台本概要
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タイトル | Lágrimas del Demonio |
---|---|
作者名 | 冷凍みかん-光柑- (@mikanchilled) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 4人用台本(男2、女1、不問1) ※兼役あり |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
Lágrimas del Demonioそれは黒色地に緑の輝きを帯びた宝石。それから抽出されたデモニウムと呼ばれる物質は炭素鋼と混ぜることで強靭なデモニウム鋼へと変貌する。橋や車軸など、特に安全性が必要な建材として使用される他、その加工の難しさ故にこの世界の硬貨すべてに含有されている。錆びぬことから不朽の物質と信じられており、デモニウムは計器類、化粧品、絵の具の顔料などにも含まれていて、含有量が多い程わずかな緑色の光を帯びるようになる。主人公ヨーダイは街でデモニウム鋼の製品を組み立てる工場に勤務している。それは日々を暮らす金の為であり、そこに大した意味はない。では何故生きるのか。ヨーダイは生きる意味を見失っていた。
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キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ヨーダイ | 男 | 86 | 純粋悪魔と契約した青年。生きる意味を見失っている。 |
悪魔 | 男 | 22 | ヨーダイと契約した純粋悪魔。ヨーダイの姿になってやりたい放題あばれる。 |
アンリ | 不問 | 58 | "野獣の悪魔"アスモデウスと契約した女。男のような口調で、下半身はヤギ、肉食獣の牙を持った”野獣”へと変身する。変身は人を殺すまで続く。 |
ジャンヌ | 女 | 25 | 留置所に拘束された少女。ヨーダイからもらったコインで、運命を占う。 |
守衛 | 男 | 10 | 留置所の守衛。悪魔と兼ね役。普通の人間。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
ラグリマ・デルディモーニオ
まずは何から話すべきだろうか。
そうだ、僕が人間だったころに、どんな仕事に就いていたのかを話そう。金属を混合していた。それが僕の仕事。
デモニウム鋼と言うんだ。ラグリマ・デルディモーニオと呼ばれる、緑の宝石に含まれるデモニウムという金属を炭素鋼に混ぜていた。
デモニウム鋼はとにかく強靭だ。錆びにくく、低温でも脆化(ぜいか)しない。
宝石から採れるという点で、非常に高価だけれど、強くて硬くて丈夫だから、とくに安全性が求められる橋などの建造物にはなくてはならない素材だ。
あとは貨幣にも含有されている。デモニウム鋼の加工には特別な技術が必要なので、偽造を防ぐことができた。
夢のような素材、デモニウム。それが事の発端だった。
アンリ・マティス野獣派
ヨーダイ:(23時。工場勤務を終えて、街から数十キロ離れた渓谷の橋にやってきた。)
ヨーダイ:(橋の欄干からは街の光が緑色の塊となって蠢いてるのが見える。)
ヨーダイ:(ふと街の中に、自分自身を見つけたような錯覚に襲われた。)
ヨーダイ:(今夜も、ともするとあの街のしみったれた酒場で安酒を煽っていたはずである。)
ヨーダイ:(しかし今夜は、ある衝動に駆られてこの橋までやってきた。)
ヨーダイ:(かつてトロルがいたという伝説のある渓谷を見下ろすと、)
ヨーダイ:(無限に広がる漆黒の闇に、今にも飲み込まれそうだった。)
悪魔:お前、自殺する気か。
ヨーダイ:!?
悪魔:なんだ面食らった顔をして。てっきり今まで承知の上で、敢えて無視していたのだと思ったぞ。
ヨーダイ:あなたは誰ですか。どこかで会いましたか。
悪魔:ああ。
ヨーダイ:いつでしょうか。すみませんが覚えていなくて。
悪魔:俺はいつでもいるし、どこにでも現れる。
悪魔:誰か、だと?さあな、”お前”かもな。
ヨーダイ:…
悪魔:そうやってすぐに口をつぐむ。理解できないモノ、自分とは違うモノから遠ざかろうとしている。
ヨーダイ:…
悪魔:しかしお前は何を理解している?自分と全く同じモノなんてあると思うか?
ヨーダイ:…
悪魔:お前は、自ら孤立したんだ。
ヨーダイ:…フ。ああ、そうだよ。何もかも下らなくてどうでもいいんだ。
ヨーダイ:たとえば僕が街で酒を飲もうが、橋の上に居ようが、世間にとってはどうでもいいんだ。
ヨーダイ:これ以上暮らしても、それは同じだ。
悪魔:ほほう。正直なんだな。それとももう死ぬからヤケになっているのか?
ヨーダイ:死ぬ死ぬって、気やすく言うな。あんたに僕の何がわかる?
悪魔:全てわかるさ。俺は悪魔だからな。
ヨーダイ:ああそうかい。
悪魔:信じるのか?いや、もうどうでもいいって感じだなその態度は。
ヨーダイ:空気が読めるんだな。助かるよ。そういう訳だからさっさと消えてくれない?
悪魔:ああ、この美しい緑色の夜景を最期に、お前は死ぬわけだ。
悪魔:お前にはやり残したことを考える能すら備わってないんだろうな。
ヨーダイ:…消えないなら殺すぞ。
悪魔:ははは、俺を殺すか。ご両親が泣くぞ。
ヨーダイ:どうせ死ぬから関係ないね。
悪魔:嘘つきのピノキオめ…良心が鳴いてやしないか。
ヨーダイ:本当にうるさい奴だな…試してみるか?嘘かどうか。
悪魔:面白い。試しにお前の姿で全裸になって街を徘徊しようかな。
ヨーダイ:は??
悪魔:奇声を上げながら、交差点を駆け抜けてやろうか。
ヨーダイ:何を言っているんだ??
悪魔:別に関係ないだろ?どうせ死ぬんだから。
悪魔:お前の姿で、好き勝手やらせてもらうからな。
ヨーダイ:(その瞬間、悪魔が僕の顔になって笑った。)
ヨーダイ:まて!馬鹿!!
悪魔:ハハハハハ…
ヨーダイ:(悪魔は消えた。ぐしょりとまとわりついた汗が、夜風で冷えていく。)
0:ヨーダイの背後からアンリが声をかける。
アンリ:オイ、来たぞ。
ヨーダイ:(振り返るとマンバンヘアにした長身の男が立っていた)
アンリ:オマエ服着るんだな。てっきりずっと裸なのかと思ったわ。
ヨーダイ:こんどは誰だ。
アンリ:あ?テメーが来いっつったろ。悪魔に会わせてやるって。
アンリ:全裸で街を徘徊しながらよ。
ヨーダイ:僕じゃないッ!そんなことしてないッ!!
アンリ:なんでもいいけど、言ったことの責任持てよ。お前も契約してんだろ。名前は?
ヨーダイ:ヨーダイ。
アンリ:ちげーよ。悪魔の。
ヨーダイ:知らない。ただ悪魔だと。
アンリ:は?
ヨーダイ:あとは、”お前でもある”って。
アンリ:おいおいマジか。
ヨーダイ:悪魔を知ってるのか…?
アンリ:いやよくは知らねえ。だけどお前の言うことが本当なら、お前は純粋悪魔と契約したってことだ。
アンリ:すげえよ。本当ならな。
ヨーダイ:悪魔と契約って、なんなんださっきから。
アンリ:俺の契約する悪魔の名は”アスモデウス”。誰かを殺すまで憑依し続ける、”野獣の悪魔”だ。
ヨーダイ:こ、殺す?
アンリ:安心しろ、お前は殺さねえ。代わりに街へ行く。
ヨーダイ:街であんたが会ったのは多分、僕に扮した悪魔だと思う。
アンリ:へー。完全に変質者だったぞ。
ヨーダイ:あの悪魔、殺すッ!!
アンリ:よし殺そう。どれだけ足掻いてくれるか楽しみだ。
アンリ:そしたら留置所だな。
ヨーダイ:どうして?
アンリ:橋で落ち合おうと叫んでいた。補導されながらな。
ヨーダイ:悪魔のくせになんで補導されてんだよ…本当にムカついてきた。
アンリ:よし、俺に乗れ。
ヨーダイ:え?
アンリ:今の俺は獣だぞ?渓谷なんざ簡単に下れる。
アンリ:そうだ、俺はアンリだ。よろしくなヨーダイ。
ヨーダイ:(ニヤリと笑う口には銀色の牙が並び、脚はヤギのように湾曲していた。蹄が緑色の怪しい反射光をたたえている)
ヨーダイ:(俺はこの光を知っている)
ヨーダイ:!アンリ、あんた女性か??
アンリ:そーだよ。だが女らしいのはアスモデウスが許さねえ。
アンリ:この骨ばった男のような身体は、アタシがアスモデウスから受けた呪いそのものだ。
ヨーダイ:呪いだって?契約すると呪われるのか?
アンリ:あたりまえだろ。契約の代償だ。
ヨーダイ:だ、代償…
アンリ:とにかく行くぞ。振り落とされるなよ。
ヨーダイ:ま、まって!ここから!?
ヨーダイ:うわあああああ!!!!
ヨーダイ:(僕は橋を飛び降りた。悪魔と契約した女と共に)
悪魔:ラッキーじゃねえか。長身美女と心中できて。
ヨーダイ:(そう言って悪魔が笑った気がした)
0:
ヨーダイ:(谷を下り、ブロックで区切られた住宅街を疾走する)
アンリ:ハハハハハァッ!どうだ。アタシは速いだろうがッ!
ヨーダイ:速過ぎだ!もう少しペースを落としてくれよッ!
アンリ:心配すんなって!テメーのケツをしっかり掴んでいるからよォッ!!
ヨーダイ:(背後からけたたましいサイレンが鳴り響く)
ヨーダイ:見ろっ!警察だッ!
アンリ:都心部に入りゃこっちのモンだッ!エール通りは歩行天だぜッ!
ヨーダイ:(千鳥足になった飲み客の隙間を縫うように走り抜ける)
ヨーダイ:(途中何度も工場の見知った顔にすれ違ったが、向こうにはこちらが分からないみたいだ)
0:
アンリ:さ、留置所だ。どうやって忍び込む?
ヨーダイ:正面から行く。
アンリ:おい、捕まるだろ。
ヨーダイ:平気だよ。双子の弟が捕まったと聞いて会いに来たと言えばいい。
アンリ:〈じー〉
ヨーダイ:何だよ?まじまじと見て。
アンリ:いや、今アタシの目の前にいるのは、あの時の悪魔じゃねえかと思ってよ。
ヨーダイ:巫山戯けてないで行くぞ。
アンリ:いや、アタシは外で待つわ。
ヨーダイ:なぜだ。
アンリ:ヤギの下半身だぜ。誰にも見られたくねえよ…
0:
守衛:アッ!おまえ!!
ヨーダイ:こんにちは、お巡りさん。弟がお邪魔していると聞いて。
守衛:弟だと?身分証明書を見せろ。ついでに弟のもあるか?
守衛:お前の弟ヤバいな。シラフでアレかよ。泥酔による奇行だと思ったのに、アルコールは検出されなかった。
守衛:あ、ちょっと待て。もしもし…薬物反応の検査結果は?何?こっちに来いって??
守衛:分かったよ。チッ…ココで待ってろよ?
0:ヴィー!ヴィー!ヴィー!鳴り響く警報を聞きつけ、アンリが中に入ってくる。
アンリ:なんだ!?何が起こった!?
ヨーダイ:ロッカールームからショットガンを頂いた。これで門をこじ開ける。
アンリ:バカッ!守衛が戻ってくるぞ!
ヨーダイ:監視カメラを撃ち抜いたから、連中武装してやってくる。だから数分は稼げるだろう。
アンリ:アタシの為なのか…?監視カメラを撃ち抜いたのは。
ヨーダイ:まあ人数いた方が成功するだろうからな。
アンリ:そうか…
ヨーダイ:アンタの脚を頼りにしてる。
アンリ:ッ!フ…任せな。
0:検査室で説明を受ける守衛。
守衛:おい!血が蒸発したってどういうことだよ!
守衛:なめてんのか?サンプルを失くしたんならもっとマシな嘘をだな…
0:ヴィ―ヴィーヴィー!
守衛:今度は警報だと!?まさかアイツッ!
守衛:やはり怪しいと思っていたぜッ!
守衛:総員警戒態勢ッ!脱獄だッ!!
0:バアン!ショットガンを撃ち、守衛室から監房へと入る。
ヨーダイ:(サイレンの音が遠のいていく…監房が並ぶ廊下は不気味なほどに静まり返っていた)
ジャンヌ:うふふ、本当に来てくれたんだ…仲間を連れて。
ヨーダイ:他にもいたのか。なあキミ、僕みたいな奴が連れてこられなかったか?
ジャンヌ:え?アナタじゃないの??
アンリ:他の監房を見てきた。誰もいないぞ。
ヨーダイ:悪魔め…
ジャンヌ:そう!悪魔!!♡♡
ヨーダイ:な、なに…
ジャンヌ:面白いことに連れてってくれるんでしょう?そう言ってあなたは檻から消えた!
ジャンヌ:〈うっとりして〉まるで悪魔みたいだった…
アンリ:ヨーダイ、こいつに関わるのは止そう。
ヨーダイ:そうだね…
0:キーン…!ヨーダイはコインを弾いてジャンヌの檻へ投げ入れる。
ジャンヌ:わ…!とと。〈コインをキャッチする〉
ヨーダイ:ここから出たいなら選びなよ。裏か表か。
ジャンヌ:ふふっ!それを私に選ばせてくれるの…?
アンリ:ヨーダイ!遊んでる暇はないぞッ!
ジャンヌ:もちろん…裏。
ヨーダイ:(手の平の硬貨には、自由の女神の横顔が光っていた。光は反射の具合で、若干の緑色を帯びている)
ヨーダイ:檻から離れろ。
0:ジャンヌはよろよろと立ち上がり、監房の奥へと後ずさる。
0:バアン!!ショットガンの音が響いて、檻はこじ開けられた。
ヨーダイ:さあおいで。
ジャンヌ:うふふ、ありがとう、悪魔さん…
アンリ:ヨーダイ!急げッ!守衛が帰ってきた!何人かの足音だ!
ヨーダイ:(監房はぐるりと「コの字」に連なっている…守衛は右からくるか。それとも左か)
アンリ:クソッ!反響してわかんねえぞッ!どっちに逃げりゃいいんだ!?
ジャンヌ:ねえ、またコインで決めようよ。
アンリ:テメーはだまれッ!
ヨーダイ:まかせるよ。
アンリ:おいおいマジかッ!
ジャンヌ:ふふ、表が右ね。
0:キーン…コインが宙を舞う。
アンリ:〈パシっ〉アタシの運命をテメーに決められてたまるか。
ヨーダイ:コインは?
アンリ:…裏だよ。
ジャンヌ:じゃあ、左に逃げよ?
ヨーダイ:そうしよう
アンリ:クソ、サッサと行くぞ。
ジャンヌ:走れない…おんぶして。
アンリ:甘えんじゃねえ。
ヨーダイ:いいよほら、掴まって。
ジャンヌ:えへへ、やったあ。
0:ヨーダイはショットガンを背中側に握り、その上にジャンヌを負ぶった。
アンリ:…オメーら、まとめて死ね。
0:ヨーダイ達は左回りに走ると、守衛たちとすれ違わずに守衛室まで到着した。
ヨーダイ:コインの通りだ。左で正解だったね。
アンリ:50パーだろ。偶然だ。
ジャンヌ:ねえ、私役に立ったよね??
ヨーダイ:うん。何か奢るよ。
ジャンヌ:〈パアア〉~!!私、ジャンヌ!!ゼリーが食べたい!ドラッグストアに寄って?
ヨーダイ:オーケイ。
守衛:なに調子こいてんだバカ野郎ども。
アンリ:まだいたのかよ!!
守衛:動くんじゃねえ!万が一に俺だけ残って正解だったぜ…
アンリ:…ヨーダイ、ショットガンの弾は?
ヨーダイ:檻を破壊したので最後だ。
アンリ:ジャンヌなんて助けなきゃよかったな?
ヨーダイ:なんとかしよう。幸い相手は独りだ。
守衛:全員横に並べッ!負ぶってるやつも降りろ!
ジャンヌ:悪魔さん…
ヨーダイ:仕方ない。おりて
ジャンヌ:わかった…
守衛:よーし、位置に着いたな…
守衛:…ひっ!なんだお前、その脚は!?
アンリ:よーい。
0:アンリは低く屈み、スタートの体勢をとる。
アンリ:どん。
ヨーダイ:(次の瞬間、緑色の閃光がほとばしり、アンリは一瞬にして守衛の横を通過した)
ヨーダイ:(守衛はトリガーを引くこともなく、ショットガンを床に落とした)
ヨーダイ:(守衛から赤い血が噴き出す。守衛の喉は食い破られていた)
守衛:ご、ゴパア…!
アンリ:アタシの脚を見んじゃねえよ。気持ちワリい。
ジャンヌ:ねえ、脚の毛が抜けてくわ…
ヨーダイ:人を殺したからか。アンリ、変身が解けてるよ。
アンリ:へ!?
0:ヤギの脚は形を変えて、アンリの生脚が露わになる。
0:アンリはその場にしゃがみこんだ。
ジャンヌ:うふふ!あなた女の子なのね!ギャビ・ガルシアみたい!
アンリ:み、見るな!2人とも見んじゃねえ!
ヨーダイ:ははは、そうだよ。アンリは女なんだ。
アンリ:ヨーダイ!おまえのジーンズを寄こせ!!
ヨーダイ:わ!ちょっと引っ張らないで!
ジャンヌ:ふふ、ヨーダイ。女の子に恥をかかせちゃダメだよ?
ヨーダイ:ジャンヌ!離せよッ!!
アンリ:バカが。アタシを笑った罰だ。オメーはトランクスで過ごしなッ!
ジャンヌ:ねえ、足音がする。
ヨーダイ:守衛だ!監房の奴らが戻って来たんだ!
アンリ:よし、逃げるぞ。
ヨーダイ:トランクスで外出たくないよ!
アンリ:全裸で歩いて今更なんだよ。
ヨーダイ:それは僕じゃないからッ!
ジャンヌ:ヨーダイ。
ヨーダイ:なに!?
ジャンヌ:おんぶして
ヨーダイ:はああ…もう!!も~~!!
守衛:行けよ…
ヨーダイ:なっ、生きてるのか!?
0:首から血を流した守衛の顔がみるみるヨーダイの顔に変わっていく。
悪魔:お前の人生は、ここから始まるのさ。
ヨーダイ:悪魔!!おまえ!!
悪魔:くくく、都合の悪いことは、ぜーんぶ俺のせいにしていいんだぜえ?
悪魔:お前は、”自由”だ。
ヨーダイ:ふざけるな、お前のせいで滅茶苦茶だ。
悪魔:おっと、とりあえず今は逃げた方がいいんじゃないか?
ヨーダイ:(悪魔の背中から、他の守衛の怒号が聞こえてきた)
ジャンヌ:ヨーダイ♪
アンリ:ヨーダイ!
ジャンヌ:行こ?
ヨーダイ:うん。いこう
悪魔:フフフフ、ハハハ、ハーハッハッハ!
ヨーダイ:(笑う悪魔を尻目に、僕は留置所から脱け出した)
ヨーダイ:(目の前には緑色の街の光が、両手を広げて迎えていた)
0:
ラグリマ・デルディモーニオ
まずは何から話すべきだろうか。
そうだ、僕が人間だったころに、どんな仕事に就いていたのかを話そう。金属を混合していた。それが僕の仕事。
デモニウム鋼と言うんだ。ラグリマ・デルディモーニオと呼ばれる、緑の宝石に含まれるデモニウムという金属を炭素鋼に混ぜていた。
デモニウム鋼はとにかく強靭だ。錆びにくく、低温でも脆化(ぜいか)しない。
宝石から採れるという点で、非常に高価だけれど、強くて硬くて丈夫だから、とくに安全性が求められる橋などの建造物にはなくてはならない素材だ。
あとは貨幣にも含有されている。デモニウム鋼の加工には特別な技術が必要なので、偽造を防ぐことができた。
夢のような素材、デモニウム。それが事の発端だった。
アンリ・マティス野獣派
ヨーダイ:(23時。工場勤務を終えて、街から数十キロ離れた渓谷の橋にやってきた。)
ヨーダイ:(橋の欄干からは街の光が緑色の塊となって蠢いてるのが見える。)
ヨーダイ:(ふと街の中に、自分自身を見つけたような錯覚に襲われた。)
ヨーダイ:(今夜も、ともするとあの街のしみったれた酒場で安酒を煽っていたはずである。)
ヨーダイ:(しかし今夜は、ある衝動に駆られてこの橋までやってきた。)
ヨーダイ:(かつてトロルがいたという伝説のある渓谷を見下ろすと、)
ヨーダイ:(無限に広がる漆黒の闇に、今にも飲み込まれそうだった。)
悪魔:お前、自殺する気か。
ヨーダイ:!?
悪魔:なんだ面食らった顔をして。てっきり今まで承知の上で、敢えて無視していたのだと思ったぞ。
ヨーダイ:あなたは誰ですか。どこかで会いましたか。
悪魔:ああ。
ヨーダイ:いつでしょうか。すみませんが覚えていなくて。
悪魔:俺はいつでもいるし、どこにでも現れる。
悪魔:誰か、だと?さあな、”お前”かもな。
ヨーダイ:…
悪魔:そうやってすぐに口をつぐむ。理解できないモノ、自分とは違うモノから遠ざかろうとしている。
ヨーダイ:…
悪魔:しかしお前は何を理解している?自分と全く同じモノなんてあると思うか?
ヨーダイ:…
悪魔:お前は、自ら孤立したんだ。
ヨーダイ:…フ。ああ、そうだよ。何もかも下らなくてどうでもいいんだ。
ヨーダイ:たとえば僕が街で酒を飲もうが、橋の上に居ようが、世間にとってはどうでもいいんだ。
ヨーダイ:これ以上暮らしても、それは同じだ。
悪魔:ほほう。正直なんだな。それとももう死ぬからヤケになっているのか?
ヨーダイ:死ぬ死ぬって、気やすく言うな。あんたに僕の何がわかる?
悪魔:全てわかるさ。俺は悪魔だからな。
ヨーダイ:ああそうかい。
悪魔:信じるのか?いや、もうどうでもいいって感じだなその態度は。
ヨーダイ:空気が読めるんだな。助かるよ。そういう訳だからさっさと消えてくれない?
悪魔:ああ、この美しい緑色の夜景を最期に、お前は死ぬわけだ。
悪魔:お前にはやり残したことを考える能すら備わってないんだろうな。
ヨーダイ:…消えないなら殺すぞ。
悪魔:ははは、俺を殺すか。ご両親が泣くぞ。
ヨーダイ:どうせ死ぬから関係ないね。
悪魔:嘘つきのピノキオめ…良心が鳴いてやしないか。
ヨーダイ:本当にうるさい奴だな…試してみるか?嘘かどうか。
悪魔:面白い。試しにお前の姿で全裸になって街を徘徊しようかな。
ヨーダイ:は??
悪魔:奇声を上げながら、交差点を駆け抜けてやろうか。
ヨーダイ:何を言っているんだ??
悪魔:別に関係ないだろ?どうせ死ぬんだから。
悪魔:お前の姿で、好き勝手やらせてもらうからな。
ヨーダイ:(その瞬間、悪魔が僕の顔になって笑った。)
ヨーダイ:まて!馬鹿!!
悪魔:ハハハハハ…
ヨーダイ:(悪魔は消えた。ぐしょりとまとわりついた汗が、夜風で冷えていく。)
0:ヨーダイの背後からアンリが声をかける。
アンリ:オイ、来たぞ。
ヨーダイ:(振り返るとマンバンヘアにした長身の男が立っていた)
アンリ:オマエ服着るんだな。てっきりずっと裸なのかと思ったわ。
ヨーダイ:こんどは誰だ。
アンリ:あ?テメーが来いっつったろ。悪魔に会わせてやるって。
アンリ:全裸で街を徘徊しながらよ。
ヨーダイ:僕じゃないッ!そんなことしてないッ!!
アンリ:なんでもいいけど、言ったことの責任持てよ。お前も契約してんだろ。名前は?
ヨーダイ:ヨーダイ。
アンリ:ちげーよ。悪魔の。
ヨーダイ:知らない。ただ悪魔だと。
アンリ:は?
ヨーダイ:あとは、”お前でもある”って。
アンリ:おいおいマジか。
ヨーダイ:悪魔を知ってるのか…?
アンリ:いやよくは知らねえ。だけどお前の言うことが本当なら、お前は純粋悪魔と契約したってことだ。
アンリ:すげえよ。本当ならな。
ヨーダイ:悪魔と契約って、なんなんださっきから。
アンリ:俺の契約する悪魔の名は”アスモデウス”。誰かを殺すまで憑依し続ける、”野獣の悪魔”だ。
ヨーダイ:こ、殺す?
アンリ:安心しろ、お前は殺さねえ。代わりに街へ行く。
ヨーダイ:街であんたが会ったのは多分、僕に扮した悪魔だと思う。
アンリ:へー。完全に変質者だったぞ。
ヨーダイ:あの悪魔、殺すッ!!
アンリ:よし殺そう。どれだけ足掻いてくれるか楽しみだ。
アンリ:そしたら留置所だな。
ヨーダイ:どうして?
アンリ:橋で落ち合おうと叫んでいた。補導されながらな。
ヨーダイ:悪魔のくせになんで補導されてんだよ…本当にムカついてきた。
アンリ:よし、俺に乗れ。
ヨーダイ:え?
アンリ:今の俺は獣だぞ?渓谷なんざ簡単に下れる。
アンリ:そうだ、俺はアンリだ。よろしくなヨーダイ。
ヨーダイ:(ニヤリと笑う口には銀色の牙が並び、脚はヤギのように湾曲していた。蹄が緑色の怪しい反射光をたたえている)
ヨーダイ:(俺はこの光を知っている)
ヨーダイ:!アンリ、あんた女性か??
アンリ:そーだよ。だが女らしいのはアスモデウスが許さねえ。
アンリ:この骨ばった男のような身体は、アタシがアスモデウスから受けた呪いそのものだ。
ヨーダイ:呪いだって?契約すると呪われるのか?
アンリ:あたりまえだろ。契約の代償だ。
ヨーダイ:だ、代償…
アンリ:とにかく行くぞ。振り落とされるなよ。
ヨーダイ:ま、まって!ここから!?
ヨーダイ:うわあああああ!!!!
ヨーダイ:(僕は橋を飛び降りた。悪魔と契約した女と共に)
悪魔:ラッキーじゃねえか。長身美女と心中できて。
ヨーダイ:(そう言って悪魔が笑った気がした)
0:
ヨーダイ:(谷を下り、ブロックで区切られた住宅街を疾走する)
アンリ:ハハハハハァッ!どうだ。アタシは速いだろうがッ!
ヨーダイ:速過ぎだ!もう少しペースを落としてくれよッ!
アンリ:心配すんなって!テメーのケツをしっかり掴んでいるからよォッ!!
ヨーダイ:(背後からけたたましいサイレンが鳴り響く)
ヨーダイ:見ろっ!警察だッ!
アンリ:都心部に入りゃこっちのモンだッ!エール通りは歩行天だぜッ!
ヨーダイ:(千鳥足になった飲み客の隙間を縫うように走り抜ける)
ヨーダイ:(途中何度も工場の見知った顔にすれ違ったが、向こうにはこちらが分からないみたいだ)
0:
アンリ:さ、留置所だ。どうやって忍び込む?
ヨーダイ:正面から行く。
アンリ:おい、捕まるだろ。
ヨーダイ:平気だよ。双子の弟が捕まったと聞いて会いに来たと言えばいい。
アンリ:〈じー〉
ヨーダイ:何だよ?まじまじと見て。
アンリ:いや、今アタシの目の前にいるのは、あの時の悪魔じゃねえかと思ってよ。
ヨーダイ:巫山戯けてないで行くぞ。
アンリ:いや、アタシは外で待つわ。
ヨーダイ:なぜだ。
アンリ:ヤギの下半身だぜ。誰にも見られたくねえよ…
0:
守衛:アッ!おまえ!!
ヨーダイ:こんにちは、お巡りさん。弟がお邪魔していると聞いて。
守衛:弟だと?身分証明書を見せろ。ついでに弟のもあるか?
守衛:お前の弟ヤバいな。シラフでアレかよ。泥酔による奇行だと思ったのに、アルコールは検出されなかった。
守衛:あ、ちょっと待て。もしもし…薬物反応の検査結果は?何?こっちに来いって??
守衛:分かったよ。チッ…ココで待ってろよ?
0:ヴィー!ヴィー!ヴィー!鳴り響く警報を聞きつけ、アンリが中に入ってくる。
アンリ:なんだ!?何が起こった!?
ヨーダイ:ロッカールームからショットガンを頂いた。これで門をこじ開ける。
アンリ:バカッ!守衛が戻ってくるぞ!
ヨーダイ:監視カメラを撃ち抜いたから、連中武装してやってくる。だから数分は稼げるだろう。
アンリ:アタシの為なのか…?監視カメラを撃ち抜いたのは。
ヨーダイ:まあ人数いた方が成功するだろうからな。
アンリ:そうか…
ヨーダイ:アンタの脚を頼りにしてる。
アンリ:ッ!フ…任せな。
0:検査室で説明を受ける守衛。
守衛:おい!血が蒸発したってどういうことだよ!
守衛:なめてんのか?サンプルを失くしたんならもっとマシな嘘をだな…
0:ヴィ―ヴィーヴィー!
守衛:今度は警報だと!?まさかアイツッ!
守衛:やはり怪しいと思っていたぜッ!
守衛:総員警戒態勢ッ!脱獄だッ!!
0:バアン!ショットガンを撃ち、守衛室から監房へと入る。
ヨーダイ:(サイレンの音が遠のいていく…監房が並ぶ廊下は不気味なほどに静まり返っていた)
ジャンヌ:うふふ、本当に来てくれたんだ…仲間を連れて。
ヨーダイ:他にもいたのか。なあキミ、僕みたいな奴が連れてこられなかったか?
ジャンヌ:え?アナタじゃないの??
アンリ:他の監房を見てきた。誰もいないぞ。
ヨーダイ:悪魔め…
ジャンヌ:そう!悪魔!!♡♡
ヨーダイ:な、なに…
ジャンヌ:面白いことに連れてってくれるんでしょう?そう言ってあなたは檻から消えた!
ジャンヌ:〈うっとりして〉まるで悪魔みたいだった…
アンリ:ヨーダイ、こいつに関わるのは止そう。
ヨーダイ:そうだね…
0:キーン…!ヨーダイはコインを弾いてジャンヌの檻へ投げ入れる。
ジャンヌ:わ…!とと。〈コインをキャッチする〉
ヨーダイ:ここから出たいなら選びなよ。裏か表か。
ジャンヌ:ふふっ!それを私に選ばせてくれるの…?
アンリ:ヨーダイ!遊んでる暇はないぞッ!
ジャンヌ:もちろん…裏。
ヨーダイ:(手の平の硬貨には、自由の女神の横顔が光っていた。光は反射の具合で、若干の緑色を帯びている)
ヨーダイ:檻から離れろ。
0:ジャンヌはよろよろと立ち上がり、監房の奥へと後ずさる。
0:バアン!!ショットガンの音が響いて、檻はこじ開けられた。
ヨーダイ:さあおいで。
ジャンヌ:うふふ、ありがとう、悪魔さん…
アンリ:ヨーダイ!急げッ!守衛が帰ってきた!何人かの足音だ!
ヨーダイ:(監房はぐるりと「コの字」に連なっている…守衛は右からくるか。それとも左か)
アンリ:クソッ!反響してわかんねえぞッ!どっちに逃げりゃいいんだ!?
ジャンヌ:ねえ、またコインで決めようよ。
アンリ:テメーはだまれッ!
ヨーダイ:まかせるよ。
アンリ:おいおいマジかッ!
ジャンヌ:ふふ、表が右ね。
0:キーン…コインが宙を舞う。
アンリ:〈パシっ〉アタシの運命をテメーに決められてたまるか。
ヨーダイ:コインは?
アンリ:…裏だよ。
ジャンヌ:じゃあ、左に逃げよ?
ヨーダイ:そうしよう
アンリ:クソ、サッサと行くぞ。
ジャンヌ:走れない…おんぶして。
アンリ:甘えんじゃねえ。
ヨーダイ:いいよほら、掴まって。
ジャンヌ:えへへ、やったあ。
0:ヨーダイはショットガンを背中側に握り、その上にジャンヌを負ぶった。
アンリ:…オメーら、まとめて死ね。
0:ヨーダイ達は左回りに走ると、守衛たちとすれ違わずに守衛室まで到着した。
ヨーダイ:コインの通りだ。左で正解だったね。
アンリ:50パーだろ。偶然だ。
ジャンヌ:ねえ、私役に立ったよね??
ヨーダイ:うん。何か奢るよ。
ジャンヌ:〈パアア〉~!!私、ジャンヌ!!ゼリーが食べたい!ドラッグストアに寄って?
ヨーダイ:オーケイ。
守衛:なに調子こいてんだバカ野郎ども。
アンリ:まだいたのかよ!!
守衛:動くんじゃねえ!万が一に俺だけ残って正解だったぜ…
アンリ:…ヨーダイ、ショットガンの弾は?
ヨーダイ:檻を破壊したので最後だ。
アンリ:ジャンヌなんて助けなきゃよかったな?
ヨーダイ:なんとかしよう。幸い相手は独りだ。
守衛:全員横に並べッ!負ぶってるやつも降りろ!
ジャンヌ:悪魔さん…
ヨーダイ:仕方ない。おりて
ジャンヌ:わかった…
守衛:よーし、位置に着いたな…
守衛:…ひっ!なんだお前、その脚は!?
アンリ:よーい。
0:アンリは低く屈み、スタートの体勢をとる。
アンリ:どん。
ヨーダイ:(次の瞬間、緑色の閃光がほとばしり、アンリは一瞬にして守衛の横を通過した)
ヨーダイ:(守衛はトリガーを引くこともなく、ショットガンを床に落とした)
ヨーダイ:(守衛から赤い血が噴き出す。守衛の喉は食い破られていた)
守衛:ご、ゴパア…!
アンリ:アタシの脚を見んじゃねえよ。気持ちワリい。
ジャンヌ:ねえ、脚の毛が抜けてくわ…
ヨーダイ:人を殺したからか。アンリ、変身が解けてるよ。
アンリ:へ!?
0:ヤギの脚は形を変えて、アンリの生脚が露わになる。
0:アンリはその場にしゃがみこんだ。
ジャンヌ:うふふ!あなた女の子なのね!ギャビ・ガルシアみたい!
アンリ:み、見るな!2人とも見んじゃねえ!
ヨーダイ:ははは、そうだよ。アンリは女なんだ。
アンリ:ヨーダイ!おまえのジーンズを寄こせ!!
ヨーダイ:わ!ちょっと引っ張らないで!
ジャンヌ:ふふ、ヨーダイ。女の子に恥をかかせちゃダメだよ?
ヨーダイ:ジャンヌ!離せよッ!!
アンリ:バカが。アタシを笑った罰だ。オメーはトランクスで過ごしなッ!
ジャンヌ:ねえ、足音がする。
ヨーダイ:守衛だ!監房の奴らが戻って来たんだ!
アンリ:よし、逃げるぞ。
ヨーダイ:トランクスで外出たくないよ!
アンリ:全裸で歩いて今更なんだよ。
ヨーダイ:それは僕じゃないからッ!
ジャンヌ:ヨーダイ。
ヨーダイ:なに!?
ジャンヌ:おんぶして
ヨーダイ:はああ…もう!!も~~!!
守衛:行けよ…
ヨーダイ:なっ、生きてるのか!?
0:首から血を流した守衛の顔がみるみるヨーダイの顔に変わっていく。
悪魔:お前の人生は、ここから始まるのさ。
ヨーダイ:悪魔!!おまえ!!
悪魔:くくく、都合の悪いことは、ぜーんぶ俺のせいにしていいんだぜえ?
悪魔:お前は、”自由”だ。
ヨーダイ:ふざけるな、お前のせいで滅茶苦茶だ。
悪魔:おっと、とりあえず今は逃げた方がいいんじゃないか?
ヨーダイ:(悪魔の背中から、他の守衛の怒号が聞こえてきた)
ジャンヌ:ヨーダイ♪
アンリ:ヨーダイ!
ジャンヌ:行こ?
ヨーダイ:うん。いこう
悪魔:フフフフ、ハハハ、ハーハッハッハ!
ヨーダイ:(笑う悪魔を尻目に、僕は留置所から脱け出した)
ヨーダイ:(目の前には緑色の街の光が、両手を広げて迎えていた)
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