台本概要

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タイトル ロスト・ノスタルジー
作者名 雪見印
ジャンル その他
演者人数 1人用台本(不問1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 帰省した人の話

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
名無し 不問 - 一般人
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
:ざぁ…ざぁ… :木の葉が揺れる音がする。 :神社の片隅に座って目を瞑る。 :昔は地区の子供達が神輿を担ぎ、地区を練り歩いていたのに :今じゃ子供の数が減ったせいで祭りをやらなくなってしまった。 :花火を打ち上げたり、アイスを食べたり、今でも鮮明に覚えている。 :昔は学校帰りの小学生が遊び場にしていたのだが、今では誰も寄りつかない。 :そもそも子どもがいないから仕方が無い。 :進学のため地元から離れ、数年ぶりに戻ってきたのだが… :ここまで寂れるとは思わなかった。 :小さい頃に遊びに行った駄菓子屋も、友人と切磋琢磨していた塾も無くなっていた。 :休みの日によく行った公園の遊具は全て撤去されていて、見る影も無かった。 :この町から人が出て行くのも無理もない。 :買い物に行くにも車を走らせなければいけないし、自分も通勤時間に一時間はかけている。 :大した観光地でも有名な産業もない。要するに田舎である。 :こんな田舎に住むなんて昔から住んでいる人か、とんでもない物好きしかいないだろう。 :自分の成人式で発表されたアンケートでは「町を出て行きたい」と答えていた人が半分ほどいた。 :その理由は「希望する就職先がない」や「生活が不便だから」と答えていた。 :数年いなかっただけで、空き家になった家や取り壊した家が目に見えて増えた。 :よく散歩している場所も昔は商店街だったらしいが…今や空き家や更地ばかりの寂れた地区になってしまった。 :ここって前、家あったよな…? :今は綺麗な更地になっている。売りにでも出すのだろうか。 :あ、この家売りに出されてる。 :買う人いないだろうな。 :それにこの町には平らな土地がほとんど無い。通学路なんて坂道ばかりだった。 :徒歩でもかなりキツいが、自転車で行動しようものなら確実に行き倒れる。そのくせに距離だけはある。 :一応周辺の自治体の共同で運営しているバスはあるが…正直、本数が少ないから歩いて行った方が早く着く。 :というかタクシーを呼ぶべきだ。 :まぁそのタクシーも隣村から来るんだが。 :こんな町でも良いところはある。 :商店はあるし病院もある。郵便局も銀行だってある。流石に幼稚園は無いが、保育園や義務教育程度であれば学校もある。 :つまり必要最低限の営みはできるのだ。 :それに夏には祭りがある。結構有名らしく他の県から来る人もいるし、 :町から出て行った人でも祭りの日だけは帰ってくることが多い。 :夏祭りは何百発という花火が打ち上がる。道には屋台が建ち並び、普段の静けさが嘘のようだった。 :それに…自分がこの町の一番好きなところは、星がとても綺麗なのだ。 :星空を売りにしている観光地にも負けない…と自分は思っている。 :町でも割と栄えている所でも星座は確認できる上、街灯や民家が少ない場所では特によく見える。 :久しぶりに自分の家から星を眺めてみた。 :町の明かりに邪魔されず、満天の星空を眺めていると :もう少しこの町に住んでみても良いと思う。

:ざぁ…ざぁ… :木の葉が揺れる音がする。 :神社の片隅に座って目を瞑る。 :昔は地区の子供達が神輿を担ぎ、地区を練り歩いていたのに :今じゃ子供の数が減ったせいで祭りをやらなくなってしまった。 :花火を打ち上げたり、アイスを食べたり、今でも鮮明に覚えている。 :昔は学校帰りの小学生が遊び場にしていたのだが、今では誰も寄りつかない。 :そもそも子どもがいないから仕方が無い。 :進学のため地元から離れ、数年ぶりに戻ってきたのだが… :ここまで寂れるとは思わなかった。 :小さい頃に遊びに行った駄菓子屋も、友人と切磋琢磨していた塾も無くなっていた。 :休みの日によく行った公園の遊具は全て撤去されていて、見る影も無かった。 :この町から人が出て行くのも無理もない。 :買い物に行くにも車を走らせなければいけないし、自分も通勤時間に一時間はかけている。 :大した観光地でも有名な産業もない。要するに田舎である。 :こんな田舎に住むなんて昔から住んでいる人か、とんでもない物好きしかいないだろう。 :自分の成人式で発表されたアンケートでは「町を出て行きたい」と答えていた人が半分ほどいた。 :その理由は「希望する就職先がない」や「生活が不便だから」と答えていた。 :数年いなかっただけで、空き家になった家や取り壊した家が目に見えて増えた。 :よく散歩している場所も昔は商店街だったらしいが…今や空き家や更地ばかりの寂れた地区になってしまった。 :ここって前、家あったよな…? :今は綺麗な更地になっている。売りにでも出すのだろうか。 :あ、この家売りに出されてる。 :買う人いないだろうな。 :それにこの町には平らな土地がほとんど無い。通学路なんて坂道ばかりだった。 :徒歩でもかなりキツいが、自転車で行動しようものなら確実に行き倒れる。そのくせに距離だけはある。 :一応周辺の自治体の共同で運営しているバスはあるが…正直、本数が少ないから歩いて行った方が早く着く。 :というかタクシーを呼ぶべきだ。 :まぁそのタクシーも隣村から来るんだが。 :こんな町でも良いところはある。 :商店はあるし病院もある。郵便局も銀行だってある。流石に幼稚園は無いが、保育園や義務教育程度であれば学校もある。 :つまり必要最低限の営みはできるのだ。 :それに夏には祭りがある。結構有名らしく他の県から来る人もいるし、 :町から出て行った人でも祭りの日だけは帰ってくることが多い。 :夏祭りは何百発という花火が打ち上がる。道には屋台が建ち並び、普段の静けさが嘘のようだった。 :それに…自分がこの町の一番好きなところは、星がとても綺麗なのだ。 :星空を売りにしている観光地にも負けない…と自分は思っている。 :町でも割と栄えている所でも星座は確認できる上、街灯や民家が少ない場所では特によく見える。 :久しぶりに自分の家から星を眺めてみた。 :町の明かりに邪魔されず、満天の星空を眺めていると :もう少しこの町に住んでみても良いと思う。