台本概要

 208 views 

タイトル 不器用な冬の音楽家
作者名 蒼(あおい)  (@aoi_m_o10)
ジャンル その他
演者人数 1人用台本(不問1) ※兼役あり
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 そうか。こうすれば良かったのか――
君に思いを届けたい、不器用な音楽家の話。

性別不問。

 208 views 

キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
不問 39 君に思いを届けたい、不器用な音楽家。性別不問。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
◆:冬は夜が長い。 ◆:夕方と言われているのに、空は紫と藍に染まり、暖かい色合いは一体、何処へ行ったのか。 ◆:朝は、時計の針が背筋をピンと伸ばし、起きていていると言うのに、空は微睡んだまま…。 ◆:誰がこの冬を起こしに、モーニングコールをかけているのか。 ◆:君は知っているかい? 0: 0: 0: 0: ◆:僕は、別に知りたい訳ではないのだけれど。 0: 0: 0: 0: ◆:ライトに反射された綺麗な塵屑が、静かに騒いでいる。 ◆:白いステージには、薄明るい下からの照明に、主役が照らし出される。 ◆:雪に音も掻き消された、『無音の世界』という舞台は、一体、誰の心を揺さぶっているんだ…。 ◆:君はその舞台を観たことがあるかい? 0: 0: 0: 0: ◆:僕は、無いな。……体験した事はあるけれど。 0: 0: 0: 0: ◆:微かにこの耳に、僕の心臓の音に溶け込むように、雪の結晶の静かなメロディーが、僕の元へ向かって来る。 ◆:その音を集めて君に届けたいけれど、繊細過ぎて壊してしまいそうだ。 ◆:両手を広げた中に、残った音で作れたらどんなに楽だろう。 ◆:でも、君に届けたいのは、それじゃないんだ。 ◆:そんな、誰にでも作れる唄じゃないんだ。 0: 0: 0: 0: ◆:どうしたら、作れるだろう? ◆:僕の服を広げて、拾える数を増やしてみようか? ◆:でも、それだと、寒さで僕に合わせて音も震えちゃうな。 0: 0: 0: 0: ◆:大きく口を開けて、味を覚えてみようか? ◆:試したけれど、失敗だな。溶ける味しかしないや。 0: 0: 0: 0: ◆:呆れた北風が、僕の身体を転ばせた。 ◆:今まで映していた世界から、空へと場面が切り替えられる。 0: 0: 0: 0: ◆:痛いな!何しやがる! 0: 0: 0: 0: ◆:って、言いたくなったが、口から言葉が出てこない。 ◆:いや、違う。 ◆:言葉を忘れるほどに、納得したんだ。 0: 0: 0: 0: ◆:そうか。こうすれば良かったのか。 0: 0: 0: 0: ◆:最先端の白い映画館の中で、寝そべって、身を任せ、全身で受け止める。 ◆:僕の身体中に、雪の音符が集まって来る。 ◆:良かった。これで君に素敵な唄を届けられそうだ。 ◆:僕にしか書けない、たった一つの君だけの唄を。 0: 0: 0: 0: ◆:完成したら、溶けないように、そっと、急いで向かうから。 ◆:それまで、ちょっと待っててね。 0: 0: 0: 0: ◆:何でだろう?僕のお尻が冷たいや。 ◆:僕の耳と鼻が赤いのは、きっと、恥ずかしいからだよね。 0: 0: 0: 0: ◆:この唄を受け取った、君が言った言葉。 ◆:今でも憶えている。 0: 0: 0: 0: ◆:『ありがとう。不器用なサンタさん。』 0: 0: 0:

◆:冬は夜が長い。 ◆:夕方と言われているのに、空は紫と藍に染まり、暖かい色合いは一体、何処へ行ったのか。 ◆:朝は、時計の針が背筋をピンと伸ばし、起きていていると言うのに、空は微睡んだまま…。 ◆:誰がこの冬を起こしに、モーニングコールをかけているのか。 ◆:君は知っているかい? 0: 0: 0: 0: ◆:僕は、別に知りたい訳ではないのだけれど。 0: 0: 0: 0: ◆:ライトに反射された綺麗な塵屑が、静かに騒いでいる。 ◆:白いステージには、薄明るい下からの照明に、主役が照らし出される。 ◆:雪に音も掻き消された、『無音の世界』という舞台は、一体、誰の心を揺さぶっているんだ…。 ◆:君はその舞台を観たことがあるかい? 0: 0: 0: 0: ◆:僕は、無いな。……体験した事はあるけれど。 0: 0: 0: 0: ◆:微かにこの耳に、僕の心臓の音に溶け込むように、雪の結晶の静かなメロディーが、僕の元へ向かって来る。 ◆:その音を集めて君に届けたいけれど、繊細過ぎて壊してしまいそうだ。 ◆:両手を広げた中に、残った音で作れたらどんなに楽だろう。 ◆:でも、君に届けたいのは、それじゃないんだ。 ◆:そんな、誰にでも作れる唄じゃないんだ。 0: 0: 0: 0: ◆:どうしたら、作れるだろう? ◆:僕の服を広げて、拾える数を増やしてみようか? ◆:でも、それだと、寒さで僕に合わせて音も震えちゃうな。 0: 0: 0: 0: ◆:大きく口を開けて、味を覚えてみようか? ◆:試したけれど、失敗だな。溶ける味しかしないや。 0: 0: 0: 0: ◆:呆れた北風が、僕の身体を転ばせた。 ◆:今まで映していた世界から、空へと場面が切り替えられる。 0: 0: 0: 0: ◆:痛いな!何しやがる! 0: 0: 0: 0: ◆:って、言いたくなったが、口から言葉が出てこない。 ◆:いや、違う。 ◆:言葉を忘れるほどに、納得したんだ。 0: 0: 0: 0: ◆:そうか。こうすれば良かったのか。 0: 0: 0: 0: ◆:最先端の白い映画館の中で、寝そべって、身を任せ、全身で受け止める。 ◆:僕の身体中に、雪の音符が集まって来る。 ◆:良かった。これで君に素敵な唄を届けられそうだ。 ◆:僕にしか書けない、たった一つの君だけの唄を。 0: 0: 0: 0: ◆:完成したら、溶けないように、そっと、急いで向かうから。 ◆:それまで、ちょっと待っててね。 0: 0: 0: 0: ◆:何でだろう?僕のお尻が冷たいや。 ◆:僕の耳と鼻が赤いのは、きっと、恥ずかしいからだよね。 0: 0: 0: 0: ◆:この唄を受け取った、君が言った言葉。 ◆:今でも憶えている。 0: 0: 0: 0: ◆:『ありがとう。不器用なサンタさん。』 0: 0: 0: