台本概要
454 views
タイトル | GO!KON!(Ver.1.01) |
---|---|
作者名 | Oroるん (@Oro90644720) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 5人用台本(男3、女2) |
時間 | 40 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
合コンに集まるカオスな面々 ・アドリブ可です ・同名台本の配役入れ替え版です 454 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
麻衣 | 女 | 154 | まい |
島田 | 男 | 77 | しまだ |
朔 | 男 | 41 | さく |
春人 | 男 | 31 | はると |
愛音 | 女 | 36 | あまね |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
麻衣:えーっと・・・あ、あった、このお店だ。(辺りを見回し)まだ、誰も来てないかな?一旦、店の前で待ち合わせだよね?
麻衣:合コンなんていつ振りかなあ?前の彼氏と別れてからしばらく経つし、そろそろ新しい恋愛したいなあ。
0:麻衣のスマホに着信が入る。
麻衣:あ、電話だ。はい、もしもし・・・由香子(ゆかこ)ちゃん?・・・うん、今お店の前だよ・・・うん・・・うん・・・え?来れない?だって由香子ちゃん幹事じゃん?・・・いや、急用って・・・
麻衣:今日来るの由香子ちゃんの知り合いでしょ?私、全員初対面なんだよ!大体、由香子ちゃんいなかったら、女子が一人足りないじゃん!・・・もしもし?聞いてる?・・・もしもし!もしもーし!
麻衣:切れちゃった・・・えー、どうしよう?私誰も顔分かんないのに。
島田:あの、ひょっとして麻衣さん、ですか?
麻衣:え?(M)誰!?この爽やかイケメン!?
島田:初めまして、島田です。今日は宜しくお願いします!
麻衣:あ、どうも初めまして!麻衣です、宜しくお願いします。
麻衣:(M)ヤッヴァーい!めちゃタイプなんですけど!!
島田:(周りを見回して)由香子ちゃん、まだ来てないんですか?
麻衣:それが・・・由香子ちゃん、来れなくなったみたいで。
島田:ええっ!そうなんですか?(スマホを取り出し確認する)あ!僕にもLINE来てました。
麻衣:(苦笑いしながら)由香子ちゃん、幹事なのに・・・
島田:きっと、大事な用事なんですよ。由香子ちゃん、残念だっただろうなあ。
麻衣:(M)カッコ良いだけじゃなくて、優しいんだあ。もう好きになりそう。あ、ゴメン、もうなってる。
島田:麻衣さん?
麻衣:ああ、すいません!私今日のメンバー初対面の人ばっかりなんで、声掛けてもらえて助かりました。
島田:そうでしたか。他のメンバーも知り合いだから、僕分かりますよ。
麻衣:良かった。
島田:麻衣さん、由香子ちゃんに聞いた通りだな・・・
麻衣:えっ?由香子ちゃん、私の事何て言ってるんですか?怖いなあ。
島田:えーと・・・
麻衣:あ、やっぱり悪口なんですね?もう、由香子ちゃんったら・・・
島田:その!・・・すごく・・・可愛い子だって・・・
麻衣:え?
島田:・・・
麻衣:・・・
島田:あのっ!
麻衣:ひゃい!
島田:出会ったばかりで、いきなりこんな事言って良いのか分からないんですけど・・・
麻衣:は、はい・・・
島田:ぼ、僕、麻衣さんの事が
麻衣:わ、私の事が・・・?
島田:す、す・・・
麻衣:(M)キター!!すんごい急展開だけど、この国宝級のイケメンなら何でもウェルカム!!
島田:す、す・・・
麻衣:す、す?(M)さあ、後は「き」を言うだけよ!
島田:す、す・・・
麻衣:(M)カマーン!!
島田:あ、来た。
麻衣:へ?
島田:おーい、さっくん、こっちー!
麻衣:あ、あああの島田さん!?
島田:何ですか?
麻衣:その、いま何か言いかけてましたよね!?
島田:ああ、その話はまた後で。
麻衣:(M)えーー!?そこまで言っといてお預け!?
島田:さっくん、久しぶり。
麻衣:(M)ま、まあ、やっぱり二人っきりじゃないとね。まだチャンスはあるっしょ。
朔:・・・
島田:彼は朔君。皆は「さっくん」って呼んでます。
麻衣:(M)あれ?この人、右手に包帯巻いてる。怪我でもしてるのかしら?
島田:さっくん、こちらは麻衣さん。
麻衣:どうも初めまして、麻衣です。
朔:こんな所に呼び出して、一体どう言うつもりだ?
麻衣:へ?
朔:そうか、ようやく決着をつける気になったんだな。
麻衣:あの、何の話かさっぱり・・・
朔:言っとくけど俺、アンタより強いぜ。
麻衣:何が!?
朔:さあ・・・始めようか!
麻衣:だから何を!?
島田:ホント久しぶりだね。
朔:ついに、この右手の封印を解く時が来たようだな。
島田:この前、教えてもらった店行ったんだけどさ、すっごく、美味しかったよ!
朔:チッ、もう疼(うず)いてやがるぜ!
島田:そういえば、引っ越したんだっけ?
朔:封印されし龍よ、盟約に従いここに顕現(けんげん)せよ!
麻衣:(M)えっと・・・私はどう言う気持ちでこれを見ていたら良いんだろう?会話が全然成立してないじゃん。
麻衣:(M)この人はアレか、厨二病ってやつね。あの右手の包帯は、何かドラゴン的なやつを封印してる設定なんだわ。この歳でこういう人種と出会うとは・・・どうやってコミュニケーションを取ったら良いんだろう?
島田:今日、由香子ちゃん来れないんだってさ。
朔:何だと!くっ!これも全て、貴様の仕業(しわざ)か!
麻衣:え、私?知らないわよ!!
島田:さっくん、由香子ちゃんに会いたがってたんです。
麻衣:そうなんですか?
島田:はい。さっくん、前に由香子ちゃんと付き合ってて・・・
麻衣:(M)ええっ!?由香子ちゃん、こんなのと付き合ってたの!?男の趣味悪っ!
島田:さっくん、まだ由香子ちゃんの事好きみたいで、何とかヨリを戻したいんです。
麻衣:は、はあ。
朔:俺はアンタを許さねえ!どこまでも追いかけてやる!この顔、忘れんじゃねえぞ!
麻衣:(M)その顔、今すぐ忘れたいよ・・・
島田:他の皆はまだかなあ・・・あ、アレ、春人くんじゃない?
朔:そのようだな。また命知らずが一人、この地獄にやって来たってわけだ。
麻衣:(M)えーっと、春人くんというのはどの人かなあ・・・んんうぅぅ!?まさか、あの人じゃないよね!?
麻衣:(M)あそこにいる、真っ黒なスーツ着て、サングラス掛けて、肩にスナイパーライフル担(かつ)いでる、あのイタイ人じゃないよね!?
春人:待たせたな。
麻衣:(M)そのイタイ人だった!
朔:遅かったな。また厄介事に巻き込まれたんじゃないかと思って心配したぜ。
春人:すまない。尾行を撒(ま)くのに手間取ってな。
麻衣:(M)やっぱりこういうキャラか!
島田:彼は春人君です。
春人:宜しく。
麻衣:は、初めまして。由香子ちゃんの友達の麻衣です。今日は・・・
春人:危ない!
0:春人、島田を突き飛ばす。
麻衣:あいたあっ!
春人:気をつけろ!向かいのビルからスナイパーが狙ってる。
麻衣:いきなり何すんのよ!肘擦り剥いた(すりむいた)じゃない!
春人:フッ、礼には及ばん・・・俺に、惚れるんじゃねえぞ?
麻衣:(M)くっ!人前じゃなければ、思いっきりビンタしてやるのに。
島田:麻衣さん、大丈夫ですか?(擦り剥いた肘を見て)あっ!血が出てる!
麻衣:あ、ホントだ・・・まあ、大した事ないですよ。
島田:ダメです!バイ菌でも入ったらどうするんですか?僕、絆創膏(ばんそうこう)持ってるから、貼っておきますね。
麻衣:あ、ありがとうございます。
麻衣:(M)す・て・きぃぃぃー!こんな人が彼氏だったら、毎日ハッピーだろうなあ・・・あ、すごい良い匂いする。
春人:そういえば由香子は?
島田:急用で来れなくなったんだってさ。
春人:何!まさか・・・貴様、由香子を抹殺したのか!?
麻衣:何でよ!?ちゃんと生きとるわ!
朔:何っ!?由香子を殺しただとぉ!?
麻衣:ややこしいから乗っかってこないで!!
春人:麻衣いいいいい!!
麻衣:うるさーーい!!
島田:すいません、春人くん、由香子ちゃんが来れないのがショックみたいで。
麻衣:えっ?まさか・・・
島田:由香子ちゃん、さっくんの前は春人くんと付き合ってて・・・
麻衣:(M)またか!あの子の男性遍歴どうなってんのよ!?ってか、合コンに元カレばっか呼ばないで!
朔:言っておくが、由香子は俺の物だ。それを忘れるな!
春人:ふざけるな!由香子は俺の女だ!
朔:俺のだ!
春人:俺だ!
朔:・・・やるか?
春人:望む所だ!
朔:ハハッ、右手の封印を解くぜ!もう俺にも止められねえ!
春人:その前に・・・貴様の眉間を撃ち抜いてやろう!
麻衣:何?何が始まるの?
朔:(同時に)うおおおおお!
春人:(同時に)うおおおおお!
島田:ちょっと二人とも、暴力は・・・
朔:(同時に)ジャンケンポン!
春人:(同時に)ジャンケンポン!
麻衣:ジャンケンかい!
春人:よーし、勝ったあ!これで由香子は、俺の物だあ!
朔:くっ!俺の負けだ!由香子はくれてやる!お前の好きにするが良い!
麻衣:ジャンケン勝ったぐらいで好きにできるか!本人居ないからって好き勝手言わないで!
春人:そういえば愛音は?アイツも攫われ(さらわれ)たのか?
朔:もしかしたら、次元の狭間(はざま)に閉じ込められてるのかもしれねえ。
島田:大丈夫。さっきLINEあった。もうすぐ着くって。・・・あ、来た。愛音ちゃーん、こっちだよー!
麻衣:さて、残る一人は・・・おおぅ!
愛音:にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃー!
麻衣:(M)お母さーーん!また変な人が来たよーーう!
愛音:お待たせして申し訳ないにゃ!
麻衣:(M)猫耳にシッポに猫語・・・間違いねえ!こいつはヤベー奴だ!
愛音:初めまして、愛音ですにゃ!
麻衣:(M)ま、まあ、まだコミュニケーションは取れそうかな?
麻衣:は、初めまして、麻衣です。
愛音:ああ、アンタがずーっと彼氏が居ない「ハイパー根暗女」の麻衣さんにゃね?
麻衣:ブチ殺すぞコラァ!
愛音:この合コンで彼氏を見つけるつもりかもしれにゃいけど、誰もアンタみたいな「ドブス・ド陰キャ女」の相手なんかしないにゃよ。残念でしたにゃ!
麻衣:(M)(ちょっと泣きながら)私、何で初対面の人に、こんなひどいこと言われなきゃいけないんだろう・・・
島田:愛音ちゃん、今日も可愛いね。
愛音:ありがとうにゃ!島田にゃんは、相変わらずド不細工にゃね!
島田:あははは。愛音ちゃんはキッツいなあ。
麻衣:(M)キィーー!このアマぁ、よりにもよって島田きゅんが「不細工」だとぅ!?このお美しい顔のどこが不細工になのよ!?いっぺん眼球ごと取り替えて来い、ボケェ!!
愛音:そういえば由香にゃんは?
島田:今日来れないんだって。
愛音:にゃにゃにゃ!!どうしてにゃ!ハッ!まさか麻衣にゃん、由香にゃんに何かしたにゃね!
麻衣:何で全員一回私を疑うの!
愛音:由香にゃんを返すにゃ!
麻衣:知らないわよ!
島田:すいません、愛音ちゃん、由香子ちゃんに会いたかったみたいで。
麻衣:へ?
島田:由香子ちゃん、さっくんと春人くんの前は愛音ちゃんと付き合ってて・・・
麻衣:(M)はあ!?何ソレどう言うこと!?・・・そういえばあの子、「女の子もいける」とか言ってたっけ。
麻衣:(M)結局今回のメンバー、由香子ちゃんの元カレと元カノじゃない・・・ん?待てよ・・・
麻衣:島田さん。
島田:どうしたんですか?
麻衣:まさかとは思うんですけど、島田さんも、その・・・由香子ちゃんと・・・
島田:あっ!違います!僕は由香子ちゃんと付き合ってませんよ!
麻衣:で、ですよねー!(M)良かったー!
春人:おい、愛音。由香子の事は諦めろ。アイツはもう、俺の女だ。
愛音:何を言ってるにゃ!
朔:愛音、これは決まった事なんだ。俺たちの、命を賭けた戦いでな!
麻衣:うん、ジャンケンだけどね。
愛音:馬鹿な事言わないでにゃ!由香にゃんは渡さないにゃ!私は由香にゃんの事を、別れてからも毎日百件以上LINE送るくらい愛してるんにゃ!
麻衣:それただの迷惑だからね!?
愛音:三日続けたらブロックされたにゃ!
麻衣:当たり前よ!むしろよく三日も我慢したなあ!
愛音:しょうがないにゃら、SNSでDMを送り続けにゃ!それもブロックされたにゃ!
麻衣:諦めようよ・・・
愛音:ブロックされる度にアカウント作ってたら、アカウント五十個くらいになったにゃ!
麻衣:その執念こわっ!
愛音:でもすぐに私ってバレるにゃ。最初に「初めましてにゃー」って送ったら何故か即ブロックされるにゃ!
麻衣:うん、その「にゃー」のせいだと思うよ。
朔:フッ、まだまだ甘いな。
愛音:何がにゃ!
朔:俺は別れてからも、由香子の家に毎日押しかけた!正面はオートロックで入れなかったから、ベランダをよじ登ってなあ!
麻衣:それ自慢にならないからね!?ただの犯罪だからね!?
朔:しかも由香子の部屋は・・・六階だあ!
麻衣:よく登ったね!
島田:さっくんすごいね!
麻衣:確かにすごいけど感心しちゃダメよ!
朔:ククク、最終的には警察まで呼ばれたんだぞ!
麻衣:何故ドヤ顔!?
愛音:ま、負けたにゃ!
麻衣:迷惑行為で競うな!
春人:お、俺は・・・
麻衣:何よ?あなたも何かやらかしてるの?
春人:由香子が、ファミレスで使った爪楊枝(つまようじ)を、今でも持ち歩いている!
麻衣:エピソード弱っ!でも地味に気持ち悪っ!
朔:ま、負けたあ!
愛音:完敗にゃあ!
麻衣:それ審査基準どうなってんの!?
島田:じゃあ、そろそろ店の中入ろっか。
麻衣:既にお腹いっぱいだよ・・・
朔:ぐあああ!右手が、右手が熱い!
春人:ドアを開ける時は気をつけろ!クレイモアが仕掛けてあるかもしれん!
愛音:にゃにゃにゃにゃにゃー、お腹すいたにゃー。不味(まず)そうな店だけど、我慢するにゃー。
麻衣:(M)ああ、これがいわゆる「キャラが渋滞してる」ってやつなのね。うーん、ものすごく不安だわ。
島田:ゴメンなさい、麻衣さん。
麻衣:え?
島田:皆ちょっと変わってるけど、悪い人達じゃないんです。だから、仲良くしてあげて下さい。
麻衣:そ、そうですか。分かりました。
麻衣:(M)島田きゅーーん、どうしてあなたはそんなに「エンジェル」なのですかあ?こんな軽犯罪者集団を庇うなんてえ。よし!他の三人はどうでも良いわ!何とか島田きゅんとお近づきになる事に集中しよう!
0:店内
麻衣:(他の客に対して)すいませーん、写真撮るの辞めてもらって良いですか?珍しいのは分かるんですけど、私達一般客なんでー。特に、私が写り込むように撮るのだけは、絶対!辞めてくださーい。
麻衣:コラ!アンタ達も調子に乗ってポーズ取らないの!
春人:そこ!目線をやろう。
麻衣:やめい!
朔:おい、麻衣。
麻衣:(舌打ち)出会ったばかりなのに下の名前で呼び捨てとか・・・何よ?
朔:お前、まだ帰らないのか?
麻衣:何でよ!?まだ店に入っただけでしょ!
島田:え?帰っちゃうんですか?
麻衣:帰りません!帰りませんよ!
朔:財布だけ置いて、帰って良いんだぞ?
麻衣:それ私に何の得があるの!?
朔:財布を置いて帰るならば、由香子を殺した件、無かったことにしてやっても良い。
麻衣:そんなんで殺人が許されるの!?てか、殺してないわっ!
春人:麻衣、お前の両親が危篤(きとく)らしい!すぐ帰れ!
麻衣:縁起でもない嘘付かないで!
島田:えっ!ご両親が!?大変だ!
麻衣:島田さん、信じくて良いですから。
愛音:あれ?麻衣にゃん、もう帰っちゃったのにゃん?
麻衣:目の前にいるでしょうが!何で皆して私を帰らせようとするの!
島田:愛音ちゃん、何言ってるんだい?麻衣さんここにいるじゃないか?
麻衣:島田さん、真面目・・・そんなところもス・キ。
島田:みんな、とりあえず座ろっか。
麻衣:あいたっ!(舌打ち)あなたのスナイパーライフル邪魔なのよ。ここに置いとくからね。
春人:どさくさに紛れて、盗むつもりじゃないだろうな?
麻衣:いるか、こんなもん。
春人:こ、こんなもん・・・
麻衣:よいしょっと。
愛音:麻衣にゃん、さりげなく島田にゃんの隣に座ったにゃね!
麻衣:え!いや、別に狙ったわけじゃないよ!
島田:そうなんですか?
麻衣:え?
島田:僕、もっと麻衣さんとお話して、仲良くなりたいなあと思ってたんですけど?
麻衣:それは私だって!だからこうして隣に座って・・・
愛音:やっぱり!この根暗!腹黒!ド変態!ドブス!ド陰キャ!
麻衣:そろそろ本気で泣いて良いかな?
愛音:島田にゃん!気をつけるにゃよ!このメスは島田にゃんを、ろ、籠絡(ろうらく)?する気にゃよ!
麻衣:よく分かんないなら難しい言葉使わない!
愛音:シャーー!
麻衣:獲物を狙う体制に入るな!
春人:ところで麻衣、まだ帰らなくて良いのか?
麻衣:しつこいな!帰らないわよ!
朔:今帰るなら、貴様に百万やろう!
麻衣:マジで!?本当なら帰るよ!?
朔:(全力で)嘘だっ!!
麻衣:(全力で)だろうねっ!!
麻衣:(小声で)せめて島田きゅんとLINE交換するまで、絶対帰らないわよ。
愛音:島田にゃんとLINE交換!?やっぱり島田にゃんを狙ってるにゃね!?
麻衣:ゲッ!聞こえてたの?
愛音:猫の聴覚は人間の八倍にゃよー。
麻衣:アンタのは付け耳でしょうが!
島田:麻衣さん、飲み物何にします?
麻衣:ありがとうございます。えーっと、どうしようかなー?島田さんは何飲むんですか?
島田:僕はウーロン茶で。
麻衣:あんまりお酒飲めないんですか?
島田:はい、すごく弱いんです。
麻衣:そうなんですか。私もあんまり飲めないから、助かります。
島田:そうなんですか?良かった。
麻衣:(M)ホントは毎日一升瓶三本空ける大酒飲み(おおざけのみ)だけど、ここは合わせておかなくっちゃ。
愛音:「ホントは毎日一升瓶三本空ける大酒飲みだけど、ここは合わせておかなくっちゃ」麻衣にゃん、嘘はダメにゃよ!
麻衣:なっ!アナタ、何で私の心の声まで聞こえるのよ!?
愛音:猫の聴覚は人間の八倍にゃよー
麻衣:それは聴力じゃなくて超能力よ!
愛音:・・・え?
麻衣:・・・え?
愛音:もしかして、「聴力」と「超能力」をかけたにゃ?
麻衣:そこはさらっと流してよ!ちょっと魔が差しただけなのよ!
春人:すまない、いま聴力と超能力がどうとか聞こえたんだが?
麻衣:乗っかってくるなあ!
朔:聴力と超能力・・・あー、そういうことかあ。
麻衣:だから乗っかるなあ!!
島田:じゃあ、カンパーイ。
麻衣:カンパーイ。
朔:完敗だ。俺の・・・負けだ!
春人:ククク・・・トリカブトが入っているのはどのグラスかな?
愛音:にゃんぱーい。マズそうだから飲まにゃいけどー。にゃははははは!
麻衣:(ため息)乾杯ぐらい普通にできないかなあ・・・
島田:(少し飲んで)あ、あれ?
麻衣:どうしたんですか?
島田:このウーロン茶、ちょっと味がおかしくて・・・
麻衣:えっ?ちょっと飲ませてもらって良いですか?
島田:はい、どうぞ。
麻衣:(M)間接キッスチャーンス!
麻衣:(島田のグラスを少し飲む)あ、これウーロンハイだ!間違えて持ってきたのね?
春人:(同時に)え?
朔:(同時に)え?
愛音:(同時に)え?
島田:・・・
麻衣:島田さん、大丈夫ですか?
愛音:麻衣さん、麻衣さん、マズイですよ。島田さんにお酒を飲ませたら・・・
麻衣:え?ってか、普通に喋れるんじゃん。
春人:いや、マジでヤバいんすよ、麻衣さん!
麻衣:あ、あなたもなの・・。
朔:麻衣殿ー、これはマズいナリよー!
麻衣:ん?・・・・・・誰?
島田:フォー
麻衣:へ?
島田:ホアチャー!
春人:あべしっ!
麻衣:な、何?島田さんが、春人くんを殴り飛ばしたあ!?
愛音:島田さんは、酔拳の達人なんです!
朔:酔えば酔うほど強くなるナリよ!
麻衣:何その設定!?
島田:フォー・・・
朔:島田殿、落ち着くナリ!
島田:ホアッチャー!
朔:ひでぶっ!
愛音:島田さん、もう良い加減に・・・
島田:ワタアッ!
愛音:ぶべらっ!
麻衣:あ・・・あ・・・
島田:フォー・・・
麻衣:(N)島田きゅんは軽快なフットワークで私に迫ってくる。もう、逃げられない。
島田:ホワア・・・
麻衣:島田きゅん・・・
島田:アチャー!
麻衣:あなたが好き!
島田:っ!
麻衣:(N)島田きゅんの拳は、私の顔まであと一インチの所で止まっていた。
麻衣:私と・・・付き合って下さい!
島田:・・・麻衣、さん?僕・・・僕も!
麻衣:島田きゅん!正気に(戻ったのね)
島田:(被せて・某百裂拳風に)アーアタタタタ!ワタタタタタタタ!ホアッチャー!!!
麻衣:にょわあああ!!!
麻衣:(N)私は、薄れ行く意識の中でこう思った。「財布を置いて、帰れば良かった」と・・・
0:完
麻衣:えーっと・・・あ、あった、このお店だ。(辺りを見回し)まだ、誰も来てないかな?一旦、店の前で待ち合わせだよね?
麻衣:合コンなんていつ振りかなあ?前の彼氏と別れてからしばらく経つし、そろそろ新しい恋愛したいなあ。
0:麻衣のスマホに着信が入る。
麻衣:あ、電話だ。はい、もしもし・・・由香子(ゆかこ)ちゃん?・・・うん、今お店の前だよ・・・うん・・・うん・・・え?来れない?だって由香子ちゃん幹事じゃん?・・・いや、急用って・・・
麻衣:今日来るの由香子ちゃんの知り合いでしょ?私、全員初対面なんだよ!大体、由香子ちゃんいなかったら、女子が一人足りないじゃん!・・・もしもし?聞いてる?・・・もしもし!もしもーし!
麻衣:切れちゃった・・・えー、どうしよう?私誰も顔分かんないのに。
島田:あの、ひょっとして麻衣さん、ですか?
麻衣:え?(M)誰!?この爽やかイケメン!?
島田:初めまして、島田です。今日は宜しくお願いします!
麻衣:あ、どうも初めまして!麻衣です、宜しくお願いします。
麻衣:(M)ヤッヴァーい!めちゃタイプなんですけど!!
島田:(周りを見回して)由香子ちゃん、まだ来てないんですか?
麻衣:それが・・・由香子ちゃん、来れなくなったみたいで。
島田:ええっ!そうなんですか?(スマホを取り出し確認する)あ!僕にもLINE来てました。
麻衣:(苦笑いしながら)由香子ちゃん、幹事なのに・・・
島田:きっと、大事な用事なんですよ。由香子ちゃん、残念だっただろうなあ。
麻衣:(M)カッコ良いだけじゃなくて、優しいんだあ。もう好きになりそう。あ、ゴメン、もうなってる。
島田:麻衣さん?
麻衣:ああ、すいません!私今日のメンバー初対面の人ばっかりなんで、声掛けてもらえて助かりました。
島田:そうでしたか。他のメンバーも知り合いだから、僕分かりますよ。
麻衣:良かった。
島田:麻衣さん、由香子ちゃんに聞いた通りだな・・・
麻衣:えっ?由香子ちゃん、私の事何て言ってるんですか?怖いなあ。
島田:えーと・・・
麻衣:あ、やっぱり悪口なんですね?もう、由香子ちゃんったら・・・
島田:その!・・・すごく・・・可愛い子だって・・・
麻衣:え?
島田:・・・
麻衣:・・・
島田:あのっ!
麻衣:ひゃい!
島田:出会ったばかりで、いきなりこんな事言って良いのか分からないんですけど・・・
麻衣:は、はい・・・
島田:ぼ、僕、麻衣さんの事が
麻衣:わ、私の事が・・・?
島田:す、す・・・
麻衣:(M)キター!!すんごい急展開だけど、この国宝級のイケメンなら何でもウェルカム!!
島田:す、す・・・
麻衣:す、す?(M)さあ、後は「き」を言うだけよ!
島田:す、す・・・
麻衣:(M)カマーン!!
島田:あ、来た。
麻衣:へ?
島田:おーい、さっくん、こっちー!
麻衣:あ、あああの島田さん!?
島田:何ですか?
麻衣:その、いま何か言いかけてましたよね!?
島田:ああ、その話はまた後で。
麻衣:(M)えーー!?そこまで言っといてお預け!?
島田:さっくん、久しぶり。
麻衣:(M)ま、まあ、やっぱり二人っきりじゃないとね。まだチャンスはあるっしょ。
朔:・・・
島田:彼は朔君。皆は「さっくん」って呼んでます。
麻衣:(M)あれ?この人、右手に包帯巻いてる。怪我でもしてるのかしら?
島田:さっくん、こちらは麻衣さん。
麻衣:どうも初めまして、麻衣です。
朔:こんな所に呼び出して、一体どう言うつもりだ?
麻衣:へ?
朔:そうか、ようやく決着をつける気になったんだな。
麻衣:あの、何の話かさっぱり・・・
朔:言っとくけど俺、アンタより強いぜ。
麻衣:何が!?
朔:さあ・・・始めようか!
麻衣:だから何を!?
島田:ホント久しぶりだね。
朔:ついに、この右手の封印を解く時が来たようだな。
島田:この前、教えてもらった店行ったんだけどさ、すっごく、美味しかったよ!
朔:チッ、もう疼(うず)いてやがるぜ!
島田:そういえば、引っ越したんだっけ?
朔:封印されし龍よ、盟約に従いここに顕現(けんげん)せよ!
麻衣:(M)えっと・・・私はどう言う気持ちでこれを見ていたら良いんだろう?会話が全然成立してないじゃん。
麻衣:(M)この人はアレか、厨二病ってやつね。あの右手の包帯は、何かドラゴン的なやつを封印してる設定なんだわ。この歳でこういう人種と出会うとは・・・どうやってコミュニケーションを取ったら良いんだろう?
島田:今日、由香子ちゃん来れないんだってさ。
朔:何だと!くっ!これも全て、貴様の仕業(しわざ)か!
麻衣:え、私?知らないわよ!!
島田:さっくん、由香子ちゃんに会いたがってたんです。
麻衣:そうなんですか?
島田:はい。さっくん、前に由香子ちゃんと付き合ってて・・・
麻衣:(M)ええっ!?由香子ちゃん、こんなのと付き合ってたの!?男の趣味悪っ!
島田:さっくん、まだ由香子ちゃんの事好きみたいで、何とかヨリを戻したいんです。
麻衣:は、はあ。
朔:俺はアンタを許さねえ!どこまでも追いかけてやる!この顔、忘れんじゃねえぞ!
麻衣:(M)その顔、今すぐ忘れたいよ・・・
島田:他の皆はまだかなあ・・・あ、アレ、春人くんじゃない?
朔:そのようだな。また命知らずが一人、この地獄にやって来たってわけだ。
麻衣:(M)えーっと、春人くんというのはどの人かなあ・・・んんうぅぅ!?まさか、あの人じゃないよね!?
麻衣:(M)あそこにいる、真っ黒なスーツ着て、サングラス掛けて、肩にスナイパーライフル担(かつ)いでる、あのイタイ人じゃないよね!?
春人:待たせたな。
麻衣:(M)そのイタイ人だった!
朔:遅かったな。また厄介事に巻き込まれたんじゃないかと思って心配したぜ。
春人:すまない。尾行を撒(ま)くのに手間取ってな。
麻衣:(M)やっぱりこういうキャラか!
島田:彼は春人君です。
春人:宜しく。
麻衣:は、初めまして。由香子ちゃんの友達の麻衣です。今日は・・・
春人:危ない!
0:春人、島田を突き飛ばす。
麻衣:あいたあっ!
春人:気をつけろ!向かいのビルからスナイパーが狙ってる。
麻衣:いきなり何すんのよ!肘擦り剥いた(すりむいた)じゃない!
春人:フッ、礼には及ばん・・・俺に、惚れるんじゃねえぞ?
麻衣:(M)くっ!人前じゃなければ、思いっきりビンタしてやるのに。
島田:麻衣さん、大丈夫ですか?(擦り剥いた肘を見て)あっ!血が出てる!
麻衣:あ、ホントだ・・・まあ、大した事ないですよ。
島田:ダメです!バイ菌でも入ったらどうするんですか?僕、絆創膏(ばんそうこう)持ってるから、貼っておきますね。
麻衣:あ、ありがとうございます。
麻衣:(M)す・て・きぃぃぃー!こんな人が彼氏だったら、毎日ハッピーだろうなあ・・・あ、すごい良い匂いする。
春人:そういえば由香子は?
島田:急用で来れなくなったんだってさ。
春人:何!まさか・・・貴様、由香子を抹殺したのか!?
麻衣:何でよ!?ちゃんと生きとるわ!
朔:何っ!?由香子を殺しただとぉ!?
麻衣:ややこしいから乗っかってこないで!!
春人:麻衣いいいいい!!
麻衣:うるさーーい!!
島田:すいません、春人くん、由香子ちゃんが来れないのがショックみたいで。
麻衣:えっ?まさか・・・
島田:由香子ちゃん、さっくんの前は春人くんと付き合ってて・・・
麻衣:(M)またか!あの子の男性遍歴どうなってんのよ!?ってか、合コンに元カレばっか呼ばないで!
朔:言っておくが、由香子は俺の物だ。それを忘れるな!
春人:ふざけるな!由香子は俺の女だ!
朔:俺のだ!
春人:俺だ!
朔:・・・やるか?
春人:望む所だ!
朔:ハハッ、右手の封印を解くぜ!もう俺にも止められねえ!
春人:その前に・・・貴様の眉間を撃ち抜いてやろう!
麻衣:何?何が始まるの?
朔:(同時に)うおおおおお!
春人:(同時に)うおおおおお!
島田:ちょっと二人とも、暴力は・・・
朔:(同時に)ジャンケンポン!
春人:(同時に)ジャンケンポン!
麻衣:ジャンケンかい!
春人:よーし、勝ったあ!これで由香子は、俺の物だあ!
朔:くっ!俺の負けだ!由香子はくれてやる!お前の好きにするが良い!
麻衣:ジャンケン勝ったぐらいで好きにできるか!本人居ないからって好き勝手言わないで!
春人:そういえば愛音は?アイツも攫われ(さらわれ)たのか?
朔:もしかしたら、次元の狭間(はざま)に閉じ込められてるのかもしれねえ。
島田:大丈夫。さっきLINEあった。もうすぐ着くって。・・・あ、来た。愛音ちゃーん、こっちだよー!
麻衣:さて、残る一人は・・・おおぅ!
愛音:にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃー!
麻衣:(M)お母さーーん!また変な人が来たよーーう!
愛音:お待たせして申し訳ないにゃ!
麻衣:(M)猫耳にシッポに猫語・・・間違いねえ!こいつはヤベー奴だ!
愛音:初めまして、愛音ですにゃ!
麻衣:(M)ま、まあ、まだコミュニケーションは取れそうかな?
麻衣:は、初めまして、麻衣です。
愛音:ああ、アンタがずーっと彼氏が居ない「ハイパー根暗女」の麻衣さんにゃね?
麻衣:ブチ殺すぞコラァ!
愛音:この合コンで彼氏を見つけるつもりかもしれにゃいけど、誰もアンタみたいな「ドブス・ド陰キャ女」の相手なんかしないにゃよ。残念でしたにゃ!
麻衣:(M)(ちょっと泣きながら)私、何で初対面の人に、こんなひどいこと言われなきゃいけないんだろう・・・
島田:愛音ちゃん、今日も可愛いね。
愛音:ありがとうにゃ!島田にゃんは、相変わらずド不細工にゃね!
島田:あははは。愛音ちゃんはキッツいなあ。
麻衣:(M)キィーー!このアマぁ、よりにもよって島田きゅんが「不細工」だとぅ!?このお美しい顔のどこが不細工になのよ!?いっぺん眼球ごと取り替えて来い、ボケェ!!
愛音:そういえば由香にゃんは?
島田:今日来れないんだって。
愛音:にゃにゃにゃ!!どうしてにゃ!ハッ!まさか麻衣にゃん、由香にゃんに何かしたにゃね!
麻衣:何で全員一回私を疑うの!
愛音:由香にゃんを返すにゃ!
麻衣:知らないわよ!
島田:すいません、愛音ちゃん、由香子ちゃんに会いたかったみたいで。
麻衣:へ?
島田:由香子ちゃん、さっくんと春人くんの前は愛音ちゃんと付き合ってて・・・
麻衣:(M)はあ!?何ソレどう言うこと!?・・・そういえばあの子、「女の子もいける」とか言ってたっけ。
麻衣:(M)結局今回のメンバー、由香子ちゃんの元カレと元カノじゃない・・・ん?待てよ・・・
麻衣:島田さん。
島田:どうしたんですか?
麻衣:まさかとは思うんですけど、島田さんも、その・・・由香子ちゃんと・・・
島田:あっ!違います!僕は由香子ちゃんと付き合ってませんよ!
麻衣:で、ですよねー!(M)良かったー!
春人:おい、愛音。由香子の事は諦めろ。アイツはもう、俺の女だ。
愛音:何を言ってるにゃ!
朔:愛音、これは決まった事なんだ。俺たちの、命を賭けた戦いでな!
麻衣:うん、ジャンケンだけどね。
愛音:馬鹿な事言わないでにゃ!由香にゃんは渡さないにゃ!私は由香にゃんの事を、別れてからも毎日百件以上LINE送るくらい愛してるんにゃ!
麻衣:それただの迷惑だからね!?
愛音:三日続けたらブロックされたにゃ!
麻衣:当たり前よ!むしろよく三日も我慢したなあ!
愛音:しょうがないにゃら、SNSでDMを送り続けにゃ!それもブロックされたにゃ!
麻衣:諦めようよ・・・
愛音:ブロックされる度にアカウント作ってたら、アカウント五十個くらいになったにゃ!
麻衣:その執念こわっ!
愛音:でもすぐに私ってバレるにゃ。最初に「初めましてにゃー」って送ったら何故か即ブロックされるにゃ!
麻衣:うん、その「にゃー」のせいだと思うよ。
朔:フッ、まだまだ甘いな。
愛音:何がにゃ!
朔:俺は別れてからも、由香子の家に毎日押しかけた!正面はオートロックで入れなかったから、ベランダをよじ登ってなあ!
麻衣:それ自慢にならないからね!?ただの犯罪だからね!?
朔:しかも由香子の部屋は・・・六階だあ!
麻衣:よく登ったね!
島田:さっくんすごいね!
麻衣:確かにすごいけど感心しちゃダメよ!
朔:ククク、最終的には警察まで呼ばれたんだぞ!
麻衣:何故ドヤ顔!?
愛音:ま、負けたにゃ!
麻衣:迷惑行為で競うな!
春人:お、俺は・・・
麻衣:何よ?あなたも何かやらかしてるの?
春人:由香子が、ファミレスで使った爪楊枝(つまようじ)を、今でも持ち歩いている!
麻衣:エピソード弱っ!でも地味に気持ち悪っ!
朔:ま、負けたあ!
愛音:完敗にゃあ!
麻衣:それ審査基準どうなってんの!?
島田:じゃあ、そろそろ店の中入ろっか。
麻衣:既にお腹いっぱいだよ・・・
朔:ぐあああ!右手が、右手が熱い!
春人:ドアを開ける時は気をつけろ!クレイモアが仕掛けてあるかもしれん!
愛音:にゃにゃにゃにゃにゃー、お腹すいたにゃー。不味(まず)そうな店だけど、我慢するにゃー。
麻衣:(M)ああ、これがいわゆる「キャラが渋滞してる」ってやつなのね。うーん、ものすごく不安だわ。
島田:ゴメンなさい、麻衣さん。
麻衣:え?
島田:皆ちょっと変わってるけど、悪い人達じゃないんです。だから、仲良くしてあげて下さい。
麻衣:そ、そうですか。分かりました。
麻衣:(M)島田きゅーーん、どうしてあなたはそんなに「エンジェル」なのですかあ?こんな軽犯罪者集団を庇うなんてえ。よし!他の三人はどうでも良いわ!何とか島田きゅんとお近づきになる事に集中しよう!
0:店内
麻衣:(他の客に対して)すいませーん、写真撮るの辞めてもらって良いですか?珍しいのは分かるんですけど、私達一般客なんでー。特に、私が写り込むように撮るのだけは、絶対!辞めてくださーい。
麻衣:コラ!アンタ達も調子に乗ってポーズ取らないの!
春人:そこ!目線をやろう。
麻衣:やめい!
朔:おい、麻衣。
麻衣:(舌打ち)出会ったばかりなのに下の名前で呼び捨てとか・・・何よ?
朔:お前、まだ帰らないのか?
麻衣:何でよ!?まだ店に入っただけでしょ!
島田:え?帰っちゃうんですか?
麻衣:帰りません!帰りませんよ!
朔:財布だけ置いて、帰って良いんだぞ?
麻衣:それ私に何の得があるの!?
朔:財布を置いて帰るならば、由香子を殺した件、無かったことにしてやっても良い。
麻衣:そんなんで殺人が許されるの!?てか、殺してないわっ!
春人:麻衣、お前の両親が危篤(きとく)らしい!すぐ帰れ!
麻衣:縁起でもない嘘付かないで!
島田:えっ!ご両親が!?大変だ!
麻衣:島田さん、信じくて良いですから。
愛音:あれ?麻衣にゃん、もう帰っちゃったのにゃん?
麻衣:目の前にいるでしょうが!何で皆して私を帰らせようとするの!
島田:愛音ちゃん、何言ってるんだい?麻衣さんここにいるじゃないか?
麻衣:島田さん、真面目・・・そんなところもス・キ。
島田:みんな、とりあえず座ろっか。
麻衣:あいたっ!(舌打ち)あなたのスナイパーライフル邪魔なのよ。ここに置いとくからね。
春人:どさくさに紛れて、盗むつもりじゃないだろうな?
麻衣:いるか、こんなもん。
春人:こ、こんなもん・・・
麻衣:よいしょっと。
愛音:麻衣にゃん、さりげなく島田にゃんの隣に座ったにゃね!
麻衣:え!いや、別に狙ったわけじゃないよ!
島田:そうなんですか?
麻衣:え?
島田:僕、もっと麻衣さんとお話して、仲良くなりたいなあと思ってたんですけど?
麻衣:それは私だって!だからこうして隣に座って・・・
愛音:やっぱり!この根暗!腹黒!ド変態!ドブス!ド陰キャ!
麻衣:そろそろ本気で泣いて良いかな?
愛音:島田にゃん!気をつけるにゃよ!このメスは島田にゃんを、ろ、籠絡(ろうらく)?する気にゃよ!
麻衣:よく分かんないなら難しい言葉使わない!
愛音:シャーー!
麻衣:獲物を狙う体制に入るな!
春人:ところで麻衣、まだ帰らなくて良いのか?
麻衣:しつこいな!帰らないわよ!
朔:今帰るなら、貴様に百万やろう!
麻衣:マジで!?本当なら帰るよ!?
朔:(全力で)嘘だっ!!
麻衣:(全力で)だろうねっ!!
麻衣:(小声で)せめて島田きゅんとLINE交換するまで、絶対帰らないわよ。
愛音:島田にゃんとLINE交換!?やっぱり島田にゃんを狙ってるにゃね!?
麻衣:ゲッ!聞こえてたの?
愛音:猫の聴覚は人間の八倍にゃよー。
麻衣:アンタのは付け耳でしょうが!
島田:麻衣さん、飲み物何にします?
麻衣:ありがとうございます。えーっと、どうしようかなー?島田さんは何飲むんですか?
島田:僕はウーロン茶で。
麻衣:あんまりお酒飲めないんですか?
島田:はい、すごく弱いんです。
麻衣:そうなんですか。私もあんまり飲めないから、助かります。
島田:そうなんですか?良かった。
麻衣:(M)ホントは毎日一升瓶三本空ける大酒飲み(おおざけのみ)だけど、ここは合わせておかなくっちゃ。
愛音:「ホントは毎日一升瓶三本空ける大酒飲みだけど、ここは合わせておかなくっちゃ」麻衣にゃん、嘘はダメにゃよ!
麻衣:なっ!アナタ、何で私の心の声まで聞こえるのよ!?
愛音:猫の聴覚は人間の八倍にゃよー
麻衣:それは聴力じゃなくて超能力よ!
愛音:・・・え?
麻衣:・・・え?
愛音:もしかして、「聴力」と「超能力」をかけたにゃ?
麻衣:そこはさらっと流してよ!ちょっと魔が差しただけなのよ!
春人:すまない、いま聴力と超能力がどうとか聞こえたんだが?
麻衣:乗っかってくるなあ!
朔:聴力と超能力・・・あー、そういうことかあ。
麻衣:だから乗っかるなあ!!
島田:じゃあ、カンパーイ。
麻衣:カンパーイ。
朔:完敗だ。俺の・・・負けだ!
春人:ククク・・・トリカブトが入っているのはどのグラスかな?
愛音:にゃんぱーい。マズそうだから飲まにゃいけどー。にゃははははは!
麻衣:(ため息)乾杯ぐらい普通にできないかなあ・・・
島田:(少し飲んで)あ、あれ?
麻衣:どうしたんですか?
島田:このウーロン茶、ちょっと味がおかしくて・・・
麻衣:えっ?ちょっと飲ませてもらって良いですか?
島田:はい、どうぞ。
麻衣:(M)間接キッスチャーンス!
麻衣:(島田のグラスを少し飲む)あ、これウーロンハイだ!間違えて持ってきたのね?
春人:(同時に)え?
朔:(同時に)え?
愛音:(同時に)え?
島田:・・・
麻衣:島田さん、大丈夫ですか?
愛音:麻衣さん、麻衣さん、マズイですよ。島田さんにお酒を飲ませたら・・・
麻衣:え?ってか、普通に喋れるんじゃん。
春人:いや、マジでヤバいんすよ、麻衣さん!
麻衣:あ、あなたもなの・・。
朔:麻衣殿ー、これはマズいナリよー!
麻衣:ん?・・・・・・誰?
島田:フォー
麻衣:へ?
島田:ホアチャー!
春人:あべしっ!
麻衣:な、何?島田さんが、春人くんを殴り飛ばしたあ!?
愛音:島田さんは、酔拳の達人なんです!
朔:酔えば酔うほど強くなるナリよ!
麻衣:何その設定!?
島田:フォー・・・
朔:島田殿、落ち着くナリ!
島田:ホアッチャー!
朔:ひでぶっ!
愛音:島田さん、もう良い加減に・・・
島田:ワタアッ!
愛音:ぶべらっ!
麻衣:あ・・・あ・・・
島田:フォー・・・
麻衣:(N)島田きゅんは軽快なフットワークで私に迫ってくる。もう、逃げられない。
島田:ホワア・・・
麻衣:島田きゅん・・・
島田:アチャー!
麻衣:あなたが好き!
島田:っ!
麻衣:(N)島田きゅんの拳は、私の顔まであと一インチの所で止まっていた。
麻衣:私と・・・付き合って下さい!
島田:・・・麻衣、さん?僕・・・僕も!
麻衣:島田きゅん!正気に(戻ったのね)
島田:(被せて・某百裂拳風に)アーアタタタタ!ワタタタタタタタ!ホアッチャー!!!
麻衣:にょわあああ!!!
麻衣:(N)私は、薄れ行く意識の中でこう思った。「財布を置いて、帰れば良かった」と・・・
0:完