台本概要
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タイトル | サンタの魔法の粉 |
---|---|
作者名 | ぴー (@p_kouhai_chan) |
ジャンル | ミステリー |
演者人数 | 4人用台本(男2、女2) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
【内容】 「クリスマスなんてクソくらえ!!」 という気持ちでマジメに書きました 全員男女不問で人数変更当もご自由にどうぞ! 【あらすじ】 クリスマスの夜にとある路地裏の一室で2人の子供の遺体が発見された。 その部屋のテーブルには 「引き裂かれたシーツ」 「血が滴り落ちた雪の塊」 「燃え尽きたロウソク」 そしてその傍らには 「笑顔の」2人の子供の遺体… これらの意味するものとは? クリスマスの夜に起きた哀しきサスペンス 314 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
アレックス | 男 | 48 | 38歳 ベテラン警官 皮肉屋で離婚歴ある だが、優しい一面もある |
ベイリー | 女 | 44 | 25歳 高学歴の新人警官 知識が豊富で物事を冷静に分析することが得意 |
チャーリー | 男 | 44 | 7歳 心優しい子供 路地裏のボロボロの家屋の2階に住んでいる クリスマスに強い憧れを持っている |
ウィンター | 女 | 43 | 5歳 教育を受けていない為、言葉が拙い また出生届も出されていないので戸籍がない サンタクロースが来てくれると信じている |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
サンタの魔法の粉:
チャーリー:サンタさん…ありがとう!
チャーリー:
チャーリー:本物の魔法の粉なんだね…っ!
チャーリー:
チャーリー:
チャーリー:…わぁ!美味しそうなケーキ…!
チャーリー:
チャーリー:あれれ…?
チャーリー:
チャーリー:なんだか、ふわふわして良い気持ち…。
チャーリー:
チャーリー:
0:
アレックス:さみぃ…今日は特に冷えるぜ…
アレックス:ここまで雪が降るのか…全く、最悪のクリスマスだ…
アレックス:いや、最悪のクリスマスプレゼントだな…
アレックス:本当にサンタがいるなら白ヒゲを燃やして、黒くしてやりたいたいぜ
ベイリー:放火は重罪ですよ、アレックス?
アレックス:今日の担当はお前さんか、ベイリー!
アレックス:なぁにクリスマスジョークだから気にするな!
ベイリー:全く…相変わらずですね
ベイリー:手に持っているのはケーキですか?独り身なのに寂しいですね
アレックス:お前さんも相変わらずだな
アレックス:ケーキを買って帰るところで連絡が入ってな、たまたま近くにいたのが運の尽きだぜ
アレックス:そういうお前さんも仕事が恋人なんだろう?
ベイリー:いいえ、残念ながら?
ベイリー:恋人とクリスマスディナーの約束があります
ベイリー:なので、さっさと終わらせてお互い楽しいクリスマスにしましょう
アレックス:本当にお前さんは愚痴も言わずに…
アレックス:なぁ、ベイリーよ
アレックス:時には愚痴を言うのも大事だ。これも長く警官をやるヒケツだ
ベイリー:覚えておきます
ベイリー:それよりも今回の事件、不可解な点が多いみたいです
アレックス:なんだ?まさかサンタが犯人とでも言いたいのか?
ベイリー:(ため息をついて)そんなわけないでしょ…
ベイリー:今回の被害者は7歳と5歳の子供です
ベイリー:…2人とも裸で亡くなっていたそうです
アレックス:乱暴された形跡は?
ベイリー:ありません
ベイリー:ですが…2人とも口からの出血が見られ、ひどくやせ細っていたようです
ベイリー:あと…
アレックス:ネグレクトか…
アレックス:あと、なんだ?
ベイリー:2人は幸せそうな顔をして亡くなっていたとのことでした
アレックス:…ヤクか?
ベイリー:分かりません…
ベイリー:ですが、ここは先日、薬物の不法所持で逮捕したトムの家だったようです
アレックス:なるほどな…
アレックス:ヤクを見付けようとしてガキを見付けたわけだ
ベイリー:えぇ…
ベイリー:市民局の話だと、上の子の『チャーリー』は母親に引き取られたことになっていていますが、下の子の『ウィンター』は戸籍がないそうです
アレックス:随分やっかいだな…
アレックス:とりあえず、現場検証といこうか
0:
ウィンター:チャーリー?パパ、いつ、ウチ帰る?
チャーリー:そうだな…ウィンターがその本をあと20回位読んだらかな?
ウィンター:ウィンター、本いっぱい読んだ。パパ、だから帰ってくる
チャーリー:でも、文字を全部読んでないだろう?
チャーリー:だからまだ完璧に読めてないよ?
ウィンター:分かった、ウィンター、読む
ウィンター:…ねぇ、チャーリー?
チャーリー:なぁに?ウィンター?
ウィンター:サンタ、ほんとに、いる?
チャーリー:…うん!もちろんいるに決まってるじゃないか!
チャーリー:そうだ、ウィンターは何か欲しいものあるの?
ウィンター:ウィンター、魔法の粉欲しい、この本書いてある、サンタの魔法の粉、欲しい
チャーリー:そうなんだね、きっと今年は来てくれるよ!
チャーリー:…だから二人で頑張ろう!
ウィンター:うん、ウインター、わかった。お腹減った、でも頑張る!
チャーリー:そうだよね…お腹すいたよね…:
チャーリー:ちょっと待ってて!今何か食べれそうなもの探してくるから!
ウィンター:わかった、ウィンター、ここ待ってる
ウィンター:あと、ウィンターもここ、探す
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アレックス:さみぃな…外と変わらない寒さだ
アレックス:…くせぇな、仏さんの匂いか?
ベイリー:いいえ、遺体は検死の為に回収しているので恐らく排泄物の匂いかと
アレックス:ションベンくせぇガキと思っていたらホントにションベンの匂いかよ!
ベイリー:アレックス!度が過ぎますよ!
アレックス:へいへい。
アレックス:そういや、戸籍もねぇのに何で下のガキの名前と歳が分ったんだ?
ベイリー:それはこの本ですよ
アレックス:『サンタの魔法の粉』だぁ?
アレックス:『愛しいわが子ウィンターに贈る。父トムより』
アレックス:何が魔法の粉だよ、ドラッグジャンキーが
ベイリー:中のページに5年前の今日の日付が書かれているので間違いないと思います
ベイリー:誕生日が命日なんて悲しいですが…
アレックス:仕方ねぇさ、死ぬ日を決めることが出来れば苦労ねぇ
アレックス:んで、このテーブルの上が不可解ってことで良いんだよな?
ベイリー:えぇ、『破られたシーツ』に『血が滴り落ちた雪の塊』と『燃え尽きたロウソク』…
ベイリー:これに合わせて『笑顔で横たわる全裸の遺体』です
ベイリー:確かに一貫性がないようにも見えますね
アレックス:ほう…その言い草だと何か分かったのかね。エリート警官どの?
ベイリー:もちろん全てではないですが、推測は立っています
ベイリー:では、アレックスが気になる点から答えていくので聞いて下さい
アレックス:すごい自信だこと…
アレックス:まぁロウソクに関して言えば言うことはないが…
アレックス:なぜシーツが2枚テーブルの上にある?1枚はどうして引き裂かれている?
ベイリー:引き裂かれている理由は燃やしやすくするためです。もう一枚はくるまる為に準備したのでしょう
アレックス:ふーん…。特に面白みもないのな
ベイリー:子供が考えることですよ?アレックスの期待するような理由なわけがありませんよ
アレックス:へいへい、じゃあこの雪も腹減ったから皿にいれたってのか?
ベイリー:それは違うと思います
アレックス:は?お前さんガキの考えることって言ってただろ?
ベイリー:私も最初は思いましたよ
ベイリー:でも血で染まっているのをみて、血と痛みを止める為だと考えられます
アレックス:そう言えば口から出血してたんだったな…
アレックス:…あっ!シーツを引き裂いた時か!
ベイリー:冴えてますねアレックス。シーツに血痕が見られるので間違いないと思います
アレックス:んで、下のガキも出血したから2人で冷やすために皿に雪を盛ったのか!
アレックス:これは納得だ!
ベイリー:それは良かったです
ベイリー:ではその調子で2人が裸だった理由も考えてみて下さい
アレックス:みくびるなよ!ガキが考えそうなことだろ…
アレックス:裸でくっついた方が温かいからか?
アレックス:あっ!裸同士なら気持ち良いこと出来るからか!
ベイリー:どこが子供の考えなんですか
ベイリー:セクハラで訴えますよ?
アレックス:…冗談に決まってるだろ!これは本当に分からん…
ベイリー:それなら素直に言ってくださいよ
ベイリー:納得いかないかもしれませんが…『暑かったから』です
アレックス:はあぁ!?暑かっただ!?
アレックス:デカい暖炉(だんろ)のある家ならともかく、隙間風が入るボロ家にロウソク1本だぞ!?
ベイリー:これに関しては可能性の範疇(はんちゅう)ですが、恐らく…
ベイリー:『逆脱衣』です
アレックス:逆…脱衣…?なんだそりゃ?
ベイリー:低体温症が進むと体が燃えるように熱く感じて服を脱ぎだすことがあります
ベイリー:実際、雪山遭難者が裸で発見されるケースも珍しくありません
ベイリー:…でも、その場合の多くは遺体で見つかるのですが
アレックス:まぁ…そういうことがあるのは分かった
アレックス:この寒さと弱り切ったガキの体力じゃ、そうなのかもな…
アレックス:最後だが、何でガキどもは笑ってたんだ?
ベイリー:…恐らく…幻覚を見ていた為だと思われます
アレックス:つまりは…ヤクの可能性が高いってことか?
ベイリー:それは…まだ…
ベイリー:証拠がないので何とも言えません…
ベイリー:ですが子供という事を考慮すると可能性は決して高くないと思いますが…
アレックス:おっ!まさかお前さん分からんのかね?
ベイリー:うるさいですよ!まだ現場検証も済んでないですし、薬物を使っていれば司法解剖で分かりますから!
アレックス:これだからエリートは応用がきかねぇなぁ!
ベイリー:仕方ないじゃないですか!
ベイリー:って、アレックス何やってるんですか?
ベイリー:ベッドの下なんか漁って…
アレックス:あー?証拠を探してるんだよ
アレックス:証拠がなければ証拠を見付ければいい
アレックス:それも長く警官をやるヒケツだ…
ベイリー:またそれですか?
ベイリー:そもそも、そんなところに隠してるわけないですよ
アレックス:ガキがやましいモン隠すときはベッドの下って相場が決まってるんだよ…っと!
ベイリー:えっ!?白い粉!?それにSの文字…
ベイリー:まさか…覚せい剤…!?
アレックス:さぁて、エリート警官どの
アレックス:答え合わせの時間だ
0:
チャーリー:うぅ…食べ物なんて全然見つからないや…
チャーリー:パパがいなくなって2週間位経つもんね…
ウィンター:チャーリー、食べ物見付からない…
ウィンター:やっぱりパパ帰らないと、ない、なにも
チャーリー:そうかもね…
チャーリー:あれ?こんなところに白い粉がある…?
ウィンター:文字ある、でも読めない
チャーリー:どれどれ…えっと『S…』続きの文字は消えたのかな?
チャーリー:つまり、シュガー?ソルト?
ウィンター:ウィンターお腹減った、もう無理、それ食べる
チャーリー:待ってウィンター!もしかしたら塩かもしれないよ?
チャーリー:今、匂いを嗅ぐからまって
チャーリー:…甘い。もしかして砂糖…?
ウィンター:チャーリーずるい、独り占め。ウィンター先に食べる!
ウィンター:(舐める)
チャーリー:ちょっとウィンター!?勝手に舐めて大丈夫なの!?
ウィンター:…まい。
チャーリー:え?なんて…?
ウィンター:あまーい!!ウィンターこれ好き!!
チャーリー:本当に…?(舐める)
チャーリー:本当だ!甘いっ!でも砂糖ってこんな味だっけ…?
ウィンター:ウィンター分かった、これ砂糖違う
チャーリー:え?じゃあ何なの?
ウィンター:これきっと…『サンタの魔法の粉』
ウィンター:サンタの魔法の粉、甘い、書いてた
チャーリー:…ウィンター。
チャーリー:うん…。そうだね!きっとそうに違いない!
ウィンター:だからこれから、この粉、ご飯つくる
チャーリー:そうだね!えっと…粉をどうすれば良いんだっけ?
ウィンター:形似てるもの、ふりかける、そしたら、それなる!
チャーリー:分かったよ、ウィンターは何食べたい?
ウィンター:ウィンター、ケーキ食べる、大きい、クリームいっぱい!
チャーリー:分かったよ!似てる形のものだったね…えっと…
チャーリー:そうだ!雪を使おう!外には出れないから屋根の雪を取って…と
ウィンター:チャーリー、ありがと!ウィンター、粉ふりかける
ウィンター:なれ、おいしいケーキなれ…
ウィンター:ケーキならない…
チャーリー:ウィンター…残念だけど、やっぱりただの砂糖みたいだね…
ウィンター:砂糖、ちがう!これ魔法の粉…!
ウィンター:…!チャ、チャーリー!ケーキ光ってる…!
チャーリー:え!?そんな!?なんで!?
ウィンター:ケーキなった!大きいケーキなった!
ウィンター:この粉、砂糖ちがう!サンタの魔法の粉!
チャーリー:サンタさん…ありがとう!
チャーリー:本物の魔法の粉なんだね…っ!
ウィンター:ケーキ、本で見た、同じ!ウィンター、嬉しい!
チャーリー:だね!嬉しいね!
チャーリー:ウィンターはあと何が欲しい?
ウィンター:ウィンターさむい、暖かい、火欲しい
チャーリー:分かったよ!なら暖炉だね!
チャーリー:このロウソクにふりかけて…
ウィンター:すごい!どんろの火、暖かい!
チャーリー:ウィンター、どんろじゃなくて暖炉だよ
チャーリー:でも本当に暖かいね…
ウィンター:ウィンター、我慢できない、ケーキ食べる
チャーリー:まってウィンター!ケーキはデザートだから最後だよ?
チャーリー:クリスマスのメインと言えば…七面鳥の丸焼きだよ!
ウィンター:しちめんちょう?なに、それ?
チャーリー:お肉料理だよ!お金持ちの家では1人1羽食べるんだって!
ウィンター:ウィンター、それ食べる!
チャーリー:ありがとう!
チャーリー:えっと…七面鳥になりそうなものは…
ウィンター:チャーリー!これ!
ウィンター:シーツ丸めた!できた!しちめんちょう!
チャーリー:ウィンターは本当に面白いね!いいね!やってみよう!
チャーリー:粉をふりかけて…っと…
ウィンター:なれ、なれ、しちめんちょう!
ウィンター:あっ!光った!しちめんちょう!光った!
チャーリー:やったぁ!夢に見た七面鳥の丸焼きだ!
チャーリー:ウィンター!食べよう!
ウィンター:うん!いただきます!
チャーリー:いただきます!(噛みつく)
チャーリー:んー!硬くてなかなか噛み切れないけど美味しいっ!
ウィンター:ウィンターも!ちぎれない、けど、これ好き!
チャーリー:食べれる分だけ食べよう!デザートにはケーキがあるから無理しないで大丈夫だからね!
ウィンター:ウィンター、ケーキたべる!
ウィンター:あっ!チャーリー!みて!ケーキみて!
チャーリー:どうしたのウィンター?
ウィンター:ケーキ乗ってる!赤いのたくさん!初めてみる!
チャーリー:それはイチゴっていうんだよ?
チャーリー:甘くて酸っぱいフルーツだよ
ウィンター:ウィンター、イチゴ好き!
チャーリー:あはは!ウィンターはイチゴ食べたことないだろ?
チャーリー:じゃあケーキ食べようか!切り分けてっと!
ウィンター:ケーキ、いただきます(ぱくっ)
ウィンター:うーん!あまい、おいしい!
チャーリー:だね!イチゴも甘くておいしいね!
ウィンター:チャーリー…
チャーリー:どうしたの?ウィンター?
ウィンター:ウィンター、暑い。服べたべたする、服脱ぎたい
チャーリー:そうだね…確かに暑いね…
チャーリー:暖炉で部屋も暖かいし、服もパンツも汚れてるし、全部脱いじゃおうか!
ウィンター:うん!ウィンター、全部脱ぐ
ウィンター:ウィンター、ケーキ…もっと…たべ…る…
チャーリー:ウィンター眠そうだね
チャーリー:無理しないで寝て良いんだよ?
ウィンター:寝た…くない…。サンタ…さん、お礼…言いたい…
チャーリー:大丈夫だよ?サンタさんはウィンターの気持ち分かってるから、安心して寝よう?
チャーリー:そうだ!
ウィンター:チャー…リー…?なんで…イス…ふりかけた…?
チャーリー:じゃーん!ふかふかベッドの完成ー!
ウィンター:わぁい…!いつもの…ベッドより…ふかふか…幸せ…
チャーリー:大丈夫だよウィンター!この粉がある限り毎日幸せだよ?
ウィンター:でも…粉…だれか…とる…困る…
チャーリー:今まで使っていたベッドの下に隠しておくから見付からないよ!
ウィンター:わ…かっ…た。なら…あんしん…
ウィンター:おや…す…み…。メリー…クリス…マ…ス…
チャーリー:メリークリスマス、ウィンター
チャーリー:なんだか、ふわふわして良い気持ち…
チャーリー:魔法の粉を隠してから寝よう…
チャーリー:本当にありがとう…サンタさん…
チャーリー:メリー…クリスマ…ス…
0:
アレックス:さてと…この甘い匂いでガキ共を騙したのは覚せい剤かアヘンか…っと(なめる)
アレックス:…そうか、そうだったんだな
ベイリー:ちょっとアレックス!証拠を勝手にいじらないで下さいっ!
アレックス:うるせー!中身の確認が最優先だろっ!それよりもお前さんも舐めてみろ
ベイリー:何でですか?部下にクスリを勧めるなんて懲戒案件(ちょうかいあんけん)ですよ!
アレックス:大丈夫だ!ちょっと舐めた位じゃ効きやしねぇよ!
ベイリー:はぁ…わかりました…(舐める)
ベイリー:…!?ただの砂糖じゃないですか!?
ベイリー:クスリじゃないなら私の推測の方が有力じゃないですか!
アレックス:バカ野郎っ!よく考えてみろっ!
ベイリー:え?何をですか?
アレックス:はぁ…これだから学歴だけの警官は…
アレックス:あのな!腹をすかせたガキ共は砂糖を喜んで食って、そのあと死んだんだぞ!
ベイリー:すみません…配慮が足りませんでした…
ベイリー:でも、そう考えると…あの子たちにとって本物のクスリだった方が幸せだったんですかね…
アレックス:警官がバカなこと言うな
アレックス:ガキがヤク漬けになる方が最悪だよ
ベイリー:でも…砂糖1つで幸せに人生を終えるなんて哀しいです…
アレックス:…あれは砂糖じゃねぇよ
アレックス:ガキ共が最期に口にしたのは…サンタの魔法の粉だ
ベイリー:でもそれは…
アレックス:事件に関係ないことでグダグダ悩むな!気にしないのも長く警官をやるヒケツだ!
ベイリー:そうですね…
ベイリー:でもアレックス…さっき砂糖って言ってましたよね?
アレックス:そうだったか?忘れっちまったな
ベイリー:はいはい…相変わらずですね
アレックス:それよりお前さん、約束のディナーは良いのか?
ベイリー:あー…正直、この事件の後だと気が進みませんね…
ベイリー:遅くなりそうだからと断ろうと思います
アレックス:バカ野郎っ!そんなんで警官が務まるか!
アレックス:いつ死ぬ身か分からねぇんだ!さっさと行けっ!
ベイリー:死ぬって…、
ベイリー:
ベイリー:でも…確かにそうですよね!では、私は行きますね!
アレックス:おうおう!さっさと行った行った!
アレックス:それと、くれぐれも恋人に仕事の愚痴言うんじゃねーぞ!
アレックス:それが長く警官をやる…
ベイリー:ヒケツ!
ベイリー:ですよね!
アレックス:…わかってんじゃねーか
ベイリー:肝に命じておきます!アレックスと同じになりたくないので!
ベイリー:では、お先に失礼します!アレックスも良いクリスマスを!
アレックス:ったく、可愛くないヤツだ
アレックス:さてと…ケーキはどこ置いたっけか?
アレックス:おっ、あったあった
アレックス:…本当は自分で食べる為に買ったんだけどな
アレックス:(テーブルの上にケーキを置く)
アレックス:こういうのは柄じゃねぇんだけどな
アレックス:やっぱり、ガキのクリスマスにはケーキがねぇと…
アレックス:…1人用で悪いが仲良く食べてくれ
アレックス:お前たちにとって最悪のクリスマス…いや、人生だったかもしれない
アレックス:だから…来世では幸せになってくれ
アレックス:…メリークリスマス
0:終
サンタの魔法の粉:
チャーリー:サンタさん…ありがとう!
チャーリー:
チャーリー:本物の魔法の粉なんだね…っ!
チャーリー:
チャーリー:
チャーリー:…わぁ!美味しそうなケーキ…!
チャーリー:
チャーリー:あれれ…?
チャーリー:
チャーリー:なんだか、ふわふわして良い気持ち…。
チャーリー:
チャーリー:
0:
アレックス:さみぃ…今日は特に冷えるぜ…
アレックス:ここまで雪が降るのか…全く、最悪のクリスマスだ…
アレックス:いや、最悪のクリスマスプレゼントだな…
アレックス:本当にサンタがいるなら白ヒゲを燃やして、黒くしてやりたいたいぜ
ベイリー:放火は重罪ですよ、アレックス?
アレックス:今日の担当はお前さんか、ベイリー!
アレックス:なぁにクリスマスジョークだから気にするな!
ベイリー:全く…相変わらずですね
ベイリー:手に持っているのはケーキですか?独り身なのに寂しいですね
アレックス:お前さんも相変わらずだな
アレックス:ケーキを買って帰るところで連絡が入ってな、たまたま近くにいたのが運の尽きだぜ
アレックス:そういうお前さんも仕事が恋人なんだろう?
ベイリー:いいえ、残念ながら?
ベイリー:恋人とクリスマスディナーの約束があります
ベイリー:なので、さっさと終わらせてお互い楽しいクリスマスにしましょう
アレックス:本当にお前さんは愚痴も言わずに…
アレックス:なぁ、ベイリーよ
アレックス:時には愚痴を言うのも大事だ。これも長く警官をやるヒケツだ
ベイリー:覚えておきます
ベイリー:それよりも今回の事件、不可解な点が多いみたいです
アレックス:なんだ?まさかサンタが犯人とでも言いたいのか?
ベイリー:(ため息をついて)そんなわけないでしょ…
ベイリー:今回の被害者は7歳と5歳の子供です
ベイリー:…2人とも裸で亡くなっていたそうです
アレックス:乱暴された形跡は?
ベイリー:ありません
ベイリー:ですが…2人とも口からの出血が見られ、ひどくやせ細っていたようです
ベイリー:あと…
アレックス:ネグレクトか…
アレックス:あと、なんだ?
ベイリー:2人は幸せそうな顔をして亡くなっていたとのことでした
アレックス:…ヤクか?
ベイリー:分かりません…
ベイリー:ですが、ここは先日、薬物の不法所持で逮捕したトムの家だったようです
アレックス:なるほどな…
アレックス:ヤクを見付けようとしてガキを見付けたわけだ
ベイリー:えぇ…
ベイリー:市民局の話だと、上の子の『チャーリー』は母親に引き取られたことになっていていますが、下の子の『ウィンター』は戸籍がないそうです
アレックス:随分やっかいだな…
アレックス:とりあえず、現場検証といこうか
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ウィンター:チャーリー?パパ、いつ、ウチ帰る?
チャーリー:そうだな…ウィンターがその本をあと20回位読んだらかな?
ウィンター:ウィンター、本いっぱい読んだ。パパ、だから帰ってくる
チャーリー:でも、文字を全部読んでないだろう?
チャーリー:だからまだ完璧に読めてないよ?
ウィンター:分かった、ウィンター、読む
ウィンター:…ねぇ、チャーリー?
チャーリー:なぁに?ウィンター?
ウィンター:サンタ、ほんとに、いる?
チャーリー:…うん!もちろんいるに決まってるじゃないか!
チャーリー:そうだ、ウィンターは何か欲しいものあるの?
ウィンター:ウィンター、魔法の粉欲しい、この本書いてある、サンタの魔法の粉、欲しい
チャーリー:そうなんだね、きっと今年は来てくれるよ!
チャーリー:…だから二人で頑張ろう!
ウィンター:うん、ウインター、わかった。お腹減った、でも頑張る!
チャーリー:そうだよね…お腹すいたよね…:
チャーリー:ちょっと待ってて!今何か食べれそうなもの探してくるから!
ウィンター:わかった、ウィンター、ここ待ってる
ウィンター:あと、ウィンターもここ、探す
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アレックス:さみぃな…外と変わらない寒さだ
アレックス:…くせぇな、仏さんの匂いか?
ベイリー:いいえ、遺体は検死の為に回収しているので恐らく排泄物の匂いかと
アレックス:ションベンくせぇガキと思っていたらホントにションベンの匂いかよ!
ベイリー:アレックス!度が過ぎますよ!
アレックス:へいへい。
アレックス:そういや、戸籍もねぇのに何で下のガキの名前と歳が分ったんだ?
ベイリー:それはこの本ですよ
アレックス:『サンタの魔法の粉』だぁ?
アレックス:『愛しいわが子ウィンターに贈る。父トムより』
アレックス:何が魔法の粉だよ、ドラッグジャンキーが
ベイリー:中のページに5年前の今日の日付が書かれているので間違いないと思います
ベイリー:誕生日が命日なんて悲しいですが…
アレックス:仕方ねぇさ、死ぬ日を決めることが出来れば苦労ねぇ
アレックス:んで、このテーブルの上が不可解ってことで良いんだよな?
ベイリー:えぇ、『破られたシーツ』に『血が滴り落ちた雪の塊』と『燃え尽きたロウソク』…
ベイリー:これに合わせて『笑顔で横たわる全裸の遺体』です
ベイリー:確かに一貫性がないようにも見えますね
アレックス:ほう…その言い草だと何か分かったのかね。エリート警官どの?
ベイリー:もちろん全てではないですが、推測は立っています
ベイリー:では、アレックスが気になる点から答えていくので聞いて下さい
アレックス:すごい自信だこと…
アレックス:まぁロウソクに関して言えば言うことはないが…
アレックス:なぜシーツが2枚テーブルの上にある?1枚はどうして引き裂かれている?
ベイリー:引き裂かれている理由は燃やしやすくするためです。もう一枚はくるまる為に準備したのでしょう
アレックス:ふーん…。特に面白みもないのな
ベイリー:子供が考えることですよ?アレックスの期待するような理由なわけがありませんよ
アレックス:へいへい、じゃあこの雪も腹減ったから皿にいれたってのか?
ベイリー:それは違うと思います
アレックス:は?お前さんガキの考えることって言ってただろ?
ベイリー:私も最初は思いましたよ
ベイリー:でも血で染まっているのをみて、血と痛みを止める為だと考えられます
アレックス:そう言えば口から出血してたんだったな…
アレックス:…あっ!シーツを引き裂いた時か!
ベイリー:冴えてますねアレックス。シーツに血痕が見られるので間違いないと思います
アレックス:んで、下のガキも出血したから2人で冷やすために皿に雪を盛ったのか!
アレックス:これは納得だ!
ベイリー:それは良かったです
ベイリー:ではその調子で2人が裸だった理由も考えてみて下さい
アレックス:みくびるなよ!ガキが考えそうなことだろ…
アレックス:裸でくっついた方が温かいからか?
アレックス:あっ!裸同士なら気持ち良いこと出来るからか!
ベイリー:どこが子供の考えなんですか
ベイリー:セクハラで訴えますよ?
アレックス:…冗談に決まってるだろ!これは本当に分からん…
ベイリー:それなら素直に言ってくださいよ
ベイリー:納得いかないかもしれませんが…『暑かったから』です
アレックス:はあぁ!?暑かっただ!?
アレックス:デカい暖炉(だんろ)のある家ならともかく、隙間風が入るボロ家にロウソク1本だぞ!?
ベイリー:これに関しては可能性の範疇(はんちゅう)ですが、恐らく…
ベイリー:『逆脱衣』です
アレックス:逆…脱衣…?なんだそりゃ?
ベイリー:低体温症が進むと体が燃えるように熱く感じて服を脱ぎだすことがあります
ベイリー:実際、雪山遭難者が裸で発見されるケースも珍しくありません
ベイリー:…でも、その場合の多くは遺体で見つかるのですが
アレックス:まぁ…そういうことがあるのは分かった
アレックス:この寒さと弱り切ったガキの体力じゃ、そうなのかもな…
アレックス:最後だが、何でガキどもは笑ってたんだ?
ベイリー:…恐らく…幻覚を見ていた為だと思われます
アレックス:つまりは…ヤクの可能性が高いってことか?
ベイリー:それは…まだ…
ベイリー:証拠がないので何とも言えません…
ベイリー:ですが子供という事を考慮すると可能性は決して高くないと思いますが…
アレックス:おっ!まさかお前さん分からんのかね?
ベイリー:うるさいですよ!まだ現場検証も済んでないですし、薬物を使っていれば司法解剖で分かりますから!
アレックス:これだからエリートは応用がきかねぇなぁ!
ベイリー:仕方ないじゃないですか!
ベイリー:って、アレックス何やってるんですか?
ベイリー:ベッドの下なんか漁って…
アレックス:あー?証拠を探してるんだよ
アレックス:証拠がなければ証拠を見付ければいい
アレックス:それも長く警官をやるヒケツだ…
ベイリー:またそれですか?
ベイリー:そもそも、そんなところに隠してるわけないですよ
アレックス:ガキがやましいモン隠すときはベッドの下って相場が決まってるんだよ…っと!
ベイリー:えっ!?白い粉!?それにSの文字…
ベイリー:まさか…覚せい剤…!?
アレックス:さぁて、エリート警官どの
アレックス:答え合わせの時間だ
0:
チャーリー:うぅ…食べ物なんて全然見つからないや…
チャーリー:パパがいなくなって2週間位経つもんね…
ウィンター:チャーリー、食べ物見付からない…
ウィンター:やっぱりパパ帰らないと、ない、なにも
チャーリー:そうかもね…
チャーリー:あれ?こんなところに白い粉がある…?
ウィンター:文字ある、でも読めない
チャーリー:どれどれ…えっと『S…』続きの文字は消えたのかな?
チャーリー:つまり、シュガー?ソルト?
ウィンター:ウィンターお腹減った、もう無理、それ食べる
チャーリー:待ってウィンター!もしかしたら塩かもしれないよ?
チャーリー:今、匂いを嗅ぐからまって
チャーリー:…甘い。もしかして砂糖…?
ウィンター:チャーリーずるい、独り占め。ウィンター先に食べる!
ウィンター:(舐める)
チャーリー:ちょっとウィンター!?勝手に舐めて大丈夫なの!?
ウィンター:…まい。
チャーリー:え?なんて…?
ウィンター:あまーい!!ウィンターこれ好き!!
チャーリー:本当に…?(舐める)
チャーリー:本当だ!甘いっ!でも砂糖ってこんな味だっけ…?
ウィンター:ウィンター分かった、これ砂糖違う
チャーリー:え?じゃあ何なの?
ウィンター:これきっと…『サンタの魔法の粉』
ウィンター:サンタの魔法の粉、甘い、書いてた
チャーリー:…ウィンター。
チャーリー:うん…。そうだね!きっとそうに違いない!
ウィンター:だからこれから、この粉、ご飯つくる
チャーリー:そうだね!えっと…粉をどうすれば良いんだっけ?
ウィンター:形似てるもの、ふりかける、そしたら、それなる!
チャーリー:分かったよ、ウィンターは何食べたい?
ウィンター:ウィンター、ケーキ食べる、大きい、クリームいっぱい!
チャーリー:分かったよ!似てる形のものだったね…えっと…
チャーリー:そうだ!雪を使おう!外には出れないから屋根の雪を取って…と
ウィンター:チャーリー、ありがと!ウィンター、粉ふりかける
ウィンター:なれ、おいしいケーキなれ…
ウィンター:ケーキならない…
チャーリー:ウィンター…残念だけど、やっぱりただの砂糖みたいだね…
ウィンター:砂糖、ちがう!これ魔法の粉…!
ウィンター:…!チャ、チャーリー!ケーキ光ってる…!
チャーリー:え!?そんな!?なんで!?
ウィンター:ケーキなった!大きいケーキなった!
ウィンター:この粉、砂糖ちがう!サンタの魔法の粉!
チャーリー:サンタさん…ありがとう!
チャーリー:本物の魔法の粉なんだね…っ!
ウィンター:ケーキ、本で見た、同じ!ウィンター、嬉しい!
チャーリー:だね!嬉しいね!
チャーリー:ウィンターはあと何が欲しい?
ウィンター:ウィンターさむい、暖かい、火欲しい
チャーリー:分かったよ!なら暖炉だね!
チャーリー:このロウソクにふりかけて…
ウィンター:すごい!どんろの火、暖かい!
チャーリー:ウィンター、どんろじゃなくて暖炉だよ
チャーリー:でも本当に暖かいね…
ウィンター:ウィンター、我慢できない、ケーキ食べる
チャーリー:まってウィンター!ケーキはデザートだから最後だよ?
チャーリー:クリスマスのメインと言えば…七面鳥の丸焼きだよ!
ウィンター:しちめんちょう?なに、それ?
チャーリー:お肉料理だよ!お金持ちの家では1人1羽食べるんだって!
ウィンター:ウィンター、それ食べる!
チャーリー:ありがとう!
チャーリー:えっと…七面鳥になりそうなものは…
ウィンター:チャーリー!これ!
ウィンター:シーツ丸めた!できた!しちめんちょう!
チャーリー:ウィンターは本当に面白いね!いいね!やってみよう!
チャーリー:粉をふりかけて…っと…
ウィンター:なれ、なれ、しちめんちょう!
ウィンター:あっ!光った!しちめんちょう!光った!
チャーリー:やったぁ!夢に見た七面鳥の丸焼きだ!
チャーリー:ウィンター!食べよう!
ウィンター:うん!いただきます!
チャーリー:いただきます!(噛みつく)
チャーリー:んー!硬くてなかなか噛み切れないけど美味しいっ!
ウィンター:ウィンターも!ちぎれない、けど、これ好き!
チャーリー:食べれる分だけ食べよう!デザートにはケーキがあるから無理しないで大丈夫だからね!
ウィンター:ウィンター、ケーキたべる!
ウィンター:あっ!チャーリー!みて!ケーキみて!
チャーリー:どうしたのウィンター?
ウィンター:ケーキ乗ってる!赤いのたくさん!初めてみる!
チャーリー:それはイチゴっていうんだよ?
チャーリー:甘くて酸っぱいフルーツだよ
ウィンター:ウィンター、イチゴ好き!
チャーリー:あはは!ウィンターはイチゴ食べたことないだろ?
チャーリー:じゃあケーキ食べようか!切り分けてっと!
ウィンター:ケーキ、いただきます(ぱくっ)
ウィンター:うーん!あまい、おいしい!
チャーリー:だね!イチゴも甘くておいしいね!
ウィンター:チャーリー…
チャーリー:どうしたの?ウィンター?
ウィンター:ウィンター、暑い。服べたべたする、服脱ぎたい
チャーリー:そうだね…確かに暑いね…
チャーリー:暖炉で部屋も暖かいし、服もパンツも汚れてるし、全部脱いじゃおうか!
ウィンター:うん!ウィンター、全部脱ぐ
ウィンター:ウィンター、ケーキ…もっと…たべ…る…
チャーリー:ウィンター眠そうだね
チャーリー:無理しないで寝て良いんだよ?
ウィンター:寝た…くない…。サンタ…さん、お礼…言いたい…
チャーリー:大丈夫だよ?サンタさんはウィンターの気持ち分かってるから、安心して寝よう?
チャーリー:そうだ!
ウィンター:チャー…リー…?なんで…イス…ふりかけた…?
チャーリー:じゃーん!ふかふかベッドの完成ー!
ウィンター:わぁい…!いつもの…ベッドより…ふかふか…幸せ…
チャーリー:大丈夫だよウィンター!この粉がある限り毎日幸せだよ?
ウィンター:でも…粉…だれか…とる…困る…
チャーリー:今まで使っていたベッドの下に隠しておくから見付からないよ!
ウィンター:わ…かっ…た。なら…あんしん…
ウィンター:おや…す…み…。メリー…クリス…マ…ス…
チャーリー:メリークリスマス、ウィンター
チャーリー:なんだか、ふわふわして良い気持ち…
チャーリー:魔法の粉を隠してから寝よう…
チャーリー:本当にありがとう…サンタさん…
チャーリー:メリー…クリスマ…ス…
0:
アレックス:さてと…この甘い匂いでガキ共を騙したのは覚せい剤かアヘンか…っと(なめる)
アレックス:…そうか、そうだったんだな
ベイリー:ちょっとアレックス!証拠を勝手にいじらないで下さいっ!
アレックス:うるせー!中身の確認が最優先だろっ!それよりもお前さんも舐めてみろ
ベイリー:何でですか?部下にクスリを勧めるなんて懲戒案件(ちょうかいあんけん)ですよ!
アレックス:大丈夫だ!ちょっと舐めた位じゃ効きやしねぇよ!
ベイリー:はぁ…わかりました…(舐める)
ベイリー:…!?ただの砂糖じゃないですか!?
ベイリー:クスリじゃないなら私の推測の方が有力じゃないですか!
アレックス:バカ野郎っ!よく考えてみろっ!
ベイリー:え?何をですか?
アレックス:はぁ…これだから学歴だけの警官は…
アレックス:あのな!腹をすかせたガキ共は砂糖を喜んで食って、そのあと死んだんだぞ!
ベイリー:すみません…配慮が足りませんでした…
ベイリー:でも、そう考えると…あの子たちにとって本物のクスリだった方が幸せだったんですかね…
アレックス:警官がバカなこと言うな
アレックス:ガキがヤク漬けになる方が最悪だよ
ベイリー:でも…砂糖1つで幸せに人生を終えるなんて哀しいです…
アレックス:…あれは砂糖じゃねぇよ
アレックス:ガキ共が最期に口にしたのは…サンタの魔法の粉だ
ベイリー:でもそれは…
アレックス:事件に関係ないことでグダグダ悩むな!気にしないのも長く警官をやるヒケツだ!
ベイリー:そうですね…
ベイリー:でもアレックス…さっき砂糖って言ってましたよね?
アレックス:そうだったか?忘れっちまったな
ベイリー:はいはい…相変わらずですね
アレックス:それよりお前さん、約束のディナーは良いのか?
ベイリー:あー…正直、この事件の後だと気が進みませんね…
ベイリー:遅くなりそうだからと断ろうと思います
アレックス:バカ野郎っ!そんなんで警官が務まるか!
アレックス:いつ死ぬ身か分からねぇんだ!さっさと行けっ!
ベイリー:死ぬって…、
ベイリー:
ベイリー:でも…確かにそうですよね!では、私は行きますね!
アレックス:おうおう!さっさと行った行った!
アレックス:それと、くれぐれも恋人に仕事の愚痴言うんじゃねーぞ!
アレックス:それが長く警官をやる…
ベイリー:ヒケツ!
ベイリー:ですよね!
アレックス:…わかってんじゃねーか
ベイリー:肝に命じておきます!アレックスと同じになりたくないので!
ベイリー:では、お先に失礼します!アレックスも良いクリスマスを!
アレックス:ったく、可愛くないヤツだ
アレックス:さてと…ケーキはどこ置いたっけか?
アレックス:おっ、あったあった
アレックス:…本当は自分で食べる為に買ったんだけどな
アレックス:(テーブルの上にケーキを置く)
アレックス:こういうのは柄じゃねぇんだけどな
アレックス:やっぱり、ガキのクリスマスにはケーキがねぇと…
アレックス:…1人用で悪いが仲良く食べてくれ
アレックス:お前たちにとって最悪のクリスマス…いや、人生だったかもしれない
アレックス:だから…来世では幸せになってくれ
アレックス:…メリークリスマス
0:終