台本概要
268 views
タイトル | 夢 |
---|---|
作者名 | 冷凍みかん-光柑- (@mikanchilled) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 3人用台本(男2、女1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
漢文の授業中に眠ってしまう田端。田端を目覚めさせるべく、谷丸と水瀬ががんばる話です。 ご自由に楽しんでください。 268 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
田端 | 男 | 34 | 孤独を好む男子高校生。よく寝る。 |
水瀬 | 女 | 41 | 真面目な女子高生。感情豊か。 |
谷丸 | 男 | 37 | 漢文の教師。柔和な人柄で誤魔化しているが、性格はかなりふざけている。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
田端:だせ!ここから出しやがれ!!
谷丸:…
田端:あっとォ…
田端:やべえ…目が合っちまった…これで…
田端:これで、何回目だ…?
0:
水瀬:田端(たばた)くん!田端くんてば!
田端:あう…水瀬(みなせ)…?
水瀬:古典の授業とっくに終わったよ?
水瀬:次は漢文の実習なんだから、移動しなきゃ。
田端:ほっといてくれよ。僕は独りがいいんだ。
水瀬:出欠確認は学級委員の仕事なの!
水瀬:ほら準備した!
田端:ハア…学校というのは孤独を謳歌する時間もないのか。
水瀬:田端くんに孤独は向いてないと思うな。独りでいたって クサクサしてるだけなんだから。
田端:いやだ。僕は偉大な文豪になるんだ。
水瀬:支離滅裂すぎ。寝ぼけてると今日を逃すよ。
田端:前向きカレンダーみたいなこと言いやがって。
水瀬:ほら、起きた起きた!
0:
水瀬:田端、水瀬。遅れました。
谷丸:しいいいい。静かにして…
田端:みんな眠ってる…?
谷丸:実践 漢文学の授業にようこそ。とっても気持ちのいい陽だまりを見つけたからね。
谷丸:みんなとシェアしてる所さ。
水瀬:ただでさえ眠い漢文の授業でそんなことしたら皆寝ちゃいますよ。
谷丸:ああそうだね。しかし君だって今、起きているのかい?本当は眠っているのではないかい?
水瀬:何を言っているんですか。起きてるに決まってるじゃないですか。
谷丸:ふふふ、人間の脳は直感的に因果律を構築する機能を備えている。
谷丸:今君が目にしている状況も、何かがおかしいと思う一方で
谷丸:脳は納得しようとしている真っ最中なのさ。
谷丸:それは現実世界だけには当てはまらない。
谷丸:たとえば夢。
水瀬:夢…?
谷丸:支離滅裂で思い返せば不可解な夢でさえ、見ている最中の脳はまるで現実だと信じて疑わない。
谷丸:かの荘子(そうし)はこうした脳の在り方を胡蝶の夢に喩(たと)えて指摘したわけさ。
水瀬:ねえ、今日の谷丸(たにまる)先生なんかおかしいよ…
田端:〈いびき〉ぐー…
水瀬:ちょっと!田端くん!寝てるの!?起きてよ!
谷丸:ふふふ、田端くんはもう”気づいた”ようだね。これが道(タオ)だよ。
水瀬:単純に話が長くて寝ただけだと思うけど…
谷丸:水瀬くん。田端くんに会いたいかい?
水瀬:会いたいって…田端くんはここに居るでしょ?
谷丸:ふふふ、田端くんは今夢の中だよ…
谷丸:知りたくはないかい?田端くんがどんな夢を見ているか…
水瀬:田端くんの夢…
谷丸:こっちだよ
水瀬:(ぽかぽかした陽だまりの植物園。そこにはおよそ似つかわしくない錆びた扉があった)
谷丸:さあ、なかへどうぞ。
水瀬:(打ちっぱなしの冷たいコンクリートの部屋には、監視用の大きなガラス窓が張られていた)
水瀬:(ガラス窓の向こうには両手を拘束された田端くんがいた)
水瀬:田端くん!?
谷丸:あ、ダメだよ!寝ている人に話しかけちゃあ!
水瀬:そんなこと言ってる場合じゃないでしょっ!
水瀬:田端くん!無事なの!?私の声が聞こえる?
田端:ここは…どこだ…?
水瀬:田端くん!
谷丸:無駄だよ。田端くんは今、夢を見ているんだ。田端くんを目覚めさせるには
谷丸:夢を完成させるしかない。
水瀬:完成させるって…?
谷丸:何があっても、役を演じ続けるんだ。
水瀬:役って何!?私は、何をすればいいんですか、?
谷丸:とにかく僕に合わせてくれればいい。
田端:誰か…だれかいませんか…!
谷丸:やあ、田端くん。お目覚めのようだね。
田端:その声は、谷丸(たにまる)先生?
谷丸:僕はね、君たち生徒に失望したよ。
谷丸:情報化社会が進み、人々はより簡単に交流できる…そんな世界が訪れたというのに
谷丸:君たちときたら、集団生活に身を置きながらも孤独を求めようとする…
谷丸:〈哀愁〉僕ァ、それが悲しいんだなァ…
田端:話が見えません!拘束を解いてください!
谷丸:解くわけなかろうがぅッ!!
田端:ひい!急に怒鳴り出す大人怖いッ!!
谷丸:ったく…つまりだね。僕ァ君たち生徒に仲良くなってほしいんだ。
水瀬:(なんか不穏な空気だけど、谷丸先生大丈夫だよね?)
水瀬:(信じていいんだよね…?)
谷丸:だからちょっとしたゲームを用意した。
田端:ゲーム…?
谷丸:名付けて。最後の一人になるまで飲まず食わずで過ごしてもらおうゲームだ。
水瀬:(谷丸先生!?)
田端:ばかな!ふざけるな!
谷丸:くくく、僕は焼き肉や新作スイーツなど いかにもTLに流れてきそうなゴチソウを食べて
谷丸:餓死するキミらを待つとしようかな。
田端:狂ってる…アンタ狂ってるよ!
水瀬:田端くん!
田端:水瀬!?どうして水瀬が!?
水瀬:こんなのに付き合う必要ない!〈すぐに次のセリフへ〉
谷丸:〈後ろで〉こんなの?
水瀬:まってて!すぐに助けてあげるから!
田端:水瀬…
水瀬:田端くん!
田端:…ごめん。
水瀬:なに、ごめんって…?
田端:ごめん水瀬。僕にはそんな資格ないんだ…
水瀬:田端くん?
田端:僕はずっと人を避けてきた…
田端:考える時間もなしに返事をしなきゃいけない現実がツラくて…
田端:だから僕には、人から助けてもらう資格なんてない…
水瀬:そんなの関係ないよ!!
水瀬:助けてもらうのに資格なんて要らないから!助けたいって思うから!
田端:…水瀬
水瀬:田端くん、お願い。
水瀬:自分自身を見捨てないで…
谷丸:カカカカカ、くだらないデスねえ!
田端:谷丸先生ッ!
水瀬:そんなキャラだったけ…
谷丸:聞いてわかる通り、水瀬さんは人質デス!
谷丸:そして私の豪華絢爛(ごうかけんらん)たるフルコースの
谷丸:メインディッシュなのデスよ!
谷丸:ケーッケッケッケ!あ、ベエロベロベロ!
水瀬:ちょっと、やめてよ!
田端:谷丸先生、いい加減にしてください…
田端:ヒトの夢で、勝手に遊ぶな…!
谷丸:何!?
田端:気づいていないとでも思ったか!これは僕の夢だ!
谷丸:まさか、明晰夢(めいせきむ)!?
水瀬:田端くん…
田端:ありがとう水瀬。お前のお陰で夢だと気づくことができた。
水瀬:ふ、フン!感謝しなさいよッ!
水瀬:ちゃんと現実の私にね!
田端:うん、わかってる。
水瀬:(本当の気持ちも、受け取ってもらえなければ意味がない…)
水瀬:(今はこれでいい…今は、これで…)
田端:都合のいい夢は、終わらせなくっちゃなあ!!
谷丸:ばかな!!私の!デスゲームの主催者になりたいという夢がアア!!!
田端:…最期に何か、遺言はあるか…?
谷丸:溝ノ口(みぞのくち)にある、カラメルをバーナーで炙ったプリンが、
谷丸:食べたかった…〈ガクッ〉
田端:よし、やったな!水瀬!
田端:あれ…?水瀬が、水瀬がいない!?
谷丸:〈むくりと起き上がる〉
谷丸:どうやらこの夢は入れ子構造だったみたいだな。さながらマトリョーシカのように…
田端:まさか、全部水瀬の夢か!?
田端:水瀬!起きてくれ!水瀬!
谷丸:…ならばやることは一つ。
谷丸:私はただ、役を演じ続けるだけだ…
田端:谷丸先生?
谷丸:じー…
田端:谷丸先生?なんで急に黙ったの?
田端:オイこっち見んな!
田端:水瀬!早く目を覚ましてくれ!水瀬!!
0:
谷丸:…お客様、お客様。
水瀬:う、ううん。ここは?
谷丸:ここですか。
谷丸:〈カウンター拭き拭き〉
谷丸:〈グラスキュッキュッ〉
谷丸:ここはBARですよ。
水瀬:(照れ笑い)そっかあ…
谷丸:夢を見られたんですか。随分たのしそうで…
水瀬:なんか学生時代の夢、だった気がする…
水瀬:ところで、いま何時?
谷丸:もう閉店の時間です。
水瀬:ええ、もうそんな時間!
水瀬:いけない…!
水瀬:出勤前にシャワー浴びなきゃ!
水瀬:おつりはいいから!
水瀬:マスター!ありがと!また来るね!
谷丸:ふふふ、忙しそうな方だ。
谷丸:どうか夢の中だけは、安らかでありますように…
水瀬:(通勤ラッシュが訪れる前の、新丸子の朝。)
水瀬:(駅のホームには、部活の朝練に向かう女子高生の姿があった。)
水瀬:田端くんの馬鹿…。
水瀬:(なんとなく、そう呟いてみた。)
田端:だせ!ここから出しやがれ!!
谷丸:…
田端:あっとォ…
田端:やべえ…目が合っちまった…これで…
田端:これで、何回目だ…?
0:
水瀬:田端(たばた)くん!田端くんてば!
田端:あう…水瀬(みなせ)…?
水瀬:古典の授業とっくに終わったよ?
水瀬:次は漢文の実習なんだから、移動しなきゃ。
田端:ほっといてくれよ。僕は独りがいいんだ。
水瀬:出欠確認は学級委員の仕事なの!
水瀬:ほら準備した!
田端:ハア…学校というのは孤独を謳歌する時間もないのか。
水瀬:田端くんに孤独は向いてないと思うな。独りでいたって クサクサしてるだけなんだから。
田端:いやだ。僕は偉大な文豪になるんだ。
水瀬:支離滅裂すぎ。寝ぼけてると今日を逃すよ。
田端:前向きカレンダーみたいなこと言いやがって。
水瀬:ほら、起きた起きた!
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水瀬:田端、水瀬。遅れました。
谷丸:しいいいい。静かにして…
田端:みんな眠ってる…?
谷丸:実践 漢文学の授業にようこそ。とっても気持ちのいい陽だまりを見つけたからね。
谷丸:みんなとシェアしてる所さ。
水瀬:ただでさえ眠い漢文の授業でそんなことしたら皆寝ちゃいますよ。
谷丸:ああそうだね。しかし君だって今、起きているのかい?本当は眠っているのではないかい?
水瀬:何を言っているんですか。起きてるに決まってるじゃないですか。
谷丸:ふふふ、人間の脳は直感的に因果律を構築する機能を備えている。
谷丸:今君が目にしている状況も、何かがおかしいと思う一方で
谷丸:脳は納得しようとしている真っ最中なのさ。
谷丸:それは現実世界だけには当てはまらない。
谷丸:たとえば夢。
水瀬:夢…?
谷丸:支離滅裂で思い返せば不可解な夢でさえ、見ている最中の脳はまるで現実だと信じて疑わない。
谷丸:かの荘子(そうし)はこうした脳の在り方を胡蝶の夢に喩(たと)えて指摘したわけさ。
水瀬:ねえ、今日の谷丸(たにまる)先生なんかおかしいよ…
田端:〈いびき〉ぐー…
水瀬:ちょっと!田端くん!寝てるの!?起きてよ!
谷丸:ふふふ、田端くんはもう”気づいた”ようだね。これが道(タオ)だよ。
水瀬:単純に話が長くて寝ただけだと思うけど…
谷丸:水瀬くん。田端くんに会いたいかい?
水瀬:会いたいって…田端くんはここに居るでしょ?
谷丸:ふふふ、田端くんは今夢の中だよ…
谷丸:知りたくはないかい?田端くんがどんな夢を見ているか…
水瀬:田端くんの夢…
谷丸:こっちだよ
水瀬:(ぽかぽかした陽だまりの植物園。そこにはおよそ似つかわしくない錆びた扉があった)
谷丸:さあ、なかへどうぞ。
水瀬:(打ちっぱなしの冷たいコンクリートの部屋には、監視用の大きなガラス窓が張られていた)
水瀬:(ガラス窓の向こうには両手を拘束された田端くんがいた)
水瀬:田端くん!?
谷丸:あ、ダメだよ!寝ている人に話しかけちゃあ!
水瀬:そんなこと言ってる場合じゃないでしょっ!
水瀬:田端くん!無事なの!?私の声が聞こえる?
田端:ここは…どこだ…?
水瀬:田端くん!
谷丸:無駄だよ。田端くんは今、夢を見ているんだ。田端くんを目覚めさせるには
谷丸:夢を完成させるしかない。
水瀬:完成させるって…?
谷丸:何があっても、役を演じ続けるんだ。
水瀬:役って何!?私は、何をすればいいんですか、?
谷丸:とにかく僕に合わせてくれればいい。
田端:誰か…だれかいませんか…!
谷丸:やあ、田端くん。お目覚めのようだね。
田端:その声は、谷丸(たにまる)先生?
谷丸:僕はね、君たち生徒に失望したよ。
谷丸:情報化社会が進み、人々はより簡単に交流できる…そんな世界が訪れたというのに
谷丸:君たちときたら、集団生活に身を置きながらも孤独を求めようとする…
谷丸:〈哀愁〉僕ァ、それが悲しいんだなァ…
田端:話が見えません!拘束を解いてください!
谷丸:解くわけなかろうがぅッ!!
田端:ひい!急に怒鳴り出す大人怖いッ!!
谷丸:ったく…つまりだね。僕ァ君たち生徒に仲良くなってほしいんだ。
水瀬:(なんか不穏な空気だけど、谷丸先生大丈夫だよね?)
水瀬:(信じていいんだよね…?)
谷丸:だからちょっとしたゲームを用意した。
田端:ゲーム…?
谷丸:名付けて。最後の一人になるまで飲まず食わずで過ごしてもらおうゲームだ。
水瀬:(谷丸先生!?)
田端:ばかな!ふざけるな!
谷丸:くくく、僕は焼き肉や新作スイーツなど いかにもTLに流れてきそうなゴチソウを食べて
谷丸:餓死するキミらを待つとしようかな。
田端:狂ってる…アンタ狂ってるよ!
水瀬:田端くん!
田端:水瀬!?どうして水瀬が!?
水瀬:こんなのに付き合う必要ない!〈すぐに次のセリフへ〉
谷丸:〈後ろで〉こんなの?
水瀬:まってて!すぐに助けてあげるから!
田端:水瀬…
水瀬:田端くん!
田端:…ごめん。
水瀬:なに、ごめんって…?
田端:ごめん水瀬。僕にはそんな資格ないんだ…
水瀬:田端くん?
田端:僕はずっと人を避けてきた…
田端:考える時間もなしに返事をしなきゃいけない現実がツラくて…
田端:だから僕には、人から助けてもらう資格なんてない…
水瀬:そんなの関係ないよ!!
水瀬:助けてもらうのに資格なんて要らないから!助けたいって思うから!
田端:…水瀬
水瀬:田端くん、お願い。
水瀬:自分自身を見捨てないで…
谷丸:カカカカカ、くだらないデスねえ!
田端:谷丸先生ッ!
水瀬:そんなキャラだったけ…
谷丸:聞いてわかる通り、水瀬さんは人質デス!
谷丸:そして私の豪華絢爛(ごうかけんらん)たるフルコースの
谷丸:メインディッシュなのデスよ!
谷丸:ケーッケッケッケ!あ、ベエロベロベロ!
水瀬:ちょっと、やめてよ!
田端:谷丸先生、いい加減にしてください…
田端:ヒトの夢で、勝手に遊ぶな…!
谷丸:何!?
田端:気づいていないとでも思ったか!これは僕の夢だ!
谷丸:まさか、明晰夢(めいせきむ)!?
水瀬:田端くん…
田端:ありがとう水瀬。お前のお陰で夢だと気づくことができた。
水瀬:ふ、フン!感謝しなさいよッ!
水瀬:ちゃんと現実の私にね!
田端:うん、わかってる。
水瀬:(本当の気持ちも、受け取ってもらえなければ意味がない…)
水瀬:(今はこれでいい…今は、これで…)
田端:都合のいい夢は、終わらせなくっちゃなあ!!
谷丸:ばかな!!私の!デスゲームの主催者になりたいという夢がアア!!!
田端:…最期に何か、遺言はあるか…?
谷丸:溝ノ口(みぞのくち)にある、カラメルをバーナーで炙ったプリンが、
谷丸:食べたかった…〈ガクッ〉
田端:よし、やったな!水瀬!
田端:あれ…?水瀬が、水瀬がいない!?
谷丸:〈むくりと起き上がる〉
谷丸:どうやらこの夢は入れ子構造だったみたいだな。さながらマトリョーシカのように…
田端:まさか、全部水瀬の夢か!?
田端:水瀬!起きてくれ!水瀬!
谷丸:…ならばやることは一つ。
谷丸:私はただ、役を演じ続けるだけだ…
田端:谷丸先生?
谷丸:じー…
田端:谷丸先生?なんで急に黙ったの?
田端:オイこっち見んな!
田端:水瀬!早く目を覚ましてくれ!水瀬!!
0:
谷丸:…お客様、お客様。
水瀬:う、ううん。ここは?
谷丸:ここですか。
谷丸:〈カウンター拭き拭き〉
谷丸:〈グラスキュッキュッ〉
谷丸:ここはBARですよ。
水瀬:(照れ笑い)そっかあ…
谷丸:夢を見られたんですか。随分たのしそうで…
水瀬:なんか学生時代の夢、だった気がする…
水瀬:ところで、いま何時?
谷丸:もう閉店の時間です。
水瀬:ええ、もうそんな時間!
水瀬:いけない…!
水瀬:出勤前にシャワー浴びなきゃ!
水瀬:おつりはいいから!
水瀬:マスター!ありがと!また来るね!
谷丸:ふふふ、忙しそうな方だ。
谷丸:どうか夢の中だけは、安らかでありますように…
水瀬:(通勤ラッシュが訪れる前の、新丸子の朝。)
水瀬:(駅のホームには、部活の朝練に向かう女子高生の姿があった。)
水瀬:田端くんの馬鹿…。
水瀬:(なんとなく、そう呟いてみた。)