台本概要
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タイトル | 鉄恨(てっこん)のイゼルヴロク |
---|---|
作者名 | 帆多 丁 (@wahoo_gyudon) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 2人用台本(男1、不問1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 台本説明欄参照 |
説明 |
【概要】 「お前じゃない、お前じゃない、お前じゃないんだよ!!」 頑丈さが取り柄だった男は、勇者の隣にいられなかった。 そしていま、勇者の正面に立つ。 (原作はNTRをお題にした小説フェスタに寄稿したもの。人生を賭けた覚悟をポっと出の馬の骨に奪われる悔しさを表現したい方におすすめです。また、渾身の「そうはさせるか」で場をかっさらいたい方にお勧めです) ※ イントネーション 鉄恨(てっこん):結婚と同じ イゼルヴロク:「ダリルバルデ」「ビビデバビデ」「チキンタツタ」と同じ。 原作:「鉄恨のイゼルヴロク」https://kakuyomu.jp/works/16817330665771801732 台本の使用に関しまして、下記の点を遵守してください ・作者名と台本URLの記載 ・使用のご連絡(使用前でも後でも大丈夫です) (例:X(旧ツイッター)で帆多をメンションして上演告知する、など) ・使用後の連絡はだいたい48時間以内を目安にお願いします。 ・作品の構成に影響がでるような過度の改変、アドリブはご遠慮ください。 ・録音や録画などは、将来的に台本の原作を公募に出す、または運良く出版されるといった場合において削除をお願いする可能性がございます。ご対応いただける場合のみ許可とさせてください 236 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
トビー | 男 | 9 | 勇者に捨てられた青年。本作の9割がトビーのモノローグ。 |
乱入者 | 不問 | 6 | 「そうはさせるか」と乱入して来る人間。勇者の弟子。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
トビー: お前はいつでも輝いていて、ガキのころから二言目には「トビー、冒険だ!」っつって突き進んでいく。おれはそんなお前の隣にいるのが好きだった。
トビー: お前ほどイカした悪戯も思いつかなかったけど、身体だけは人並み外れて頑丈だったから、お前の思いつきには率先して突っ込んでいった。
トビー: そうすればお前は誰にも見せないような悪ガキの顔をして喜ぶし、その時だけは、おれはお前と対等でいられる気がした。
トビー: 女神の泉を見つけたのはおれが先だったんだぜ。女神に呼ばれていたのはお前だったけどな。
トビー: 世界を救う勇者になれって言われて「トビー、最高の冒険だな!」って振り返ったお前の目が不安に揺れていたから、おれは一緒に行くと言ったんだ。
トビー: 人並み外れた頑丈さで、おれはお前の剣が使命を果たすその時まで、お前の盾になるつもりだったんだよ。
トビー:
トビー: 指の何本かは失った。耳の片方はなくなった。左のつま先は潰れて鉄板で補ってた。折れたことのない骨はないし、まともな歯は半分も残っていなかったし、左目はずっと白く濁っていた。
トビー: それがなんだ。
トビー: それがなんだってんだ。
トビー: なんでおれを置いていった? おれのためになるとでも思ったのか。
トビー: おれを置いていく代わりに連れて行った、あの女は誰だ。
トビー: いやわかっている。誰なのか、何なのかはわかっている。あの忌々しい女。女神の依代(よりしろ)、加護の代行者。
トビー: 依代と女神の泉で交わったな? お前の剣の輝き、お前が身にまとう光、それがあの女の今の姿か。
トビー: その力を得られるから、おれは居なくて大丈夫だと、そういうつもりだったんだろう。何が「今まですまなかった」だ。何が「もう傷つかなくていい」だ。おれの気持ちはどうしてくれる。あそこでおれを放り出して、おれにどうなってほしかったんだ。
トビー: なくした指は、耳は、歯は、目は、いったいなんだったんだ。
トビー:
トビー: だからおれは、お前の正面に立ちはだかることにしたんだ。
トビー: 隣にも、前にもいられないのならいっそ。
トビー:
トビー: 「おれは魔王軍四天王が最後のひとり、鉄恨(てっこん)のイゼルヴロク。お前の『冒険』はここまでだ」
乱入者: 「そうはさせるか!!」
トビー: 「なんだお前は!?」
乱入者: 「勇者様が一番の弟子である! 勇者様、ここは私に任せて先へ!」
トビー: 「邪魔をするな小僧! どこから出てきた!? 弟子? 弟子だと!? 勇者! 貴様! 貴様と言う奴は!! よりによってこんな小僧を隣に!!! くそ! うっとうしい小僧だ! 待て勇者、ここは通さん!」
乱入者: 「とう!」
トビー: 「ぐっ……、どけ小僧!!」
乱入者: 「くらえ!」
トビー: 「ぐはっ! なんだというのだ。おれの、恨みの力が、貴様なんぞに打ち破られるというのか!?」
乱入者: 「これで! 終わりにする!」(必殺技を構える)
トビー: 「おのれ、おのれ。勇者と戦うことすら叶わぬというのか。おれを倒すのはお前じゃない、お前じゃない、お前じゃないんだよ!!!」
乱入者: 「でりゃぁ!」
トビー: 「(必殺剣を喰らった叫び)」
0: 静寂。転換。死にゆくイゼルヴロク。
トビー: 「小僧……おれを倒したのはお前じゃない。おれは魔王様と共に、勇者に破れたのだ。魔王様の命とともに、おれの命も消えるのだ。
トビー: 「おれを、殺したのは、お前じゃない、お前じゃない、お前じゃないんだよ……」
トビー: お前はいつでも輝いていて、ガキのころから二言目には「トビー、冒険だ!」っつって突き進んでいく。おれはそんなお前の隣にいるのが好きだった。
トビー: お前ほどイカした悪戯も思いつかなかったけど、身体だけは人並み外れて頑丈だったから、お前の思いつきには率先して突っ込んでいった。
トビー: そうすればお前は誰にも見せないような悪ガキの顔をして喜ぶし、その時だけは、おれはお前と対等でいられる気がした。
トビー: 女神の泉を見つけたのはおれが先だったんだぜ。女神に呼ばれていたのはお前だったけどな。
トビー: 世界を救う勇者になれって言われて「トビー、最高の冒険だな!」って振り返ったお前の目が不安に揺れていたから、おれは一緒に行くと言ったんだ。
トビー: 人並み外れた頑丈さで、おれはお前の剣が使命を果たすその時まで、お前の盾になるつもりだったんだよ。
トビー:
トビー: 指の何本かは失った。耳の片方はなくなった。左のつま先は潰れて鉄板で補ってた。折れたことのない骨はないし、まともな歯は半分も残っていなかったし、左目はずっと白く濁っていた。
トビー: それがなんだ。
トビー: それがなんだってんだ。
トビー: なんでおれを置いていった? おれのためになるとでも思ったのか。
トビー: おれを置いていく代わりに連れて行った、あの女は誰だ。
トビー: いやわかっている。誰なのか、何なのかはわかっている。あの忌々しい女。女神の依代(よりしろ)、加護の代行者。
トビー: 依代と女神の泉で交わったな? お前の剣の輝き、お前が身にまとう光、それがあの女の今の姿か。
トビー: その力を得られるから、おれは居なくて大丈夫だと、そういうつもりだったんだろう。何が「今まですまなかった」だ。何が「もう傷つかなくていい」だ。おれの気持ちはどうしてくれる。あそこでおれを放り出して、おれにどうなってほしかったんだ。
トビー: なくした指は、耳は、歯は、目は、いったいなんだったんだ。
トビー:
トビー: だからおれは、お前の正面に立ちはだかることにしたんだ。
トビー: 隣にも、前にもいられないのならいっそ。
トビー:
トビー: 「おれは魔王軍四天王が最後のひとり、鉄恨(てっこん)のイゼルヴロク。お前の『冒険』はここまでだ」
乱入者: 「そうはさせるか!!」
トビー: 「なんだお前は!?」
乱入者: 「勇者様が一番の弟子である! 勇者様、ここは私に任せて先へ!」
トビー: 「邪魔をするな小僧! どこから出てきた!? 弟子? 弟子だと!? 勇者! 貴様! 貴様と言う奴は!! よりによってこんな小僧を隣に!!! くそ! うっとうしい小僧だ! 待て勇者、ここは通さん!」
乱入者: 「とう!」
トビー: 「ぐっ……、どけ小僧!!」
乱入者: 「くらえ!」
トビー: 「ぐはっ! なんだというのだ。おれの、恨みの力が、貴様なんぞに打ち破られるというのか!?」
乱入者: 「これで! 終わりにする!」(必殺技を構える)
トビー: 「おのれ、おのれ。勇者と戦うことすら叶わぬというのか。おれを倒すのはお前じゃない、お前じゃない、お前じゃないんだよ!!!」
乱入者: 「でりゃぁ!」
トビー: 「(必殺剣を喰らった叫び)」
0: 静寂。転換。死にゆくイゼルヴロク。
トビー: 「小僧……おれを倒したのはお前じゃない。おれは魔王様と共に、勇者に破れたのだ。魔王様の命とともに、おれの命も消えるのだ。
トビー: 「おれを、殺したのは、お前じゃない、お前じゃない、お前じゃないんだよ……」