台本概要

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タイトル ジョイエリ デラ トライセイ【ファイル:ダンビュライト】
作者名 不尽子(つきぬこ)  (@tsukinuko)
ジャンル コメディ
演者人数 3人用台本(男1、女1、不問1)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 イタリアにある異能者で構成されたトライセイ探偵団の新入りネーロと、その指導役ヴィオラが仲間達と共に珍事件を解決…!?
ご使用の際はご報告いただけると大変喜びます(強制ではありません)。

シナリオの一番下にイタリア語の解説があります。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ネーロ 63 ジーノ・マーティン。不幸体質な男装女子。宝石マニアで心の声がうるさい。
ヴィオラ 65 ダン・サクマ。根暗な日系青年。能力は「以心伝心」だが、ネーロに幻滅されたくなくて言えないでいる。
ビアンコ 不問 57 エル・ティンバー。能力は「電波遊泳」。殆ど画面の中に居て文面か機械音声で喋る。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
ヴィオラ:…ネーロ、そんなコソコソしなくても大丈夫だって。 ネーロ:…ヴィオラさん、ちょっと言わせて欲しいんですけど…。 ヴィオラ:…何だ? ネーロ:これ…探偵って言うより、スピアレの仕事じゃないですか? ヴィオラ:……。 ネーロ:…あれ、ビアンコさんからメール…? ビアンコ:『探偵の業務にも企業調査というものがある。今回はこの大企業のあるデータの回収。 ビアンコ:スピアレとの相違点は依頼人との上下関係の有無ぐらいで、仕事内容自体はあまり変わらない』 ネーロ:…そういう解説要らないです…。あ、また…。 ビアンコ:『新人ならそのくらい勉強すべき』 ネーロ:…すいません…。 ヴィオラ:…まぁでも、こういう依頼も無い事は無いから…良い経験だと思ってくれ。 ネーロ:それにしたって、もっとこう…隠れながら行くもんじゃないですか?あ、またメール…。 ビアンコ:『問題無し。監視システムは全てハック済み』 ネーロ:いやでも警備員とか、それこそ社員の人とかと鉢合わせたら…! ビアンコ:『問題無し。警備員のルートと社員全員のスケジュールは把握済み』 ネーロ:あの、一々メール確認させないで普通に会話してもらえませんかね!? ビアンコ:了解シタ。 ヴィオラ:うおっ!?…お前本当、機械じゃなくて普通に喋れよ…。 ビアンコ:却下。面倒。 ヴィオラ:ったく…。 ビアンコ:アト5分デ社員ガ移動ノ為コノ廊下を通ル。急ギ目的地ヘ向カワレタシ。 ヴィオラ:!ネーロ、急げ! ネーロ:は、はいっ…! 0:目的地に到着する。 ヴィオラ:…よし、この部屋だな。 ビアンコ:座標ト一致。間違イ無シ。目標ハ左カラ三番目、奥カラ二番目ノデータサーバー。 ネーロ:えっと、左から三番目、奥から二番目…。 ビアンコ:焦ル必要無シ。コノ部屋ニ入ルノハ夕方6時ニ巡回スル警備員ノミ。 ネーロ:…あの。 ヴィオラ:ん? ネーロ:ビアンコさんって、本当に異能者なんですか? ヴィオラ:え? ネーロ:確かにビアンコさんのハッキング技術は凄いですけど、実際に会った事無いし…正直遠隔で僕達と会話してるようにしか…。 ビアンコ:……。 ヴィオラ:おい、ネーロ…。 ネーロ:あ、すいません!別にビアンコさんがこの探偵団に居るのがおかしいとか、そういうのじゃなくて…! ビアンコ:至極当然ノ疑問。気ニシナイ。 ネーロ:… うぅ…。 ヴィオラ:(溜息)…ん、このサーバーだな。 ビアンコ:コード確認。完全一致。タダ、ヤハリ外部ノ電波ヲ遮断シテイル。直接入リ込ム他無シ。 ヴィオラ:…ネーロ、お前の疑問が晴れるぞ。 ネーロ:え? ヴィオラ:ただ口は塞いどけ。初見は絶対ビビるから。 ネーロ:は、はい…。 0:ネーロが口を塞いだ直後、ヴィオラのスマホからビアンコの手が出てくる。 ネーロ:っ〜〜〜!!?? ビアンコ:ヴィオラ、端子台マデ誘導求ム。 ヴィオラ:自分で行けよ…あとその絵面ホラー映画でしかねぇから、ちゃんとスマホから出て来い。 ビアンコ:却下。面倒。 ネーロ:て、手っ…スマホから手がっ…! ヴィオラ:…普通のハッカーにゃ、こんな芸当無理だろ? ネーロ:…す、すいませんでしたぁっ! ビアンコ:ウルサイ。気付カレル。ヴィオラ、誘導。 ヴィオラ:(溜息)しょうがないなぁ…暗くて分かりづらいんだよ。部屋の電気点ける訳にもいかないし…ネーロ、スマホライト頼む。 ネーロ:あ、は、はいっ!(突然スマホのバッテリーが爆発する)うわっ!? 0:爆発して火災報知器とスプリンクラーが作動する。 ビアンコ:最悪。 ネーロ:わーごめんなさいごめんなさい!この前バッテリー買い替えたばっかりなのにぃ〜!! ヴィオラ:だからシーナ製はやめとけっつったろ! ネーロ:純国産ですぅ! ビアンコ:ウルサイ。スプリンクラーニ注意。ヴィオラノスマホマデ破損シタラ詰ミ。 ヴィオラ:それは大丈夫だ。防水加工してるからな。 ネーロ:でも、どどっどうしましょう…このままじゃ人が…! ビアンコ:問題無シ。 0:突然、別のデータサーバーが発火する。 ネーロ:うわっ!?あっちのデータサーバーに火が…! ヴィオラ:おいおい、やり過ぎだろ…。 ビアンコ:火災報知器ノ作動原因ヲ作ル必要ガアッタ。仕方無シ。 0:複数人の足音が聞こえてくる。 ビアンコ:来タ。隠レロ。 ヴィオラ:ネーロ! ネーロ:は、はいっ…。 0:ヴィオラとネーロが身を潜めていると、警備員達が入って来る。 0:データサーバーの鎮火中に今度は停電が起こる。 ヴィオラ:! ネーロ:(心の声)わ、て、停電…!? 0:データサーバーの火が消えた事を確認して、警備員達が急いで部屋を出る。 ヴィオラ:…よし、行ったな…。 ネーロ:…何も停電まで起こさなくたって…。 ビアンコ:一度ニ異常ガ多発スルト、注意力ガ分散サレル。アノママ何モシナケレバ見ツカッテイタ。 ネーロ:な、なるほど…。 ヴィオラ:データサーバーが別の電気供給だったから出来た事だな…。 ヴィオラ:ビアンコ、悪いがスマホから出て来てくれ。お前が中にいる状態でライト使うと、電池の消耗が激しい。 ビアンコ:…仕方無シ。誘導求ム。 ヴィオラ:分かってるよ。 0:ヴィオラがスマホを床に置くと、画面からビアンコが出てくる。 ネーロ:わぁ…。 ビアンコ:コノ姿デハ初メマシテ、ネーロ。 ネーロ:えっ…生身の時ぐらい、普通に話しません? ビアンコ:却下。面倒。 ヴィオラ:絶対そっちのが面倒だろ…。 ビアンコ:うっ……うぷ……。 ネーロ:え!?急に声出した思ったら、どうしたんですか!?大丈夫ですか!? ビアンコ:問題無シ。酔ッタダケ。 ネーロ:え、酔った…? ヴィオラ:ビアンコは基本画面の中に居るから、外に出ると重力がかかって酔っちまうんだと。 ビアンコ:ネーロ、水分求ム。 ネーロ:え、あ、はい!そうか、水持参ってそういう…。どうぞ。 ビアンコ:(水を飲む)ぷはぁーっ……。 ヴィオラ:ライトつけて、と…。ビアンコ、さっさと終わらせてよう。 ビアンコ:了解シタ。誘導求ム。 ヴィオラ:ああ。(能力を使う) ネーロ:(心の声)出たー!ダンさんのアメジスト・オッキオ!本当いつ見ても綺麗! ヴィオラ:っ……。 ビアンコ:ヴィオラ。 ヴィオラ:分かってる! ネーロ:(心の声)あ、エルさんはやっぱり名前の通り白なんだ!白の宝石で、エルさんに似合いそうなのは…。 ネーロ:(心の声)…あれ、そう言えば…何でダンさんの誘導が必要なんだろ?もう全身出てるのに…。 ヴィオラ:そこの穴だ。 ビアンコ:……。 ネーロ:(心の声)嘘!?明らかにサイズが違うのに、端子台にエルさんの指がすっぽり入ってく…! ビアンコ:……。データ回収完了。ヴィオラ、スマホヲ―― 0:突然、ビアンコがコードに足を引っ掛けて転ぶ。 ビアンコ:あっ…!?うぐっ…。 ネーロ:わあ!?だ、大丈夫ですか!? ヴィオラ:しっかりしろビアンコ。ほら、スマホはここだ。 ビアンコ:うっ……。(手探りにスマホを探す) ヴィオラ:焦るな。まだ誰もこっちに来てない。 ビアンコ:っ…。 ネーロ:(心の声)…あれ?もしかして、エルさん…。 0:ビアンコがヴィオラのスマホを手に取り、画面内に入っていく。 ヴィオラ:…よし、逃走経路は侵入した時と同じか? ビアンコ:サッキノボヤト停電デ人ノ動キガ変ワッタ。スグニ検索スルカラソノ場デ待機。 ヴィオラ:了解。 ネーロ:…あの、ヴィオラさん。 ヴィオラ:ん? ネーロ:ビアンコさんって、ひょっとして…。 ヴィオラ:……。 ネーロ:…い、いえ、何でも無いです。すみません…。 ヴィオラ:お前の考えてる通りだよ。ビアンコには視力が無い。 ネーロ:! ヴィオラ:だから画面から出たがらないんだよ。あの中だと目が見えなくても、色んな情報が頭に入るらしい。 ヴィオラ:おまけにさっきも言ったが、重力も無いから好きな所へ行けるんだと。 ネーロ:…そう、なんですね。 ビアンコ:ルートヲ特定シタ。コノ進路ニ沿ッテ、早急ニ退散サレタシ。 ヴィオラ:よし、行くぞネーロ。 ネーロ:は、はいっ! 0:  ネーロ:はぁ〜良かったぁ…誰にも見つからずに済んだぁ…。 ヴィオラ:お疲れ、ネーロ。 ビアンコ:ネーロ、早急ニ携帯ショップヘ向カワレタシ。 ネーロ:え…? ビアンコ:バッテリーノ故障ヲ報告シタ。領収書モ提出済ミ。今ナラ無料デ交換可能。 ネーロ:…!!あ、ありがとうございます!行ってきます!(携帯ショップへ走る) 0: ヴィオラ:…お前にしちゃ随分と親切だな。 ビアンコ:スマホハ重要ナ情報機器。無イト困ル。 ヴィオラ:…まぁ、そうだな…。 ビアンコ:ヴィオラ。 ヴィオラ:ん? ビアンコ:イツ告ル? ヴィオラ:(むせる)な、ななな何の話…!? ビアンコ:ネーロニ、自分ノ能力ヲ。 ヴィオラ:あ、そ、そっちかよ…。 ビアンコ:先送リハ悪手(あくしゅ)。 ヴィオラ:…分かってるよ。けどな、あいつの事も知らないで…! ビアンコ:ジーノ・マーティン。本名ジュリエッタ・サントーニ。 ヴィオラ:! ビアンコ:戸籍上ジュリエッタハ死亡シタ事ニナッテイルガ、本当ノ死者ハジーノノ方。 ビアンコ:二人ハ孤児院ヲ経営スル教会デ、孤児トシテ育テラレタ。 ヴィオラ:おい。 ビアンコ:二年前ノテロ組織ニヨル暴動ニ巻キ込マレ、教会ハ倒壊。 ヴィオラ:よせ。 ビアンコ:ソノ際ニ本物ノジーノハ死亡、ジュリエッタハテロ組織ノ一人ニ―― ヴィオラ:(遮る)やめろっつってんだよエル!! ビアンコ:……。 ネーロ:……あの、ヴィオラさん? ヴィオラ:!! ネーロ:凄い怒鳴り声が聞こえましたけど、何かあったんですか…? ヴィオラ:っ…。 ビアンコ:無神経ナ事ヲ言ッテ怒ラセタ。ヴィオラ、悪カッタ。 ネーロ:あ、そ…そうですか…。 ヴィオラ:……。 ネーロ:(心の声)…な、何か気まずい…! ネーロ:あ、あのっ! ヴィオラ:ん? ネーロ:ビアンコさんは、ダンビュライトが似合いそうですよね! ビアンコ:…?ダン・サクマ? ヴィオラ:それは俺の名前だ。 ネーロ:宝石です!ビアンコさん色々調べてそうなのに、知らない事もあるんですね! ビアンコ:意味ノ無イモノハ調ベナイ。 ネーロ:あはは、そういう所もやっぱり似合いそう! ヴィオラ:…そうだ、ネーロ。 ネーロ:はい? ヴィオラ:(悪い顔でスマホをいじる)…こいつがウザくなった時の対処法を教えてやるよ…。 ネーロ:え…? ビアンコ:アッ、アッ!警告! ヴィオラ:こうやって機内モードにしとくとなぁ…電波が遮断されてこいつをスマホに閉じ込めとけるんだよ…。 ネーロ:は、はぁ…。 ビアンコ:警告!警告!早急ニ機内モードヲ解除サレタシ! ヴィオラ:…で、この状態でスマホの電源を落とせば…。 ビアンコ:警告!警告!電源ノ切断ハ危険!危険! ネーロ:ちょ、ちょっとヴィオラさん!? ヴィオラ:…なーんて、な。(機内モード解除) ビアンコ:解除確認!早急ニ退散! ネーロ:あ、ビ、ビアンコさん!? ヴィオラ:…Wi-Fi使って逃げたな。ま、その内帰って来るだろ。 ネーロ:…あのまま電源切ってたら、どうなってたんですか…? ヴィオラ:別に、強制的に眠らせれるってだけだ。まぁ、再起動するとヘソ曲げて寝たフリ続けるけどな。 ネーロ:えぇ…。 ヴィオラ:さ、今日の仕事は終わりだ。帰ろうジーノ。 ネーロ:あ、はい! 0: ビアンコ:ダンビュライト…理性の石…。 ビアンコ:石言葉は「調和」、「個性」、「肉体と精神のバランス」…。 ビアンコ:不安やストレスを和らげる効果がある…。 ビアンコ:…どうせ見えないから知る必要も無いと思っていた。でも…ふふ、これは興味深い…。 0:――――(ここからは朗読不要のおまけ。イタリア語の解説です)―――― 0:ジョイエリ デラ トライセイ=トライセイの宝石達 0:ネーロ=黒 0:ヴィオラ=紫 0:ビアンコ=白 0:スピアレ=スパイ 0:シーナ=中国 0:オッキオ=目

ヴィオラ:…ネーロ、そんなコソコソしなくても大丈夫だって。 ネーロ:…ヴィオラさん、ちょっと言わせて欲しいんですけど…。 ヴィオラ:…何だ? ネーロ:これ…探偵って言うより、スピアレの仕事じゃないですか? ヴィオラ:……。 ネーロ:…あれ、ビアンコさんからメール…? ビアンコ:『探偵の業務にも企業調査というものがある。今回はこの大企業のあるデータの回収。 ビアンコ:スピアレとの相違点は依頼人との上下関係の有無ぐらいで、仕事内容自体はあまり変わらない』 ネーロ:…そういう解説要らないです…。あ、また…。 ビアンコ:『新人ならそのくらい勉強すべき』 ネーロ:…すいません…。 ヴィオラ:…まぁでも、こういう依頼も無い事は無いから…良い経験だと思ってくれ。 ネーロ:それにしたって、もっとこう…隠れながら行くもんじゃないですか?あ、またメール…。 ビアンコ:『問題無し。監視システムは全てハック済み』 ネーロ:いやでも警備員とか、それこそ社員の人とかと鉢合わせたら…! ビアンコ:『問題無し。警備員のルートと社員全員のスケジュールは把握済み』 ネーロ:あの、一々メール確認させないで普通に会話してもらえませんかね!? ビアンコ:了解シタ。 ヴィオラ:うおっ!?…お前本当、機械じゃなくて普通に喋れよ…。 ビアンコ:却下。面倒。 ヴィオラ:ったく…。 ビアンコ:アト5分デ社員ガ移動ノ為コノ廊下を通ル。急ギ目的地ヘ向カワレタシ。 ヴィオラ:!ネーロ、急げ! ネーロ:は、はいっ…! 0:目的地に到着する。 ヴィオラ:…よし、この部屋だな。 ビアンコ:座標ト一致。間違イ無シ。目標ハ左カラ三番目、奥カラ二番目ノデータサーバー。 ネーロ:えっと、左から三番目、奥から二番目…。 ビアンコ:焦ル必要無シ。コノ部屋ニ入ルノハ夕方6時ニ巡回スル警備員ノミ。 ネーロ:…あの。 ヴィオラ:ん? ネーロ:ビアンコさんって、本当に異能者なんですか? ヴィオラ:え? ネーロ:確かにビアンコさんのハッキング技術は凄いですけど、実際に会った事無いし…正直遠隔で僕達と会話してるようにしか…。 ビアンコ:……。 ヴィオラ:おい、ネーロ…。 ネーロ:あ、すいません!別にビアンコさんがこの探偵団に居るのがおかしいとか、そういうのじゃなくて…! ビアンコ:至極当然ノ疑問。気ニシナイ。 ネーロ:… うぅ…。 ヴィオラ:(溜息)…ん、このサーバーだな。 ビアンコ:コード確認。完全一致。タダ、ヤハリ外部ノ電波ヲ遮断シテイル。直接入リ込ム他無シ。 ヴィオラ:…ネーロ、お前の疑問が晴れるぞ。 ネーロ:え? ヴィオラ:ただ口は塞いどけ。初見は絶対ビビるから。 ネーロ:は、はい…。 0:ネーロが口を塞いだ直後、ヴィオラのスマホからビアンコの手が出てくる。 ネーロ:っ〜〜〜!!?? ビアンコ:ヴィオラ、端子台マデ誘導求ム。 ヴィオラ:自分で行けよ…あとその絵面ホラー映画でしかねぇから、ちゃんとスマホから出て来い。 ビアンコ:却下。面倒。 ネーロ:て、手っ…スマホから手がっ…! ヴィオラ:…普通のハッカーにゃ、こんな芸当無理だろ? ネーロ:…す、すいませんでしたぁっ! ビアンコ:ウルサイ。気付カレル。ヴィオラ、誘導。 ヴィオラ:(溜息)しょうがないなぁ…暗くて分かりづらいんだよ。部屋の電気点ける訳にもいかないし…ネーロ、スマホライト頼む。 ネーロ:あ、は、はいっ!(突然スマホのバッテリーが爆発する)うわっ!? 0:爆発して火災報知器とスプリンクラーが作動する。 ビアンコ:最悪。 ネーロ:わーごめんなさいごめんなさい!この前バッテリー買い替えたばっかりなのにぃ〜!! ヴィオラ:だからシーナ製はやめとけっつったろ! ネーロ:純国産ですぅ! ビアンコ:ウルサイ。スプリンクラーニ注意。ヴィオラノスマホマデ破損シタラ詰ミ。 ヴィオラ:それは大丈夫だ。防水加工してるからな。 ネーロ:でも、どどっどうしましょう…このままじゃ人が…! ビアンコ:問題無シ。 0:突然、別のデータサーバーが発火する。 ネーロ:うわっ!?あっちのデータサーバーに火が…! ヴィオラ:おいおい、やり過ぎだろ…。 ビアンコ:火災報知器ノ作動原因ヲ作ル必要ガアッタ。仕方無シ。 0:複数人の足音が聞こえてくる。 ビアンコ:来タ。隠レロ。 ヴィオラ:ネーロ! ネーロ:は、はいっ…。 0:ヴィオラとネーロが身を潜めていると、警備員達が入って来る。 0:データサーバーの鎮火中に今度は停電が起こる。 ヴィオラ:! ネーロ:(心の声)わ、て、停電…!? 0:データサーバーの火が消えた事を確認して、警備員達が急いで部屋を出る。 ヴィオラ:…よし、行ったな…。 ネーロ:…何も停電まで起こさなくたって…。 ビアンコ:一度ニ異常ガ多発スルト、注意力ガ分散サレル。アノママ何モシナケレバ見ツカッテイタ。 ネーロ:な、なるほど…。 ヴィオラ:データサーバーが別の電気供給だったから出来た事だな…。 ヴィオラ:ビアンコ、悪いがスマホから出て来てくれ。お前が中にいる状態でライト使うと、電池の消耗が激しい。 ビアンコ:…仕方無シ。誘導求ム。 ヴィオラ:分かってるよ。 0:ヴィオラがスマホを床に置くと、画面からビアンコが出てくる。 ネーロ:わぁ…。 ビアンコ:コノ姿デハ初メマシテ、ネーロ。 ネーロ:えっ…生身の時ぐらい、普通に話しません? ビアンコ:却下。面倒。 ヴィオラ:絶対そっちのが面倒だろ…。 ビアンコ:うっ……うぷ……。 ネーロ:え!?急に声出した思ったら、どうしたんですか!?大丈夫ですか!? ビアンコ:問題無シ。酔ッタダケ。 ネーロ:え、酔った…? ヴィオラ:ビアンコは基本画面の中に居るから、外に出ると重力がかかって酔っちまうんだと。 ビアンコ:ネーロ、水分求ム。 ネーロ:え、あ、はい!そうか、水持参ってそういう…。どうぞ。 ビアンコ:(水を飲む)ぷはぁーっ……。 ヴィオラ:ライトつけて、と…。ビアンコ、さっさと終わらせてよう。 ビアンコ:了解シタ。誘導求ム。 ヴィオラ:ああ。(能力を使う) ネーロ:(心の声)出たー!ダンさんのアメジスト・オッキオ!本当いつ見ても綺麗! ヴィオラ:っ……。 ビアンコ:ヴィオラ。 ヴィオラ:分かってる! ネーロ:(心の声)あ、エルさんはやっぱり名前の通り白なんだ!白の宝石で、エルさんに似合いそうなのは…。 ネーロ:(心の声)…あれ、そう言えば…何でダンさんの誘導が必要なんだろ?もう全身出てるのに…。 ヴィオラ:そこの穴だ。 ビアンコ:……。 ネーロ:(心の声)嘘!?明らかにサイズが違うのに、端子台にエルさんの指がすっぽり入ってく…! ビアンコ:……。データ回収完了。ヴィオラ、スマホヲ―― 0:突然、ビアンコがコードに足を引っ掛けて転ぶ。 ビアンコ:あっ…!?うぐっ…。 ネーロ:わあ!?だ、大丈夫ですか!? ヴィオラ:しっかりしろビアンコ。ほら、スマホはここだ。 ビアンコ:うっ……。(手探りにスマホを探す) ヴィオラ:焦るな。まだ誰もこっちに来てない。 ビアンコ:っ…。 ネーロ:(心の声)…あれ?もしかして、エルさん…。 0:ビアンコがヴィオラのスマホを手に取り、画面内に入っていく。 ヴィオラ:…よし、逃走経路は侵入した時と同じか? ビアンコ:サッキノボヤト停電デ人ノ動キガ変ワッタ。スグニ検索スルカラソノ場デ待機。 ヴィオラ:了解。 ネーロ:…あの、ヴィオラさん。 ヴィオラ:ん? ネーロ:ビアンコさんって、ひょっとして…。 ヴィオラ:……。 ネーロ:…い、いえ、何でも無いです。すみません…。 ヴィオラ:お前の考えてる通りだよ。ビアンコには視力が無い。 ネーロ:! ヴィオラ:だから画面から出たがらないんだよ。あの中だと目が見えなくても、色んな情報が頭に入るらしい。 ヴィオラ:おまけにさっきも言ったが、重力も無いから好きな所へ行けるんだと。 ネーロ:…そう、なんですね。 ビアンコ:ルートヲ特定シタ。コノ進路ニ沿ッテ、早急ニ退散サレタシ。 ヴィオラ:よし、行くぞネーロ。 ネーロ:は、はいっ! 0:  ネーロ:はぁ〜良かったぁ…誰にも見つからずに済んだぁ…。 ヴィオラ:お疲れ、ネーロ。 ビアンコ:ネーロ、早急ニ携帯ショップヘ向カワレタシ。 ネーロ:え…? ビアンコ:バッテリーノ故障ヲ報告シタ。領収書モ提出済ミ。今ナラ無料デ交換可能。 ネーロ:…!!あ、ありがとうございます!行ってきます!(携帯ショップへ走る) 0: ヴィオラ:…お前にしちゃ随分と親切だな。 ビアンコ:スマホハ重要ナ情報機器。無イト困ル。 ヴィオラ:…まぁ、そうだな…。 ビアンコ:ヴィオラ。 ヴィオラ:ん? ビアンコ:イツ告ル? ヴィオラ:(むせる)な、ななな何の話…!? ビアンコ:ネーロニ、自分ノ能力ヲ。 ヴィオラ:あ、そ、そっちかよ…。 ビアンコ:先送リハ悪手(あくしゅ)。 ヴィオラ:…分かってるよ。けどな、あいつの事も知らないで…! ビアンコ:ジーノ・マーティン。本名ジュリエッタ・サントーニ。 ヴィオラ:! ビアンコ:戸籍上ジュリエッタハ死亡シタ事ニナッテイルガ、本当ノ死者ハジーノノ方。 ビアンコ:二人ハ孤児院ヲ経営スル教会デ、孤児トシテ育テラレタ。 ヴィオラ:おい。 ビアンコ:二年前ノテロ組織ニヨル暴動ニ巻キ込マレ、教会ハ倒壊。 ヴィオラ:よせ。 ビアンコ:ソノ際ニ本物ノジーノハ死亡、ジュリエッタハテロ組織ノ一人ニ―― ヴィオラ:(遮る)やめろっつってんだよエル!! ビアンコ:……。 ネーロ:……あの、ヴィオラさん? ヴィオラ:!! ネーロ:凄い怒鳴り声が聞こえましたけど、何かあったんですか…? ヴィオラ:っ…。 ビアンコ:無神経ナ事ヲ言ッテ怒ラセタ。ヴィオラ、悪カッタ。 ネーロ:あ、そ…そうですか…。 ヴィオラ:……。 ネーロ:(心の声)…な、何か気まずい…! ネーロ:あ、あのっ! ヴィオラ:ん? ネーロ:ビアンコさんは、ダンビュライトが似合いそうですよね! ビアンコ:…?ダン・サクマ? ヴィオラ:それは俺の名前だ。 ネーロ:宝石です!ビアンコさん色々調べてそうなのに、知らない事もあるんですね! ビアンコ:意味ノ無イモノハ調ベナイ。 ネーロ:あはは、そういう所もやっぱり似合いそう! ヴィオラ:…そうだ、ネーロ。 ネーロ:はい? ヴィオラ:(悪い顔でスマホをいじる)…こいつがウザくなった時の対処法を教えてやるよ…。 ネーロ:え…? ビアンコ:アッ、アッ!警告! ヴィオラ:こうやって機内モードにしとくとなぁ…電波が遮断されてこいつをスマホに閉じ込めとけるんだよ…。 ネーロ:は、はぁ…。 ビアンコ:警告!警告!早急ニ機内モードヲ解除サレタシ! ヴィオラ:…で、この状態でスマホの電源を落とせば…。 ビアンコ:警告!警告!電源ノ切断ハ危険!危険! ネーロ:ちょ、ちょっとヴィオラさん!? ヴィオラ:…なーんて、な。(機内モード解除) ビアンコ:解除確認!早急ニ退散! ネーロ:あ、ビ、ビアンコさん!? ヴィオラ:…Wi-Fi使って逃げたな。ま、その内帰って来るだろ。 ネーロ:…あのまま電源切ってたら、どうなってたんですか…? ヴィオラ:別に、強制的に眠らせれるってだけだ。まぁ、再起動するとヘソ曲げて寝たフリ続けるけどな。 ネーロ:えぇ…。 ヴィオラ:さ、今日の仕事は終わりだ。帰ろうジーノ。 ネーロ:あ、はい! 0: ビアンコ:ダンビュライト…理性の石…。 ビアンコ:石言葉は「調和」、「個性」、「肉体と精神のバランス」…。 ビアンコ:不安やストレスを和らげる効果がある…。 ビアンコ:…どうせ見えないから知る必要も無いと思っていた。でも…ふふ、これは興味深い…。 0:――――(ここからは朗読不要のおまけ。イタリア語の解説です)―――― 0:ジョイエリ デラ トライセイ=トライセイの宝石達 0:ネーロ=黒 0:ヴィオラ=紫 0:ビアンコ=白 0:スピアレ=スパイ 0:シーナ=中国 0:オッキオ=目