台本概要

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タイトル リーンカーニャイト♯1
作者名 狗山犬壱(イヌヤマ ケンイチ)
ジャンル ファンタジー
演者人数 3人用台本(男1、女2)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 猫を助けようとして車に引かれてしまった少年、ヤナギ。ひょんなことから転生してしまう。だが、彼が転生したのは…

※人によっては表現に不快な部分があるかもしれません。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ヤナギ 91 主人公。猫好き。転生前は好きな女の子がいた普通の元高校生
ミィ 14 可愛いケットシーの女の子。三毛猫。明るい日だまりのような子。片想い中
ケイト 27 ケットシー達の先生。エルフ。剣術や魔術を適性に応じて教えている。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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ヤナギ:「(あ、オレ…死んだ)」 0:視界が眩い光に照らされたその刹那 0:自身の体に強い衝撃が走る ヤナギ:「(痛ってぇ…)」 0:頭から何か温かいモノが流れ出ていく 0:自身の口からは荒い呼吸とともに 0:鉄の匂いがする何かが込み上げてくる ヤナギ:「ゲッホゲホ!!」 0:激しく咳き込みそれを吐き出すが次から次へと 0:喉の奥から絶え間無く込み上げてくる ヤナギ:「(あー…なんだか頭がボーッとしてきた…)」 0:チリンと鈴の鳴る音が耳に響く ヤナギ:「(…鈴の音)」 0:痛みで動かない自身の頬を 0:温かいざりざりとした何かが 0:数回、下から上へと擦りあげる ヤナギ:「(痛てて…!何だよ、これ?)」 0:にゃー、という鳴き声とともに 0:自身の手の甲に柔らかい何かが 0:擦られる ヤナギ:「(猫…?)」 0:再び頬をざりざりとしたものが上下に擦られる 0:どうやら猫が彼の頬を舐めているようだ ヤナギ:「(あー…思い出した)」 ヤナギ:「(オレ、猫を助けようとして…)」 0:不意に全身を寒気が襲う 0:先程までは体から温かい何かが流れていく感覚があったが 0:その感覚も薄れ、こんどは体の芯から凍てついていくような 0:寒さを感じる ヤナギ:「(さ、寒い…)」 0:身体が痙攣を起こし始める ヤナギ:「(オレ…死ぬのか)」 0:にゃー、と猫の声が聞こえ、頬の辺りから温もりを感じた ヤナギ:「(さっき…助けた猫か…?)」 ヤナギ:「(あったけぇ…)」 0:ろくに動かない体をなんとか動かし 0:頬の辺りにいるであろう猫を撫でる ヤナギ:「(猫の…恩返しって…ヤツか?)」 0:猫の喉がごろごろと鳴る音が聞こえる ヤナギ:「(童貞のまま…死ぬのかよ…)」 ヤナギ:「(そんなの…あんまりじゃないか)」 ヤナギ:「(佐藤さんに…告白、出来てないのに…!)」 0:寒さの中、自身の最後に彼は絶望する 0:そして、薄れいく意識の中、少年は神にすがる ヤナギ:「(もしも…神様がいるのなら…)」 0:少年は血を吐き出し、激しく咳き込み 0:視界はもう、何も見えない ヤナギ:「(今度は猫のように…)」 0:少年は上に向けて手を伸ばす ヤナギ:「(誰からも…愛されるような)」 0:伸ばした手を握りしめる ヤナギ:「(そんな…モテモテの…人生を…!!)」 0:やがて、力なく腕は地面へと落ちる ヤナギ:「(オレに…下さい…!)」 0:チリンと鈴の音が鳴り響く 0:少年の意識はその音色を耳にした後 0:暗闇へと飲まれていった 0:永遠に 0: 0: 0: 0: 0: ヤナギ:「(ん…?な、なんだ…?)」 ヤナギ:「(何も見えない…)」 ヤナギ:「(なんだか…暖かい?)」 0:自身の体が狭くて暖かな所にあることを自覚する ヤナギ:「(何だよ…ここ?)」 0:不意に体が下へと押し出される感覚が 0:少年を襲う ヤナギ:「(おいおい!なんだ!?)」 ヤナギ:「(やめろ!痛い痛い痛い!)」 0:痛みを伴い、少年の体はだんだんと下に移動していく ヤナギ:「(だから!痛いって…)」 0:やがて少年の体は ヤナギ:「にゃあぁぁぁー!?」 0:自分の鳴き声とともに、外の世界へと産まれ落ちるのだった 0: 0: ヤナギ:「…いや、猫のようにとは言ったけど」 0:ぷにぷにの肉球がついた自身の手の平を 0:ふにふにと握る ヤナギ:「猫に転生したいとは言ってないよ!神様!」 0:少年…ヤナギが転生してから早くも半年が経っていた ヤナギ:「しかし猫妖精(ケットシー)ねぇ…」 0:ケットシーは1歳半までは通常の猫と同じように加齢するが 0:それ以降は人間と同じ老化の速度を辿る ヤナギ:「幸いにして1歳半(20歳)以降、老化の速度は」 ヤナギ:「人間と同じらしいから早死にしないのは救いだな」 ミィ:「おーい!ヤナギー!」 0:三毛猫のケットシー…幼馴染みのミーがヤナギに向かって走ってくる ミィ:「もー!またこんな所でサボってる!」 ミィ:「センセが広場で待ってるよ!」 ヤナギ:「うげっ…マジか」 ミィ:「ほら!一緒に謝ってあげるから行こ!」 0:ミィはヤナギの手を握り、走り出す ヤナギ:「お、おい!待てって!ミィ!」 ヤナギ:「そんなに腕を引っ張んなって!」 ミィ:「にゃはは♪ほらほら!急ぐよー!」 0:二人はケットシーの村の広場へと向かった 0: 0:ケットシーの村 広場 0: 0: ケイト:「…ずいぶんと遅かったじゃないか?ヤナギ」 ヤナギ:「うげっ…け、ケイト先生…」 0:広場にはヤナギ達と同じ年頃のケットシー達が集まっていた 0:その中には一人だけ長身で長い耳…エルフの女性が立っていた ケイト:「ほほう…遅刻しておいて先生に向かって、うげっとは」 ケイト:「いい度胸をしているね」 ヤナギ:「あ!いえ。これは…なんというか…その」 ケイト:「ヤナギ」 ヤナギ:「は、はい!」 0:ケイトはにっこりと笑う ケイト:「村の外周を5周!」 ヤナギ:「そ、そんなぁ…」 0:その後、めちゃくちゃ走り込んだ 0: 0:夕方 ケットシーの村 0: 0:村の外れ ヤナギ:「うぐぅ…ね、猫の足って走り辛い…」 ミィ:「これに懲りたらもう少し真面目に参加しなよー?」 ヤナギ:「一緒に謝ってくれるんじゃなかったのかよ…?」 ミィ:「にゃ、にゃはは…だ、だって、センセ怖かったんだもん」 ヤナギ:「薄情者めぇ…」 0:夕暮れ時を風がなぜる ミィ:「ねー?ヤナギ」 ヤナギ:「んー?何?」 0:ヤナギはケットシーに転生してから 0:なぜか身に付いた仕草で顔を洗う ミィ:「ヤナギってさ…どんな子が好き」 ヤナギ:「どんなって…うーん」 0:夕焼けに照らされたせいか、ミィの頬はほんのりと 0:赤く染まる ミィ:「も、もしよかったら…」 ヤナギ:「スタイルのメッチャ良い人間の女の子」 ミィ:「…え?」 ヤナギ:「スタイルのメッチャ良い!人間の女の子!」 ミィ:「そ、そう…なんだ…」 ヤナギ:「もう胸は大きければ大きいほど良いね!」 ヤナギ:「後は…」 ミィ:「…ゴメン。ちょっと…用事あるから!…もう、行くね…!」 ヤナギ:「ん?そうなのか…って」 0:ミィは夕焼けの中、走っていった ヤナギ:「…ごめんな、ミィ」 ヤナギ:「お前がオレなんかを好きになってくれたのは、嬉しい」 ヤナギ:「でも…オレ…」 0:ヤナギは空を見上げ、一筋の涙を流す ヤナギ:「…ケモナーじゃ、ないんだ」 0:ケモナー…すなわち動物に近しい存在に性的興奮 0:又は萌えの感情を抱く勇者のことである ヤナギ:「て言うか!この体おかしいんだよ!」 ヤナギ:「何でケイト先生みたいな超絶美人に」 ヤナギ:「オレの相棒はピクリとも反応しないんだよ!?」 ヤナギ:「オレ!バッキバキの童貞だぞ!?」 ヤナギ:「なぁ!答えてくれよ!マイケル!」 0:ヤナギは自身の股間に向けて叫ぶ 0:当然ながら返答はかえってこない ヤナギ:「それなのにミィとか他のメスのケットシーには」 ヤナギ:「体が反応しちまう!!」 0:心とは裏腹に猫の本能に体が支配されてしまう 0:ケットシーは通常の猫とは違い発情期はない 0:1歳半を過ぎ、パートナーを見つけると 0:体が勝手に反応してしまう。 0:ヤナギは異常個体なのか生後半年で 0:ケットシーの本能に目覚めてしまったようだ ヤナギ:「おまけに神様がオレの願いを聞き届けてくれたんだろうが」 ヤナギ:「もらったであろうスキルがやべぇ!」 0:ヤナギが神様に授けられたスキル…それは ヤナギ:「ハーレムキング(同種族限定)とか…!」 ヤナギ:「ふっざけんなぁぁぁー!!」 0:ハーレムキング…それはどんなメスだろうと 0:墜としてしまう凶悪なスキル。 0:ただし、同種族に限る ヤナギ:「効果はすげぇよ?童貞のオレには最強過ぎるスキルだ!」 ヤナギ:「だけど!オレ!人間の女の子が好きなの!」 ヤナギ:「どんだけ宝の持ち腐れだよ!?」 ヤナギ:「くそ!どうすれば…そうだ!」 0:ケットシーの村 ケイトの庵 ヤナギ:「…と言うわけで!教えて!エロイ人!」 ケイト:「誰がエロイ人だ。毛皮むしるぞクソ猫」 0:ケイトの絶対零度の視線に冷静さを取り戻すヤナギ ヤナギ:「…失礼しました。」 ケイト:「折檻は後でするとして」 ヤナギ:「あ、するんですね折檻…」 ケイト:「人間の女の子と恋がしたい、ね」 ヤナギ:「助けて下さい先生!」 ヤナギ:「お、オレ…このままじゃハーレムキングに…!」 ケイト:「この部分だけ聞くとふざけてるようにしか聞こえないんだけどね」 ケイト:「正直、君の恋愛には興味はこれぽっちもないが」 ケイト:「ミィ達、可愛い教え子の明るい未来の為だ」 ヤナギ:「そ、それじゃあ…!」 ケイト:「そのスキルの封印具を作ってやる」 ケイト:「人間との恋愛は…まぁ、そこら辺の本でも調べてみれば?」 ケイト:「異種族の生殖関係の資料だから」 ケイト:「何かしらの情報は得られるんじゃない?」 ヤナギ:「あ、ありがとうございます!先生!」 ケイト:「さて、それじゃあ…早速」 ヤナギ:「はい!封印具…」 ケイト:「折檻と行こうか?」 ヤナギ:「…へ?」 0:その夜、オスの猫らしき汚ねぇ悲鳴が村の中に響き渡った 0: 0: 0:翌朝 ケットシーの村 ヤナギ:「…これだぁぁぁー!」 0:全身筋肉痛に教われながら一つの本を掲げる ケイト:「おや?見つかったのかい?」 ヤナギ:「はい!これです!」 ケイト:「ふむ…異種族への転生、ね」 ヤナギ:「この資料によれば人間からエルフへと転生した例が」 ヤナギ:「一件だけあります!」 ケイト:「これは…300年前のエイオス帝国での出来事のようだが」 ケイト:「所々に突拍子もない記述がいくつか見受けられるね」 ケイト:「ふむ…正直、信憑性は低いと思うがね」 ヤナギ:「でも0%じゃない!」 ヤナギ:「ほんの僅かな可能性でもかけてみたいんです!」 ヤナギ:「オレは…人間になりたい!」 ケイト:「…ヤナギ、君はそこまで」 ヤナギ:「そして!美人でナイスバディの嫁さんを貰って!」 ヤナギ:「童貞を!卒業してみせる!!」 ケイト:「…少しでも感心した自分を恥じるよ」 ケイト:「くたばれクソ猫」 ヤナギ:「よし!そうと決まったら早速!」 ケイト:「早速?」 ヤナギ:「封印具の作成、お願いします!」 ケイト:「…最初の一歩が他力本願とは…泣けるね」 0:ケイトにスキルの封印具を作成を依頼したヤナギ 0:だが、そんなヤナギを見ていた一つの影 ミィ:「…ヤナギ」 0:彼は無事に人間になれるのだろうか? 0:想いを秘めたミィの動向は一体どうなるのか? 0:次回を待て

ヤナギ:「(あ、オレ…死んだ)」 0:視界が眩い光に照らされたその刹那 0:自身の体に強い衝撃が走る ヤナギ:「(痛ってぇ…)」 0:頭から何か温かいモノが流れ出ていく 0:自身の口からは荒い呼吸とともに 0:鉄の匂いがする何かが込み上げてくる ヤナギ:「ゲッホゲホ!!」 0:激しく咳き込みそれを吐き出すが次から次へと 0:喉の奥から絶え間無く込み上げてくる ヤナギ:「(あー…なんだか頭がボーッとしてきた…)」 0:チリンと鈴の鳴る音が耳に響く ヤナギ:「(…鈴の音)」 0:痛みで動かない自身の頬を 0:温かいざりざりとした何かが 0:数回、下から上へと擦りあげる ヤナギ:「(痛てて…!何だよ、これ?)」 0:にゃー、という鳴き声とともに 0:自身の手の甲に柔らかい何かが 0:擦られる ヤナギ:「(猫…?)」 0:再び頬をざりざりとしたものが上下に擦られる 0:どうやら猫が彼の頬を舐めているようだ ヤナギ:「(あー…思い出した)」 ヤナギ:「(オレ、猫を助けようとして…)」 0:不意に全身を寒気が襲う 0:先程までは体から温かい何かが流れていく感覚があったが 0:その感覚も薄れ、こんどは体の芯から凍てついていくような 0:寒さを感じる ヤナギ:「(さ、寒い…)」 0:身体が痙攣を起こし始める ヤナギ:「(オレ…死ぬのか)」 0:にゃー、と猫の声が聞こえ、頬の辺りから温もりを感じた ヤナギ:「(さっき…助けた猫か…?)」 ヤナギ:「(あったけぇ…)」 0:ろくに動かない体をなんとか動かし 0:頬の辺りにいるであろう猫を撫でる ヤナギ:「(猫の…恩返しって…ヤツか?)」 0:猫の喉がごろごろと鳴る音が聞こえる ヤナギ:「(童貞のまま…死ぬのかよ…)」 ヤナギ:「(そんなの…あんまりじゃないか)」 ヤナギ:「(佐藤さんに…告白、出来てないのに…!)」 0:寒さの中、自身の最後に彼は絶望する 0:そして、薄れいく意識の中、少年は神にすがる ヤナギ:「(もしも…神様がいるのなら…)」 0:少年は血を吐き出し、激しく咳き込み 0:視界はもう、何も見えない ヤナギ:「(今度は猫のように…)」 0:少年は上に向けて手を伸ばす ヤナギ:「(誰からも…愛されるような)」 0:伸ばした手を握りしめる ヤナギ:「(そんな…モテモテの…人生を…!!)」 0:やがて、力なく腕は地面へと落ちる ヤナギ:「(オレに…下さい…!)」 0:チリンと鈴の音が鳴り響く 0:少年の意識はその音色を耳にした後 0:暗闇へと飲まれていった 0:永遠に 0: 0: 0: 0: 0: ヤナギ:「(ん…?な、なんだ…?)」 ヤナギ:「(何も見えない…)」 ヤナギ:「(なんだか…暖かい?)」 0:自身の体が狭くて暖かな所にあることを自覚する ヤナギ:「(何だよ…ここ?)」 0:不意に体が下へと押し出される感覚が 0:少年を襲う ヤナギ:「(おいおい!なんだ!?)」 ヤナギ:「(やめろ!痛い痛い痛い!)」 0:痛みを伴い、少年の体はだんだんと下に移動していく ヤナギ:「(だから!痛いって…)」 0:やがて少年の体は ヤナギ:「にゃあぁぁぁー!?」 0:自分の鳴き声とともに、外の世界へと産まれ落ちるのだった 0: 0: ヤナギ:「…いや、猫のようにとは言ったけど」 0:ぷにぷにの肉球がついた自身の手の平を 0:ふにふにと握る ヤナギ:「猫に転生したいとは言ってないよ!神様!」 0:少年…ヤナギが転生してから早くも半年が経っていた ヤナギ:「しかし猫妖精(ケットシー)ねぇ…」 0:ケットシーは1歳半までは通常の猫と同じように加齢するが 0:それ以降は人間と同じ老化の速度を辿る ヤナギ:「幸いにして1歳半(20歳)以降、老化の速度は」 ヤナギ:「人間と同じらしいから早死にしないのは救いだな」 ミィ:「おーい!ヤナギー!」 0:三毛猫のケットシー…幼馴染みのミーがヤナギに向かって走ってくる ミィ:「もー!またこんな所でサボってる!」 ミィ:「センセが広場で待ってるよ!」 ヤナギ:「うげっ…マジか」 ミィ:「ほら!一緒に謝ってあげるから行こ!」 0:ミィはヤナギの手を握り、走り出す ヤナギ:「お、おい!待てって!ミィ!」 ヤナギ:「そんなに腕を引っ張んなって!」 ミィ:「にゃはは♪ほらほら!急ぐよー!」 0:二人はケットシーの村の広場へと向かった 0: 0:ケットシーの村 広場 0: 0: ケイト:「…ずいぶんと遅かったじゃないか?ヤナギ」 ヤナギ:「うげっ…け、ケイト先生…」 0:広場にはヤナギ達と同じ年頃のケットシー達が集まっていた 0:その中には一人だけ長身で長い耳…エルフの女性が立っていた ケイト:「ほほう…遅刻しておいて先生に向かって、うげっとは」 ケイト:「いい度胸をしているね」 ヤナギ:「あ!いえ。これは…なんというか…その」 ケイト:「ヤナギ」 ヤナギ:「は、はい!」 0:ケイトはにっこりと笑う ケイト:「村の外周を5周!」 ヤナギ:「そ、そんなぁ…」 0:その後、めちゃくちゃ走り込んだ 0: 0:夕方 ケットシーの村 0: 0:村の外れ ヤナギ:「うぐぅ…ね、猫の足って走り辛い…」 ミィ:「これに懲りたらもう少し真面目に参加しなよー?」 ヤナギ:「一緒に謝ってくれるんじゃなかったのかよ…?」 ミィ:「にゃ、にゃはは…だ、だって、センセ怖かったんだもん」 ヤナギ:「薄情者めぇ…」 0:夕暮れ時を風がなぜる ミィ:「ねー?ヤナギ」 ヤナギ:「んー?何?」 0:ヤナギはケットシーに転生してから 0:なぜか身に付いた仕草で顔を洗う ミィ:「ヤナギってさ…どんな子が好き」 ヤナギ:「どんなって…うーん」 0:夕焼けに照らされたせいか、ミィの頬はほんのりと 0:赤く染まる ミィ:「も、もしよかったら…」 ヤナギ:「スタイルのメッチャ良い人間の女の子」 ミィ:「…え?」 ヤナギ:「スタイルのメッチャ良い!人間の女の子!」 ミィ:「そ、そう…なんだ…」 ヤナギ:「もう胸は大きければ大きいほど良いね!」 ヤナギ:「後は…」 ミィ:「…ゴメン。ちょっと…用事あるから!…もう、行くね…!」 ヤナギ:「ん?そうなのか…って」 0:ミィは夕焼けの中、走っていった ヤナギ:「…ごめんな、ミィ」 ヤナギ:「お前がオレなんかを好きになってくれたのは、嬉しい」 ヤナギ:「でも…オレ…」 0:ヤナギは空を見上げ、一筋の涙を流す ヤナギ:「…ケモナーじゃ、ないんだ」 0:ケモナー…すなわち動物に近しい存在に性的興奮 0:又は萌えの感情を抱く勇者のことである ヤナギ:「て言うか!この体おかしいんだよ!」 ヤナギ:「何でケイト先生みたいな超絶美人に」 ヤナギ:「オレの相棒はピクリとも反応しないんだよ!?」 ヤナギ:「オレ!バッキバキの童貞だぞ!?」 ヤナギ:「なぁ!答えてくれよ!マイケル!」 0:ヤナギは自身の股間に向けて叫ぶ 0:当然ながら返答はかえってこない ヤナギ:「それなのにミィとか他のメスのケットシーには」 ヤナギ:「体が反応しちまう!!」 0:心とは裏腹に猫の本能に体が支配されてしまう 0:ケットシーは通常の猫とは違い発情期はない 0:1歳半を過ぎ、パートナーを見つけると 0:体が勝手に反応してしまう。 0:ヤナギは異常個体なのか生後半年で 0:ケットシーの本能に目覚めてしまったようだ ヤナギ:「おまけに神様がオレの願いを聞き届けてくれたんだろうが」 ヤナギ:「もらったであろうスキルがやべぇ!」 0:ヤナギが神様に授けられたスキル…それは ヤナギ:「ハーレムキング(同種族限定)とか…!」 ヤナギ:「ふっざけんなぁぁぁー!!」 0:ハーレムキング…それはどんなメスだろうと 0:墜としてしまう凶悪なスキル。 0:ただし、同種族に限る ヤナギ:「効果はすげぇよ?童貞のオレには最強過ぎるスキルだ!」 ヤナギ:「だけど!オレ!人間の女の子が好きなの!」 ヤナギ:「どんだけ宝の持ち腐れだよ!?」 ヤナギ:「くそ!どうすれば…そうだ!」 0:ケットシーの村 ケイトの庵 ヤナギ:「…と言うわけで!教えて!エロイ人!」 ケイト:「誰がエロイ人だ。毛皮むしるぞクソ猫」 0:ケイトの絶対零度の視線に冷静さを取り戻すヤナギ ヤナギ:「…失礼しました。」 ケイト:「折檻は後でするとして」 ヤナギ:「あ、するんですね折檻…」 ケイト:「人間の女の子と恋がしたい、ね」 ヤナギ:「助けて下さい先生!」 ヤナギ:「お、オレ…このままじゃハーレムキングに…!」 ケイト:「この部分だけ聞くとふざけてるようにしか聞こえないんだけどね」 ケイト:「正直、君の恋愛には興味はこれぽっちもないが」 ケイト:「ミィ達、可愛い教え子の明るい未来の為だ」 ヤナギ:「そ、それじゃあ…!」 ケイト:「そのスキルの封印具を作ってやる」 ケイト:「人間との恋愛は…まぁ、そこら辺の本でも調べてみれば?」 ケイト:「異種族の生殖関係の資料だから」 ケイト:「何かしらの情報は得られるんじゃない?」 ヤナギ:「あ、ありがとうございます!先生!」 ケイト:「さて、それじゃあ…早速」 ヤナギ:「はい!封印具…」 ケイト:「折檻と行こうか?」 ヤナギ:「…へ?」 0:その夜、オスの猫らしき汚ねぇ悲鳴が村の中に響き渡った 0: 0: 0:翌朝 ケットシーの村 ヤナギ:「…これだぁぁぁー!」 0:全身筋肉痛に教われながら一つの本を掲げる ケイト:「おや?見つかったのかい?」 ヤナギ:「はい!これです!」 ケイト:「ふむ…異種族への転生、ね」 ヤナギ:「この資料によれば人間からエルフへと転生した例が」 ヤナギ:「一件だけあります!」 ケイト:「これは…300年前のエイオス帝国での出来事のようだが」 ケイト:「所々に突拍子もない記述がいくつか見受けられるね」 ケイト:「ふむ…正直、信憑性は低いと思うがね」 ヤナギ:「でも0%じゃない!」 ヤナギ:「ほんの僅かな可能性でもかけてみたいんです!」 ヤナギ:「オレは…人間になりたい!」 ケイト:「…ヤナギ、君はそこまで」 ヤナギ:「そして!美人でナイスバディの嫁さんを貰って!」 ヤナギ:「童貞を!卒業してみせる!!」 ケイト:「…少しでも感心した自分を恥じるよ」 ケイト:「くたばれクソ猫」 ヤナギ:「よし!そうと決まったら早速!」 ケイト:「早速?」 ヤナギ:「封印具の作成、お願いします!」 ケイト:「…最初の一歩が他力本願とは…泣けるね」 0:ケイトにスキルの封印具を作成を依頼したヤナギ 0:だが、そんなヤナギを見ていた一つの影 ミィ:「…ヤナギ」 0:彼は無事に人間になれるのだろうか? 0:想いを秘めたミィの動向は一体どうなるのか? 0:次回を待て