台本概要
207 views
タイトル | GO!KON! |
---|---|
作者名 | Oroるん (@Oro90644720) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 5人用台本(男4、女1) |
時間 | 40 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
合コンに集まるカオスな面々 ・アドリブ可 207 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
島田 | 男 | 142 | しまだ |
愛音 | 女 | 68 | あまね |
春人 | 男 | 40 | はると |
朔 | 男 | 30 | さく |
麻衣 | 男 | 35 | まい |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
島田:お、この店か。(辺りを見回し)まだ、誰も来てないかな?一旦、店の前で待ち合わせだよね?
島田:合コンなんていつ以来だろ?前の彼女と別れてからしばらく経つし、そろそろ彼女欲しいよなー。
0:島田のスマホに着信が入る。
島田:お、電話だ。はい、もしもし・・・由香子(ゆかこ)?・・・うん、今着いたとこ・・・うん・・・うん・・・え?来れない?だってお前、幹事だろ?・・・
島田:いや、急用って・・・今日来るお前の知り合いだろ?俺、全員初対面なんだぞ!大体、お前いなかったら、男が一人余っちまうじゃん!・・・もしもし?・・・もしもーし!
島田:切りやがった・・・どうしよう?俺誰も顔分かんないのに。
愛音:あの、ひょっとして島田さん、ですか?
島田:え?
愛音:初めまして、愛音です。今日は宜しくお願いします!
島田:あ、どうも初めまして!島田です、宜しく。
島田:(M)ヤバッ、この子めっちゃカワイイ!
愛音:由香子ちゃん、まだ来てないですか?
島田:それが・・・由香子、来れなくなったみたいで。
愛音:ええっ!そうなんですか?(スマホを取り出し確認する)あ!私にもLINE来てました。
島田:アイツ、幹事なのにねえ。
愛音:きっと、とっても大事な用事なんですよ。由香子ちゃん、残念だっただろうなあ。
島田:(M)カワイイだけじゃなくて優しいんだなあ。もう好きになりそう。いや、もうこれなってるな。
愛音:島田さん?
島田:ああ、すいません!俺今日のメンバー初対面の人ばっかりなんで、声掛けてもらえて助かりました。
愛音:そうでしたか。他のメンバーも知り合いだから、私分かりますよ。
島田:良かった。
愛音:島田さん、優しい方みたいで、安心しました。
島田:そう見えますか?まだ分かりませんよお?
愛音:(少し笑う)わかります。それに、由香子ちゃんに聞いた通りだったし。
島田:えっ?由香子、俺の事何て言ってるんですか?怖いなあ。
愛音:その・・・すごく、カッコ良い人だって・・・
島田:え?
愛音:・・・
島田:・・・
島田:(M)なになになあに。良い雰囲気じゃない。もうこのまま、二人でどっか行っちゃっても良いんじゃないかなあ。他の人はほっといて。
愛音:あ、来た。
島田:(舌打ち)来なくて良いのに。
愛音:何か言いました?
島田:い、いや、何も。
愛音:おーい、春人くん、こっちー!
春人:・・・
島田:(M)ん?この人、右手に包帯巻いてる?怪我でもしてるのか?
愛音:春人君、久しぶり!島田さん、こちら春人くんです。
島田:どうも初めまして、島田です。
春人:こんな所に呼び出して、一体どう言うつもりだ?
島田:へ?
春人:そうか、ようやく決着をつける気になったんだな。
島田:あの、何の話かさっぱり・・・
春人:言っとくけど俺、アンタより強いぜ。
島田:何が!?
春人:さあ・・・始めようか!
島田:だから何を!?
愛音:春人くん、ここすぐ分かった?
春人:ついに、この右手の封印を解く時が来たようだな。
愛音:弟さん元気?
春人:チッ、もう疼(うず)いてやがるぜ!
愛音:一緒にご飯食べるのって、いつ振りだっけ?
春人:封印されし龍よ、盟約に従いここに顕現(けんげん)せよ!
島田:(M)えっと・・・俺はどう言う気持ちでこれを見ていたら良いんだろう?会話が全然成立してないじゃん。
島田:(M)コイツはアレか、厨二病ってやつか。あの右手の包帯は、何かドラゴン的なやつを封印してる設定なんだな。この歳でこういう人種と出会うとは・・・一体どう接したら良いんだ?
愛音:今日ね、由香子ちゃん来れないんだって。
春人:何だと!くっ!これも全て、お前の仕業(しわざ)か!
島田:え、俺?知らねえよ!!
愛音:春人くん、由香子ちゃんに会いたがってたんです。
島田:そうなんですか?
愛音:はい。春人くん、前に由香子ちゃんと付き合ってて・・・
島田:(M)ええっ!?アイツ、こんなのと付き合ってたの!?男の趣味悪っ!
愛音:春人くん、まだ由香子ちゃんの事好きみたいで、何とかヨリを戻したいんです。
島田:は、はあ。
春人:俺はアンタを許さねえ!どこまでも追いかけてやる!この顔、忘れんじゃねえぞ!
島田:(M)その顔、今すぐ忘れたいよ・・・
愛音:他の皆はまだかなあ・・・あ、アレ、さっくんじゃない?
春人:そのようだな。また命知らずが一人、この地獄にやって来たってわけだ。
島田:(M)えーっと、さっくんというのはどの人かなあ・・・んんうぅぅ!?まさか、アレじゃないよね!?
島田:(M)あそこにいる、真っ黒なスーツ着て、サングラス掛けて、肩にスナイパーライフル担(かつ)いでる奴じゃないよね!?
朔:待たせたな。
島田:(M)まさか、とは思ったけど、やっばりソイツだった!
春人:遅かったな。また厄介事に巻き込まれたんじゃないかと思って心配したぜ。
朔:すまない。尾行を撒(ま)くのに手間取ってな。
島田:(M)やっぱりコイツもこういうキャラか!
愛音:彼は朔君。みんなは「さっくん」って呼んでます。
朔:宜しく。
島田:は、初めまして。由香子の友達の島田です。今日は・・・
朔:危ない!
0:朔、島田を突き飛ばす。
島田:あいたっ!
朔:気をつけろ!向かいのビルからスナイパーが狙ってる。
島田:てめえ、いきなり何しやがんだ!肘擦り剥いた(すりむいた)じゃねえか!
朔:礼には及ばん。
島田:(M)くっ!人前じゃなければ、思いっきり殴ってやるのに。
愛音:島田さん、大丈夫ですか?(擦り剥いた肘を見て)大変!血が出てます!
島田:あ、ホントだ。でも大丈夫、大したことないよ。
愛音:ダメです!バイ菌が入ったらどうするんですか?私、絆創膏(ばんそうこう)持ってるから、貼っておきますね。
島田:あ、ありがとう。
島田:(M)ホンマにええ子やないかあー。こんな子が彼女だったら、毎日ハッピーだろうなあ・・・あ、すごい良い匂いする。
朔:そういえば由香子は?
愛音:急用で来れなくなったんだって。
朔:何!まさか・・・貴様、由香子を抹殺したのか!?
島田:何でだよ!?ちゃんと生きとるわ!
春人:何っ!?由香子を殺しただとぉ!?
島田:ややこしいから乗っかってくるな!!
朔:島田あああああ!
島田:うるせえ!
愛音:すいません、さっくん、由香子ちゃんが来れないのがショックみたいで。
島田:えっ?まさか・・・
愛音:由香子ちゃん、春人くんの前はさっくんと付き合ってて・・・
島田:(M)またか!アイツの男性遍歴どうなってんだ!?ってか、合コンに元カレばっか呼んでんじゃねえよ!
春人:言っておくが、由香子は俺の物だ。それを忘れるな!
朔:ふざけるな!由香子は俺の女だ!
春人:俺のだ!
朔:俺だ!
春人:・・・やるか?
朔:望む所だ!
春人:ハハッ、右手の封印を解くぜ!もう俺にも止められねえ!
朔:その前に・・・貴様の眉間を撃ち抜いてやろう!
島田:何だ?何が始まるんだ?
春人:(同時に)うおおおおお!
朔:(同時に)うおおおおお!
愛音:ちょっと二人とも、暴力は・・・
春人:(同時に)ジャンケンポン!
朔:(同時に)ジャンケンポン!
島田:ジャンケンかよ!平和だなオイ!
朔:よーし、勝ったあ!これで由香子は、俺の物だあ!
春人:くっ!俺の負けだ!由香子はくれてやる!お前の好きにするが良い!
島田:ジャンケン勝ったぐらいで好きにできるか!本人居ないからって好き勝手言ってんじゃねえよ。
朔:そういえば麻衣は?アイツも攫われ(さらわれ)たのか?
春人:もしかしたら、次元の狭間(はざま)に閉じ込められてるのかもしれねえ。
愛音:大丈夫。さっきLINEあった。もうすぐ着くって。
島田:(M)男性陣でマトモなのは俺だけか。ま、その方がいいか。俺が有利ってことだし。
愛音:あ、来た。麻衣ちゃーん、こっちだよー!
島田:さて、残る一人は・・・おおぅ!
麻衣:にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃー!
島田:(M)お母さーーん!また変な人が来たよーーう!
麻衣:お待たせして申し訳ないにゃ!
島田:(M)猫耳にシッポに猫語・・・間違いねえ!こいつはヤベー奴だ!
麻衣:初めまして、麻衣ですにゃ!
島田:(M)ま、まあ、まだコミュニケーションは取れそうかな?
島田:は、初めまして、島田です。
麻衣:アンタがずっと彼女が居ない「クソド陰キャ」の島田さんにゃね?
島田:ブチ殺すぞコラァ!
麻衣:この合コンで彼女を見つけるつもりかもしれにゃいけど、誰もアンタみたいな「ドスケベ・ド陰キャ」の相手なんかしないにゃよ。残念でしたにゃ!
島田:(M)(ちょっと泣きながら)俺、何で初対面の人に、こんなひどいこと言われなきゃいけないんだろう・・・
愛音:麻衣ちゃん、今日も可愛いね。
麻衣:ありがとうにゃ!愛音にゃんも、いつもよりはマシにゃよ!
島田:(M)確かにカワイイけど、性格は最悪だな。猫語のクセに毒舌って・・・
麻衣:そういえば由香にゃんは?
愛音:今日来れないんだって。
麻衣:にゃにゃにゃ!!どうしてにゃ!ハッ!まさか島田にゃん、由香にゃんに何かしたにゃね!
島田:何で全員一回俺を疑うんだよ!
麻衣:由香にゃんを返すにゃ!
島田:知らねえよ!
愛音:すいません、麻衣ちゃん、由香子ちゃんに会いたかったみたいで。
島田:へ?
愛音:由香子ちゃん、春人くんとさっくんの前は麻衣ちゃんと付き合ってて・・・
島田:(M)はあ!?何ソレどう言うこと!?・・・そういえばアイツ、「女の子もいける」とか言ってたっけか。
島田:(M)結局今回のメンバー、由香子の元カレと元カノかよ・・・ん?待てよ・・・
島田:愛音ちゃん。
愛音:どうしたんですか?
島田:まさかとは思うんだけど、愛音ちゃんも、その・・・由香子と・・・
愛音:あっ!違います!私は由香子ちゃんと付き合ってませんよ!
島田:だ、だよねー!(M)良かったー!
朔:おい、麻衣。由香子の事は諦めろ。アイツはもう、俺の女だ。
麻衣:何を言ってるにゃ!
春人:麻衣、これは決まった事なんだ。俺たちの、命を賭けた戦いでな!
島田:ジャンケンだけどな。
麻衣:馬鹿な事言わないでにゃ!由香にゃんは渡さないにゃ!私は由香にゃんの事を、別れてからも毎日百件以上LINE送るくらい愛してるんにゃ!
島田:それただの迷惑だからね!?
麻衣:三日続けたらブロックされたにゃ!
島田:当たり前だ!
麻衣:しょうがないにゃら、SNSでDMを送り続けにゃ!それもブロックされたにゃ!
島田:諦めろよ・・・
麻衣:ブロックされる度にアカウント作ってたら、アカウント五十個くらいになったにゃ!
島田:その執念こわっ!
麻衣:でもすぐに私ってバレるにゃ。最初に「初めましてにゃー」って送ったら何故か即ブロックされるにゃ!
島田:うん、その「にゃー」のせいだと思うよ。
春人:フッ、まだまだ甘いな。
麻衣:何がにゃ!
春人:俺は別れてからも、由香子の家に毎日押しかけた!正面はオートロックで入れなかったから、ベランダをよじ登ってなあ!
島田:それ自慢にならないからね!?ただの犯罪だからね!?
春人:しかも由香子の部屋は・・・六階だあ!
島田:よく登ったなあ!?
愛音:春人君、すごおい・・・
島田:確かにすごいっちゃすごいけど・・・
春人:ククク、最終的には警察まで呼ばれたんだぞ!
島田:ただのアホだ・・・
麻衣:ま、負けたにゃ!
島田:迷惑行為で競うな!
朔:お、俺は・・・
島田:何だあ?お前も何かやらかしてんのか?
朔:由香子が、ファミレスで使った爪楊枝(つまようじ)を、今でも持ち歩いている!
島田:エピソード弱っ!でも地味に気持ち悪っ!
春人:ま、負けたあ!
麻衣:完敗にゃあ!
島田:それ審査基準どうなってんの!?
愛音:じゃあ、そろそろ店の中入ろっか。
島田:既にお腹いっぱいだよ・・・
春人:ぐあああ!右手が、右手が熱い!
朔:ドアを開ける時は気をつけろ!クレイモアが仕掛けてあるかもしれん!
麻衣:にゃにゃにゃにゃにゃー、お腹すいたにゃー。不味(まず)そうな店だけど、我慢するにゃー。
島田:(M)ああ、これがいわゆる「キャラが渋滞してる」ってやつかあ。うーん、不安だ。
愛音:ゴメンなさい、島田さん。
島田:え?
愛音:皆ちょっと変わってるけど、悪い人達じゃないんです。だから、仲良くしてあげて下さい。
島田:そ、そうですか。分かりました。
島田:(M)本当に優しい子だなあ。こんな変態共を庇うなんて。よし!他の三人はどうでも良い!何とか愛音ちゃんとお近づきになる事に集中しよう!
0:店内
島田:お前、店内ではグラサン外せよ。
朔:ありがとう、大丈夫だ。
島田:何が大丈夫なんだ?
春人:おい、島田。
島田:(舌打ち)出会ったばかりなのに呼び捨てか?何だよ?
春人:お前、まだ帰らないのか?
島田:何でだよ!?まだ店に入っただけじゃねえか!
愛音:え?帰っちゃうんですか?
島田:帰らない!帰らないよ!
春人:財布だけ置いて、帰って良いんだぞ?
島田:俺に何の得があるんだよ!?
春人:財布を置いて帰るならば、由香子を殺した件、無かったことにしてやっても良い。
島田:そんなんで殺人が許されるの!?てか、殺してないわっ!
朔:島田、お前の両親が危篤(きとく)らしい!すぐ帰れ!
島田:縁起でもない嘘付くんじゃねえ!
愛音:えっ!ご両親が!?大変!
島田:愛音ちゃん、信じくて良いから。
麻衣:あれ?島田にゃん、もう帰っちゃったのにゃん?
島田:目の前にいるだろうが!何で皆して俺を帰らせようとするんだよ!
愛音:麻衣ちゃん、何言ってるの?島田さんここにいるじゃない?
島田:愛音ちゃん、真面目・・・
愛音:みんな、とりあえず座りましょう。
島田:いてっ!お前のスナイパーライフル邪魔なんだよ。ここに置いとくぞ。
朔:どさくさに紛れて、盗むつもりじゃないだろうな?
島田:いるか、こんなもん。
朔:こ、こんなもん・・・
島田:よいしょっと。
麻衣:島田にゃん、さりげなく愛音にゃんの隣に座ったにゃね!
島田:え!いや、別に狙ったわけじゃないよ!
愛音:そうなんですか?
島田:え?
愛音:私、もっと島田さんとお話して、仲良くなりたいなあと思ってたんですけど?
島田:それは俺だって!だからこうして隣に座って・・・
麻衣:やっぱり!このド変態・ドスケベ・ド陰キャ!
島田:いちいち単語を増やすな!
麻衣:愛音にゃん!もし触られたりしたらすぐに言うにゃんよ!私がこの爪で目玉を抉(えぐ)り出してやるにゃん!
島田:言ってる事エッグいんですけど!
愛音:麻衣ちゃん、ほどほどにね?
島田:ほどほど!?
麻衣:シャーー!
島田:獲物を狙う体制に入るな!
朔:ところで島田、まだ帰らなくて良いのか?
島田:しつこいな!帰らないっての!
春人:今帰るなら、貴様に百万やろう!
島田:マジで!?本当なら帰るよ!?
春人:嘘だ!!
島田:だろうね!!
島田:(小声で)愛音ちゃんとLINE交換するまで、帰れるかっての。
麻衣:愛音にゃんとLINE交換!?やっぱり愛音にゃんを狙ってるにゃね!?
島田:ゲッ!聞こえてたのか?
麻衣:猫の聴覚は人間の八倍にゃよー。
島田:お前のは付け耳だろうが!
愛音:島田さん、飲み物何にします?
島田:ありがとう、愛音ちゃん。えーっと、どうしようかなー?愛音ちゃんは何飲むの?
愛音:私はオレンジジュースで。
島田:あんまりお酒飲めないの?
愛音:はい、すごく弱いんです。
島田:そうなんだ。俺もあんまり飲めないからさ、助かるよ。
愛音:そうなんですか?良かった。
島田:(M)ホントはそんな事ないけど、ここは合わせておかなきゃな。
麻衣:「ホントはそんな事ないけど、ここは合わせておかなきゃな」島田にゃん、嘘はダメにゃよ!
島田:なっ!お前、何で俺の心の声まで聞こえるんだよ!?
麻衣:猫の聴覚は人間の八倍にゃよー
島田:聴力の問題じゃねえ!
麻衣:「オレンジジュースに睡眠薬を入れて、そのままお持ち帰りしちゃおー」な、何にゃってー!?
島田:そんな事考えてねえよ!
愛音:じゃあ、カンパーイ。
島田:カンパーイ。
春人:完敗だ。俺の・・・負けだ!
朔:ククク・・・トリカブトが入っているのはどのグラスかな?
麻衣:にゃんぱーい。めっちゃマズそうだにゃー。にゃははははは!
島田:乾杯ぐらい普通にできないかね・・・
愛音:(少し飲んで)あ、あれ?
島田:どうしたの?
愛音:このオレンジジュース、ちょっと味がおかしくて・・・
島田:えっ?(愛音のグラスを少し飲む)あ、これカシスオレンジじゃん!間違えて持ってきたな?
春人:(同時に)え?
朔:(同時に)え?
麻衣:(同時に)え?
愛音:・・・
島田:愛音ちゃん、大丈夫?
麻衣:島田さん、島田さん、マズイですよ。愛音さんにお酒を飲ませたら・・・
島田:え?ってか、普通に喋れるんじゃん。
朔:いや、マジでヤバいんすよ、島田さん!
島田:お、お前もか・・・
春人:島田殿ー、これはマズいナリよー!
島田:ん?君はそれが素なのか?
愛音:・・・フォー
島田:へ?
愛音:ホアチャー!
朔:あべしっ!
島田:な、何?愛音ちゃんが、さっくんを殴り飛ばしたあ!?
麻衣:愛音さんは、酔拳の達人なんです!
春人:酔えば酔うほど強くなるナリよ!
島田:何その設定!?
愛音:フォー・・・
春人:愛音さん、落ち着くナリ!
愛音:ホアッチャー!
春人:ひでぶっ!
麻衣:愛音さん、もう良い加減に・・・
愛音:ワタアッ!
麻衣:ぶべらっ!
島田:あ・・・あ・・・
愛音:フォー・・・
島田:(N)愛音ちゃんは軽快なフットワークで俺に迫ってくる。もう、逃げられない。
愛音:ホワア・・・
島田:愛音ちゃん・・・
愛音:アチャー!
島田:君が好きだ!
愛音:っ!
島田:(N)愛音ちゃんの拳は、俺の顔まであと一インチの所で止まっていた。
島田:俺と・・・付き合って下さい!
愛音:・・・島田、さん?私・・・私も!
島田:愛音ちゃん!正気に(戻ったんだね)
愛音:(被せて)ホアタアッ!!
島田:にょわあああ!
島田:(N)俺は薄れ行く意識の中でこう思った。「財布を置いて、帰れば良かった」と・・・
0:完
島田:お、この店か。(辺りを見回し)まだ、誰も来てないかな?一旦、店の前で待ち合わせだよね?
島田:合コンなんていつ以来だろ?前の彼女と別れてからしばらく経つし、そろそろ彼女欲しいよなー。
0:島田のスマホに着信が入る。
島田:お、電話だ。はい、もしもし・・・由香子(ゆかこ)?・・・うん、今着いたとこ・・・うん・・・うん・・・え?来れない?だってお前、幹事だろ?・・・
島田:いや、急用って・・・今日来るお前の知り合いだろ?俺、全員初対面なんだぞ!大体、お前いなかったら、男が一人余っちまうじゃん!・・・もしもし?・・・もしもーし!
島田:切りやがった・・・どうしよう?俺誰も顔分かんないのに。
愛音:あの、ひょっとして島田さん、ですか?
島田:え?
愛音:初めまして、愛音です。今日は宜しくお願いします!
島田:あ、どうも初めまして!島田です、宜しく。
島田:(M)ヤバッ、この子めっちゃカワイイ!
愛音:由香子ちゃん、まだ来てないですか?
島田:それが・・・由香子、来れなくなったみたいで。
愛音:ええっ!そうなんですか?(スマホを取り出し確認する)あ!私にもLINE来てました。
島田:アイツ、幹事なのにねえ。
愛音:きっと、とっても大事な用事なんですよ。由香子ちゃん、残念だっただろうなあ。
島田:(M)カワイイだけじゃなくて優しいんだなあ。もう好きになりそう。いや、もうこれなってるな。
愛音:島田さん?
島田:ああ、すいません!俺今日のメンバー初対面の人ばっかりなんで、声掛けてもらえて助かりました。
愛音:そうでしたか。他のメンバーも知り合いだから、私分かりますよ。
島田:良かった。
愛音:島田さん、優しい方みたいで、安心しました。
島田:そう見えますか?まだ分かりませんよお?
愛音:(少し笑う)わかります。それに、由香子ちゃんに聞いた通りだったし。
島田:えっ?由香子、俺の事何て言ってるんですか?怖いなあ。
愛音:その・・・すごく、カッコ良い人だって・・・
島田:え?
愛音:・・・
島田:・・・
島田:(M)なになになあに。良い雰囲気じゃない。もうこのまま、二人でどっか行っちゃっても良いんじゃないかなあ。他の人はほっといて。
愛音:あ、来た。
島田:(舌打ち)来なくて良いのに。
愛音:何か言いました?
島田:い、いや、何も。
愛音:おーい、春人くん、こっちー!
春人:・・・
島田:(M)ん?この人、右手に包帯巻いてる?怪我でもしてるのか?
愛音:春人君、久しぶり!島田さん、こちら春人くんです。
島田:どうも初めまして、島田です。
春人:こんな所に呼び出して、一体どう言うつもりだ?
島田:へ?
春人:そうか、ようやく決着をつける気になったんだな。
島田:あの、何の話かさっぱり・・・
春人:言っとくけど俺、アンタより強いぜ。
島田:何が!?
春人:さあ・・・始めようか!
島田:だから何を!?
愛音:春人くん、ここすぐ分かった?
春人:ついに、この右手の封印を解く時が来たようだな。
愛音:弟さん元気?
春人:チッ、もう疼(うず)いてやがるぜ!
愛音:一緒にご飯食べるのって、いつ振りだっけ?
春人:封印されし龍よ、盟約に従いここに顕現(けんげん)せよ!
島田:(M)えっと・・・俺はどう言う気持ちでこれを見ていたら良いんだろう?会話が全然成立してないじゃん。
島田:(M)コイツはアレか、厨二病ってやつか。あの右手の包帯は、何かドラゴン的なやつを封印してる設定なんだな。この歳でこういう人種と出会うとは・・・一体どう接したら良いんだ?
愛音:今日ね、由香子ちゃん来れないんだって。
春人:何だと!くっ!これも全て、お前の仕業(しわざ)か!
島田:え、俺?知らねえよ!!
愛音:春人くん、由香子ちゃんに会いたがってたんです。
島田:そうなんですか?
愛音:はい。春人くん、前に由香子ちゃんと付き合ってて・・・
島田:(M)ええっ!?アイツ、こんなのと付き合ってたの!?男の趣味悪っ!
愛音:春人くん、まだ由香子ちゃんの事好きみたいで、何とかヨリを戻したいんです。
島田:は、はあ。
春人:俺はアンタを許さねえ!どこまでも追いかけてやる!この顔、忘れんじゃねえぞ!
島田:(M)その顔、今すぐ忘れたいよ・・・
愛音:他の皆はまだかなあ・・・あ、アレ、さっくんじゃない?
春人:そのようだな。また命知らずが一人、この地獄にやって来たってわけだ。
島田:(M)えーっと、さっくんというのはどの人かなあ・・・んんうぅぅ!?まさか、アレじゃないよね!?
島田:(M)あそこにいる、真っ黒なスーツ着て、サングラス掛けて、肩にスナイパーライフル担(かつ)いでる奴じゃないよね!?
朔:待たせたな。
島田:(M)まさか、とは思ったけど、やっばりソイツだった!
春人:遅かったな。また厄介事に巻き込まれたんじゃないかと思って心配したぜ。
朔:すまない。尾行を撒(ま)くのに手間取ってな。
島田:(M)やっぱりコイツもこういうキャラか!
愛音:彼は朔君。みんなは「さっくん」って呼んでます。
朔:宜しく。
島田:は、初めまして。由香子の友達の島田です。今日は・・・
朔:危ない!
0:朔、島田を突き飛ばす。
島田:あいたっ!
朔:気をつけろ!向かいのビルからスナイパーが狙ってる。
島田:てめえ、いきなり何しやがんだ!肘擦り剥いた(すりむいた)じゃねえか!
朔:礼には及ばん。
島田:(M)くっ!人前じゃなければ、思いっきり殴ってやるのに。
愛音:島田さん、大丈夫ですか?(擦り剥いた肘を見て)大変!血が出てます!
島田:あ、ホントだ。でも大丈夫、大したことないよ。
愛音:ダメです!バイ菌が入ったらどうするんですか?私、絆創膏(ばんそうこう)持ってるから、貼っておきますね。
島田:あ、ありがとう。
島田:(M)ホンマにええ子やないかあー。こんな子が彼女だったら、毎日ハッピーだろうなあ・・・あ、すごい良い匂いする。
朔:そういえば由香子は?
愛音:急用で来れなくなったんだって。
朔:何!まさか・・・貴様、由香子を抹殺したのか!?
島田:何でだよ!?ちゃんと生きとるわ!
春人:何っ!?由香子を殺しただとぉ!?
島田:ややこしいから乗っかってくるな!!
朔:島田あああああ!
島田:うるせえ!
愛音:すいません、さっくん、由香子ちゃんが来れないのがショックみたいで。
島田:えっ?まさか・・・
愛音:由香子ちゃん、春人くんの前はさっくんと付き合ってて・・・
島田:(M)またか!アイツの男性遍歴どうなってんだ!?ってか、合コンに元カレばっか呼んでんじゃねえよ!
春人:言っておくが、由香子は俺の物だ。それを忘れるな!
朔:ふざけるな!由香子は俺の女だ!
春人:俺のだ!
朔:俺だ!
春人:・・・やるか?
朔:望む所だ!
春人:ハハッ、右手の封印を解くぜ!もう俺にも止められねえ!
朔:その前に・・・貴様の眉間を撃ち抜いてやろう!
島田:何だ?何が始まるんだ?
春人:(同時に)うおおおおお!
朔:(同時に)うおおおおお!
愛音:ちょっと二人とも、暴力は・・・
春人:(同時に)ジャンケンポン!
朔:(同時に)ジャンケンポン!
島田:ジャンケンかよ!平和だなオイ!
朔:よーし、勝ったあ!これで由香子は、俺の物だあ!
春人:くっ!俺の負けだ!由香子はくれてやる!お前の好きにするが良い!
島田:ジャンケン勝ったぐらいで好きにできるか!本人居ないからって好き勝手言ってんじゃねえよ。
朔:そういえば麻衣は?アイツも攫われ(さらわれ)たのか?
春人:もしかしたら、次元の狭間(はざま)に閉じ込められてるのかもしれねえ。
愛音:大丈夫。さっきLINEあった。もうすぐ着くって。
島田:(M)男性陣でマトモなのは俺だけか。ま、その方がいいか。俺が有利ってことだし。
愛音:あ、来た。麻衣ちゃーん、こっちだよー!
島田:さて、残る一人は・・・おおぅ!
麻衣:にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃー!
島田:(M)お母さーーん!また変な人が来たよーーう!
麻衣:お待たせして申し訳ないにゃ!
島田:(M)猫耳にシッポに猫語・・・間違いねえ!こいつはヤベー奴だ!
麻衣:初めまして、麻衣ですにゃ!
島田:(M)ま、まあ、まだコミュニケーションは取れそうかな?
島田:は、初めまして、島田です。
麻衣:アンタがずっと彼女が居ない「クソド陰キャ」の島田さんにゃね?
島田:ブチ殺すぞコラァ!
麻衣:この合コンで彼女を見つけるつもりかもしれにゃいけど、誰もアンタみたいな「ドスケベ・ド陰キャ」の相手なんかしないにゃよ。残念でしたにゃ!
島田:(M)(ちょっと泣きながら)俺、何で初対面の人に、こんなひどいこと言われなきゃいけないんだろう・・・
愛音:麻衣ちゃん、今日も可愛いね。
麻衣:ありがとうにゃ!愛音にゃんも、いつもよりはマシにゃよ!
島田:(M)確かにカワイイけど、性格は最悪だな。猫語のクセに毒舌って・・・
麻衣:そういえば由香にゃんは?
愛音:今日来れないんだって。
麻衣:にゃにゃにゃ!!どうしてにゃ!ハッ!まさか島田にゃん、由香にゃんに何かしたにゃね!
島田:何で全員一回俺を疑うんだよ!
麻衣:由香にゃんを返すにゃ!
島田:知らねえよ!
愛音:すいません、麻衣ちゃん、由香子ちゃんに会いたかったみたいで。
島田:へ?
愛音:由香子ちゃん、春人くんとさっくんの前は麻衣ちゃんと付き合ってて・・・
島田:(M)はあ!?何ソレどう言うこと!?・・・そういえばアイツ、「女の子もいける」とか言ってたっけか。
島田:(M)結局今回のメンバー、由香子の元カレと元カノかよ・・・ん?待てよ・・・
島田:愛音ちゃん。
愛音:どうしたんですか?
島田:まさかとは思うんだけど、愛音ちゃんも、その・・・由香子と・・・
愛音:あっ!違います!私は由香子ちゃんと付き合ってませんよ!
島田:だ、だよねー!(M)良かったー!
朔:おい、麻衣。由香子の事は諦めろ。アイツはもう、俺の女だ。
麻衣:何を言ってるにゃ!
春人:麻衣、これは決まった事なんだ。俺たちの、命を賭けた戦いでな!
島田:ジャンケンだけどな。
麻衣:馬鹿な事言わないでにゃ!由香にゃんは渡さないにゃ!私は由香にゃんの事を、別れてからも毎日百件以上LINE送るくらい愛してるんにゃ!
島田:それただの迷惑だからね!?
麻衣:三日続けたらブロックされたにゃ!
島田:当たり前だ!
麻衣:しょうがないにゃら、SNSでDMを送り続けにゃ!それもブロックされたにゃ!
島田:諦めろよ・・・
麻衣:ブロックされる度にアカウント作ってたら、アカウント五十個くらいになったにゃ!
島田:その執念こわっ!
麻衣:でもすぐに私ってバレるにゃ。最初に「初めましてにゃー」って送ったら何故か即ブロックされるにゃ!
島田:うん、その「にゃー」のせいだと思うよ。
春人:フッ、まだまだ甘いな。
麻衣:何がにゃ!
春人:俺は別れてからも、由香子の家に毎日押しかけた!正面はオートロックで入れなかったから、ベランダをよじ登ってなあ!
島田:それ自慢にならないからね!?ただの犯罪だからね!?
春人:しかも由香子の部屋は・・・六階だあ!
島田:よく登ったなあ!?
愛音:春人君、すごおい・・・
島田:確かにすごいっちゃすごいけど・・・
春人:ククク、最終的には警察まで呼ばれたんだぞ!
島田:ただのアホだ・・・
麻衣:ま、負けたにゃ!
島田:迷惑行為で競うな!
朔:お、俺は・・・
島田:何だあ?お前も何かやらかしてんのか?
朔:由香子が、ファミレスで使った爪楊枝(つまようじ)を、今でも持ち歩いている!
島田:エピソード弱っ!でも地味に気持ち悪っ!
春人:ま、負けたあ!
麻衣:完敗にゃあ!
島田:それ審査基準どうなってんの!?
愛音:じゃあ、そろそろ店の中入ろっか。
島田:既にお腹いっぱいだよ・・・
春人:ぐあああ!右手が、右手が熱い!
朔:ドアを開ける時は気をつけろ!クレイモアが仕掛けてあるかもしれん!
麻衣:にゃにゃにゃにゃにゃー、お腹すいたにゃー。不味(まず)そうな店だけど、我慢するにゃー。
島田:(M)ああ、これがいわゆる「キャラが渋滞してる」ってやつかあ。うーん、不安だ。
愛音:ゴメンなさい、島田さん。
島田:え?
愛音:皆ちょっと変わってるけど、悪い人達じゃないんです。だから、仲良くしてあげて下さい。
島田:そ、そうですか。分かりました。
島田:(M)本当に優しい子だなあ。こんな変態共を庇うなんて。よし!他の三人はどうでも良い!何とか愛音ちゃんとお近づきになる事に集中しよう!
0:店内
島田:お前、店内ではグラサン外せよ。
朔:ありがとう、大丈夫だ。
島田:何が大丈夫なんだ?
春人:おい、島田。
島田:(舌打ち)出会ったばかりなのに呼び捨てか?何だよ?
春人:お前、まだ帰らないのか?
島田:何でだよ!?まだ店に入っただけじゃねえか!
愛音:え?帰っちゃうんですか?
島田:帰らない!帰らないよ!
春人:財布だけ置いて、帰って良いんだぞ?
島田:俺に何の得があるんだよ!?
春人:財布を置いて帰るならば、由香子を殺した件、無かったことにしてやっても良い。
島田:そんなんで殺人が許されるの!?てか、殺してないわっ!
朔:島田、お前の両親が危篤(きとく)らしい!すぐ帰れ!
島田:縁起でもない嘘付くんじゃねえ!
愛音:えっ!ご両親が!?大変!
島田:愛音ちゃん、信じくて良いから。
麻衣:あれ?島田にゃん、もう帰っちゃったのにゃん?
島田:目の前にいるだろうが!何で皆して俺を帰らせようとするんだよ!
愛音:麻衣ちゃん、何言ってるの?島田さんここにいるじゃない?
島田:愛音ちゃん、真面目・・・
愛音:みんな、とりあえず座りましょう。
島田:いてっ!お前のスナイパーライフル邪魔なんだよ。ここに置いとくぞ。
朔:どさくさに紛れて、盗むつもりじゃないだろうな?
島田:いるか、こんなもん。
朔:こ、こんなもん・・・
島田:よいしょっと。
麻衣:島田にゃん、さりげなく愛音にゃんの隣に座ったにゃね!
島田:え!いや、別に狙ったわけじゃないよ!
愛音:そうなんですか?
島田:え?
愛音:私、もっと島田さんとお話して、仲良くなりたいなあと思ってたんですけど?
島田:それは俺だって!だからこうして隣に座って・・・
麻衣:やっぱり!このド変態・ドスケベ・ド陰キャ!
島田:いちいち単語を増やすな!
麻衣:愛音にゃん!もし触られたりしたらすぐに言うにゃんよ!私がこの爪で目玉を抉(えぐ)り出してやるにゃん!
島田:言ってる事エッグいんですけど!
愛音:麻衣ちゃん、ほどほどにね?
島田:ほどほど!?
麻衣:シャーー!
島田:獲物を狙う体制に入るな!
朔:ところで島田、まだ帰らなくて良いのか?
島田:しつこいな!帰らないっての!
春人:今帰るなら、貴様に百万やろう!
島田:マジで!?本当なら帰るよ!?
春人:嘘だ!!
島田:だろうね!!
島田:(小声で)愛音ちゃんとLINE交換するまで、帰れるかっての。
麻衣:愛音にゃんとLINE交換!?やっぱり愛音にゃんを狙ってるにゃね!?
島田:ゲッ!聞こえてたのか?
麻衣:猫の聴覚は人間の八倍にゃよー。
島田:お前のは付け耳だろうが!
愛音:島田さん、飲み物何にします?
島田:ありがとう、愛音ちゃん。えーっと、どうしようかなー?愛音ちゃんは何飲むの?
愛音:私はオレンジジュースで。
島田:あんまりお酒飲めないの?
愛音:はい、すごく弱いんです。
島田:そうなんだ。俺もあんまり飲めないからさ、助かるよ。
愛音:そうなんですか?良かった。
島田:(M)ホントはそんな事ないけど、ここは合わせておかなきゃな。
麻衣:「ホントはそんな事ないけど、ここは合わせておかなきゃな」島田にゃん、嘘はダメにゃよ!
島田:なっ!お前、何で俺の心の声まで聞こえるんだよ!?
麻衣:猫の聴覚は人間の八倍にゃよー
島田:聴力の問題じゃねえ!
麻衣:「オレンジジュースに睡眠薬を入れて、そのままお持ち帰りしちゃおー」な、何にゃってー!?
島田:そんな事考えてねえよ!
愛音:じゃあ、カンパーイ。
島田:カンパーイ。
春人:完敗だ。俺の・・・負けだ!
朔:ククク・・・トリカブトが入っているのはどのグラスかな?
麻衣:にゃんぱーい。めっちゃマズそうだにゃー。にゃははははは!
島田:乾杯ぐらい普通にできないかね・・・
愛音:(少し飲んで)あ、あれ?
島田:どうしたの?
愛音:このオレンジジュース、ちょっと味がおかしくて・・・
島田:えっ?(愛音のグラスを少し飲む)あ、これカシスオレンジじゃん!間違えて持ってきたな?
春人:(同時に)え?
朔:(同時に)え?
麻衣:(同時に)え?
愛音:・・・
島田:愛音ちゃん、大丈夫?
麻衣:島田さん、島田さん、マズイですよ。愛音さんにお酒を飲ませたら・・・
島田:え?ってか、普通に喋れるんじゃん。
朔:いや、マジでヤバいんすよ、島田さん!
島田:お、お前もか・・・
春人:島田殿ー、これはマズいナリよー!
島田:ん?君はそれが素なのか?
愛音:・・・フォー
島田:へ?
愛音:ホアチャー!
朔:あべしっ!
島田:な、何?愛音ちゃんが、さっくんを殴り飛ばしたあ!?
麻衣:愛音さんは、酔拳の達人なんです!
春人:酔えば酔うほど強くなるナリよ!
島田:何その設定!?
愛音:フォー・・・
春人:愛音さん、落ち着くナリ!
愛音:ホアッチャー!
春人:ひでぶっ!
麻衣:愛音さん、もう良い加減に・・・
愛音:ワタアッ!
麻衣:ぶべらっ!
島田:あ・・・あ・・・
愛音:フォー・・・
島田:(N)愛音ちゃんは軽快なフットワークで俺に迫ってくる。もう、逃げられない。
愛音:ホワア・・・
島田:愛音ちゃん・・・
愛音:アチャー!
島田:君が好きだ!
愛音:っ!
島田:(N)愛音ちゃんの拳は、俺の顔まであと一インチの所で止まっていた。
島田:俺と・・・付き合って下さい!
愛音:・・・島田、さん?私・・・私も!
島田:愛音ちゃん!正気に(戻ったんだね)
愛音:(被せて)ホアタアッ!!
島田:にょわあああ!
島田:(N)俺は薄れ行く意識の中でこう思った。「財布を置いて、帰れば良かった」と・・・
0:完