台本概要

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タイトル 小さな愛の物語
作者名 天道司
ジャンル ラブストーリー
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 子どもの世界は、残酷だ。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
勇気 16 勇気(ゆうき)
14 愛(あい)
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
愛:(M)勇気は、担任の先生に、平手で頬を殴られた。 愛:小学三年生の小さな体は、後方へと大きくのけぞり、その頬には、薄紅の手のひらの痕が痛々しく浮き出ていた。 愛:その時、勇気は、声を出さず、静かに泣いていた。 0:【長い間】 勇気:(M)僕には、愛という幼馴染の女の子がいる。 勇気:愛とは、住んでいる家も近く、いつも一緒に遊んでいた。 勇気:四つ葉のクローバーを探したり、セミを捕まえたり、おままごとをしたりし、小学生になるまでの時間を仲良く、楽しく過ごしていた。 愛:(M)小学に上がると、私には、たくさんの女の子の友達ができた。 愛:一方の勇気には、友達は一人もできなかった。 愛:勇気に友達ができない理由は、幾つかあった。 愛:まず、勇気にとっての友達は、私だけであって、他の友達を必要としていなかった。 愛:そのことを私は知っていたが、新しい友達との時間を優先し、勇気と遊ばなくなった。 愛:また、勇気は、クラスメイトの誰よりも算数の計算が速く、 愛:教科書の内容のすべてを一度読んだだけで記憶して理解し、お手本のような本の朗読をし、 愛:クラスメイトの誰かがそれを『きもい』と言ったことにより、勇気に対するイジメが始まった。 勇気:(M)クラスメイトは、僕がそばを通るだけで、鼻をつまみ、「くさい」と言った。 勇気:愛も、多分、周りがそれをしているからか、僕がそばを通ると、鼻をつまむ行動をとるようになった。 愛:(M)体育の授業後には、勇気の机には、必ず落書きがしてあった。 愛:『学校にくるな』『きもい』『死ね』 勇気:(M)落書きを消そうと筆箱を開けると、中に入れていたはずの消しゴムがいつも消えていた。 愛:(M)勇気のそんな姿を見たクラスメイトたちは、声をあげて笑った。そして、私も、周りと同じように声を上げて笑った。 愛:みんながそうしているから、そうすることが正しいことで、そうすることに何の疑問も抱かなかった。 勇気:(M)担任の先生は、僕が嫌がらせを受けていることを知っていたが、それを止めようとはしなかった。 勇気:(担任)「本人がイジメられていると訴えてこなければ、イジメではない。仮にイジメだったとしても、イジメられる側にも原因がある」 勇気:「ただの子供のふざけあいの延長だ、このクラスにイジメなんて絶対にない」 愛:(M)いま思えば、勇気にとって学校は地獄だったと思う。地獄の業火にさらされながらも、誰にも訴えず、誰にもやり返さず…。 愛:勇気は、ただ…。ただ、耐えていた。 愛:何事もないかのように、平然と学校に通い続けていた。 勇気:(M)愛の僕に対する態度が変わってしまっても、大好きな愛だから、大好きな愛も通う学校だから、通い続けた。 勇気:いつしか僕は、算数の計算の速さを周囲の真ん中程度に合わせるようになり、テストを配られても百点をとらないようにし、 勇気:本の朗読の際は、わざと読み間違えを連発するようになった。 愛:(M)二年生に上がっても、三年生に上がっても、担任の先生が変わっても、クラスメイトの勇気に対するイジメが終わることはなかった。 愛:私は、周りにいる友達が勇気の悪口を話しはじめると、一緒になって勇気の悪口を話した。 愛:もう、勇気と遊んでいた頃の私は、どこにもいない。 愛:私は、歪(ゆが)んでしまった。 0:【長い間】 勇気:(M)そんなある日のことだ。 勇気:放課後、生き物係だった僕がウサギ小屋の掃除を終えて教室に戻ろうとすると、愛が教室から体操袋を持って出てきた。 勇気:体操袋には、愛の名前ではなく、クラスの中心にいる女の子『月宮葵』の名前が記入されていた。 勇気:僕は、愛と目が合った。 愛:「きもいから見るな!」 愛:(M)私はそう言って、女子トイレに入った。 愛:勇気になら、何を見られても構わない。 愛:どうせ勇気は、クラスの嫌われ者。 勇気:(M)あぁ、悲しいな…。例え、世界中の人に嫌われても、愛だけには、嫌われたくなかった。 勇気:愛だけは、僕の友達でいてほしかった。でも、心は、それぞれの人間の持ち物。 勇気:僕には、それをどうこうする権限も力もない。 勇気:ん?愛がトイレから出てきた。だけど、その手には、先ほどの体操袋はない。 愛:「あん?まだいたの?私が出てくるのを待っていたとか?まじできもいんですけど!」 勇気:(M)愛は、そう言って、下駄箱の方に走っていった。 勇気:僕以外、誰もいない放課後。 勇気:僕は、生まれて初めて女子トイレに入った。そこで、便器の中に雑然と突っ込まれた体操袋を目にした。 勇気:名前を確認すると、『月宮葵』と記入されていた。 勇気:僕は、体操袋を素手で拾い上げ、手洗い場に持っていき、石鹸で洗った。そして、それを葵の机の上に置いた。 0: 0:【間】 0: 勇気:(M)翌日、葵は、自分の体操袋が机の上に置いてあったこと、中身の体操服がしわくちゃになっていたことに大騒ぎし、 勇気:担任の先生に相談しにいった。 勇気:担任の先生は、クラスの中心人物である葵のために、予定していた授業を取りやめ、ホームルームを開いた。 勇気:担任の先生は荒っぽい口調で言った。 勇気:(担任)「誰が葵の体操袋にこんなことをしたのか?」 愛:(M)静まり返る教室。 愛:勇気を除くクラスメイトの視線は、すべて担任の先生に集まっていた。 愛:勇気の視線だけが、天井に向かっていた。 勇気:(M)担任の先生は、話しを続けた。 勇気:(担任)「これは、このクラスで起こった陰湿なイジメだ。イジメは、絶対に許されることではない!」 勇気:「だから、やった犯人は名乗れ!いま名乗ったのなら許してやるから、さっさと名乗れ!」 勇気:僕のヒーローにはなってくれなかった担任の先生が、葵のヒーローにはなろうとしていた。 勇気:僕は、心の中で思った。 勇気:『この世界に、本当の先生も、本当のヒーローもいない』 勇気:担任の先生は、脅すような口調でまくしたてた。 勇気:(担任)「誰も犯人だと名乗らないなら、これは全体責任だ!葵以外の全員は、俺の前に一列に並べ!」 勇気:「一人ずつ順番にビンタしてやる!さっさと並べ!」 愛:(M)怖い。ビンタされたくない。だからと言って、名乗り出ることなんて、私にはできない。 愛:私は、心の中で願った。 愛:『誰か助けて!……勇気、助けて!』 勇気:「僕がやりました!」 愛:(M)勇気は、そう言って立ち上がった。その姿を見た担任の先生は、憑き物でも取れたかのような満面の笑みを浮かべた。 愛:クラスメイトは、小声で言い合った。 愛:『やっぱり勇気って、きもいね』 愛:『女子の体操服とるなんて、最低』 愛:『あんなヤツ、早く死ねばいいのに』 愛:勇気は、担任の先生の目を真っ直ぐに睨みつけながら、堂々と歩き始める。 愛:勇気の身長の二倍近くはあるであろう成人男性。体格的には、何をしても勝ち目のない相手。それでも、勇気は、恐れていなかった。 勇気:(M)僕にとって、一番怖いことは、愛が傷つくこと…。 勇気:理不尽この上ない男に、大切な友達だと想っている愛を傷つけさせるわけにはいかなかった。 愛:(M)勇気は、担任の先生に、平手で頬を殴られた。 愛:小学三年生の小さな体は、後方へと大きくのけぞり、その頬には、薄紅の手のひらの痕が痛々しく浮き出ていた。 愛:その時、勇気は、声を出さず、静かに泣いていた。 愛:その姿を見たクラスメイトの一人が小声で言った。 愛:『泣き虫』 愛:ホームルームのあと、担任の先生が教室から出て行くとすぐに、勇気は、クラスメイトたちから絶え間ない罵声を浴びせられた。 愛:『女子の体操服をとるなんて、変態ストーカー!』 愛:『くさい!きもい!まじきもい!』 愛:『さっさと死ねよ!二度と生まれてくんな!カス!』 愛:それらの暴言に対し、勇気は何も言い返さず、無表情のまま耐えていた。 愛:私は、他の子と同じように、いつもと同じように、勇気に暴言を言うことができなかった。 愛:なぜだかわからないけど、胸の奥が熱くて、涙がでそうになるのを必死にこらえていた。 0: 0:【長い間】 0: 勇気:(M)その日の放課後、僕がウサギ小屋の掃除のためにウサギ小屋に入ると、外から何者かにカギをかけられた。 勇気:「今夜は、ここで眠るしかないかな…」 勇気:僕は、地べたにあぐらをかいて座り、静かに目を閉じた。 0:【間】 勇気:(M)少しすると、カチャカチャッとウサギ小屋の扉のカギを開ける音がした。 勇気:目を開けてみると、そこには、愛の姿があった。愛は、目に涙を浮かべていた。 愛:「なんで私をかばったの?ねぇ、まじできもいんだけど!」 勇気:「じゃあ、逆に聞くけど、どうして僕を助けにきてくれたの?」 愛:(M)私の手は、すでに勇気の手を強く握り締めていた。 愛:数年ぶりに繋ぐことのできた勇気の手。 愛:私は、この手を二度と離したくないと思った。 愛:「久しぶりに一緒に帰ってあげるね」 勇気:「ありがとう…」 : 0:―了―

愛:(M)勇気は、担任の先生に、平手で頬を殴られた。 愛:小学三年生の小さな体は、後方へと大きくのけぞり、その頬には、薄紅の手のひらの痕が痛々しく浮き出ていた。 愛:その時、勇気は、声を出さず、静かに泣いていた。 0:【長い間】 勇気:(M)僕には、愛という幼馴染の女の子がいる。 勇気:愛とは、住んでいる家も近く、いつも一緒に遊んでいた。 勇気:四つ葉のクローバーを探したり、セミを捕まえたり、おままごとをしたりし、小学生になるまでの時間を仲良く、楽しく過ごしていた。 愛:(M)小学に上がると、私には、たくさんの女の子の友達ができた。 愛:一方の勇気には、友達は一人もできなかった。 愛:勇気に友達ができない理由は、幾つかあった。 愛:まず、勇気にとっての友達は、私だけであって、他の友達を必要としていなかった。 愛:そのことを私は知っていたが、新しい友達との時間を優先し、勇気と遊ばなくなった。 愛:また、勇気は、クラスメイトの誰よりも算数の計算が速く、 愛:教科書の内容のすべてを一度読んだだけで記憶して理解し、お手本のような本の朗読をし、 愛:クラスメイトの誰かがそれを『きもい』と言ったことにより、勇気に対するイジメが始まった。 勇気:(M)クラスメイトは、僕がそばを通るだけで、鼻をつまみ、「くさい」と言った。 勇気:愛も、多分、周りがそれをしているからか、僕がそばを通ると、鼻をつまむ行動をとるようになった。 愛:(M)体育の授業後には、勇気の机には、必ず落書きがしてあった。 愛:『学校にくるな』『きもい』『死ね』 勇気:(M)落書きを消そうと筆箱を開けると、中に入れていたはずの消しゴムがいつも消えていた。 愛:(M)勇気のそんな姿を見たクラスメイトたちは、声をあげて笑った。そして、私も、周りと同じように声を上げて笑った。 愛:みんながそうしているから、そうすることが正しいことで、そうすることに何の疑問も抱かなかった。 勇気:(M)担任の先生は、僕が嫌がらせを受けていることを知っていたが、それを止めようとはしなかった。 勇気:(担任)「本人がイジメられていると訴えてこなければ、イジメではない。仮にイジメだったとしても、イジメられる側にも原因がある」 勇気:「ただの子供のふざけあいの延長だ、このクラスにイジメなんて絶対にない」 愛:(M)いま思えば、勇気にとって学校は地獄だったと思う。地獄の業火にさらされながらも、誰にも訴えず、誰にもやり返さず…。 愛:勇気は、ただ…。ただ、耐えていた。 愛:何事もないかのように、平然と学校に通い続けていた。 勇気:(M)愛の僕に対する態度が変わってしまっても、大好きな愛だから、大好きな愛も通う学校だから、通い続けた。 勇気:いつしか僕は、算数の計算の速さを周囲の真ん中程度に合わせるようになり、テストを配られても百点をとらないようにし、 勇気:本の朗読の際は、わざと読み間違えを連発するようになった。 愛:(M)二年生に上がっても、三年生に上がっても、担任の先生が変わっても、クラスメイトの勇気に対するイジメが終わることはなかった。 愛:私は、周りにいる友達が勇気の悪口を話しはじめると、一緒になって勇気の悪口を話した。 愛:もう、勇気と遊んでいた頃の私は、どこにもいない。 愛:私は、歪(ゆが)んでしまった。 0:【長い間】 勇気:(M)そんなある日のことだ。 勇気:放課後、生き物係だった僕がウサギ小屋の掃除を終えて教室に戻ろうとすると、愛が教室から体操袋を持って出てきた。 勇気:体操袋には、愛の名前ではなく、クラスの中心にいる女の子『月宮葵』の名前が記入されていた。 勇気:僕は、愛と目が合った。 愛:「きもいから見るな!」 愛:(M)私はそう言って、女子トイレに入った。 愛:勇気になら、何を見られても構わない。 愛:どうせ勇気は、クラスの嫌われ者。 勇気:(M)あぁ、悲しいな…。例え、世界中の人に嫌われても、愛だけには、嫌われたくなかった。 勇気:愛だけは、僕の友達でいてほしかった。でも、心は、それぞれの人間の持ち物。 勇気:僕には、それをどうこうする権限も力もない。 勇気:ん?愛がトイレから出てきた。だけど、その手には、先ほどの体操袋はない。 愛:「あん?まだいたの?私が出てくるのを待っていたとか?まじできもいんですけど!」 勇気:(M)愛は、そう言って、下駄箱の方に走っていった。 勇気:僕以外、誰もいない放課後。 勇気:僕は、生まれて初めて女子トイレに入った。そこで、便器の中に雑然と突っ込まれた体操袋を目にした。 勇気:名前を確認すると、『月宮葵』と記入されていた。 勇気:僕は、体操袋を素手で拾い上げ、手洗い場に持っていき、石鹸で洗った。そして、それを葵の机の上に置いた。 0: 0:【間】 0: 勇気:(M)翌日、葵は、自分の体操袋が机の上に置いてあったこと、中身の体操服がしわくちゃになっていたことに大騒ぎし、 勇気:担任の先生に相談しにいった。 勇気:担任の先生は、クラスの中心人物である葵のために、予定していた授業を取りやめ、ホームルームを開いた。 勇気:担任の先生は荒っぽい口調で言った。 勇気:(担任)「誰が葵の体操袋にこんなことをしたのか?」 愛:(M)静まり返る教室。 愛:勇気を除くクラスメイトの視線は、すべて担任の先生に集まっていた。 愛:勇気の視線だけが、天井に向かっていた。 勇気:(M)担任の先生は、話しを続けた。 勇気:(担任)「これは、このクラスで起こった陰湿なイジメだ。イジメは、絶対に許されることではない!」 勇気:「だから、やった犯人は名乗れ!いま名乗ったのなら許してやるから、さっさと名乗れ!」 勇気:僕のヒーローにはなってくれなかった担任の先生が、葵のヒーローにはなろうとしていた。 勇気:僕は、心の中で思った。 勇気:『この世界に、本当の先生も、本当のヒーローもいない』 勇気:担任の先生は、脅すような口調でまくしたてた。 勇気:(担任)「誰も犯人だと名乗らないなら、これは全体責任だ!葵以外の全員は、俺の前に一列に並べ!」 勇気:「一人ずつ順番にビンタしてやる!さっさと並べ!」 愛:(M)怖い。ビンタされたくない。だからと言って、名乗り出ることなんて、私にはできない。 愛:私は、心の中で願った。 愛:『誰か助けて!……勇気、助けて!』 勇気:「僕がやりました!」 愛:(M)勇気は、そう言って立ち上がった。その姿を見た担任の先生は、憑き物でも取れたかのような満面の笑みを浮かべた。 愛:クラスメイトは、小声で言い合った。 愛:『やっぱり勇気って、きもいね』 愛:『女子の体操服とるなんて、最低』 愛:『あんなヤツ、早く死ねばいいのに』 愛:勇気は、担任の先生の目を真っ直ぐに睨みつけながら、堂々と歩き始める。 愛:勇気の身長の二倍近くはあるであろう成人男性。体格的には、何をしても勝ち目のない相手。それでも、勇気は、恐れていなかった。 勇気:(M)僕にとって、一番怖いことは、愛が傷つくこと…。 勇気:理不尽この上ない男に、大切な友達だと想っている愛を傷つけさせるわけにはいかなかった。 愛:(M)勇気は、担任の先生に、平手で頬を殴られた。 愛:小学三年生の小さな体は、後方へと大きくのけぞり、その頬には、薄紅の手のひらの痕が痛々しく浮き出ていた。 愛:その時、勇気は、声を出さず、静かに泣いていた。 愛:その姿を見たクラスメイトの一人が小声で言った。 愛:『泣き虫』 愛:ホームルームのあと、担任の先生が教室から出て行くとすぐに、勇気は、クラスメイトたちから絶え間ない罵声を浴びせられた。 愛:『女子の体操服をとるなんて、変態ストーカー!』 愛:『くさい!きもい!まじきもい!』 愛:『さっさと死ねよ!二度と生まれてくんな!カス!』 愛:それらの暴言に対し、勇気は何も言い返さず、無表情のまま耐えていた。 愛:私は、他の子と同じように、いつもと同じように、勇気に暴言を言うことができなかった。 愛:なぜだかわからないけど、胸の奥が熱くて、涙がでそうになるのを必死にこらえていた。 0: 0:【長い間】 0: 勇気:(M)その日の放課後、僕がウサギ小屋の掃除のためにウサギ小屋に入ると、外から何者かにカギをかけられた。 勇気:「今夜は、ここで眠るしかないかな…」 勇気:僕は、地べたにあぐらをかいて座り、静かに目を閉じた。 0:【間】 勇気:(M)少しすると、カチャカチャッとウサギ小屋の扉のカギを開ける音がした。 勇気:目を開けてみると、そこには、愛の姿があった。愛は、目に涙を浮かべていた。 愛:「なんで私をかばったの?ねぇ、まじできもいんだけど!」 勇気:「じゃあ、逆に聞くけど、どうして僕を助けにきてくれたの?」 愛:(M)私の手は、すでに勇気の手を強く握り締めていた。 愛:数年ぶりに繋ぐことのできた勇気の手。 愛:私は、この手を二度と離したくないと思った。 愛:「久しぶりに一緒に帰ってあげるね」 勇気:「ありがとう…」 : 0:―了―