台本概要

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タイトル キャンノットキラー
作者名 のぼライズ  (@tomisan5012_2)
ジャンル ミステリー
演者人数 5人用台本(男3、女2)
時間 40 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 目に映るものは現(うつつ)か。時に目に映らないモノは幻(げん)か。その人間は殺(あや)めるべき存在だったか否(いな)か。そして、目の前の殺し屋は本当に殺し屋だったのか。幻(げん)か現(うつつ)か。それを見極めるには程遠いものである。私の名はカウ。サイレントキラーの表舞台だけに立つI can’t killer(アイ キャント キラー)である。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
カウ 71 表の顔は推理小説作家だが、裏の顔は殺し屋を営んでいる。 年齢設定:30代後半
マスター 66 BARのマスターをしている。 年齢設定:40代後半
ミミ 44 新しく配属されたばかりの新人刑事。少しポンコツなところがある。 年齢設定:20代前半
ライアン 63 個人で探偵をしている。マーチンの兄。(最後に兼役アリ) 年齢設定:20代後半
マーチン 76 警察署内でもスピード出世している実力を持つ刑事。 年齢設定:20代後半
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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カウ:人類が最期にかかるのは、希望という病気である。「星の王子さま」サン=テグジュペリ 0:  カウ:『キャンノットキラー』 0:  ミミ:「ライアンさーん!…あれ、ライアンさん?もしもーし!」 ライアン:「……」 ミミ:「あっ、いたいた!ライアンさん!居るなら返事なりしてくださいよ!」 ライアン:「……」 ミミ:「もしもーし」 ライアン:「……」 ミミ:「もっしもーし!」 ライアン:「あぁもう!うるさいうるさい!うるさいよ!あのさ、君ね!今僕がどういう状況か分かるかね!?」 ミミ:「ふかふかの椅子にふんぞり返り、大して面白くもなさそうな小説本を読んで、いかにも私、読書を楽しんでいますよ、という悦(えつ)に浸っていた…これでよろしいでしょうか?」 ライアン:「よろしくないの!君さ、ただ単純に「読書を嗜(たしな)んでおりました」の一言で片付かない訳?何でそんな、語彙力を無駄遣いするの?」 ミミ:「いや別に…自分でも語彙力高いとは思ってないんですよね…って、こんな事しに来た訳じゃないんですよ!事件です!ライアン探偵!」 ライアン:「…気が乗らないな」 ミミ:「何故です!?」 ライアン:「最近君が持ってくる事件の犯人、僕が犯人を突き止めた後に謎の死を迎えてないかい?」 ミミ:「…ま、まぁ確かに」 ライアン:「正直それが続くとさ、気が乗らない訳よ」 ミミ:「そうですか、では他の方を当たります」 ライアン:「はぁ…そうしてくれ」 ミミ:「あーぁ…今回の…今回の!依頼料はいつもの倍だったのになぁ」 ライアン:「(食い気味に)待って!受ける!気が乗った!受けるよ!」 ミミ:「ははっ…ちょろいな」 0:  マスター:「いらっしゃい…あっ、あなたでしたか」 カウ:「やぁマスター、相変わらず静かな店だな」 マスター:「いつも客が居ない店で申し訳ないですね」 カウ:「こういう静かな店が落ち着く…そろそろ私も、歳かな?」 マスター:「何を仰いますか?まだまだ現役ではないですか、いやむしろ現役で居てもらわねば困りますよ」 カウ:「ほぉ…それはまたどういう事だい?」 マスター:「私は、あなたに食べさせて頂いている立場ですので」 0:3秒間を空ける カウ:「ふっ…良せよ、単なる常連ってだけじゃねぇか…」 マスター:「まぁ…そうですね、それより何飲まれます?」 カウ:「そうだな…ミルクで」 マスター:「ミルクを頼まれるという事は、どうやら執筆作業が息詰まりましたか?」 カウ:「あぁ…最近どうも良い展開が思いつかなくてな…いやはや、この街が平和になると同時に、物語1つも思いつかないってものだ…」 マスター:「しっ!その先を言っては、あなたの正体がバレますよ?」 カウ:「客も居ないのにか?」 マスター:「『人が居ない』…だからこそ、ですよ?」 カウ:「…さすが、とでも言っておこう」 0:  ミミ:「サイレントキラー…ですか?」 マーチン:「そう、でも…あくまで署の中だけの噂だけどね、ここんとこ最近の謎の死は、この署の人間の誰かが、さっき言ったサイレントキラーに密告してるんじゃないかって…まぁあくまでも噂の中の噂よ」 ミミ:「でもマーチン警部、私が耳にしたその殺し屋はだいぶ昔に姿を消したと…」 マーチン:「そう、父がまだ現場で捜査していた頃、追っていた事件全てにサイレントキラーの存在があった。しかし、いつの間にかその存在、姿が消え、いつしか幻とまで言われていた」 ミミ:「えぇ、私が聞いたのはその噂です」 マーチン:「その噂はたちまち署外にも広がり、それがモデルの小説に描かれたり等と…予想だにしていないだろうね、サイレントキラーも」 ミミ:「噂の中で生きる殺し屋…」 マーチン:「…ミミ巡査」 ミミ:「あ、はい!」 マーチン:「もし、サイレントキラーが存在していたら…?」 ミミ:「でも…単なる噂、ですよね?」 マーチン:「もしあたしが…」 ミミ:「もし…マーチン警部が…?」 マーチン:「そのサイレントキラーと繋がっているとしたら…あなた、どうする?」 ミミ:「どうする…って、そ…そんな事…」 マーチン:「ふふ、冗談よ!あなた揶揄(からか)い甲斐があるわね」 ミミ:「冗談にもならないですよ!もぉ!」 マーチン:「そうね!でもあなた、こう思ったんじゃないかしら?」 ミミ:「え?」 マーチン:「サイレントキラーなんて存在する訳ない、だって単なる噂だもの…と」 ミミ:「…えぇ、まぁ」 マーチン:「マーチン警部とサイレントキラーが繋がっている訳がない…と?」 ミミ:「そ、そうですよ!だって…マーチン警部は警察の人間で、サイレントキラーは殺し屋ですよ?繋がっている訳…」 マーチン:「繋がってるわよ?」 ミミ:「え…嘘…」 マーチン:「そ、嘘」 ミミ:「もぉ!何回揶揄(からか)う気ですか!」 マーチン:「あまりにも鵜呑みにするもんですからつい面白くてね…ふふ…」 ミミ:「楽しんでません!?」 マーチン:「ごめんごめん…でもね、その固定概念で自ら捜査を狂わし、重要な物や事を見落としてしまう。あなたが関わっている事件全てを、迷宮入りにしてしまうわよ?」 ミミ:「…肝に銘じておきます」 マーチン:「よろしい」 0:  マスター:「いらっしゃい」 ライアン:「やぁマスター、久しぶり」 マスター:「久しぶり、探偵業はどうなんだい?」 ライアン:「まぁ、客足からして不安定かな」 マスター:「そうか、今日は大丈夫なのかい?」 ライアン:「あぁ、昨日一昨日でとある大金持ちの婦人のペット8匹が一斉に脱走してさ、依頼受けて無事に全匹捕まえたら、報酬ガッポリでよ…さすが大金持ちってところだぜ」 カウ:「ほほぉ、ライアンくん…是非ともその話、聞いてみたいねぇ」 ライアン:「わ、カウさん!どこに潜んでいたんですか!」 カウ:「隣で一杯、嗜(たしな)んでいただけだが?」 ライアン:「存在感無さすぎですよ…もう…」 マスター:「カウさん、それ取材してどうするんですか!」 カウ:「え、今月〆切のストーリーに落とし込みたいだけだが…」 マスター:「似合いませんよ!あなたの今書いてる作品はなんですか?」 カウ:「…殺し屋の話です」 マスター:「何で殺し屋が猫探ししてるんですか!」 ライアン:「そうですよ!あんなクールなサイレントキラーが猫探しだなんて…イチ読者の僕は絶対泣きます」 マスター:「ファンを辞めるじゃなくて泣く方向に走るんだ」 カウ:「だって…だってぇ…思いつかないんだもん…」 マスター:「ほら、いじけた。いい歳したおじさんがいじけちゃうもんかね?」 ライアン:「ずっと僕、続きを楽しみにしてるんですからね!」 カウ:「はは、こりゃ参ったな」 ライアン:「…ところでカウさん」 カウ:「ん?どうした?」 ライアン:「この物語に出てくるサイレントキラーって、存在するんですか?」 カウ:「……」 マスター:「……」 ライアン:「僕の親父が元々警察官で、まだ新米だった頃に捜査していた事件のほとんどが、そのサイレントキラーという殺し屋が絡んでいたと聞いた事があります」 カウ:「…確かに、昔の事件はそうだったらしい」 ライアン:「実はですね、僕の義理の妹は警察官で、こないだ、その部下の人が野暮用で事務所に来たついでに世間話をしてたら、こんな話題になって…」 マスター:「話題?どんな話題だったんだい…?」 ライアン:「はい、その部下の人が言うには…最近の事件で、犯人がその後、謎の死を遂げる事が多くなってて…それが何でも、撃たれる被害者の周りの人間が居る居ないにも関わらず、撃たれていくんです」 マスター:「それって、謎の死では無く、撃たれて死んだのでは…?」 カウ:「確かに撃たれて死んだという動かぬ証拠はある、のにも関わらず、何で曖昧に「謎の死」として公(おおやけ)にするのか…」 ライアン:「そこなんですが…」 0:  ライアン:「検死結果が毒殺?」 ミミ:「そうなんだよ、撃たれているのに毒殺とか…」 ライアン:「でも、銃弾は?」 ミミ:「それが無いんだよ…実際に撃たれた場所や撃ったであろう場所に鑑識が調べても薬莢(やっきょう)が1つも出てこないんだって…」 ライアン:「そして体内に残っていたのが…」 ミミ:「…そういう事」 0:  カウ:「毒殺…ねぇ…」 ライアン:「ね?おかしいでしょ?」 マスター:「……」 カウ:「なんだマスター、浮かない顔して」 マスター:「え?あぁ、いえ…ちょっと私なりに推理してまして…」 ライアン:「え、もしかしてマスター…探偵だったりします?」 マスター:「いえいえ、幼い頃にシャーロックホームズを読んで憧れていた程度ですよ」 ライアン:「良いセンスしてらっしゃる」 カウ:「それで、マスターの推理を聞こうではないか」 ライアン:「そうですね!聞きたいですね!」 マスター:「いやいや、これを言っては笑われちゃいますよ…でも、もし貫通性の無い弾だとしたら、毒の原液を弾の形状に凍らしたら面白いだろうなって…そう思っただけですよ?」 カウ:「毒を…」 ライアン:「凍らす?」 0:3秒間を空ける カウ:「ぷっ…あーはっはっはっはっ!正にフィクションストーリーに出てきそうなトリックだな!ヒィー、腹いてぇ!」 マスター:「ちょ…ほらやっぱり…」 ライアン:「毒を…凍らす…か」 マスター:「ところでライアンくん、何飲むかい?」 ライアン:「え、あっ、じゃあ…高いカクテルちょうだい!」 カウ:「ヒィヒィ…大いに笑ったわぁ!よし、そのトリックいただき!」 0:3秒あける ミミ:次々に謎の死を遂げる犯人、その共通点は「謎の死」という毒殺、ただそれだけ。それ以外に何も無いし、ましてやメディアにも取り上げられていない警察内部でしか知られていない残虐な事件の犯人をもターゲットにしている。やっぱり、マーチン警部の言う通り、サイレントキラーは存在していた?もしそうだとしたら何で、警察内でも極秘の事件を把握している?だとしたらやはり…警察組織の中に内通者が…まさか、マーチン警部が… マーチン:「よっ、生きてる?」 ミミ:「うわぁ!」 マーチン:「なにさぁ〜そんな、人を化け物が出たみたいに驚いちゃって」 ミミ:「そりゃそうですよ!急に出てきたらぁ!」 マーチン:「…ん?これは…捜査資料?」 ミミ:「はい!今までその謎の死を遂げた被害者の共通点を探していたんですが…やっぱり「謎の死」しか共通してなくて…」 マーチン:「そうね…今までに無いミステリーね」 ミミ:「はい…あとこの前、マーチン警部が言っていた事を思い出して、昔の捜査資料を掘り起こしたんです」 マーチン:「?…この捜査資料、父がまだ現場に臨場していた頃のじゃない!?」 ミミ:「えぇ、かなりホコリ被ってますが…」 マーチン:「ミミ巡査」 ミミ:「はい、何でしょう」 マーチン:「今から飲みに行こうか」 0:  マスター:「いらっしゃい、おや?初めて見る顔だね?」 マーチン:「やぁマスター、少しばかり常連に華が足りなくてね?ほら、挨拶」 ミミ:「え、あっ…ミミです」 マーチン:「マスター、どうやらこの子、人見知りみたいよ?」 マスター:「そりゃ新しいお店に行くのは勇気がいる事だから、仕方ないさ」 ミミ:「マ…マーチン警部…わ…私、お金持ってないですよ!?」 マーチン:「ここで警部呼びは辞めてほしい…」 ミミ:「す…すいません!」 マスター:「ははは、素直で良い子そうじゃないか」 マーチン:「それは良いんだけどね…こないだね?この子、犯人に手錠掛けようとしたらね、誤って自分に掛けて犯人取り逃したのよ?」 マスター:「ははは、それはお気の毒だったね」 ミミ:「マ…マーチン警部!?それは!」 マーチン:「だから警部呼びは辞めてほしい…」 ミミ:「す…すいません!」 0:3秒間を空ける マーチン:「ミミ巡査、私の捜査資料ってどっか落ちてなか…った?…ってあれ、居ないか…ん?」 0:机に置いているメモを手に取る マーチン:「へぇ…あのドジっ子にしてはやるじゃん。でも、同時に踏み込んではいけない領域に入ってしまったようね」 0:  カウ:「やぁ、お待たせ」 0:相手が紙切れを手渡す カウ:「なるほど、こいつは可愛らしいターゲットだね…」 0:相手が事情を語る カウ:「なるほど…とんだ勘の鋭い子を部下としておいてしまったね?」 マーチン:「だから、あなたに殺してほしいのよ」 カウ:「殺すにはもったいないけどなぁ…」 マーチン:「でも、あと1歩まで来ているのよ、バレるところまで」 カウ:「仕方ない…か、我が身を守るしか無いよな…」 マーチン:「もちろん報酬は弾むわ、同じ警察組織を殺すからね」 カウ:「その子に対しての弔いのつもりかい?」 マーチン:「まぁね、じゃあ頼んだよ」 0:3秒間を空ける マーチン:「サイレントキラー」 カウ:「仰せのままに」 0:  マーチン:翌日、ミミ巡査は帰り道で何者かによって撃たれた。死因は毒殺で処理され、警察は連続的に起きている事件と同一犯と見て、厳重に捜査を始めた。そしてもう1人、ミミ巡査の他に勘の鋭い男が居た。 カウ:「マーチン?」 マーチン:「!?…あぁ、ごめんなさい」 カウ:「一応、同一人物が殺したものとして同じ手段を使ったが、この部下…君が可愛がっていたんじゃないのか?」 マーチン:「えぇ、でも人には踏み込んだらいけない領域はあるんじゃないかしら?同じように、あなたにだってバレたくないものがあるわよね?ベストセラー作家の表の顔を持ち、裏では殺し屋稼業…ってね」 カウ:「まぁな」 マーチン:「誰だってそうよ…」 カウ:「そろそろ聞いてもいいか?」 マーチン:「?…何かしら?」 カウ:「何故私に近づいた?」 マーチン:「あら、言ってなかったかしら?」 カウ:「あぁ、聞いてない」 マーチン:「そう…あたしね、罪を重ねた人間には生きて欲しくないのよ。前科2犯3犯重ねた人間がそこら中で生きているのが憎いのよ、邪魔なのよ。どうせこいつらはまた犯す。そう思ってたら、本当に戻ってきたわ。「罪を犯すごとに罪悪から快楽になった」って」 カウ:「犯罪が時にドラッグになる事例はたくさん聞いた事がある」 マーチン:「そう…でもね、この世の中には綺麗事が好きな人がいる。「生きて罪を償えばいい」っと…はぁ、ふざけないでちょうだい。覚えた快楽は絶対に抜けない。それと一緒よ。「一度使ったスポンジは二度と綺麗にならない」。あたしは更生させる代わりに死を与えようと。そしたらあなたがいた。サイレントキラーと名乗るあなたを…ね?」 カウ:「そうか、君があまりにも口を割らないものだから不審に思ってね、失礼した」 マーチン:「良いのよ、じゃ、あたしは業務に戻るわ」 0:  ライアン:「え…ミミが死んだ!?」 マーチン:「えぇ…」 ライアン:「そうか…今は言葉が詰まるな…」 マーチン:「(鼻をすすり)兄さん、あたし悔しいよ…可愛がっていた部下だったのに…」 ライアン:「そりゃ悔しいだろうな、僕もあの子にはいろいろと仕事面で世話になったからな」 マーチン:「兄さん…」 ライアン:「マーチン、とりあえず君は家で休んだ方が良い。僕もこの件に関しては少し、気になる事があるんだ」 マーチン:「気になる事…?」 ライアン:「あぁ、この小説を知っているかい?」 マーチン:「えぇ、有名よね…確か、幻になっている殺し屋がモデルの…」 ライアン:「だが、実際に存在しているかもしれない。この一文を読んでみてくれ」 マーチン:「えっと…『その謎の死を遂げた遺体に銃痕(じゅうこん)はあるものの、毒殺で処理された。』…?」 ライアン:「ここんとこ最近の謎の死を遂げた犯人は…?」 マーチン:「…全員、毒殺だった」 ライアン:「この小説に出てくるサイレントキラーの手口の末路は、全て毒殺で処理されている」 マーチン:「じゃあ…模倣犯が…?」 ライアン:「1人、気になる人がいるんだ…それがな…」 0:  カウ:「なるほど、あのBARのマスターが模倣犯と疑っているのか」 マーチン:「幸い、推理はズレて助かったけど、バレるのは時間の問題かもよ」 カウ:「さすがは探偵、改めてそう名乗る腕はあるようだ」 マーチン:「始末…着けてくれるかしら?」 カウ:「私は良いが…義理とは言え、兄貴だろ?」 マーチン:「領域を踏み込んだ者に、身内の線引きは不要よ」 カウ:「君は…人間の心じゃないな」 マーチン:「あら、殺し屋稼業様直々に言われるなんて、光栄ね」 カウ:「何にでも捉えてくれ」 0:  マスター:「おや、いらっしゃい」 カウ:「残念ながら客じゃねぇ、仕事だ」 マスター:「はぁ、店じまいにしては早いが、仕方ない…か…」 カウ:「ここの店なんて、趣味でやってるようなもんだろ?」 マスター:「そっちの仕事が舞い込まない限り、こっちが本業だ。んで、ターゲットは?」 カウ:「あぁ、探偵業を営むライアンだ」 マスター:「またうちの常連か!ここ潰す気か?」 カウ:「まぁ、依頼されたからには仕方ないだろ?」 マスター:「…そうだな、また同じ手口か?」 カウ:「あぁ」 マスター:「ふん…次第にバレるんじゃないのか?まぁ、君が「サイレントキラー」として表に立つんだし、バレた時には君が捕まるリスクが高いだけ」 カウ:「そして本当の「サイレントキラー」は守られ、平然とBARのマスターを演じてれば良いもんな」 マスター:「そうだ。さぁ、仕事と行こう。」 0:間 マスター:「また1つ、良いストーリーが出来たな」 0:  ライアン:「マスター、お前がサイレントキラーの正体だ!」 0:間 ライアン:「もう少し張って言った方が良いかな…?(咳払い)…よし、準備は整った。緊張するなぁ…今度こそ生きて罪を償って欲しいな、特にマスターには謎の死を迎えて欲しくないな…ってあれ?おかしいな…何で閉まってるんだ?前回もこの時間に来て開いてたのに…」 0:後ろから肩を叩かれる ライアン:「ん?はい、何でしょ…え?」 マスター:「困ったな、まだ開店以前に準備もしていないのにな…」 ライアン:「す…すいません…その…えっと…」 0:マスター、ライアンに銃を突きつける。 ライアン:「マ…マスター?あ、あの…冗談きついっすよ?」 マスター:「悪いな、でもこれも…私の仕事でな…」 ライアン:「え…でもここのBARは…?」 マスター:「単なる武器庫に過ぎんさ」 ライアン:「それじゃ…あなたがサイレントキラー…?」 マスター:「あぁ、嫌々と引き継いだサイレントキラーの表舞台に立たない側だ」 ライアン:「そ…そんな…」 マスター:「1つだけチャンスをやる」 0:  マーチン:「確かに、複数枚ある写真を見る限り、あたしの兄さんだったわ…」 カウ:「これで、暫く私の正体もバレないだろ?」 マーチン:「そうね、あたしがサイレントキラーと繋がっている事も、暫くは闇に葬られるわね?」 カウ:「そうだな」 マーチン:「じゃ、あたしはこれで…」 カウ:「ここは私が出そう、いつもご馳走されては失礼だ」 マーチン:「あら、珍しいわね?じゃあ、お言葉に甘えて…」 0:マーチン、急に咳き込む。 マーチン:「なに…急に視界が…なんで…?」 カウ:「何かの本にこう書いてある『人類が最期にかかるのは、希望という病気である』っと」 マーチン:「それが…それが何よ!」 カウ:「自分の立ち位置を揺るがす人間が居なくなった事でホッとしているのだろう?でも、本当の殺し屋はところ構わず、むやみに血を流させない。私はあなたの言葉に感銘を受けたよ」 0:回想 マーチン:「あたしね、罪を重ねた人間には生きて欲しくないのよ。前科2犯3犯重ねた人間がそこら中で生きているのが憎いのよ、邪魔なのよ。どうせこいつらはまた犯す。そう思ってたら、本当に戻ってきたわ。「罪を犯すごとに罪悪から快楽になった」って」 0:  マーチン:「この世の中には綺麗事が好きな人がいる。「生きて罪を償えばいい」っと。覚えた快楽は絶対に抜けない。「一度使ったスポンジは二度と綺麗にならない」。あたしは更生させる代わりに死を与えようと。」 0:  カウ:「君自身がこういう考えなら、多少の覚悟はしていただろう?」 マーチン:「これは裏切りよ?毒を盛ったわね?」 カウ:「裏切り?いいや、これは報復だろ?」 マーチン:「報復?…笑わせないで頂戴!いつ?どこで?私が?何の為に?」 カウ:「じゃあ、このマル秘の捜査資料は何だい?」 マーチン:「そ…それは…」 カウ:「ある程度したら、私を逮捕する計画だった…そうだろう?」 マーチン:「何の事やら…」 カウ:「ある程度の犠牲を出しておけば、適当に捜査して分かった振りをしておけばいい、そうだろ?」 マーチン:「……」 カウ:「だが、思わぬ犠牲を出してしまった。新人巡査がサイレントキラーの事について真相を明らかにしてしまいそうなところまで漕ぎ着けた。これがバレたら、自分の立場やキャリア生命が揺らいでしまう」 マーチン:「……」 カウ:「だから依頼して殺そうと企んだ」 マーチン:「とんだトラブルメーカーだったわ、あのドジっ子」 カウ:「勘が鋭いは、時に凶器ともなる」 0:マーチン、正面から何者かに刺される マーチン:「ぐっ…な、何で…?ここまで…するの…?」 カウ:「ま…待て、そこまでは聞いてないぞ…」 0:マーチン、相手の顔を見る。 マーチン:「!?…何で…何で、何であんたが生きているのよ…」 0:回想 ライアン:「それじゃ…あなたがサイレントキラー…?」 マスター:「あぁ、嫌々と引き継いだサイレントキラーの表舞台に立たない側だ」 ライアン:「そ…そんな…」 マスター:「1つだけチャンスをやる」 ライアン:「チャ…チャンス?」 マスター:「まず、お前を殺せを依頼してきたのは、義理の妹だ」 ライアン:「え、妹が…何で…」 マスター:「あんたの妹は、サイレントキラーと繋がっている」 ライアン:「嘘だ…嘘だ…嘘だよ…」 マスター:「悪いが、証拠は全部揃っているんだ…」 ライアン:「でも何で…僕が死なないといけないんだ…」 マスター:「君は、新人巡査に「謎の死」の依頼を引き受けたろ?」 ライアン:「えぇ、でも後々、自分で調べてみたら…サイレントキラーはマスターじゃないかって…」 マスター:「半分、正解。さすがは探偵と名乗るだけあって良いセンスをしているよ」 ライアン:「どうも…」 マスター:「サイレントキラー関連を探られてしまうと、いずれ妹自身の立場が揺るぎかねないと思ったからじゃないのか?」 ライアン:「……」 マスター:「さて本題だ、2択ある。どっちか選べ」 マスター:「1つ、ライアンくんが殺され、妹が今後も生きているか。2つ、あんたの手で妹を殺し、自分が生きるか」 ライアン:「…決まってるでしょう?」 0:3秒あける ライアン:「例え義理でも、例え犯罪の片棒を担いでいても、あの子には人としての心がある。きちんと自分の罪に向き合える子なんだ」 マスター:「ライアンくん、君は馬鹿だね?妹はそんな心優しい(人ではないよ)」 ライアン:「(遮るように)僕には実の母も父も知らない孤児だった。拾われた警察一族の家族の顔しか知らなかった。でも、そこの家族は実感した事ないのに、不思議と懐かしい温もりを感じた。義理でも、ここで生きてて良いんだって…そう思えたんだ。だからせめて、義理でも、あの子を信じてやりたいんだ。あの子にとって、1人の兄貴として…最期に思われたい…」 マスター:「…俺は生まれた時からずっと戦場みたいなもんだった、家族なんて存在は感じたことのない感情だ。だが、兄貴としては良い奴だ」 0:3秒あける(銃声あれば鳴らして大丈夫です) マスター:「こんな良い兄貴を殺せだ…?ふざけた依頼だ…ライアンくん、ごめんな。約束は守れないや…」 0:何者かにナイフを渡す マスター:「これをお前に貸す、君の今の名前で活動できる最後のお仕事だ」 0:3秒あける マーチン:「!?…何で…何で、何であんたが生きているのよ…」 マーチン:「ミミ…」 ミミ:「さようなら、マーチン警部」 マーチン:「ミミ…ミミ…」 カウ:「噂に聞いていた、殺された新人巡査…?」 ミミ:「あれ、あの人から聞いていないんですか?…まぁいいや、現場と臭い部屋は長居不要ってね?」 カウ:「おい!待て!…どうなっているんだ?」 マーチン:「…兄さん、ごめんなさい…ごめんなさい…」 カウ:「計画と違い過ぎて…後味が悪いや…」 0:3秒あける カウ:あれからというもの、次々と事件の犯人が「謎の死」を迎えることは無くなった。また、匿名で警察へのタレコミにより、マーチンの父親である署長が懲戒免職となった。 0:  カウ:目に映るものは現(うつつ)か。時に目に映らないモノは幻(げん)か。その人間は殺(あや)めるべき存在だったか否(いな)か。そして、目の前の殺し屋は本当に殺し屋だったのか。幻(げん)か現(うつつ)か。それを見極めるには程遠いものである。私の名はカウ。サイレントキラーの表舞台だけに立つI can’t killer(アイ キャント キラー)である。ではまた、何処かで。 0:5秒〜10秒あける(劇終わったと思わせるための演出) 0:マスター、電話越しに誰かと話す マスター:「もしもし、久しぶりだな。休暇中のところ申し訳ないが、次のお前の任務が決まった」 0:  マスター:「そう嫌がるな、同じチームだろう?」 0:  マスター:「単刀直入に言う、警察へ潜入だ。そこには警部のマーチンという女がいる。そいつが最近、俺らに付き纏っててな…」 0:  マスター:「あぁ、まだ2人組で続いているよ。カウのやり方が昔から気に食わないもんな?」 0:  マスター:「話を戻そう、そのマーチンに裏があるかもしれん。それに、その女の噂はあまりよろしくなくてね?」 0:  マスター:「そうだな、こないだとある警察組織の人間がBARに来ていた際、こう言っていた」 ライアン:「(兼役・とある警察組織の人)マーチン警部?あぁ、あいつは…簡単に裏切る奴だ。こないだ、あいつがホシをあげたヤクザ、取り調べの際に「マーチンという女からの依頼を引き受けただけ」と吐いていた。だが、用が済んだら警察が乗り込んできたらしいんだ。マスターよく警部の事知ってんな?もっとあるぞ?な?な?」 マスター:「まぁ、そんなことを言っていた。だが、多分…あの女はサイレントキラー関連に関しては敏感なはずだ。興味あれば、何かが釣れる。」 0:  マスター:「あと、こないだ依頼で始末つけた警察関係者の籍がある。未だ失踪扱いだし、新人だからそこまで階級は高くないはずだ。後ほど、データを送る。」 0:  マスター:「仕事の話はここまでだ、それから新しく名前も変える。まぁその都度変えてるから言わなくてもいいと思うがな」 0:  マスター:「じゃあ、幸運を祈るよ。」 0:3秒あける マスター:「ミミ」

カウ:人類が最期にかかるのは、希望という病気である。「星の王子さま」サン=テグジュペリ 0:  カウ:『キャンノットキラー』 0:  ミミ:「ライアンさーん!…あれ、ライアンさん?もしもーし!」 ライアン:「……」 ミミ:「あっ、いたいた!ライアンさん!居るなら返事なりしてくださいよ!」 ライアン:「……」 ミミ:「もしもーし」 ライアン:「……」 ミミ:「もっしもーし!」 ライアン:「あぁもう!うるさいうるさい!うるさいよ!あのさ、君ね!今僕がどういう状況か分かるかね!?」 ミミ:「ふかふかの椅子にふんぞり返り、大して面白くもなさそうな小説本を読んで、いかにも私、読書を楽しんでいますよ、という悦(えつ)に浸っていた…これでよろしいでしょうか?」 ライアン:「よろしくないの!君さ、ただ単純に「読書を嗜(たしな)んでおりました」の一言で片付かない訳?何でそんな、語彙力を無駄遣いするの?」 ミミ:「いや別に…自分でも語彙力高いとは思ってないんですよね…って、こんな事しに来た訳じゃないんですよ!事件です!ライアン探偵!」 ライアン:「…気が乗らないな」 ミミ:「何故です!?」 ライアン:「最近君が持ってくる事件の犯人、僕が犯人を突き止めた後に謎の死を迎えてないかい?」 ミミ:「…ま、まぁ確かに」 ライアン:「正直それが続くとさ、気が乗らない訳よ」 ミミ:「そうですか、では他の方を当たります」 ライアン:「はぁ…そうしてくれ」 ミミ:「あーぁ…今回の…今回の!依頼料はいつもの倍だったのになぁ」 ライアン:「(食い気味に)待って!受ける!気が乗った!受けるよ!」 ミミ:「ははっ…ちょろいな」 0:  マスター:「いらっしゃい…あっ、あなたでしたか」 カウ:「やぁマスター、相変わらず静かな店だな」 マスター:「いつも客が居ない店で申し訳ないですね」 カウ:「こういう静かな店が落ち着く…そろそろ私も、歳かな?」 マスター:「何を仰いますか?まだまだ現役ではないですか、いやむしろ現役で居てもらわねば困りますよ」 カウ:「ほぉ…それはまたどういう事だい?」 マスター:「私は、あなたに食べさせて頂いている立場ですので」 0:3秒間を空ける カウ:「ふっ…良せよ、単なる常連ってだけじゃねぇか…」 マスター:「まぁ…そうですね、それより何飲まれます?」 カウ:「そうだな…ミルクで」 マスター:「ミルクを頼まれるという事は、どうやら執筆作業が息詰まりましたか?」 カウ:「あぁ…最近どうも良い展開が思いつかなくてな…いやはや、この街が平和になると同時に、物語1つも思いつかないってものだ…」 マスター:「しっ!その先を言っては、あなたの正体がバレますよ?」 カウ:「客も居ないのにか?」 マスター:「『人が居ない』…だからこそ、ですよ?」 カウ:「…さすが、とでも言っておこう」 0:  ミミ:「サイレントキラー…ですか?」 マーチン:「そう、でも…あくまで署の中だけの噂だけどね、ここんとこ最近の謎の死は、この署の人間の誰かが、さっき言ったサイレントキラーに密告してるんじゃないかって…まぁあくまでも噂の中の噂よ」 ミミ:「でもマーチン警部、私が耳にしたその殺し屋はだいぶ昔に姿を消したと…」 マーチン:「そう、父がまだ現場で捜査していた頃、追っていた事件全てにサイレントキラーの存在があった。しかし、いつの間にかその存在、姿が消え、いつしか幻とまで言われていた」 ミミ:「えぇ、私が聞いたのはその噂です」 マーチン:「その噂はたちまち署外にも広がり、それがモデルの小説に描かれたり等と…予想だにしていないだろうね、サイレントキラーも」 ミミ:「噂の中で生きる殺し屋…」 マーチン:「…ミミ巡査」 ミミ:「あ、はい!」 マーチン:「もし、サイレントキラーが存在していたら…?」 ミミ:「でも…単なる噂、ですよね?」 マーチン:「もしあたしが…」 ミミ:「もし…マーチン警部が…?」 マーチン:「そのサイレントキラーと繋がっているとしたら…あなた、どうする?」 ミミ:「どうする…って、そ…そんな事…」 マーチン:「ふふ、冗談よ!あなた揶揄(からか)い甲斐があるわね」 ミミ:「冗談にもならないですよ!もぉ!」 マーチン:「そうね!でもあなた、こう思ったんじゃないかしら?」 ミミ:「え?」 マーチン:「サイレントキラーなんて存在する訳ない、だって単なる噂だもの…と」 ミミ:「…えぇ、まぁ」 マーチン:「マーチン警部とサイレントキラーが繋がっている訳がない…と?」 ミミ:「そ、そうですよ!だって…マーチン警部は警察の人間で、サイレントキラーは殺し屋ですよ?繋がっている訳…」 マーチン:「繋がってるわよ?」 ミミ:「え…嘘…」 マーチン:「そ、嘘」 ミミ:「もぉ!何回揶揄(からか)う気ですか!」 マーチン:「あまりにも鵜呑みにするもんですからつい面白くてね…ふふ…」 ミミ:「楽しんでません!?」 マーチン:「ごめんごめん…でもね、その固定概念で自ら捜査を狂わし、重要な物や事を見落としてしまう。あなたが関わっている事件全てを、迷宮入りにしてしまうわよ?」 ミミ:「…肝に銘じておきます」 マーチン:「よろしい」 0:  マスター:「いらっしゃい」 ライアン:「やぁマスター、久しぶり」 マスター:「久しぶり、探偵業はどうなんだい?」 ライアン:「まぁ、客足からして不安定かな」 マスター:「そうか、今日は大丈夫なのかい?」 ライアン:「あぁ、昨日一昨日でとある大金持ちの婦人のペット8匹が一斉に脱走してさ、依頼受けて無事に全匹捕まえたら、報酬ガッポリでよ…さすが大金持ちってところだぜ」 カウ:「ほほぉ、ライアンくん…是非ともその話、聞いてみたいねぇ」 ライアン:「わ、カウさん!どこに潜んでいたんですか!」 カウ:「隣で一杯、嗜(たしな)んでいただけだが?」 ライアン:「存在感無さすぎですよ…もう…」 マスター:「カウさん、それ取材してどうするんですか!」 カウ:「え、今月〆切のストーリーに落とし込みたいだけだが…」 マスター:「似合いませんよ!あなたの今書いてる作品はなんですか?」 カウ:「…殺し屋の話です」 マスター:「何で殺し屋が猫探ししてるんですか!」 ライアン:「そうですよ!あんなクールなサイレントキラーが猫探しだなんて…イチ読者の僕は絶対泣きます」 マスター:「ファンを辞めるじゃなくて泣く方向に走るんだ」 カウ:「だって…だってぇ…思いつかないんだもん…」 マスター:「ほら、いじけた。いい歳したおじさんがいじけちゃうもんかね?」 ライアン:「ずっと僕、続きを楽しみにしてるんですからね!」 カウ:「はは、こりゃ参ったな」 ライアン:「…ところでカウさん」 カウ:「ん?どうした?」 ライアン:「この物語に出てくるサイレントキラーって、存在するんですか?」 カウ:「……」 マスター:「……」 ライアン:「僕の親父が元々警察官で、まだ新米だった頃に捜査していた事件のほとんどが、そのサイレントキラーという殺し屋が絡んでいたと聞いた事があります」 カウ:「…確かに、昔の事件はそうだったらしい」 ライアン:「実はですね、僕の義理の妹は警察官で、こないだ、その部下の人が野暮用で事務所に来たついでに世間話をしてたら、こんな話題になって…」 マスター:「話題?どんな話題だったんだい…?」 ライアン:「はい、その部下の人が言うには…最近の事件で、犯人がその後、謎の死を遂げる事が多くなってて…それが何でも、撃たれる被害者の周りの人間が居る居ないにも関わらず、撃たれていくんです」 マスター:「それって、謎の死では無く、撃たれて死んだのでは…?」 カウ:「確かに撃たれて死んだという動かぬ証拠はある、のにも関わらず、何で曖昧に「謎の死」として公(おおやけ)にするのか…」 ライアン:「そこなんですが…」 0:  ライアン:「検死結果が毒殺?」 ミミ:「そうなんだよ、撃たれているのに毒殺とか…」 ライアン:「でも、銃弾は?」 ミミ:「それが無いんだよ…実際に撃たれた場所や撃ったであろう場所に鑑識が調べても薬莢(やっきょう)が1つも出てこないんだって…」 ライアン:「そして体内に残っていたのが…」 ミミ:「…そういう事」 0:  カウ:「毒殺…ねぇ…」 ライアン:「ね?おかしいでしょ?」 マスター:「……」 カウ:「なんだマスター、浮かない顔して」 マスター:「え?あぁ、いえ…ちょっと私なりに推理してまして…」 ライアン:「え、もしかしてマスター…探偵だったりします?」 マスター:「いえいえ、幼い頃にシャーロックホームズを読んで憧れていた程度ですよ」 ライアン:「良いセンスしてらっしゃる」 カウ:「それで、マスターの推理を聞こうではないか」 ライアン:「そうですね!聞きたいですね!」 マスター:「いやいや、これを言っては笑われちゃいますよ…でも、もし貫通性の無い弾だとしたら、毒の原液を弾の形状に凍らしたら面白いだろうなって…そう思っただけですよ?」 カウ:「毒を…」 ライアン:「凍らす?」 0:3秒間を空ける カウ:「ぷっ…あーはっはっはっはっ!正にフィクションストーリーに出てきそうなトリックだな!ヒィー、腹いてぇ!」 マスター:「ちょ…ほらやっぱり…」 ライアン:「毒を…凍らす…か」 マスター:「ところでライアンくん、何飲むかい?」 ライアン:「え、あっ、じゃあ…高いカクテルちょうだい!」 カウ:「ヒィヒィ…大いに笑ったわぁ!よし、そのトリックいただき!」 0:3秒あける ミミ:次々に謎の死を遂げる犯人、その共通点は「謎の死」という毒殺、ただそれだけ。それ以外に何も無いし、ましてやメディアにも取り上げられていない警察内部でしか知られていない残虐な事件の犯人をもターゲットにしている。やっぱり、マーチン警部の言う通り、サイレントキラーは存在していた?もしそうだとしたら何で、警察内でも極秘の事件を把握している?だとしたらやはり…警察組織の中に内通者が…まさか、マーチン警部が… マーチン:「よっ、生きてる?」 ミミ:「うわぁ!」 マーチン:「なにさぁ〜そんな、人を化け物が出たみたいに驚いちゃって」 ミミ:「そりゃそうですよ!急に出てきたらぁ!」 マーチン:「…ん?これは…捜査資料?」 ミミ:「はい!今までその謎の死を遂げた被害者の共通点を探していたんですが…やっぱり「謎の死」しか共通してなくて…」 マーチン:「そうね…今までに無いミステリーね」 ミミ:「はい…あとこの前、マーチン警部が言っていた事を思い出して、昔の捜査資料を掘り起こしたんです」 マーチン:「?…この捜査資料、父がまだ現場に臨場していた頃のじゃない!?」 ミミ:「えぇ、かなりホコリ被ってますが…」 マーチン:「ミミ巡査」 ミミ:「はい、何でしょう」 マーチン:「今から飲みに行こうか」 0:  マスター:「いらっしゃい、おや?初めて見る顔だね?」 マーチン:「やぁマスター、少しばかり常連に華が足りなくてね?ほら、挨拶」 ミミ:「え、あっ…ミミです」 マーチン:「マスター、どうやらこの子、人見知りみたいよ?」 マスター:「そりゃ新しいお店に行くのは勇気がいる事だから、仕方ないさ」 ミミ:「マ…マーチン警部…わ…私、お金持ってないですよ!?」 マーチン:「ここで警部呼びは辞めてほしい…」 ミミ:「す…すいません!」 マスター:「ははは、素直で良い子そうじゃないか」 マーチン:「それは良いんだけどね…こないだね?この子、犯人に手錠掛けようとしたらね、誤って自分に掛けて犯人取り逃したのよ?」 マスター:「ははは、それはお気の毒だったね」 ミミ:「マ…マーチン警部!?それは!」 マーチン:「だから警部呼びは辞めてほしい…」 ミミ:「す…すいません!」 0:3秒間を空ける マーチン:「ミミ巡査、私の捜査資料ってどっか落ちてなか…った?…ってあれ、居ないか…ん?」 0:机に置いているメモを手に取る マーチン:「へぇ…あのドジっ子にしてはやるじゃん。でも、同時に踏み込んではいけない領域に入ってしまったようね」 0:  カウ:「やぁ、お待たせ」 0:相手が紙切れを手渡す カウ:「なるほど、こいつは可愛らしいターゲットだね…」 0:相手が事情を語る カウ:「なるほど…とんだ勘の鋭い子を部下としておいてしまったね?」 マーチン:「だから、あなたに殺してほしいのよ」 カウ:「殺すにはもったいないけどなぁ…」 マーチン:「でも、あと1歩まで来ているのよ、バレるところまで」 カウ:「仕方ない…か、我が身を守るしか無いよな…」 マーチン:「もちろん報酬は弾むわ、同じ警察組織を殺すからね」 カウ:「その子に対しての弔いのつもりかい?」 マーチン:「まぁね、じゃあ頼んだよ」 0:3秒間を空ける マーチン:「サイレントキラー」 カウ:「仰せのままに」 0:  マーチン:翌日、ミミ巡査は帰り道で何者かによって撃たれた。死因は毒殺で処理され、警察は連続的に起きている事件と同一犯と見て、厳重に捜査を始めた。そしてもう1人、ミミ巡査の他に勘の鋭い男が居た。 カウ:「マーチン?」 マーチン:「!?…あぁ、ごめんなさい」 カウ:「一応、同一人物が殺したものとして同じ手段を使ったが、この部下…君が可愛がっていたんじゃないのか?」 マーチン:「えぇ、でも人には踏み込んだらいけない領域はあるんじゃないかしら?同じように、あなたにだってバレたくないものがあるわよね?ベストセラー作家の表の顔を持ち、裏では殺し屋稼業…ってね」 カウ:「まぁな」 マーチン:「誰だってそうよ…」 カウ:「そろそろ聞いてもいいか?」 マーチン:「?…何かしら?」 カウ:「何故私に近づいた?」 マーチン:「あら、言ってなかったかしら?」 カウ:「あぁ、聞いてない」 マーチン:「そう…あたしね、罪を重ねた人間には生きて欲しくないのよ。前科2犯3犯重ねた人間がそこら中で生きているのが憎いのよ、邪魔なのよ。どうせこいつらはまた犯す。そう思ってたら、本当に戻ってきたわ。「罪を犯すごとに罪悪から快楽になった」って」 カウ:「犯罪が時にドラッグになる事例はたくさん聞いた事がある」 マーチン:「そう…でもね、この世の中には綺麗事が好きな人がいる。「生きて罪を償えばいい」っと…はぁ、ふざけないでちょうだい。覚えた快楽は絶対に抜けない。それと一緒よ。「一度使ったスポンジは二度と綺麗にならない」。あたしは更生させる代わりに死を与えようと。そしたらあなたがいた。サイレントキラーと名乗るあなたを…ね?」 カウ:「そうか、君があまりにも口を割らないものだから不審に思ってね、失礼した」 マーチン:「良いのよ、じゃ、あたしは業務に戻るわ」 0:  ライアン:「え…ミミが死んだ!?」 マーチン:「えぇ…」 ライアン:「そうか…今は言葉が詰まるな…」 マーチン:「(鼻をすすり)兄さん、あたし悔しいよ…可愛がっていた部下だったのに…」 ライアン:「そりゃ悔しいだろうな、僕もあの子にはいろいろと仕事面で世話になったからな」 マーチン:「兄さん…」 ライアン:「マーチン、とりあえず君は家で休んだ方が良い。僕もこの件に関しては少し、気になる事があるんだ」 マーチン:「気になる事…?」 ライアン:「あぁ、この小説を知っているかい?」 マーチン:「えぇ、有名よね…確か、幻になっている殺し屋がモデルの…」 ライアン:「だが、実際に存在しているかもしれない。この一文を読んでみてくれ」 マーチン:「えっと…『その謎の死を遂げた遺体に銃痕(じゅうこん)はあるものの、毒殺で処理された。』…?」 ライアン:「ここんとこ最近の謎の死を遂げた犯人は…?」 マーチン:「…全員、毒殺だった」 ライアン:「この小説に出てくるサイレントキラーの手口の末路は、全て毒殺で処理されている」 マーチン:「じゃあ…模倣犯が…?」 ライアン:「1人、気になる人がいるんだ…それがな…」 0:  カウ:「なるほど、あのBARのマスターが模倣犯と疑っているのか」 マーチン:「幸い、推理はズレて助かったけど、バレるのは時間の問題かもよ」 カウ:「さすがは探偵、改めてそう名乗る腕はあるようだ」 マーチン:「始末…着けてくれるかしら?」 カウ:「私は良いが…義理とは言え、兄貴だろ?」 マーチン:「領域を踏み込んだ者に、身内の線引きは不要よ」 カウ:「君は…人間の心じゃないな」 マーチン:「あら、殺し屋稼業様直々に言われるなんて、光栄ね」 カウ:「何にでも捉えてくれ」 0:  マスター:「おや、いらっしゃい」 カウ:「残念ながら客じゃねぇ、仕事だ」 マスター:「はぁ、店じまいにしては早いが、仕方ない…か…」 カウ:「ここの店なんて、趣味でやってるようなもんだろ?」 マスター:「そっちの仕事が舞い込まない限り、こっちが本業だ。んで、ターゲットは?」 カウ:「あぁ、探偵業を営むライアンだ」 マスター:「またうちの常連か!ここ潰す気か?」 カウ:「まぁ、依頼されたからには仕方ないだろ?」 マスター:「…そうだな、また同じ手口か?」 カウ:「あぁ」 マスター:「ふん…次第にバレるんじゃないのか?まぁ、君が「サイレントキラー」として表に立つんだし、バレた時には君が捕まるリスクが高いだけ」 カウ:「そして本当の「サイレントキラー」は守られ、平然とBARのマスターを演じてれば良いもんな」 マスター:「そうだ。さぁ、仕事と行こう。」 0:間 マスター:「また1つ、良いストーリーが出来たな」 0:  ライアン:「マスター、お前がサイレントキラーの正体だ!」 0:間 ライアン:「もう少し張って言った方が良いかな…?(咳払い)…よし、準備は整った。緊張するなぁ…今度こそ生きて罪を償って欲しいな、特にマスターには謎の死を迎えて欲しくないな…ってあれ?おかしいな…何で閉まってるんだ?前回もこの時間に来て開いてたのに…」 0:後ろから肩を叩かれる ライアン:「ん?はい、何でしょ…え?」 マスター:「困ったな、まだ開店以前に準備もしていないのにな…」 ライアン:「す…すいません…その…えっと…」 0:マスター、ライアンに銃を突きつける。 ライアン:「マ…マスター?あ、あの…冗談きついっすよ?」 マスター:「悪いな、でもこれも…私の仕事でな…」 ライアン:「え…でもここのBARは…?」 マスター:「単なる武器庫に過ぎんさ」 ライアン:「それじゃ…あなたがサイレントキラー…?」 マスター:「あぁ、嫌々と引き継いだサイレントキラーの表舞台に立たない側だ」 ライアン:「そ…そんな…」 マスター:「1つだけチャンスをやる」 0:  マーチン:「確かに、複数枚ある写真を見る限り、あたしの兄さんだったわ…」 カウ:「これで、暫く私の正体もバレないだろ?」 マーチン:「そうね、あたしがサイレントキラーと繋がっている事も、暫くは闇に葬られるわね?」 カウ:「そうだな」 マーチン:「じゃ、あたしはこれで…」 カウ:「ここは私が出そう、いつもご馳走されては失礼だ」 マーチン:「あら、珍しいわね?じゃあ、お言葉に甘えて…」 0:マーチン、急に咳き込む。 マーチン:「なに…急に視界が…なんで…?」 カウ:「何かの本にこう書いてある『人類が最期にかかるのは、希望という病気である』っと」 マーチン:「それが…それが何よ!」 カウ:「自分の立ち位置を揺るがす人間が居なくなった事でホッとしているのだろう?でも、本当の殺し屋はところ構わず、むやみに血を流させない。私はあなたの言葉に感銘を受けたよ」 0:回想 マーチン:「あたしね、罪を重ねた人間には生きて欲しくないのよ。前科2犯3犯重ねた人間がそこら中で生きているのが憎いのよ、邪魔なのよ。どうせこいつらはまた犯す。そう思ってたら、本当に戻ってきたわ。「罪を犯すごとに罪悪から快楽になった」って」 0:  マーチン:「この世の中には綺麗事が好きな人がいる。「生きて罪を償えばいい」っと。覚えた快楽は絶対に抜けない。「一度使ったスポンジは二度と綺麗にならない」。あたしは更生させる代わりに死を与えようと。」 0:  カウ:「君自身がこういう考えなら、多少の覚悟はしていただろう?」 マーチン:「これは裏切りよ?毒を盛ったわね?」 カウ:「裏切り?いいや、これは報復だろ?」 マーチン:「報復?…笑わせないで頂戴!いつ?どこで?私が?何の為に?」 カウ:「じゃあ、このマル秘の捜査資料は何だい?」 マーチン:「そ…それは…」 カウ:「ある程度したら、私を逮捕する計画だった…そうだろう?」 マーチン:「何の事やら…」 カウ:「ある程度の犠牲を出しておけば、適当に捜査して分かった振りをしておけばいい、そうだろ?」 マーチン:「……」 カウ:「だが、思わぬ犠牲を出してしまった。新人巡査がサイレントキラーの事について真相を明らかにしてしまいそうなところまで漕ぎ着けた。これがバレたら、自分の立場やキャリア生命が揺らいでしまう」 マーチン:「……」 カウ:「だから依頼して殺そうと企んだ」 マーチン:「とんだトラブルメーカーだったわ、あのドジっ子」 カウ:「勘が鋭いは、時に凶器ともなる」 0:マーチン、正面から何者かに刺される マーチン:「ぐっ…な、何で…?ここまで…するの…?」 カウ:「ま…待て、そこまでは聞いてないぞ…」 0:マーチン、相手の顔を見る。 マーチン:「!?…何で…何で、何であんたが生きているのよ…」 0:回想 ライアン:「それじゃ…あなたがサイレントキラー…?」 マスター:「あぁ、嫌々と引き継いだサイレントキラーの表舞台に立たない側だ」 ライアン:「そ…そんな…」 マスター:「1つだけチャンスをやる」 ライアン:「チャ…チャンス?」 マスター:「まず、お前を殺せを依頼してきたのは、義理の妹だ」 ライアン:「え、妹が…何で…」 マスター:「あんたの妹は、サイレントキラーと繋がっている」 ライアン:「嘘だ…嘘だ…嘘だよ…」 マスター:「悪いが、証拠は全部揃っているんだ…」 ライアン:「でも何で…僕が死なないといけないんだ…」 マスター:「君は、新人巡査に「謎の死」の依頼を引き受けたろ?」 ライアン:「えぇ、でも後々、自分で調べてみたら…サイレントキラーはマスターじゃないかって…」 マスター:「半分、正解。さすがは探偵と名乗るだけあって良いセンスをしているよ」 ライアン:「どうも…」 マスター:「サイレントキラー関連を探られてしまうと、いずれ妹自身の立場が揺るぎかねないと思ったからじゃないのか?」 ライアン:「……」 マスター:「さて本題だ、2択ある。どっちか選べ」 マスター:「1つ、ライアンくんが殺され、妹が今後も生きているか。2つ、あんたの手で妹を殺し、自分が生きるか」 ライアン:「…決まってるでしょう?」 0:3秒あける ライアン:「例え義理でも、例え犯罪の片棒を担いでいても、あの子には人としての心がある。きちんと自分の罪に向き合える子なんだ」 マスター:「ライアンくん、君は馬鹿だね?妹はそんな心優しい(人ではないよ)」 ライアン:「(遮るように)僕には実の母も父も知らない孤児だった。拾われた警察一族の家族の顔しか知らなかった。でも、そこの家族は実感した事ないのに、不思議と懐かしい温もりを感じた。義理でも、ここで生きてて良いんだって…そう思えたんだ。だからせめて、義理でも、あの子を信じてやりたいんだ。あの子にとって、1人の兄貴として…最期に思われたい…」 マスター:「…俺は生まれた時からずっと戦場みたいなもんだった、家族なんて存在は感じたことのない感情だ。だが、兄貴としては良い奴だ」 0:3秒あける(銃声あれば鳴らして大丈夫です) マスター:「こんな良い兄貴を殺せだ…?ふざけた依頼だ…ライアンくん、ごめんな。約束は守れないや…」 0:何者かにナイフを渡す マスター:「これをお前に貸す、君の今の名前で活動できる最後のお仕事だ」 0:3秒あける マーチン:「!?…何で…何で、何であんたが生きているのよ…」 マーチン:「ミミ…」 ミミ:「さようなら、マーチン警部」 マーチン:「ミミ…ミミ…」 カウ:「噂に聞いていた、殺された新人巡査…?」 ミミ:「あれ、あの人から聞いていないんですか?…まぁいいや、現場と臭い部屋は長居不要ってね?」 カウ:「おい!待て!…どうなっているんだ?」 マーチン:「…兄さん、ごめんなさい…ごめんなさい…」 カウ:「計画と違い過ぎて…後味が悪いや…」 0:3秒あける カウ:あれからというもの、次々と事件の犯人が「謎の死」を迎えることは無くなった。また、匿名で警察へのタレコミにより、マーチンの父親である署長が懲戒免職となった。 0:  カウ:目に映るものは現(うつつ)か。時に目に映らないモノは幻(げん)か。その人間は殺(あや)めるべき存在だったか否(いな)か。そして、目の前の殺し屋は本当に殺し屋だったのか。幻(げん)か現(うつつ)か。それを見極めるには程遠いものである。私の名はカウ。サイレントキラーの表舞台だけに立つI can’t killer(アイ キャント キラー)である。ではまた、何処かで。 0:5秒〜10秒あける(劇終わったと思わせるための演出) 0:マスター、電話越しに誰かと話す マスター:「もしもし、久しぶりだな。休暇中のところ申し訳ないが、次のお前の任務が決まった」 0:  マスター:「そう嫌がるな、同じチームだろう?」 0:  マスター:「単刀直入に言う、警察へ潜入だ。そこには警部のマーチンという女がいる。そいつが最近、俺らに付き纏っててな…」 0:  マスター:「あぁ、まだ2人組で続いているよ。カウのやり方が昔から気に食わないもんな?」 0:  マスター:「話を戻そう、そのマーチンに裏があるかもしれん。それに、その女の噂はあまりよろしくなくてね?」 0:  マスター:「そうだな、こないだとある警察組織の人間がBARに来ていた際、こう言っていた」 ライアン:「(兼役・とある警察組織の人)マーチン警部?あぁ、あいつは…簡単に裏切る奴だ。こないだ、あいつがホシをあげたヤクザ、取り調べの際に「マーチンという女からの依頼を引き受けただけ」と吐いていた。だが、用が済んだら警察が乗り込んできたらしいんだ。マスターよく警部の事知ってんな?もっとあるぞ?な?な?」 マスター:「まぁ、そんなことを言っていた。だが、多分…あの女はサイレントキラー関連に関しては敏感なはずだ。興味あれば、何かが釣れる。」 0:  マスター:「あと、こないだ依頼で始末つけた警察関係者の籍がある。未だ失踪扱いだし、新人だからそこまで階級は高くないはずだ。後ほど、データを送る。」 0:  マスター:「仕事の話はここまでだ、それから新しく名前も変える。まぁその都度変えてるから言わなくてもいいと思うがな」 0:  マスター:「じゃあ、幸運を祈るよ。」 0:3秒あける マスター:「ミミ」