声劇台本置き場

山本：…虫になりたい 中村：は？ 山本：ん？ 中村：今なんか言わなかった？ 山本：あー、声に出てた？ 中村：うん。「虫になりたい」ってキメ顔で言ってたな　 山本：言ってねぇよ！ 中村：言ったよ！？ 山本：言ったけど！！キメ顔なんかしてねぇだろ！ 中村：えー、キメ顔というか、黄昏れてる自分かっけぇ、みたいな？ 山本：何言ってんの！？ 中村：だから…「虫になりたい」ドヤァああ 中村：って感じ 山本：絶対違うわい！ 中村：えぇ… 山本：こっちが、えぇ…だよ！ 中村：うーん 山本：ボソッと、独り言が出ちゃっただけでしょーが！ 中村：言われてみればそうだったかも 山本：言われなくてもそうだよ！！ 中村：そっかそっか。んで？ 山本：んで？ 中村：虫になりたいさんは、なんでなりたいの？今さら仮面なライダーに憧れちゃったの？ 山本：いや、それはないから 中村：あ、ごめん。今『も』憧れちゃってるんだよね、ごめんね、間違えちゃった 山本：ドタマ勝ち割ったろか？ 中村：脳みそチューチュー吸いたいの？あ、虫だもんね 山本：てい！ 中村：痛っ！…え、大丈夫？死んじゃわない？ 山本：ハチじゃねえんだわ 中村：じゃあなに？ 山本：人間ですけど？ 中村：あ、人間か 山本：見りゃわかるだろ 中村：虫のDNAを取り込んでんのかと 山本：火星に行くやつちゃうわ 中村：Gと戦ってくれるんじゃないの！ 山本：戦うわけないだろ！いやそりゃ、出たら戦うけどさ 中村：ほらー 山本：誰でもそうだろ、ｷｬｰｺﾜｰｲって言っても、あいつら居なくならないし…やるしかないだろ？ 中村：ｷｬｰｺﾜｰｲ 山本：うるせー 中村：ｷｬｰｺﾜｰｲ 山本：なんや、おどれ？わいがGって言いたいんか？おん？ 中村：きゃ、ｷｬｰｺﾜｰ… 山本：ギロッ 中村：ごめんって、冗談冗談 山本：ほんとに殴りたくなってきた 中村：それで、どうしたの？ 山本：うーん 中村：なんか珍しいよね、あんまりそういうこと言わないじゃん 山本：まぁ、なんてことない事なんだけどさ 中村：うんうん 山本：あいつらって本能のままに動いてると思わない？ 中村：ん？ 山本：というか本能という概念すら無い気もする 中村：哲学的な話？ 山本：んー、そんな難しい話はする気ないんだけど 中村：じゃあなに 山本：なんかこう、脊髄反射で行動してるっていうか、余計な事を考えてないというか 中村：あー、なんとなく言いたい事わかったわ 山本：それならよかった 中村：つまり、無思考よだれダラダラ三大欲求忠実マンになりたい、と 山本：そういう事じゃねぇよ！ 中村：ほぇー 山本：ほぇーってなんだよ！ 中村：ムズカシイコトワカンナーイ 山本：はいはい、そうですか。とりあえずパンチするね 中村：暴力反対！！ 山本：そうさせてるのお前だからな！ 中村：すごい！殴りたくなったから殴るなんて、虫さんだね！ 山本：キックもするかな、うん、そうしよ、おら 中村：痛っ！あーイタタタ、アイター…。これは骨折れちゃったなー！慰謝料くださーい 山本：当たり屋もどきやめろ 中村：はぁ、全く…困っちゃうよ 山本：こっちのセリフだ 中村：結局、どうなりたいってんだい君は 山本：…ごちゃごちゃ考えずに、やるべきことだけを愚直にやりたいなって、ことかも 中村：なんか良いこと言おうとした？ 山本：別にそういうわけじゃねぇよ 中村：そっか 山本：うん 中村：…『虫になりたいって言うけど、今の君が素敵だよ！』だぜ！ 山本：ムカつく顔だなぁ~、このっ！このっ！ 中村：うわー、逃げろー！ 山本：待てやこらー！ 中村：ははっ！人生楽しんだもん勝ちってよく言うでしょ、それだよ！きっと！ほら！ここまでおいでー、さらばじゃー！ 山本：お、おい！ 山本：… 山本：……そうは言うけどさ、 山本：それでも虫になりたいよ 中村：ん？なんか言ったー？ 山本：なんでもねぇよ、この野郎ぉー！！ 中村：ｷｬｰｺﾜｰｲ 0：おしまい