台本概要

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タイトル 赤部屋-犯罪者座談会-
作者名 吉谷しな  (@shinayoshitani)
ジャンル ミステリー
演者人数 5人用台本(男3、女2)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 犯罪者が集う座談会、「赤部屋」には現在4人の参加者が。
新メンバー、エト。
彼女は「私は殺し屋ではないが複数回にわたり殺人を経験している。」と、つかみどころのない、不思議な調子で自身の殺人法について紹介する。
次第に打ち解け、彼女への警戒が解けたその時、一発の銃声が鳴り響く。
さてさて、エトの「自己紹介」とは。
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江戸川乱歩の赤い部屋是非読んでね

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
エト 86 ミステリーなサイコガール。と、思いきや。
給仕 64 へっぽこ〜!ふわふわ〜!メイド〜!
鷹司 52 赤部屋主催者。胡散臭い話し方。
バレット 57 俺の殺しのテーマはぁ!爆殺だ! アホと天才の同居。
伊藤 42 クールで大人な殺し屋。地味ともいう。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:暗転 0:部隊中央に重厚感のある机。その上に一通の手紙。 エト:叩く。叩く。 エト:脳みそに染み込んだ記憶を絞り出すように。 エト:指先に怒りと殺意を込めて。 エト:エンター。 エト:左から右へ。上から下へ視線を滑らせ、天を仰ぐ。 0:木造椅子の軋む音 エト:(ため息) エト:木造の部屋に嵌められた窓からは灰色の冬空が見える。 エト:… エト:退屈はよくない。想像力が腐っていく。 0:スポットライトフェードイン、手紙を照らす。 エト:私の元に届いた一通の招待状。 エト:友人、伊藤からの誘い文だった。 エト:気取った文体の彼からの誘い文句は一文…否、三文だけ。 伊藤:「君の退屈を殺すような集いがある。参加者は死に鈍感、いや、或いはその対局にあるような人間ばかりだけれど。僕含め、そいつらが楽しめるような… 0:暗転 伊藤:「”体験談”をお願いするよ。」 0:場転。「扉前」 0:赤い壁紙に包まれた、高級感のある部屋。目の前には木造の扉と、仮面を身につけた一人の少女。 0:給仕、下手に立つ。上手からエト入り。 給仕:ようこそいらっしゃいました。赤部屋へ。(お辞儀) 給仕:この部屋は会員制となっております。お名前をうかがってもよろしいでしょうか? エト:エト。 給仕:エト様…伊藤様からのご招待を受けた方でよろしいですか? エト:はい。 給仕:では、お部屋へ入る前にこれをつけてください。 エト:これは…お面? 給仕:はい。伊藤様からご招待とのことで、制度はご存知かと思いますが。 給仕:エト様は初めてのご利用なので、入室前に規則を再度確認させていただきます。 エト:ええ。 給仕:読み上げます。 給仕:一、有意義な話をすること。 給仕:二、赤部屋会員のものから招待を受けた者以外、入室不可。 給仕:三、会員のプライベートについて詮索しない。 給仕:四、この部屋で起こったことは他言無用。 給仕:五、素性を明かせない者が多くいるため、入室者は全員お面をつける。 エト:終わり? 給仕:はい。以上となります。それでは、皆様すでにお集まりです。 給仕:どうぞ、”赤部屋”をお楽しみください。 0:照明フェードアウト 0:扉が開く音 0:場転「赤部屋」 0:給仕、エト、上手入り バレット:オ 伊藤:来たね。 鷹司:なかなかよくできていたよ、二回目にしては上出来だ。 給仕:本当ですかぁ?!よかった〜私へっぽこなので真面目に話すの難しくて… 鷹司:いや、あれで充分だ。初めましてエトさん。この部屋のホスト、鷹司だ。 エト:『五、素性を明かせない者が多くいるため、入室者は全員お面をつける。』 鷹司:え? バレット:くっ、はは!確かに、鷹司ァ。テメェ自分の作ったルール破ってんぞ。 伊藤:エトは言葉を大切にする人だからね。君がなぜお面をつけてないのか不思議に思っている。 鷹司:あー、なるほど。僕は主催だからね。 鷹司:部屋を管理する者として信用してもらうために面を外しているのさ。 伊藤:とはいえ、この人数だと面の効果も面白みもないんだけどね。今日招待したエトも、僕は顔を知っているわけだし、ねぇ? エト:… 伊藤:…? エト? 0:お面に何かを書いているエト 鷹司:ん?なにを… エト:…うさぎ バレット:アぁ?うさぎ? エト:ほら、描いた。 鷹司:本当だ、うさぎだ。 0:沈黙 バレット:なんだこの空気。 給仕:ぷっ…ふふふ!なぁんだ、怖い人かと思ってたのに突然ウサギだなんて、かわいい。 伊藤:まぁ、白くてなんの面白みもない面だったからね、絵を描くというのはいいかもしれない。 バレット:ほーん、俺もこの面気に入らなくてよォ!俺のにもなんか描いてくれよォ(お面をはずそうとする 鷹司:バレット!そう簡単に面を外そうとするな…二回目にしてしっちゃかめっちゃかだよ。 給仕:でも、エトさんは伊藤さんからのご紹介ですし、どうせバレットさんや伊藤さんと同じく殺し屋さんでしょう? エト:殺し屋? 給仕:そう!殺し…あっ 鷹司:言っちゃったか 給仕:ごめんなさい… バレット:構わねぇよ。どうせ同業者だろ。初回メンバーが主催者と給仕のお前以外全員殺し屋なんだから、この先一人ずつ招いたってロクな奴来ねぇだろォ。 鷹司:ま、今回は仕方ないね。これから気をつけて。 給仕:はい!じゃあ結局、エトさんも殺し屋さんなんですね エト:……ええ。 伊藤:…。 鷹司:元はと言えば、殺し屋なんて人にあかせる職業じゃないから”世間話”が出来なくてつまらない、っていうバレットの愚痴ゆえの開催だったのに…結局、世間話はできそうにないね バレット:ちぇ~~~~~・・・で、結局新入りはお絵かき好きのサイコガールか 伊藤:はは。お気持ちお察しします。まさか鷹司経由で同職の人間と友人になれるとは。 バレット:ん…友人つったってなぁ…お前の話し方、気持ちわりぃんだよ。 伊藤:申し訳ない 給仕:あれ?でもエトさんとは親しげでしたよね? バレット:なんだァ?おまえら恋人か何かかァ? 伊藤:それは… エト:『三、会員のプライベートについて詮索しない。』 0:沈黙 バレット:(ため息) バレット:俺は楽しい話がしてぇな〜と思って鷹司に頼んだのに、なーーーんかテンポ悪いんだよなぁ。二回目でこんな変わり玉きたらたまったもんじゃねぇよ… 鷹司:まぁまぁ バレット:(遮るように)これだったら!入室していきなりマシンガンぶっぱなすキチガイとかのがマシだぜ? バレット:俺は話の流れ折られんの嫌いなんだよ。 給仕:怒らなくても…初めましてですし、まずはできる範囲で自己紹介などして、仲良くなってみてはどうでしょ! 鷹司:そうだね、何か飲み物でも飲みながら。 エト:(すかさず)私、ジンジャエール 0:若干の沈黙 伊藤:僕は緑茶で。 バレット:俺、コーラ 鷹司:なんだかみんな健康的だね。…だれもお酒飲まないのかい? バレット:いや酒飲んだら仕事のこと喋っちまいそうでよォ 鷹司:君は未成年だろ 伊藤:僕は名前が伊藤だから緑茶かなって。 バレット:はァ? エト:伊藤園。 鷹司:な、なるほど 伊藤:さすがエト。よく分かってるね。 エト:誰でもわかる。 バレット:いやわかんねぇよ… 給仕:わかりませんね… 鷹司:なんというか、伊藤がエトさんを招くの、わかるな。 給仕:ですね。…では飲み物とってきますね。鷹司さんは何にします? 鷹司:僕だけ酔うのもなんだし、お茶でお願いするよ。 給仕:はーい。では、しばらくお待ちくださいね! 0:上手はけ 0:出ていく音 鷹司:さて、では自己紹介お願いしようか。エトさん。 エト:エト。本名は秘密。女。18。ペットはうさぎ。実は…”殺し屋じゃない”。 バレット:んぁ?なんだテメェ、じゃあさっきは嘘をついたってことかァ? 伊藤:…… エト:でも、人を殺したことはある。 0:同類と聞いて明らかにテンションが上がっているバレット 鷹司:それは… エト:でも、捕まったことはない。 バレット:ほぉ〜!おめぇいい腕してんじゃねぇか?殺し屋向いてるぞォ。 鷹司:エトさんの話、気になるな。詳しく。 エト:… 伊藤:…『四、この部屋で起こったことは他言無用。』だから大丈夫だ、エト。 エト:……なら。 エト:私は、人を三回殺したことがある。 バレット:三回かぁ!殺り慣れてんじゃねぇか。 エト:きいて バレット:うぃす。 エト:一回目は、十二の時。修学旅行の時泊まったホテルのバルコニー。そこから人を落としてみたいと、ふと思った。 バレット:転落死かァ!やるねェ エト:きいて バレット:うぃす。 エト:そこで私はバルコニーを囲む柵に飛び乗った。 鷹司:ふぅん? エト:そうしたら、友人が面白がって隣に座ると思ったから。 鷹司:なるほど、頭いいね。 バレット:んぁ?座って、どーすんだ?どういうことだァ? エト:きいて バレット:なんで俺だけ… エト:案の定、同じ部屋に割り当てられてた女の子が隣に飛び乗ってきた。 エト:…その瞬間、その女の子の体を後ろに押した。 鷹司:うわぁ… 伊藤:いいね、センスがある。 エト:結局その件は事故で片付けられて、私はお咎めなし。 給仕:お待たせしました〜 0:飲み物が配られる 伊藤:ありがとうございます バレット:サンキュー エト:…… 鷹司:どうも。エトさんの話、なかなか面白いよ。 給仕:へぇ?なんのお話ですか? 鷹司:エトさんの殺人法について。 給仕:うわぁ…エッグい話してますね。 鷹司:君も座りなよ。 給仕:あ、いいんですか?じゃお言葉に甘えて。 エト:二回目は、十四の時。 バレット:お前ホントいきなり話はじめんのな。 エト:きいて バレット:くっっっっっっっそ! エト:放課後、カラオケに行ったの。 エト:十四なのにお酒飲んでるような人達と。 伊藤:そんな人達とつるんでたなんて初めて聞いたな。 エト:昔の話。ところで、メチルアルコールって知ってる? 給仕:メタノールのことですよね! エト:そう、それでジュースを割って、お酒って言って渡したの。 給仕:げ。 伊藤:すごいことするね。 バレット:んぁ〜?アルコールだろぉ?なんかやべぇのか? 鷹司:はは、バレット。君が言ってるのはエタノールだ。 バレット:何が違うんだァ? 給仕:ふふ、私説明できますよ! 伊藤:第一回赤部屋で二人は『どっちがおバカか対決』をしていましたけれど、バレットさんの勝ちかもしれませんね。 給仕:え?!この流れで私の勝ちじゃないんですか?! 伊藤:……はぁ 鷹司:…どっちがおバカか対決だから、勝った方が、馬鹿なんだと思うよ。 給仕:あ、そっかぁ バレット:あんだとぉ??? エト:エタノール水は普通に飲まれている、言わばお酒。対してメチルアルコールは目が散る、目散るアルコールとも言われているほどの毒。 給仕:飲んだばっかりはお酒と同じ感じで酔っ払うんですけど、しばらくすると、物が二重になってみえたり、失明しちゃったりするんですよね! 伊藤:そして大量摂取すれば、最悪、死に至る。 バレット:ほーん。 伊藤:バレットさん、殺し屋なのに毒薬とか全然知らないんですね。 バレット:俺の殺しのテーマは『爆☆殺』だ! 伊藤:あぁ…爆殺…(吐き捨てるように)嫌いなタイプの殺し屋だ。 バレット:毒とかいちいち覚えんのめんどくせぇし、それに扱い間違えて俺死んだらどぉすんだよォ! 鷹司:バレット、君結構可愛いとこあるね。 バレット:あぁん?どういう意味… エト:続けていい? バレット:ッテメェ!わざとやってるだろ! 伊藤:(かぶせて)ごめんねエト、続けて。 バレット:ぐぬぬぬぬ エト:それで、メチルアルコールでジュースを割って出した。「大人はジュースをお酒で割って飲むんだって〜カクテルって言うらしいよ?」なぁんて言って。 エト:結果、五人中一人死んだ。 鷹司:へぇ。それで警察には何も言われなかったのかい? エト:警察署には呼ばれた。けど『アルコールって全部お酒かと思っちゃった』って泣いたら特に何も。親にはとても怒られたけど。 伊藤:だろうね。 エト:でも罪には問われなかった。 バレット:怖ぇ…俺も間違えてメチルアルコール飲まねぇようにしねぇと。 鷹司:そういう問題か? 給仕:なかなかわくわくしますね!殺し屋さんと話せることなんて普通ないのでとっても楽しいです!次はどんなですか? エト:…最後、三回目、それは去年。旅行に行った時。 バレット:旅先でも殺したのかよ… エト:とある岬で、観光客に写真撮影を頼まれた。後ろは断崖絶壁の場所、柵はなかった。絶好の機会だと思った。 給仕:あ〜。私わかっちゃった。 エト:写真撮影するとき、声をかけた。 エト:もう少し後ろに下がってください。もう少し、もう少し、まだまだ大丈夫です。大きく二歩ほど下がってください。 鷹司:落ちた…のかな。 エト:ええ。 伊藤:また、警察からはお咎めなし? エト:ええ、『まさかそんなに大きく踏み出すとは思ってなくて』で終わったわ。 伊藤:つまり、エトの殺人法は”事故に見せかけた事件”、だね。 給仕:すごいなぁエトさん。私でもできるかも!って思っちゃった。 バレット:やめとけやめとけェ。人なんて殺すもんじゃねぇぞ。 鷹司:おや、バレットがそんなことを。 バレット:一回殺ったらやめらんねェ 鷹司:ダメだこいつ。 エト:メイドさん。 給仕:えっ、わたし? エト:こっち来て。 給仕:え、な、なんだろ 0:エト、銃を取り出す 0:たちあがってエトを取り押さえに動こうとする鷹司 0:撃鉄を起こす音 鷹司:おい!! 給仕:えっ?! 給仕:それ、銃 エト:(被せ)ばーーーーーん(大声) 給仕:キャア!!!! 鷹司:ッッ バレット:…… 伊藤:… 給仕:……って…あれ? エト:ふふ、おもちゃ。 0:沈黙 バレット:俺はすぐ気づいたぜェ 0:吸い込んだ息を大きく吐き出し、へたりこむ給仕 給仕:なぁんだビックリさせないでくださいよぅ… 鷹司:焦った… エト:本物かと思った? 鷹司:ったく…次からは、入室前に持ち物検査をしないとダメだなこれは… 0:給仕に歩み寄るエト 0:若干警戒気味の鷹司 エト:触ってみる? 給仕:ええ?!いいんですかぁ! 伊藤:嬉しそうですね 給仕:だってぇ、普通に生活してたら銃なんて触れないじゃないですかぁ〜 エト:(自分を指差しながら)撃ってみてもいいよ 給仕:えへへ、こうですか? バレット:ダメだなァ、銃を撃つ時はしっかり腕を伸ばさねぇと腕飛んじまうぞ。 鷹司:はは。おもちゃなのにプロからアドバイスか。 伊藤:細かいですね。 バレット:うっせぇなァ。やっぱり気になっちまうんだよ。 給仕:ほほう、なるほど!こうですかね?!エトさん!覚悟しろぉ! 給仕:ばーーーん 0:発砲音 給仕:うわっ!痛… 0:銃を落とす給仕 エト:うっっ…………! 鷹司:え…? バレット:んぁ?! エト:ぁ……血が… 給仕:えぇ?!う、ううううう嘘でしょ?! エト:うっ…ぅぁ……(苦しむ) バレット:なんだこいつ、死にたがりかァ? 0:この後しばらく、みんながセリフ読んでる間も呻き苦しんでください。 0:(また、このとき伊藤はカラクリに気づいています。だからこそどう演じるか、は演者様にお任せします。) 0:銃を拾い上げる伊藤 伊藤:この銃……リボルバー。2つ目に弾丸が入ってたのかな。 鷹司:エトさん!これ偽物じゃなかったのかい? 給仕:きゅ、救急車! 伊藤:救急車はだめだ。素性がバレる。 給仕:じゃ、じゃぁ! 伊藤:知り合いの医者に連絡する。 鷹司:あぁ、お願いするよ。 伊藤:070、62… バレット:何チンタラして…(伊藤に歩み寄る) 0:みんなの視線が外れた瞬間ケロッとするエト エト:なーんちゃって。 鷹司:…… バレット:…… 伊藤:……ふふ 給仕:……えぇ?!?!?!?!?! エト:演技でした。音響で銃声鳴らして… 伊藤:その紅いのは エト:二つ目の弾倉に細工をしておいた。 鷹司:細工? エト:水風船みたいなもの。ぶつかったら簡単に破裂するようにして、中に血糊を詰めた。 給仕:え、じゃあわたし、誰も怪我させてない?エトさん、怪我してない? エト:うん 鷹司:…っはぁ〜〜〜〜〜〜!本当に焦った。 エト:ごめんね。二つ目トリガーは反動がくるようにしてた。痛かったでしょ。 給仕:あ、あぁ!あの痺れはそういう… バレット:んだよ…できすぎだろォ… 伊藤:こんなことだろうと思った。エト、そろそろ閉会だ。ネタばらししてくれるかな 鷹司:ネタばらし? 0:以下、エト、明るくキャラ変。 エト:はぁい。実は、全部嘘でした。 鷹司:ん? 給仕:全部 バレット:嘘ォ? エト:私は人を殺したことなどありません、そして全部演技です!作り話。 エト:なかなかに面白かったでしょう? 0: バレット:は? 伊藤:エト、本当の自己紹介をしてあげて。事故紹介じゃなくて。 エト:うん。たましろエトです。作家をやってます。24歳です。伊藤に殺されかねなかったところを生きのびました。伊藤から面白いやつ認定されたようで生き続けられてます。 給仕:たましろ…エト… 鷹司:玉城エト…ってあの?超有名作家じゃないか…電車の広告でよく見るよ。本も買ったことある。 エト:えへへ バレット:俺でも知ってるぞ、エトって言われた時なんか引っかかるなって思ってたんだよ。 給仕:バレットさん、後出しはずるいですよ。とはいえ、私も知ってます。ドラマにも出てたでしょ? エト:うん、一回だけね。 給仕:すごぉい!お面外してぇ!顔も見たい!サインください! エト:ほっぺたに書いてあ〜げるっ 給仕:紙に書いてぇ… 伊藤:なかなか面白かったよ。エトの世界観。 給仕:え、え、お二人はどうして、え、どういったご関係なんですか?! 伊藤:エトを殺して欲しいって依頼が来た時は驚いたけどね、僕元々エトの大ファンだったから。チャンスだと思って接触したんだ。予想通り、とても面白い人だった。 エト:ふふ、私も敏腕殺し屋と知り合うことが出来て心強い。いや、初対面の時はすごく気持ち悪かったけど。 鷹司:なるほどねぇ…いや、流石は作家と言ったところか…主催の僕が一番楽しんでしまったかもな。 バレット:なーんか、気に食わねぇなぁ。 エト:舞台をのっとって悪かったね。もし宜しければ、第三回にも、是非。 鷹司:大歓迎さ。 給仕:鷹司さん!次はエトさんに誰か招待してもらいましょ、彼女ならきっと面白い人つれてきてくれます! バレット:ちぇ〜 エト:そこのバレットさんとやらはご不満なようだけど。 バレット:だってお前、今日俺の話遮りっぱなしだったじゃねぇか。俺全然話せなかったんだぞ。 エト:申し訳ない、キャラ作りだったんだよ、許してほしいな。 バレット:次はちゃんと話してくれよォ エト:よろこんで。 鷹司:では、これにて第二回『赤部屋』。終演。 0:暗転とともにエンディングミュージック

0:暗転 0:部隊中央に重厚感のある机。その上に一通の手紙。 エト:叩く。叩く。 エト:脳みそに染み込んだ記憶を絞り出すように。 エト:指先に怒りと殺意を込めて。 エト:エンター。 エト:左から右へ。上から下へ視線を滑らせ、天を仰ぐ。 0:木造椅子の軋む音 エト:(ため息) エト:木造の部屋に嵌められた窓からは灰色の冬空が見える。 エト:… エト:退屈はよくない。想像力が腐っていく。 0:スポットライトフェードイン、手紙を照らす。 エト:私の元に届いた一通の招待状。 エト:友人、伊藤からの誘い文だった。 エト:気取った文体の彼からの誘い文句は一文…否、三文だけ。 伊藤:「君の退屈を殺すような集いがある。参加者は死に鈍感、いや、或いはその対局にあるような人間ばかりだけれど。僕含め、そいつらが楽しめるような… 0:暗転 伊藤:「”体験談”をお願いするよ。」 0:場転。「扉前」 0:赤い壁紙に包まれた、高級感のある部屋。目の前には木造の扉と、仮面を身につけた一人の少女。 0:給仕、下手に立つ。上手からエト入り。 給仕:ようこそいらっしゃいました。赤部屋へ。(お辞儀) 給仕:この部屋は会員制となっております。お名前をうかがってもよろしいでしょうか? エト:エト。 給仕:エト様…伊藤様からのご招待を受けた方でよろしいですか? エト:はい。 給仕:では、お部屋へ入る前にこれをつけてください。 エト:これは…お面? 給仕:はい。伊藤様からご招待とのことで、制度はご存知かと思いますが。 給仕:エト様は初めてのご利用なので、入室前に規則を再度確認させていただきます。 エト:ええ。 給仕:読み上げます。 給仕:一、有意義な話をすること。 給仕:二、赤部屋会員のものから招待を受けた者以外、入室不可。 給仕:三、会員のプライベートについて詮索しない。 給仕:四、この部屋で起こったことは他言無用。 給仕:五、素性を明かせない者が多くいるため、入室者は全員お面をつける。 エト:終わり? 給仕:はい。以上となります。それでは、皆様すでにお集まりです。 給仕:どうぞ、”赤部屋”をお楽しみください。 0:照明フェードアウト 0:扉が開く音 0:場転「赤部屋」 0:給仕、エト、上手入り バレット:オ 伊藤:来たね。 鷹司:なかなかよくできていたよ、二回目にしては上出来だ。 給仕:本当ですかぁ?!よかった〜私へっぽこなので真面目に話すの難しくて… 鷹司:いや、あれで充分だ。初めましてエトさん。この部屋のホスト、鷹司だ。 エト:『五、素性を明かせない者が多くいるため、入室者は全員お面をつける。』 鷹司:え? バレット:くっ、はは!確かに、鷹司ァ。テメェ自分の作ったルール破ってんぞ。 伊藤:エトは言葉を大切にする人だからね。君がなぜお面をつけてないのか不思議に思っている。 鷹司:あー、なるほど。僕は主催だからね。 鷹司:部屋を管理する者として信用してもらうために面を外しているのさ。 伊藤:とはいえ、この人数だと面の効果も面白みもないんだけどね。今日招待したエトも、僕は顔を知っているわけだし、ねぇ? エト:… 伊藤:…? エト? 0:お面に何かを書いているエト 鷹司:ん?なにを… エト:…うさぎ バレット:アぁ?うさぎ? エト:ほら、描いた。 鷹司:本当だ、うさぎだ。 0:沈黙 バレット:なんだこの空気。 給仕:ぷっ…ふふふ!なぁんだ、怖い人かと思ってたのに突然ウサギだなんて、かわいい。 伊藤:まぁ、白くてなんの面白みもない面だったからね、絵を描くというのはいいかもしれない。 バレット:ほーん、俺もこの面気に入らなくてよォ!俺のにもなんか描いてくれよォ(お面をはずそうとする 鷹司:バレット!そう簡単に面を外そうとするな…二回目にしてしっちゃかめっちゃかだよ。 給仕:でも、エトさんは伊藤さんからのご紹介ですし、どうせバレットさんや伊藤さんと同じく殺し屋さんでしょう? エト:殺し屋? 給仕:そう!殺し…あっ 鷹司:言っちゃったか 給仕:ごめんなさい… バレット:構わねぇよ。どうせ同業者だろ。初回メンバーが主催者と給仕のお前以外全員殺し屋なんだから、この先一人ずつ招いたってロクな奴来ねぇだろォ。 鷹司:ま、今回は仕方ないね。これから気をつけて。 給仕:はい!じゃあ結局、エトさんも殺し屋さんなんですね エト:……ええ。 伊藤:…。 鷹司:元はと言えば、殺し屋なんて人にあかせる職業じゃないから”世間話”が出来なくてつまらない、っていうバレットの愚痴ゆえの開催だったのに…結局、世間話はできそうにないね バレット:ちぇ~~~~~・・・で、結局新入りはお絵かき好きのサイコガールか 伊藤:はは。お気持ちお察しします。まさか鷹司経由で同職の人間と友人になれるとは。 バレット:ん…友人つったってなぁ…お前の話し方、気持ちわりぃんだよ。 伊藤:申し訳ない 給仕:あれ?でもエトさんとは親しげでしたよね? バレット:なんだァ?おまえら恋人か何かかァ? 伊藤:それは… エト:『三、会員のプライベートについて詮索しない。』 0:沈黙 バレット:(ため息) バレット:俺は楽しい話がしてぇな〜と思って鷹司に頼んだのに、なーーーんかテンポ悪いんだよなぁ。二回目でこんな変わり玉きたらたまったもんじゃねぇよ… 鷹司:まぁまぁ バレット:(遮るように)これだったら!入室していきなりマシンガンぶっぱなすキチガイとかのがマシだぜ? バレット:俺は話の流れ折られんの嫌いなんだよ。 給仕:怒らなくても…初めましてですし、まずはできる範囲で自己紹介などして、仲良くなってみてはどうでしょ! 鷹司:そうだね、何か飲み物でも飲みながら。 エト:(すかさず)私、ジンジャエール 0:若干の沈黙 伊藤:僕は緑茶で。 バレット:俺、コーラ 鷹司:なんだかみんな健康的だね。…だれもお酒飲まないのかい? バレット:いや酒飲んだら仕事のこと喋っちまいそうでよォ 鷹司:君は未成年だろ 伊藤:僕は名前が伊藤だから緑茶かなって。 バレット:はァ? エト:伊藤園。 鷹司:な、なるほど 伊藤:さすがエト。よく分かってるね。 エト:誰でもわかる。 バレット:いやわかんねぇよ… 給仕:わかりませんね… 鷹司:なんというか、伊藤がエトさんを招くの、わかるな。 給仕:ですね。…では飲み物とってきますね。鷹司さんは何にします? 鷹司:僕だけ酔うのもなんだし、お茶でお願いするよ。 給仕:はーい。では、しばらくお待ちくださいね! 0:上手はけ 0:出ていく音 鷹司:さて、では自己紹介お願いしようか。エトさん。 エト:エト。本名は秘密。女。18。ペットはうさぎ。実は…”殺し屋じゃない”。 バレット:んぁ?なんだテメェ、じゃあさっきは嘘をついたってことかァ? 伊藤:…… エト:でも、人を殺したことはある。 0:同類と聞いて明らかにテンションが上がっているバレット 鷹司:それは… エト:でも、捕まったことはない。 バレット:ほぉ〜!おめぇいい腕してんじゃねぇか?殺し屋向いてるぞォ。 鷹司:エトさんの話、気になるな。詳しく。 エト:… 伊藤:…『四、この部屋で起こったことは他言無用。』だから大丈夫だ、エト。 エト:……なら。 エト:私は、人を三回殺したことがある。 バレット:三回かぁ!殺り慣れてんじゃねぇか。 エト:きいて バレット:うぃす。 エト:一回目は、十二の時。修学旅行の時泊まったホテルのバルコニー。そこから人を落としてみたいと、ふと思った。 バレット:転落死かァ!やるねェ エト:きいて バレット:うぃす。 エト:そこで私はバルコニーを囲む柵に飛び乗った。 鷹司:ふぅん? エト:そうしたら、友人が面白がって隣に座ると思ったから。 鷹司:なるほど、頭いいね。 バレット:んぁ?座って、どーすんだ?どういうことだァ? エト:きいて バレット:なんで俺だけ… エト:案の定、同じ部屋に割り当てられてた女の子が隣に飛び乗ってきた。 エト:…その瞬間、その女の子の体を後ろに押した。 鷹司:うわぁ… 伊藤:いいね、センスがある。 エト:結局その件は事故で片付けられて、私はお咎めなし。 給仕:お待たせしました〜 0:飲み物が配られる 伊藤:ありがとうございます バレット:サンキュー エト:…… 鷹司:どうも。エトさんの話、なかなか面白いよ。 給仕:へぇ?なんのお話ですか? 鷹司:エトさんの殺人法について。 給仕:うわぁ…エッグい話してますね。 鷹司:君も座りなよ。 給仕:あ、いいんですか?じゃお言葉に甘えて。 エト:二回目は、十四の時。 バレット:お前ホントいきなり話はじめんのな。 エト:きいて バレット:くっっっっっっっそ! エト:放課後、カラオケに行ったの。 エト:十四なのにお酒飲んでるような人達と。 伊藤:そんな人達とつるんでたなんて初めて聞いたな。 エト:昔の話。ところで、メチルアルコールって知ってる? 給仕:メタノールのことですよね! エト:そう、それでジュースを割って、お酒って言って渡したの。 給仕:げ。 伊藤:すごいことするね。 バレット:んぁ〜?アルコールだろぉ?なんかやべぇのか? 鷹司:はは、バレット。君が言ってるのはエタノールだ。 バレット:何が違うんだァ? 給仕:ふふ、私説明できますよ! 伊藤:第一回赤部屋で二人は『どっちがおバカか対決』をしていましたけれど、バレットさんの勝ちかもしれませんね。 給仕:え?!この流れで私の勝ちじゃないんですか?! 伊藤:……はぁ 鷹司:…どっちがおバカか対決だから、勝った方が、馬鹿なんだと思うよ。 給仕:あ、そっかぁ バレット:あんだとぉ??? エト:エタノール水は普通に飲まれている、言わばお酒。対してメチルアルコールは目が散る、目散るアルコールとも言われているほどの毒。 給仕:飲んだばっかりはお酒と同じ感じで酔っ払うんですけど、しばらくすると、物が二重になってみえたり、失明しちゃったりするんですよね! 伊藤:そして大量摂取すれば、最悪、死に至る。 バレット:ほーん。 伊藤:バレットさん、殺し屋なのに毒薬とか全然知らないんですね。 バレット:俺の殺しのテーマは『爆☆殺』だ! 伊藤:あぁ…爆殺…(吐き捨てるように)嫌いなタイプの殺し屋だ。 バレット:毒とかいちいち覚えんのめんどくせぇし、それに扱い間違えて俺死んだらどぉすんだよォ! 鷹司:バレット、君結構可愛いとこあるね。 バレット:あぁん?どういう意味… エト:続けていい? バレット:ッテメェ!わざとやってるだろ! 伊藤:(かぶせて)ごめんねエト、続けて。 バレット:ぐぬぬぬぬ エト:それで、メチルアルコールでジュースを割って出した。「大人はジュースをお酒で割って飲むんだって〜カクテルって言うらしいよ?」なぁんて言って。 エト:結果、五人中一人死んだ。 鷹司:へぇ。それで警察には何も言われなかったのかい? エト:警察署には呼ばれた。けど『アルコールって全部お酒かと思っちゃった』って泣いたら特に何も。親にはとても怒られたけど。 伊藤:だろうね。 エト:でも罪には問われなかった。 バレット:怖ぇ…俺も間違えてメチルアルコール飲まねぇようにしねぇと。 鷹司:そういう問題か? 給仕:なかなかわくわくしますね!殺し屋さんと話せることなんて普通ないのでとっても楽しいです!次はどんなですか? エト:…最後、三回目、それは去年。旅行に行った時。 バレット:旅先でも殺したのかよ… エト:とある岬で、観光客に写真撮影を頼まれた。後ろは断崖絶壁の場所、柵はなかった。絶好の機会だと思った。 給仕:あ〜。私わかっちゃった。 エト:写真撮影するとき、声をかけた。 エト:もう少し後ろに下がってください。もう少し、もう少し、まだまだ大丈夫です。大きく二歩ほど下がってください。 鷹司:落ちた…のかな。 エト:ええ。 伊藤:また、警察からはお咎めなし? エト:ええ、『まさかそんなに大きく踏み出すとは思ってなくて』で終わったわ。 伊藤:つまり、エトの殺人法は”事故に見せかけた事件”、だね。 給仕:すごいなぁエトさん。私でもできるかも!って思っちゃった。 バレット:やめとけやめとけェ。人なんて殺すもんじゃねぇぞ。 鷹司:おや、バレットがそんなことを。 バレット:一回殺ったらやめらんねェ 鷹司:ダメだこいつ。 エト:メイドさん。 給仕:えっ、わたし? エト:こっち来て。 給仕:え、な、なんだろ 0:エト、銃を取り出す 0:たちあがってエトを取り押さえに動こうとする鷹司 0:撃鉄を起こす音 鷹司:おい!! 給仕:えっ?! 給仕:それ、銃 エト:(被せ)ばーーーーーん(大声) 給仕:キャア!!!! 鷹司:ッッ バレット:…… 伊藤:… 給仕:……って…あれ? エト:ふふ、おもちゃ。 0:沈黙 バレット:俺はすぐ気づいたぜェ 0:吸い込んだ息を大きく吐き出し、へたりこむ給仕 給仕:なぁんだビックリさせないでくださいよぅ… 鷹司:焦った… エト:本物かと思った? 鷹司:ったく…次からは、入室前に持ち物検査をしないとダメだなこれは… 0:給仕に歩み寄るエト 0:若干警戒気味の鷹司 エト:触ってみる? 給仕:ええ?!いいんですかぁ! 伊藤:嬉しそうですね 給仕:だってぇ、普通に生活してたら銃なんて触れないじゃないですかぁ〜 エト:(自分を指差しながら)撃ってみてもいいよ 給仕:えへへ、こうですか? バレット:ダメだなァ、銃を撃つ時はしっかり腕を伸ばさねぇと腕飛んじまうぞ。 鷹司:はは。おもちゃなのにプロからアドバイスか。 伊藤:細かいですね。 バレット:うっせぇなァ。やっぱり気になっちまうんだよ。 給仕:ほほう、なるほど!こうですかね?!エトさん!覚悟しろぉ! 給仕:ばーーーん 0:発砲音 給仕:うわっ!痛… 0:銃を落とす給仕 エト:うっっ…………! 鷹司:え…? バレット:んぁ?! エト:ぁ……血が… 給仕:えぇ?!う、ううううう嘘でしょ?! エト:うっ…ぅぁ……(苦しむ) バレット:なんだこいつ、死にたがりかァ? 0:この後しばらく、みんながセリフ読んでる間も呻き苦しんでください。 0:(また、このとき伊藤はカラクリに気づいています。だからこそどう演じるか、は演者様にお任せします。) 0:銃を拾い上げる伊藤 伊藤:この銃……リボルバー。2つ目に弾丸が入ってたのかな。 鷹司:エトさん!これ偽物じゃなかったのかい? 給仕:きゅ、救急車! 伊藤:救急車はだめだ。素性がバレる。 給仕:じゃ、じゃぁ! 伊藤:知り合いの医者に連絡する。 鷹司:あぁ、お願いするよ。 伊藤:070、62… バレット:何チンタラして…(伊藤に歩み寄る) 0:みんなの視線が外れた瞬間ケロッとするエト エト:なーんちゃって。 鷹司:…… バレット:…… 伊藤:……ふふ 給仕:……えぇ?!?!?!?!?! エト:演技でした。音響で銃声鳴らして… 伊藤:その紅いのは エト:二つ目の弾倉に細工をしておいた。 鷹司:細工? エト:水風船みたいなもの。ぶつかったら簡単に破裂するようにして、中に血糊を詰めた。 給仕:え、じゃあわたし、誰も怪我させてない?エトさん、怪我してない? エト:うん 鷹司:…っはぁ〜〜〜〜〜〜!本当に焦った。 エト:ごめんね。二つ目トリガーは反動がくるようにしてた。痛かったでしょ。 給仕:あ、あぁ!あの痺れはそういう… バレット:んだよ…できすぎだろォ… 伊藤:こんなことだろうと思った。エト、そろそろ閉会だ。ネタばらししてくれるかな 鷹司:ネタばらし? 0:以下、エト、明るくキャラ変。 エト:はぁい。実は、全部嘘でした。 鷹司:ん? 給仕:全部 バレット:嘘ォ? エト:私は人を殺したことなどありません、そして全部演技です!作り話。 エト:なかなかに面白かったでしょう? 0: バレット:は? 伊藤:エト、本当の自己紹介をしてあげて。事故紹介じゃなくて。 エト:うん。たましろエトです。作家をやってます。24歳です。伊藤に殺されかねなかったところを生きのびました。伊藤から面白いやつ認定されたようで生き続けられてます。 給仕:たましろ…エト… 鷹司:玉城エト…ってあの?超有名作家じゃないか…電車の広告でよく見るよ。本も買ったことある。 エト:えへへ バレット:俺でも知ってるぞ、エトって言われた時なんか引っかかるなって思ってたんだよ。 給仕:バレットさん、後出しはずるいですよ。とはいえ、私も知ってます。ドラマにも出てたでしょ? エト:うん、一回だけね。 給仕:すごぉい!お面外してぇ!顔も見たい!サインください! エト:ほっぺたに書いてあ〜げるっ 給仕:紙に書いてぇ… 伊藤:なかなか面白かったよ。エトの世界観。 給仕:え、え、お二人はどうして、え、どういったご関係なんですか?! 伊藤:エトを殺して欲しいって依頼が来た時は驚いたけどね、僕元々エトの大ファンだったから。チャンスだと思って接触したんだ。予想通り、とても面白い人だった。 エト:ふふ、私も敏腕殺し屋と知り合うことが出来て心強い。いや、初対面の時はすごく気持ち悪かったけど。 鷹司:なるほどねぇ…いや、流石は作家と言ったところか…主催の僕が一番楽しんでしまったかもな。 バレット:なーんか、気に食わねぇなぁ。 エト:舞台をのっとって悪かったね。もし宜しければ、第三回にも、是非。 鷹司:大歓迎さ。 給仕:鷹司さん!次はエトさんに誰か招待してもらいましょ、彼女ならきっと面白い人つれてきてくれます! バレット:ちぇ〜 エト:そこのバレットさんとやらはご不満なようだけど。 バレット:だってお前、今日俺の話遮りっぱなしだったじゃねぇか。俺全然話せなかったんだぞ。 エト:申し訳ない、キャラ作りだったんだよ、許してほしいな。 バレット:次はちゃんと話してくれよォ エト:よろこんで。 鷹司:では、これにて第二回『赤部屋』。終演。 0:暗転とともにエンディングミュージック