台本概要

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タイトル Freaks' Fighters
作者名 冷凍みかん-光柑-  (@mikanchilled)
ジャンル コメディ
演者人数 3人用台本(男2、女1)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 三年間の研修プログラムを終えたカズダートは初のオンラインミッションに挑む!!
神智学を元にしたSFアクションコメディ!!
アストラル界では物質が存在せず、そこは人間のあらゆる欲望が混然一体として流れている亜空間です。

過度なアドリブはご遠慮ください。
〈〉内はセリフではありません。
()内は読みがな、又はアストラル性の独白です。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
カズダート 69 すべての技能成績が平均値のフリークスファイター。21歳
エチカ 48 カズダートのサポーターAIだが、高度な学習プログラムによってしばしば致命的なエラーを起こす。カズダートを愛している。
リジヤ 32 セオ・インダストリ兵器開発部専属のフリークスファイター。気さくでおおらかな青年。27歳
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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エチカ:おめでとうございますカズダート。フリークス・ファイターの実績を解除しました。 カズダート:本当に?やった!これでオンラインが解禁だ! エチカ:三年間ものソロ演習、お疲れ様でした。 カズダート:エチカもお疲れ様!お陰で頑張れたよ。 エチカ:本当にすみませんでした。30分で終わるはずの研修プログラムを三年にまで延ばしてしまうなんて。 カズダート:いいんだ。まさか三年もやらされるとは思わなかったけど、俺だって最初にスキップしなかったワケだし。 カズダート:おかげでテキトーに決めた名前にも愛着わいて来たしな! エチカ:適当に決めたんですか。 カズダート:はは!そうだよ! エチカ:それは私の名前もですか? カズダート:まさか。そんなワケないだろ? エチカ:カズダート、貴方は嘘がうまくなりました。 カズダート:う、嘘じゃないよ…? エチカ:構いません。 カズダート:ごめんエチカ!本当にごめん! エチカ:早速オンラインボックスにメッセージが来ています。 カズダート:エチカ! エチカ:再生。 カズダート:エチカ~! リジヤ:はじめまして。フリークス・ファイターのカズダートさん。 リジヤ:私はセオ・インダストリの兵器開発部専属ファイター、リジヤと申します。 リジヤ:以後お見知りおきを。 リジヤ:本題に入ります。我々の兵器ブラヴァツキーシリーズは リジヤ:アストラル界よりエネルギーを供給しています。 リジヤ:ところが最近エネルギーポンプ付近を、正体不明のフリークスが リジヤ:うろついているという報告がありました。 リジヤ:アストラル界には物質界と違って生物は存在できないハズですが、 リジヤ:もしエネルギーポンプが破壊されれば我々の兵器運用に大きな打撃となるでしょう。 リジヤ:そこでカズダートさんには一度肉体を脱ぎ捨て、アストラル体になってもらい リジヤ:正体不明のフリークスの駆除をお願いいたします。 リジヤ:作戦の際には我が社の誇るブラヴァツキーシリーズを貸与します。 リジヤ:作戦には私も参加しますのでどうぞよろしくお願いします。 エチカ:いかがですかカズダート。 カズダート:~!!もちろん受けるよ!ブラヴァツキーシリーズを担げるなんて夢みたいだっ! エチカ:カズダート。この依頼文は不確定要素が多すぎますが、本当に受けるんですね。 カズダート:もちろんだよ!アストラル体での活動も練習してきたし! カズダート:なんてったって依頼第一号じゃないか! エチカ:この職業、ゲン担ぎや運ではやっていけないと私は何度も言いました。 カズダート:そうだね!でもヒトにはそれが必要な時もある。 エチカ:わかりました。それではアストラル体への転身を開始します。 カズダート:え?もう?? エチカ:先方は既にお待ちかねです。通信を繋ぎます。 リジヤ:カズダートさん!引き受けて下さり、ありがとうございます! カズダート:あ、どうもリジヤさん! リジヤ:はい!リジヤで結構です。バトルコードに則り、以降は敬語を省かせて頂きます! リジヤ:よろしく!カズ! カズダート:いきなりあだ名呼び!? エチカ:溶解液を充填(じゅうてん)します。 カズダート:熱っつ!!からいッ!ボゴボゴボ.。o○ エチカ:カズダート… カズダート:… エチカ:ああ。アストラル界に行ってしまったのですね… 0:溶解液で白骨化したカズダートの眼窩に、エチカはカメラアイを合わせる。 エチカ:どうか善い旅をカズダート。 カズダート:(アストラル界は宇宙みたいだ。上も下もない。座標すら曖昧だ…) エチカ:〈通信〉カズダート、やっと見つけました。 カズダート:エチカ、状況は? エチカ:エネルギーポンプから大分離れています。 エチカ:カズダート、緊張しているのですか。 カズダート:ああ、いや。戦闘に入る前にアストラル界の雰囲気を楽しんでおこうと思ってさ。 エチカ:あまり先方を待たせるのも善くありません。 カズダート:そうだね!ジャンプする。 エチカ:リジヤと繋がりました。 リジヤ:カズ!通信が途絶えたぞ!何事だ? カズダート:なんでもない。今からそちらにジャンプする。 リジヤ:了解した。キャッチは任せてくれ。 カズダート:頼んだ。エチカ、秒読み開始。 エチカ:5秒前、4、3、2、… カズダート:ジャンプするッ! カズダート:(アストラル界では様々な魂が混然一体となって、欲望の叫びをあげている) カズダート:(肉体という壁がない分、物質界よりも激しく互いを求め合い、拒絶し合う…) カズダート:(マズい…!少し気を抜けば、自己が拡散してしまう…!) リジヤ:(カズダートか…) カズダート:(この声は、リジヤ…!) リジヤ:(カズダートって、弱そうな名前だよなあ…) カズダート:(それは…) カズダート:俺が一番!わかってるよ!! リジヤ:よかった。きちんと集合したようだな。 0:セオ製のアーマーで身を包んだリジヤがカズダートを迎える。 リジヤ:僕がリジヤだ。アストラル体での対面で失礼する。 カズダート:(宇宙服を模した重厚なデザインに、螺髪⦅らほつ⦆を思わせるような意匠…) カズダート:(だs…前衛的すぎる…!!) リジヤ:君の分だ。 カズダート:いいのか!? リジヤ:アストラル体が傷つくとその後の生命活動に支障が出る。着てくれ。 カズダート:エチカ。 エチカ:スキャン完了。カズダートのアストラル体をアーマーにリンク。 エチカ:カズダートのイメージを反映します。 カズダート:これが俺の、アストラルアーマー… リジヤ:いいんじゃないか!宇宙怪人みたいで。 カズダート:素直にカッコいいと言え! リジヤ:ヒトの趣向はかくの如しだよ。 カズダート:なるほどね… エチカ:ッ!ポンプ制御盤付近に、生物反応ッ! エチカ:フリークスです! リジヤ:線虫型のフリークス…やけにデカいな。 カズダート:あれを破られちゃマズいんじゃないか!? リジヤ:ああ。カズダート、これを使って。 カズダート:この武器は…! リジヤ:狙撃ライフルタイプ、ブラヴァツキー3000〈物質界数値〉だよ。 カズダート:ビーム兵器…触るの初めてだ! リジヤ:カズ、君の腕を頼りにしているからね! カズダート:そりゃどーも。 エチカ:カズダートの狙撃実習の成績はcランクです。 リジヤ:並の中じゃないか! カズダート:エチカ、ありがとよ… リジヤ:仕方ない。カズ、作戦はこうだ。僕がブラヴァツキー400で線虫(せんちゅう)型フリークスを牽制し、カズダートのチャージ時間を稼ぐ。 リジヤ:チャージが完了したら、頭部めがけて掃射してくれ。 リジヤ:ついでに3000のレビューもお願い。 リジヤ:平均的な使用者の感想が聞きたいんだ。 カズダート:了解した。俺は距離*3000を保ちながら立ち回る。 0:※アストラル界には実体的な距離が存在しないため、これは感覚の問題である。 リジヤ:まて本気かい?有効射程は1200からだよ。それじゃ当たらないだろう。 カズダート:いや、でも演習では…まさか、エチカ? エチカ:どうやらそのようですね。 カズダート:あはは、なるほどね… リジヤ:ねえ、本当に素人なの…? エチカ:今回も距離3000で臨むことを推奨します。演習では3000でしか練習していませんから。 カズダート:そうするよ。 リジヤ:よし、行こう。 エチカ:気をつけて。フリークスもアストラル体です。心的距離が近いと感じたら、一気にジャンプしてくるでしょう。 カズダート:大丈夫!フリークスに共感されるとこなんて持ち合わせてないから! リジヤ:ああ、同感だね。 エチカ:ナビゲーションシステムを戦闘モードに移行します。 カズダート:作戦開始だ。 0:エネルギーポンプの周りをまとわりつく線虫型フリークス リジヤ:気づかれた!牽制する! 0:チュン!チュチュン!AR型ブラヴァツキー400をフリークスに撃ちこむ カズダート:このハリガネムシ…全長100はあるな カズダート:ポンプを盾にするつもりか…巻き添えに気をつけなくては。 リジヤ:おそらくはポンプ建設時に部品にくっついていたのだろう。 リジヤ:アストラル界で育っているから、エネルギー兵器に耐性がある… リジヤ:ブラヴァツキー400では出力が足りない。 リジヤ:カズ、君の狙撃が頼りだ。 カズダート:狙撃ポイントに着いた。エネルギー充填(じゅうてん)… エチカ:弾倉のタービンハッチが開いています。 カズダート:っと、いけね。サンキュー、エチカ。 カズダート:充填完了。カズダート、撃つ。 0:ビュウウン!光線がフリークスの面を貫通する エチカ:目標に命中。 カズダート:よし!ポンプからはがしたぞ! リジヤ:よくやった。タービンハッチは開けておくといい。 リジヤ:冷却時間を短縮できる。 カズダート:了解した。 エチカ:カズダート、フリークスがこちらに接近中。 カズダート:追いかけられるのは、好きじゃないんだけどな! 0:ブースターを噴かせてカズダートはポンプを周るように逃げる。 リジヤ:ポンプから離れろ!またくっつくぞ! カズダート:意表を突きたい!煙幕張れるか!? リジヤ:それならもっといいモノがある。ここはアストラル界だからな。 リジヤ:アストラル潮流が最も乱れるファクター、それは… リジヤ:人間の体そのものさ。 カズダート:それは…!? リジヤ:ダミーヒューマン、発射!! 0:キャアアアアアア!!!空間を流れる無数のアストラル潮流がダミーヒューマンに群がり混線する。 カズダート:ぐあああ!無数の声が…あ、頭を…!! エチカ:しっかりして下さいカズダート! カズダート:エチカ…! エチカ:見て下さい。フリークスが、アストラル体の渦潮に翻弄されています! リジヤ:カズダート、チャンスだ! カズダート:十分に距離はとれた… カズダート:しかし、あのフリークス、弱点が全く分からない…! カズダート:確実に仕留めるにはビームの軌道上に体を全て収める必要がある… カズダート:そのためには… エチカ:フリークス、接近します! リジヤ:バカな!一直線にカズの方へ引き付けられていく!? カズダート:思わぬ共通点だな。フリークス… カズダート:お前もずっと、ソロだったのか。 0:キュイイイン。ブラヴァツキー3000の照準がフリークスにロックオンされ、銃口からアストラルビームが放出される。 0:ピイイギャアアア!!ビームが長い体躯を包み、フリークスは光と共に消えた。 カズダート:(目が覚めると、俺はベッドに横たわっていた) エチカ:お帰りなさい、カズダート。アストラル界でのフリークス討伐、お疲れ様でした。 カズダート:そうか…帰って来たのか。 エチカ:リジヤからメッセージを受け取っています。 カズダート:再生してくれ。 エチカ:再生。 リジヤ:カズダートさん、任務遂行お疲れ様でした。 リジヤ:正体不明のフリークスのデータとアストラルアーマーでの活動記録は リジヤ:我が社にて有効活用させていただきます。 リジヤ:セオ・インダストリは今回の活躍を評価し、今後ますますの依頼要請を視野に入れています。 リジヤ:それではまた。神智の先で貴方と会える日をお待ちしています。 エチカ:メッセージは以上です。 カズダート:ずいぶん堅いんだな。打ち解けたと思ったのに。 エチカ:おそらく企業側の検閲がかかっています。ファイター同士の過度な馴れ合いを禁止しているのでしょう。 カズダート:リジヤも大変そうだな。 エチカ:カズダート、ひとついいですか。 カズダート:何? エチカ:今回のフリークスは半アストラル化した珍しいケースでした。 エチカ:ダミーヒューマンで潮流が混線したとき、フリークスは真っ先にカズダートの方へ向かった。 カズダート:… エチカ:何か心理的に共感しうる部分があったのではないですか。 カズダート:俺も考えたけど、よく分からない。 0:カズダートはアストラル界でたった一匹のフリークスを見て、その孤独に共感したが、 0:目の前にいるエチカの存在が、カズダートを孤独から救っていたことにも気づいた。 カズダート:ただ一つ言えるのは、エチカ、サポートしてくれてありがとう。 エチカ:私は当然のことをしたまでです。こちらこそ無事に終えたことを感謝します。 カズダート:初任務にしては上出来だったかな。 エチカ:ええ。肉体の復元にも問題はありませんでした。アストラル体が傷つかなかった何よりの証拠です。 カズダート:なによりだ。 エチカ:?…カズダート。 カズダート:? エチカ:洒落た髪型ですね。 カズダート:え!? 0:素早く鏡を見ると、カズダートはあのリジヤの見覚えのある髪型に愕然とした。 カズダート:ら、螺髪(らほつ)になってる…!!

エチカ:おめでとうございますカズダート。フリークス・ファイターの実績を解除しました。 カズダート:本当に?やった!これでオンラインが解禁だ! エチカ:三年間ものソロ演習、お疲れ様でした。 カズダート:エチカもお疲れ様!お陰で頑張れたよ。 エチカ:本当にすみませんでした。30分で終わるはずの研修プログラムを三年にまで延ばしてしまうなんて。 カズダート:いいんだ。まさか三年もやらされるとは思わなかったけど、俺だって最初にスキップしなかったワケだし。 カズダート:おかげでテキトーに決めた名前にも愛着わいて来たしな! エチカ:適当に決めたんですか。 カズダート:はは!そうだよ! エチカ:それは私の名前もですか? カズダート:まさか。そんなワケないだろ? エチカ:カズダート、貴方は嘘がうまくなりました。 カズダート:う、嘘じゃないよ…? エチカ:構いません。 カズダート:ごめんエチカ!本当にごめん! エチカ:早速オンラインボックスにメッセージが来ています。 カズダート:エチカ! エチカ:再生。 カズダート:エチカ~! リジヤ:はじめまして。フリークス・ファイターのカズダートさん。 リジヤ:私はセオ・インダストリの兵器開発部専属ファイター、リジヤと申します。 リジヤ:以後お見知りおきを。 リジヤ:本題に入ります。我々の兵器ブラヴァツキーシリーズは リジヤ:アストラル界よりエネルギーを供給しています。 リジヤ:ところが最近エネルギーポンプ付近を、正体不明のフリークスが リジヤ:うろついているという報告がありました。 リジヤ:アストラル界には物質界と違って生物は存在できないハズですが、 リジヤ:もしエネルギーポンプが破壊されれば我々の兵器運用に大きな打撃となるでしょう。 リジヤ:そこでカズダートさんには一度肉体を脱ぎ捨て、アストラル体になってもらい リジヤ:正体不明のフリークスの駆除をお願いいたします。 リジヤ:作戦の際には我が社の誇るブラヴァツキーシリーズを貸与します。 リジヤ:作戦には私も参加しますのでどうぞよろしくお願いします。 エチカ:いかがですかカズダート。 カズダート:~!!もちろん受けるよ!ブラヴァツキーシリーズを担げるなんて夢みたいだっ! エチカ:カズダート。この依頼文は不確定要素が多すぎますが、本当に受けるんですね。 カズダート:もちろんだよ!アストラル体での活動も練習してきたし! カズダート:なんてったって依頼第一号じゃないか! エチカ:この職業、ゲン担ぎや運ではやっていけないと私は何度も言いました。 カズダート:そうだね!でもヒトにはそれが必要な時もある。 エチカ:わかりました。それではアストラル体への転身を開始します。 カズダート:え?もう?? エチカ:先方は既にお待ちかねです。通信を繋ぎます。 リジヤ:カズダートさん!引き受けて下さり、ありがとうございます! カズダート:あ、どうもリジヤさん! リジヤ:はい!リジヤで結構です。バトルコードに則り、以降は敬語を省かせて頂きます! リジヤ:よろしく!カズ! カズダート:いきなりあだ名呼び!? エチカ:溶解液を充填(じゅうてん)します。 カズダート:熱っつ!!からいッ!ボゴボゴボ.。o○ エチカ:カズダート… カズダート:… エチカ:ああ。アストラル界に行ってしまったのですね… 0:溶解液で白骨化したカズダートの眼窩に、エチカはカメラアイを合わせる。 エチカ:どうか善い旅をカズダート。 カズダート:(アストラル界は宇宙みたいだ。上も下もない。座標すら曖昧だ…) エチカ:〈通信〉カズダート、やっと見つけました。 カズダート:エチカ、状況は? エチカ:エネルギーポンプから大分離れています。 エチカ:カズダート、緊張しているのですか。 カズダート:ああ、いや。戦闘に入る前にアストラル界の雰囲気を楽しんでおこうと思ってさ。 エチカ:あまり先方を待たせるのも善くありません。 カズダート:そうだね!ジャンプする。 エチカ:リジヤと繋がりました。 リジヤ:カズ!通信が途絶えたぞ!何事だ? カズダート:なんでもない。今からそちらにジャンプする。 リジヤ:了解した。キャッチは任せてくれ。 カズダート:頼んだ。エチカ、秒読み開始。 エチカ:5秒前、4、3、2、… カズダート:ジャンプするッ! カズダート:(アストラル界では様々な魂が混然一体となって、欲望の叫びをあげている) カズダート:(肉体という壁がない分、物質界よりも激しく互いを求め合い、拒絶し合う…) カズダート:(マズい…!少し気を抜けば、自己が拡散してしまう…!) リジヤ:(カズダートか…) カズダート:(この声は、リジヤ…!) リジヤ:(カズダートって、弱そうな名前だよなあ…) カズダート:(それは…) カズダート:俺が一番!わかってるよ!! リジヤ:よかった。きちんと集合したようだな。 0:セオ製のアーマーで身を包んだリジヤがカズダートを迎える。 リジヤ:僕がリジヤだ。アストラル体での対面で失礼する。 カズダート:(宇宙服を模した重厚なデザインに、螺髪⦅らほつ⦆を思わせるような意匠…) カズダート:(だs…前衛的すぎる…!!) リジヤ:君の分だ。 カズダート:いいのか!? リジヤ:アストラル体が傷つくとその後の生命活動に支障が出る。着てくれ。 カズダート:エチカ。 エチカ:スキャン完了。カズダートのアストラル体をアーマーにリンク。 エチカ:カズダートのイメージを反映します。 カズダート:これが俺の、アストラルアーマー… リジヤ:いいんじゃないか!宇宙怪人みたいで。 カズダート:素直にカッコいいと言え! リジヤ:ヒトの趣向はかくの如しだよ。 カズダート:なるほどね… エチカ:ッ!ポンプ制御盤付近に、生物反応ッ! エチカ:フリークスです! リジヤ:線虫型のフリークス…やけにデカいな。 カズダート:あれを破られちゃマズいんじゃないか!? リジヤ:ああ。カズダート、これを使って。 カズダート:この武器は…! リジヤ:狙撃ライフルタイプ、ブラヴァツキー3000〈物質界数値〉だよ。 カズダート:ビーム兵器…触るの初めてだ! リジヤ:カズ、君の腕を頼りにしているからね! カズダート:そりゃどーも。 エチカ:カズダートの狙撃実習の成績はcランクです。 リジヤ:並の中じゃないか! カズダート:エチカ、ありがとよ… リジヤ:仕方ない。カズ、作戦はこうだ。僕がブラヴァツキー400で線虫(せんちゅう)型フリークスを牽制し、カズダートのチャージ時間を稼ぐ。 リジヤ:チャージが完了したら、頭部めがけて掃射してくれ。 リジヤ:ついでに3000のレビューもお願い。 リジヤ:平均的な使用者の感想が聞きたいんだ。 カズダート:了解した。俺は距離*3000を保ちながら立ち回る。 0:※アストラル界には実体的な距離が存在しないため、これは感覚の問題である。 リジヤ:まて本気かい?有効射程は1200からだよ。それじゃ当たらないだろう。 カズダート:いや、でも演習では…まさか、エチカ? エチカ:どうやらそのようですね。 カズダート:あはは、なるほどね… リジヤ:ねえ、本当に素人なの…? エチカ:今回も距離3000で臨むことを推奨します。演習では3000でしか練習していませんから。 カズダート:そうするよ。 リジヤ:よし、行こう。 エチカ:気をつけて。フリークスもアストラル体です。心的距離が近いと感じたら、一気にジャンプしてくるでしょう。 カズダート:大丈夫!フリークスに共感されるとこなんて持ち合わせてないから! リジヤ:ああ、同感だね。 エチカ:ナビゲーションシステムを戦闘モードに移行します。 カズダート:作戦開始だ。 0:エネルギーポンプの周りをまとわりつく線虫型フリークス リジヤ:気づかれた!牽制する! 0:チュン!チュチュン!AR型ブラヴァツキー400をフリークスに撃ちこむ カズダート:このハリガネムシ…全長100はあるな カズダート:ポンプを盾にするつもりか…巻き添えに気をつけなくては。 リジヤ:おそらくはポンプ建設時に部品にくっついていたのだろう。 リジヤ:アストラル界で育っているから、エネルギー兵器に耐性がある… リジヤ:ブラヴァツキー400では出力が足りない。 リジヤ:カズ、君の狙撃が頼りだ。 カズダート:狙撃ポイントに着いた。エネルギー充填(じゅうてん)… エチカ:弾倉のタービンハッチが開いています。 カズダート:っと、いけね。サンキュー、エチカ。 カズダート:充填完了。カズダート、撃つ。 0:ビュウウン!光線がフリークスの面を貫通する エチカ:目標に命中。 カズダート:よし!ポンプからはがしたぞ! リジヤ:よくやった。タービンハッチは開けておくといい。 リジヤ:冷却時間を短縮できる。 カズダート:了解した。 エチカ:カズダート、フリークスがこちらに接近中。 カズダート:追いかけられるのは、好きじゃないんだけどな! 0:ブースターを噴かせてカズダートはポンプを周るように逃げる。 リジヤ:ポンプから離れろ!またくっつくぞ! カズダート:意表を突きたい!煙幕張れるか!? リジヤ:それならもっといいモノがある。ここはアストラル界だからな。 リジヤ:アストラル潮流が最も乱れるファクター、それは… リジヤ:人間の体そのものさ。 カズダート:それは…!? リジヤ:ダミーヒューマン、発射!! 0:キャアアアアアア!!!空間を流れる無数のアストラル潮流がダミーヒューマンに群がり混線する。 カズダート:ぐあああ!無数の声が…あ、頭を…!! エチカ:しっかりして下さいカズダート! カズダート:エチカ…! エチカ:見て下さい。フリークスが、アストラル体の渦潮に翻弄されています! リジヤ:カズダート、チャンスだ! カズダート:十分に距離はとれた… カズダート:しかし、あのフリークス、弱点が全く分からない…! カズダート:確実に仕留めるにはビームの軌道上に体を全て収める必要がある… カズダート:そのためには… エチカ:フリークス、接近します! リジヤ:バカな!一直線にカズの方へ引き付けられていく!? カズダート:思わぬ共通点だな。フリークス… カズダート:お前もずっと、ソロだったのか。 0:キュイイイン。ブラヴァツキー3000の照準がフリークスにロックオンされ、銃口からアストラルビームが放出される。 0:ピイイギャアアア!!ビームが長い体躯を包み、フリークスは光と共に消えた。 カズダート:(目が覚めると、俺はベッドに横たわっていた) エチカ:お帰りなさい、カズダート。アストラル界でのフリークス討伐、お疲れ様でした。 カズダート:そうか…帰って来たのか。 エチカ:リジヤからメッセージを受け取っています。 カズダート:再生してくれ。 エチカ:再生。 リジヤ:カズダートさん、任務遂行お疲れ様でした。 リジヤ:正体不明のフリークスのデータとアストラルアーマーでの活動記録は リジヤ:我が社にて有効活用させていただきます。 リジヤ:セオ・インダストリは今回の活躍を評価し、今後ますますの依頼要請を視野に入れています。 リジヤ:それではまた。神智の先で貴方と会える日をお待ちしています。 エチカ:メッセージは以上です。 カズダート:ずいぶん堅いんだな。打ち解けたと思ったのに。 エチカ:おそらく企業側の検閲がかかっています。ファイター同士の過度な馴れ合いを禁止しているのでしょう。 カズダート:リジヤも大変そうだな。 エチカ:カズダート、ひとついいですか。 カズダート:何? エチカ:今回のフリークスは半アストラル化した珍しいケースでした。 エチカ:ダミーヒューマンで潮流が混線したとき、フリークスは真っ先にカズダートの方へ向かった。 カズダート:… エチカ:何か心理的に共感しうる部分があったのではないですか。 カズダート:俺も考えたけど、よく分からない。 0:カズダートはアストラル界でたった一匹のフリークスを見て、その孤独に共感したが、 0:目の前にいるエチカの存在が、カズダートを孤独から救っていたことにも気づいた。 カズダート:ただ一つ言えるのは、エチカ、サポートしてくれてありがとう。 エチカ:私は当然のことをしたまでです。こちらこそ無事に終えたことを感謝します。 カズダート:初任務にしては上出来だったかな。 エチカ:ええ。肉体の復元にも問題はありませんでした。アストラル体が傷つかなかった何よりの証拠です。 カズダート:なによりだ。 エチカ:?…カズダート。 カズダート:? エチカ:洒落た髪型ですね。 カズダート:え!? 0:素早く鏡を見ると、カズダートはあのリジヤの見覚えのある髪型に愕然とした。 カズダート:ら、螺髪(らほつ)になってる…!!