台本概要

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タイトル ジョイエリ デラ トライセイ【ファイル:モルガナイト】
作者名 不尽子(つきぬこ)  (@tsukinuko)
ジャンル コメディ
演者人数 4人用台本(男1、女2、不問1)
時間 30 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 イタリアにある異能者で構成されたトライセイ探偵団の新入りネーロと、その指導役ヴィオラが仲間達と共に珍事件を解決…!?
ご使用の際はご報告いただけると大変喜びます(強制ではありません)。

シナリオの一番下にイタリア語の解説があります。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ネーロ 75 ジーノ・マーティン。不幸体質な男装女子。宝石マニアで心の声がうるさい。
ヴィオラ 74 ダン・サクマ。根暗な日系青年。能力は「以心伝心」だが、ネーロに幻滅されたくなくて言えないでいる。
ローザ 74 アンジェリカ・ベルルッティ。能力は「絶対服従」。探偵団最年少のぶりっこメスガキ。
警官 不問 52 性別不問。成り行きで今回の殺人事件を担当する事になった。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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ネーロ:…ヴィオラさん、今回の依頼って何でしたっけ? ヴィオラ:…脅迫状を受けた雪山ホテルのオーナーの保護、のはずなんたが…。 ネーロ:……死んでますよね?これ。 ヴィオラ:うん…。 0:場面は殺害現場からホテルのロビーへ。 警官:(N)現場はある雪山の、スキー場を経営しているホテル。 警官:(N)そこのオーナーが脅迫状を受けた事で探偵を雇い、送り主を突き止めようとしたらしい。 警官:(N)しかし、脅迫状に書かれていた日付よりも前にオーナーは自室で襲われ、探偵達が現場に着いた時には既に息絶えていた…。 ローザ:ひっく…ぐすん…。 警官:ほら、泣かないで。怖いものを見ちゃったねぇ…。 ローザ:ローザは見てないわ。…でも、依頼人さんがもう死んでるだなんて…えぐっ…。 警官:うん、悲しいよね…。 ローザ:遠くて寒い所だから、ローザ頑張って来たのにっ…着いた時にはもう死んじゃってたんだもの!うえぇ〜ん! 警官:な、泣かないで。そうだ、お巡りさんが新しい依頼を君達にお願いするから! ローザ:(ケロッとして)本当!? 警官:えっ…う、うん!捜査に協力して欲しいんだ。ほら、優秀な探偵団だって上の人達もよく話してたし…。 ローザ:やったぁ!ありがとうお巡りさん、ローザ頑張るわね♡ 警官:(ちょっと引いてる)う、うん…。 0:ヴィオラとネーロが現場から戻って来る。 ローザ:あら、おかえりなさーい!このお巡りさんがね、依頼を引き継いで下さるそうなの! ローザ:お金も受け取れずに帰るなんて事になったら、どうしようかと思ったわ! ヴィオラ:…ローザ、そういうのは口に出すな。 ローザ:あらいけない、ローザったらつい。てへ♡ ネーロ:それに、依頼料は…。 ヴィオラ:ネーロ、新しい依頼人の前だぞ。 ネーロ:あ、すいません…。依頼の引き継ぎって、やっぱり犯人探しですか? 警官:はい。何分つい先程起こった事件ですので、逃げられない内に捕まえておきたくて。 ヴィオラ:確かに前の依頼人は死んでからそう時間は経ってなさそうだったが…、あんた随分仕事が早いんだな。 警官:いや、私はたまたま休暇で此処に来ただけで…。 ネーロ:…!! 警官:無論、応援要請もしてますが…何せこの猛吹雪ですから…。 0:ネーロが警官の手を掴む。 ネーロ:(涙ぐんで)大変ですよね…折角の休暇なのにっ…心中お察ししますぅ…。 警官:え?は、はぁ…どうも…。 ローザ:(小声)…どうしちゃったの?ネーロ兄様。 ヴィオラ:(小声)…あいつも今日、本当は休みだったんだよ…。 ローザ:(小声)あらまぁ、不幸仲間ってところかしら? ヴィオラ:とりあえず、もたもたしてたら犯人が逃げる。早速スタッフや客人に尋問を…。 警官:それなんですが…貴方達はこの猛吹雪の中一体どうやって此処へ? ヴィオラ:はぁ? 警官:この山は傾斜もあって、さっき呼んだ応援もこの吹雪が止まない事には難しいと…。 ローザ:あら、問題無くてよ?うちにはジャッロ兄様って言う、超優秀なアッシーが居るもの♡ 警官:あ、アッシー? ヴィオラ:ローザ…。 ネーロ:あ、あはは…まぁその、送ってもらったんですよ。 警官:だからどうやって? ネーロ:えぇっと…ファストトラベル?的なアレで…。 警官:は? ヴィオラ:…あんた、上から俺達の事聞かされてたんじゃないのかよ…。 警官:それは勿論!軍隊上がりから凶悪犯罪者まで逸材が揃ってて、我々警察やマフィア組織からの信頼も厚いと…。 ヴィオラ:色々と聞き捨てならねぇぞおい。 ローザ:でも本当の事よ? ヴィオラ:お前は一旦黙ってろ。 ネーロ:とにかく、まずはホテルのスタッフさん達からお話を聞きたいです! ネーロ:客人には部屋から出ないようにだけ、指示しておいてもらえますか? 警官:…分かりました。 警官:(心の声)…いかにも根暗そうなジャポネーゼに、頼り無さそうなファッチア・ディ・べべ、おまけにぶりっこラガッツァ…。 警官:(心の声)こんな奴等が、本当にあのトライセイ探偵団…? ヴィオラ:……。 ネーロ:(心の声)わー、今日も綺麗に光ってる!ダンさんのアメジスト・オッキオ! ヴィオラ:う…。 ローザ:どうかした?ヴィオラ兄様。 ヴィオラ:…な、何でも無い…。 0:数分後、警官がホテルのスタッフを集めて戻って来る 警官:一先ず、スタッフを全員集めました。 ヴィオラ:どうも。 ネーロ:じゃあ、一人ずつ尋問を…。 ヴィオラ:必要無いよ。時間の無駄。 ネーロ:え? ヴィオラ:皆さんにお伺いします。此処のオーナーが殺された件について、何か心当たりはありますか? 0:誰も何も答えず、暫く沈黙。 ヴィオラ:…無いのでしたら結構。客室を回ってくぞ。 ローザ:はーいっ! 警官:は!?ちょっと! ネーロ:あー、今から聞き込み調査をする旨の館内放送だけお願いします!ありがとうございました! 0:ロビーから客室へ移動する。 警官:(心の声)ざ…雑過ぎる!何だあの聞き込みのやり方!こんな奴が本当に超優秀と名高いトライセイ…!? ネーロ:(小声)…ねぇ、いいの? ローザ:あら、何が? ネーロ:(小声)ヴィオラさんの事だから、何か考えがあるんだろうけど…あんな大雑把な聞き込み調査で…。 ローザ:え?…やだ、ネーロ兄様ったらまだヴィオラ兄様の能力を知らないの!? ヴィオラ:(ギクッ)!! ネーロ:え? 警官:の、能力…? ローザ:ちょっとヴィオラ兄様、どういうつもり?仕事に支障が出るんじゃなくて? ヴィオラ:…べ、別に…支障なんて出てないし…。 ローザ:本当かしらぁ?ローザの目を見て言って下さるぅ? ヴィオラ:っ……。 ローザ:ちょっと、目を瞑らないで下さらない!? 警官:……あ、あの…能力って…? ネーロ:あーえっと、僕達それぞれ特技みたいなものがあって…例えばそこのローザちゃんは、こう見えて催眠術に長けてて…。 ローザ:あんなペテンと一緒にしないでって言ってるじゃない! ネーロ:分かってる、分かってるよ。でもこれ以外に納得してもらえそうな説明が出来ないんだよぉ…。 ローザ:むぅ…。 ヴィオラ:…もういいだろ、早く行くぞ。 ローザ:ふーんだ、知らないっ! 警官:……。 ネーロ:(N)それから僕等は、客室を一つずつ聞き込みして回った。 ネーロ:(N)その間ヴィオラさんの目はずっと綺麗に光ってたけど、ローザちゃんの目が光ったのはヴィオラさんと言い合ってた時だけ。 ネーロ:(N)そう思っていたら、ある男性の客人に聞き込みをした途端…。 ヴィオラ:(テレパシー)ローザ、こいつだ! ローザ:! ネーロ:(心の声)…あれ、ローザちゃんの目が…! ローザ:…ねぇおじ様ぁ?そのまま動かないで下さるぅ? 警官:(N)ラガッツァがそう言うや否や、客人の男が突然石化したかのように固まった。 警官:(N)男も何が起こったのか分からない様子で、混乱した顔をしている。 ローザ:おじ様?どうしてこのホテルに来たのか、この時間まで何をしていらしたのか、ローザに教えて下さいな? 警官:(N)そう言われた直後、男はあっさりとオーナー殺しを自白した。 警官:(N)動機からその計画的な犯行まで、苦悶の表情で事細かに。推理もトリックもあったもんじゃない。 警官:(N)全て話し終えた途端、男は絶望の表情で呆然としていた。 ヴィオラ:おい、何してんだ。 警官:えっ? ヴィオラ:あんた警察だろ。そいつを拘束しろ。 警官:あ、はいっ!(男を拘束する) ローザ:はぁーいおじ様、お疲れ様ぁ!じゃなかった、御愁傷様ね♡ ネーロ:…相変わらず怖いなぁ、ローザちゃんの能力…。 ローザ:あら、本当にそう思っていらして? ネーロ:え? ローザ:ネーロ兄様、ローザが能力を使う時、いつも何を考えていらっしゃるの?教えて下さいな♡ ネーロ:あ……ひ、瞳がめちゃくちゃ可愛い色してるなぁって!ヴィオラさんがアメジストなら、ローザちゃんはモルガナイトかな! ネーロ:モルガナイトには「女性らしさ」とか「清純」って石言葉があって、ローザちゃんに似合うよなーって考えてた! ローザ:やったぁ!ありがとうネーロ兄様、だぁい好き♡ ネーロ:(恥ずかしい)あああああぁ…!! ヴィオラ:だからローザの目は見るなって…。 警官:……。 警官:(N)こいつは使える。そう思っていた時には、既にラガッツァに手が伸びていた。 0:  ローザ:あ、そうだわお巡りさん!無事事件も解決した事だし、報酬をいただいてもきゃっ!? ネーロ:えっ? ヴィオラ:! 警官:…へぇ、本当にこうすりゃ洗脳出来ないらしいな。 ローザ:やだちょっと、見えないじゃない!離して! ネーロ:ローザちゃん!? 警官:(銃をローザに突きつける)動くな。 ネーロ:貴方、何してるんですか!? 警官:最初から何もかも予定が狂ったが…こいつは良い収穫が得られた! ローザ:はぁ!? ヴィオラ:…そう言えば、お前だったな。あの脅迫状の送り主は。 ネーロ:え…!? 警官:何だ気付いていたのか。ああそうさ、あのオーナーのやった事を自白させて私の手柄として逮捕するつもりだったんだ! 警官:探偵を雇われるのも、恨みを買いすぎて先を越されるのも想定外だったがな! ネーロ:(心の声)何したんだよオーナー…。 警官:だが思い出したよ。このラガッツァの顔…無差別連続誘拐事件の犯人、アンジェリカ・ベルルッティがこんな所に来るなんてな! ローザ:っ…!! ネーロ:犯人って…その子はまだ12歳の子供だぞ!? ヴィオラ:この国で刑事責任が問われるのは14歳からだ。今捕まえたって意味ねぇよ。 警官:こちとら警察だ、そんな事は知ってる!だがこのラガッツァをうちに置いとけば、シラを切る犯罪者共が全員従順な犬コロになる訳だ! ローザ:ちょっと、勝手に話を進めないで下さらない!?協力だけって、もう貴方の上司さんとは話が通ってましてよ!? 警官:いいや、足りないな!お前がうちに居た方がこのイタリアの為だ! 警官:どうしても嫌だと言うなら、この場で撃ち殺すまでだ! ローザ:っ…。 ネーロ:…ど、どうしましょうヴィオラさん…。 ヴィオラ:面倒臭ぇ事になったな…。 0:ヴィオラが能力を使い、ローザにテレパシーを送る。 ヴィオラ:ローザ、平気か? ローザ:これが平気に見えまして!?早く助けて下さいな! ヴィオラ:悪いがまだ説得に時間がかかりそうだ。ジャッロやアズーロが居れば強行手段も取れただろうが…。 ローザ:そいつの脳内で大声出せばいいじゃない!よくやってるでしょう!? ヴィオラ:ダメだ。下手に刺激して引き金を引いちまったら、死ぬのはお前なんだぞ! ローザ:うぅ…アンジェリカはもうお終いなのね…。 ヴィオラ:諦めるな。そいつの指の隙間から、何か見えたりしないか…? ローザ:…指の、隙間…? 0:  ネーロ:警察が脅迫なんて何考えてるんだ!それもこんな子供相手に! 警官:うるさい!より大きな悪を滅するには、多少の規律は破らねばならんのだ! ネーロ:そんな屁理屈…! ヴィオラ:よせネーロ、今は刺激するな。 ネーロ:でも…! ヴィオラ:もう少しだけ時間をくれ。こいつをどうにかする方法があるはずだ…! ネーロ:(心の声)…ヴィオラさん、もしかしていつになく焦ってる…? 警官:私はお前達の事を想って言ってやっているんだ。このラガッツァは実の親を破滅させた疫病神だぞ? ローザ:…! ネーロ:え…? 警官:その洗脳術を使って、両親が破産するまで金を使わせた上に自殺にまで追い込んだんだ。 警官:そうなる前に我々警察で教育し直してやると言っているんだ! ヴィオラ:おい、それ以上はよせ。 警官:はは、何だ知らなかったのか? ヴィオラ:違う。それはそいつの一番触れちゃいけないとこだっつってんだ。 ネーロ:ローザちゃん…。 ローザ:……。 警官:ふん、知った事か。どうせ洗脳以外は何も出来ない役立たずだ。目を封じさえすればいいんだからな! ヴィオラ:おまっ…。 ローザ:…………。 ネーロ:っ、お前なんかに、ローザちゃんの何がっ…! ヴィオラ:ネーロ、下がってろ。 ネーロ:え…? ヴィオラ:お前…うちで一番キレさせちゃダメな奴をブチギレさせたな…。 警官:あ? ローザ:こいつを縛り上げなさい。 0:ローザの声を合図に、木の蔓が警官を縛り付ける。 警官:な、何だ!?か、観葉植物が…こんな所まで…!? ローザ:…やだ、服に変なシワが着いちゃったわ。後でアイロンかけ直さなきゃ。 警官:くそ、貴様っ…! ヴィオラ:…確かにそいつの能力は、目さえ見なけりゃ効きゃしない。 ヴィオラ:だがそれは、目を持つ生き物だけの話だ。 警官:何だとっ…!? ローザ:…あらぁ?お巡りさん、その変な格好はなぁにぃ?ふふ、ダッサーイ❤︎ 警官:く、苦しい…離せっ…。 ローザ:ねぇお巡りさん、疫病神って誰の事?役立たずってぇ、誰の事ぉ? ネーロ:わ、わわっ…。 ヴィオラ:終わったな、あの警官…。 警官:あ、がっ……。 ローザ:ねぇお巡りさん、その役立たずな疫病神に無様に縛り上げられてるおマヌケさんは何処の誰かしら?ねぇ、お巡りさん? 警官:…化け、物…がっ…! ネーロ:これ、まずくないですか?と、止めないと…! ヴィオラ:分かってる。俺が落ち着かせるから、って…! ネーロ:ローザちゃん! ヴィオラ:待て、ネーロ! ローザ:あらネーロ兄様、ご覧になって!自分が正義だと思い込んでるおバカさんの磔(はりつけ)ショーですって!あはは、カッコ悪ぅい❤︎ ネーロ:ローザちゃんもういいよ、それ以上は死んじゃう! ローザ:えぇ〜、この程度で死んじゃうのぉ?思ったより警察も貧弱って事かしらぁ?あはは、ザァ〜コ❤︎ ネーロ:ローザちゃん…! ヴィオラ:(心の声)クソ、ローザの奴俺の呼び掛けに応えやがらねぇ。ガチギレじゃねぇか…! 警官:うぐっ…。 ローザ:ねぇお巡りさぁん、こんな役立たずの疫病神に手も足も出ないって、どんな気持ち? ローザ:どんな気持ちなのかしらぁ?ねぇ、ローザに教えて下さいな❤︎あはは、あははは! ネーロ:……。 ヴィオラ:(心の声)ダメだ、間に合わない!こうなりゃあいつの脳内で大声を…! ネーロ:(被せて)やめろって言ってるだろアンジェリカァ!!! 0:ネーロの怒鳴り声と共に、観葉植物が警官を離して元の形に戻る。 警官:(床に落ちる) ローザ:……え? ネーロ:やりすぎだ!僕等はただの探偵なんだぞ!?いくら悪人だからって、ここまで脅さなくたっていいだろ!! ローザ:……。(ぽかーん) ヴィオラ:……。(ぽかーん) ネーロ:…あれ、木が無くなってる…? ヴィオラ:……そう言やネーロ、実はめちゃくちゃ声デカいんだったな。 ネーロ:え?そ、そんなにですか? ヴィオラ:うん、今の割とビビった。最初に会った時もだけど…。 ネーロ:わーっ!!それは忘れて下さい!! ヴィオラ:…おい、ローザ? ローザ:あ…。 ネーロ:だ、大丈夫?ごめんね、大きな声で怒鳴っちゃって…。 ローザ:……。 ヴィオラ:…とにかく、この馬鹿も拘束しといて、と…。 警官:(泡を吹いて気絶してる) ネーロ:…ねぇ、ローザちゃん?大丈夫? ローザ:…うっ。 ネーロ:え。 ローザ:ネーロ兄様…怖かったぁ〜!うぇ〜ん! ネーロ:わああごめん!ごめんって! ヴィオラ:ほっとけネーロ。どうせ嘘泣きだ。 ネーロ:いや、でも…! ローザ:ローザいい子にするから、怒らないでぇ〜! ネーロ:だ、大丈夫だよ。もう怒ってないよ! ネーロ:そうだ!事件も無事解決したし、帰ったらジェラート買いに行こ! ローザ:(ケロッとして)本当!?約束よネーロ兄様、美味しいジェラートたぁ〜っくさん買って頂戴ね♡ ネーロ:えっ…。 ヴィオラ:言わんこっちゃない…。 ローザ:あ、そうだわ。 ネーロ:え? ヴィオラ:ん?おいローザ…!? ローザ:(警官を突然往復ビンタする) ネーロ:ちょ、何してんの!? ローザ:他のお巡りさん達が来る前にこの人を起こさないと、結局お金が貰えないじゃない! ネーロ:あー…。 ヴィオラ:…まぁ、暫くほっとくか。どうせ圏外で、ビアンコとも連絡つかないしな…。 ネーロ:…ヴィオラさん。 ヴィオラ:ん? ネーロ:あの警官の言ってた事って…。 警官:(回想) その洗脳術を使って、両親が破産するまで金を使わせた上に自殺にまで追い込んだんだ。 ヴィオラ:…ネーロと一緒だよ。 ネーロ:え? ヴィオラ:きっかけが無きゃ、最初は誰だって異能の自覚なんて持てやしない。 ヴィオラ:アンジェリカはただ…、子供にありがちなワガママを言っていた。それだけだよ。 ネーロ:…じゃあ、誘拐は…。 ヴィオラ:家族が欲しかった。自分を残して去った親の代わりが、な。 ネーロ:…そう、だったんですね…。 ローザ:ねぇ兄様どうしましょ!このお巡りさん全っ然起きて下さらないわ! ローザ:こうなったら、この人の細胞達に命令して…。 ネーロ:わああ何か物騒な事しようとしてる!待った待った、依頼料ならもう貰ってるから! ローザ:……え?貰った、って…どなたから? ヴィオラ:殺されたオーナーからだよ。クソ野郎だし間に合わねぇから、前金だけ受け取ったんだとさ。 ローザ:…ひ、ひっどぉ〜い!知ってて黙ってたのね!? ネーロ:ご、ごめんね…。 ヴィオラ:最近お前が調子乗ってるから、根性叩き直せって言われたんだよ。 ローザ:分かったわ、どうせヴェルデ姉様の言いつけでしょ!? ネーロ:いや、それが…ロッソさんに、ね…。 ローザ:…え…ドン、に…? ヴィオラ:ヴェルデもドンに言われりゃ、逆らえない所あるからなぁ…。 ローザ:……。 ネーロ:と、とりあえず…無事終わったって事で、僕ホテルの電話借りてきます! ヴィオラ:ああ、頼む。 ローザ:……。 ヴィオラ:ん?何だよローザッ…!? ローザ:ああ良かったぁ、やっとローザの目を見て下さったわねヴィオラ兄様! ヴィオラ:ローザ、てめっ…! ローザ:調子に乗ってたのは反省しなきゃだけど…ちょっとムカムカしちゃってるからぁ、ローザのお願い聞いて下さいな❤︎ ヴィオラ:(心の声)まずいっ…俺の能力をネーロにバラさせる気か…!? ネーロ:電話繋がりましたー!ジャッロ君の仕事が終わり次第、すぐに迎えに来てくれるって…。 ローザ:あ、ネーロ兄様おかえりなさーい!そのまま動かないで下さるぅ? ネーロ:えっ…。 ローザ:さ、ヴィオラ兄様っ♡ ヴィオラ:ネ、ネーロッ…。 ネーロ:え、ヴィオラさんまさか…ローザちゃんにっ…!? ヴィオラ:っ……。(ゆっくりネーロに近付く) ネーロ:ヴィ、ヴィオラさん…!? ヴィオラ:…ぼ、僕っ…ほんとはネーロたんに嫌われるのが怖くて怖くてしょうがない臆病者なんでちゅぅ〜…。 ネーロ:……え? ヴィオラ:っ〜〜〜!!! ローザ:あはははは!やだヴィオラ兄様ったら、まるでバンビーノだわぁ! ローザ:とぉっても可愛らしくてよぉ?あはははは!! ヴィオラ:てめぇマジで後で覚えてやがれ…!! ローザ:やだぁ〜こわぁ〜い♡怒った顔なさらないで、ローザの頭を撫でて下さいな? ヴィオラ:(急に爽やかに)分かったよローザ。ほら、よしよし。 ローザ:うふふ、ヴィオラ兄様だぁ〜い好き♡ ネーロ:……。(ここから心の声)…やっぱりローザちゃん、怖いなぁ…。 警官:(N)こうして数時間後、応援に来た警察達に私は逮捕されてしまった。 警官:(N)叩き起こされた後すぐにあのトライセイ探偵団の話をしたが、その時には既に彼等の姿は何処にも無かった。 警官:(N)外は吹雪が止んだばかりで、周囲に人間の足跡は一つも見当たらなかったと言う…。 0:――――(ここからは朗読不要のおまけ。イタリア語の解説です)―――― 0:  0:ジョイエリ デラ トライセイ=トライセイの宝石達 0:ネーロ=黒 0:ヴィオラ=紫 0:ローザ=ピンク 0:ジャッロ=黄 0:ジャポネーゼ=日本人 0:ファッチア・ディ・べべ=童顔 0:ラガッツァ=女の子 0:オッキオ=目 0:アズーロ=青 0:ビアンコ=白 0:ヴェルデ=緑 0:ロッソ=赤 0:ドン=ボス 0:バンビーノ=幼児、赤ちゃん

ネーロ:…ヴィオラさん、今回の依頼って何でしたっけ? ヴィオラ:…脅迫状を受けた雪山ホテルのオーナーの保護、のはずなんたが…。 ネーロ:……死んでますよね?これ。 ヴィオラ:うん…。 0:場面は殺害現場からホテルのロビーへ。 警官:(N)現場はある雪山の、スキー場を経営しているホテル。 警官:(N)そこのオーナーが脅迫状を受けた事で探偵を雇い、送り主を突き止めようとしたらしい。 警官:(N)しかし、脅迫状に書かれていた日付よりも前にオーナーは自室で襲われ、探偵達が現場に着いた時には既に息絶えていた…。 ローザ:ひっく…ぐすん…。 警官:ほら、泣かないで。怖いものを見ちゃったねぇ…。 ローザ:ローザは見てないわ。…でも、依頼人さんがもう死んでるだなんて…えぐっ…。 警官:うん、悲しいよね…。 ローザ:遠くて寒い所だから、ローザ頑張って来たのにっ…着いた時にはもう死んじゃってたんだもの!うえぇ〜ん! 警官:な、泣かないで。そうだ、お巡りさんが新しい依頼を君達にお願いするから! ローザ:(ケロッとして)本当!? 警官:えっ…う、うん!捜査に協力して欲しいんだ。ほら、優秀な探偵団だって上の人達もよく話してたし…。 ローザ:やったぁ!ありがとうお巡りさん、ローザ頑張るわね♡ 警官:(ちょっと引いてる)う、うん…。 0:ヴィオラとネーロが現場から戻って来る。 ローザ:あら、おかえりなさーい!このお巡りさんがね、依頼を引き継いで下さるそうなの! ローザ:お金も受け取れずに帰るなんて事になったら、どうしようかと思ったわ! ヴィオラ:…ローザ、そういうのは口に出すな。 ローザ:あらいけない、ローザったらつい。てへ♡ ネーロ:それに、依頼料は…。 ヴィオラ:ネーロ、新しい依頼人の前だぞ。 ネーロ:あ、すいません…。依頼の引き継ぎって、やっぱり犯人探しですか? 警官:はい。何分つい先程起こった事件ですので、逃げられない内に捕まえておきたくて。 ヴィオラ:確かに前の依頼人は死んでからそう時間は経ってなさそうだったが…、あんた随分仕事が早いんだな。 警官:いや、私はたまたま休暇で此処に来ただけで…。 ネーロ:…!! 警官:無論、応援要請もしてますが…何せこの猛吹雪ですから…。 0:ネーロが警官の手を掴む。 ネーロ:(涙ぐんで)大変ですよね…折角の休暇なのにっ…心中お察ししますぅ…。 警官:え?は、はぁ…どうも…。 ローザ:(小声)…どうしちゃったの?ネーロ兄様。 ヴィオラ:(小声)…あいつも今日、本当は休みだったんだよ…。 ローザ:(小声)あらまぁ、不幸仲間ってところかしら? ヴィオラ:とりあえず、もたもたしてたら犯人が逃げる。早速スタッフや客人に尋問を…。 警官:それなんですが…貴方達はこの猛吹雪の中一体どうやって此処へ? ヴィオラ:はぁ? 警官:この山は傾斜もあって、さっき呼んだ応援もこの吹雪が止まない事には難しいと…。 ローザ:あら、問題無くてよ?うちにはジャッロ兄様って言う、超優秀なアッシーが居るもの♡ 警官:あ、アッシー? ヴィオラ:ローザ…。 ネーロ:あ、あはは…まぁその、送ってもらったんですよ。 警官:だからどうやって? ネーロ:えぇっと…ファストトラベル?的なアレで…。 警官:は? ヴィオラ:…あんた、上から俺達の事聞かされてたんじゃないのかよ…。 警官:それは勿論!軍隊上がりから凶悪犯罪者まで逸材が揃ってて、我々警察やマフィア組織からの信頼も厚いと…。 ヴィオラ:色々と聞き捨てならねぇぞおい。 ローザ:でも本当の事よ? ヴィオラ:お前は一旦黙ってろ。 ネーロ:とにかく、まずはホテルのスタッフさん達からお話を聞きたいです! ネーロ:客人には部屋から出ないようにだけ、指示しておいてもらえますか? 警官:…分かりました。 警官:(心の声)…いかにも根暗そうなジャポネーゼに、頼り無さそうなファッチア・ディ・べべ、おまけにぶりっこラガッツァ…。 警官:(心の声)こんな奴等が、本当にあのトライセイ探偵団…? ヴィオラ:……。 ネーロ:(心の声)わー、今日も綺麗に光ってる!ダンさんのアメジスト・オッキオ! ヴィオラ:う…。 ローザ:どうかした?ヴィオラ兄様。 ヴィオラ:…な、何でも無い…。 0:数分後、警官がホテルのスタッフを集めて戻って来る 警官:一先ず、スタッフを全員集めました。 ヴィオラ:どうも。 ネーロ:じゃあ、一人ずつ尋問を…。 ヴィオラ:必要無いよ。時間の無駄。 ネーロ:え? ヴィオラ:皆さんにお伺いします。此処のオーナーが殺された件について、何か心当たりはありますか? 0:誰も何も答えず、暫く沈黙。 ヴィオラ:…無いのでしたら結構。客室を回ってくぞ。 ローザ:はーいっ! 警官:は!?ちょっと! ネーロ:あー、今から聞き込み調査をする旨の館内放送だけお願いします!ありがとうございました! 0:ロビーから客室へ移動する。 警官:(心の声)ざ…雑過ぎる!何だあの聞き込みのやり方!こんな奴が本当に超優秀と名高いトライセイ…!? ネーロ:(小声)…ねぇ、いいの? ローザ:あら、何が? ネーロ:(小声)ヴィオラさんの事だから、何か考えがあるんだろうけど…あんな大雑把な聞き込み調査で…。 ローザ:え?…やだ、ネーロ兄様ったらまだヴィオラ兄様の能力を知らないの!? ヴィオラ:(ギクッ)!! ネーロ:え? 警官:の、能力…? ローザ:ちょっとヴィオラ兄様、どういうつもり?仕事に支障が出るんじゃなくて? ヴィオラ:…べ、別に…支障なんて出てないし…。 ローザ:本当かしらぁ?ローザの目を見て言って下さるぅ? ヴィオラ:っ……。 ローザ:ちょっと、目を瞑らないで下さらない!? 警官:……あ、あの…能力って…? ネーロ:あーえっと、僕達それぞれ特技みたいなものがあって…例えばそこのローザちゃんは、こう見えて催眠術に長けてて…。 ローザ:あんなペテンと一緒にしないでって言ってるじゃない! ネーロ:分かってる、分かってるよ。でもこれ以外に納得してもらえそうな説明が出来ないんだよぉ…。 ローザ:むぅ…。 ヴィオラ:…もういいだろ、早く行くぞ。 ローザ:ふーんだ、知らないっ! 警官:……。 ネーロ:(N)それから僕等は、客室を一つずつ聞き込みして回った。 ネーロ:(N)その間ヴィオラさんの目はずっと綺麗に光ってたけど、ローザちゃんの目が光ったのはヴィオラさんと言い合ってた時だけ。 ネーロ:(N)そう思っていたら、ある男性の客人に聞き込みをした途端…。 ヴィオラ:(テレパシー)ローザ、こいつだ! ローザ:! ネーロ:(心の声)…あれ、ローザちゃんの目が…! ローザ:…ねぇおじ様ぁ?そのまま動かないで下さるぅ? 警官:(N)ラガッツァがそう言うや否や、客人の男が突然石化したかのように固まった。 警官:(N)男も何が起こったのか分からない様子で、混乱した顔をしている。 ローザ:おじ様?どうしてこのホテルに来たのか、この時間まで何をしていらしたのか、ローザに教えて下さいな? 警官:(N)そう言われた直後、男はあっさりとオーナー殺しを自白した。 警官:(N)動機からその計画的な犯行まで、苦悶の表情で事細かに。推理もトリックもあったもんじゃない。 警官:(N)全て話し終えた途端、男は絶望の表情で呆然としていた。 ヴィオラ:おい、何してんだ。 警官:えっ? ヴィオラ:あんた警察だろ。そいつを拘束しろ。 警官:あ、はいっ!(男を拘束する) ローザ:はぁーいおじ様、お疲れ様ぁ!じゃなかった、御愁傷様ね♡ ネーロ:…相変わらず怖いなぁ、ローザちゃんの能力…。 ローザ:あら、本当にそう思っていらして? ネーロ:え? ローザ:ネーロ兄様、ローザが能力を使う時、いつも何を考えていらっしゃるの?教えて下さいな♡ ネーロ:あ……ひ、瞳がめちゃくちゃ可愛い色してるなぁって!ヴィオラさんがアメジストなら、ローザちゃんはモルガナイトかな! ネーロ:モルガナイトには「女性らしさ」とか「清純」って石言葉があって、ローザちゃんに似合うよなーって考えてた! ローザ:やったぁ!ありがとうネーロ兄様、だぁい好き♡ ネーロ:(恥ずかしい)あああああぁ…!! ヴィオラ:だからローザの目は見るなって…。 警官:……。 警官:(N)こいつは使える。そう思っていた時には、既にラガッツァに手が伸びていた。 0:  ローザ:あ、そうだわお巡りさん!無事事件も解決した事だし、報酬をいただいてもきゃっ!? ネーロ:えっ? ヴィオラ:! 警官:…へぇ、本当にこうすりゃ洗脳出来ないらしいな。 ローザ:やだちょっと、見えないじゃない!離して! ネーロ:ローザちゃん!? 警官:(銃をローザに突きつける)動くな。 ネーロ:貴方、何してるんですか!? 警官:最初から何もかも予定が狂ったが…こいつは良い収穫が得られた! ローザ:はぁ!? ヴィオラ:…そう言えば、お前だったな。あの脅迫状の送り主は。 ネーロ:え…!? 警官:何だ気付いていたのか。ああそうさ、あのオーナーのやった事を自白させて私の手柄として逮捕するつもりだったんだ! 警官:探偵を雇われるのも、恨みを買いすぎて先を越されるのも想定外だったがな! ネーロ:(心の声)何したんだよオーナー…。 警官:だが思い出したよ。このラガッツァの顔…無差別連続誘拐事件の犯人、アンジェリカ・ベルルッティがこんな所に来るなんてな! ローザ:っ…!! ネーロ:犯人って…その子はまだ12歳の子供だぞ!? ヴィオラ:この国で刑事責任が問われるのは14歳からだ。今捕まえたって意味ねぇよ。 警官:こちとら警察だ、そんな事は知ってる!だがこのラガッツァをうちに置いとけば、シラを切る犯罪者共が全員従順な犬コロになる訳だ! ローザ:ちょっと、勝手に話を進めないで下さらない!?協力だけって、もう貴方の上司さんとは話が通ってましてよ!? 警官:いいや、足りないな!お前がうちに居た方がこのイタリアの為だ! 警官:どうしても嫌だと言うなら、この場で撃ち殺すまでだ! ローザ:っ…。 ネーロ:…ど、どうしましょうヴィオラさん…。 ヴィオラ:面倒臭ぇ事になったな…。 0:ヴィオラが能力を使い、ローザにテレパシーを送る。 ヴィオラ:ローザ、平気か? ローザ:これが平気に見えまして!?早く助けて下さいな! ヴィオラ:悪いがまだ説得に時間がかかりそうだ。ジャッロやアズーロが居れば強行手段も取れただろうが…。 ローザ:そいつの脳内で大声出せばいいじゃない!よくやってるでしょう!? ヴィオラ:ダメだ。下手に刺激して引き金を引いちまったら、死ぬのはお前なんだぞ! ローザ:うぅ…アンジェリカはもうお終いなのね…。 ヴィオラ:諦めるな。そいつの指の隙間から、何か見えたりしないか…? ローザ:…指の、隙間…? 0:  ネーロ:警察が脅迫なんて何考えてるんだ!それもこんな子供相手に! 警官:うるさい!より大きな悪を滅するには、多少の規律は破らねばならんのだ! ネーロ:そんな屁理屈…! ヴィオラ:よせネーロ、今は刺激するな。 ネーロ:でも…! ヴィオラ:もう少しだけ時間をくれ。こいつをどうにかする方法があるはずだ…! ネーロ:(心の声)…ヴィオラさん、もしかしていつになく焦ってる…? 警官:私はお前達の事を想って言ってやっているんだ。このラガッツァは実の親を破滅させた疫病神だぞ? ローザ:…! ネーロ:え…? 警官:その洗脳術を使って、両親が破産するまで金を使わせた上に自殺にまで追い込んだんだ。 警官:そうなる前に我々警察で教育し直してやると言っているんだ! ヴィオラ:おい、それ以上はよせ。 警官:はは、何だ知らなかったのか? ヴィオラ:違う。それはそいつの一番触れちゃいけないとこだっつってんだ。 ネーロ:ローザちゃん…。 ローザ:……。 警官:ふん、知った事か。どうせ洗脳以外は何も出来ない役立たずだ。目を封じさえすればいいんだからな! ヴィオラ:おまっ…。 ローザ:…………。 ネーロ:っ、お前なんかに、ローザちゃんの何がっ…! ヴィオラ:ネーロ、下がってろ。 ネーロ:え…? ヴィオラ:お前…うちで一番キレさせちゃダメな奴をブチギレさせたな…。 警官:あ? ローザ:こいつを縛り上げなさい。 0:ローザの声を合図に、木の蔓が警官を縛り付ける。 警官:な、何だ!?か、観葉植物が…こんな所まで…!? ローザ:…やだ、服に変なシワが着いちゃったわ。後でアイロンかけ直さなきゃ。 警官:くそ、貴様っ…! ヴィオラ:…確かにそいつの能力は、目さえ見なけりゃ効きゃしない。 ヴィオラ:だがそれは、目を持つ生き物だけの話だ。 警官:何だとっ…!? ローザ:…あらぁ?お巡りさん、その変な格好はなぁにぃ?ふふ、ダッサーイ❤︎ 警官:く、苦しい…離せっ…。 ローザ:ねぇお巡りさん、疫病神って誰の事?役立たずってぇ、誰の事ぉ? ネーロ:わ、わわっ…。 ヴィオラ:終わったな、あの警官…。 警官:あ、がっ……。 ローザ:ねぇお巡りさん、その役立たずな疫病神に無様に縛り上げられてるおマヌケさんは何処の誰かしら?ねぇ、お巡りさん? 警官:…化け、物…がっ…! ネーロ:これ、まずくないですか?と、止めないと…! ヴィオラ:分かってる。俺が落ち着かせるから、って…! ネーロ:ローザちゃん! ヴィオラ:待て、ネーロ! ローザ:あらネーロ兄様、ご覧になって!自分が正義だと思い込んでるおバカさんの磔(はりつけ)ショーですって!あはは、カッコ悪ぅい❤︎ ネーロ:ローザちゃんもういいよ、それ以上は死んじゃう! ローザ:えぇ〜、この程度で死んじゃうのぉ?思ったより警察も貧弱って事かしらぁ?あはは、ザァ〜コ❤︎ ネーロ:ローザちゃん…! ヴィオラ:(心の声)クソ、ローザの奴俺の呼び掛けに応えやがらねぇ。ガチギレじゃねぇか…! 警官:うぐっ…。 ローザ:ねぇお巡りさぁん、こんな役立たずの疫病神に手も足も出ないって、どんな気持ち? ローザ:どんな気持ちなのかしらぁ?ねぇ、ローザに教えて下さいな❤︎あはは、あははは! ネーロ:……。 ヴィオラ:(心の声)ダメだ、間に合わない!こうなりゃあいつの脳内で大声を…! ネーロ:(被せて)やめろって言ってるだろアンジェリカァ!!! 0:ネーロの怒鳴り声と共に、観葉植物が警官を離して元の形に戻る。 警官:(床に落ちる) ローザ:……え? ネーロ:やりすぎだ!僕等はただの探偵なんだぞ!?いくら悪人だからって、ここまで脅さなくたっていいだろ!! ローザ:……。(ぽかーん) ヴィオラ:……。(ぽかーん) ネーロ:…あれ、木が無くなってる…? ヴィオラ:……そう言やネーロ、実はめちゃくちゃ声デカいんだったな。 ネーロ:え?そ、そんなにですか? ヴィオラ:うん、今の割とビビった。最初に会った時もだけど…。 ネーロ:わーっ!!それは忘れて下さい!! ヴィオラ:…おい、ローザ? ローザ:あ…。 ネーロ:だ、大丈夫?ごめんね、大きな声で怒鳴っちゃって…。 ローザ:……。 ヴィオラ:…とにかく、この馬鹿も拘束しといて、と…。 警官:(泡を吹いて気絶してる) ネーロ:…ねぇ、ローザちゃん?大丈夫? ローザ:…うっ。 ネーロ:え。 ローザ:ネーロ兄様…怖かったぁ〜!うぇ〜ん! ネーロ:わああごめん!ごめんって! ヴィオラ:ほっとけネーロ。どうせ嘘泣きだ。 ネーロ:いや、でも…! ローザ:ローザいい子にするから、怒らないでぇ〜! ネーロ:だ、大丈夫だよ。もう怒ってないよ! ネーロ:そうだ!事件も無事解決したし、帰ったらジェラート買いに行こ! ローザ:(ケロッとして)本当!?約束よネーロ兄様、美味しいジェラートたぁ〜っくさん買って頂戴ね♡ ネーロ:えっ…。 ヴィオラ:言わんこっちゃない…。 ローザ:あ、そうだわ。 ネーロ:え? ヴィオラ:ん?おいローザ…!? ローザ:(警官を突然往復ビンタする) ネーロ:ちょ、何してんの!? ローザ:他のお巡りさん達が来る前にこの人を起こさないと、結局お金が貰えないじゃない! ネーロ:あー…。 ヴィオラ:…まぁ、暫くほっとくか。どうせ圏外で、ビアンコとも連絡つかないしな…。 ネーロ:…ヴィオラさん。 ヴィオラ:ん? ネーロ:あの警官の言ってた事って…。 警官:(回想) その洗脳術を使って、両親が破産するまで金を使わせた上に自殺にまで追い込んだんだ。 ヴィオラ:…ネーロと一緒だよ。 ネーロ:え? ヴィオラ:きっかけが無きゃ、最初は誰だって異能の自覚なんて持てやしない。 ヴィオラ:アンジェリカはただ…、子供にありがちなワガママを言っていた。それだけだよ。 ネーロ:…じゃあ、誘拐は…。 ヴィオラ:家族が欲しかった。自分を残して去った親の代わりが、な。 ネーロ:…そう、だったんですね…。 ローザ:ねぇ兄様どうしましょ!このお巡りさん全っ然起きて下さらないわ! ローザ:こうなったら、この人の細胞達に命令して…。 ネーロ:わああ何か物騒な事しようとしてる!待った待った、依頼料ならもう貰ってるから! ローザ:……え?貰った、って…どなたから? ヴィオラ:殺されたオーナーからだよ。クソ野郎だし間に合わねぇから、前金だけ受け取ったんだとさ。 ローザ:…ひ、ひっどぉ〜い!知ってて黙ってたのね!? ネーロ:ご、ごめんね…。 ヴィオラ:最近お前が調子乗ってるから、根性叩き直せって言われたんだよ。 ローザ:分かったわ、どうせヴェルデ姉様の言いつけでしょ!? ネーロ:いや、それが…ロッソさんに、ね…。 ローザ:…え…ドン、に…? ヴィオラ:ヴェルデもドンに言われりゃ、逆らえない所あるからなぁ…。 ローザ:……。 ネーロ:と、とりあえず…無事終わったって事で、僕ホテルの電話借りてきます! ヴィオラ:ああ、頼む。 ローザ:……。 ヴィオラ:ん?何だよローザッ…!? ローザ:ああ良かったぁ、やっとローザの目を見て下さったわねヴィオラ兄様! ヴィオラ:ローザ、てめっ…! ローザ:調子に乗ってたのは反省しなきゃだけど…ちょっとムカムカしちゃってるからぁ、ローザのお願い聞いて下さいな❤︎ ヴィオラ:(心の声)まずいっ…俺の能力をネーロにバラさせる気か…!? ネーロ:電話繋がりましたー!ジャッロ君の仕事が終わり次第、すぐに迎えに来てくれるって…。 ローザ:あ、ネーロ兄様おかえりなさーい!そのまま動かないで下さるぅ? ネーロ:えっ…。 ローザ:さ、ヴィオラ兄様っ♡ ヴィオラ:ネ、ネーロッ…。 ネーロ:え、ヴィオラさんまさか…ローザちゃんにっ…!? ヴィオラ:っ……。(ゆっくりネーロに近付く) ネーロ:ヴィ、ヴィオラさん…!? ヴィオラ:…ぼ、僕っ…ほんとはネーロたんに嫌われるのが怖くて怖くてしょうがない臆病者なんでちゅぅ〜…。 ネーロ:……え? ヴィオラ:っ〜〜〜!!! ローザ:あはははは!やだヴィオラ兄様ったら、まるでバンビーノだわぁ! ローザ:とぉっても可愛らしくてよぉ?あはははは!! ヴィオラ:てめぇマジで後で覚えてやがれ…!! ローザ:やだぁ〜こわぁ〜い♡怒った顔なさらないで、ローザの頭を撫でて下さいな? ヴィオラ:(急に爽やかに)分かったよローザ。ほら、よしよし。 ローザ:うふふ、ヴィオラ兄様だぁ〜い好き♡ ネーロ:……。(ここから心の声)…やっぱりローザちゃん、怖いなぁ…。 警官:(N)こうして数時間後、応援に来た警察達に私は逮捕されてしまった。 警官:(N)叩き起こされた後すぐにあのトライセイ探偵団の話をしたが、その時には既に彼等の姿は何処にも無かった。 警官:(N)外は吹雪が止んだばかりで、周囲に人間の足跡は一つも見当たらなかったと言う…。 0:――――(ここからは朗読不要のおまけ。イタリア語の解説です)―――― 0:  0:ジョイエリ デラ トライセイ=トライセイの宝石達 0:ネーロ=黒 0:ヴィオラ=紫 0:ローザ=ピンク 0:ジャッロ=黄 0:ジャポネーゼ=日本人 0:ファッチア・ディ・べべ=童顔 0:ラガッツァ=女の子 0:オッキオ=目 0:アズーロ=青 0:ビアンコ=白 0:ヴェルデ=緑 0:ロッソ=赤 0:ドン=ボス 0:バンビーノ=幼児、赤ちゃん