台本概要
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タイトル | 聖なる靴下(セイントソックス) |
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作者名 | 801らぃと (@puchin_smile) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 7人用台本(男2、女1、不問4) ※兼役あり |
時間 | 80 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
「クリスマスは、奇跡が起こるんだーーー」 と言うことで、奇跡が起きた。クリスマス…になんとか…間に合いました。801らぃと。3作目台本…です。。。 序盤などは、コメディ要素もあります〜 ただただ、キャラ設定濃くしたは良いが回収しきれてまてん…変態なキャラクターが描きたかった。後悔はない← 7人キャラ出てますが、兼ね役にして人数減らしても大丈夫かと思います。。 性別設定してますが、語尾変えて男女逆転して演じていただいても構いません。 クリスマス…っぽいSEとか音楽あるとエモいと思ったので、ちょっとSE設定も入れてみましたまる。思い思い自由にどうぞー楽しんでくれたら嬉しいです〜 もし、台本使ってくれたら、こっそり教えてもらったら嬉しいです…∩^ω^∩ 290 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
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ノエル | 不問 | 96 | 少女または少年 クリスマスが嫌い、だから自分の名前も嫌い、グレて非行に走る。家族はいない。 一人称「あたし(または僕)」 好きな靴下は“クルーソックス” |
クロス | 男 | 102 | クロス:サンタクロース(パリピ)ノエルと出会った時は、少年(青年)。小人の魔法で姿を変えられてしまった。若い姿だとサンタクロースとしての魔法が三分の一しか使えない。 なんとかクリスマスまでに、自分の姿を戻すことと小人たちが靴下を皆んなの元へ返すようにトナカイと一緒に躍起になる。 好きな靴下は“ブーツソックス” |
ヒイラギ | 男 | 50 | トナカイ。 クリスマスの時以外は人型で過ごす。クロスの相棒。クロスを尊敬している。浄化(魔除け)の魔法が使える。 好きな靴下は、人型化の時“アンクルソックス” トナカイ化の時“フットカバー” |
ポイン | 不問 | 57 | 小人の妖精1号。セチアの相棒。片方の靴下を隠す習性がある。いたずら魔法が使える。 基本陽気な性格。靴下が酷い扱いを受けているのを見ると失神するくらい、靴下が好き。ハイソックスの拘りが強く、暇さえあればどこかの高校にいき、ハイソックスをチェックしている。 靴下は全般好きだが、特に好きな靴下は“ハイソックス” |
セチア | 不問 | 53 | 小人の妖精2号。ポインの相棒。片方の靴下を隠す習性がある。いたずら魔法が使える。普段は大人しめな性格…ニーハイについて責められたら、とんでもなく怒って収集がつかなくなる。ニーハイを見たときは、普段の性格からは想像もつかないくらいの饒舌になり興奮しだす。 靴下全般好きだが、特に好きなソックスは“ニーハイソックス” |
リース | 不問 | 46 | リース(小人王):小人界の王。小人たちはみんな我が子だと思って可愛がっている。魔法:小人達に命令が出来る。拾ってきたものをオーナメントに出来る。小人達が集めたものを魔法でオーナメントにして、守りの木である聖木(せいぼく)に飾る趣味がある。 靴下なら何でもいいが、特に好きなソックスは“5本指ソックス” |
クリス | 女 | 36 | ノエルの母(ナレーションも) 編み物が得意 ノエルを1人残して、突然失踪してしまう。 好きな靴下は“アンクルソックス” |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
ノエル:(ナレ)…あたし(僕)の、心の奥底にしまいこんだ、クリスマスの記憶…
0:クリスマスイブの夜、暖炉の前で母と子がはしゃいでいたーーー
0:(過去回想)
0:★SE(いい感じのクリスマス系音楽)
クリス:ノエル!いいわよ!目を開けて!
ノエル:ん…((目を開ける))わぁああ!素敵な靴下!ふふっ!ありがとうお母さん!
クリス:うふふっノエル、お誕生日おめでとう!靴下、気に入ってもらえて良かったわ!今年は、ノエルの好きなデザインにしてみたの!あとこっちの靴下はぁ〜!じゃーん!ほらっ!少し大きめにつくったから、サンタクロース様もきっと素敵なプレゼントを入れてくれるはずよ!
ノエル:わぁあ!とっても可愛い!ありがとうお母さん!ノエル、毎日使う!えへへっ、サンタさんもどんなプレゼントくれるんだろ〜!楽しみだなぁ〜
クリス:そうねっ!ツリーも飾ったし、お祝いしましょう!あ、ちょうどラザニアも焼けたわね…食べましょうか!
ノエル:わぁーい!ノエル!お母さんのラザニア大好き〜!
0:ディナー後
0:少し間
ノエル:お母さん…はい!ノエルからも!クリスマスプレゼントだよ!靴下!
クリス:えぇぇ!ノエル!自分で編んだの?!上手〜!さすが私の子ねっ!
ノエル:えへへぇ!お母さんみたいに綺麗に編めなかったけど…お母さんもサンタさんからプレゼントもらえるといいなぁって思って、編んだんだぁ
クリス:っノエル…あなたはなんて優しい子なのっっ!
0:母が子に抱きつく
ノエル:ふふっお母さんっ…!苦しいよぅ…!
クリス:あっ…ごめんなさい!ふふっ…つい、嬉しすぎて力が入っちゃったわ…!でも、それだけ、嬉しいのよ……靴下、大切にするわ
0:少し間
クリス:ノエル…どうかこれからも編むことをやめないで…クリスマスを愛してね
0:(回想終了)
0:
0:少し間
0:
ノエル:ナレ))…あの時が最後のクリスマス……あの後…((悲しみと諦めが交じったように))ふっ………だから、あたし(僕は)はーーー名前も、クリスマスも…“大嫌い”なんだよーーー
クロス:((タイトルコール))「聖なる靴下(セイント・ソックス)」
0:本編開始
0:★SE(人混みガヤガヤした感じの音など)
ノエル:((くしゃみ))はっくしょん!んぅああ!さっぶいっっ!!なんでこんなさみぃ日に仕事入れるんだあの店長、マジで靴下に穴空いたれ!基本人員不足なんだからクリスマスとか関係ないし!みんなクリスマスとかのんきに楽し(むなし!)
クロス:((セリフ被せるように))おぃ!待て!くそ…ヒイラギ!そっちいったぞ!ちっ…
ノエル:ん?
0:ノエルが、荒げた声のする方向をみるーーー
0:閉店した古着屋店の古着屋回収BOX前
ヒイラギ:はい!クロス様!おいっ…動くな!逃がしませんっ!
ノエル:なにあれ…古着屋の回収BOX前で何やってんだ…大の大人二人が…追いかけっこ?ははっ…まぁクリスマスの過ごし方は色々あるし…………関わらないでおこう。
0:
0:帰宅途中(暗い夕方)
ノエル:さむ…疲れたぁあ…クリスマスイブってだけで、なんであんな忙しさが桁違いなわけ…?意味不明すぎ…これが明日もなんて…考えたくない…みんなも分かればいいんだ…クリスマスなんてロクなもんじゃ(ないこと…)
クロス:あー…もーむりだぁああ…
ノエル:ん?なんか既視感のある声が…
0:頼りない声のする方向へ目を向けるーーー
0:閉店した古着屋店の古着回収BOX前にて
ヒイラギ:クロス様、もう一回探しましょう。まだ間に合います!
クロス:ヒイラギ…まだ、間に合うと思うのか……ほんとだな!?お前を信じるからな!
ヒイラギ:ええ!まだ間に合います。ですから、まずは服を着てください、風邪を引きますので…
クロス:よし!分かった。そうと決まればっ…どれがいいかなぁ〜
0:
クリス:ナレ))古着屋の回収BOX前で、パンイチの男が回収BOXを漁り、執事のような男がそれを見守るというなんとも異様な光景を、ノエルは物陰から目の当たりにする
ノエル:あれ…昼間にいた奴らじゃ…は?…古着泥棒?…ってかなんでパンイチ?うわ…関わったら終わりなやつだ…逃げな(きゃ…!)
クロス:((被せて))クロスセンサーぁああ!
ノエル:ヒッ…!!!
ヒイラギ:?…どうされました?クロス様。
クロス:クロスセンサーが反応した…おい…近くにいるぞ…こんな早く見つかるとは運がいい…!ははっ!ヒイラギの言った通り、間に合うかもしれんな!!
ノエル:何言ってんだ、あのパンイチ男…!とにかく早く逃げな(いt…)
0:突然ノエルの目の前にパンイチ男がーーー
クロス:((被せて))お嬢さん(お兄さん)!今宵のクリスマスは空いてま(すかっ?)
ノエル:うわぁああああああ!!!
0:★SE(殴る音)
クロス:ふぐぉあjふぇえ!!…ぐはっ…
クリス:ナレ))ノエルのグーパンがパンイチ男のボディにクリティカルヒットし、殴り飛ばした
0:
ヒイラギ:((ため息))はぁ…クロス様…だから服を着てくださいと言ったのに…
0:執事がパンイチ男の介抱およびノエルに交渉後ーーー
0:少し間
クロス:いやぁ、君のグーパンすごいねぇ…この私でも結構効いたよ〜
ノエル:あんたが突然驚かすのが悪いんだ!しかもパンイチで!…あれは、正当防衛だ!
クロス:ははっ…小人に服を持っていかれちゃってさ…驚かせるつもりはなかったんだ…悪かったねぇ…ちょっと君と話をしたくて!それで声をかけたんだ
ノエル:小人?ってか話って、さっき言ってたなんとかセンサーのやつ?
クロス:そうそう!なんだ〜聞こえていたのか。じゃあ話は早いね…
クロス:君…今夜暇かい?
ノエル:((間髪入れずに))ただのナンパじゃねぇか!
クロス:ちょっ…失礼だなぁ!最後まで話を聞いてくれよ!((咳払い))…もし暇でなくとも、今夜は私と付き合ってほしい。クリスマスを守るために。…単刀直入に言おう、小人達が暴走して、クリスマスを壊そうとしているんだ。
ノエル:…はぁ?クリスマスを、守る?ちょ、ちょっと待て!さっきから出てくる小人ってあれ…?いつも片方の靴下を隠すようないたずら好きの性格で、クリスマスにはサンタの配るプレゼントをサポートするっていう、言い伝えの…?
ヒイラギ:えぇ…今年も例年通り、プレゼントの情報収集からサポートして頂いてたんですが…
クロス:あぁ…クリスマス直前になって…みんなが用意した、プレゼントを入れてもらうための靴下を隠すようになったんだ…あの靴下が用意されていないと、私達もプレゼントを届けられなくてなぁ、困っているんだ…
ノエル:え…この話の流れからすると?
クロス:ん?あぁ…申し遅れたね、私はこんな姿(なり)だがサンタクロースで、名をクロス、執事服の彼は、トナカイで、名をヒイラギだーーー信じてもらえないだろうが。
ノエル:サ…サンタに…トナカイ?あっはははははは…あんたら頭大丈夫か
0:少し間
クロス:((咳払い))信じられないのも無理はないさ!我々は本来、隠された存在だからね…この際信じきれなくてもいい…あまり時間もないんだ…君にしかお願いできないことなんだ…
クロス:お願いだ、ノエルーーー君が一緒に来てくれたら、クリスマスを守ることができるんだ…
ノエル:えっ、なんであたし(僕)の名前…
クロス:ヒイラギ。
ヒイラギ:はい。こちらをご覧ください。
0:執事服の男から一枚の写真を渡されるーーー
ノエル:?…っ!…この写真、あたし(僕)と母さんじゃないか!なんであんたらが持ってるんだ?!
ヒイラギ:…
クロス:…これは私の師匠…先代のサンタクロースが持っていたものだ。
ノエル:…は?
ヒイラギ:あなたのお祖父様は、サンタクロースだったんですよ。
ノエル:…は?あたし(僕)のじいちゃん?が、サンタ?…ははっあはははっ!もっと意味不明なんだけどっ!
クロス:ノエル、君のお母様が行方不明になったとき、師匠っ…君のお祖父様も、血眼になってお母様を探したんだ…ある時、「行方の手掛かりになるものを見つけた!」と言って、探しに出たきり、そのまま…私の元へも…帰ってこなかった。
ノエル:…なんだよ、それ…じいちゃんがサンタクロースなんて話も聞いたことないし。
クロス:…ずっと…君に会って、この話をしたいと思っていたんだ…でも、先代がいなくなったことで私が跡を継いだら、なかなかこちらにも来れなくなってしまって…本当に、すまなかった…!ずっと…独りきりにさせてしまった…
0:少し間
ノエル:ははっ…なんだよ…!今更…!いきなり会うなり、意味の分からないことを言いたい放題言いやがって!
クロス:…
ヒイラギ:…
ノエル:っ仮にだ…!あんたらの言ったことが本当だとしても…もう、終わったことだ……そうだよ、ずっと独りだったさ。…靴下を贈りあったあのクリスマスが…母さんとの最後の、思い出だ。ははっ…朝起きたら、プレゼントはおろか、母さんもいなくなってたんだからな…!…待っても帰ってこなかったんだ…幼心に思ったよ、捨てられたんだって。
クロス:それはちが(うっ)ーーー
ノエル:違わないよ!最悪のクリスマスプレゼントだった。あの日からだよ、クリスマスが大嫌いになったのは…あれから、ずっと…今も、これからも…。
クロス:…
ヒイラギ:…
ノエル:クリスマスが嫌いだから、別にどうなろうと…あたし(僕)は、関係ないし!
あははっ、むしろ爆発しろって思っていたくらいだから、ちょうどいいし!
クロス:…ノエル
ノエル:それに…あたし(僕)にしか出来ないことなんて…特別何もない(し…)
クロス:((被せるように))そんなことはない!ノエル…君は知らないだけだ…!君にしか出来ない特別な力も、お母様のことも!
ノエル:…母さんのこと、何か知ってるのか?あたし(僕)の力ってなんなんだよ…
クロス:…師匠によれば、小人界(こびとかい)にお母様の手掛かりがあるようなんだ…一緒に、探しに行かないか?ノエルにしかできない聖編み(ひじりあみ)の力が、今回の小人の暴走を止めるのにも必要なんだ…
ヒイラギ:ノエル様、補足説明いたしますと…聖編み(ひじりあみ)とは、選ばれた血筋の者が代々受け継がれる聖なる力であり、その者が編んだものには、特別な力が宿るとされています。小人の住む小人界(こびとかい)には、聖なる靴下(セイントソックス)と呼ばれる、小人たちから崇(あが)められている靴下があり、その靴下が劣化した際の修復に聖編み(ひじりあみ)が不可欠なのです。
ノエル:…今の話からすると、あたし(僕)の家系がその聖編み(ひじりあみ)を受け継いでいると…じゃあ、母さんは修復のために小人界に行って…そのままってこと?
ヒイラギ:…
クロス:すまない…詳しくは分からないんだ…今回の暴走は、聖なる靴下(セイントソックス)の劣化による綻びで起きたものなのは確かなんだが、ノエルのお母様が修復しに行ったとしたら、今回の暴走が起きることはないはずなんだ……修復は50年に一度くらいだから。
ノエル:じゃあ…母さんは…どこに…。
クロス:それを、一緒に確かめるんだ…どちらにせよ、ノエルには聖編み(ひじりあみ)でその綻びを直して欲しいんだ。…ノエル、一緒に来てくれるね?「クリスマスなんてどうにでもなれ」という願いは、君の本心ではないのは分かっている……私は、これでもサンタクロースだからね、お見通しだ。
ノエル:………情けないな声で、「もうダメだ〜」って言っていた人が…サンタクロースなんだ…
クロス:ぐっ…そこも聞いていたのか…。あれは仕方ないんだ!今の私は、サンタクロースとしての本来の姿ではない。小人たちのいたずらで力をサンタの魔法が三分の一程度しか使えないんだ…そんな状況なら私でも些か(いささか)心配になるだろう…
ノエル:あ、昼間…二人で鬼ごっこしていた時に、小人がいたの?
ヒイラギ:左様でございます。あの時、私達と仕事をしていた小人を捕まえ、情報を掴もう(つかもう)としたのですが…逃げられまして…しかも逃げ際にクロス様の魔法と……服を…
クロス:…今日の真夜中には、プレゼントを配るっていう大仕事が残っているんだ…あいつら、次見つけたら、ソリにくくり付けてぶら下げてやろうか…
ヒイラギ:クロス様、そんな罰では優しすぎます。奴らのコレクションも燃やすのはいかがでしょうか?
クロス:なるほど…あいつらにとっては一番効くかもなぁ。流石だ、ヒイラギ!
ヒイラギ:いえ、クロス様にしたことを考えると、それくらい罰を与えないと…!
クロス:あぁ、変質者扱いされてグーパンももらったしな。
ノエル:それは…!…あたし(僕)も悪かったよ!……あー、もう!うじうじ考えるのは、あたし(僕)らしくない!…あんたらほんとうに、本物のサンタとトナカイなんだね。…あたし(僕)の本心が見透かされてるなら、今更何を取り繕ったって無駄だろうな……いいよ。小人界、あたし(僕)も一緒にいく。母さんがどこへ行ったのか、なんで居なくなったのかをこの目で、自分で確かめる。…聖編み(ひじりあみ)とかできるかは知らんけど、どうせ行くならちゃっちゃと編み直してやるよ…聖なる靴下(セイントソックス)だっけ?普通の靴下と特に変わらないなら、多分編めると思う。だいぶ前に編んだっきりだけど。
クロス:それは本当か!!!
0:クロスは、ノエルの手を握る
ノエル:うぉわ!ちょ…手っ!
クロス:ありがとう、ありがとうノエル!!一緒に行こう、小人界へ!そうと決まれば!善は急げだ!!!……君、ハイソックスは持っているかい?
ノエル:は?ハイソックス?あるけど、そんなもの(なんで…)
クロス:((食い気味で))履いて来てくれないか!
ノエル:…は?
ヒイラギ:……クロス様、説明を端折り(はしょり)すぎて、また変態だと思われます…
0:少し間
0:場面転換
0:★SE(のんきな音楽な感じ)
クリス:ナレ))とある高校の放課後にて。その高校の屋上に、小さな靴下ハンターの姿が…二つ。そのうちの片方が、狙いを定めておりました。
ポイン:お?お!おっほぉー!!!
セチア:ねぇ〜ポイン。見つかったー?
ポイン:おう!セチア!あのニンゲンのハイソックス!いいねぇ〜!!あの使い込み具合といい、履き方といい、最っ高だぁ〜
セチア:あっそ…じゃあ、さっさと目星つけて帰ろうよ。僕はもう疲れたよー
ポイン:何を言っているんだセチア!俺はまだ、二足しか見繕ってないんだぞ?!お前は午前中に三足確保して…俺は二足…ほら!不平等じゃないか!だからもう一件見つかるまで、帰るのは待て!
セチア:えー、もう帰ろうよー!僕より少ないのはしょうがないでしょ〜!サンタクロースとトナカイが捕まえようとしてきて、うまく逃げきるのに苦労したんだからさ!元はと言えば、ポインがハイソックスに見惚(みと)れていたせいで、捕まりそうになったんだ。それでポインの時間が減るのは、自業自得でしょー。
ポイン:っ…それもそうだが!でもセチアが悪いんだぞ!自分の持ち時間が終わったのに、ニーハイソックス探してて!…あの時間は、セチアが見張り役だったはずだぞ!セチアのせいで、サンタの野郎たちに後をつけられていることに気づくのが遅れたんだ!
セチア:なっ…僕が悪いって言いたいのか?!
ポイン:あぁ、ニーハイを探していたセチアが悪い!そう言ったさ!
セチア:…ポインには毎度説明しているけど、どうして分かってくれないんだ…((淡々とガチギレな感じ))
ポイン:あ……やばっ……
セチア:ハイソックスよりニーハイの方が、履いているニンゲンの人口が少ないって、僕何回も言っているよね?
ポイン:セチアっ、違うんだ!セチアの意見を否定したいわけではなくて…落ち着こう、一回話し合おう!な!
セチア:そうやってまた僕の話を聞こうとしないで…今回こそはそうはいかないよ!(大体君は…)
ポイン:((被せて))見てくれセチア!!ニーハイ特集記事だぞー!!
セチア:((饒舌に))ぅおあああ!どれどれどれぇええ!!!うっひょぁあああ!!!………ほぉっぁあああ…ちょ…この編集者、目のつけどころ良いと思わない??僕は、こっちのニーハイの方が、引き締め感があっていいと思うんだけど!ポインはどっちがいいと思う?!
ポイン:………セチアが良いと思った方かな?
セチア:…ポイン………ニーハイソックスの良さ、分かっているじゃないかぁ〜
ポイン:そ、そうかな?あはは…セチアと一緒で嬉しいや〜(心の声:あっぶねぇ〜セチアを怒らすと収集つかないんだよなぁ…靴下雑誌にニーハイ載ってて良かったぁ…!ニーハイよりもハイソックスの方が断然いいだろうが!なんでセチアも分っかんないかなぁ〜)
クロス:私はブーツソックスが良いと思うんだけどね〜!
0:突然、クロスがポインの背後から現れる
ポイン:どわぁあああああ!!!!
セチア:((ポインの声に驚いて))ウワァアアアア!!!急に叫ぶなよポイン!今いいとこなんだ…から…っ!?
0:セチアが、クロスの存在に気づく
ポイン:サンタの野郎!!てめぇ!なんでここにいるんだ!!まさか、また後をつけて!
クロス:君たちの趣味を知っていれば、いるところなんて大体の検討がつくよ。
ポイン:くっ…俺たちの趣味を逆手に取るとはっっ!なんと卑怯な!!
セチア:ポイン…早く逃げよう!
クロス:そうはさせないよ!ヒイラギ!!!
ヒイラギ:はい。これを見なさい!!
ポイン:?あれは…クルーソックスか?
セチア:片方だけ…じゃないか…それがなんなんだよ!!
ヒイラギ:ハァーー……ふんぬっ!
クリス:ナレ))ヒイラギが持っていたのは、片方だけの靴下。それを思い切り引きちぎったのです。
セチア:な!突然なんだよ!……あっ!?まさか!ポイン!?
ポイン:あぁ…靴下を…そ…んな…ひどっ…い…
0:★SE(倒れる音)
セチア:ポインーーー!おい、しっかりしろっ!ポイン!ポイン!!…っおい、卑怯だぞ!気絶させるために靴下を破いたな!靴下に罪はないのに!
クロス:はい、つーかまえた♡
セチア:なっ…やっぱり僕たちを捕まえることが目的か!何をさせようっていうんだ!
ヒイラギ:ですから、朝からお願いしていますよね、小人界に案内してほしいと。
セチア:それは無理だと言ったじゃないか!王様の許可が降りないとダメなんだって!
クロス:あははっ!そうかー…じゃあ言い方を変えようかな。……連れていくんだ、私達を小人界に。
セチア:なっ……ぷはは!そんな脅しをしたって無駄だぞっ!サンタの魔法は、僕たちがいたずらしてほぼ使えなくしたはずだ!今更どうこうできることもないだろ!
クロス:……私の魔法も今夜までには戻してもらう…ヒイラギ。
ヒイラギ:はい。これらが、どうなっても構わないと?
セチア:?……なっ…なななななっっ!!!
クリス:(ナレ)ヒイラギが、持っていたのは、ポインとセチアのーーー
セチア:なぜ…お前達がそれをっ…
ポイン:…うっ…俺は…何を…気絶してたのか…?
セチア:っポインーーー!!
ポイン:なっ、どうしたんだよセチアっ!!大泣きしそうな顔して…ってーーーーあ!サンタの野郎、てめぇさっきはよく…も………おぃ…なぜそれを!あっ、あぁああ!待てっ…それをどうするつもりだぁああ!!
クロス:…さぁ?どうするかは、君たち次第だねぇ〜私をかなり侮って(あなどって)いるようだけど…君たちの秘蔵コレクションを、どうとでもできるくらいには…私にも力があるってことさ。さぁ、私達を小人界に案内してくれるかい?
ポイン:くっ…ちっくしょう…
セチア:うっ…ずびっ…ポイン…
0:少し間
ノエル:…あたし(僕)は一体何を見せられているんだ?
ヒイラギ:これは、男と男の駆け引き…というやつですかね。ノエル様には縁遠い話かと。
ノエル:あぁ…そう。(心の声:ツッコミが追いつかねぇよ)…((咳払い))んんっ…ハイソックス履いてくれだの、要らない靴下をくれ、だなんて…普通に聞いたらやばい奴だって、不審に思うのが妥当だけど…いつもあいつ、説明不足なのか?
ヒイラギ:えぇ…ハイソックスを履いて小人の注意を引く囮(おとり)になってほしい…小人の一人を気絶させるために靴下を分けてくれ…まで言わないと…周囲から誤解されますよね…私も散々気をつけるように申し上げているのですが、なかなか改善せず…昔からあの方は、あわてんぼうなんですよ。
ノエル:…あわてんぼうの、サンタクロース…
ヒイラギ:えぇ。クロス様は、ただ必死なのです。そこはノエル様もご理解いただけると。でも、いずれ分かると思いますよ、クロス様の良さが。
ノエル:ふぅん…あいつの良さ…ねぇ…
0:少し間
クロス:さぁ…
ポイン:んぁあああ!ちっ…分かったよ!連れて行けばいいんだろ!!
セチア:っ!ポイン!!でも、王様にっ!
ポイン:あぁ…小人以外を連れていくのなら、リース王に事前にお知らせしなければならない決まりだ…だが、時間がない…そうだろ?
クロス:あはは…理解が早くて助かるよ。
ポイン:ちっ…
セチア:え…内緒で連れて行くってこと!?
ポイン:だって、それしかねぇだろ!まぁ、もし見つかっても、俺たちは脅されたんだ!情状酌量(じょうじょうしゃくりょう)の余地はあるだろっ!
セチア:でもっ…
クロス:はい!じゃあ決まりだね!案内、よろしく頼むよ、お二人さん!
ポイン:ちっ!触んじゃねぇ!
セチア:っそうだ!くっつくなー!
クロス:さぁて!…そうと決まれば、まずは私にかけたいたずらを解いて元に戻してくれないか?
ポイン:…わりぃ、今すぐは無理だ。取り返さないと…
セチア:僕たちがとって来たもの全ては、王様に捧げているから。
0:場面転換(小人界にて)
0:★SE(怪しげな雰囲気)
0:王が、聖なる靴下(セイントソックス)を見上げる。
リース:ふふ…ここまで来たか。今宵はとうとうクリスマス…
リース:これが完成し、我が願いが、もうすぐ…ふはははは
0:少し間
0:場面転換
0:★SE(にぎやかな声 街中)
クリス:ナレ))さて…ノエルとクロス、ヒイラギは、ポイン・セチアの案内で、小人界に無事やってきました。
ポイン:おい…あのハイソックスも一緒に来るなんて、聞いてなかったんだが?
クロス:やぁ、すまないねぇ…言ったら断られると思って。ポインがお気に入り認定したハイソックスは、プレゼントして貰ったんだろう?まぁそれでいいじゃないか。
ノエル:おい!プレゼントしたつもりはないし!勝手に話進んでて、むしろ奪われたって言い方が正しいんだけど!!
クロス:まぁまぁノエル〜!無事に小人界へ来れたんだ!靴下の一つや二つは気にしない気にしない〜!あ、ポイン、セチア!紹介しよう。この子は、ノエル!聖編みができるから修復のために一緒に来てもらったんだ。
ポイン:……ふーん、お前…聖編み手(ひじりあみて)か。
ノエル:あたし(僕)もよく分からないけど、こいつがそういうからそうみたい…よろしく。
セチア:だいぶ若い編み手さんだね…そういえば…十年くらい前にも、聖編み手がここに来たよね?
ノエル:ッ!それ、本当??あたし(僕)に似ている?その人どこに行ったか分かる?!
セチア:ぅぇお…ちょ…
ポイン:おい、やめろ!セチアは、基本人見知りなんだ!急に詰め寄ったらびっくりするだろ!
ノエル:っあ…ごめん。
ポイン:セチアの代わりに答えてやるけどよ、来たのは多分本当だ。聖なる靴下(セイントソックス)を修復をしてもらうために、リース王直属の小人達が連れてきたって話を聞いてな。聖編み手がどこに行ったかまでは知らんが…なんだ?知り合いなのか?
ノエル:あぁ…多分、ここに来たのは、あたし(僕)の母さんかもしれなくて…。ある年のクリスマスから帰ってきていないんだ。
ポイン:…そうか…
セチア:…………
クロス:あぁ、だからノエルは探しているんだ…二人とも、何か覚えていたら協力してほしい。
ポイン:そうは言ってもなぁ…結構前だしなぁ。
クロス:あと、なぜ小人たちがクリスマスの靴下を隠す暴走が起こっているのか…知っているかい?
クリス:クロスがその質問を聞いた瞬間、小人達は目の色を変え、妖しい笑みを浮かべて話だしました。
セチア:王様が、僕たち小人にそう命じたからだよ。
ポイン:俺たち小人は、王様の命令には逆らえない…、王様の命令に疑問も生まれない。
セチア:王様は、僕たちの母なる存在…。
ポイン:王様は、俺たちの核なる存在…。
ヒイラギ:っクロス様!!小人達の様子が…
クロス:っな!急にどうしたんだ?!
ノエル:ちょっ…他の小人達も様子がおかしいよ!もしかして、囲まれてる?!
クリス:ノエルがそう叫ぶと同時に、ふと周りを見れば、さっきまで普通だった小人達が目に光を失った顔つきでノエル達を取り囲んでいました。
ポイン:ヒジリアミテ...
セチア:ソノナヲ…ノエル…
クロス:な…んだ?操られている?
ポイン:ツイテコイ…
セチア:ツレテク…
ヒイラギ:はい…恐らく…私たちに気づいたからでしょうね
ポイン:リース王ノモトマデ…ノエル…
セチア:リース様ノモトニ…ノエル…
ノエル:なっ…あたし?!
ポイン:王ガ...ヨンデル…
セチア:王サマ…マッテル…
ノエル:王様が、あたし(僕)を?でもっ…
0:ノエルがクロスを見る
クロス:…ノエル…ポインとセチアからすぐ離れて、私の近くへ来るん(だっ…)
ポイン:イヤデモ…
セチア:ツレテク…
0:同時に(ワラワラと機械的な感じで)※アドリブでもどうぞ。
リース:(モブ小人)ツレテク…ツレテク…ツレテク
ヒイラギ:(モブ小人)ツレテケ…ツレテケ…ツレテケ…
クリス:(モブ小人)ツレテコ…ツレテコ…ツレテコ…
ポイン:(モブ小人)ツレテイケ…ツレテイケ…ツレテイケ…
セチア:(モブ小人)ツイテコイ…ツイテコイ…ツイテコイ…
0:あっという間に、周りにいた小人達がわらわらとノエルだけを取り囲む
ノエル:っ!!クロス!…ヒイラギ!くっ…小人達が重なって見えないっ…うわぁあ…!!
クリス:何人もの小人達がノエルを取り囲み、そしてノエルに覆い被さりました。
クロス:…ノエルっ!どこだ!!
ヒイラギ:クロス様っ!小人達が…
クロス:なっ…なんだ…あれは…
クリス:覆い被さった小人の集合体は、小人達の魔法により、一つの大きな靴下となり、ノエルを靴下の中へ仕舞い込んでしまいました。
クロス:ノエル!…
クリス:クロスは、群がった小人達を掻き分け、靴下の中を覗き込みましたが…中には何もありませんでした。
クロス:くそっ……おい!ノエルをどこへ連れて行ったんだ!
ポイン:…ん?なんのことだ?
セチア:…今…僕たち何してたんだろ…?あれ‥聖編み手の子は?
ヒイラギ:…操られた時の記憶が、ないみたいですね。
0:場面転換
クリス:(モブ小人)王サマ!
ヒイラギ:(モブ小人)王サマァ!
リース:おかえり、我が子どもたちよ…連れて来てくれてありがとう、もう下がってよいぞ。
ノエル:っ!!いったぁ…なんなんだよっ…もう…
クリス:(ナレ)靴下に取り込まれたノエルは、その後、見知らぬ場所へと靴下から吐き出されました。
リース:お主が、聖編み手だな。我が子たちから話は聞いておるぞ…
ノエル:誰だ…?ここは…
リース:まぁ、まずはゆっくりするがよい。時間はまだあるからの。我が名は、リース。この小人界を統べる者…ここは王宮の中の王の間だ。
ノエル:なんで…こんなところに、あたし(僕)が…
リース:突然連れて来られれば、混乱もするだろうな。お主の母上も、そうであった様に。
ノエル:!!母さんを、知っているのか!?教靴下mえて…母さんはどこへいったの?ここに連れて来たのはあんたなんでしょ!!何か知っているでしょ?!
リース:まぁ、そう急かすでない。お主には話さなければならぬと思っておったからな…だからお主だけ連れてきてもらったのだ………さて、どこから話すか……あぁ、でもまずは、靴下を先に直してはくれないか。
クリス:ナレ))王様が指差す方には、大きなもみの木がクリスマスツリーとして飾りつけられた中に、オーナメントとして一層光り輝く大きな靴下があった。
ノエル:でっか…え…あの靴下が…まさか。
リース:あぁ。これが、我が小人界での守り神である聖木(せいぼく)と我らの邪気を払い、安寧(あんねい)へと導く聖なる靴下…セイントソックス…
ノエル:…思った以上の大きさなんだけど。
リース:まぁ、立派なものだろう………見えるかね?あそこに、綻びがあるだろう…?
ノエル:え…どれ??
リース:あそこだ…
ノエル:いやこの距離じゃ分からないわ!
リース:…お主、本当に聖編み手なのか…先行きが心配よ。
ノエル:あたし(僕)、ここに来るまで無理難題言われてきたけど、今が一番腹立つわ…
リース:はっはっは、今まで来た聖編み手の中でもこんな血気盛んな人間は初めてよ…聖編み手は大体は大人しい人間が多いものだ…
ノエル:…確かに…母さんはいつも優しかったな。
リース:ふっ…そうであろう?まぁ、後で近くからでも見れば綻びは分かろうて……あの綻びのせいで我が子たちが暴走したのだ…我々小人は、靴下を隠すいたずら好きな種族でな……クリスマスは、悪い子に恩恵は来ないであろう?
ノエル:あぁ、良い子にしかサンタは来ないっていう…
リース:小人は元々悪い子で、邪気を持つのだ…それをクリスマスの手伝いをして恩恵を受けることで、自分の持つ邪気と相殺(そうさい)させているのだが…その働きを担う聖なる靴下(セイントソックス)が綻んでいると、恩恵を受けても邪気が残ってしまってな。クリスマスがめちゃくちゃになれと思う一部の人間の邪気と相まってクリスマスの靴下を隠すという行動に至らせたのだ。私でさえ止められぬほどの力だ…
ノエル:そうか…そんな経緯が…綻び一つで。
リース:あぁ、小人たちにとって大切な靴下なのだ…直してもらいたい…クリスマスは、まだ間に合うであろう?
ノエル:…分かった。やってみる。昔、母さんも綻びを直したんでしょ?
リース:あぁ、お主の母上にもお願いしたのだ
ノエル:…普通に編めば良いんでしょ?
リース:いや、聖なる靴下(セイントソックス)は特殊でな。裏編みにして縫うようで。…一目(ひとめ)ずつ祈りを込めると、祈糸(きいと)という特別な糸になって、それで編まれたものは浄化の力をもつことから、聖編み細工(ひじりあみざいく)と呼ばれておるのだ。
ノエル:へぇ…
リース:この聖なる靴下(セイントソックス)も…昔馴染みの聖編み手に作ってもらってな…以来ずっと聖編み手に修復してもらっておるのだ。…頼めるか?
ノエル:裏編みか…あんまりやったことないけど出来なくはないよ。…時間ないんでしょ…修復が終わったら、母さんのこと教えてよね。
リース:あぁ、時間は有限だ。終わった後に、お主の母上が来たときの話をしよう。
ノエル:…ところで、どうやって綻び(ほころび)までいけば良いんだ?
リース:あぁ…この靴下を履くといい。魔法がかかった靴下だ。これで宙に浮くことができる。サンタが空を飛ぶのと同じ魔法だ…
ノエル:へぇ…魔法の靴下…これであそこまで飛んで編めば良いんだね。
リース:そうだ…よろしく頼んだぞ。
0:少し間
0:場面転換
クリス:一方その頃、ノエルとはぐれたクロス達はというと…
0:少し間
クロス:ノエルだけ連れて行かれてしまった。どこに行ったかは、検討がつくが…
ヒイラギ:そうですね…恐らく王の御前(ごぜん)に。
ポイン:なんであいつだけ連れて行かれたんだ?俺だってお会いしたかったぞ!
セチア:王様直属の小人ぐらいしか、なかなかお顔すら拝見できないからねぇ…
クロス:ちょっと聞きたいんだが、ポインとセチアも、クリスマスプレゼントを入れる靴下を隠した記憶はあるか?隠したいと思って隠したのか?
ポイン:はぁ?クリスマスの靴下を隠す?…なんでだ?セチア、隠したのか?
セチア:いやいや、僕はニーハイ専門だから!しかも、わざわざクリスマスの靴下を隠すなんて、結構な大事じゃないか!そういうポインは隠してないの?
ポイン:いやいや、俺だってハイソックス専門だから!ましてや、クリスマスの靴下隠すほどバカじゃねぇやい!
0:(同時に)
ポイン:いやいやいやいや(笑)
セチア:いやいやいやいや(笑)
ヒイラギ:…どういうことでしょうか?
クロス:ふむ…君たち以外の小人も同じ考えなのか?クリスマスの靴下を隠すのは御法度(ごはっと)だと。
ポイン:そうだ…俺たち小人が、なんでサンタの野郎たちの手伝いをしているか、分かってるだろ…
セチア:僕らは靴下を隠すいたずらをやめられない。これは僕らの生態であって欲求の一つなんだ。でもクリスマスの靴下は別だよ…
ポイン:俺らも、クリスマスの恩恵は欲しいからな…靴下を隠すことは、悪いことだから…だからクリスマスを手伝って、良い意味でみんなに知ってもらっているんだよ!良い子じゃなきゃ、恩恵は受けられねぇだろうが!
セチア:人間達に僕たち小人が存在するってことを覚えてもらうことがクリスマスの恩恵なんだ!そうでないと…僕たち…
ポイン:あぁ…俺たち…
ヒイラギ:…、つまり…クリスマスの靴下を自分達が隠せば、今までクリスマスの手伝いをしたことも水の泡になる…自分達が隠すことは絶対あり得ないと…
ポイン:そうだ!手伝っておいて、クリスマスプレゼント届けられない様にするなんて、おかしいだろうが!なぁ?
セチア:だったら、最初からやるなって話だよねぇ〜。
クロス:今の話から、一つの仮説が出てきたな…でもこれが本当だったら、ノエルも危ないっ。ヒイラギ!
ヒイラギ:はい、急ぎましょう。クロス様のお力もお返し頂かなくてはですし。
クロス:あぁ、そうだな!時間がない!ポイン、セチア、王宮へ案内してくれ。
ポイン:…なんかよく分かんねぇけど、しゃーねぇ、ここまで来たら案内してやるよ。
セチア:そんなこと言って、本当は王様に会いたいだけじゃないの〜?
ポイン:うるせぇっ!俺はミーハーなんかじゃねぇぞ!
クロス:あはは…じゃあ…小人界の王に、お目通りといきますか!!
0:場面転換
0:少し間
クリス:ナレ))さて、ノエルは、リース王に頼まれ、魔法の靴下を履きながら、修復作業にとりかかりました。
ノエル:近くに来るとそこまで眩しくないもんだ…へぇえ他のオーナメントも凝ってるなぁ…あれ…このオーナメント、私が母さんにあげた靴下のデザインによく似てる……とっっうわぁっっとととと…あっぶな…いけない…集中しなきゃ…浮きながら作業するって、結構難しくないか…?あ、ここだ…本当だ…確かに綻んでいるけど…あと仕上げ前ぐらいまで進んでる…こんな少しでも暴走が起きてしまうのか…まぁ…これを編み直せば良いんだ。編み目、ちょっと触ってみて良いかな
0:そっと、聖なる靴下(セイントソックス)に手を触れた、その時ーーー
クリス:ノエル…
ノエル:っ!!…母さん…の声…どこから!?
0:再び糸に触れる
クリス:ノエル…!あぁ…きっと来てくれると思ったわ…祈糸(きいと)に想いを入れておいてよかった…
ノエル:編み目から母さんの声が…母さんどこにいるの?!…会いたい…会いたいよ…
クリス:ノエル……ごめんなさい…突然いなくなって…あなたを忘れたことなんてなかったわ…私も会いたい…ちゃんと…抱きしめたい…
ノエル:母さん…あたし(僕)…
クリス:ごめんなさい…ノエル…今のあなたに、お願いすることは酷かもしれない…でもあなたしかできる人はいないの…私の声が届くのもあと少しだから…落ち着いて、私の話を聴いて…リース王から、裏編みで修復するように言われているかもしれないけど…それは間違いよ。表編みで編みなさい。裏編みにし…たら……ダ…メよ…
ノエル:母さんっ…あたし(僕)…もっといっぱい話したいこと…ある…のにっ…
クリス:あ…なたは…強い子…でしょう…?編み物も…上手で…優し…い子…大丈夫…私は、すぐ…側で…見守っている…わ…
0:声が途絶える
ノエル:母さんっ…!………((涙を拭う))っ!!母さんが、近くにいる。また、母さんに…褒めてもらうんだ…編み物でっ!
0:少し間
0:場面転換
リース:あの子どもは…何も知らぬ。今宵のクリスマスは…私の望んだ結末になるだろう…ふふ…ふははははは
クリス:ナレ))リース王は、ノエルの修復作業を怪しげな笑みを浮かべながら、じっと一人で眺めていた…その時ーーー
クロス:リース王っ…
リース:おや…?さっきの靴下から…揃いも揃って来たのか…
クロス:えぇ、おはつお目通りかかります。リース王。
リース:…サンタクロースとトナカイが、私に何の用があるというのかね?
クロス:ノエルと私の魔法を返して頂きたく参りました。
リース:…ノエルは、今、聖編みで修復の最中だ…後にしてくれないかな?
ヒイラギ:では、まず先に、クロス様の魔法をお返しください…ここにいるポインとセチアが奪ったものです。今宵はクリスマス、なくてはならない魔法です…。
ポイン:ごめんなさい…王様…
セチア:すみません、王様…
リース:ふむ…我が子たちが迷惑をかけたみたいだな…それは、すまなかった…許してやってくれ…
ポインとセチア…あそこから探して、丁重にお返しなさい。
ポイン:はい!
セチア:はい!
クリス:ナレ))ポインとセチアは、聖木(せいぼく)へと向かい、木をよじ登っていきました。
クロス:王様は、大事なものを飾る趣味なのですね…
リース:あぁ…いつも見ていたいからの…
クロス:ところで、小人たちの暴走…王様は知っておられますか?
リース:あぁ…知っておるとも…サンタクロースの皆々様には、迷惑をかけたと思っている。こうして聖編み手まで連れてきてくださり感謝してもしきれない…
ヒイラギ:なぜ、十年前に修復作業を終えているはずなのに、暴走が起こったんでしょうね?
リース:…
クロス:ポインとセチアに聞いたところ、クリスマスの靴下を隠したことはないと言っていました。他の小人達もそうだと。
リース:……
ヒイラギ:何か、思い当たることでも?
リース:セイントソックスに、綻びがあって、それが原因だろうと思っておりましたが?違うと?
クロス:…我々サンタもそう思っていたのですよ。ここに来るまでは。なんとも滑稽な思い込みでした…あなたにお会いできたことで、より確信が持てましたよ…
リース:何が分かったというのだ…?
クロス:リース王、あなたがクリスマスを壊そうとしている…あなたの仕業だ…それも故意に。クロスセンサーが反応している…間違いはありません……邪気にあてられたのですかっ!?
0:少し間
リース:………お主らは、忘れ去られる恐怖を感じたことは、あるか?
クロス:それは…
ヒイラギ:…
リース:はははっ…ないであろうな…サンタクロースとトナカイ……クリスマスがある限り、絶対的な存在だ…。では、我々小人はどうだ…?昔はおとぎ話や言い伝えで、よく出てきたこともあり、ニンゲン達にも認識されていたが………今となっては、ツリーの飾りとしているくらいなものだろう…
クロス:王様…そこは、クリスマスに関わるものなら誰しもが暗黙の了解とする部分です。我々は、本来隠された存在です。むしろ知られすぎてはいけない。王様も十分お分かりになっていらっしゃる(はずです。)
リース:((被せるように))お主らに分かってたまるか!!!ニンゲン達から忘れ去られたら………我々は、消えてしまう……我が子ら共々……。私の力が弱りつつあるのもそのせいだ…私は、永らく小人たちを統べてきた…。永く生きた分…欲張りになったのかも知れぬな…お主たちを羨むがあまり…クリスマスを壊せば、もう何もかも関係なくなるからな…
クロス:王様…
リース:だが、もう手遅れだ…クリスマスはもう二度とやってこない…
クロス:なっ…
ヒイラギ:そんなこと!!
リース:ノエルに言ったのだ…聖編みでの編み方を裏編みにする様にと。聖なる靴下(セイントソックス)が、裏編みで修復したが最後…もう機能しなくなる…そうなれば、小人達のほんとうの暴走が起こる。私に止める力も残っていない…
クロス:…諦めるのはまだ早い…
ヒイラギ:…クロス様!
リース:何を言っておるのだ…もう手遅れだ!
クロス:王様…知ってるかい?クリスマスは、奇跡が起こるんだよ…!そうだよな、ヒイラギ!
ヒイラギ:えぇ!なんと言っても、クリスマスですからね。
リース:そんなこと…
クロス:そうだよな?クリスマスが嫌いだったお嬢さん(お兄さん)?
ノエル:…その言い方、ムカつくな…!やっぱり今からでも裏編みしてこようかな
クロス:だぁあああああ!ごめんごめん、調子に乗りすぎたよ…
リース:なんで…
ノエル:…母さんが、教えてくれたんだ!表編みにしろって!…あたしならできるってさ!無事、綻びは完全修復できた!見てみなよ!
0:リース王が聖なる靴下(セイントソックス)を見る
リース:そうだ…本来の輝きは、そうであった…そうか…お主の母上が………やはり、親子なのだなぁ、同じ目をしておる…お主ら家族の時間を奪って、すまなかった……後で分かるであろう…
ノエル:えっ…それってどういう(意味だ)
リース:(被せる)すまぬが、母上の話は今はできぬ…私にやることができたからな…そうだろう、サンタクロース。
クロス:あ、あぁ!ごめんノエル…ひとまず先に、クリスマスの靴下をみんなの元へ返すのが先だ…時間がない…リース王、今からヒイラギがあなたの邪気を浄化する。その後、小人達にクリスマスの靴下を届けるようお願いしていただきたい。
リース:はっ…私のような裏切り者の命令など、我が子たちが聞くわけない(だろうが…)
0:(被せるように)同時に
ポイン:王様ぁあああ!!
セチア:王様ぁああ!!
リース:ぅおわっ…急に飛び込んでくるな…危ないではないか…!!!
0:泣きじゃくるポインとセチア
ポイン:ぐっ…うぇ…王様…俺たち、ずっと王様を忘れないぜ、一人じゃないぞ!!
セチア:ふぐっ…ずびっ…そうだっ…僕たちに指示を出してくれる王様は、一人だけだ…!!
リース:…お主たち…
0:少し間
ノエル:一人じゃない…か…一人は、寂しいよね…あたし(僕)も分かる…ずっと孤独は、つらいよ……よかったね、王様…
クロス:ノエル、君のお陰だ…。私たちだけでは、結局どうすることもできなかった…君が修復してくれたから、奇跡が起きたんだ…聖なる靴下(セイントソックス)を修復してくれて…クリスマスを守ってくれて、ありがとう。
ノエル:別に、あたし(僕)は何も…ほぼ母さんがやってくれてたからっ。
クロス:…お母様には、会えたかい?
ノエル:うん…会ってはないけど、久々に声を聞いた…。ずっと側にいるって言ってた…だから、平気っ、一人じゃない…ノエルは、強い子だから!
クロス:…そうか…
ヒイラギ:ノエル様…
0:少し間
クリス:ナレ))その後、ヒイラギに浄化されたリース王は、自分のした過ちを小人達に謝罪し、小人達を操るのではなく、お願いとして小人達にクリスマスマスの靴下を返却するよう伝えた。小人達は、嫌がる顔一つせず、むしろ王様にお願いされたことが嬉しかったようで、クリスマスまでに返却を間に合わせたのでした。
0:
0:場面転換(ニンゲン界にて)
0:★SE)クリスマスの音楽
0:少し間
ノエル:…さむっ…
クロス:いやぁ…間に合いそうでよかったよかった…
ヒイラギ:えぇ、ほんとうに。かなりギリギリでしたもんね。
クロス:あとは、私の魔法を返してくれたら…
ポイン:おぉーい!
セチア:返しにきたぞー!
クロス:おぉー!待ってたぞ!ギリギリセーフだ!
ポイン:…やっぱり返してやるのが惜しいな…サンタの野郎に、借りを作られたみたいだし…あのままツリーの飾りになってた方が綺麗だったりするんじゃねぇ?それか、俺たち脅されたよな?これ慰謝料にするって手も。
セチア:あぁ〜、そういえばそうだった気もする。僕らのコレクションに比べたら、サンタの魔法なんてっっ…
クロス:はいはい、君たち調子乗りすぎないでね〜これはそもそも私の持ち物だ!!
0:(同時)
ポイン:あ〜〜〜
セチア:あ〜〜〜
クリス:クロスが、ポインとセチアからオーナメント化した魔法を奪いとり、それを胸に当てると、身体の中に吸い込まれていった。
0:少し間
クロス:さて、私の魔法も戻ったことだし、最後の大仕事だ、ヒイラギ…!
ヒイラギ:はい!ではっ…変わります!ハッ!
0:★SE(鈴の音)
クリス:鈴の音が鳴ったと同時に、クロスは白髪と髭が生えて小太りのサンタ姿に、ヒイラギがトナカイの姿へと変わりました。
クロス:やっぱり、クリスマスはこうでなくっちゃあね。
ヒイラギ:そうですね…私も正直、トナカイ姿のほうが馴染む感じがします…年に一度しかならないですが。
ノエル:へぇ〜ちゃんと二人は本物だったんだねー、それっぽくなれるんだぁ
クロス:えっ…まだ疑ってたのか?!
ノエル:ははっ…少し…小人が出てくる前まではね〜
クロス:あ…そうか…魔法も見せてないしなぁ…それもそうか…この姿にならないとサンタの魔法も使えなきゃ、プレゼントも配れなくてなぁ…イメージは大事だろう?((咳払い))さて…じゃあ、特別に…!今日はクリスマスだからね!ノエルを家まで送っていくよ。みんなにプレゼントを届ける前にね!乗ってくれ!
ノエル:えっ、いいの?!これに?飛ぶやつ??
クロス:秘密の多いクリスマスもいいだろうっ!ヒイラギ!内緒にしててくれ!ポインとセチアもだぞ!
ヒイラギ:私は、むしろノエル様を贈り届けたかったので!同意です。
ポイン:ちっ…ハイソックスもらった恩もあるしなぁ………聖なる靴下(セイントソックス)も直してくれてありがとうよ…
セチア:ぷふー!もっと大きな声で言ってあげたらいいのにっ…素直じゃないなぁ!ポインは!僕は素直に言うよ!色々ありがとーノエルー!今度、僕にもニーハイソックスねー!
ノエル:はははっ!なんか最後、欲望が聞こえたな…さすがに、ニーハイは持ってないわー!ごめんー!
クロス:よぅし、それじゃあ、出発だ!ヒイラギ!
ヒイラギ:はい!行きますよ。
0:ソリが走り出す。
ノエル:ぅおわっ…本当に、飛んでる!!!
クロス:はははっ!そうだろ〜う!メリークリスマ〜ス!メリークリスマ〜ス!
ノエル:っははは!こんな感じでプレゼント配っているんだ…!こんなクリスマス、最初で最後だろうな…!
クロス:あはは…!
ヒイラギ:ふふふ…!
0:ソリが、ノエルの家に前まで着く
クロス:さぁ…ノエル、君の家に着いたよ!
ノエル:んっ…あ…やばい一瞬眠り込んでたっ!あたし(僕)の家着いたん…だ……っっっ(声にならない驚きと喜び)
0:ノエルの上に、灯りと煙が上がっていた。
クロス:クリスマスは奇跡が起きる…それは誰にでも、さ。行っておいで。
ノエル:っっっうん!!!
0:玄関へと走り出すノエル
0:玄関が、開くとーーー
クリス:ノエルっっっ!!
ノエル:お母さぁああんっっっ!
0:抱きしめ合う二人
クリス:ノエル…っただいまっ…待たせて…ごめんね…
ノエル:うっ…お母さん…ぐずっ…おかえり………ありがとう、サンタクロース……
0:少し間
0:二人の再会を見届けたクロスとヒイラギ
クロス:さて…私達も行こうか…プレゼントを待ってるみんながいるからね。
ヒイラギ:そうですね、途中で先代も手伝ってくれるとの話でしたよ…
クロス:はぁあ?!引退した様なもんなんだから、家族水入らずでクリスマス過ごしてもいいのに…ははっ…まぁ時間もおしてるし、お言葉に甘えますか。
ヒイラギ:えぇ、たまにはクロス様も甘えましょう!久々の再会なのですし…
クロス:…はははっ…そうだなっ…クリスマスは、誰にでも奇跡が起こるもの、だからな!みんな!メリークリスマス!
ノエル:(ナレ)…あたし(僕)の、心の奥底にしまいこんだ、クリスマスの記憶…
0:クリスマスイブの夜、暖炉の前で母と子がはしゃいでいたーーー
0:(過去回想)
0:★SE(いい感じのクリスマス系音楽)
クリス:ノエル!いいわよ!目を開けて!
ノエル:ん…((目を開ける))わぁああ!素敵な靴下!ふふっ!ありがとうお母さん!
クリス:うふふっノエル、お誕生日おめでとう!靴下、気に入ってもらえて良かったわ!今年は、ノエルの好きなデザインにしてみたの!あとこっちの靴下はぁ〜!じゃーん!ほらっ!少し大きめにつくったから、サンタクロース様もきっと素敵なプレゼントを入れてくれるはずよ!
ノエル:わぁあ!とっても可愛い!ありがとうお母さん!ノエル、毎日使う!えへへっ、サンタさんもどんなプレゼントくれるんだろ〜!楽しみだなぁ〜
クリス:そうねっ!ツリーも飾ったし、お祝いしましょう!あ、ちょうどラザニアも焼けたわね…食べましょうか!
ノエル:わぁーい!ノエル!お母さんのラザニア大好き〜!
0:ディナー後
0:少し間
ノエル:お母さん…はい!ノエルからも!クリスマスプレゼントだよ!靴下!
クリス:えぇぇ!ノエル!自分で編んだの?!上手〜!さすが私の子ねっ!
ノエル:えへへぇ!お母さんみたいに綺麗に編めなかったけど…お母さんもサンタさんからプレゼントもらえるといいなぁって思って、編んだんだぁ
クリス:っノエル…あなたはなんて優しい子なのっっ!
0:母が子に抱きつく
ノエル:ふふっお母さんっ…!苦しいよぅ…!
クリス:あっ…ごめんなさい!ふふっ…つい、嬉しすぎて力が入っちゃったわ…!でも、それだけ、嬉しいのよ……靴下、大切にするわ
0:少し間
クリス:ノエル…どうかこれからも編むことをやめないで…クリスマスを愛してね
0:(回想終了)
0:
0:少し間
0:
ノエル:ナレ))…あの時が最後のクリスマス……あの後…((悲しみと諦めが交じったように))ふっ………だから、あたし(僕は)はーーー名前も、クリスマスも…“大嫌い”なんだよーーー
クロス:((タイトルコール))「聖なる靴下(セイント・ソックス)」
0:本編開始
0:★SE(人混みガヤガヤした感じの音など)
ノエル:((くしゃみ))はっくしょん!んぅああ!さっぶいっっ!!なんでこんなさみぃ日に仕事入れるんだあの店長、マジで靴下に穴空いたれ!基本人員不足なんだからクリスマスとか関係ないし!みんなクリスマスとかのんきに楽し(むなし!)
クロス:((セリフ被せるように))おぃ!待て!くそ…ヒイラギ!そっちいったぞ!ちっ…
ノエル:ん?
0:ノエルが、荒げた声のする方向をみるーーー
0:閉店した古着屋店の古着屋回収BOX前
ヒイラギ:はい!クロス様!おいっ…動くな!逃がしませんっ!
ノエル:なにあれ…古着屋の回収BOX前で何やってんだ…大の大人二人が…追いかけっこ?ははっ…まぁクリスマスの過ごし方は色々あるし…………関わらないでおこう。
0:
0:帰宅途中(暗い夕方)
ノエル:さむ…疲れたぁあ…クリスマスイブってだけで、なんであんな忙しさが桁違いなわけ…?意味不明すぎ…これが明日もなんて…考えたくない…みんなも分かればいいんだ…クリスマスなんてロクなもんじゃ(ないこと…)
クロス:あー…もーむりだぁああ…
ノエル:ん?なんか既視感のある声が…
0:頼りない声のする方向へ目を向けるーーー
0:閉店した古着屋店の古着回収BOX前にて
ヒイラギ:クロス様、もう一回探しましょう。まだ間に合います!
クロス:ヒイラギ…まだ、間に合うと思うのか……ほんとだな!?お前を信じるからな!
ヒイラギ:ええ!まだ間に合います。ですから、まずは服を着てください、風邪を引きますので…
クロス:よし!分かった。そうと決まればっ…どれがいいかなぁ〜
0:
クリス:ナレ))古着屋の回収BOX前で、パンイチの男が回収BOXを漁り、執事のような男がそれを見守るというなんとも異様な光景を、ノエルは物陰から目の当たりにする
ノエル:あれ…昼間にいた奴らじゃ…は?…古着泥棒?…ってかなんでパンイチ?うわ…関わったら終わりなやつだ…逃げな(きゃ…!)
クロス:((被せて))クロスセンサーぁああ!
ノエル:ヒッ…!!!
ヒイラギ:?…どうされました?クロス様。
クロス:クロスセンサーが反応した…おい…近くにいるぞ…こんな早く見つかるとは運がいい…!ははっ!ヒイラギの言った通り、間に合うかもしれんな!!
ノエル:何言ってんだ、あのパンイチ男…!とにかく早く逃げな(いt…)
0:突然ノエルの目の前にパンイチ男がーーー
クロス:((被せて))お嬢さん(お兄さん)!今宵のクリスマスは空いてま(すかっ?)
ノエル:うわぁああああああ!!!
0:★SE(殴る音)
クロス:ふぐぉあjふぇえ!!…ぐはっ…
クリス:ナレ))ノエルのグーパンがパンイチ男のボディにクリティカルヒットし、殴り飛ばした
0:
ヒイラギ:((ため息))はぁ…クロス様…だから服を着てくださいと言ったのに…
0:執事がパンイチ男の介抱およびノエルに交渉後ーーー
0:少し間
クロス:いやぁ、君のグーパンすごいねぇ…この私でも結構効いたよ〜
ノエル:あんたが突然驚かすのが悪いんだ!しかもパンイチで!…あれは、正当防衛だ!
クロス:ははっ…小人に服を持っていかれちゃってさ…驚かせるつもりはなかったんだ…悪かったねぇ…ちょっと君と話をしたくて!それで声をかけたんだ
ノエル:小人?ってか話って、さっき言ってたなんとかセンサーのやつ?
クロス:そうそう!なんだ〜聞こえていたのか。じゃあ話は早いね…
クロス:君…今夜暇かい?
ノエル:((間髪入れずに))ただのナンパじゃねぇか!
クロス:ちょっ…失礼だなぁ!最後まで話を聞いてくれよ!((咳払い))…もし暇でなくとも、今夜は私と付き合ってほしい。クリスマスを守るために。…単刀直入に言おう、小人達が暴走して、クリスマスを壊そうとしているんだ。
ノエル:…はぁ?クリスマスを、守る?ちょ、ちょっと待て!さっきから出てくる小人ってあれ…?いつも片方の靴下を隠すようないたずら好きの性格で、クリスマスにはサンタの配るプレゼントをサポートするっていう、言い伝えの…?
ヒイラギ:えぇ…今年も例年通り、プレゼントの情報収集からサポートして頂いてたんですが…
クロス:あぁ…クリスマス直前になって…みんなが用意した、プレゼントを入れてもらうための靴下を隠すようになったんだ…あの靴下が用意されていないと、私達もプレゼントを届けられなくてなぁ、困っているんだ…
ノエル:え…この話の流れからすると?
クロス:ん?あぁ…申し遅れたね、私はこんな姿(なり)だがサンタクロースで、名をクロス、執事服の彼は、トナカイで、名をヒイラギだーーー信じてもらえないだろうが。
ノエル:サ…サンタに…トナカイ?あっはははははは…あんたら頭大丈夫か
0:少し間
クロス:((咳払い))信じられないのも無理はないさ!我々は本来、隠された存在だからね…この際信じきれなくてもいい…あまり時間もないんだ…君にしかお願いできないことなんだ…
クロス:お願いだ、ノエルーーー君が一緒に来てくれたら、クリスマスを守ることができるんだ…
ノエル:えっ、なんであたし(僕)の名前…
クロス:ヒイラギ。
ヒイラギ:はい。こちらをご覧ください。
0:執事服の男から一枚の写真を渡されるーーー
ノエル:?…っ!…この写真、あたし(僕)と母さんじゃないか!なんであんたらが持ってるんだ?!
ヒイラギ:…
クロス:…これは私の師匠…先代のサンタクロースが持っていたものだ。
ノエル:…は?
ヒイラギ:あなたのお祖父様は、サンタクロースだったんですよ。
ノエル:…は?あたし(僕)のじいちゃん?が、サンタ?…ははっあはははっ!もっと意味不明なんだけどっ!
クロス:ノエル、君のお母様が行方不明になったとき、師匠っ…君のお祖父様も、血眼になってお母様を探したんだ…ある時、「行方の手掛かりになるものを見つけた!」と言って、探しに出たきり、そのまま…私の元へも…帰ってこなかった。
ノエル:…なんだよ、それ…じいちゃんがサンタクロースなんて話も聞いたことないし。
クロス:…ずっと…君に会って、この話をしたいと思っていたんだ…でも、先代がいなくなったことで私が跡を継いだら、なかなかこちらにも来れなくなってしまって…本当に、すまなかった…!ずっと…独りきりにさせてしまった…
0:少し間
ノエル:ははっ…なんだよ…!今更…!いきなり会うなり、意味の分からないことを言いたい放題言いやがって!
クロス:…
ヒイラギ:…
ノエル:っ仮にだ…!あんたらの言ったことが本当だとしても…もう、終わったことだ……そうだよ、ずっと独りだったさ。…靴下を贈りあったあのクリスマスが…母さんとの最後の、思い出だ。ははっ…朝起きたら、プレゼントはおろか、母さんもいなくなってたんだからな…!…待っても帰ってこなかったんだ…幼心に思ったよ、捨てられたんだって。
クロス:それはちが(うっ)ーーー
ノエル:違わないよ!最悪のクリスマスプレゼントだった。あの日からだよ、クリスマスが大嫌いになったのは…あれから、ずっと…今も、これからも…。
クロス:…
ヒイラギ:…
ノエル:クリスマスが嫌いだから、別にどうなろうと…あたし(僕)は、関係ないし!
あははっ、むしろ爆発しろって思っていたくらいだから、ちょうどいいし!
クロス:…ノエル
ノエル:それに…あたし(僕)にしか出来ないことなんて…特別何もない(し…)
クロス:((被せるように))そんなことはない!ノエル…君は知らないだけだ…!君にしか出来ない特別な力も、お母様のことも!
ノエル:…母さんのこと、何か知ってるのか?あたし(僕)の力ってなんなんだよ…
クロス:…師匠によれば、小人界(こびとかい)にお母様の手掛かりがあるようなんだ…一緒に、探しに行かないか?ノエルにしかできない聖編み(ひじりあみ)の力が、今回の小人の暴走を止めるのにも必要なんだ…
ヒイラギ:ノエル様、補足説明いたしますと…聖編み(ひじりあみ)とは、選ばれた血筋の者が代々受け継がれる聖なる力であり、その者が編んだものには、特別な力が宿るとされています。小人の住む小人界(こびとかい)には、聖なる靴下(セイントソックス)と呼ばれる、小人たちから崇(あが)められている靴下があり、その靴下が劣化した際の修復に聖編み(ひじりあみ)が不可欠なのです。
ノエル:…今の話からすると、あたし(僕)の家系がその聖編み(ひじりあみ)を受け継いでいると…じゃあ、母さんは修復のために小人界に行って…そのままってこと?
ヒイラギ:…
クロス:すまない…詳しくは分からないんだ…今回の暴走は、聖なる靴下(セイントソックス)の劣化による綻びで起きたものなのは確かなんだが、ノエルのお母様が修復しに行ったとしたら、今回の暴走が起きることはないはずなんだ……修復は50年に一度くらいだから。
ノエル:じゃあ…母さんは…どこに…。
クロス:それを、一緒に確かめるんだ…どちらにせよ、ノエルには聖編み(ひじりあみ)でその綻びを直して欲しいんだ。…ノエル、一緒に来てくれるね?「クリスマスなんてどうにでもなれ」という願いは、君の本心ではないのは分かっている……私は、これでもサンタクロースだからね、お見通しだ。
ノエル:………情けないな声で、「もうダメだ〜」って言っていた人が…サンタクロースなんだ…
クロス:ぐっ…そこも聞いていたのか…。あれは仕方ないんだ!今の私は、サンタクロースとしての本来の姿ではない。小人たちのいたずらで力をサンタの魔法が三分の一程度しか使えないんだ…そんな状況なら私でも些か(いささか)心配になるだろう…
ノエル:あ、昼間…二人で鬼ごっこしていた時に、小人がいたの?
ヒイラギ:左様でございます。あの時、私達と仕事をしていた小人を捕まえ、情報を掴もう(つかもう)としたのですが…逃げられまして…しかも逃げ際にクロス様の魔法と……服を…
クロス:…今日の真夜中には、プレゼントを配るっていう大仕事が残っているんだ…あいつら、次見つけたら、ソリにくくり付けてぶら下げてやろうか…
ヒイラギ:クロス様、そんな罰では優しすぎます。奴らのコレクションも燃やすのはいかがでしょうか?
クロス:なるほど…あいつらにとっては一番効くかもなぁ。流石だ、ヒイラギ!
ヒイラギ:いえ、クロス様にしたことを考えると、それくらい罰を与えないと…!
クロス:あぁ、変質者扱いされてグーパンももらったしな。
ノエル:それは…!…あたし(僕)も悪かったよ!……あー、もう!うじうじ考えるのは、あたし(僕)らしくない!…あんたらほんとうに、本物のサンタとトナカイなんだね。…あたし(僕)の本心が見透かされてるなら、今更何を取り繕ったって無駄だろうな……いいよ。小人界、あたし(僕)も一緒にいく。母さんがどこへ行ったのか、なんで居なくなったのかをこの目で、自分で確かめる。…聖編み(ひじりあみ)とかできるかは知らんけど、どうせ行くならちゃっちゃと編み直してやるよ…聖なる靴下(セイントソックス)だっけ?普通の靴下と特に変わらないなら、多分編めると思う。だいぶ前に編んだっきりだけど。
クロス:それは本当か!!!
0:クロスは、ノエルの手を握る
ノエル:うぉわ!ちょ…手っ!
クロス:ありがとう、ありがとうノエル!!一緒に行こう、小人界へ!そうと決まれば!善は急げだ!!!……君、ハイソックスは持っているかい?
ノエル:は?ハイソックス?あるけど、そんなもの(なんで…)
クロス:((食い気味で))履いて来てくれないか!
ノエル:…は?
ヒイラギ:……クロス様、説明を端折り(はしょり)すぎて、また変態だと思われます…
0:少し間
0:場面転換
0:★SE(のんきな音楽な感じ)
クリス:ナレ))とある高校の放課後にて。その高校の屋上に、小さな靴下ハンターの姿が…二つ。そのうちの片方が、狙いを定めておりました。
ポイン:お?お!おっほぉー!!!
セチア:ねぇ〜ポイン。見つかったー?
ポイン:おう!セチア!あのニンゲンのハイソックス!いいねぇ〜!!あの使い込み具合といい、履き方といい、最っ高だぁ〜
セチア:あっそ…じゃあ、さっさと目星つけて帰ろうよ。僕はもう疲れたよー
ポイン:何を言っているんだセチア!俺はまだ、二足しか見繕ってないんだぞ?!お前は午前中に三足確保して…俺は二足…ほら!不平等じゃないか!だからもう一件見つかるまで、帰るのは待て!
セチア:えー、もう帰ろうよー!僕より少ないのはしょうがないでしょ〜!サンタクロースとトナカイが捕まえようとしてきて、うまく逃げきるのに苦労したんだからさ!元はと言えば、ポインがハイソックスに見惚(みと)れていたせいで、捕まりそうになったんだ。それでポインの時間が減るのは、自業自得でしょー。
ポイン:っ…それもそうだが!でもセチアが悪いんだぞ!自分の持ち時間が終わったのに、ニーハイソックス探してて!…あの時間は、セチアが見張り役だったはずだぞ!セチアのせいで、サンタの野郎たちに後をつけられていることに気づくのが遅れたんだ!
セチア:なっ…僕が悪いって言いたいのか?!
ポイン:あぁ、ニーハイを探していたセチアが悪い!そう言ったさ!
セチア:…ポインには毎度説明しているけど、どうして分かってくれないんだ…((淡々とガチギレな感じ))
ポイン:あ……やばっ……
セチア:ハイソックスよりニーハイの方が、履いているニンゲンの人口が少ないって、僕何回も言っているよね?
ポイン:セチアっ、違うんだ!セチアの意見を否定したいわけではなくて…落ち着こう、一回話し合おう!な!
セチア:そうやってまた僕の話を聞こうとしないで…今回こそはそうはいかないよ!(大体君は…)
ポイン:((被せて))見てくれセチア!!ニーハイ特集記事だぞー!!
セチア:((饒舌に))ぅおあああ!どれどれどれぇええ!!!うっひょぁあああ!!!………ほぉっぁあああ…ちょ…この編集者、目のつけどころ良いと思わない??僕は、こっちのニーハイの方が、引き締め感があっていいと思うんだけど!ポインはどっちがいいと思う?!
ポイン:………セチアが良いと思った方かな?
セチア:…ポイン………ニーハイソックスの良さ、分かっているじゃないかぁ〜
ポイン:そ、そうかな?あはは…セチアと一緒で嬉しいや〜(心の声:あっぶねぇ〜セチアを怒らすと収集つかないんだよなぁ…靴下雑誌にニーハイ載ってて良かったぁ…!ニーハイよりもハイソックスの方が断然いいだろうが!なんでセチアも分っかんないかなぁ〜)
クロス:私はブーツソックスが良いと思うんだけどね〜!
0:突然、クロスがポインの背後から現れる
ポイン:どわぁあああああ!!!!
セチア:((ポインの声に驚いて))ウワァアアアア!!!急に叫ぶなよポイン!今いいとこなんだ…から…っ!?
0:セチアが、クロスの存在に気づく
ポイン:サンタの野郎!!てめぇ!なんでここにいるんだ!!まさか、また後をつけて!
クロス:君たちの趣味を知っていれば、いるところなんて大体の検討がつくよ。
ポイン:くっ…俺たちの趣味を逆手に取るとはっっ!なんと卑怯な!!
セチア:ポイン…早く逃げよう!
クロス:そうはさせないよ!ヒイラギ!!!
ヒイラギ:はい。これを見なさい!!
ポイン:?あれは…クルーソックスか?
セチア:片方だけ…じゃないか…それがなんなんだよ!!
ヒイラギ:ハァーー……ふんぬっ!
クリス:ナレ))ヒイラギが持っていたのは、片方だけの靴下。それを思い切り引きちぎったのです。
セチア:な!突然なんだよ!……あっ!?まさか!ポイン!?
ポイン:あぁ…靴下を…そ…んな…ひどっ…い…
0:★SE(倒れる音)
セチア:ポインーーー!おい、しっかりしろっ!ポイン!ポイン!!…っおい、卑怯だぞ!気絶させるために靴下を破いたな!靴下に罪はないのに!
クロス:はい、つーかまえた♡
セチア:なっ…やっぱり僕たちを捕まえることが目的か!何をさせようっていうんだ!
ヒイラギ:ですから、朝からお願いしていますよね、小人界に案内してほしいと。
セチア:それは無理だと言ったじゃないか!王様の許可が降りないとダメなんだって!
クロス:あははっ!そうかー…じゃあ言い方を変えようかな。……連れていくんだ、私達を小人界に。
セチア:なっ……ぷはは!そんな脅しをしたって無駄だぞっ!サンタの魔法は、僕たちがいたずらしてほぼ使えなくしたはずだ!今更どうこうできることもないだろ!
クロス:……私の魔法も今夜までには戻してもらう…ヒイラギ。
ヒイラギ:はい。これらが、どうなっても構わないと?
セチア:?……なっ…なななななっっ!!!
クリス:(ナレ)ヒイラギが、持っていたのは、ポインとセチアのーーー
セチア:なぜ…お前達がそれをっ…
ポイン:…うっ…俺は…何を…気絶してたのか…?
セチア:っポインーーー!!
ポイン:なっ、どうしたんだよセチアっ!!大泣きしそうな顔して…ってーーーーあ!サンタの野郎、てめぇさっきはよく…も………おぃ…なぜそれを!あっ、あぁああ!待てっ…それをどうするつもりだぁああ!!
クロス:…さぁ?どうするかは、君たち次第だねぇ〜私をかなり侮って(あなどって)いるようだけど…君たちの秘蔵コレクションを、どうとでもできるくらいには…私にも力があるってことさ。さぁ、私達を小人界に案内してくれるかい?
ポイン:くっ…ちっくしょう…
セチア:うっ…ずびっ…ポイン…
0:少し間
ノエル:…あたし(僕)は一体何を見せられているんだ?
ヒイラギ:これは、男と男の駆け引き…というやつですかね。ノエル様には縁遠い話かと。
ノエル:あぁ…そう。(心の声:ツッコミが追いつかねぇよ)…((咳払い))んんっ…ハイソックス履いてくれだの、要らない靴下をくれ、だなんて…普通に聞いたらやばい奴だって、不審に思うのが妥当だけど…いつもあいつ、説明不足なのか?
ヒイラギ:えぇ…ハイソックスを履いて小人の注意を引く囮(おとり)になってほしい…小人の一人を気絶させるために靴下を分けてくれ…まで言わないと…周囲から誤解されますよね…私も散々気をつけるように申し上げているのですが、なかなか改善せず…昔からあの方は、あわてんぼうなんですよ。
ノエル:…あわてんぼうの、サンタクロース…
ヒイラギ:えぇ。クロス様は、ただ必死なのです。そこはノエル様もご理解いただけると。でも、いずれ分かると思いますよ、クロス様の良さが。
ノエル:ふぅん…あいつの良さ…ねぇ…
0:少し間
クロス:さぁ…
ポイン:んぁあああ!ちっ…分かったよ!連れて行けばいいんだろ!!
セチア:っ!ポイン!!でも、王様にっ!
ポイン:あぁ…小人以外を連れていくのなら、リース王に事前にお知らせしなければならない決まりだ…だが、時間がない…そうだろ?
クロス:あはは…理解が早くて助かるよ。
ポイン:ちっ…
セチア:え…内緒で連れて行くってこと!?
ポイン:だって、それしかねぇだろ!まぁ、もし見つかっても、俺たちは脅されたんだ!情状酌量(じょうじょうしゃくりょう)の余地はあるだろっ!
セチア:でもっ…
クロス:はい!じゃあ決まりだね!案内、よろしく頼むよ、お二人さん!
ポイン:ちっ!触んじゃねぇ!
セチア:っそうだ!くっつくなー!
クロス:さぁて!…そうと決まれば、まずは私にかけたいたずらを解いて元に戻してくれないか?
ポイン:…わりぃ、今すぐは無理だ。取り返さないと…
セチア:僕たちがとって来たもの全ては、王様に捧げているから。
0:場面転換(小人界にて)
0:★SE(怪しげな雰囲気)
0:王が、聖なる靴下(セイントソックス)を見上げる。
リース:ふふ…ここまで来たか。今宵はとうとうクリスマス…
リース:これが完成し、我が願いが、もうすぐ…ふはははは
0:少し間
0:場面転換
0:★SE(にぎやかな声 街中)
クリス:ナレ))さて…ノエルとクロス、ヒイラギは、ポイン・セチアの案内で、小人界に無事やってきました。
ポイン:おい…あのハイソックスも一緒に来るなんて、聞いてなかったんだが?
クロス:やぁ、すまないねぇ…言ったら断られると思って。ポインがお気に入り認定したハイソックスは、プレゼントして貰ったんだろう?まぁそれでいいじゃないか。
ノエル:おい!プレゼントしたつもりはないし!勝手に話進んでて、むしろ奪われたって言い方が正しいんだけど!!
クロス:まぁまぁノエル〜!無事に小人界へ来れたんだ!靴下の一つや二つは気にしない気にしない〜!あ、ポイン、セチア!紹介しよう。この子は、ノエル!聖編みができるから修復のために一緒に来てもらったんだ。
ポイン:……ふーん、お前…聖編み手(ひじりあみて)か。
ノエル:あたし(僕)もよく分からないけど、こいつがそういうからそうみたい…よろしく。
セチア:だいぶ若い編み手さんだね…そういえば…十年くらい前にも、聖編み手がここに来たよね?
ノエル:ッ!それ、本当??あたし(僕)に似ている?その人どこに行ったか分かる?!
セチア:ぅぇお…ちょ…
ポイン:おい、やめろ!セチアは、基本人見知りなんだ!急に詰め寄ったらびっくりするだろ!
ノエル:っあ…ごめん。
ポイン:セチアの代わりに答えてやるけどよ、来たのは多分本当だ。聖なる靴下(セイントソックス)を修復をしてもらうために、リース王直属の小人達が連れてきたって話を聞いてな。聖編み手がどこに行ったかまでは知らんが…なんだ?知り合いなのか?
ノエル:あぁ…多分、ここに来たのは、あたし(僕)の母さんかもしれなくて…。ある年のクリスマスから帰ってきていないんだ。
ポイン:…そうか…
セチア:…………
クロス:あぁ、だからノエルは探しているんだ…二人とも、何か覚えていたら協力してほしい。
ポイン:そうは言ってもなぁ…結構前だしなぁ。
クロス:あと、なぜ小人たちがクリスマスの靴下を隠す暴走が起こっているのか…知っているかい?
クリス:クロスがその質問を聞いた瞬間、小人達は目の色を変え、妖しい笑みを浮かべて話だしました。
セチア:王様が、僕たち小人にそう命じたからだよ。
ポイン:俺たち小人は、王様の命令には逆らえない…、王様の命令に疑問も生まれない。
セチア:王様は、僕たちの母なる存在…。
ポイン:王様は、俺たちの核なる存在…。
ヒイラギ:っクロス様!!小人達の様子が…
クロス:っな!急にどうしたんだ?!
ノエル:ちょっ…他の小人達も様子がおかしいよ!もしかして、囲まれてる?!
クリス:ノエルがそう叫ぶと同時に、ふと周りを見れば、さっきまで普通だった小人達が目に光を失った顔つきでノエル達を取り囲んでいました。
ポイン:ヒジリアミテ...
セチア:ソノナヲ…ノエル…
クロス:な…んだ?操られている?
ポイン:ツイテコイ…
セチア:ツレテク…
ヒイラギ:はい…恐らく…私たちに気づいたからでしょうね
ポイン:リース王ノモトマデ…ノエル…
セチア:リース様ノモトニ…ノエル…
ノエル:なっ…あたし?!
ポイン:王ガ...ヨンデル…
セチア:王サマ…マッテル…
ノエル:王様が、あたし(僕)を?でもっ…
0:ノエルがクロスを見る
クロス:…ノエル…ポインとセチアからすぐ離れて、私の近くへ来るん(だっ…)
ポイン:イヤデモ…
セチア:ツレテク…
0:同時に(ワラワラと機械的な感じで)※アドリブでもどうぞ。
リース:(モブ小人)ツレテク…ツレテク…ツレテク
ヒイラギ:(モブ小人)ツレテケ…ツレテケ…ツレテケ…
クリス:(モブ小人)ツレテコ…ツレテコ…ツレテコ…
ポイン:(モブ小人)ツレテイケ…ツレテイケ…ツレテイケ…
セチア:(モブ小人)ツイテコイ…ツイテコイ…ツイテコイ…
0:あっという間に、周りにいた小人達がわらわらとノエルだけを取り囲む
ノエル:っ!!クロス!…ヒイラギ!くっ…小人達が重なって見えないっ…うわぁあ…!!
クリス:何人もの小人達がノエルを取り囲み、そしてノエルに覆い被さりました。
クロス:…ノエルっ!どこだ!!
ヒイラギ:クロス様っ!小人達が…
クロス:なっ…なんだ…あれは…
クリス:覆い被さった小人の集合体は、小人達の魔法により、一つの大きな靴下となり、ノエルを靴下の中へ仕舞い込んでしまいました。
クロス:ノエル!…
クリス:クロスは、群がった小人達を掻き分け、靴下の中を覗き込みましたが…中には何もありませんでした。
クロス:くそっ……おい!ノエルをどこへ連れて行ったんだ!
ポイン:…ん?なんのことだ?
セチア:…今…僕たち何してたんだろ…?あれ‥聖編み手の子は?
ヒイラギ:…操られた時の記憶が、ないみたいですね。
0:場面転換
クリス:(モブ小人)王サマ!
ヒイラギ:(モブ小人)王サマァ!
リース:おかえり、我が子どもたちよ…連れて来てくれてありがとう、もう下がってよいぞ。
ノエル:っ!!いったぁ…なんなんだよっ…もう…
クリス:(ナレ)靴下に取り込まれたノエルは、その後、見知らぬ場所へと靴下から吐き出されました。
リース:お主が、聖編み手だな。我が子たちから話は聞いておるぞ…
ノエル:誰だ…?ここは…
リース:まぁ、まずはゆっくりするがよい。時間はまだあるからの。我が名は、リース。この小人界を統べる者…ここは王宮の中の王の間だ。
ノエル:なんで…こんなところに、あたし(僕)が…
リース:突然連れて来られれば、混乱もするだろうな。お主の母上も、そうであった様に。
ノエル:!!母さんを、知っているのか!?教靴下mえて…母さんはどこへいったの?ここに連れて来たのはあんたなんでしょ!!何か知っているでしょ?!
リース:まぁ、そう急かすでない。お主には話さなければならぬと思っておったからな…だからお主だけ連れてきてもらったのだ………さて、どこから話すか……あぁ、でもまずは、靴下を先に直してはくれないか。
クリス:ナレ))王様が指差す方には、大きなもみの木がクリスマスツリーとして飾りつけられた中に、オーナメントとして一層光り輝く大きな靴下があった。
ノエル:でっか…え…あの靴下が…まさか。
リース:あぁ。これが、我が小人界での守り神である聖木(せいぼく)と我らの邪気を払い、安寧(あんねい)へと導く聖なる靴下…セイントソックス…
ノエル:…思った以上の大きさなんだけど。
リース:まぁ、立派なものだろう………見えるかね?あそこに、綻びがあるだろう…?
ノエル:え…どれ??
リース:あそこだ…
ノエル:いやこの距離じゃ分からないわ!
リース:…お主、本当に聖編み手なのか…先行きが心配よ。
ノエル:あたし(僕)、ここに来るまで無理難題言われてきたけど、今が一番腹立つわ…
リース:はっはっは、今まで来た聖編み手の中でもこんな血気盛んな人間は初めてよ…聖編み手は大体は大人しい人間が多いものだ…
ノエル:…確かに…母さんはいつも優しかったな。
リース:ふっ…そうであろう?まぁ、後で近くからでも見れば綻びは分かろうて……あの綻びのせいで我が子たちが暴走したのだ…我々小人は、靴下を隠すいたずら好きな種族でな……クリスマスは、悪い子に恩恵は来ないであろう?
ノエル:あぁ、良い子にしかサンタは来ないっていう…
リース:小人は元々悪い子で、邪気を持つのだ…それをクリスマスの手伝いをして恩恵を受けることで、自分の持つ邪気と相殺(そうさい)させているのだが…その働きを担う聖なる靴下(セイントソックス)が綻んでいると、恩恵を受けても邪気が残ってしまってな。クリスマスがめちゃくちゃになれと思う一部の人間の邪気と相まってクリスマスの靴下を隠すという行動に至らせたのだ。私でさえ止められぬほどの力だ…
ノエル:そうか…そんな経緯が…綻び一つで。
リース:あぁ、小人たちにとって大切な靴下なのだ…直してもらいたい…クリスマスは、まだ間に合うであろう?
ノエル:…分かった。やってみる。昔、母さんも綻びを直したんでしょ?
リース:あぁ、お主の母上にもお願いしたのだ
ノエル:…普通に編めば良いんでしょ?
リース:いや、聖なる靴下(セイントソックス)は特殊でな。裏編みにして縫うようで。…一目(ひとめ)ずつ祈りを込めると、祈糸(きいと)という特別な糸になって、それで編まれたものは浄化の力をもつことから、聖編み細工(ひじりあみざいく)と呼ばれておるのだ。
ノエル:へぇ…
リース:この聖なる靴下(セイントソックス)も…昔馴染みの聖編み手に作ってもらってな…以来ずっと聖編み手に修復してもらっておるのだ。…頼めるか?
ノエル:裏編みか…あんまりやったことないけど出来なくはないよ。…時間ないんでしょ…修復が終わったら、母さんのこと教えてよね。
リース:あぁ、時間は有限だ。終わった後に、お主の母上が来たときの話をしよう。
ノエル:…ところで、どうやって綻び(ほころび)までいけば良いんだ?
リース:あぁ…この靴下を履くといい。魔法がかかった靴下だ。これで宙に浮くことができる。サンタが空を飛ぶのと同じ魔法だ…
ノエル:へぇ…魔法の靴下…これであそこまで飛んで編めば良いんだね。
リース:そうだ…よろしく頼んだぞ。
0:少し間
0:場面転換
クリス:一方その頃、ノエルとはぐれたクロス達はというと…
0:少し間
クロス:ノエルだけ連れて行かれてしまった。どこに行ったかは、検討がつくが…
ヒイラギ:そうですね…恐らく王の御前(ごぜん)に。
ポイン:なんであいつだけ連れて行かれたんだ?俺だってお会いしたかったぞ!
セチア:王様直属の小人ぐらいしか、なかなかお顔すら拝見できないからねぇ…
クロス:ちょっと聞きたいんだが、ポインとセチアも、クリスマスプレゼントを入れる靴下を隠した記憶はあるか?隠したいと思って隠したのか?
ポイン:はぁ?クリスマスの靴下を隠す?…なんでだ?セチア、隠したのか?
セチア:いやいや、僕はニーハイ専門だから!しかも、わざわざクリスマスの靴下を隠すなんて、結構な大事じゃないか!そういうポインは隠してないの?
ポイン:いやいや、俺だってハイソックス専門だから!ましてや、クリスマスの靴下隠すほどバカじゃねぇやい!
0:(同時に)
ポイン:いやいやいやいや(笑)
セチア:いやいやいやいや(笑)
ヒイラギ:…どういうことでしょうか?
クロス:ふむ…君たち以外の小人も同じ考えなのか?クリスマスの靴下を隠すのは御法度(ごはっと)だと。
ポイン:そうだ…俺たち小人が、なんでサンタの野郎たちの手伝いをしているか、分かってるだろ…
セチア:僕らは靴下を隠すいたずらをやめられない。これは僕らの生態であって欲求の一つなんだ。でもクリスマスの靴下は別だよ…
ポイン:俺らも、クリスマスの恩恵は欲しいからな…靴下を隠すことは、悪いことだから…だからクリスマスを手伝って、良い意味でみんなに知ってもらっているんだよ!良い子じゃなきゃ、恩恵は受けられねぇだろうが!
セチア:人間達に僕たち小人が存在するってことを覚えてもらうことがクリスマスの恩恵なんだ!そうでないと…僕たち…
ポイン:あぁ…俺たち…
ヒイラギ:…、つまり…クリスマスの靴下を自分達が隠せば、今までクリスマスの手伝いをしたことも水の泡になる…自分達が隠すことは絶対あり得ないと…
ポイン:そうだ!手伝っておいて、クリスマスプレゼント届けられない様にするなんて、おかしいだろうが!なぁ?
セチア:だったら、最初からやるなって話だよねぇ〜。
クロス:今の話から、一つの仮説が出てきたな…でもこれが本当だったら、ノエルも危ないっ。ヒイラギ!
ヒイラギ:はい、急ぎましょう。クロス様のお力もお返し頂かなくてはですし。
クロス:あぁ、そうだな!時間がない!ポイン、セチア、王宮へ案内してくれ。
ポイン:…なんかよく分かんねぇけど、しゃーねぇ、ここまで来たら案内してやるよ。
セチア:そんなこと言って、本当は王様に会いたいだけじゃないの〜?
ポイン:うるせぇっ!俺はミーハーなんかじゃねぇぞ!
クロス:あはは…じゃあ…小人界の王に、お目通りといきますか!!
0:場面転換
0:少し間
クリス:ナレ))さて、ノエルは、リース王に頼まれ、魔法の靴下を履きながら、修復作業にとりかかりました。
ノエル:近くに来るとそこまで眩しくないもんだ…へぇえ他のオーナメントも凝ってるなぁ…あれ…このオーナメント、私が母さんにあげた靴下のデザインによく似てる……とっっうわぁっっとととと…あっぶな…いけない…集中しなきゃ…浮きながら作業するって、結構難しくないか…?あ、ここだ…本当だ…確かに綻んでいるけど…あと仕上げ前ぐらいまで進んでる…こんな少しでも暴走が起きてしまうのか…まぁ…これを編み直せば良いんだ。編み目、ちょっと触ってみて良いかな
0:そっと、聖なる靴下(セイントソックス)に手を触れた、その時ーーー
クリス:ノエル…
ノエル:っ!!…母さん…の声…どこから!?
0:再び糸に触れる
クリス:ノエル…!あぁ…きっと来てくれると思ったわ…祈糸(きいと)に想いを入れておいてよかった…
ノエル:編み目から母さんの声が…母さんどこにいるの?!…会いたい…会いたいよ…
クリス:ノエル……ごめんなさい…突然いなくなって…あなたを忘れたことなんてなかったわ…私も会いたい…ちゃんと…抱きしめたい…
ノエル:母さん…あたし(僕)…
クリス:ごめんなさい…ノエル…今のあなたに、お願いすることは酷かもしれない…でもあなたしかできる人はいないの…私の声が届くのもあと少しだから…落ち着いて、私の話を聴いて…リース王から、裏編みで修復するように言われているかもしれないけど…それは間違いよ。表編みで編みなさい。裏編みにし…たら……ダ…メよ…
ノエル:母さんっ…あたし(僕)…もっといっぱい話したいこと…ある…のにっ…
クリス:あ…なたは…強い子…でしょう…?編み物も…上手で…優し…い子…大丈夫…私は、すぐ…側で…見守っている…わ…
0:声が途絶える
ノエル:母さんっ…!………((涙を拭う))っ!!母さんが、近くにいる。また、母さんに…褒めてもらうんだ…編み物でっ!
0:少し間
0:場面転換
リース:あの子どもは…何も知らぬ。今宵のクリスマスは…私の望んだ結末になるだろう…ふふ…ふははははは
クリス:ナレ))リース王は、ノエルの修復作業を怪しげな笑みを浮かべながら、じっと一人で眺めていた…その時ーーー
クロス:リース王っ…
リース:おや…?さっきの靴下から…揃いも揃って来たのか…
クロス:えぇ、おはつお目通りかかります。リース王。
リース:…サンタクロースとトナカイが、私に何の用があるというのかね?
クロス:ノエルと私の魔法を返して頂きたく参りました。
リース:…ノエルは、今、聖編みで修復の最中だ…後にしてくれないかな?
ヒイラギ:では、まず先に、クロス様の魔法をお返しください…ここにいるポインとセチアが奪ったものです。今宵はクリスマス、なくてはならない魔法です…。
ポイン:ごめんなさい…王様…
セチア:すみません、王様…
リース:ふむ…我が子たちが迷惑をかけたみたいだな…それは、すまなかった…許してやってくれ…
ポインとセチア…あそこから探して、丁重にお返しなさい。
ポイン:はい!
セチア:はい!
クリス:ナレ))ポインとセチアは、聖木(せいぼく)へと向かい、木をよじ登っていきました。
クロス:王様は、大事なものを飾る趣味なのですね…
リース:あぁ…いつも見ていたいからの…
クロス:ところで、小人たちの暴走…王様は知っておられますか?
リース:あぁ…知っておるとも…サンタクロースの皆々様には、迷惑をかけたと思っている。こうして聖編み手まで連れてきてくださり感謝してもしきれない…
ヒイラギ:なぜ、十年前に修復作業を終えているはずなのに、暴走が起こったんでしょうね?
リース:…
クロス:ポインとセチアに聞いたところ、クリスマスの靴下を隠したことはないと言っていました。他の小人達もそうだと。
リース:……
ヒイラギ:何か、思い当たることでも?
リース:セイントソックスに、綻びがあって、それが原因だろうと思っておりましたが?違うと?
クロス:…我々サンタもそう思っていたのですよ。ここに来るまでは。なんとも滑稽な思い込みでした…あなたにお会いできたことで、より確信が持てましたよ…
リース:何が分かったというのだ…?
クロス:リース王、あなたがクリスマスを壊そうとしている…あなたの仕業だ…それも故意に。クロスセンサーが反応している…間違いはありません……邪気にあてられたのですかっ!?
0:少し間
リース:………お主らは、忘れ去られる恐怖を感じたことは、あるか?
クロス:それは…
ヒイラギ:…
リース:はははっ…ないであろうな…サンタクロースとトナカイ……クリスマスがある限り、絶対的な存在だ…。では、我々小人はどうだ…?昔はおとぎ話や言い伝えで、よく出てきたこともあり、ニンゲン達にも認識されていたが………今となっては、ツリーの飾りとしているくらいなものだろう…
クロス:王様…そこは、クリスマスに関わるものなら誰しもが暗黙の了解とする部分です。我々は、本来隠された存在です。むしろ知られすぎてはいけない。王様も十分お分かりになっていらっしゃる(はずです。)
リース:((被せるように))お主らに分かってたまるか!!!ニンゲン達から忘れ去られたら………我々は、消えてしまう……我が子ら共々……。私の力が弱りつつあるのもそのせいだ…私は、永らく小人たちを統べてきた…。永く生きた分…欲張りになったのかも知れぬな…お主たちを羨むがあまり…クリスマスを壊せば、もう何もかも関係なくなるからな…
クロス:王様…
リース:だが、もう手遅れだ…クリスマスはもう二度とやってこない…
クロス:なっ…
ヒイラギ:そんなこと!!
リース:ノエルに言ったのだ…聖編みでの編み方を裏編みにする様にと。聖なる靴下(セイントソックス)が、裏編みで修復したが最後…もう機能しなくなる…そうなれば、小人達のほんとうの暴走が起こる。私に止める力も残っていない…
クロス:…諦めるのはまだ早い…
ヒイラギ:…クロス様!
リース:何を言っておるのだ…もう手遅れだ!
クロス:王様…知ってるかい?クリスマスは、奇跡が起こるんだよ…!そうだよな、ヒイラギ!
ヒイラギ:えぇ!なんと言っても、クリスマスですからね。
リース:そんなこと…
クロス:そうだよな?クリスマスが嫌いだったお嬢さん(お兄さん)?
ノエル:…その言い方、ムカつくな…!やっぱり今からでも裏編みしてこようかな
クロス:だぁあああああ!ごめんごめん、調子に乗りすぎたよ…
リース:なんで…
ノエル:…母さんが、教えてくれたんだ!表編みにしろって!…あたしならできるってさ!無事、綻びは完全修復できた!見てみなよ!
0:リース王が聖なる靴下(セイントソックス)を見る
リース:そうだ…本来の輝きは、そうであった…そうか…お主の母上が………やはり、親子なのだなぁ、同じ目をしておる…お主ら家族の時間を奪って、すまなかった……後で分かるであろう…
ノエル:えっ…それってどういう(意味だ)
リース:(被せる)すまぬが、母上の話は今はできぬ…私にやることができたからな…そうだろう、サンタクロース。
クロス:あ、あぁ!ごめんノエル…ひとまず先に、クリスマスの靴下をみんなの元へ返すのが先だ…時間がない…リース王、今からヒイラギがあなたの邪気を浄化する。その後、小人達にクリスマスの靴下を届けるようお願いしていただきたい。
リース:はっ…私のような裏切り者の命令など、我が子たちが聞くわけない(だろうが…)
0:(被せるように)同時に
ポイン:王様ぁあああ!!
セチア:王様ぁああ!!
リース:ぅおわっ…急に飛び込んでくるな…危ないではないか…!!!
0:泣きじゃくるポインとセチア
ポイン:ぐっ…うぇ…王様…俺たち、ずっと王様を忘れないぜ、一人じゃないぞ!!
セチア:ふぐっ…ずびっ…そうだっ…僕たちに指示を出してくれる王様は、一人だけだ…!!
リース:…お主たち…
0:少し間
ノエル:一人じゃない…か…一人は、寂しいよね…あたし(僕)も分かる…ずっと孤独は、つらいよ……よかったね、王様…
クロス:ノエル、君のお陰だ…。私たちだけでは、結局どうすることもできなかった…君が修復してくれたから、奇跡が起きたんだ…聖なる靴下(セイントソックス)を修復してくれて…クリスマスを守ってくれて、ありがとう。
ノエル:別に、あたし(僕)は何も…ほぼ母さんがやってくれてたからっ。
クロス:…お母様には、会えたかい?
ノエル:うん…会ってはないけど、久々に声を聞いた…。ずっと側にいるって言ってた…だから、平気っ、一人じゃない…ノエルは、強い子だから!
クロス:…そうか…
ヒイラギ:ノエル様…
0:少し間
クリス:ナレ))その後、ヒイラギに浄化されたリース王は、自分のした過ちを小人達に謝罪し、小人達を操るのではなく、お願いとして小人達にクリスマスマスの靴下を返却するよう伝えた。小人達は、嫌がる顔一つせず、むしろ王様にお願いされたことが嬉しかったようで、クリスマスまでに返却を間に合わせたのでした。
0:
0:場面転換(ニンゲン界にて)
0:★SE)クリスマスの音楽
0:少し間
ノエル:…さむっ…
クロス:いやぁ…間に合いそうでよかったよかった…
ヒイラギ:えぇ、ほんとうに。かなりギリギリでしたもんね。
クロス:あとは、私の魔法を返してくれたら…
ポイン:おぉーい!
セチア:返しにきたぞー!
クロス:おぉー!待ってたぞ!ギリギリセーフだ!
ポイン:…やっぱり返してやるのが惜しいな…サンタの野郎に、借りを作られたみたいだし…あのままツリーの飾りになってた方が綺麗だったりするんじゃねぇ?それか、俺たち脅されたよな?これ慰謝料にするって手も。
セチア:あぁ〜、そういえばそうだった気もする。僕らのコレクションに比べたら、サンタの魔法なんてっっ…
クロス:はいはい、君たち調子乗りすぎないでね〜これはそもそも私の持ち物だ!!
0:(同時)
ポイン:あ〜〜〜
セチア:あ〜〜〜
クリス:クロスが、ポインとセチアからオーナメント化した魔法を奪いとり、それを胸に当てると、身体の中に吸い込まれていった。
0:少し間
クロス:さて、私の魔法も戻ったことだし、最後の大仕事だ、ヒイラギ…!
ヒイラギ:はい!ではっ…変わります!ハッ!
0:★SE(鈴の音)
クリス:鈴の音が鳴ったと同時に、クロスは白髪と髭が生えて小太りのサンタ姿に、ヒイラギがトナカイの姿へと変わりました。
クロス:やっぱり、クリスマスはこうでなくっちゃあね。
ヒイラギ:そうですね…私も正直、トナカイ姿のほうが馴染む感じがします…年に一度しかならないですが。
ノエル:へぇ〜ちゃんと二人は本物だったんだねー、それっぽくなれるんだぁ
クロス:えっ…まだ疑ってたのか?!
ノエル:ははっ…少し…小人が出てくる前まではね〜
クロス:あ…そうか…魔法も見せてないしなぁ…それもそうか…この姿にならないとサンタの魔法も使えなきゃ、プレゼントも配れなくてなぁ…イメージは大事だろう?((咳払い))さて…じゃあ、特別に…!今日はクリスマスだからね!ノエルを家まで送っていくよ。みんなにプレゼントを届ける前にね!乗ってくれ!
ノエル:えっ、いいの?!これに?飛ぶやつ??
クロス:秘密の多いクリスマスもいいだろうっ!ヒイラギ!内緒にしててくれ!ポインとセチアもだぞ!
ヒイラギ:私は、むしろノエル様を贈り届けたかったので!同意です。
ポイン:ちっ…ハイソックスもらった恩もあるしなぁ………聖なる靴下(セイントソックス)も直してくれてありがとうよ…
セチア:ぷふー!もっと大きな声で言ってあげたらいいのにっ…素直じゃないなぁ!ポインは!僕は素直に言うよ!色々ありがとーノエルー!今度、僕にもニーハイソックスねー!
ノエル:はははっ!なんか最後、欲望が聞こえたな…さすがに、ニーハイは持ってないわー!ごめんー!
クロス:よぅし、それじゃあ、出発だ!ヒイラギ!
ヒイラギ:はい!行きますよ。
0:ソリが走り出す。
ノエル:ぅおわっ…本当に、飛んでる!!!
クロス:はははっ!そうだろ〜う!メリークリスマ〜ス!メリークリスマ〜ス!
ノエル:っははは!こんな感じでプレゼント配っているんだ…!こんなクリスマス、最初で最後だろうな…!
クロス:あはは…!
ヒイラギ:ふふふ…!
0:ソリが、ノエルの家に前まで着く
クロス:さぁ…ノエル、君の家に着いたよ!
ノエル:んっ…あ…やばい一瞬眠り込んでたっ!あたし(僕)の家着いたん…だ……っっっ(声にならない驚きと喜び)
0:ノエルの上に、灯りと煙が上がっていた。
クロス:クリスマスは奇跡が起きる…それは誰にでも、さ。行っておいで。
ノエル:っっっうん!!!
0:玄関へと走り出すノエル
0:玄関が、開くとーーー
クリス:ノエルっっっ!!
ノエル:お母さぁああんっっっ!
0:抱きしめ合う二人
クリス:ノエル…っただいまっ…待たせて…ごめんね…
ノエル:うっ…お母さん…ぐずっ…おかえり………ありがとう、サンタクロース……
0:少し間
0:二人の再会を見届けたクロスとヒイラギ
クロス:さて…私達も行こうか…プレゼントを待ってるみんながいるからね。
ヒイラギ:そうですね、途中で先代も手伝ってくれるとの話でしたよ…
クロス:はぁあ?!引退した様なもんなんだから、家族水入らずでクリスマス過ごしてもいいのに…ははっ…まぁ時間もおしてるし、お言葉に甘えますか。
ヒイラギ:えぇ、たまにはクロス様も甘えましょう!久々の再会なのですし…
クロス:…はははっ…そうだなっ…クリスマスは、誰にでも奇跡が起こるもの、だからな!みんな!メリークリスマス!