台本概要

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タイトル 「オカマ探偵事件簿」~温泉編~
作者名 ハスキ  (@e8E3z1ze9Yecxs2)
ジャンル コメディ
演者人数 3人用台本(男2、女1)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 オカマバーの日常から派生したシナリオ、「オカマ探偵事件簿」大した推理はしないがオカマはたっぷり増量したお話、オカマ演技好きによるオカマ台本の第二弾!今回はオカマバーのママと従業員の玉子(たまこ)が温泉旅行に行き事件に巻き込まれる。果たして見事解決出来るのか!
男女不問。アドリブ大歓迎。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ママ 70 オカマバー「たまガール」のママ。最近は景気が悪く副業で探偵業に手を伸ばす。怒らすと誰にも止められない最強生物。
玉子 56 オカマバー「たまガール」のキャスト。地下格闘技チャンピオンの実力者。ママには頭が上がらない。
56 温泉旅館の中居。仕事熱心で中居仲間から一目置かれている。男運が悪く駄目な男を好きになってしまう。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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女:ありがとうございました。また地獄谷、温泉旅館にお越し下さいませ 女:ふう。よし、すべて順調よ⋯大丈夫、私なら殺れるわ⋯あいつに思い知らしてやるのよ⋯ ママ:すみませ~ん!ちょっと到着が遅くなっちゃいましたけど、予約していた者です~ 玉子:はぁはぁ、ママ~、ちょっと、上で暴れないでちょうだいよ 女:いらっしゃいま⋯って何ですかそれは!? ママ:あら?あなたは若いし知らないのね。これは、荷物を載せたまま押して走れるリヤカーって言うものよ 女:は、はぁ⋯。あの、ちなみにどちらからお越しになられたんですか? ママ:隣りの県よ 女:えぇ!嘘ですよね!? 玉子:これがほんとなのよ~、ママが旅費浮かそうって言ってたのに、自分は乗ってるだけで、私にコレ押させたのよ~?信じられる? ママ:あんた、この間珠代(たまよ)と酔った勢いで大暴れして、店を半壊させたわよね?私まだ修理代もらってないんだけど? 玉子:ママ!帰りも馬車馬の如く走るから、おかませあれ~ 女:あ、はは⋯ 女:(M)なんかいかにも危なそうな二人だけど⋯どうしよう。こんなはずではなかったんだけど⋯計画を見直す必要があるかしら⋯ ママ:何か問題でも? 女:い、いえ、ではご予約の「玉ガール」の多摩美様、玉子様、お二人と言う事で、お部屋にご案内致しまねー :間 女:こちらが今日お泊まり頂く、針地獄の間のお部屋になります 玉子:うっわ~~!綺麗なお部屋ね~。見てみてママ!見晴らしも最高だから! ママ:ご案内ありがとうございます。ちょっと玉子あんた、もう子供じゃないんだから、飛び跳ねないで静かにしてなさい 女:それは気に入って頂けて何よりです。あ、そうです。何か必要な物がありましたら、お気軽にお申し付け下さい ママ:あ、じゃあお風呂上がりに、この美容マッサージってやつをお願いしとくわ 玉子:あ、いいわね~、それ私もここのパンフレット見て、気になってたやつ~ 女:あの⋯こちらは女性限定になってますが⋯ ママ:じゃあ私達が利用しても問題無いわね 女:え⋯?た、大変失礼しました! 女:じ、女性の方でしたか⋯。フフ、はい!それではご夕飯まで、ごゆっくりお過ごし下さい 玉子:は~い、また後で~。ねえ、ママ、あれって勘違いさせたんじゃない? ママ:まさか、オカマジョークを知らないわけないでしょ? 玉子:そうねー。それより、どんなご飯が出るか今から楽しみ~ ママ:確かに、ここで出るご馳走はすんごい美味しいって聞いてるから楽しみねー 玉子:珠代もさぞ来たかったでしょうね~ ママ:あの子も足骨折して入院してなかったらこれたのにね~ 玉子:あ、珠代がママになんか重い物背負わされたとか言ってけど、あれってほんとなの? ママ:さ、お風呂にでも行こうかしら。玉子、あなたもどう? 玉子:さらっと流したわね⋯ :間 女:うん⋯話はだいたい分かってるわ。ちゃんと後で話をしましょう⋯ 女:せっかくここまで来たんだし、お風呂に入って来たら?私の仕事が一段落した後にちゃんと話を聞くから 女:うん、ゆっくり入って来てね 女:⋯よし。なんとかお風呂に誘導する事が出来たわね。後は計画通り、殺るだけよ⋯ :間 ママ:さーてお風呂、お風呂~ 玉子:ママってほんとお風呂好きよね~ ママ:何言ってるの、ここの温泉は美肌の湯で有名なのよ?女を磨く為必要なんだから、あんたも私を見習いなさい 玉子:それ自分で言う?でもここって大きな露天風呂もあるのよね?そっちの方がわたしは楽しみ~ ママ:ハッ、まったくあんたはお子ちゃまなんだから、お風呂ではしゃいだりしないでちょうだいよ :間 ママ:えーと⋯女湯はこっちね 玉子:ちょっとママ、私達は男湯じゃないと不味いんじゃない? ママ:はあ?あんたまさか私に男湯に入れって言う気? 玉子:そりゃそうよママ、私達みたいなガチムチのオカマが女湯に居たら、事件よそれは ママ:ふーん⋯ま、それもそうね。ほんとは男湯なんて私のプライドが許せないけど⋯イイ男の裸が拝めるかもしれないわね、ジュル 玉子:あちゃー、またママの変なスイッチが入っちゃったわね。 ママ:さあいっくわよ~玉子!ナイスボディ達が待ってるわよ~! 玉子:は~い。でも絶対見るだけで、襲わないでよねママ~ :間 ママ:男はどこじゃあ~!!ってあら⋯? 玉子:ママ、残念ね。誰も入ってないみたいよ ママ:はあ⋯何よ、期待して損しちゃったわ 玉子:私は貸切みたいで嬉しいけどー ママ:まあいいわ。こうなったら、たっぷり美肌の湯に浸かって、ツルンツルンのお肌になってやるわよ~! 玉子:頑張ってねママ、私はあっちの露天風呂で泳いで来るから ママ:ん?ちょっと待なさい玉子 玉子:え?ママ、どうしたのよ? ママ:⋯なんか男の声がしたような気がするわ 玉子:え?まさか、どこにも居ないわよ? ママ:うーん、なんかあっちの方から聞こえた気がするのよね 玉子:あっちって、壁よママ?その向こうは女湯だし ママ:そうね、女湯に男は居ないわよね。気のせいだったかしら⋯? 女:(N)その後温泉を楽しんで帰った二人だが、翌日衝撃の事実を知らされる事になる :間 ママ:ふぁ~よく寝たわ~。昨日の美容マッサージが効いたわね~快眠だわ 玉子:ぐおぉ~~(寝息) ママ:はあ⋯この子ったら、まったく。フンヌッ!! 玉子:ぐはぁっ!な、何!ってあれ⋯?さっき私を襲ってたバケモノはどこなの? ママ:起きたかしら?ネボスケちゃん 玉子:出たーー!バケモノーー! ママ:ウラッ!誰がバケモノじゃーい!! 玉子:痛!ご、ごめんママ、冗談だからグーパンチはやめてちょうだい! ママ:まったく、この子は⋯あら?なんか外が騒がしいわね 玉子:ほんとねママ。外に出てみる? ママ:そうね。何か気になるし、外に出て何があったか聞いてみましょ 女:み、皆さん!ひとまずお部屋に入って待機をお願いします! 玉子:あ!そこの仲居(なかい)さん、騒がしいけど何があったの? 女:あ!昨日のお客様。そ、それが⋯ 玉子:ん⋯?何か言いづらい事なのかしら? 女:その⋯男性のお客様が、亡くなってたんです ママ:なんですって!? 玉子:ちょっとちょっと、それって大事(おおごと)じゃなーい! ママ:どういう状況で亡くなってたのかしら? 女:それが⋯その方、女湯で顔をお風呂に付けたまま、溺れて亡くなってたんです。なのでひとまず警察の方が来るまで、お部屋でお待ち頂けたらと⋯ 玉子:ええ~!?ってどゆことママ? ママ:そうね⋯これは調べる必要があるわね 女:え?調べるって、あなた何者なんですか? ママ:私?探偵よ 女:え⋯? :間 女:いきなりお風呂場を見せろって、どういう事なんですか!? ママ:だから、私達がこの事件を解決してあげようって話よ。そういうのが仕事でもあるからね 女:え!、あなたは警察じゃないでしょ!? 玉子:大丈夫よ~、今までも事件をいくつも解決してるから警察には信用されてるのよ 女:え?そんなに有名な方だったんですか? 玉子:私達普段はオカマバーをやってるんだけど、探偵家業でも活躍しちゃってて、その筋では有名な探偵事務所なのよ、すごいでしょ? 女:た、探偵の方⋯? ママ:偉そうに、あんたはおまけでしょうが。てことで、私達に任せてちょうだい 女:は、はあ⋯ 女:(M)なんて事なの、よりによってこんなタイミングで⋯でも大丈夫、私が殺した事は絶対バレないはずよ :間 ママ:ここが、その亡くなっていた男性が見つかった女湯ね。⋯とくに変わった場所は無さそうだけど 女:⋯ ママ:ここの露天風呂で溺れてるのが見つかったのよね? 女:は、はい、そうです。私が最初に見つけましたが、その時にはすでに⋯ ママ:あなたはその時間までは何をしてたのかしら? 女:私は男湯の清掃をしてました。まさか隣りで男性が溺れてるなんて気が付きませんでした ママ:へー、なるほどね⋯ 玉子:たっだいま~ママ~ ママ:おかえり玉子。ちゃんと聞いて来たかしら? 玉子:はーい、バッチリよ~ ママ:で、なんて? 玉子:昨日のお風呂場の担当をしていた仲居さんはこちらの佐々木さん一人みたいよ ママ:なるほど、聞き込みありがとね 女:す、すみません、どうして昨日のお風呂の担当を聞いてたんですか? ママ:簡単よ。これは男性が溺れて亡くなった訳じゃなくて、殺人事件だからよ 女:な!どうしてそう思うんですか? ママ:女の感、よ 玉子:ママ、それ毎回言うのね 女:もしかして私を疑ってるんですか!? ママ:そうね、かなり怪しいとは思ってるわよ 玉子:そう言いながらもう確信があるんじゃないのー? ママ:ちょっとー、すぐ終わらせたら面白くないでしょ? 玉子:面白いとか、面白くないとか、そういう問題~? 女:ちょっと待って下さい!確かに私は昨日のお風呂場の担当でしたが、私はずっと男湯で清掃作業をしてたんですよ、殺すなんて無理じゃないですか! ママ:へー、アリバイ⋯ね。聞こうじゃない? 女:私は昨日の18時から男性を発見する22時まで男湯に居て犯行は不可能なんです ママ:玉子、そのあたりはどうだったの? 玉子:確かに、他の仲居さんが男湯の中に作業をしに入る、佐々木さんを目撃してるわ 女:どうですか、これで私が殺す事が不可能だったのは分かってもらえたでしょ? ママ:確かに⋯でもそれは、あなたが本当に「男湯」に居たならね? 女:え⋯?ど、どういう事ですか? ママ:玉子、昨日の宿泊者の中に男性は他に泊まってたかしら? 玉子:えーと、私達の他に一人しか居なかったはずよ 女:えっ!ちょっと待って下さい!あ、あなた達は⋯男だったんですか? ママ:正確にはオカマね。実際に見るのは初めてだったようね 玉子:あ、やっぱり勘違いしてたんだ 女:嘘…ま、まさか⋯ ママ:おかしいわね~、昨日私達も温泉に入らせてもらったんだけど、男湯には「誰も」入って来なかったんだけど? 女:嘘よ⋯こんな事って⋯ 玉子:ねえママ、いつ男の人は死んだのかしら? ママ:あなた、まだ気がついてないの?私達が入ってる横のお風呂場で殺されてたのよ 玉子:え~!それじゃ男湯が二つある事になるじゃない ママ:簡単なトリックよ、殺された男性がいたって言う女湯は男性が入る前は男湯だったのよ 玉子:あ、なるほど!男性が入った後にのれんを入れ替えて女湯にしてたのね ママ:そして犯行を終えた後に元に戻して自殺に見せかけたのね。 女:⋯ ママ:どうかしら?私の推理は、どこか間違ってたかしら? 女:嘘⋯嘘よ…ちょっとガタイの良い女性二人組だと思ってたのに…よりによってこんなタイミングで! 玉子:私達を女だといってくれたのは嬉しいけど、私達オカマの推理力をあなどったのが敗因よ。 ママ:あんたはとくに何もしてないでしょうが 女:この人達がお風呂に入るタイミングを見誤ったのもあるけど、一番は、この人達がオカマだという事を見抜けなかったのが大誤差よ⋯ 玉子:それより、どうしてその男性を殺しちゃったのかしら? 女:それは⋯死んだその人が、私の彼氏だったからです⋯ ママ:なるほど、痴情のもつれってやつね。大方別れ話でも切り出されてたんじゃないかしら? 女:はは⋯アナタには、そんな事まで分かってしまうんですね⋯ 女:そうです。私がここで働きだした時に偶然最初にお世話させてもらったお客さんが、彼でした⋯ 玉子:あら、これだけ聞くと運命の出会いだわね 女:まだ今日が初めてなんです、と話す私に、彼はとても優しくしてくれました ママ:それで一目惚れしたって事ね 女:後で知ったんですが、彼は新人の仲居さんが入ったばかりの旅館を調べて尋ね、新人の子に優しくしては好意を持たし、遊びで付き合っては捨てるのを繰り返す、最低最悪のクズだったんです。 玉子:その男、仕事に不慣れな弱みに漬け込んだ最低な新人中居キラーだったわけねー 女:そうですね…ほんとに最低な人でした⋯ ママ:でも、どうやらその事実を知ったから殺した⋯というだけじゃないみたいね? 玉子:え?そうなの? 女:⋯はい。私は途中からあの人の裏切りを知ってました。だけど、私はあの人を愛していたんです、最低で最悪な彼を、心の底から愛していたんです! 玉子:私には分かんないけど、そんなクズなのに、それほどその男が好きだったのね~ ママ:恋愛は惚れた方が負け、よく聞く言葉だけど、実際当事者じゃないと分からないのは当然よ 女:そうですね⋯そんな彼から別れてくれと言われた時、私は暗い闇の底に叩き落とされた気分でした 女:そして、一緒に居られないなら、この先も他の女に取られるくらいなら…いっそ殺して、私の記憶の中の彼だけになってもらおうと、そう思ったんです。 玉子:男も男だけど、女の嫉妬って怖いわねー ママ:あんたはどっちの立場で言ってんの? ママ:まあ女の私から言わせてもらうと、恋に盲目になりすぎて、クズな男に引っかかった、あんたにも非が無いとは言えないわね。 女:そう⋯ですね。ほんとに、恋は、人の目を曇らせる危険なものですね⋯ :間 ママ:玉子、お疲れ様だったわね 玉子:は~。ママ~、事情聴取やらなんやらでもう私疲れちゃった~ ママ:事件解決のお礼に、ここの宿泊料タダにしてもらったんだからいいでしょ 玉子:ママは相変わらずお金が絡むと生き生きするわよねー ママ:当たり前でしょ?世の中金よ、金。男は数あれどお金の前には塵(ちり)に等しいわ 玉子:男見ると見境なくアタックするママのセリフとは思えないわね…。 ママ:さ、玉子、せっかくまだ時間はあるんだから、もう一回お風呂入って女を磨くわよ~! 玉子:は~い、かしこまり~。 :おわり

女:ありがとうございました。また地獄谷、温泉旅館にお越し下さいませ 女:ふう。よし、すべて順調よ⋯大丈夫、私なら殺れるわ⋯あいつに思い知らしてやるのよ⋯ ママ:すみませ~ん!ちょっと到着が遅くなっちゃいましたけど、予約していた者です~ 玉子:はぁはぁ、ママ~、ちょっと、上で暴れないでちょうだいよ 女:いらっしゃいま⋯って何ですかそれは!? ママ:あら?あなたは若いし知らないのね。これは、荷物を載せたまま押して走れるリヤカーって言うものよ 女:は、はぁ⋯。あの、ちなみにどちらからお越しになられたんですか? ママ:隣りの県よ 女:えぇ!嘘ですよね!? 玉子:これがほんとなのよ~、ママが旅費浮かそうって言ってたのに、自分は乗ってるだけで、私にコレ押させたのよ~?信じられる? ママ:あんた、この間珠代(たまよ)と酔った勢いで大暴れして、店を半壊させたわよね?私まだ修理代もらってないんだけど? 玉子:ママ!帰りも馬車馬の如く走るから、おかませあれ~ 女:あ、はは⋯ 女:(M)なんかいかにも危なそうな二人だけど⋯どうしよう。こんなはずではなかったんだけど⋯計画を見直す必要があるかしら⋯ ママ:何か問題でも? 女:い、いえ、ではご予約の「玉ガール」の多摩美様、玉子様、お二人と言う事で、お部屋にご案内致しまねー :間 女:こちらが今日お泊まり頂く、針地獄の間のお部屋になります 玉子:うっわ~~!綺麗なお部屋ね~。見てみてママ!見晴らしも最高だから! ママ:ご案内ありがとうございます。ちょっと玉子あんた、もう子供じゃないんだから、飛び跳ねないで静かにしてなさい 女:それは気に入って頂けて何よりです。あ、そうです。何か必要な物がありましたら、お気軽にお申し付け下さい ママ:あ、じゃあお風呂上がりに、この美容マッサージってやつをお願いしとくわ 玉子:あ、いいわね~、それ私もここのパンフレット見て、気になってたやつ~ 女:あの⋯こちらは女性限定になってますが⋯ ママ:じゃあ私達が利用しても問題無いわね 女:え⋯?た、大変失礼しました! 女:じ、女性の方でしたか⋯。フフ、はい!それではご夕飯まで、ごゆっくりお過ごし下さい 玉子:は~い、また後で~。ねえ、ママ、あれって勘違いさせたんじゃない? ママ:まさか、オカマジョークを知らないわけないでしょ? 玉子:そうねー。それより、どんなご飯が出るか今から楽しみ~ ママ:確かに、ここで出るご馳走はすんごい美味しいって聞いてるから楽しみねー 玉子:珠代もさぞ来たかったでしょうね~ ママ:あの子も足骨折して入院してなかったらこれたのにね~ 玉子:あ、珠代がママになんか重い物背負わされたとか言ってけど、あれってほんとなの? ママ:さ、お風呂にでも行こうかしら。玉子、あなたもどう? 玉子:さらっと流したわね⋯ :間 女:うん⋯話はだいたい分かってるわ。ちゃんと後で話をしましょう⋯ 女:せっかくここまで来たんだし、お風呂に入って来たら?私の仕事が一段落した後にちゃんと話を聞くから 女:うん、ゆっくり入って来てね 女:⋯よし。なんとかお風呂に誘導する事が出来たわね。後は計画通り、殺るだけよ⋯ :間 ママ:さーてお風呂、お風呂~ 玉子:ママってほんとお風呂好きよね~ ママ:何言ってるの、ここの温泉は美肌の湯で有名なのよ?女を磨く為必要なんだから、あんたも私を見習いなさい 玉子:それ自分で言う?でもここって大きな露天風呂もあるのよね?そっちの方がわたしは楽しみ~ ママ:ハッ、まったくあんたはお子ちゃまなんだから、お風呂ではしゃいだりしないでちょうだいよ :間 ママ:えーと⋯女湯はこっちね 玉子:ちょっとママ、私達は男湯じゃないと不味いんじゃない? ママ:はあ?あんたまさか私に男湯に入れって言う気? 玉子:そりゃそうよママ、私達みたいなガチムチのオカマが女湯に居たら、事件よそれは ママ:ふーん⋯ま、それもそうね。ほんとは男湯なんて私のプライドが許せないけど⋯イイ男の裸が拝めるかもしれないわね、ジュル 玉子:あちゃー、またママの変なスイッチが入っちゃったわね。 ママ:さあいっくわよ~玉子!ナイスボディ達が待ってるわよ~! 玉子:は~い。でも絶対見るだけで、襲わないでよねママ~ :間 ママ:男はどこじゃあ~!!ってあら⋯? 玉子:ママ、残念ね。誰も入ってないみたいよ ママ:はあ⋯何よ、期待して損しちゃったわ 玉子:私は貸切みたいで嬉しいけどー ママ:まあいいわ。こうなったら、たっぷり美肌の湯に浸かって、ツルンツルンのお肌になってやるわよ~! 玉子:頑張ってねママ、私はあっちの露天風呂で泳いで来るから ママ:ん?ちょっと待なさい玉子 玉子:え?ママ、どうしたのよ? ママ:⋯なんか男の声がしたような気がするわ 玉子:え?まさか、どこにも居ないわよ? ママ:うーん、なんかあっちの方から聞こえた気がするのよね 玉子:あっちって、壁よママ?その向こうは女湯だし ママ:そうね、女湯に男は居ないわよね。気のせいだったかしら⋯? 女:(N)その後温泉を楽しんで帰った二人だが、翌日衝撃の事実を知らされる事になる :間 ママ:ふぁ~よく寝たわ~。昨日の美容マッサージが効いたわね~快眠だわ 玉子:ぐおぉ~~(寝息) ママ:はあ⋯この子ったら、まったく。フンヌッ!! 玉子:ぐはぁっ!な、何!ってあれ⋯?さっき私を襲ってたバケモノはどこなの? ママ:起きたかしら?ネボスケちゃん 玉子:出たーー!バケモノーー! ママ:ウラッ!誰がバケモノじゃーい!! 玉子:痛!ご、ごめんママ、冗談だからグーパンチはやめてちょうだい! ママ:まったく、この子は⋯あら?なんか外が騒がしいわね 玉子:ほんとねママ。外に出てみる? ママ:そうね。何か気になるし、外に出て何があったか聞いてみましょ 女:み、皆さん!ひとまずお部屋に入って待機をお願いします! 玉子:あ!そこの仲居(なかい)さん、騒がしいけど何があったの? 女:あ!昨日のお客様。そ、それが⋯ 玉子:ん⋯?何か言いづらい事なのかしら? 女:その⋯男性のお客様が、亡くなってたんです ママ:なんですって!? 玉子:ちょっとちょっと、それって大事(おおごと)じゃなーい! ママ:どういう状況で亡くなってたのかしら? 女:それが⋯その方、女湯で顔をお風呂に付けたまま、溺れて亡くなってたんです。なのでひとまず警察の方が来るまで、お部屋でお待ち頂けたらと⋯ 玉子:ええ~!?ってどゆことママ? ママ:そうね⋯これは調べる必要があるわね 女:え?調べるって、あなた何者なんですか? ママ:私?探偵よ 女:え⋯? :間 女:いきなりお風呂場を見せろって、どういう事なんですか!? ママ:だから、私達がこの事件を解決してあげようって話よ。そういうのが仕事でもあるからね 女:え!、あなたは警察じゃないでしょ!? 玉子:大丈夫よ~、今までも事件をいくつも解決してるから警察には信用されてるのよ 女:え?そんなに有名な方だったんですか? 玉子:私達普段はオカマバーをやってるんだけど、探偵家業でも活躍しちゃってて、その筋では有名な探偵事務所なのよ、すごいでしょ? 女:た、探偵の方⋯? ママ:偉そうに、あんたはおまけでしょうが。てことで、私達に任せてちょうだい 女:は、はあ⋯ 女:(M)なんて事なの、よりによってこんなタイミングで⋯でも大丈夫、私が殺した事は絶対バレないはずよ :間 ママ:ここが、その亡くなっていた男性が見つかった女湯ね。⋯とくに変わった場所は無さそうだけど 女:⋯ ママ:ここの露天風呂で溺れてるのが見つかったのよね? 女:は、はい、そうです。私が最初に見つけましたが、その時にはすでに⋯ ママ:あなたはその時間までは何をしてたのかしら? 女:私は男湯の清掃をしてました。まさか隣りで男性が溺れてるなんて気が付きませんでした ママ:へー、なるほどね⋯ 玉子:たっだいま~ママ~ ママ:おかえり玉子。ちゃんと聞いて来たかしら? 玉子:はーい、バッチリよ~ ママ:で、なんて? 玉子:昨日のお風呂場の担当をしていた仲居さんはこちらの佐々木さん一人みたいよ ママ:なるほど、聞き込みありがとね 女:す、すみません、どうして昨日のお風呂の担当を聞いてたんですか? ママ:簡単よ。これは男性が溺れて亡くなった訳じゃなくて、殺人事件だからよ 女:な!どうしてそう思うんですか? ママ:女の感、よ 玉子:ママ、それ毎回言うのね 女:もしかして私を疑ってるんですか!? ママ:そうね、かなり怪しいとは思ってるわよ 玉子:そう言いながらもう確信があるんじゃないのー? ママ:ちょっとー、すぐ終わらせたら面白くないでしょ? 玉子:面白いとか、面白くないとか、そういう問題~? 女:ちょっと待って下さい!確かに私は昨日のお風呂場の担当でしたが、私はずっと男湯で清掃作業をしてたんですよ、殺すなんて無理じゃないですか! ママ:へー、アリバイ⋯ね。聞こうじゃない? 女:私は昨日の18時から男性を発見する22時まで男湯に居て犯行は不可能なんです ママ:玉子、そのあたりはどうだったの? 玉子:確かに、他の仲居さんが男湯の中に作業をしに入る、佐々木さんを目撃してるわ 女:どうですか、これで私が殺す事が不可能だったのは分かってもらえたでしょ? ママ:確かに⋯でもそれは、あなたが本当に「男湯」に居たならね? 女:え⋯?ど、どういう事ですか? ママ:玉子、昨日の宿泊者の中に男性は他に泊まってたかしら? 玉子:えーと、私達の他に一人しか居なかったはずよ 女:えっ!ちょっと待って下さい!あ、あなた達は⋯男だったんですか? ママ:正確にはオカマね。実際に見るのは初めてだったようね 玉子:あ、やっぱり勘違いしてたんだ 女:嘘…ま、まさか⋯ ママ:おかしいわね~、昨日私達も温泉に入らせてもらったんだけど、男湯には「誰も」入って来なかったんだけど? 女:嘘よ⋯こんな事って⋯ 玉子:ねえママ、いつ男の人は死んだのかしら? ママ:あなた、まだ気がついてないの?私達が入ってる横のお風呂場で殺されてたのよ 玉子:え~!それじゃ男湯が二つある事になるじゃない ママ:簡単なトリックよ、殺された男性がいたって言う女湯は男性が入る前は男湯だったのよ 玉子:あ、なるほど!男性が入った後にのれんを入れ替えて女湯にしてたのね ママ:そして犯行を終えた後に元に戻して自殺に見せかけたのね。 女:⋯ ママ:どうかしら?私の推理は、どこか間違ってたかしら? 女:嘘⋯嘘よ…ちょっとガタイの良い女性二人組だと思ってたのに…よりによってこんなタイミングで! 玉子:私達を女だといってくれたのは嬉しいけど、私達オカマの推理力をあなどったのが敗因よ。 ママ:あんたはとくに何もしてないでしょうが 女:この人達がお風呂に入るタイミングを見誤ったのもあるけど、一番は、この人達がオカマだという事を見抜けなかったのが大誤差よ⋯ 玉子:それより、どうしてその男性を殺しちゃったのかしら? 女:それは⋯死んだその人が、私の彼氏だったからです⋯ ママ:なるほど、痴情のもつれってやつね。大方別れ話でも切り出されてたんじゃないかしら? 女:はは⋯アナタには、そんな事まで分かってしまうんですね⋯ 女:そうです。私がここで働きだした時に偶然最初にお世話させてもらったお客さんが、彼でした⋯ 玉子:あら、これだけ聞くと運命の出会いだわね 女:まだ今日が初めてなんです、と話す私に、彼はとても優しくしてくれました ママ:それで一目惚れしたって事ね 女:後で知ったんですが、彼は新人の仲居さんが入ったばかりの旅館を調べて尋ね、新人の子に優しくしては好意を持たし、遊びで付き合っては捨てるのを繰り返す、最低最悪のクズだったんです。 玉子:その男、仕事に不慣れな弱みに漬け込んだ最低な新人中居キラーだったわけねー 女:そうですね…ほんとに最低な人でした⋯ ママ:でも、どうやらその事実を知ったから殺した⋯というだけじゃないみたいね? 玉子:え?そうなの? 女:⋯はい。私は途中からあの人の裏切りを知ってました。だけど、私はあの人を愛していたんです、最低で最悪な彼を、心の底から愛していたんです! 玉子:私には分かんないけど、そんなクズなのに、それほどその男が好きだったのね~ ママ:恋愛は惚れた方が負け、よく聞く言葉だけど、実際当事者じゃないと分からないのは当然よ 女:そうですね⋯そんな彼から別れてくれと言われた時、私は暗い闇の底に叩き落とされた気分でした 女:そして、一緒に居られないなら、この先も他の女に取られるくらいなら…いっそ殺して、私の記憶の中の彼だけになってもらおうと、そう思ったんです。 玉子:男も男だけど、女の嫉妬って怖いわねー ママ:あんたはどっちの立場で言ってんの? ママ:まあ女の私から言わせてもらうと、恋に盲目になりすぎて、クズな男に引っかかった、あんたにも非が無いとは言えないわね。 女:そう⋯ですね。ほんとに、恋は、人の目を曇らせる危険なものですね⋯ :間 ママ:玉子、お疲れ様だったわね 玉子:は~。ママ~、事情聴取やらなんやらでもう私疲れちゃった~ ママ:事件解決のお礼に、ここの宿泊料タダにしてもらったんだからいいでしょ 玉子:ママは相変わらずお金が絡むと生き生きするわよねー ママ:当たり前でしょ?世の中金よ、金。男は数あれどお金の前には塵(ちり)に等しいわ 玉子:男見ると見境なくアタックするママのセリフとは思えないわね…。 ママ:さ、玉子、せっかくまだ時間はあるんだから、もう一回お風呂入って女を磨くわよ~! 玉子:は~い、かしこまり~。 :おわり