台本概要
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タイトル | Scrap witch !? 第8話 Slowly as if walking |
---|---|
作者名 | 狗山犬壱(イヌヤマ ケンイチ) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 5人用台本(男1、女4) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
初心者冒険者の研修に参加して3日目のピリア。実地研修の為にレナ、シーナ、アカネ等と共にラフォイエの森へと訪れていた。
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キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ピリア | 女 | 48 | 主人公。極度のコミュ障にして引きこもりの陰の者。うまく喋れないだけで本音を言えば友達が欲しい子。 |
カルシゥム | 男 | 25 | ピリアの使い魔。骨の人。大抵の感情表現はカタカタと顎を鳴らすこと。 ピリアの保護者…みたいな者。 |
レナ | 女 | 40 | 見習い吟遊詩人の少女。丁寧な言葉で話す育ちの良い子。陽キャ。 |
シーナ | 女 | 54 | 猫人の少女。猫のように自由気ままだが、気が強く空気を読まない。だって猫だから |
アカネ | 女 | 75 | 刀を使う東方剣士。素っ気ない態度が多いため、冷たく見られがちだが結構優しい人。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:自由都市カナード近郊
0:ラファイエの森
0:
0:ピリア達一行は、森の中を移動していた
アカネ:「今回受注した依頼は、薬草採取。」
アカネ:「ギルドから図鑑を借りてきたから」
アカネ:「それを見ながら特徴を覚えて採取するといいわよ」
0:アカネは自分の鞄から小降りな本を取り出し、ピリアに手渡す
ピリア:「こ、これ…」
0:ピリアが受け取った本を捲ると、本の中には薬草や鉱物の手書きのイラストと
0:効能や採取時の注意点などが書かれていた
レナ:「薬草や鉱石、後は討伐対象の情報が載っている図鑑です」
ピリア:「こ、こんなに詳しく載ってるなんて…」
レナ:「といっても初級のG~E級までの情報しか載っていないですけどね…」
ピリア:「じょ、情報を無料で公開しているんですか?」
ピリア:「す、すごいですね、ギルドって…!」
カルシゥム:「はー…俺の時代とはまるで待遇が違うな」
シーナ:「無料なのは初級までにゃ」
シーナ:「中級からはきっちりお金を取られるにゃ!」
アカネ:「当たり前でしょ。こういう情報は貴重なのよ?」
アカネ:「本来ならG~Eの情報だって、得るのにお金が発生するんだから」
シーナ:「ぶーぶー!」
シーナ:「情報くらいケチケチしなくても良いのにゃ!」
0:シーナは不満げに頬を膨らませる
アカネ:「情報『くらい』なんて言うんじゃないわよ、おバカ」
0:アカネはシーナの鼻先を人差し指で軽く突く
シーナ:「フギャ!にゃ、にゃにするにゃ!」
アカネ:「その情報を得る為に、ギルド側がどれだけ苦労しているのか」
アカネ:「少しは想像力を働かせなさい」
シーナ:「フシャー!にゃんだとー!」
レナ:「まぁまぁ、シーナちゃん落ち着いて」
シーナ:「レナ~!こいつが~!」
0:レナはシーナの頭を撫でながらシーナを宥める
カルシゥム:「冒険者ギルドは調査を冒険者に依頼してないのか?」
レナ:「いえ。調査の依頼は出しているんですけど」
レナ:「それだと情報が片寄ってしまうので」
レナ:「【サーチャー】という調査専門の部署の職員の方が」
レナ:「随時、情報を集めてくれているんですよ」
アカネ:「あそこは万年人手不足で、ひーひー言ってるけどね」
アカネ:「ペティが受けたブレイズボアの討伐だって」
アカネ:「サーチャーの人手不足が原因で情報の精査が遅れたせいで」
アカネ:「危うく大惨事になるとこだったのよね」
カルシゥム:「ああ、なんかノラとか言う奴がそんなこと言ってたな確か」
ピリア:「じょ、情報って大事ですね…ホント」
アカネ:「ええ、そうね…っと」
アカネ:「ここら辺が良さそうね」
0:アカネは立ち止まり、森の中を指差す
0:そこは少し開けた場所になっており
0:花や薬草らしき草が群生しているのが見受けられた
シーナ:「おー♪なんだか昼寝がしやすそうな場所にゃ!」
アカネ:「仕事に来たんだから、寝るんじゃないわよ」
レナ:「シーナちゃん、お昼寝は仕事が終わってからにしようね」
シーナ:「了解にゃ!」
アカネ:「レナはホント、シーナに甘いわねぇ…」
ピリア:「(おぉ!?ホゼリ草にリデル茸…!?他にも色んな薬草が…!)」
ピリア:「(依頼の薬草のついでに採取しておこう…!)」
カルシゥム:「お嬢、材料採取はほどほどにな?」
ピリア:「ぴぇ!?は、ははは、はいぃ!もちろんです!」
0:ピリア達はアカネとレナ、ピリアとシーナに別れて採取を開始した
レナ:「えっと…これがヒールベリーで、これが魔力草」
アカネ:「レナ、それは魔力草じゃなくて、蛇毒(じゃどく)草よ?」
レナ:「え?…あぁ!?」
アカネ:「魔力草は草の先端が薄い青色、蛇毒草は薄い藍色」
アカネ:「採取する時の天候や時間帯で見え方が変わるから注意しなさい」
レナ:「分かりました!ありがとうございます!」
ピリア:「えと魔力草、魔力草っと」
シーナ:「ねぇねぇ!ピリア!」
ピリア:「ひゃい!?な、なな、なんでしょうか!?」
シーナ:「これって食べられるかにゃ?」
0:そう言ってシーナが差し出したのは
0:瓢箪の形をした橙色の実
ピリア:「こ、これ、カルナリの実…ですね」
ピリア:「め、珍しいです…自生しているの初めて見ました」
シーナ:「へー!美味しいのかにゃ?」
カルシゥム:「やめとけ猫の嬢ちゃん。」
カルシゥム:「そいつを生で食べると、3日3晩下痢が止まらなくなるぞ」
シーナ:「にゃ!?」
0:シーナは慌ててカルナリの実を放り投げる
0:投げられた実は草むらへと飛んでいった
ピリア:「あ、あぁ!も、勿体ない!」
0:ピリアは急いで草むらにカルナリの実を探しにいく
シーナ:「そんなおっかない実、何に使う気にゃ?」
ピリア:「く、薬の材料になるんです、これ」
シーナ:「薬?」
ピリア:「カルナリの実は乾燥させてから粉末状にして」
ピリア:「いくつかの薬草と混ぜるとお通じの薬になるんです」
シーナ:「おー!すごいにゃ!」
0:シーナはアカネの方に向き、大きな声で
シーナ:「アカネー!ピリアがお通じの薬作れるって!」
シーナ:「オマエ、確か今日で3日…フギャ!?」
カルシゥム:「なっ!?」
0:その速度、稲妻の如く
0:シーナが何かを言おうした時
0:すでにその背後へと回り込み
0:脳天に加減なしの手刀を振り下ろしていた
カルシゥム:「恐ろしく早い手刀…全然見えなかったぞ」
カルシゥム:「っていうか身のこなしがやべぇ…」
ピリア:「あ、あばばばば…!!」
アカネ:「…ねぇ?シーナ」
アカネ:「人様の秘密を無作法に広めようとするなって」
アカネ:「教わらなかったかしら?」
シーナ:「ヴニャァァ…!あ、頭がぁ…!?」
アカネ:「ねぇ?どうなの?」
アカネ:「ねぇ?ねぇ?ねぇ?ねぇ?」
0:無表情でシーナに詰め寄るアカネ
カルシゥム:「怖ぁ…」
ピリア:「ぴ、ぴぎゃあぁぁ!?」
0:先程から恐ろしい程の威圧感を感じて
0:ピリアは悲鳴をあげることしか出来ていない
シーナ:「うにゃあぁぁ!?こ、怖いにゃ!」
シーナ:「ごめんなさい!ごめんなさい!」
シーナ:「れ、レナぁぁぁ!た、助けてにゃあぁぁ!」
0:涙目でレナに助けを求めるシーナ
レナ:「…シーナちゃん」
シーナ:「レナぁ…!」
0:レナはにっこりと笑い
レナ:「少し…頭、冷やそっか」
0:冷たく告げた。
0:どうやら先程からシーナの態度に怒っていたらしい
カルシゥム:「(…この子等は怒らせたらまずい)」
シーナ:「そ、そんにゃあぁぁぁー!?」
0:森にシーナの悲鳴がこだました。
0:
0:
0:2時間後
0:
レナ:「これだけ集めれば大丈夫ですね!」
アカネ:「ええ、そうね。」
レナ:「良かった!シーナちゃん、お昼寝出来そうだよ?」
レナ:「良かったね?」
シーナ:「あ、はい。嬉しいです」
カルシゥム:「(さっきまでの元気がない!?)」
カルシゥム:「(て言うか語尾の『にゃ』が抜けてる!?)」
0:どうやら相当絞られて、分からせられたのか
0:先程までのお気楽な猫のような姿とはうって変わり
0:借りてきた猫のような消沈した様子が見てとれる
アカネ:「そろそろお昼ご飯にしましょう」
アカネ:「ピリア、お弁当は持ってきてる?」
ピリア:「あ、は、はい。朝、食堂のパドメさんから貰いました」
レナ:「あ、今日のお弁当、パドメおばさまのなんですね!」
レナ:「良いなー…おばさまの料理美味しいんですよね!」
0:レナがキラキラした目でピリアのお弁当を見つめる
0:無言の圧力がピリアにのしかかる
ピリア:「あ、の…よ、良ければ…少し食べます?」
レナ:「良いんですか!?わー!嬉しいです!」
カルシゥム:「(この嬢ちゃんも結構、強(したた)かだな)」
カルシゥム:「(…だが、お嬢にはそれくらい強引な方がいいか)」
アカネ:「私は手弁当。シーナ、アンタは?」
シーナ:「あ、はい。私は…これを」
0:遠慮がちにランチボックスを差し出す
アカネ:「…はぁ」
アカネ:「反省、したの?」
シーナ:「うぅ…はい。二度とあのようなことは致しません…」
アカネ:「ったく!」
0:アカネは強めにシーナの頭を撫でる
シーナ:「うにゃあぁぁ~!?あ、頭が揺れるぅぅ~!?」
アカネ:「次からは気を付けなさいよ?良い?」
シーナ:「わ、分かったにゃ!」
アカネ:「ん。じゃあ許してあげる」
レナ:「良かったねシーナちゃん!」
シーナ:「うぅ…!こ、怖かったにゃあぁぁ…!」
アカネ:「次からはデリカシーってやつを覚えなさいよ?」
アカネ:「ほら!早くご飯食べるわよ」
アカネ:「レナは今日も手弁当?」
レナ:「はい!朝市でトーマスさんから、新鮮なサケを分けてもらえたので」
レナ:「軽く炙(あぶ)ってからカルパッチョにして」
レナ:「白パンに挟んでサンドイッチにしてみました!」
0:レナは荷物の中からランチボックスを取り出す
アカネ:「へぇ…良いわね」
アカネ:「私はこれ…」
0:アカネはランチボックスを開く
0:中からはわずかに魔力の粒子がもれている
ピリア:「え、えぇー!?」
アカネ:「わ、ビックリした!」
アカネ:「どうしたのよ?ピリア」
ピリア:「そ、それって…魔道具…ですか?」
0:ピリアはアカネの持つランチボックスを指差す
アカネ:「ああ、そう言うこと。」
アカネ:「これはT&W(ツールアンドウィズダム)社製のランチボックスよ。」
ピリア:「つ、T&W社、ですか?」
アカネ:「そ。【ステラ=ワイズマン】の名前は知ってるでしょ?」
ピリア:「え、えと…よ、400年を生きている魔術師で」
ピリア:「魔法の新たな術式や魔道具の開発を行っている」
ピリア:「魔術師業界の重鎮…ですよね?」
カルシゥム:「付け加えると400年前の【人魔戦役】の際に」
カルシゥム:「異世界から召喚された勇者のパーティーメンバーってことか」
ピリア:「え、ゆ、勇者…?」
アカネ:「そうね。でもその話は長くなるから割愛するとして」
アカネ:「そのステラ=ワイズマンが代表を勤める会社…T&W社は」
アカネ:「主に魔道具を取り扱っているんだけど」
アカネ:「うちのギルドと業務提携しててね」
アカネ:「これみたいな便利グッズを格安で提供してくれているのよ」
0:アカネはランチボックスを掲げてにこりと笑う
アカネ:「ちなみにこれは状態保存の魔術が付与されているの」
アカネ:「効果は魔石のグレードによって下は3日から最高で2週間」
アカネ:「ギルドショップでどっちも売ってるからオススメよ」
ピリア:「は、はい。お金が貯まったら買ってみます」
0:ピリアはアカネのランチボックスを見ながら考える
ピリア:「(これほどの魔道具を作成出来るなんて本当にすごい)」
ピリア:「(でも400年前から生きているだなんて…)」
ピリア:「ワイズマンさんって…エルフの方なんですか?」
0:疑問をアカネに問いかける。しかし、答えたのは
カルシゥム:「いや、あいつは…」
0:なぜかカルシゥムだった
シーナ:「ご飯!そうにゃ!今日はこれ持ってきたにゃ!」
0:シーナは先程のランチボックスを
0:うきうきとした様子で力強く開く
シーナ:「サンマドッグにゃー!」
0:シーナの声によって話が途切れる
アカネ:「…ご飯にしましょうか」
ピリア:「あ、はい」
ピリア:「(さっきの様子…カルさん、お知り合いなのかな?)」
ピリア:「ね、ねぇ…カルさ」
シーナ:「ほら!ピリア!これを見るにゃ!」
ピリア:「あ、ああ、はい!な、なんでしょう?」
0:シーナはピリアに後ろから抱きつき手に持った惣菜パンを見せる
シーナ:「カナード名物!サンマドッグにゃ!」
ピリア:「これは…パンにサンマと野菜が…?」
シーナ:「にゃっふっふっふ!ただのパンじゃないにゃ!」
シーナ:「これはコメを粉じょーにしたもので焼いたパンにゃ!」
シーナ:「それをええと…と、特製のソースを焼きたてのサンマにたっぷりかけて」
シーナ:「新鮮な野菜と一緒に挟んだゴクジョーの一品にゃ!」
カルシゥム:「へぇ…カナードでは米が取り扱われているのか」
レナ:「カナードは海洋貿易が盛んですから」
レナ:「海外の食材が手に入りやすいですよ」
シーナ:「とにかく!めちゃくちゃうまいにゃ!」
ピリア:「そ、そうなんですね…」
アカネ:「モグモグ…アンタ、ホントそれ好きよね?」
0:アカネは何かを食べながらシーナに呆れた目を向ける
アカネ:「それカナードのB級グルメでしょ?」
アカネ:「私、小骨が引っ掛かるからそれ苦手なのよね」
シーナ:「にゃ…!?にゃにぃぃぃ!?」
0:シーナはアカネに近づき、鼻先がくっつく距離まで近づく
アカネ:「ちょっ!?近い近い!」
シーナ:「オマエ!今!サンマドッグをバカにしたのかにゃ!?」
アカネ:「いや、バカにはしてないわよ!」
アカネ:「ただ食べにくいって話を…」
シーナ:「全然食べにくくないにゃ!」
シーナ:「むしろこの小骨をバリバリして食うのが良いのにゃ!」
アカネ:「それはアンタが猫人(フェルパー)だからでしょ?」
アカネ:「私には食べにくいって話を…!」
ピリア:「あ、あばば…!?け、ケンカ…!?」
カルシゥム:「あの二人、今日1日でどんだけもめてんだよ?」
レナ:「あはは…二人はいつもああなので」
レナ:「先にご飯に食べてましょう」
カルシゥム:「慣れてんなー…」
レナ:「いつものことですから。」
アカネ:「ああ、分かった!分かったわよ!」
アカネ:「私が悪かった!だから離れなさいって!」
シーナ:「むー…!」
0:シーナは渋々アカネから離れる
レナ:「二人とも、ケンカは終わりましたか?」
アカネ:「別にこんなのケンカのうちに入らないわよ」
シーナ:「そうにゃそうにゃ!」
レナ:「それは良いですけど…お弁当、冷めちゃってますよ?」
0:アカネとシーナははっとして自分の弁当を見る
シーナ:「し、シーナのサンマドッグがあぁぁー!?」
アカネ:「あちゃー…ま、多少冷めても…」
アカネ:「…うん。微妙」
0:アカネとシーナはげんなりとした様子で残りの弁当を平らげた
0:それから更に1時間後
0:
0:
0:冒険者ギルド 受付
アカネ:「よし。これで今日の実習は終了よ」
アカネ:「皆、お疲れ様」
レナ:「ありがとうございました!」
シーナ:「んんー…!やーっと終わったにゃ!」
アカネ:「実際の依頼はもっと受け方とかが違う場合があるから」
アカネ:「色々と注意すること。いい?」
レナ:「はい!分かりました!」
シーナ:「レナー!この後、リデルバルデに行くにゃ!」
シーナ:「今日は火精霊の日だから特製フィナンシェの日にゃ!」
レナ:「そ、そうだった!」
アカネ:「…レナー?」
レナ:「あ…あのぉ…アカネさん?」
0:アカネはため息をつくと、苦笑する
アカネ:「良いわよ。行ってきなさい」
アカネ:「ただし!私の分もお土産よろしく」
レナ:「は、はい!行ってきます!」
レナ:「行こ!シーナちゃん!」
シーナ:「がってんにゃ!」
0:二人はギルドの受付からお金を受けとると
0:入り口の方に走り出す
ピリア:「二人は仲良しですね…良いなぁ」
カルシゥム:「はは、お嬢には俺がいるだろ?」
ピリア:「そ、そうですよね?」
0:ピリアが走る二人を見送っていると
0:急に二人は立ち止まる
ピリア:「?」
シーナ:「ピリアー!何してるにゃ!」
シーナ:「早くしないとお菓子売り切れるにゃ!」
ピリア:「…え?」
0:二人はピリアの元に戻ってきてそれぞれが手を繋ぐ
レナ:「ごめんなさい!てっきり一緒に行くと思っていたので」
ピリア:「あ、いえ。ええと…い、一緒に行って良いんですか?」
0:二人はきょとんとした顔をする
シーナ:「友達なんだから当たり前にゃ!」
レナ:「ふふ、そうですよ」
レナ:「むしろ一緒じゃないと困っちゃいます」
ピリア:「あ…」
0:ピリアは困った顔で壁に立て掛けてあるカルシゥムを見る
ピリア:「か、カルさん」
0:カルシゥムは嬉しそうにカタカタと顎を鳴らす
カルシゥム:「はは!お嬢。早速…二人だ」
0:カルシゥムの言葉にピリアは破顔し
ピリア:「はい!」
0:満面の笑みを浮かべ、元気よく返事を返した
レナ:「それじゃあ行ってきます!」
シーナ:「ほらほら!全速力にゃあぁぁー!」
ピリア:「あ、あばば!?し、シーナさぁん!?」
ピリア:「は、はや!早すぎますぅぅぅー!?」
0:三人は入り口の方へと走って行った
カルシゥム:「…良かったな」
アカネ:「ふふ、まるでお父さんね。アンタ」
0:立て掛けられたカルシゥムにアカネが近づいてくる
カルシゥム:「似たようなもんだ」
アカネ:「そ。まぁ、それは良いとして…」
0:アカネは表情を真剣なものへと変える
アカネ:「ちょっと、付き合ってくれる?」
0:研修3日目を終え、無事に友達が二人増えたピリア
0:一安心といった頃合いにアカネは真剣な面持ちで
0:カルシゥムと対峙する
0:一体、何が始まるのか?
0:次回に続く!
0:自由都市カナード近郊
0:ラファイエの森
0:
0:ピリア達一行は、森の中を移動していた
アカネ:「今回受注した依頼は、薬草採取。」
アカネ:「ギルドから図鑑を借りてきたから」
アカネ:「それを見ながら特徴を覚えて採取するといいわよ」
0:アカネは自分の鞄から小降りな本を取り出し、ピリアに手渡す
ピリア:「こ、これ…」
0:ピリアが受け取った本を捲ると、本の中には薬草や鉱物の手書きのイラストと
0:効能や採取時の注意点などが書かれていた
レナ:「薬草や鉱石、後は討伐対象の情報が載っている図鑑です」
ピリア:「こ、こんなに詳しく載ってるなんて…」
レナ:「といっても初級のG~E級までの情報しか載っていないですけどね…」
ピリア:「じょ、情報を無料で公開しているんですか?」
ピリア:「す、すごいですね、ギルドって…!」
カルシゥム:「はー…俺の時代とはまるで待遇が違うな」
シーナ:「無料なのは初級までにゃ」
シーナ:「中級からはきっちりお金を取られるにゃ!」
アカネ:「当たり前でしょ。こういう情報は貴重なのよ?」
アカネ:「本来ならG~Eの情報だって、得るのにお金が発生するんだから」
シーナ:「ぶーぶー!」
シーナ:「情報くらいケチケチしなくても良いのにゃ!」
0:シーナは不満げに頬を膨らませる
アカネ:「情報『くらい』なんて言うんじゃないわよ、おバカ」
0:アカネはシーナの鼻先を人差し指で軽く突く
シーナ:「フギャ!にゃ、にゃにするにゃ!」
アカネ:「その情報を得る為に、ギルド側がどれだけ苦労しているのか」
アカネ:「少しは想像力を働かせなさい」
シーナ:「フシャー!にゃんだとー!」
レナ:「まぁまぁ、シーナちゃん落ち着いて」
シーナ:「レナ~!こいつが~!」
0:レナはシーナの頭を撫でながらシーナを宥める
カルシゥム:「冒険者ギルドは調査を冒険者に依頼してないのか?」
レナ:「いえ。調査の依頼は出しているんですけど」
レナ:「それだと情報が片寄ってしまうので」
レナ:「【サーチャー】という調査専門の部署の職員の方が」
レナ:「随時、情報を集めてくれているんですよ」
アカネ:「あそこは万年人手不足で、ひーひー言ってるけどね」
アカネ:「ペティが受けたブレイズボアの討伐だって」
アカネ:「サーチャーの人手不足が原因で情報の精査が遅れたせいで」
アカネ:「危うく大惨事になるとこだったのよね」
カルシゥム:「ああ、なんかノラとか言う奴がそんなこと言ってたな確か」
ピリア:「じょ、情報って大事ですね…ホント」
アカネ:「ええ、そうね…っと」
アカネ:「ここら辺が良さそうね」
0:アカネは立ち止まり、森の中を指差す
0:そこは少し開けた場所になっており
0:花や薬草らしき草が群生しているのが見受けられた
シーナ:「おー♪なんだか昼寝がしやすそうな場所にゃ!」
アカネ:「仕事に来たんだから、寝るんじゃないわよ」
レナ:「シーナちゃん、お昼寝は仕事が終わってからにしようね」
シーナ:「了解にゃ!」
アカネ:「レナはホント、シーナに甘いわねぇ…」
ピリア:「(おぉ!?ホゼリ草にリデル茸…!?他にも色んな薬草が…!)」
ピリア:「(依頼の薬草のついでに採取しておこう…!)」
カルシゥム:「お嬢、材料採取はほどほどにな?」
ピリア:「ぴぇ!?は、ははは、はいぃ!もちろんです!」
0:ピリア達はアカネとレナ、ピリアとシーナに別れて採取を開始した
レナ:「えっと…これがヒールベリーで、これが魔力草」
アカネ:「レナ、それは魔力草じゃなくて、蛇毒(じゃどく)草よ?」
レナ:「え?…あぁ!?」
アカネ:「魔力草は草の先端が薄い青色、蛇毒草は薄い藍色」
アカネ:「採取する時の天候や時間帯で見え方が変わるから注意しなさい」
レナ:「分かりました!ありがとうございます!」
ピリア:「えと魔力草、魔力草っと」
シーナ:「ねぇねぇ!ピリア!」
ピリア:「ひゃい!?な、なな、なんでしょうか!?」
シーナ:「これって食べられるかにゃ?」
0:そう言ってシーナが差し出したのは
0:瓢箪の形をした橙色の実
ピリア:「こ、これ、カルナリの実…ですね」
ピリア:「め、珍しいです…自生しているの初めて見ました」
シーナ:「へー!美味しいのかにゃ?」
カルシゥム:「やめとけ猫の嬢ちゃん。」
カルシゥム:「そいつを生で食べると、3日3晩下痢が止まらなくなるぞ」
シーナ:「にゃ!?」
0:シーナは慌ててカルナリの実を放り投げる
0:投げられた実は草むらへと飛んでいった
ピリア:「あ、あぁ!も、勿体ない!」
0:ピリアは急いで草むらにカルナリの実を探しにいく
シーナ:「そんなおっかない実、何に使う気にゃ?」
ピリア:「く、薬の材料になるんです、これ」
シーナ:「薬?」
ピリア:「カルナリの実は乾燥させてから粉末状にして」
ピリア:「いくつかの薬草と混ぜるとお通じの薬になるんです」
シーナ:「おー!すごいにゃ!」
0:シーナはアカネの方に向き、大きな声で
シーナ:「アカネー!ピリアがお通じの薬作れるって!」
シーナ:「オマエ、確か今日で3日…フギャ!?」
カルシゥム:「なっ!?」
0:その速度、稲妻の如く
0:シーナが何かを言おうした時
0:すでにその背後へと回り込み
0:脳天に加減なしの手刀を振り下ろしていた
カルシゥム:「恐ろしく早い手刀…全然見えなかったぞ」
カルシゥム:「っていうか身のこなしがやべぇ…」
ピリア:「あ、あばばばば…!!」
アカネ:「…ねぇ?シーナ」
アカネ:「人様の秘密を無作法に広めようとするなって」
アカネ:「教わらなかったかしら?」
シーナ:「ヴニャァァ…!あ、頭がぁ…!?」
アカネ:「ねぇ?どうなの?」
アカネ:「ねぇ?ねぇ?ねぇ?ねぇ?」
0:無表情でシーナに詰め寄るアカネ
カルシゥム:「怖ぁ…」
ピリア:「ぴ、ぴぎゃあぁぁ!?」
0:先程から恐ろしい程の威圧感を感じて
0:ピリアは悲鳴をあげることしか出来ていない
シーナ:「うにゃあぁぁ!?こ、怖いにゃ!」
シーナ:「ごめんなさい!ごめんなさい!」
シーナ:「れ、レナぁぁぁ!た、助けてにゃあぁぁ!」
0:涙目でレナに助けを求めるシーナ
レナ:「…シーナちゃん」
シーナ:「レナぁ…!」
0:レナはにっこりと笑い
レナ:「少し…頭、冷やそっか」
0:冷たく告げた。
0:どうやら先程からシーナの態度に怒っていたらしい
カルシゥム:「(…この子等は怒らせたらまずい)」
シーナ:「そ、そんにゃあぁぁぁー!?」
0:森にシーナの悲鳴がこだました。
0:
0:
0:2時間後
0:
レナ:「これだけ集めれば大丈夫ですね!」
アカネ:「ええ、そうね。」
レナ:「良かった!シーナちゃん、お昼寝出来そうだよ?」
レナ:「良かったね?」
シーナ:「あ、はい。嬉しいです」
カルシゥム:「(さっきまでの元気がない!?)」
カルシゥム:「(て言うか語尾の『にゃ』が抜けてる!?)」
0:どうやら相当絞られて、分からせられたのか
0:先程までのお気楽な猫のような姿とはうって変わり
0:借りてきた猫のような消沈した様子が見てとれる
アカネ:「そろそろお昼ご飯にしましょう」
アカネ:「ピリア、お弁当は持ってきてる?」
ピリア:「あ、は、はい。朝、食堂のパドメさんから貰いました」
レナ:「あ、今日のお弁当、パドメおばさまのなんですね!」
レナ:「良いなー…おばさまの料理美味しいんですよね!」
0:レナがキラキラした目でピリアのお弁当を見つめる
0:無言の圧力がピリアにのしかかる
ピリア:「あ、の…よ、良ければ…少し食べます?」
レナ:「良いんですか!?わー!嬉しいです!」
カルシゥム:「(この嬢ちゃんも結構、強(したた)かだな)」
カルシゥム:「(…だが、お嬢にはそれくらい強引な方がいいか)」
アカネ:「私は手弁当。シーナ、アンタは?」
シーナ:「あ、はい。私は…これを」
0:遠慮がちにランチボックスを差し出す
アカネ:「…はぁ」
アカネ:「反省、したの?」
シーナ:「うぅ…はい。二度とあのようなことは致しません…」
アカネ:「ったく!」
0:アカネは強めにシーナの頭を撫でる
シーナ:「うにゃあぁぁ~!?あ、頭が揺れるぅぅ~!?」
アカネ:「次からは気を付けなさいよ?良い?」
シーナ:「わ、分かったにゃ!」
アカネ:「ん。じゃあ許してあげる」
レナ:「良かったねシーナちゃん!」
シーナ:「うぅ…!こ、怖かったにゃあぁぁ…!」
アカネ:「次からはデリカシーってやつを覚えなさいよ?」
アカネ:「ほら!早くご飯食べるわよ」
アカネ:「レナは今日も手弁当?」
レナ:「はい!朝市でトーマスさんから、新鮮なサケを分けてもらえたので」
レナ:「軽く炙(あぶ)ってからカルパッチョにして」
レナ:「白パンに挟んでサンドイッチにしてみました!」
0:レナは荷物の中からランチボックスを取り出す
アカネ:「へぇ…良いわね」
アカネ:「私はこれ…」
0:アカネはランチボックスを開く
0:中からはわずかに魔力の粒子がもれている
ピリア:「え、えぇー!?」
アカネ:「わ、ビックリした!」
アカネ:「どうしたのよ?ピリア」
ピリア:「そ、それって…魔道具…ですか?」
0:ピリアはアカネの持つランチボックスを指差す
アカネ:「ああ、そう言うこと。」
アカネ:「これはT&W(ツールアンドウィズダム)社製のランチボックスよ。」
ピリア:「つ、T&W社、ですか?」
アカネ:「そ。【ステラ=ワイズマン】の名前は知ってるでしょ?」
ピリア:「え、えと…よ、400年を生きている魔術師で」
ピリア:「魔法の新たな術式や魔道具の開発を行っている」
ピリア:「魔術師業界の重鎮…ですよね?」
カルシゥム:「付け加えると400年前の【人魔戦役】の際に」
カルシゥム:「異世界から召喚された勇者のパーティーメンバーってことか」
ピリア:「え、ゆ、勇者…?」
アカネ:「そうね。でもその話は長くなるから割愛するとして」
アカネ:「そのステラ=ワイズマンが代表を勤める会社…T&W社は」
アカネ:「主に魔道具を取り扱っているんだけど」
アカネ:「うちのギルドと業務提携しててね」
アカネ:「これみたいな便利グッズを格安で提供してくれているのよ」
0:アカネはランチボックスを掲げてにこりと笑う
アカネ:「ちなみにこれは状態保存の魔術が付与されているの」
アカネ:「効果は魔石のグレードによって下は3日から最高で2週間」
アカネ:「ギルドショップでどっちも売ってるからオススメよ」
ピリア:「は、はい。お金が貯まったら買ってみます」
0:ピリアはアカネのランチボックスを見ながら考える
ピリア:「(これほどの魔道具を作成出来るなんて本当にすごい)」
ピリア:「(でも400年前から生きているだなんて…)」
ピリア:「ワイズマンさんって…エルフの方なんですか?」
0:疑問をアカネに問いかける。しかし、答えたのは
カルシゥム:「いや、あいつは…」
0:なぜかカルシゥムだった
シーナ:「ご飯!そうにゃ!今日はこれ持ってきたにゃ!」
0:シーナは先程のランチボックスを
0:うきうきとした様子で力強く開く
シーナ:「サンマドッグにゃー!」
0:シーナの声によって話が途切れる
アカネ:「…ご飯にしましょうか」
ピリア:「あ、はい」
ピリア:「(さっきの様子…カルさん、お知り合いなのかな?)」
ピリア:「ね、ねぇ…カルさ」
シーナ:「ほら!ピリア!これを見るにゃ!」
ピリア:「あ、ああ、はい!な、なんでしょう?」
0:シーナはピリアに後ろから抱きつき手に持った惣菜パンを見せる
シーナ:「カナード名物!サンマドッグにゃ!」
ピリア:「これは…パンにサンマと野菜が…?」
シーナ:「にゃっふっふっふ!ただのパンじゃないにゃ!」
シーナ:「これはコメを粉じょーにしたもので焼いたパンにゃ!」
シーナ:「それをええと…と、特製のソースを焼きたてのサンマにたっぷりかけて」
シーナ:「新鮮な野菜と一緒に挟んだゴクジョーの一品にゃ!」
カルシゥム:「へぇ…カナードでは米が取り扱われているのか」
レナ:「カナードは海洋貿易が盛んですから」
レナ:「海外の食材が手に入りやすいですよ」
シーナ:「とにかく!めちゃくちゃうまいにゃ!」
ピリア:「そ、そうなんですね…」
アカネ:「モグモグ…アンタ、ホントそれ好きよね?」
0:アカネは何かを食べながらシーナに呆れた目を向ける
アカネ:「それカナードのB級グルメでしょ?」
アカネ:「私、小骨が引っ掛かるからそれ苦手なのよね」
シーナ:「にゃ…!?にゃにぃぃぃ!?」
0:シーナはアカネに近づき、鼻先がくっつく距離まで近づく
アカネ:「ちょっ!?近い近い!」
シーナ:「オマエ!今!サンマドッグをバカにしたのかにゃ!?」
アカネ:「いや、バカにはしてないわよ!」
アカネ:「ただ食べにくいって話を…」
シーナ:「全然食べにくくないにゃ!」
シーナ:「むしろこの小骨をバリバリして食うのが良いのにゃ!」
アカネ:「それはアンタが猫人(フェルパー)だからでしょ?」
アカネ:「私には食べにくいって話を…!」
ピリア:「あ、あばば…!?け、ケンカ…!?」
カルシゥム:「あの二人、今日1日でどんだけもめてんだよ?」
レナ:「あはは…二人はいつもああなので」
レナ:「先にご飯に食べてましょう」
カルシゥム:「慣れてんなー…」
レナ:「いつものことですから。」
アカネ:「ああ、分かった!分かったわよ!」
アカネ:「私が悪かった!だから離れなさいって!」
シーナ:「むー…!」
0:シーナは渋々アカネから離れる
レナ:「二人とも、ケンカは終わりましたか?」
アカネ:「別にこんなのケンカのうちに入らないわよ」
シーナ:「そうにゃそうにゃ!」
レナ:「それは良いですけど…お弁当、冷めちゃってますよ?」
0:アカネとシーナははっとして自分の弁当を見る
シーナ:「し、シーナのサンマドッグがあぁぁー!?」
アカネ:「あちゃー…ま、多少冷めても…」
アカネ:「…うん。微妙」
0:アカネとシーナはげんなりとした様子で残りの弁当を平らげた
0:それから更に1時間後
0:
0:
0:冒険者ギルド 受付
アカネ:「よし。これで今日の実習は終了よ」
アカネ:「皆、お疲れ様」
レナ:「ありがとうございました!」
シーナ:「んんー…!やーっと終わったにゃ!」
アカネ:「実際の依頼はもっと受け方とかが違う場合があるから」
アカネ:「色々と注意すること。いい?」
レナ:「はい!分かりました!」
シーナ:「レナー!この後、リデルバルデに行くにゃ!」
シーナ:「今日は火精霊の日だから特製フィナンシェの日にゃ!」
レナ:「そ、そうだった!」
アカネ:「…レナー?」
レナ:「あ…あのぉ…アカネさん?」
0:アカネはため息をつくと、苦笑する
アカネ:「良いわよ。行ってきなさい」
アカネ:「ただし!私の分もお土産よろしく」
レナ:「は、はい!行ってきます!」
レナ:「行こ!シーナちゃん!」
シーナ:「がってんにゃ!」
0:二人はギルドの受付からお金を受けとると
0:入り口の方に走り出す
ピリア:「二人は仲良しですね…良いなぁ」
カルシゥム:「はは、お嬢には俺がいるだろ?」
ピリア:「そ、そうですよね?」
0:ピリアが走る二人を見送っていると
0:急に二人は立ち止まる
ピリア:「?」
シーナ:「ピリアー!何してるにゃ!」
シーナ:「早くしないとお菓子売り切れるにゃ!」
ピリア:「…え?」
0:二人はピリアの元に戻ってきてそれぞれが手を繋ぐ
レナ:「ごめんなさい!てっきり一緒に行くと思っていたので」
ピリア:「あ、いえ。ええと…い、一緒に行って良いんですか?」
0:二人はきょとんとした顔をする
シーナ:「友達なんだから当たり前にゃ!」
レナ:「ふふ、そうですよ」
レナ:「むしろ一緒じゃないと困っちゃいます」
ピリア:「あ…」
0:ピリアは困った顔で壁に立て掛けてあるカルシゥムを見る
ピリア:「か、カルさん」
0:カルシゥムは嬉しそうにカタカタと顎を鳴らす
カルシゥム:「はは!お嬢。早速…二人だ」
0:カルシゥムの言葉にピリアは破顔し
ピリア:「はい!」
0:満面の笑みを浮かべ、元気よく返事を返した
レナ:「それじゃあ行ってきます!」
シーナ:「ほらほら!全速力にゃあぁぁー!」
ピリア:「あ、あばば!?し、シーナさぁん!?」
ピリア:「は、はや!早すぎますぅぅぅー!?」
0:三人は入り口の方へと走って行った
カルシゥム:「…良かったな」
アカネ:「ふふ、まるでお父さんね。アンタ」
0:立て掛けられたカルシゥムにアカネが近づいてくる
カルシゥム:「似たようなもんだ」
アカネ:「そ。まぁ、それは良いとして…」
0:アカネは表情を真剣なものへと変える
アカネ:「ちょっと、付き合ってくれる?」
0:研修3日目を終え、無事に友達が二人増えたピリア
0:一安心といった頃合いにアカネは真剣な面持ちで
0:カルシゥムと対峙する
0:一体、何が始まるのか?
0:次回に続く!