台本概要
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タイトル | レッツ!乙女ゲー |
---|---|
作者名 | 蚊ネコ (@caneko146) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
★あらすじ★憧れの夢子先輩からなぜか告白のOKをもらえた星野はその数週間後、彼女のお家へ遊びに行くことに。緊張する星野に向かって夢子はあるお願いごとをする。 そのお願いとは、「新作の乙女ゲームを一緒にプレイしながら推しキャラ【ほしかぜゆうきくん】のCVも担当してほしい」という無理難題で・・・ ※演者性別不問・SEなしOK・アドリブやアレンジOKです。 ※連絡は不要ですが、作者名記載(配信関係は口頭でOK)は必須でお願いします。ちなみに連絡くれたらとても喜びます。 459 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
星野優斗 | 男 | - | ほしのゆうと。高2。草食タイプ。夢子に一目惚れして勢いで告ったら成功して困惑している。 |
橘夢子 | 女 | - | たちばなゆめこ。高3。少女漫画や乙女ゲームを愛する夢女子。妄想好きゆえのリアリスト。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
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:
0:部屋のドアを開け、中に入る夢子と星野
夢子:「さぁさぁ私のお部屋へようこそ星野くん! どうぞどうぞ、このソファへお座りくださいなっ」
星野:「……あ、はっ、はいっ、それではしっ、し、失礼します……夢子先輩っ……」
0:遠慮がちに夢子の隣に座る星野
夢子:「ん? 緊張してるのかな? せっかくなんだし、もう少し、近付いてくれてもいいんだよ……?」
星野:「へっあっはっ、はいっ……!!」
夢子:「ふふふっ。それで、ね、星野くん、実は早速、これから星野くんと、やり、たい、こと、が、ある、のだけれど……」
星野:「えっな、な、な、なななんでしょう?? 今、から、何、を、やりっ……い、いたしましょうか?!?」
夢子:「(食い気味で)ゲーム!!」
星野:「(上擦った声で)ハイ!!!
星野:……あ、はい? あっ、ゲーム……?」
夢子:「拝啓、一生のお願い星野くん様。私は今からとあるゲームをプレイするのですが、星野くんにはぜひ、その補佐を務めて欲しいのでございましけりかしこかしこ……」
星野:「ゲ、ゲーム……の、補佐……?」
夢子:「さようで……」
星野:「あっ……あぁ! 任せてください先輩っ! 僕、多分、ゲームなら結構得意な方です!」
夢子:「じゃぁ、演技は?」
星野:「えっ」
夢子:「(手を合わせ)演技も得意だと言ってくれお願いだ星野くんっ!!」
星野:「や、演技ってなんで……? 先輩ちょっと待って……えっと、何ゲー? 今から僕らは、何ゲームをするんでしょうか?」
夢子:「乙女ゲーです」
星野:「あ、あー、えっと、音ゲー? 自分、リズム感ならわりと自信あります!」
夢子:「違います、乙女ゲームです」
星野:「えっ」
夢子:「“ウキラブときめきシャイニー学園~2ndシーズン~”です。
夢子:今私が圧倒的に推してる神乙女ゲーなんだけど、公式運営が超美麗イラストに制作費を使いすぎて、キャラクターのボイス実装が予算的に未だ追いついてないのです。
夢子:つまり、このゲームをプレイするにあたって、星野くんにはぜひ私の推しキャラ、星風悠貴くんのCVをお願いしたくそうろう……」
星野:「いや、待って待って、急にマシンガントーク怖い怖い……言ってる意味もわかんない怖い……」
夢子:「お願い! 星野くん!!
夢子:私、あの日君に声をかけられた瞬間から、もし星風悠貴くんに身近でCV依頼するなら、貴方しかいないって! ずっとそう思ってたの!!」
星野:「……え……夢子先輩……それって、つまり……
星野:もしかして、あの日先輩が僕の告白へすぐにOKを出してくれたのって……」
夢子:「(ゲームをサッと取り出して)ハイハイハイこれですこれ! この美麗ジャケットの下段右端にいる、睫毛の長い青髪ショートヘア男子が星風悠貴くんです!
夢子:貴方の声がピッタリなんです!! どうぞ、CVよろしくお願いいたしたてまつる星野くん!!」
星野:「うっ……うぅっ……つまり、先輩にとって僕の存在は……コイツの……」
夢子:「(食い気味に)星風悠貴くん!!」
星野:「ほ……星風悠貴くんの、二の次だったってことですよね……?」
夢子:「ね、私、星野くんとならめちゃくちゃ臨場感のある乙女ゲーム体験が出来るんじゃないかって、昨日からね、すっごくワクワクしてたの!
夢子:だからだから、ね? 私達で、このゲームを順調に攻略していってさ……
夢子:それで、ゲームの攻略通りに……もしもチューまでいけたりなんてしたら、私達も……」
星野:「……私達も……?」
夢子:「同じこと、しよ? その場で、チューしよ? ね? 星野くんっ」
星野:「(即答)はいっっ!! 早速ゲームを始めましょう先輩!!」
夢子:「はい起動~っ」
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0:ゲーム起動。あれば乙女ゲーム風BGM。
夢子:「キャッキャッ早速始まっちゃったね星野くんっわくわくわくわくっ」
星野:「……先輩、なんか、目キラキラしてますね……いかにも夢見る女の子って感じだ……」
夢子:「そうかな? まぁ……
夢子:こちとら幼い頃から“現実にあてられたらメンタルズタボロにされるだけだぞ”、“夢や幻想や妄想を抱きながら上手く凌げよ”と、両親から口酸っぱく言われて育ってきましたので……」
星野:「す、少し特殊な家庭環境だったんですかね……」
夢子:「でも、星野くんに出会って、現実も悪いものじゃないのかもって、最近は思えるようになってきたんだ」
星野:「えっ……」
夢子:「だからこそ、今からどんなに素敵な理想の星風悠貴くんに会えるんだろうって、すっごくワクワクするの。楽しみだなぁ~っっ」
星野:「あっ、は……はい!! 僕、先輩の理想の男、最後までしっかり、演じ切ってみせます!! 頑張ります!!」
夢子:「ふふっ。いい意気込みだありがとう!
夢子:さてさて、攻略対象に星風悠貴くんを選択っと……
夢子:はいっ! よし! ゲームスタートォ!!」
:
0:ゲーム開始。(以下、『』内はゲームシナリオ文)
夢子:「あっ、ヒロインちゃんのシナリオ部分は、私がちゃんと朗読していきますねっ!(咳払い)」
夢子:『今日から私はシャイニー学園の新1年生。素敵な友達に素敵な先生、そして素敵な出会いがありますようにっ☆なんちゃって☆えへへっ☆
夢子:……そんなことよりも寝坊して入学式に間に合わないどうしよう』
星野:「えっ」
夢子:『①学校を休む』
夢子:『②パジャマのままだけど、このまま猛ダッシュしたら間に合うと思う』
夢子:『③保健室に行く』
星野:「うわ……早速選択肢……ていうかヒロイン大丈夫なの……2番の“間に合うと思う”って何、それ、願望か何かですか……」
夢子:「むっ……これは……(真顔で淡々と)
夢子:①の“学校を休む”にしたら、星風悠貴くんも同じくその日に学校を休む展開になって、クラスのみんなに“病弱カップル”と茶化されてツンツンしちゃう、星風悠貴くんツンデレルートかなぁ……」
星野:「えっ」
夢子:「②の“パジャマダッシュ”はおそらく、前作のジャージダッシュのオマージュ。つまり、星風悠貴くんが、リーゼント不良キャラになって現れるルートに……」
星野:「えっ、えっ、なんでだよ星風悠貴くん。ていうか夢子先輩、真顔でブツブツ考察してるのちょっと怖いです……」
夢子:「③の“保健室に行く”は……あー、これは……危険……血まみれのメンヘラヤンデレルートがワンチャンあるぞ……だがしかし、嫌いではない」
星野:「先輩? 何言ってんですか? ねぇ、先輩??」
夢子:「というわけでどうしよう星野くん。私にはとても選べない。選んでください星野くん!」
星野:「えぇぇっ……ぼ、僕が……??」
夢子:「うん!」
星野:「じ……じゃぁ……①の学校休む奴でお願いします……」
夢子:「OK! うわっ! 間違えて③にしちゃった!!」
星野:「えぇぇっ!? 血まみれ!?」
0:ゲーム画面、場面転換。
夢子:「それじゃ続きのセリフ読みまーす」
夢子:『お腹が痛いフリをして、保健室に行くと、青髪の男の子がベッドの上に腰掛けていた』
星野:「つ……ついに現れたな星風悠貴くん! とりあえず、血まみれじゃなくて良かったよ……そして、噂にたがわぬ美形だな!!」
夢子:「あっ星野くんほら! セリフセリフ!」
星野:「あっ、あぁ、そうか……僕が、彼の声をあてるんでしたね……そ、それでは僭越ながら……(咳払い)」
星野:『ふぁぁ~、よく寝た……って、あれ? キミは……誰かな?』
夢子:『えっえっと……私は今日からこの学園の高校1年生になった、夢子と言います。アナタは?』
星野:『へぇ……僕と一緒なんだね。僕は、星風悠貴。よろしくね』
夢子:『①握手を受け入れる』
星野:「えっ」
夢子:『②その前に除菌ティッシュを渡す』
星野:「え?」
夢子:『③貴方は前世の結婚相手だったと打ち明ける』
星野:「えっ」
夢子:「むむむ……
夢子:①の握手は、そのまま異常に懐かれたりなんかしちゃって、ワンコ属性が追加される可能性とかありけり?」
星野:「……ワンコ? ありけり?」
夢子:「②の除菌ティッシュは、ヒロインがおせっかいキャラになることで、星風悠貴くんはヤンチャなショタ属性とかに変化するんだろうか?」
星野:「……ショタ……?」
夢子:「そうなると、③の前世告白にするのが一番まともなんだろうか……」
星野:「いやいやいや③が一番ヤバイから! 初対面で前世持ち出されて告白なんぞされたら、秒で逃げられちゃいますよ先輩!?」
夢子:「そうかなぁ? うーん。それじゃ、①の握手で」
星野:「うおおぉ普通な対処助かりますっ!
星野:……あ、僕のセリフか……(咳払い)
星野:『えっと……そうだ、ちょっと待ってね……はい、握手の前に、除菌ティッシュ。ほら使って?』
星野:ってお前がそれをするんかい! 綺麗な顔してとても残酷だな!?」
夢子:「仕方がないよ、ご時世、だよ星野くん」
星野:「あー、ね……乙女ゲームもその辺、突然に現実的なんですね……」
夢子:「はい。星野くん」
0:夢子、星野の前に手を差し出す。
星野:「……へ?」
夢子:「ほら、星野くんも、私と、握手でしょ?」
星野:「あっ、はっはい!!」
夢子:「その前にはいこれ、ウエッティ」
星野:「…………はい……」
夢子:「あっ、やっぱりこっち。手繋ご?」
星野:「えっ……」
0:手を繋ぐ2人。
星野:「はわわ……初めて先輩と……手を繋いじゃいました……」
夢子:「よし。それじゃしばらくこのままで、ゲームを続けよっか」
星野:「はい……頑張りましょう……!」
星野:(M)「こうなったら、絶対にキスまで辿り着かせてみせる……ッッ」
夢子:『それが、私と星風悠貴くんの出会いだった。入学早々に遅刻しちゃって、一時はどうなることかと思ったけど、おかげで素敵な出会いをゲットしちゃったな☆』
夢子:『ところで、今日は何月何日だっけ。』
星野:「……エッッ」
夢子:『①7月22日』
夢子:『②10月31日』
夢子:『③12月25日』
星野:「えっ、いや、今日は入学式だったでしょ!? え、え!??」
夢子:「あっごめん星野くん、言うの忘れてたんだけど、このゲームは発売前のお試し版みたいな奴なので、結構ハショられてるわけですよ!」
星野:「ま、まじですか! ……いろいろぶっ飛んではいるけれど、まぁ、僕にとっては好都合な展開である気もするっ……!」
夢子:「ね、どれがいいかな星野くん。星野くんなら、どの季節を選ぶかなぁ?」
星野:「あ、えっと……これも僕が、選んで……いいんですか……?」
夢子:「うん!」
星野:(M)「これは花火大会イベントとかで初チューいけるのか……? ハロウィンは、その場で先輩のコスプレが見れるのならワンチャンあり……いや、待て、手堅く、そして手っ取り早くロマンチック展開に進められるのは、やはり……」
星野:「先輩! 3番の12月25日で、お願いします!!」
夢子:「おーいいねぇっ了解っ」
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0:ゲーム画面、場面転換。あればクリスマスっぽいBGM
夢子:『今日は待ちに待った、星風悠貴くんとのクリスマス! 約束したホテルに行くの楽しみだなぁ♪』
星野:「エ゛ッ!!!」
夢子:『あそこのホテルのレストラン、なかなか予約の取れない高級ディナーらしいし、きっとめちゃくちゃ美味しいんだろうなぁ♪』
星野:「あー、ねっ! そ、そっすよねっ! あまりに急展開過ぎて口から心臓吐くかと思いましたっ!」
夢子:「キャッキャッ美男子登場っ! ほらほら頼んだCV星野くん!」
星野:「あ、あぁ、はい、えっと……(咳払い)」
星野:『メリークリスマス。夢子ちゃん。今日という特別な日をキミと共有できて、僕はとっても嬉しいな。なんだか、夢、みたいだよ……』
夢子:『うん、私もっ。夢じゃないなんて、とっても幸せ♡』
星野:(M)「……ぐっ……夢子先輩……可愛すぎな件……」
夢子:『①夢だった』
星野:「えっ」
夢子:『②美味しくご飯を完食した』
星野:「は?」
夢子:『③むしろ星風くんを食べたい』
星野:「エ?!?!?!」
夢子:「……これは難しい……ねぇ、星野くん、世間一般のカップルのクリスマスデートって、どんな感じなんだろうね?」
星野:「世間一般なら、まぁ、美味しいご飯を食べるとは思いますよ? ただそれが選択肢にあるのは乙女ゲームとしてもはや謎過ぎですけど……」
夢子:「うん。ご飯の完食なんてしたって、普通過ぎるし、このままじゃ攻略ができなさそうだよね?
夢子:うーん……①の夢オチだと、星風悠貴くんドSルート、③だと逆に、ドMルートかなぁ?」
星野:「いや、なんで!?」
夢子:「ね、星野くん、この私のクリスマスデート、“夢”にしちゃう? それとも私に……“食べられて”みる……?
星野:「ぐっ……ぐぁっ……破壊力……ぇ……ぇえっと……」
夢子:「ええっと……?」
星野:「……た、食べられたい……デス……」
夢子:「了解。星風くんを食べてしまおう!」
星野:「ハイ!! ……って、えっ、先輩!? な、何急に、うう上着脱いで……」
夢子:「えっ、だってせっかくなんだし、このゲームと、同じことする約束……でしょ? 星風くんを襲うなら、星野くんも、私に……」
星野:「おぉ……まじか……心臓バクバク……落ち着け自分……僕は今から、先輩に食べられる……先輩に食べられる……ドM、ドM、ドM……」
夢子:「……って、あれ? 画面、真っ暗になっちゃったね」
星野:「……へ?」
夢子:「あ。文字、でてきた。これは、星風悠貴くんのセリフだね……
夢子:ほら、頼んだ! CV星野くんっ」
星野:「……ん? あ、あぁ……って……えっ……これ……読むんですか……?」
夢子:「うん!」
0:間
星野:「(深呼吸して)……いきます……」
星野:『はうぁっ♡いたっ♡痛いっ♡もっと、もっと僕を食べてご主人様っっ♡♡そっ、そこっ♡首筋っ♡
星野:もっともっと深く噛み切ってくれたらぁ頸動脈にまで辿り着くよぉっっ♡♡メインディッシュの内臓もぉ、残さずちゃぁんとぉっ、全部食べてくれますかぁっっ♡♡♡』
0:間
夢子:「……え、えーっと、私は、今から、星野くんの首筋、噛みちぎっちゃってもいいのかな?」
星野:「ごめんなさい、ガチで食べられるのはさすがに回避したいです……」
夢子:『①続きを見る』
夢子:『②次のイベントへ進む』
夢子:「珍しく二択になったね?」
星野:「次、次のイベントに、いきましょう、次……」
:
0:ゲーム画面、場面転換。あれば正月っぽいBGM
夢子:「キャッキャッ正月スチルゲット~最高~っ星風悠貴くんの和服、眼福ですっっ」
星野:「……いや、この和服の美少年、なんか顔、いっちゃってるようにみえるのは気のせいでしょうかね……
星野:あっ……ほら……このセリフ、絶対おかしいんじゃん……?」
夢子:「CVスタートォッ!」
星野:「……くっ……
星野:『ワンワンッ♡あけましておめでとうっ♡ご主人様っっ♡だーいすきっ♡
星野:今年もいーっぱいいっぱいボクのそばにいてぇ、ボクのこと飼いならしてぇ、いーっぱい、躾けてほしいワンッ♡♡』
星野:……いや星風悠貴くん、なんか完全に先輩の奴隷化してません……?」
夢子:「ワンコ属性ルート、回収したね!」
星野:「えっ」
夢子:「可愛いなぁ~星風悠貴くんっ♡よしよしナデナデ♡」
星野:「へっ……夢子せんぱっ……へへ……(ぼそっと)頭撫でられるのは悪くないな……」
夢子:「ほらほらワンちゃん続きを読ーんでっ♡」
星野:「わ、わんっ……」
星野:『ねぇねぇご主人様? ボク、ご主人様が来るまでずっとずっとここで良い子に待ってたんだよ? だからぁ、ご褒美の……チューは……?』
夢子:『それより早くお参りして、おみくじも引きに行こうよ! さぁ行こう!』
星野:「えっ、何そのシナリオ、このシーンに選択肢出ないんですか!? 選択肢ちょうだい!?」
夢子:『ふふっ。お参り、お参りっと……
夢子:それにしても、星風くんと出会ってから1年、本当にあっという間だったなぁ』
星野:「(ぼそっと)それな……」
夢子:『わ、星風くん、神様の前で真剣にお願いごとしてる♪
夢子:えーっと……まつ毛の長さは1.35センチっと』
星野:「この状況でまつ毛の長さ精密に測るって何、どういう感情?」
夢子:『……それにしても、私なんかじゃもったいないくらいキレイな横顔……』
夢子:『かっこいくて、可愛くて、私の理想の、運命の人……』
星野:「……運命……か……
星野:僕は先輩の……運命の……」
夢子:『えへへ、最高の奴隷をゲットしちゃったナ♡』
星野:「奴隷!! 奴隷認定されとる!!」
夢子:「……おーい、星野くーん?」
星野:「あ、は、はい! えーっと……よ、読みますね……」
星野:『あっ、ご主人様も、お願い事終わったんだねっ。
星野:それならほら、早くおみくじを引きに行こうっ? ねっ?』
夢子:『うんっそうだね♪ワンちゃん♪
夢子:でもちょっと奴隷のくせにはしゃぎすぎだゾ? フセ!!』
星野:『クゥン……』
星野:「……あの……夢子先輩……
星野:僕は嫌ですよこんな結末!」
夢子:『さてと、おみくじ結果は……』
夢子:『え……大凶!?』
星野:「あああ縁起の悪い結果だなぁ!?」
夢子:『星風くんの結果はどうだった?』
星野:「ぐっ……星風悠貴くんは……えーっと……
星野:『わぁっ、ボクも大凶だっ♡……ねぇ、ご主人様……やっぱりボク達は、大凶だけに最凶のコンビになれそうだよね……ふふふっ……
星野:僕がこの先狂えば狂うほど、ご主人様をもっともっと狂わせられないかなぁ……はぁ……それってなんて最高な名誉なんだろう……?
星野:ねぇ、どうしたらもっとキミを狂わせて、壊すことができるかな……? 例えば今ここで、脈絡なくボクが血を飛ばして、ガクガク泣くほどにこう、もがいて、みせたら、キミは一体、どんな反応をしてくれる……?』
星野:……いやヤンデレ!! 何不気味な笑顔で微妙に韻踏みながらカッター披露してんだよ星風悠貴くん!
星野:あぁぁ! これってあれですか? 保健室選択時の、メンヘラヤンデレルートを回収しだしてたりします??」
夢子:「正解! 10ポイント! うむうむ……悪くはないね……」
星野:「何が!? うっわっ……ちょっ……なんか、画面に血しぶき飛び始めてるんだけども!?!? いやいやいや怖い怖い怖いっ」
夢子:「……あ、画面が暗転した」
星野:「え!?」
夢子:『(発音良く)BAD END ・ GAME OVER』
星野:「エ!? GAME OVER!?」
0:あればゲームオーバーっぽいBGM。
0:しばしの沈黙。
:
夢子:「(盛大に拍手して)ありがとう!! 星野くん!! おかげで最っ高に楽しめました!!」
星野:「えぇ……えぇー……
星野:まぁ……夢子先輩が楽しんでくれたというのなら……僕は別に、なんでもいいんですけど……」
夢子:「うん! ドMとかヤンデレなんてさ、興味があっても普段の生活ではごめんこうむりたいし、だからこそ、こういうところで顔の良いキャラ使って萌えが補給できるってのはほんと、とっても素晴らしい文明だよね!!」
星野:「な……なるほど……?」
夢子:「ほらっ、一緒に運営様へ大拍手を送りましょう!」
星野:「……は、はぁ……」
0:2人で拍手する。
夢子:「……ふふっ。ありがと、星野くん」
星野:「い、いえいえ……」
夢子:「私……大好きなキャラを大好きな人に、大好きな声で演じてもらえて、本当に幸せだったなぁ」
星野:「はぁ、それなら良かったです……って、エ! あ、え、あ、え?? 今、大好きって……
星野:あの、それって……僕の……こと……ですよね……?」
夢子:「ふふふっ。ね、星野くん、私からのお礼は、何がいいかな?」
星野:「えっ……お、お礼……?」
夢子:「①改めて握手
夢子:②ハグ
夢子:③……うーん、③は……えぇっと……そうだなぁ……ちょっと、耳貸して?」
星野:「……へっ?」
夢子:「ゴニョゴニョゴニョ……」
夢子:「さっ、星野くん、この中のどーれを選びまーすかっ?」
星野:「……スッ……スァッ……サ、サン!! ③番でお願いしまぁぁすう!!!」
:
:
:
: END.
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:
0:部屋のドアを開け、中に入る夢子と星野
夢子:「さぁさぁ私のお部屋へようこそ星野くん! どうぞどうぞ、このソファへお座りくださいなっ」
星野:「……あ、はっ、はいっ、それではしっ、し、失礼します……夢子先輩っ……」
0:遠慮がちに夢子の隣に座る星野
夢子:「ん? 緊張してるのかな? せっかくなんだし、もう少し、近付いてくれてもいいんだよ……?」
星野:「へっあっはっ、はいっ……!!」
夢子:「ふふふっ。それで、ね、星野くん、実は早速、これから星野くんと、やり、たい、こと、が、ある、のだけれど……」
星野:「えっな、な、な、なななんでしょう?? 今、から、何、を、やりっ……い、いたしましょうか?!?」
夢子:「(食い気味で)ゲーム!!」
星野:「(上擦った声で)ハイ!!!
星野:……あ、はい? あっ、ゲーム……?」
夢子:「拝啓、一生のお願い星野くん様。私は今からとあるゲームをプレイするのですが、星野くんにはぜひ、その補佐を務めて欲しいのでございましけりかしこかしこ……」
星野:「ゲ、ゲーム……の、補佐……?」
夢子:「さようで……」
星野:「あっ……あぁ! 任せてください先輩っ! 僕、多分、ゲームなら結構得意な方です!」
夢子:「じゃぁ、演技は?」
星野:「えっ」
夢子:「(手を合わせ)演技も得意だと言ってくれお願いだ星野くんっ!!」
星野:「や、演技ってなんで……? 先輩ちょっと待って……えっと、何ゲー? 今から僕らは、何ゲームをするんでしょうか?」
夢子:「乙女ゲーです」
星野:「あ、あー、えっと、音ゲー? 自分、リズム感ならわりと自信あります!」
夢子:「違います、乙女ゲームです」
星野:「えっ」
夢子:「“ウキラブときめきシャイニー学園~2ndシーズン~”です。
夢子:今私が圧倒的に推してる神乙女ゲーなんだけど、公式運営が超美麗イラストに制作費を使いすぎて、キャラクターのボイス実装が予算的に未だ追いついてないのです。
夢子:つまり、このゲームをプレイするにあたって、星野くんにはぜひ私の推しキャラ、星風悠貴くんのCVをお願いしたくそうろう……」
星野:「いや、待って待って、急にマシンガントーク怖い怖い……言ってる意味もわかんない怖い……」
夢子:「お願い! 星野くん!!
夢子:私、あの日君に声をかけられた瞬間から、もし星風悠貴くんに身近でCV依頼するなら、貴方しかいないって! ずっとそう思ってたの!!」
星野:「……え……夢子先輩……それって、つまり……
星野:もしかして、あの日先輩が僕の告白へすぐにOKを出してくれたのって……」
夢子:「(ゲームをサッと取り出して)ハイハイハイこれですこれ! この美麗ジャケットの下段右端にいる、睫毛の長い青髪ショートヘア男子が星風悠貴くんです!
夢子:貴方の声がピッタリなんです!! どうぞ、CVよろしくお願いいたしたてまつる星野くん!!」
星野:「うっ……うぅっ……つまり、先輩にとって僕の存在は……コイツの……」
夢子:「(食い気味に)星風悠貴くん!!」
星野:「ほ……星風悠貴くんの、二の次だったってことですよね……?」
夢子:「ね、私、星野くんとならめちゃくちゃ臨場感のある乙女ゲーム体験が出来るんじゃないかって、昨日からね、すっごくワクワクしてたの!
夢子:だからだから、ね? 私達で、このゲームを順調に攻略していってさ……
夢子:それで、ゲームの攻略通りに……もしもチューまでいけたりなんてしたら、私達も……」
星野:「……私達も……?」
夢子:「同じこと、しよ? その場で、チューしよ? ね? 星野くんっ」
星野:「(即答)はいっっ!! 早速ゲームを始めましょう先輩!!」
夢子:「はい起動~っ」
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0:ゲーム起動。あれば乙女ゲーム風BGM。
夢子:「キャッキャッ早速始まっちゃったね星野くんっわくわくわくわくっ」
星野:「……先輩、なんか、目キラキラしてますね……いかにも夢見る女の子って感じだ……」
夢子:「そうかな? まぁ……
夢子:こちとら幼い頃から“現実にあてられたらメンタルズタボロにされるだけだぞ”、“夢や幻想や妄想を抱きながら上手く凌げよ”と、両親から口酸っぱく言われて育ってきましたので……」
星野:「す、少し特殊な家庭環境だったんですかね……」
夢子:「でも、星野くんに出会って、現実も悪いものじゃないのかもって、最近は思えるようになってきたんだ」
星野:「えっ……」
夢子:「だからこそ、今からどんなに素敵な理想の星風悠貴くんに会えるんだろうって、すっごくワクワクするの。楽しみだなぁ~っっ」
星野:「あっ、は……はい!! 僕、先輩の理想の男、最後までしっかり、演じ切ってみせます!! 頑張ります!!」
夢子:「ふふっ。いい意気込みだありがとう!
夢子:さてさて、攻略対象に星風悠貴くんを選択っと……
夢子:はいっ! よし! ゲームスタートォ!!」
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0:ゲーム開始。(以下、『』内はゲームシナリオ文)
夢子:「あっ、ヒロインちゃんのシナリオ部分は、私がちゃんと朗読していきますねっ!(咳払い)」
夢子:『今日から私はシャイニー学園の新1年生。素敵な友達に素敵な先生、そして素敵な出会いがありますようにっ☆なんちゃって☆えへへっ☆
夢子:……そんなことよりも寝坊して入学式に間に合わないどうしよう』
星野:「えっ」
夢子:『①学校を休む』
夢子:『②パジャマのままだけど、このまま猛ダッシュしたら間に合うと思う』
夢子:『③保健室に行く』
星野:「うわ……早速選択肢……ていうかヒロイン大丈夫なの……2番の“間に合うと思う”って何、それ、願望か何かですか……」
夢子:「むっ……これは……(真顔で淡々と)
夢子:①の“学校を休む”にしたら、星風悠貴くんも同じくその日に学校を休む展開になって、クラスのみんなに“病弱カップル”と茶化されてツンツンしちゃう、星風悠貴くんツンデレルートかなぁ……」
星野:「えっ」
夢子:「②の“パジャマダッシュ”はおそらく、前作のジャージダッシュのオマージュ。つまり、星風悠貴くんが、リーゼント不良キャラになって現れるルートに……」
星野:「えっ、えっ、なんでだよ星風悠貴くん。ていうか夢子先輩、真顔でブツブツ考察してるのちょっと怖いです……」
夢子:「③の“保健室に行く”は……あー、これは……危険……血まみれのメンヘラヤンデレルートがワンチャンあるぞ……だがしかし、嫌いではない」
星野:「先輩? 何言ってんですか? ねぇ、先輩??」
夢子:「というわけでどうしよう星野くん。私にはとても選べない。選んでください星野くん!」
星野:「えぇぇっ……ぼ、僕が……??」
夢子:「うん!」
星野:「じ……じゃぁ……①の学校休む奴でお願いします……」
夢子:「OK! うわっ! 間違えて③にしちゃった!!」
星野:「えぇぇっ!? 血まみれ!?」
0:ゲーム画面、場面転換。
夢子:「それじゃ続きのセリフ読みまーす」
夢子:『お腹が痛いフリをして、保健室に行くと、青髪の男の子がベッドの上に腰掛けていた』
星野:「つ……ついに現れたな星風悠貴くん! とりあえず、血まみれじゃなくて良かったよ……そして、噂にたがわぬ美形だな!!」
夢子:「あっ星野くんほら! セリフセリフ!」
星野:「あっ、あぁ、そうか……僕が、彼の声をあてるんでしたね……そ、それでは僭越ながら……(咳払い)」
星野:『ふぁぁ~、よく寝た……って、あれ? キミは……誰かな?』
夢子:『えっえっと……私は今日からこの学園の高校1年生になった、夢子と言います。アナタは?』
星野:『へぇ……僕と一緒なんだね。僕は、星風悠貴。よろしくね』
夢子:『①握手を受け入れる』
星野:「えっ」
夢子:『②その前に除菌ティッシュを渡す』
星野:「え?」
夢子:『③貴方は前世の結婚相手だったと打ち明ける』
星野:「えっ」
夢子:「むむむ……
夢子:①の握手は、そのまま異常に懐かれたりなんかしちゃって、ワンコ属性が追加される可能性とかありけり?」
星野:「……ワンコ? ありけり?」
夢子:「②の除菌ティッシュは、ヒロインがおせっかいキャラになることで、星風悠貴くんはヤンチャなショタ属性とかに変化するんだろうか?」
星野:「……ショタ……?」
夢子:「そうなると、③の前世告白にするのが一番まともなんだろうか……」
星野:「いやいやいや③が一番ヤバイから! 初対面で前世持ち出されて告白なんぞされたら、秒で逃げられちゃいますよ先輩!?」
夢子:「そうかなぁ? うーん。それじゃ、①の握手で」
星野:「うおおぉ普通な対処助かりますっ!
星野:……あ、僕のセリフか……(咳払い)
星野:『えっと……そうだ、ちょっと待ってね……はい、握手の前に、除菌ティッシュ。ほら使って?』
星野:ってお前がそれをするんかい! 綺麗な顔してとても残酷だな!?」
夢子:「仕方がないよ、ご時世、だよ星野くん」
星野:「あー、ね……乙女ゲームもその辺、突然に現実的なんですね……」
夢子:「はい。星野くん」
0:夢子、星野の前に手を差し出す。
星野:「……へ?」
夢子:「ほら、星野くんも、私と、握手でしょ?」
星野:「あっ、はっはい!!」
夢子:「その前にはいこれ、ウエッティ」
星野:「…………はい……」
夢子:「あっ、やっぱりこっち。手繋ご?」
星野:「えっ……」
0:手を繋ぐ2人。
星野:「はわわ……初めて先輩と……手を繋いじゃいました……」
夢子:「よし。それじゃしばらくこのままで、ゲームを続けよっか」
星野:「はい……頑張りましょう……!」
星野:(M)「こうなったら、絶対にキスまで辿り着かせてみせる……ッッ」
夢子:『それが、私と星風悠貴くんの出会いだった。入学早々に遅刻しちゃって、一時はどうなることかと思ったけど、おかげで素敵な出会いをゲットしちゃったな☆』
夢子:『ところで、今日は何月何日だっけ。』
星野:「……エッッ」
夢子:『①7月22日』
夢子:『②10月31日』
夢子:『③12月25日』
星野:「えっ、いや、今日は入学式だったでしょ!? え、え!??」
夢子:「あっごめん星野くん、言うの忘れてたんだけど、このゲームは発売前のお試し版みたいな奴なので、結構ハショられてるわけですよ!」
星野:「ま、まじですか! ……いろいろぶっ飛んではいるけれど、まぁ、僕にとっては好都合な展開である気もするっ……!」
夢子:「ね、どれがいいかな星野くん。星野くんなら、どの季節を選ぶかなぁ?」
星野:「あ、えっと……これも僕が、選んで……いいんですか……?」
夢子:「うん!」
星野:(M)「これは花火大会イベントとかで初チューいけるのか……? ハロウィンは、その場で先輩のコスプレが見れるのならワンチャンあり……いや、待て、手堅く、そして手っ取り早くロマンチック展開に進められるのは、やはり……」
星野:「先輩! 3番の12月25日で、お願いします!!」
夢子:「おーいいねぇっ了解っ」
:
0:ゲーム画面、場面転換。あればクリスマスっぽいBGM
夢子:『今日は待ちに待った、星風悠貴くんとのクリスマス! 約束したホテルに行くの楽しみだなぁ♪』
星野:「エ゛ッ!!!」
夢子:『あそこのホテルのレストラン、なかなか予約の取れない高級ディナーらしいし、きっとめちゃくちゃ美味しいんだろうなぁ♪』
星野:「あー、ねっ! そ、そっすよねっ! あまりに急展開過ぎて口から心臓吐くかと思いましたっ!」
夢子:「キャッキャッ美男子登場っ! ほらほら頼んだCV星野くん!」
星野:「あ、あぁ、はい、えっと……(咳払い)」
星野:『メリークリスマス。夢子ちゃん。今日という特別な日をキミと共有できて、僕はとっても嬉しいな。なんだか、夢、みたいだよ……』
夢子:『うん、私もっ。夢じゃないなんて、とっても幸せ♡』
星野:(M)「……ぐっ……夢子先輩……可愛すぎな件……」
夢子:『①夢だった』
星野:「えっ」
夢子:『②美味しくご飯を完食した』
星野:「は?」
夢子:『③むしろ星風くんを食べたい』
星野:「エ?!?!?!」
夢子:「……これは難しい……ねぇ、星野くん、世間一般のカップルのクリスマスデートって、どんな感じなんだろうね?」
星野:「世間一般なら、まぁ、美味しいご飯を食べるとは思いますよ? ただそれが選択肢にあるのは乙女ゲームとしてもはや謎過ぎですけど……」
夢子:「うん。ご飯の完食なんてしたって、普通過ぎるし、このままじゃ攻略ができなさそうだよね?
夢子:うーん……①の夢オチだと、星風悠貴くんドSルート、③だと逆に、ドMルートかなぁ?」
星野:「いや、なんで!?」
夢子:「ね、星野くん、この私のクリスマスデート、“夢”にしちゃう? それとも私に……“食べられて”みる……?
星野:「ぐっ……ぐぁっ……破壊力……ぇ……ぇえっと……」
夢子:「ええっと……?」
星野:「……た、食べられたい……デス……」
夢子:「了解。星風くんを食べてしまおう!」
星野:「ハイ!! ……って、えっ、先輩!? な、何急に、うう上着脱いで……」
夢子:「えっ、だってせっかくなんだし、このゲームと、同じことする約束……でしょ? 星風くんを襲うなら、星野くんも、私に……」
星野:「おぉ……まじか……心臓バクバク……落ち着け自分……僕は今から、先輩に食べられる……先輩に食べられる……ドM、ドM、ドM……」
夢子:「……って、あれ? 画面、真っ暗になっちゃったね」
星野:「……へ?」
夢子:「あ。文字、でてきた。これは、星風悠貴くんのセリフだね……
夢子:ほら、頼んだ! CV星野くんっ」
星野:「……ん? あ、あぁ……って……えっ……これ……読むんですか……?」
夢子:「うん!」
0:間
星野:「(深呼吸して)……いきます……」
星野:『はうぁっ♡いたっ♡痛いっ♡もっと、もっと僕を食べてご主人様っっ♡♡そっ、そこっ♡首筋っ♡
星野:もっともっと深く噛み切ってくれたらぁ頸動脈にまで辿り着くよぉっっ♡♡メインディッシュの内臓もぉ、残さずちゃぁんとぉっ、全部食べてくれますかぁっっ♡♡♡』
0:間
夢子:「……え、えーっと、私は、今から、星野くんの首筋、噛みちぎっちゃってもいいのかな?」
星野:「ごめんなさい、ガチで食べられるのはさすがに回避したいです……」
夢子:『①続きを見る』
夢子:『②次のイベントへ進む』
夢子:「珍しく二択になったね?」
星野:「次、次のイベントに、いきましょう、次……」
:
0:ゲーム画面、場面転換。あれば正月っぽいBGM
夢子:「キャッキャッ正月スチルゲット~最高~っ星風悠貴くんの和服、眼福ですっっ」
星野:「……いや、この和服の美少年、なんか顔、いっちゃってるようにみえるのは気のせいでしょうかね……
星野:あっ……ほら……このセリフ、絶対おかしいんじゃん……?」
夢子:「CVスタートォッ!」
星野:「……くっ……
星野:『ワンワンッ♡あけましておめでとうっ♡ご主人様っっ♡だーいすきっ♡
星野:今年もいーっぱいいっぱいボクのそばにいてぇ、ボクのこと飼いならしてぇ、いーっぱい、躾けてほしいワンッ♡♡』
星野:……いや星風悠貴くん、なんか完全に先輩の奴隷化してません……?」
夢子:「ワンコ属性ルート、回収したね!」
星野:「えっ」
夢子:「可愛いなぁ~星風悠貴くんっ♡よしよしナデナデ♡」
星野:「へっ……夢子せんぱっ……へへ……(ぼそっと)頭撫でられるのは悪くないな……」
夢子:「ほらほらワンちゃん続きを読ーんでっ♡」
星野:「わ、わんっ……」
星野:『ねぇねぇご主人様? ボク、ご主人様が来るまでずっとずっとここで良い子に待ってたんだよ? だからぁ、ご褒美の……チューは……?』
夢子:『それより早くお参りして、おみくじも引きに行こうよ! さぁ行こう!』
星野:「えっ、何そのシナリオ、このシーンに選択肢出ないんですか!? 選択肢ちょうだい!?」
夢子:『ふふっ。お参り、お参りっと……
夢子:それにしても、星風くんと出会ってから1年、本当にあっという間だったなぁ』
星野:「(ぼそっと)それな……」
夢子:『わ、星風くん、神様の前で真剣にお願いごとしてる♪
夢子:えーっと……まつ毛の長さは1.35センチっと』
星野:「この状況でまつ毛の長さ精密に測るって何、どういう感情?」
夢子:『……それにしても、私なんかじゃもったいないくらいキレイな横顔……』
夢子:『かっこいくて、可愛くて、私の理想の、運命の人……』
星野:「……運命……か……
星野:僕は先輩の……運命の……」
夢子:『えへへ、最高の奴隷をゲットしちゃったナ♡』
星野:「奴隷!! 奴隷認定されとる!!」
夢子:「……おーい、星野くーん?」
星野:「あ、は、はい! えーっと……よ、読みますね……」
星野:『あっ、ご主人様も、お願い事終わったんだねっ。
星野:それならほら、早くおみくじを引きに行こうっ? ねっ?』
夢子:『うんっそうだね♪ワンちゃん♪
夢子:でもちょっと奴隷のくせにはしゃぎすぎだゾ? フセ!!』
星野:『クゥン……』
星野:「……あの……夢子先輩……
星野:僕は嫌ですよこんな結末!」
夢子:『さてと、おみくじ結果は……』
夢子:『え……大凶!?』
星野:「あああ縁起の悪い結果だなぁ!?」
夢子:『星風くんの結果はどうだった?』
星野:「ぐっ……星風悠貴くんは……えーっと……
星野:『わぁっ、ボクも大凶だっ♡……ねぇ、ご主人様……やっぱりボク達は、大凶だけに最凶のコンビになれそうだよね……ふふふっ……
星野:僕がこの先狂えば狂うほど、ご主人様をもっともっと狂わせられないかなぁ……はぁ……それってなんて最高な名誉なんだろう……?
星野:ねぇ、どうしたらもっとキミを狂わせて、壊すことができるかな……? 例えば今ここで、脈絡なくボクが血を飛ばして、ガクガク泣くほどにこう、もがいて、みせたら、キミは一体、どんな反応をしてくれる……?』
星野:……いやヤンデレ!! 何不気味な笑顔で微妙に韻踏みながらカッター披露してんだよ星風悠貴くん!
星野:あぁぁ! これってあれですか? 保健室選択時の、メンヘラヤンデレルートを回収しだしてたりします??」
夢子:「正解! 10ポイント! うむうむ……悪くはないね……」
星野:「何が!? うっわっ……ちょっ……なんか、画面に血しぶき飛び始めてるんだけども!?!? いやいやいや怖い怖い怖いっ」
夢子:「……あ、画面が暗転した」
星野:「え!?」
夢子:『(発音良く)BAD END ・ GAME OVER』
星野:「エ!? GAME OVER!?」
0:あればゲームオーバーっぽいBGM。
0:しばしの沈黙。
:
夢子:「(盛大に拍手して)ありがとう!! 星野くん!! おかげで最っ高に楽しめました!!」
星野:「えぇ……えぇー……
星野:まぁ……夢子先輩が楽しんでくれたというのなら……僕は別に、なんでもいいんですけど……」
夢子:「うん! ドMとかヤンデレなんてさ、興味があっても普段の生活ではごめんこうむりたいし、だからこそ、こういうところで顔の良いキャラ使って萌えが補給できるってのはほんと、とっても素晴らしい文明だよね!!」
星野:「な……なるほど……?」
夢子:「ほらっ、一緒に運営様へ大拍手を送りましょう!」
星野:「……は、はぁ……」
0:2人で拍手する。
夢子:「……ふふっ。ありがと、星野くん」
星野:「い、いえいえ……」
夢子:「私……大好きなキャラを大好きな人に、大好きな声で演じてもらえて、本当に幸せだったなぁ」
星野:「はぁ、それなら良かったです……って、エ! あ、え、あ、え?? 今、大好きって……
星野:あの、それって……僕の……こと……ですよね……?」
夢子:「ふふふっ。ね、星野くん、私からのお礼は、何がいいかな?」
星野:「えっ……お、お礼……?」
夢子:「①改めて握手
夢子:②ハグ
夢子:③……うーん、③は……えぇっと……そうだなぁ……ちょっと、耳貸して?」
星野:「……へっ?」
夢子:「ゴニョゴニョゴニョ……」
夢子:「さっ、星野くん、この中のどーれを選びまーすかっ?」
星野:「……スッ……スァッ……サ、サン!! ③番でお願いしまぁぁすう!!!」
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: END.