台本概要
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タイトル | 幸せを願ってもいい |
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作者名 | 桃じー (@ARAKAN59) |
ジャンル | 時代劇 |
演者人数 | 2人用台本(不問2) ※兼役あり |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
この作品(話)はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。 ダライアス帝国とフリス共和国の戦況は酷くなる一方で、上官に楯突いた親友を助ける為共に参戦した。陸軍歩兵連隊長エドガーだったが、一人生き残り捕虜となってしまう。捕虜の見張りにつかされたのはダライアスの言葉が話せる商人の青年だった····· 586 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
エドガー | 不問 | 129 | エドガー・ヒルデブラント、ダライアス帝国陸軍歩兵連隊長、責任感の強い真面目な性格。捕虜となってしまうが、責任を全うすべく早く殺せと嘆願する男。 |
ティエリ | 不問 | 118 | アルハリオ山岳地帯の商人の青年。ティエリ・ジュリー、軍人自体を嫌っており、ダライアスの言語が話せる性で見張りを押し付けられる。 |
カッサーノ | 不問 | 3 | ティエリ役の人が兼ねて下さい。エドガーの親友。上官とソリは合わない |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
エドガー:(M)私の名前はエドガー・ヒルデブラント、ダライアス帝国陸軍、オルフガルグ歩兵師団、第3歩兵連隊、連隊長である。約1000人程の部下の指揮を取り、この戦線へと参戦している。
エドガー:(M)我が帝国は今、フリス共和連邦国との戦争中である。オルフガルグ師団長の独断に近い作戦を聞かされ、アルハリオ山岳地帯での突撃を余儀なくされた。
エドガー:(M)確かに、この地帯を我々が押させる事が出来れば、この戦争の勝敗は大きく変わるであろう·····が、あまりにも無謀だったとしか言いようが無かった。
エドガー:(M)我が第3歩兵連隊と親友であるカッサーノが指揮を取る第4歩兵連隊。俺達が組めば例え相手が万単位の数が居ようが勝てると自信があるほど、強かった·····はずだった
エドガー:(M)もとより、オルフガルグ師団長とソリの合わなかったカッサーノが作戦に対してケチをつけ、逆鱗に触れてしまった。とはいえ、俺は奴を1人で死地へ行かせれるはずも無く、突撃作戦に手を挙げた。
0:
エドガー:カッツ·····お前は何故大人になれないのだ?
カッサーノ:あのブタ野郎の言うことが正しいと思うのか?エド
エドガー:思わないが、俺達は千人近い部下を率いているんだ、彼らの事も思ってやらねばいかんだろ?
カッサーノ:まぁな·····しかし、譲れないものもある!!
エドガー:フッ·····お前には負けるよ
カッサーノ:ありがとうな!エド!俺達なら!やれる!!
エドガー:まぁな·····
0:
エドガー:(M)二人で拳を打ち付け健闘を祈り共に隊に戻った。それがカッサーノとは今生の別れとなった。
エドガー:(M)負け戦だったのだろうか·····倍以上の敵兵、トラップだらけの戦場、土地勘の無い我が隊、いくら悪条件とはいえ、ここまで壊滅的になるとは思わなかった·····。
エドガー:(M)次々と倒れ死んでゆく部下達、もはや自分だけ生きて帰り部下達の家族に合わす顔など無い·····カッツを見捨てれば良かったのか?いや·····それはまたそれで一生疑問符が付きまとうだろう·····実力と運が無かったのだ、俺もここで死ぬだろう·····目の前に大砲が着弾し爆発した。戦場での記憶はここで途絶えた·····
0:
エドガー:んっ·····ッックッ·····
エドガー:ここは·····ツッ·····
ティエリ:動く·····な!!
エドガー:(M)酷い頭痛と目眩がする。身体も思うように動かない·····
ティエリ:動くなっ!!!
エドガー:ここは·····?
ティエリ:アルハリオ防衛基地だ
エドガー:アルハリオ·····
ティエリ:お前は捕虜だ!!!
エドガー:捕虜·····
エドガー:生きているのか·····
ティエリ:黙って!大人しく!していろ!!
エドガー:なぜ·····死んでいない·····
ティエリ:黙っていろと言っている!!
エドガー:叫ばないでくれ·····
ティエリ:黙れ!!!
エドガー:(M)少しづつはっきりとしてくる意識の中で、怒鳴り声をあげている方を見た。一回りかそれ以上下かも知れぬ、若い青年になり切れていない兵士が居た。
ティエリ:大人しくしていろ!!!
エドガー:殺せっ!!!
ティエリ:なッッ!!??
エドガー:俺は死人以下だ!!早く殺せ!!
ティエリ:黙れ!!発言は!!許可してない!!
エドガー:もう·····殺してくれ·····
ティエリ:いいから!静かにしていろ!!
0:
ティエリ:(M)突然目を覚ました、敵国の軍人は、自分を殺せとわめきだした·····怖い·····
エドガー:くそ·····
ティエリ:(M)一言呟くとまた眠りについたみたいだ、僕はこのダライアスとの国境付近で、戦争前ダライアスと商売をしていた祖父や父から少しばかりダライアスの言語を教えて貰っていた、なのでこの捕虜収容施設に配置された。悪夢みたいだ·····前線へ行かされるよりはマシかもしれないが、何をしてくるか解らないダライアス軍人は恐怖でしかない、ずっと死んだように寝ていてくれ、拳銃なんて撃ったこともないし、人も殺すなんてのも·····怖い·····
エドガー:(M)それから1日に2回の食事や水を与えられた。武器は没収されていたが危険が無いと思われたのか、個人的な荷物は手元にあった、が、脱走出来るような物などなく、手帳に写真、役には立たないものばかりだ。
0:
エドガー:おい
ティエリ:·····
エドガー:なぁ!!
ティエリ:·····
エドガー:そこの!!見張り!
ティエリ:·····
エドガー:置物じゃないだろう?
ティエリ:なんだ·····許可なく·····発言するな
エドガー:君はフリスの若者だな
ティエリ:お前には·····関係ない!
エドガー:なぜダライアスの言葉を話せる?
ティエリ:もう一度·····ゆっくり言え!
エドガー:なぜダライアスの言葉を話せるんだ?
ティエリ:別に良いだろ!お前には関係ない!
エドガー:ふむ·····
ティエリ:大人しくしていろ!!
エドガー:俺はどうなる?処刑されないのか?
ティエリ:知らない
エドガー:戦況はどうなんだ?
ティエリ:関係ない
エドガー:他には?捕虜は居ないのか?
ティエリ:お前には関係ない
エドガー:解った、俺はエドガー、エドガー・ヒルデブラントだ、よろしく
ティエリ:な·····?
エドガー:エドと呼んでくれ
ティエリ:(M)なんで?名乗った??
エドガー:俺は捕虜だ、抵抗もしない、むしろ、この状況が生き恥でもある、はやく部下達の元へ行かせて欲しい。
ティエリ:ん??
エドガー:あぁ·····はやく殺してくれって事さ
ティエリ:なぜ·····?
エドガー:何故?1人生き残って、今更国など帰れはしない
ティエリ:生きている事は良い事ではないのか?
エドガー:君は·····軍人では無さそうだな
ティエリ:··········
エドガー:そうか、まぁ、個人的な問題かもしれない、例え軍人でもどんな手を使ってでも生き延びたい奴も居るだろう
ティエリ:··········
エドガー:俺は、俺を信じて着いてきてくれた部下達とその家族に申し訳が立たない
ティエリ:自分のせいって事か?
エドガー:あぁ、そうだ、あまりに無謀な作戦だった
ティエリ:でも軍人ってのは、将軍が居て、その人が指揮を執るんじゃ?
エドガー:そうか·····フリスの最高司令官は将軍と呼ばれているのか、たしかそんな感じだったな
ティエリ:お前なんて、ただの兵隊に過ぎないだろ?
エドガー:エドガーだ
ティエリ:··········
エドガー:勿論そうだ、上から命令され、俺はその命令に従った、が、そーゆー事じゃないんだ
ティエリ:解らない·····
エドガー:君は·····随分と若いようだから、まだ解らないかもしれない
ティエリ:俺が子供だからバカにしているのか!!
エドガー:そうでは無いが、何にそんなに怯えている?
ティエリ:なっ!!
エドガー:軍人ではなく、ダライアスの言葉が解り話せるから連れてこられたんじゃないのか?
ティエリ:··········
エドガー:そうか、図星だな?
ティエリ:関係ないだろ!!!
エドガー:すまない、確かに関係なかったな、だが、怯えなくてもいい、それを伝えたかったんだ、俺は·····はやく部下達の元に行きたい、それだけだ
ティエリ:まだ··········
エドガー:ん?
ティエリ:まだ、処分は決まっていないと昨日きいた
エドガー:そうか、早く処刑しろと伝えといてくれ
ティエリ:駄目だ、本来口を聞くのも駄目なんだ
エドガー:なんだって?
ティエリ:でも、なにか重要な事を口走るかもしれないから、ここにいろと言われた
エドガー:そうか·····残念だが、作戦は失敗に終わり、俺達はもとより捨て駒みたいな扱いだった、その後の事も何もわからない
ティエリ:··········どうでもいい
エドガー:そうだよな
ティエリ:静かにしていろ
エドガー:あぁ·····なぁ?
ティエリ:?
エドガー:君は名前はなんと言うんだ?
ティエリ:知ってどうする?
エドガー:いいじゃないか?おい、とか、そこの!とかじゃ素っ気ないだろ?
ティエリ:それでいい
エドガー:いいだろ?暇なんだよ、処刑されるまで
ティエリ:·····ティ·····
エドガー:ん?
ティエリ:うるさい!!静かにしていろ!
エドガー:ふぅ·····はいはい
ティエリ:(M)軍人とは·····なんなんだ·····死ぬ事が怖くないのか
0:次の日
エドガー:なぁー?おーい!ほれ?若者よ!
ティエリ:慣れすぎだ!!
エドガー:まだか?はやくしてくれ
ティエリ:黙ってろ!!
エドガー:じゃあ、若者!名前を言え
ティエリ:駄目だ!教えない
エドガー:そーだなー、メンソン?キーザキー?バダリハリル?
ティエリ:違う!!
エドガー:ヒントをくれないか?
ティエリ:やらない!!
エドガー:じゃあ、若者、なぜダライアスの言葉が解る?誰に習った?
ティエリ:くっ·····ウルサイ!父と祖父だ!!!
エドガー:へぇ、お父上とお爺様か、家族が何かダライアスにルーツでもあるのか?
ティエリ:別に·····無い
エドガー:じゃあ仕事で必要だったか?
ティエリ:そうだ·····
エドガー:商人か?
ティエリ:そうだ!
エドガー:ダライアスと取引してたのだな?それでか?ここは国境の町だものな
ティエリ:もういいだろ!!
エドガー:賢いんだな
ティエリ:別に!!そんなことはない!!
エドガー:凄い事だと思うぞ
ティエリ:ふん!ウルサイ!
エドガー:で?名前は?
ティエリ:教えない!
エドガー:なぜだ?
ティエリ:必要ない!
エドガー:君は賢い
ティエリ:賢くない!
エドガー:賢いさ
ティエリ:(小声)僕はダライアス自体は嫌いじゃない·····
エドガー:なに?
ティエリ:ダライアスの軍人が嫌いだ
エドガー:ふむ、それは何故だ?
ティエリ:父達の商売の邪魔をしていたからだ、非常に横暴で横柄で最低の人種だ
エドガー:国境警備兵か·····、戦争前は少なからず国境付近で悪さをしていた連中が居たと聞いた事がある。
ティエリ:アンタも同じだろ?
エドガー、否定は出来ないな·····
ティエリ:解ったら、黙っててくれ
エドガー:ならばダライアスは何故嫌いではないのだ?
ティエリ:·····ダライアスの軍人は嫌いだが、街の人たちは暖かったし街並みが綺麗だった。フリス·····と言っても辺境の村だし、なんかこう、洗練されてた。
エドガー:そうか、アルハリオとの国境付近か、シャルツァは確かに綺麗な街だな、ダライアスの首都、ベルリオは来たことはないか?
ティエリ:そんな遠くに行くわけがないだろ
エドガー:そうか·····もっと凄いぞ?
ティエリ:··········どんな風に?
エドガー:鉄道が整備されていてな
ティエリ:鉄道·····
エドガー:この建物くらいの鉄の塊が、凄い速さで走るんだ!
ティエリ:っ!?そんな物があるのか!?
エドガー:あぁ!カッコイイんだ
ティエリ:·····進んでいるんだな·····
エドガー:国は凄くとも、俺はこの通り捕虜だ·····上官に楯突いて、死地へと行かされた友と共に死にに来たんだ
ティエリ:友·····
エドガー:あぁ、昔から気の合う男でな、皆から人望のある男だったが、上官とソリが合わなくてなぁ·····アルハリオ山岳地帯は、言わば天然の要塞だ、難攻不落だよ、そこに進撃しろは、自殺しろと同義だ
ティエリ:··········じゃあ·····アンタはこうなると解ってて前線へ来たのか?
エドガー:欲を言えば、アイツとなら生きては帰れると思ってはいた·····が、なんてことはない、部下をみすみす死なせた、ただのマヌケさ·····あまつさえ、おれは捕虜として生き残ってる·····死に損ないの大バカ野郎さ
ティエリ:でも友達を死なせたくなかったから、一緒に来たんだろ?
エドガー:あぁ·····そのつもりだった
ティエリ: そんな軍人も居るんだな
エドガー:だから·····さっさと処刑なりなんなりとしてくれ·····
ティエリ:ならばなぜ僕の名前を知りたがるんだ?
エドガー:え?そうだな、君は酷く怯えていたように感じた、無理やりここに配置された、民間人に近いだろう、少しでもリラックスして欲しくてな、それに俺の最後の見届け人となるだろうから、名前位知っておきたいと思ったんだ
ティエリ:·····ティ、ティエリ
エドガー:ん?ティティエリー?
ティエリ:ティエリだ!
エドガー:ティエリか!
ティエリ:声がでかい!!
エドガー:すまんな
ティエリ:友達からはティッティとか呼ばれてる
エドガー:そうか!ティッティ!よろしくな
ティエリ:馴れ馴れしく呼ぶな!!
エドガー:嬉しくてついな!あっ!
ティエリ:ん?
エドガー:そうだ!手帳に挟まってたかもしれない
ティエリ:なんだ?
エドガー:あった!これだ!
ティエリ:え?
エドガー:鉄道!機関車の写真だ!
ティエリ:え?
エドガー:ほら
ティエリ:わあ!凄い·····
エドガー:(M)ずっと強ばってたティッティの顔が思わず緩んだ、常に緊張状態にあったのだろう·····その顔は凄く幼く見えた。我々軍人の影で戦争は様々な人を恐怖と戦わせる·····。
ティエリ:これが走るのかよ·····
エドガー:それやるよ
ティエリ:え!?
エドガー:もし·····戦争が終わる事があれば行ってみるといい、感動するぞ?
ティエリ:無理だよ·····
エドガー:そんな事は無い、大丈夫だ、いつか終わる日が必ず来る。私にはもう要らぬ物だ、ティッティの様に未来がある若者ならきっと·····、ふっ、私にはもう人の幸せを願う事は無いと思っていたがな·····
ティエリ:そんな事ないよ!友達や部下の為にも生きればいいじゃないか!!
エドガー:ありがとう、しかし、それは駄目だ·····。
ティエリ:そんな·····
0:
ティエリ:(M)その後の言葉は出なかった·····僕が今まで見た軍人とは違う人だ·····彼には生きていて欲しい·····
0:次の日
エドガー:(M)ティッティが呼ばれて出ていった、こんな事は初めてだ
0:ティエリが戻ってくる
エドガー:遅かっ·····な??どうした?顔が腫れてるじゃないか?
ティエリ:気にしないでくれ、アンタと話していたのを誰か見られたんだろ、有無言わさず殴ってきたんだ
エドガー:なんて事だ·····すまない
ティエリ:いいんだ·····ダライアスとフリスも関係なく、僕は軍人が嫌いだ·····自分勝手で最低だ
エドガー:しかし、これは俺のせいだティッティ!少し声を小さくしような
ティエリ:スパイでもしてると思われたんだろ
エドガー:なんてことだ!
ティエリ:でも·····
エドガー:ん?
ティエリ:アンタから貰った機関車の写真は隠してたから!守れたよ!
エドガー:馬鹿だな!そんなもの!自分を守らないか!
ティエリ:無駄だよ、抵抗なんてすればもっと酷く殴られるだけさ
エドガー:すまないティッティ·····
ティエリ:気にしないでくれ。そんな事より!この機関車ってどうやって動くんだ??
エドガー:え?機関車?俺も専門家じゃないからなぁ、蒸気機関車って言うくらいだから、蒸気じゃないかな?石炭ってあるだろ?あれを燃やすんだ
ティエリ:蒸気!!湯気かよ!!
エドガー:蒸気と湯気じゃ圧力が違うだろう
ティエリ:凄いんだなぁ、もっと話を聞かせてくれよ
エドガー:あぁ!いいぜ!けどあんまり大きな声はやめとけよ?
ティエリ:あぁ·····(小声になる)
エドガー:(M)それから俺も時間を忘れてティッティと話し込んだ。最初の表情から比べると、とても豊かになった。本当なら、俺がベルリオに連れてゆき、この青年を色んな所に案内してやりたい⋯スナイダーの店のソーセージパスタを食べさせてやりたい⋯酒が飲めたなら、一緒にビールを飲みたい、しかし·····それは叶わない、俺はもうすぐ殺されるだろう·····
ティエリ:(M)エドガーの話はとても面白い、エドガーみたいな軍人が居るなんて思わなかった、本当にこの戦争が終わる時がくるのなら、いつかベルリオに行きたい⋯本当は·····エドと一緒に·····けど、それは無理だろうな·····
0:可能なかぎり一緒に
エドガー:(M)戦争なんて
ティエリ:(M)戦争なんて
エドガー:(M)無くなればいいのに
ティエリ:(M)無くなればいいのに
0:
0:突然ドアが開き、フリスの兵が乱暴に入ってきた。
0:
エドガー:なんだ!!??
エドガー:ティ·····
ティエリ:そんな!!!そんな事していません!!!
エドガー:どうした!?何を言われてる?どうした!!?
ティエリ:間違いです!!!スパイだなんて!!??ガァハっっ
エドガー:(M)なにが起きてる!何故ティエリは今殴られた!?!?
0:
エドガー:やめろ!やめないか!!!俺が話す!!通訳しろ!!ティエリ!!
ティエリ:違う!!!やめろ!!
エドガー:ティッティ!!!まて!!どこに連れていく気だ!?グハッ!!
0:銃口で殴られるエドガー
エドガー:くっ!·····待て!!!殺すなら俺を殺せ!!!
ティエリ:離っせ!!待て!!クソッ!!エド!!!エド!!!ごめん!!何かの間違いだと思う!!
エドガー:ティッティ!!!大丈夫なのか!!??
ティエリ:解らない!!けど!エド!!アンタに!お礼と!!一言だけ言わせてくれ!!
エドガー:なんだ!!??お礼!?何言ってる!?
ティエリ:エド!!!アンタは!!アンタの幸せを願ってもいい!!!死ぬなんて!言わないでくれ!!
エドガー:ティッッ!!!待ってくれ·····頼む·····待ってくれ·····
0:
エドガー:(M)ティエリは外に強引に連れていかれてしまった·····
0:
0:部屋の外から銃声が響いた。
0:
エドガー:ッッッ!!!ティっ·····嘘だろ·····なぁッッ!!おい!!!嘘だろぉおおお!!!なぁ!!!!ごめん!!ごめん!ティッティ!!俺が·····ごめん·····
0:
0:間
0:
エドガー:(M)それから数週間後、俺はダライアス側で捕虜になったフリスの兵と捕虜交換という形でダライアスに戻った。戦況はダライアス有利に終わりそうだと聞いた。俺は正直もぬけの殻となっていた、が、ティエリが言った一言が頭から離れず、自殺は止めた、歳の離れた国も違う親友との約束を破る訳にはいかない·····1人だけ生き残った罪を背負い、時間がかかるかも知れないが、贖罪してゆこう·····そして·····いつかはアルハリオのティッティの墓を参ろう。いつか·····必ず。
0:終
エドガー:(M)私の名前はエドガー・ヒルデブラント、ダライアス帝国陸軍、オルフガルグ歩兵師団、第3歩兵連隊、連隊長である。約1000人程の部下の指揮を取り、この戦線へと参戦している。
エドガー:(M)我が帝国は今、フリス共和連邦国との戦争中である。オルフガルグ師団長の独断に近い作戦を聞かされ、アルハリオ山岳地帯での突撃を余儀なくされた。
エドガー:(M)確かに、この地帯を我々が押させる事が出来れば、この戦争の勝敗は大きく変わるであろう·····が、あまりにも無謀だったとしか言いようが無かった。
エドガー:(M)我が第3歩兵連隊と親友であるカッサーノが指揮を取る第4歩兵連隊。俺達が組めば例え相手が万単位の数が居ようが勝てると自信があるほど、強かった·····はずだった
エドガー:(M)もとより、オルフガルグ師団長とソリの合わなかったカッサーノが作戦に対してケチをつけ、逆鱗に触れてしまった。とはいえ、俺は奴を1人で死地へ行かせれるはずも無く、突撃作戦に手を挙げた。
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エドガー:カッツ·····お前は何故大人になれないのだ?
カッサーノ:あのブタ野郎の言うことが正しいと思うのか?エド
エドガー:思わないが、俺達は千人近い部下を率いているんだ、彼らの事も思ってやらねばいかんだろ?
カッサーノ:まぁな·····しかし、譲れないものもある!!
エドガー:フッ·····お前には負けるよ
カッサーノ:ありがとうな!エド!俺達なら!やれる!!
エドガー:まぁな·····
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エドガー:(M)二人で拳を打ち付け健闘を祈り共に隊に戻った。それがカッサーノとは今生の別れとなった。
エドガー:(M)負け戦だったのだろうか·····倍以上の敵兵、トラップだらけの戦場、土地勘の無い我が隊、いくら悪条件とはいえ、ここまで壊滅的になるとは思わなかった·····。
エドガー:(M)次々と倒れ死んでゆく部下達、もはや自分だけ生きて帰り部下達の家族に合わす顔など無い·····カッツを見捨てれば良かったのか?いや·····それはまたそれで一生疑問符が付きまとうだろう·····実力と運が無かったのだ、俺もここで死ぬだろう·····目の前に大砲が着弾し爆発した。戦場での記憶はここで途絶えた·····
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エドガー:んっ·····ッックッ·····
エドガー:ここは·····ツッ·····
ティエリ:動く·····な!!
エドガー:(M)酷い頭痛と目眩がする。身体も思うように動かない·····
ティエリ:動くなっ!!!
エドガー:ここは·····?
ティエリ:アルハリオ防衛基地だ
エドガー:アルハリオ·····
ティエリ:お前は捕虜だ!!!
エドガー:捕虜·····
エドガー:生きているのか·····
ティエリ:黙って!大人しく!していろ!!
エドガー:なぜ·····死んでいない·····
ティエリ:黙っていろと言っている!!
エドガー:叫ばないでくれ·····
ティエリ:黙れ!!!
エドガー:(M)少しづつはっきりとしてくる意識の中で、怒鳴り声をあげている方を見た。一回りかそれ以上下かも知れぬ、若い青年になり切れていない兵士が居た。
ティエリ:大人しくしていろ!!!
エドガー:殺せっ!!!
ティエリ:なッッ!!??
エドガー:俺は死人以下だ!!早く殺せ!!
ティエリ:黙れ!!発言は!!許可してない!!
エドガー:もう·····殺してくれ·····
ティエリ:いいから!静かにしていろ!!
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ティエリ:(M)突然目を覚ました、敵国の軍人は、自分を殺せとわめきだした·····怖い·····
エドガー:くそ·····
ティエリ:(M)一言呟くとまた眠りについたみたいだ、僕はこのダライアスとの国境付近で、戦争前ダライアスと商売をしていた祖父や父から少しばかりダライアスの言語を教えて貰っていた、なのでこの捕虜収容施設に配置された。悪夢みたいだ·····前線へ行かされるよりはマシかもしれないが、何をしてくるか解らないダライアス軍人は恐怖でしかない、ずっと死んだように寝ていてくれ、拳銃なんて撃ったこともないし、人も殺すなんてのも·····怖い·····
エドガー:(M)それから1日に2回の食事や水を与えられた。武器は没収されていたが危険が無いと思われたのか、個人的な荷物は手元にあった、が、脱走出来るような物などなく、手帳に写真、役には立たないものばかりだ。
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エドガー:おい
ティエリ:·····
エドガー:なぁ!!
ティエリ:·····
エドガー:そこの!!見張り!
ティエリ:·····
エドガー:置物じゃないだろう?
ティエリ:なんだ·····許可なく·····発言するな
エドガー:君はフリスの若者だな
ティエリ:お前には·····関係ない!
エドガー:なぜダライアスの言葉を話せる?
ティエリ:もう一度·····ゆっくり言え!
エドガー:なぜダライアスの言葉を話せるんだ?
ティエリ:別に良いだろ!お前には関係ない!
エドガー:ふむ·····
ティエリ:大人しくしていろ!!
エドガー:俺はどうなる?処刑されないのか?
ティエリ:知らない
エドガー:戦況はどうなんだ?
ティエリ:関係ない
エドガー:他には?捕虜は居ないのか?
ティエリ:お前には関係ない
エドガー:解った、俺はエドガー、エドガー・ヒルデブラントだ、よろしく
ティエリ:な·····?
エドガー:エドと呼んでくれ
ティエリ:(M)なんで?名乗った??
エドガー:俺は捕虜だ、抵抗もしない、むしろ、この状況が生き恥でもある、はやく部下達の元へ行かせて欲しい。
ティエリ:ん??
エドガー:あぁ·····はやく殺してくれって事さ
ティエリ:なぜ·····?
エドガー:何故?1人生き残って、今更国など帰れはしない
ティエリ:生きている事は良い事ではないのか?
エドガー:君は·····軍人では無さそうだな
ティエリ:··········
エドガー:そうか、まぁ、個人的な問題かもしれない、例え軍人でもどんな手を使ってでも生き延びたい奴も居るだろう
ティエリ:··········
エドガー:俺は、俺を信じて着いてきてくれた部下達とその家族に申し訳が立たない
ティエリ:自分のせいって事か?
エドガー:あぁ、そうだ、あまりに無謀な作戦だった
ティエリ:でも軍人ってのは、将軍が居て、その人が指揮を執るんじゃ?
エドガー:そうか·····フリスの最高司令官は将軍と呼ばれているのか、たしかそんな感じだったな
ティエリ:お前なんて、ただの兵隊に過ぎないだろ?
エドガー:エドガーだ
ティエリ:··········
エドガー:勿論そうだ、上から命令され、俺はその命令に従った、が、そーゆー事じゃないんだ
ティエリ:解らない·····
エドガー:君は·····随分と若いようだから、まだ解らないかもしれない
ティエリ:俺が子供だからバカにしているのか!!
エドガー:そうでは無いが、何にそんなに怯えている?
ティエリ:なっ!!
エドガー:軍人ではなく、ダライアスの言葉が解り話せるから連れてこられたんじゃないのか?
ティエリ:··········
エドガー:そうか、図星だな?
ティエリ:関係ないだろ!!!
エドガー:すまない、確かに関係なかったな、だが、怯えなくてもいい、それを伝えたかったんだ、俺は·····はやく部下達の元に行きたい、それだけだ
ティエリ:まだ··········
エドガー:ん?
ティエリ:まだ、処分は決まっていないと昨日きいた
エドガー:そうか、早く処刑しろと伝えといてくれ
ティエリ:駄目だ、本来口を聞くのも駄目なんだ
エドガー:なんだって?
ティエリ:でも、なにか重要な事を口走るかもしれないから、ここにいろと言われた
エドガー:そうか·····残念だが、作戦は失敗に終わり、俺達はもとより捨て駒みたいな扱いだった、その後の事も何もわからない
ティエリ:··········どうでもいい
エドガー:そうだよな
ティエリ:静かにしていろ
エドガー:あぁ·····なぁ?
ティエリ:?
エドガー:君は名前はなんと言うんだ?
ティエリ:知ってどうする?
エドガー:いいじゃないか?おい、とか、そこの!とかじゃ素っ気ないだろ?
ティエリ:それでいい
エドガー:いいだろ?暇なんだよ、処刑されるまで
ティエリ:·····ティ·····
エドガー:ん?
ティエリ:うるさい!!静かにしていろ!
エドガー:ふぅ·····はいはい
ティエリ:(M)軍人とは·····なんなんだ·····死ぬ事が怖くないのか
0:次の日
エドガー:なぁー?おーい!ほれ?若者よ!
ティエリ:慣れすぎだ!!
エドガー:まだか?はやくしてくれ
ティエリ:黙ってろ!!
エドガー:じゃあ、若者!名前を言え
ティエリ:駄目だ!教えない
エドガー:そーだなー、メンソン?キーザキー?バダリハリル?
ティエリ:違う!!
エドガー:ヒントをくれないか?
ティエリ:やらない!!
エドガー:じゃあ、若者、なぜダライアスの言葉が解る?誰に習った?
ティエリ:くっ·····ウルサイ!父と祖父だ!!!
エドガー:へぇ、お父上とお爺様か、家族が何かダライアスにルーツでもあるのか?
ティエリ:別に·····無い
エドガー:じゃあ仕事で必要だったか?
ティエリ:そうだ·····
エドガー:商人か?
ティエリ:そうだ!
エドガー:ダライアスと取引してたのだな?それでか?ここは国境の町だものな
ティエリ:もういいだろ!!
エドガー:賢いんだな
ティエリ:別に!!そんなことはない!!
エドガー:凄い事だと思うぞ
ティエリ:ふん!ウルサイ!
エドガー:で?名前は?
ティエリ:教えない!
エドガー:なぜだ?
ティエリ:必要ない!
エドガー:君は賢い
ティエリ:賢くない!
エドガー:賢いさ
ティエリ:(小声)僕はダライアス自体は嫌いじゃない·····
エドガー:なに?
ティエリ:ダライアスの軍人が嫌いだ
エドガー:ふむ、それは何故だ?
ティエリ:父達の商売の邪魔をしていたからだ、非常に横暴で横柄で最低の人種だ
エドガー:国境警備兵か·····、戦争前は少なからず国境付近で悪さをしていた連中が居たと聞いた事がある。
ティエリ:アンタも同じだろ?
エドガー、否定は出来ないな·····
ティエリ:解ったら、黙っててくれ
エドガー:ならばダライアスは何故嫌いではないのだ?
ティエリ:·····ダライアスの軍人は嫌いだが、街の人たちは暖かったし街並みが綺麗だった。フリス·····と言っても辺境の村だし、なんかこう、洗練されてた。
エドガー:そうか、アルハリオとの国境付近か、シャルツァは確かに綺麗な街だな、ダライアスの首都、ベルリオは来たことはないか?
ティエリ:そんな遠くに行くわけがないだろ
エドガー:そうか·····もっと凄いぞ?
ティエリ:··········どんな風に?
エドガー:鉄道が整備されていてな
ティエリ:鉄道·····
エドガー:この建物くらいの鉄の塊が、凄い速さで走るんだ!
ティエリ:っ!?そんな物があるのか!?
エドガー:あぁ!カッコイイんだ
ティエリ:·····進んでいるんだな·····
エドガー:国は凄くとも、俺はこの通り捕虜だ·····上官に楯突いて、死地へと行かされた友と共に死にに来たんだ
ティエリ:友·····
エドガー:あぁ、昔から気の合う男でな、皆から人望のある男だったが、上官とソリが合わなくてなぁ·····アルハリオ山岳地帯は、言わば天然の要塞だ、難攻不落だよ、そこに進撃しろは、自殺しろと同義だ
ティエリ:··········じゃあ·····アンタはこうなると解ってて前線へ来たのか?
エドガー:欲を言えば、アイツとなら生きては帰れると思ってはいた·····が、なんてことはない、部下をみすみす死なせた、ただのマヌケさ·····あまつさえ、おれは捕虜として生き残ってる·····死に損ないの大バカ野郎さ
ティエリ:でも友達を死なせたくなかったから、一緒に来たんだろ?
エドガー:あぁ·····そのつもりだった
ティエリ: そんな軍人も居るんだな
エドガー:だから·····さっさと処刑なりなんなりとしてくれ·····
ティエリ:ならばなぜ僕の名前を知りたがるんだ?
エドガー:え?そうだな、君は酷く怯えていたように感じた、無理やりここに配置された、民間人に近いだろう、少しでもリラックスして欲しくてな、それに俺の最後の見届け人となるだろうから、名前位知っておきたいと思ったんだ
ティエリ:·····ティ、ティエリ
エドガー:ん?ティティエリー?
ティエリ:ティエリだ!
エドガー:ティエリか!
ティエリ:声がでかい!!
エドガー:すまんな
ティエリ:友達からはティッティとか呼ばれてる
エドガー:そうか!ティッティ!よろしくな
ティエリ:馴れ馴れしく呼ぶな!!
エドガー:嬉しくてついな!あっ!
ティエリ:ん?
エドガー:そうだ!手帳に挟まってたかもしれない
ティエリ:なんだ?
エドガー:あった!これだ!
ティエリ:え?
エドガー:鉄道!機関車の写真だ!
ティエリ:え?
エドガー:ほら
ティエリ:わあ!凄い·····
エドガー:(M)ずっと強ばってたティッティの顔が思わず緩んだ、常に緊張状態にあったのだろう·····その顔は凄く幼く見えた。我々軍人の影で戦争は様々な人を恐怖と戦わせる·····。
ティエリ:これが走るのかよ·····
エドガー:それやるよ
ティエリ:え!?
エドガー:もし·····戦争が終わる事があれば行ってみるといい、感動するぞ?
ティエリ:無理だよ·····
エドガー:そんな事は無い、大丈夫だ、いつか終わる日が必ず来る。私にはもう要らぬ物だ、ティッティの様に未来がある若者ならきっと·····、ふっ、私にはもう人の幸せを願う事は無いと思っていたがな·····
ティエリ:そんな事ないよ!友達や部下の為にも生きればいいじゃないか!!
エドガー:ありがとう、しかし、それは駄目だ·····。
ティエリ:そんな·····
0:
ティエリ:(M)その後の言葉は出なかった·····僕が今まで見た軍人とは違う人だ·····彼には生きていて欲しい·····
0:次の日
エドガー:(M)ティッティが呼ばれて出ていった、こんな事は初めてだ
0:ティエリが戻ってくる
エドガー:遅かっ·····な??どうした?顔が腫れてるじゃないか?
ティエリ:気にしないでくれ、アンタと話していたのを誰か見られたんだろ、有無言わさず殴ってきたんだ
エドガー:なんて事だ·····すまない
ティエリ:いいんだ·····ダライアスとフリスも関係なく、僕は軍人が嫌いだ·····自分勝手で最低だ
エドガー:しかし、これは俺のせいだティッティ!少し声を小さくしような
ティエリ:スパイでもしてると思われたんだろ
エドガー:なんてことだ!
ティエリ:でも·····
エドガー:ん?
ティエリ:アンタから貰った機関車の写真は隠してたから!守れたよ!
エドガー:馬鹿だな!そんなもの!自分を守らないか!
ティエリ:無駄だよ、抵抗なんてすればもっと酷く殴られるだけさ
エドガー:すまないティッティ·····
ティエリ:気にしないでくれ。そんな事より!この機関車ってどうやって動くんだ??
エドガー:え?機関車?俺も専門家じゃないからなぁ、蒸気機関車って言うくらいだから、蒸気じゃないかな?石炭ってあるだろ?あれを燃やすんだ
ティエリ:蒸気!!湯気かよ!!
エドガー:蒸気と湯気じゃ圧力が違うだろう
ティエリ:凄いんだなぁ、もっと話を聞かせてくれよ
エドガー:あぁ!いいぜ!けどあんまり大きな声はやめとけよ?
ティエリ:あぁ·····(小声になる)
エドガー:(M)それから俺も時間を忘れてティッティと話し込んだ。最初の表情から比べると、とても豊かになった。本当なら、俺がベルリオに連れてゆき、この青年を色んな所に案内してやりたい⋯スナイダーの店のソーセージパスタを食べさせてやりたい⋯酒が飲めたなら、一緒にビールを飲みたい、しかし·····それは叶わない、俺はもうすぐ殺されるだろう·····
ティエリ:(M)エドガーの話はとても面白い、エドガーみたいな軍人が居るなんて思わなかった、本当にこの戦争が終わる時がくるのなら、いつかベルリオに行きたい⋯本当は·····エドと一緒に·····けど、それは無理だろうな·····
0:可能なかぎり一緒に
エドガー:(M)戦争なんて
ティエリ:(M)戦争なんて
エドガー:(M)無くなればいいのに
ティエリ:(M)無くなればいいのに
0:
0:突然ドアが開き、フリスの兵が乱暴に入ってきた。
0:
エドガー:なんだ!!??
エドガー:ティ·····
ティエリ:そんな!!!そんな事していません!!!
エドガー:どうした!?何を言われてる?どうした!!?
ティエリ:間違いです!!!スパイだなんて!!??ガァハっっ
エドガー:(M)なにが起きてる!何故ティエリは今殴られた!?!?
0:
エドガー:やめろ!やめないか!!!俺が話す!!通訳しろ!!ティエリ!!
ティエリ:違う!!!やめろ!!
エドガー:ティッティ!!!まて!!どこに連れていく気だ!?グハッ!!
0:銃口で殴られるエドガー
エドガー:くっ!·····待て!!!殺すなら俺を殺せ!!!
ティエリ:離っせ!!待て!!クソッ!!エド!!!エド!!!ごめん!!何かの間違いだと思う!!
エドガー:ティッティ!!!大丈夫なのか!!??
ティエリ:解らない!!けど!エド!!アンタに!お礼と!!一言だけ言わせてくれ!!
エドガー:なんだ!!??お礼!?何言ってる!?
ティエリ:エド!!!アンタは!!アンタの幸せを願ってもいい!!!死ぬなんて!言わないでくれ!!
エドガー:ティッッ!!!待ってくれ·····頼む·····待ってくれ·····
0:
エドガー:(M)ティエリは外に強引に連れていかれてしまった·····
0:
0:部屋の外から銃声が響いた。
0:
エドガー:ッッッ!!!ティっ·····嘘だろ·····なぁッッ!!おい!!!嘘だろぉおおお!!!なぁ!!!!ごめん!!ごめん!ティッティ!!俺が·····ごめん·····
0:
0:間
0:
エドガー:(M)それから数週間後、俺はダライアス側で捕虜になったフリスの兵と捕虜交換という形でダライアスに戻った。戦況はダライアス有利に終わりそうだと聞いた。俺は正直もぬけの殻となっていた、が、ティエリが言った一言が頭から離れず、自殺は止めた、歳の離れた国も違う親友との約束を破る訳にはいかない·····1人だけ生き残った罪を背負い、時間がかかるかも知れないが、贖罪してゆこう·····そして·····いつかはアルハリオのティッティの墓を参ろう。いつか·····必ず。
0:終