
ヤナギ:「しかし猫妖精(ケットシー)ねぇ…」
0:ケットシーは1歳半までは通常の猫と同じように加齢するが
0:それ以降は人間と同じ老化の速度を辿る
ヤナギ:「幸いにして1歳半(20歳)以降、老化の速度は」
ヤナギ:「人間と同じらしいから早死にしないのは救いだな」
ミィ:「おーい!ヤナギー!」
0:三毛猫のケットシー…幼馴染みのミーがヤナギに向かって走ってくる
ミィ:「もー!またこんな所でサボってる!」
ミィ:「センセが広場で待ってるよ!」
ヤナギ:「うげっ…マジか」
ミィ:「ほら!一緒に謝ってあげるから行こ!」
0:ミィはヤナギの手を握り、走り出す
ヤナギ:「お、おい!待てって!ミィ!」
ヤナギ:「そんなに腕を引っ張んなって!」
ミィ:「にゃはは♪ほらほら!急ぐよー!」
0:二人はケットシーの村の広場へと向かった
0:
0:ケットシーの村 広場
0:
0:
ケイト:「…ずいぶんと遅かったじゃないか?ヤナギ」
ヤナギ:「うげっ…け、ケイト先生…」
0:広場にはヤナギ達と同じ年頃のケットシー達が集まっていた
0:その中には一人だけ長身で長い耳…エルフの女性が立っていた
ケイト:「ほほう…遅刻しておいて先生に向かって、うげっとは」
ケイト:「いい度胸をしているね」
ヤナギ:「あ!いえ。これは…なんというか…その」
ケイト:「ヤナギ」
ヤナギ:「は、はい!」
0:ケイトはにっこりと笑う
ケイト:「村の外周を5周!」
ヤナギ:「そ、そんなぁ…」
0:その後、めちゃくちゃ走り込んだ
0:
0:夕方 ケットシーの村
0:
0:村の外れ
ヤナギ:「うぐぅ…ね、猫の足って走り辛い…」
ミィ:「これに懲りたらもう少し真面目に参加しなよー?」
ヤナギ:「一緒に謝ってくれるんじゃなかったのかよ…?」
ミィ:「にゃ、にゃはは…だ、だって、センセ怖かったんだもん」
ヤナギ:「薄情者めぇ…」
0:夕暮れ時を風がなぜる
ミィ:「ねー?ヤナギ」
ヤナギ:「んー?何?」
0:ヤナギはケットシーに転生してから
0:なぜか身に付いた仕草で顔を洗う
ミィ:「ヤナギってさ…どんな子が好き」
ヤナギ:「どんなって…うーん」
0:夕焼けに照らされたせいか、ミィの頬はほんのりと
0:赤く染まる
ミィ:「も、もしよかったら…」
ヤナギ:「スタイルのメッチャ良い人間の女の子」
ミィ:「…え?」
ヤナギ:「スタイルのメッチャ良い!人間の女の子!」
ミィ:「そ、そう…なんだ…」
ヤナギ:「もう胸は大きければ大きいほど良いね!」
ヤナギ:「後は…」
ミィ:「…ゴメン。ちょっと…用事あるから!…もう、行くね…!」
ヤナギ:「ん?そうなのか…って」
0:ミィは夕焼けの中、走っていった
ヤナギ:「…ごめんな、ミィ」
ヤナギ:「お前がオレなんかを好きになってくれたのは、嬉しい」
ヤナギ:「でも…オレ…」
0:ヤナギは空を見上げ、一筋の涙を流す
ヤナギ:「…ケモナーじゃ、ないんだ」
0:ケモナー…すなわち動物に近しい存在に性的興奮
0:又は萌えの感情を抱く勇者のことである
ヤナギ:「て言うか!この体おかしいんだよ!」
ヤナギ:「何でケイト先生みたいな超絶美人に」
ヤナギ:「オレの相棒はピクリとも反応しないんだよ!?」
ヤナギ:「オレ!バッキバキの童貞だぞ!?」
ヤナギ:「なぁ!答えてくれよ!マイケル!」
0:ヤナギは自身の股間に向けて叫ぶ
0:当然ながら返答はかえってこない
ヤナギ:「それなのにミィとか他のメスのケットシーには」
ヤナギ:「体が反応しちまう!!」
0:心とは裏腹に猫の本能に体が支配されてしまう
0:ケットシーは通常の猫とは違い発情期はない
0:1歳半を過ぎ、パートナーを見つけると
0:体が勝手に反応してしまう。
0:ヤナギは異常個体なのか生後半年で
0:ケットシーの本能に目覚めてしまったようだ
ヤナギ:「おまけに神様がオレの願いを聞き届けてくれたんだろうが」
ヤナギ:「もらったであろうスキルがやべぇ!」
0:ヤナギが神様に授けられたスキル…それは
ヤナギ:「ハーレムキング(同種族限定)とか…!」
ヤナギ:「ふっざけんなぁぁぁー!!」
0:ハーレムキング…それはどんなメスだろうと
0:墜としてしまう凶悪なスキル。
0:ただし、同種族に限る
ヤナギ:「効果はすげぇよ?童貞のオレには最強過ぎるスキルだ!」
ヤナギ:「だけど!オレ!人間の女の子が好きなの!」
ヤナギ:「どんだけ宝の持ち腐れだよ!?」
ヤナギ:「くそ!どうすれば…そうだ!」
0:ケットシーの村 ケイトの庵
ヤナギ:「…と言うわけで!教えて!エロイ人!」
ケイト:「誰がエロイ人だ。毛皮むしるぞクソ猫」
0:ケイトの絶対零度の視線に冷静さを取り戻すヤナギ
ヤナギ:「…失礼しました。」
ケイト:「折檻は後でするとして」
ヤナギ:「あ、するんですね折檻…」
ケイト:「人間の女の子と恋がしたい、ね」
ヤナギ:「助けて下さい先生!」
ヤナギ:「お、オレ…このままじゃハーレムキングに…!」
ケイト:「この部分だけ聞くとふざけてるようにしか聞こえないんだけどね」
ケイト:「正直、君の恋愛には興味はこれぽっちもないが」
ケイト:「ミィ達、可愛い教え子の明るい未来の為だ」
ヤナギ:「そ、それじゃあ…!」
ケイト:「そのスキルの封印具を作ってやる」
ケイト:「人間との恋愛は…まぁ、そこら辺の本でも調べてみれば?」
ケイト:「異種族の生殖関係の資料だから」
ケイト:「何かしらの情報は得られるんじゃない?」
ヤナギ:「あ、ありがとうございます!先生!」
ケイト:「さて、それじゃあ…早速」
ヤナギ:「はい!封印具…」
ケイト:「折檻と行こうか?」
ヤナギ:「…へ?」
0:その夜、オスの猫らしき汚ねぇ悲鳴が村の中に響き渡った
0:
0:
0:翌朝 ケットシーの村
ヤナギ:「…これだぁぁぁー!」
0:全身筋肉痛に教われながら一つの本を掲げる
ケイト:「おや?見つかったのかい?」
ヤナギ:「はい!これです!」
ケイト:「ふむ…異種族への転生、ね」
ヤナギ:「この資料によれば人間からエルフへと転生した例が」
ヤナギ:「一件だけあります!」
ケイト:「これは…300年前のエイオス帝国での出来事のようだが」
ケイト:「所々に突拍子もない記述がいくつか見受けられるね」
ケイト:「ふむ…正直、信憑性は低いと思うがね」
ヤナギ:「でも0%じゃない!」
ヤナギ:「ほんの僅かな可能性でもかけてみたいんです!」
ヤナギ:「オレは…人間になりたい!」
ケイト:「…ヤナギ、君はそこまで」
ヤナギ:「そして!美人でナイスバディの嫁さんを貰って!」
ヤナギ:「童貞を!卒業してみせる!!」
ケイト:「…少しでも感心した自分を恥じるよ」
ケイト:「くたばれクソ猫」
ヤナギ:「よし!そうと決まったら早速!」
ケイト:「早速?」
ヤナギ:「封印具の作成、お願いします!」
ケイト:「…最初の一歩が他力本願とは…泣けるね」
0:ケイトにスキルの封印具を作成を依頼したヤナギ
0:だが、そんなヤナギを見ていた一つの影
ミィ:「…ヤナギ」
0:彼は無事に人間になれるのだろうか?
0:想いを秘めたミィの動向は一体どうなるのか?
0:次回を待て