台本概要
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タイトル | 夜光蟲 第1章、葛藤☆ |
---|---|
作者名 | すばら (@kou0204hei) |
ジャンル | ホラー |
演者人数 | 8人用台本(男5、女3) ※兼役あり |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
リアルホストdrama。 数ある中から、自分の台本をご覧頂きありがとうございます!兼ね役などの情報はキャラのプロフィールに記載されています。 基本的に改変等、自由です。気軽に楽しんで頂ければと思います。 ※八割方、ノンフィクションです※ ⚠️グロテスクな表現、性的描写が含まれています⚠️ 171 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
流生 | 男 | 26 | 27歳。ブランディッシュのNo.1で社長。1000万prayer保持者。残忍で冷酷。 |
魅剣 | 男 | 23 | 27歳。ブランディッシュのNo.2。寡黙だが、面倒見が良く優しい。 |
蘭丸 | 男 | 17 | 23歳。バイトとは思えない会話力。個性強め。真人を兼ね役推奨。 |
黄泉 | 男 | 65 | 20歳。保証期間を終えた、三ヶ月目の駆け出しホスト。癒し系で、内向的。 |
真人 | 男 | 4 | 40歳。故人。4年前に客に刺され、即死。生前はブランディッシュの経営者。 |
紗凪 | 女 | 53 | 34歳。キーパーソン。ひょんな事から、黄泉と出会った。何か訳有りの様だが。 |
サーシャ | 女 | 11 | 25歳。魅剣の客。見た目はギャル。性欲が強い。まるるんと兼ね役推奨 |
まるるん | 女 | 10 | 55歳。魅剣の客。若い男にチヤホヤされたいBBA。ブルガリの香水が鼻を刺す。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
夜光蟲(やこうちゅう)
人数比、4/2
登場人物
流生(りゅーせい)♂27歳。ブランディッシュのNo.1で社長。1000万prayer保持者。残忍で冷酷。
魅剣(みつるぎ)♂27歳。ブランディッシュのNo.2。寡黙だが、面倒見が良く優しい。
蘭丸(らんまる)♂23歳。バイトとは思えない会話力。個性強め。真人を兼ね役推奨。
黄泉(よみ)♂20歳。保証期間を終えた、三ヶ月目の駆け出しホスト。癒し系で、内向的。
真人(まひと)♂40歳。故人。4年前に客に刺され、即死。生前はブランディッシュの経営者。
サーシャ♀25歳。魅剣の客。見た目はギャル。性欲が強い。まるるんと兼ね役推奨
まるるん♀55歳。魅剣の客。若い男にチヤホヤされたいBBA。ブルガリの香水が鼻を刺す。
紗凪(さなえ)♀34歳。キーパーソン。ひょんな事から、黄泉と出会った。何か訳有りの様だが。
————以下本編————
0:夜の帝王達が集う、高級ホストクラブ、Burandisshu(ブランディッシュ)は今宵も煌びやかな照明が妖しく店内を照らしていた。
真人:第一章、葛藤(かっとう)(流生IN黄泉IN魅剣IN)
流生:おい、ヨミ!例の客の入金はまだか?明後日、締め日だぞ?
黄泉:リューセイさん…それが……す、すみません…2日前から、音信不通になっていまして…
流生:は?お前は、客の管理すら出来ないのかよ!
黄泉:面目無いです…まさか飛ばれるなんて…
流生:はぁ……お前、ブランディッシュのルールは理解してるよな?
黄泉:飛んだ客の負債(マイナス)は担当ホストが被る。その後、キャッチ(呼び込み)で負債の10の位の数字分、客を店に入れる。
流生:そうだ。黄泉、暁美(あけみ)の掛け額が丁度、250万。
黄泉:と言う事は……5、50人…ですか!?
流生:締め日は明後日だ。今から街に繰り出し、死に物狂いで捕まえてこい!!
黄泉:そ、そんな…無理で……
流生:オラァ!(殴る)…弱音吐く暇があんなら、さっさと行動に移せ!!
黄泉:ぐっ…!……はぁ…はぁ……わ…か……ま…した。
流生:チャンスを与えてやってるだけ有難いと思え!
黄泉:……っ!
0:腹の痛みに耐えながら黄泉が去る。
流生:…
流生:ミツルギ、今日の予定は?
魅剣:今のところ、2組。まるるんはOpenから入れる予定。上げ無しで適当にヘルプを着けてくれ。サーシャに関しては同伴で、いつも通り、程々に煽りながら、楽しませてやってくれ。
流生:分かった。
魅剣:リューセイ。
流生:何だ?
魅剣:ヨミはまだブランディッシュに本入してたった三ヶ月。少し、優しくしたらどうだ?
流生:ミツルギ、このブランディッシュは俺の店だ。社長である俺のやり方にケチを付けるなら…
魅剣:それ以上言うな。真人さんが哀しむぞ。
流生:…真人さんはもうこの世には居ない人間だ。自分の客に刺される、ただの間抜けな野郎だった。……所詮、社長の器じゃなか…
魅剣:リューセイ、てめぇ…!(胸倉を掴む)
流生:……離せ。
魅剣:ちっ…!俺はお前を認めない。いつまでも王様気分に浸れると思うな。
流生:……
0:回想、亡き、真人を想う。(真人IN黄泉OUT)
真人:皆、今年も良く頑張ってくれた。
真人:入店して、僅(わず)か一年足らずで1000万prayerに上り詰めたリューセイ。本当におめでとう!私は鼻が高いよ。
真人:リューセイくん、君には素質がある。どうかな?私の店でその才能を発揮してくれないかい?
流生:ぅぐっ!(啜り泣き)…マヒトさん…俺に…才能なんて…
魅剣:…
0:一方で…(黄泉IN紗凪IN流生OUT魅剣OUT真人OUT)
黄泉:はぁ……リューセイさん、鬼だなあ。
紗凪:もしもしーー!そこの不幸に取り憑かれてそうなお兄さん。
0:不意に可愛らしい声色が黄泉の耳に入る。
黄泉:ぇえ!?僕の事ですか??
紗凪:そうそう、君ぃーだいじょぶ?
黄泉:僕、向いてないんです…
紗凪:んーー向いてない?…黒スーツに奇抜な髪型…もしかしてぇ、ホストくん?
黄泉:はい、ブランディッシュって言うホストクラブのヨミです。
紗凪:ふぅーーん。
0:顔を覗かせる。
黄泉:な、何ですか?!
紗凪:ふふ、ヨミくんって可愛い顔してるなあって。
黄泉:か、揶揄(からか)わないで下さいよ!
紗凪:照れちゃって、可愛いねぇー♪
黄泉:ホストなのに情けないですよね、はは…
紗凪:ううん。そんな事ない。君の事が気に入っちゃったあ♪私はサナエだよぉ!宜しくね、ヨミくん。
黄泉:…(サナエさんってあの?!いや、同名の可能性もあるし)
紗凪:緊張してるう?ふふ。
黄泉:え?あ!よ、宜しくお願いしま………さ、サナエさん?!
0:手を握られる。
紗凪:いこっ!
黄泉:ぇ?どこにですか?!
紗凪:ふふん♪さっきから、お腹鳴ってるみたいだから、お肉でも食べにいこっ!
黄泉:肉!?いやいや、僕は、まだ駆け出しの身でお金が…
紗凪:だいじょぶ、お姉さんに任せなさぁい♪
黄泉:ぅええー!?
0:紗凪は黄泉の腕を引っ張る。(魅剣INサーシャIN黄泉OUT紗凪OUT)
魅剣:…(煙草を吸う)
サーシャ:ねぇ、ミツルギ!今日終わったらカラオケ行かないかおー?
魅剣:潰れてなければな。
サーシャ:へ?ミッタンが酔い潰れるとか奇跡でも起こらない限り、無理無理ー。
魅剣:…
サーシャ:んう?今日のミッタン、元気が無いね。何かあったお?
0:股間を弄る、サーシャ。
魅剣:やめろっ!…悪い、今日はそう言う気分になれない。
サーシャ:……シャワー浴びてくるお。
魅剣:…リューセイ。
0:その頃、黄泉は。(黄泉IN紗凪IN魅剣OUTサーシャOUT)
黄泉:あのぅ、これ全部食べても?!
0:巨大な肉の塊を前にして箸が止まる。
紗凪:うん、沢山食べてぇ♪あっでも———出勤前だから、ニンニクはダメよね?
黄泉:はは…良く分かってますね!
紗凪:私ね、昔ホストと付き合ってたの。
黄泉:え?
0:自分の過去を恥ずかしげも無く語る、紗凪。
紗凪:うん。ヨミくんみたいに可愛いくて優しくて…内向的で…でも、一つだけヨミくんと違うのは———彼ね、凄ぉーく、負けず嫌いだったの。
黄泉:サナエさん…
紗凪:とある日の帰り道、お客さんに刺されちゃったんだけどね……
黄泉:え?!
紗凪:…
黄泉:その人って…
紗凪:ブランディッシュの真人。
黄泉:な…(やっぱり…この人…)
0:ブランディッシュ店内。(流生INまるるんIN蘭丸IN黄泉OUT魅剣OUT紗凪OUT)
流生:呼び鈴?まるるんが来たか。
まるるん:ミツルギはまだ来てないのー?
0:扉の向こうから野太い声が響く。
流生:ランマル!ミツルギのお客様が見えたから、ファースト宜しく。
蘭丸:はい、了解です。
0:恒例の挨拶で出迎えた後、客を通す。
蘭丸:いらっしゃいませー!ブランディッシュにようこそ。
まるるん:は?誰?あんた、新人ー?ミツルギはあ?まだ出勤してないの?
蘭丸:あー、、ミツルギさんは今日寝坊しちゃってるみたいで、、
まるるん:はぁ?もう、何してんのよ!あいつ。
蘭丸:取り敢えず、ご案内しますので、どうぞ、奥の席に!
まるるん:…
0:不機嫌なまるるんを奥のテーブル席に案内する。
蘭丸:あ、綺麗なスカートが台無しになってしまうので、良かったらこちらのトーションを使って下さい。
まるるん:あら?気が利くじゃない。ありがと。
0:両者着席。
蘭丸:どういたしまして。
まるるん:貴方、名前は?
蘭丸:ランマルです!拙者、バイトなんて滅多に出勤しないんですけど、少しでも覚えてくれると嬉しいです。
まるるん:なるほどー、どうりで見かけない顔かと思ったわ。…何歳なのかしら?
蘭丸:今年で23歳です。専門学校に通いながら、週2で、ここで働いてます。
まるるん:へぇ、何の専門?
蘭丸:音楽の専門です。将来、歌手になりたくて。
まるるん:へー、まだ若いのにしっかりしてるわね。夢を追うのはとても良い事だと思うわ。
蘭丸:ははは、ありがとうございます。
まるるん:ランマルちゃん、アタシはまるるんよ、宜しくね。
蘭丸:宜しくお願いします!(香水キツイな…このBBA。)
0:一方…。(魅剣INサーシャIN流生OUT蘭丸OUTまるるんOUT)
サーシャ:ミッタンーー!支度は出来たかおー?
魅剣:ああ、もう出れる。サーシャ、すまん、今日も被るけど機嫌を損わないでくれな。
サーシャ:はあ?!またかお?!…またあのBBA?!
魅剣:そろそろパンクしそうだけどな。ここのところ、最低料金ばかりだからな。
サーシャ:切っちゃいなよ!そんな細客、要らなくないかおー?
魅剣:切りはしない。…タクシー呼んだから、行くぞ。
サーシャ:…
0:焼肉屋。(黄泉IN紗凪IN魅剣OUTサーシャOUT)
紗凪:もっといっぱい食べろぉー!!
黄泉:さ、サナエさん、飲み過ぎですよ!
紗凪:硬い事、言わない〜言わない〜♪
黄泉:はぁ…
黄泉:…(店に戻らないとなあ…でも、50人捕まえてないしなあ…)
紗凪:ヨミくーん、全然お酒減ってないよぉ!
黄泉:はは…
黄泉:さ、サナエさん?!
0:紗凪、黄泉に凭れ掛かる。
紗凪:……すぴぃ…Zzz。
黄泉:あーあ…寝ちゃったよ。。
黄泉:僕はどうすれば…サナエさんの言った通りにしたら良いのかな?
0:紗凪が出来上がる前。
紗凪:ヨミくん、現ブランディッシュの社長ってリューセイくんでしょお?
黄泉:はい、3年間不動のNo.1で社長らしいです。
紗凪:3年も!?す、凄い…!…流石、マヒトに育てられただけはあるう!
黄泉:ブランディッシュに本入した後、リューセイさんを目標に今まで頑張って来ましたけど…ここに来て、挫折しそうです…はは。
紗凪:私は詳しくは分からないけど、マヒトから聞いてた話だと、リューセイくんって、優しくて頭がキレる子としか言われてなかったなあ?
黄泉:なるほど。明後日、締め日なんですけど…それまでにお客様を50人連れて行けなければクビなんです。。
紗凪:ふぇえ?!何ぃーそのルール…無茶苦茶過ぎる…生気を吸い取られてたような顔をしてたのはそのせいかあ。
黄泉:はは…
紗凪:うーん。……分かった!お姉さんが何とかしてあげるう!
黄泉:え?
紗凪:私の知り合いに当たっても、さすがに50人を用意する事は出来ないけどお———私がヨミくんを指名してあげる♪
黄泉:ほ、本当ですか!?
紗凪:ええ。元々、ブランディッシュにはいつか行こうかなって思ってたからねえ。
黄泉:ありがとうございます、サナエさん!精一杯、エスコートさせて頂きます!!
紗凪:うふふ、素敵な騎士さんねえ♪
黄泉:ははは!それで、サナエさんがブランディッシュに行きたい理由とは?
紗凪:真人の不審死について、調べたくて。
黄泉:不審死ですか?
紗凪:ええ、真人は何者かの指示によって、殺されたのよ。
黄泉:そんな…あの事件はお客様が錯乱したせいでって…
黄泉:…(やっぱり…これで合点がいった!この人はマヒトさんの…)
紗凪:表向きわね。…でも、不自然な点があるの。
黄泉:不自然な点?
紗凪:その真人のお客様ってね、私の高校時代の同級生なの。
黄泉:え?!
紗凪:その子の名前は晴風(はるか)虫一匹すら殺せないほどの心の優しい女性よ?そんな子が嫉妬に狂って、人殺しなんて出来る訳がないの。
黄泉:…
紗凪:頻繁に真人と話してた、リューセイくんなら何か知ってると思う。
黄泉:それで僕を指名して、ヘルプで着くであろう、リューセイさんと話を?
紗凪:そう言う事。ごめんねえ、君を利用する形になっちゃって。
黄泉:いえいえ!どの道、僕には希望がありませんでしたから。寧ろ、サナエさんには感謝してるんです。
紗凪:ふふ、謙虚ね。…本当に真人そっくり、、
黄泉:サナエさん…どうぞ、このハンカチを使って下さい。
紗凪:ぐすん…ヨミくん、ありがとう♪
黄泉:でも、一つ疑問があるのですが。
紗凪:なに?
黄泉:何故、直接リューセイさんを指名しないのでしょうか?
紗凪:正直、君が凄く真人に似ているからって言うのが最もな理由なんだけれど———リューセイくんを指名して、直に彼と話しても素直に答えてくれるとは思わないわ。
黄泉:なるほど。確かにリューセイさんは誰に対しても、警戒心が高い人ですからね。
紗凪:そう、それにあの人が個人的に受け付けないって言うか…マヒトが居なくなってから、性格が歪んだとか、最近では悪いレッテルも貼られてるみたいだし……
黄泉:リューセイさんは自分のお客様には雑な対応をしますが、他のお客様には丁寧な接客を心掛けています。
紗凪:あら?その情報は爆弾じゃないかしら?
黄泉:あ…すみません。
紗凪:ふふ、だいじょぶ!他言はしないから。
黄泉:ありがとうございます。
紗凪:さぁー、この日本酒を空にしたら行きましょう♪
黄泉:はい!てか…サナエさん、会った時とキャラが変わってません?
紗凪:あらぁ?最初の私の印象はフランクなふっ軽女とでも思っていたのかしら?
黄泉:あ、いや…それは…
紗凪:うふふ、その焦った顔が物語っているわよ?
黄泉:サナエさんには敵わないなあ…はは。
紗凪:初めから、お堅い雰囲気だったら近寄り難いでしょ?時には演技も大事なの。
黄泉:なるほど、勉強になります!
紗凪:ふふ。さ、呑むわよーー♪
0:並々に注がれた酒を渡される。
黄泉:こ、こんなに飲めないですって!
紗凪:お酒に関して、ホストが弱音を吐いたらお終いよ?ほーら、飲んでぇー♪
黄泉:はぁ…ゴクゴクッ!
紗凪:あらあら、意地ね♪うふふ♪
0:暫くして…
紗凪:……ゴクッゴクッ!
黄泉:サナエさん、一人で10本近くは開けてますけど、そろそろやめた方が…
紗凪:はあ!?全ッ然足りないわー!早く、追加分の酒瓶を…!!
黄泉:はぁ……
紗凪:…zzZ
黄泉:サナエさんを起こして向かわないと!
0:ブランディッシュ前。(魅剣INサーシャIN黄泉OUT紗凪OUT)
魅剣:サーシャ、起きろ。着いた。
サーシャ:んんう…?!あたしは眠って…?
魅剣:ああ。大いびきを掻いてな。
サーシャ:え!や、やだ、あたしったら。
魅剣:ふん。……運ちゃん、釣りは要らない。
0:タクシーから慌てて出るミツルギ。
サーシャ:待ってよー!
0:ブランディッシュ店内。(流生IN蘭丸IN魅剣INサーシャOUT)
流生:ミツルギの奴、遅い!同伴が効く時間は残り、5分だぞ?罰金が怖くないのか?
蘭丸:リューセイさん〜拙者、あの客…苦手です。香水合ってないし…
流生:あ?ランマル、客を干すな!今すぐに戻れ!
蘭丸:ご安心を。今、新人が着いてるので大丈夫です。
流生:お前…入店1日のド新人に痛客を任せんじゃねえよ。
蘭丸:お言葉ですが…
魅剣:騒がしい奴等だな。
0:ミツルギがバックヤードに現れる。
流生:あ?ギリギリだぞ、ミツルギ。近頃、弛(たるん)でるんじゃねえか?
蘭丸:ミツルギさん!おはよーござっす!
魅剣:…(煙草を吸う)…お前には負ける。
流生:…まぁいい!…それ吸ったら、まるるんの卓に急げ。新人じゃ荷が重いだろうからな。
魅剣:…(煙草を吸う)……付け回しくらいしっかりやれ。
蘭丸:ミツルギさん、リューセイさんは!
流生:ランマル、店のエレベーター前で待たせている、ミツルギの客を迎え入れた後、ファーストに行け。
蘭丸:了解です。
0:蘭丸、エレベーター前に移動。
流生:ミツルギ。ヨミはどうしたと思う?俺は飛んだと見てるが。
魅剣:そうと決まった訳じゃないだろ。ブランディッシュの夜はこれからだ。
流生:お人好しも程々にしとけよ、ミツルギ。あいつにそこまでの根性があるとは思えん。
魅剣:…
0:二章に続く。
夜光蟲(やこうちゅう)
人数比、4/2
登場人物
流生(りゅーせい)♂27歳。ブランディッシュのNo.1で社長。1000万prayer保持者。残忍で冷酷。
魅剣(みつるぎ)♂27歳。ブランディッシュのNo.2。寡黙だが、面倒見が良く優しい。
蘭丸(らんまる)♂23歳。バイトとは思えない会話力。個性強め。真人を兼ね役推奨。
黄泉(よみ)♂20歳。保証期間を終えた、三ヶ月目の駆け出しホスト。癒し系で、内向的。
真人(まひと)♂40歳。故人。4年前に客に刺され、即死。生前はブランディッシュの経営者。
サーシャ♀25歳。魅剣の客。見た目はギャル。性欲が強い。まるるんと兼ね役推奨
まるるん♀55歳。魅剣の客。若い男にチヤホヤされたいBBA。ブルガリの香水が鼻を刺す。
紗凪(さなえ)♀34歳。キーパーソン。ひょんな事から、黄泉と出会った。何か訳有りの様だが。
————以下本編————
0:夜の帝王達が集う、高級ホストクラブ、Burandisshu(ブランディッシュ)は今宵も煌びやかな照明が妖しく店内を照らしていた。
真人:第一章、葛藤(かっとう)(流生IN黄泉IN魅剣IN)
流生:おい、ヨミ!例の客の入金はまだか?明後日、締め日だぞ?
黄泉:リューセイさん…それが……す、すみません…2日前から、音信不通になっていまして…
流生:は?お前は、客の管理すら出来ないのかよ!
黄泉:面目無いです…まさか飛ばれるなんて…
流生:はぁ……お前、ブランディッシュのルールは理解してるよな?
黄泉:飛んだ客の負債(マイナス)は担当ホストが被る。その後、キャッチ(呼び込み)で負債の10の位の数字分、客を店に入れる。
流生:そうだ。黄泉、暁美(あけみ)の掛け額が丁度、250万。
黄泉:と言う事は……5、50人…ですか!?
流生:締め日は明後日だ。今から街に繰り出し、死に物狂いで捕まえてこい!!
黄泉:そ、そんな…無理で……
流生:オラァ!(殴る)…弱音吐く暇があんなら、さっさと行動に移せ!!
黄泉:ぐっ…!……はぁ…はぁ……わ…か……ま…した。
流生:チャンスを与えてやってるだけ有難いと思え!
黄泉:……っ!
0:腹の痛みに耐えながら黄泉が去る。
流生:…
流生:ミツルギ、今日の予定は?
魅剣:今のところ、2組。まるるんはOpenから入れる予定。上げ無しで適当にヘルプを着けてくれ。サーシャに関しては同伴で、いつも通り、程々に煽りながら、楽しませてやってくれ。
流生:分かった。
魅剣:リューセイ。
流生:何だ?
魅剣:ヨミはまだブランディッシュに本入してたった三ヶ月。少し、優しくしたらどうだ?
流生:ミツルギ、このブランディッシュは俺の店だ。社長である俺のやり方にケチを付けるなら…
魅剣:それ以上言うな。真人さんが哀しむぞ。
流生:…真人さんはもうこの世には居ない人間だ。自分の客に刺される、ただの間抜けな野郎だった。……所詮、社長の器じゃなか…
魅剣:リューセイ、てめぇ…!(胸倉を掴む)
流生:……離せ。
魅剣:ちっ…!俺はお前を認めない。いつまでも王様気分に浸れると思うな。
流生:……
0:回想、亡き、真人を想う。(真人IN黄泉OUT)
真人:皆、今年も良く頑張ってくれた。
真人:入店して、僅(わず)か一年足らずで1000万prayerに上り詰めたリューセイ。本当におめでとう!私は鼻が高いよ。
真人:リューセイくん、君には素質がある。どうかな?私の店でその才能を発揮してくれないかい?
流生:ぅぐっ!(啜り泣き)…マヒトさん…俺に…才能なんて…
魅剣:…
0:一方で…(黄泉IN紗凪IN流生OUT魅剣OUT真人OUT)
黄泉:はぁ……リューセイさん、鬼だなあ。
紗凪:もしもしーー!そこの不幸に取り憑かれてそうなお兄さん。
0:不意に可愛らしい声色が黄泉の耳に入る。
黄泉:ぇえ!?僕の事ですか??
紗凪:そうそう、君ぃーだいじょぶ?
黄泉:僕、向いてないんです…
紗凪:んーー向いてない?…黒スーツに奇抜な髪型…もしかしてぇ、ホストくん?
黄泉:はい、ブランディッシュって言うホストクラブのヨミです。
紗凪:ふぅーーん。
0:顔を覗かせる。
黄泉:な、何ですか?!
紗凪:ふふ、ヨミくんって可愛い顔してるなあって。
黄泉:か、揶揄(からか)わないで下さいよ!
紗凪:照れちゃって、可愛いねぇー♪
黄泉:ホストなのに情けないですよね、はは…
紗凪:ううん。そんな事ない。君の事が気に入っちゃったあ♪私はサナエだよぉ!宜しくね、ヨミくん。
黄泉:…(サナエさんってあの?!いや、同名の可能性もあるし)
紗凪:緊張してるう?ふふ。
黄泉:え?あ!よ、宜しくお願いしま………さ、サナエさん?!
0:手を握られる。
紗凪:いこっ!
黄泉:ぇ?どこにですか?!
紗凪:ふふん♪さっきから、お腹鳴ってるみたいだから、お肉でも食べにいこっ!
黄泉:肉!?いやいや、僕は、まだ駆け出しの身でお金が…
紗凪:だいじょぶ、お姉さんに任せなさぁい♪
黄泉:ぅええー!?
0:紗凪は黄泉の腕を引っ張る。(魅剣INサーシャIN黄泉OUT紗凪OUT)
魅剣:…(煙草を吸う)
サーシャ:ねぇ、ミツルギ!今日終わったらカラオケ行かないかおー?
魅剣:潰れてなければな。
サーシャ:へ?ミッタンが酔い潰れるとか奇跡でも起こらない限り、無理無理ー。
魅剣:…
サーシャ:んう?今日のミッタン、元気が無いね。何かあったお?
0:股間を弄る、サーシャ。
魅剣:やめろっ!…悪い、今日はそう言う気分になれない。
サーシャ:……シャワー浴びてくるお。
魅剣:…リューセイ。
0:その頃、黄泉は。(黄泉IN紗凪IN魅剣OUTサーシャOUT)
黄泉:あのぅ、これ全部食べても?!
0:巨大な肉の塊を前にして箸が止まる。
紗凪:うん、沢山食べてぇ♪あっでも———出勤前だから、ニンニクはダメよね?
黄泉:はは…良く分かってますね!
紗凪:私ね、昔ホストと付き合ってたの。
黄泉:え?
0:自分の過去を恥ずかしげも無く語る、紗凪。
紗凪:うん。ヨミくんみたいに可愛いくて優しくて…内向的で…でも、一つだけヨミくんと違うのは———彼ね、凄ぉーく、負けず嫌いだったの。
黄泉:サナエさん…
紗凪:とある日の帰り道、お客さんに刺されちゃったんだけどね……
黄泉:え?!
紗凪:…
黄泉:その人って…
紗凪:ブランディッシュの真人。
黄泉:な…(やっぱり…この人…)
0:ブランディッシュ店内。(流生INまるるんIN蘭丸IN黄泉OUT魅剣OUT紗凪OUT)
流生:呼び鈴?まるるんが来たか。
まるるん:ミツルギはまだ来てないのー?
0:扉の向こうから野太い声が響く。
流生:ランマル!ミツルギのお客様が見えたから、ファースト宜しく。
蘭丸:はい、了解です。
0:恒例の挨拶で出迎えた後、客を通す。
蘭丸:いらっしゃいませー!ブランディッシュにようこそ。
まるるん:は?誰?あんた、新人ー?ミツルギはあ?まだ出勤してないの?
蘭丸:あー、、ミツルギさんは今日寝坊しちゃってるみたいで、、
まるるん:はぁ?もう、何してんのよ!あいつ。
蘭丸:取り敢えず、ご案内しますので、どうぞ、奥の席に!
まるるん:…
0:不機嫌なまるるんを奥のテーブル席に案内する。
蘭丸:あ、綺麗なスカートが台無しになってしまうので、良かったらこちらのトーションを使って下さい。
まるるん:あら?気が利くじゃない。ありがと。
0:両者着席。
蘭丸:どういたしまして。
まるるん:貴方、名前は?
蘭丸:ランマルです!拙者、バイトなんて滅多に出勤しないんですけど、少しでも覚えてくれると嬉しいです。
まるるん:なるほどー、どうりで見かけない顔かと思ったわ。…何歳なのかしら?
蘭丸:今年で23歳です。専門学校に通いながら、週2で、ここで働いてます。
まるるん:へぇ、何の専門?
蘭丸:音楽の専門です。将来、歌手になりたくて。
まるるん:へー、まだ若いのにしっかりしてるわね。夢を追うのはとても良い事だと思うわ。
蘭丸:ははは、ありがとうございます。
まるるん:ランマルちゃん、アタシはまるるんよ、宜しくね。
蘭丸:宜しくお願いします!(香水キツイな…このBBA。)
0:一方…。(魅剣INサーシャIN流生OUT蘭丸OUTまるるんOUT)
サーシャ:ミッタンーー!支度は出来たかおー?
魅剣:ああ、もう出れる。サーシャ、すまん、今日も被るけど機嫌を損わないでくれな。
サーシャ:はあ?!またかお?!…またあのBBA?!
魅剣:そろそろパンクしそうだけどな。ここのところ、最低料金ばかりだからな。
サーシャ:切っちゃいなよ!そんな細客、要らなくないかおー?
魅剣:切りはしない。…タクシー呼んだから、行くぞ。
サーシャ:…
0:焼肉屋。(黄泉IN紗凪IN魅剣OUTサーシャOUT)
紗凪:もっといっぱい食べろぉー!!
黄泉:さ、サナエさん、飲み過ぎですよ!
紗凪:硬い事、言わない〜言わない〜♪
黄泉:はぁ…
黄泉:…(店に戻らないとなあ…でも、50人捕まえてないしなあ…)
紗凪:ヨミくーん、全然お酒減ってないよぉ!
黄泉:はは…
黄泉:さ、サナエさん?!
0:紗凪、黄泉に凭れ掛かる。
紗凪:……すぴぃ…Zzz。
黄泉:あーあ…寝ちゃったよ。。
黄泉:僕はどうすれば…サナエさんの言った通りにしたら良いのかな?
0:紗凪が出来上がる前。
紗凪:ヨミくん、現ブランディッシュの社長ってリューセイくんでしょお?
黄泉:はい、3年間不動のNo.1で社長らしいです。
紗凪:3年も!?す、凄い…!…流石、マヒトに育てられただけはあるう!
黄泉:ブランディッシュに本入した後、リューセイさんを目標に今まで頑張って来ましたけど…ここに来て、挫折しそうです…はは。
紗凪:私は詳しくは分からないけど、マヒトから聞いてた話だと、リューセイくんって、優しくて頭がキレる子としか言われてなかったなあ?
黄泉:なるほど。明後日、締め日なんですけど…それまでにお客様を50人連れて行けなければクビなんです。。
紗凪:ふぇえ?!何ぃーそのルール…無茶苦茶過ぎる…生気を吸い取られてたような顔をしてたのはそのせいかあ。
黄泉:はは…
紗凪:うーん。……分かった!お姉さんが何とかしてあげるう!
黄泉:え?
紗凪:私の知り合いに当たっても、さすがに50人を用意する事は出来ないけどお———私がヨミくんを指名してあげる♪
黄泉:ほ、本当ですか!?
紗凪:ええ。元々、ブランディッシュにはいつか行こうかなって思ってたからねえ。
黄泉:ありがとうございます、サナエさん!精一杯、エスコートさせて頂きます!!
紗凪:うふふ、素敵な騎士さんねえ♪
黄泉:ははは!それで、サナエさんがブランディッシュに行きたい理由とは?
紗凪:真人の不審死について、調べたくて。
黄泉:不審死ですか?
紗凪:ええ、真人は何者かの指示によって、殺されたのよ。
黄泉:そんな…あの事件はお客様が錯乱したせいでって…
黄泉:…(やっぱり…これで合点がいった!この人はマヒトさんの…)
紗凪:表向きわね。…でも、不自然な点があるの。
黄泉:不自然な点?
紗凪:その真人のお客様ってね、私の高校時代の同級生なの。
黄泉:え?!
紗凪:その子の名前は晴風(はるか)虫一匹すら殺せないほどの心の優しい女性よ?そんな子が嫉妬に狂って、人殺しなんて出来る訳がないの。
黄泉:…
紗凪:頻繁に真人と話してた、リューセイくんなら何か知ってると思う。
黄泉:それで僕を指名して、ヘルプで着くであろう、リューセイさんと話を?
紗凪:そう言う事。ごめんねえ、君を利用する形になっちゃって。
黄泉:いえいえ!どの道、僕には希望がありませんでしたから。寧ろ、サナエさんには感謝してるんです。
紗凪:ふふ、謙虚ね。…本当に真人そっくり、、
黄泉:サナエさん…どうぞ、このハンカチを使って下さい。
紗凪:ぐすん…ヨミくん、ありがとう♪
黄泉:でも、一つ疑問があるのですが。
紗凪:なに?
黄泉:何故、直接リューセイさんを指名しないのでしょうか?
紗凪:正直、君が凄く真人に似ているからって言うのが最もな理由なんだけれど———リューセイくんを指名して、直に彼と話しても素直に答えてくれるとは思わないわ。
黄泉:なるほど。確かにリューセイさんは誰に対しても、警戒心が高い人ですからね。
紗凪:そう、それにあの人が個人的に受け付けないって言うか…マヒトが居なくなってから、性格が歪んだとか、最近では悪いレッテルも貼られてるみたいだし……
黄泉:リューセイさんは自分のお客様には雑な対応をしますが、他のお客様には丁寧な接客を心掛けています。
紗凪:あら?その情報は爆弾じゃないかしら?
黄泉:あ…すみません。
紗凪:ふふ、だいじょぶ!他言はしないから。
黄泉:ありがとうございます。
紗凪:さぁー、この日本酒を空にしたら行きましょう♪
黄泉:はい!てか…サナエさん、会った時とキャラが変わってません?
紗凪:あらぁ?最初の私の印象はフランクなふっ軽女とでも思っていたのかしら?
黄泉:あ、いや…それは…
紗凪:うふふ、その焦った顔が物語っているわよ?
黄泉:サナエさんには敵わないなあ…はは。
紗凪:初めから、お堅い雰囲気だったら近寄り難いでしょ?時には演技も大事なの。
黄泉:なるほど、勉強になります!
紗凪:ふふ。さ、呑むわよーー♪
0:並々に注がれた酒を渡される。
黄泉:こ、こんなに飲めないですって!
紗凪:お酒に関して、ホストが弱音を吐いたらお終いよ?ほーら、飲んでぇー♪
黄泉:はぁ…ゴクゴクッ!
紗凪:あらあら、意地ね♪うふふ♪
0:暫くして…
紗凪:……ゴクッゴクッ!
黄泉:サナエさん、一人で10本近くは開けてますけど、そろそろやめた方が…
紗凪:はあ!?全ッ然足りないわー!早く、追加分の酒瓶を…!!
黄泉:はぁ……
紗凪:…zzZ
黄泉:サナエさんを起こして向かわないと!
0:ブランディッシュ前。(魅剣INサーシャIN黄泉OUT紗凪OUT)
魅剣:サーシャ、起きろ。着いた。
サーシャ:んんう…?!あたしは眠って…?
魅剣:ああ。大いびきを掻いてな。
サーシャ:え!や、やだ、あたしったら。
魅剣:ふん。……運ちゃん、釣りは要らない。
0:タクシーから慌てて出るミツルギ。
サーシャ:待ってよー!
0:ブランディッシュ店内。(流生IN蘭丸IN魅剣INサーシャOUT)
流生:ミツルギの奴、遅い!同伴が効く時間は残り、5分だぞ?罰金が怖くないのか?
蘭丸:リューセイさん〜拙者、あの客…苦手です。香水合ってないし…
流生:あ?ランマル、客を干すな!今すぐに戻れ!
蘭丸:ご安心を。今、新人が着いてるので大丈夫です。
流生:お前…入店1日のド新人に痛客を任せんじゃねえよ。
蘭丸:お言葉ですが…
魅剣:騒がしい奴等だな。
0:ミツルギがバックヤードに現れる。
流生:あ?ギリギリだぞ、ミツルギ。近頃、弛(たるん)でるんじゃねえか?
蘭丸:ミツルギさん!おはよーござっす!
魅剣:…(煙草を吸う)…お前には負ける。
流生:…まぁいい!…それ吸ったら、まるるんの卓に急げ。新人じゃ荷が重いだろうからな。
魅剣:…(煙草を吸う)……付け回しくらいしっかりやれ。
蘭丸:ミツルギさん、リューセイさんは!
流生:ランマル、店のエレベーター前で待たせている、ミツルギの客を迎え入れた後、ファーストに行け。
蘭丸:了解です。
0:蘭丸、エレベーター前に移動。
流生:ミツルギ。ヨミはどうしたと思う?俺は飛んだと見てるが。
魅剣:そうと決まった訳じゃないだろ。ブランディッシュの夜はこれからだ。
流生:お人好しも程々にしとけよ、ミツルギ。あいつにそこまでの根性があるとは思えん。
魅剣:…
0:二章に続く。