台本概要

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タイトル 娘さんを僕にください① アルバイトの父 編
作者名 とーげ  (@studioTOGE)
ジャンル コメディ
演者人数 4人用台本(男2、女2)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 コントの定番「娘さんをください」です。
 
娘の父親は、彼氏が店長を務めるファミリーレストランのアルバイトだった。
威厳が失われた父の思いが炸裂するホームコメディ愛憎劇!
 
【人数】…男2女2(計4)
【時間】…10〜15分
 
※商用利用時は、ご連絡お願いします。
※台本の無断改変・無断転載などはご遠慮ください。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
62 渡辺(60代)…ファミレスのバイト。厳格
47 母(50代)...専業主婦。愛情深い
45 久美子(20代)…ファミレスの常連客。キレると怖い
彼氏 56 田中(30代)...ファミレスの店長。協調的
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
:『娘さんを僕にください① アルバイトの父 編』   0:実家のリビング。 0:娘とその彼氏が並んで座っている。そしてテーブルをはさんだ先に、娘の父と母が座る。 0:父は腕を組み、彼氏は大量の汗をかき、ものすごい緊張感である…   彼氏:お父さん。 彼氏:どうか、娘さんを僕にください! 父:君と私は、どこかで会ったことがあるよね? 彼氏:(気まずそうに)はい 娘:嘘でしょ。 娘:お父さん、気づいてなかったの? 父:お前は黙っていなさい 母:もしかして、初対面じゃないってこと? 父:週3で会ってる 母:そんなにー!? 父:私のことを覚えているか? 彼氏:そりゃ週に3日も会っていれば。 彼氏:シフトによっては4日の時もあるし 父:なんだその言い方は。 父:私の顔は見飽きたと言いたいのか!? 彼氏:そんなことは 娘:お父さん。 娘:田中さんにそんな偉そうな口聞いて良いわけ? 父:いいい、良いに決まってるだろ!? 父:おれはお前の父親だぞ 父:(彼氏に)そう、そうですよね? 彼氏:も、もちろんです! 父:ほれみろ 娘:うぜー 母:(父に)ちょっと。 母:田中さんと、どこでそんな会っているのよ? 父:駅前のファミリーレストラン。 父:だよな? 彼氏:はい 母:ファミリーレストラン!? 母:なんでまた 娘:推しがいるんだよ 母:推しって?  娘:お気に入りのアルバイトの子がいるみたい 母:えっ、アルバイト目当てに通いつめているの? 娘:しかも女子高生だよ 母:JK!? やだ、もうお父さんったら 父:ち、ちがう(むせる) 娘:全身から甘い良い匂いがして、癒されるんだって 母:リアルで気色悪いわね。 母:出禁にした方が良いんじゃない? 父:違う! 私は客じゃない! 母:じゃあ何? 彼氏:渡辺さんは…アルバイトです 母:アルバイト!? え、誰が? 父:私だ 母:ひえ〜 父:そして彼が、そこの店長だ。 父:(彼氏に)そう、そうですよね? 彼氏:(気まずそうに)はい 母:冗談でしょ。そんな夢みたいな話 彼氏:夢ならばどれほど良かったでしょう 娘:これは現実だよ 母:お父さんがアルバイトで、田中さんがそこの店長なの? 父:そう言っているだろ、何度も言わせるな 母:悲惨 父:なに? 母:悲惨すぎるわ。 母:会社をリストラされて働きはじめたバイト先の店長が、久美子の旦那さんだなんて 父:私はまだ結婚を認めていない! 母:バイトにそんな権限はありませーん 父:なんだと 娘:確かに。 娘:バイトはバイトでも、せめてバイトリーダーくらいのポジションになってもらわなきゃ、人の結婚に口出しできないよね 父:(彼氏に)おい。 父:今すぐ店長代理に昇格させろ! 彼氏:待ってください! 僕もびっくりで 父:何がだ 彼氏:これが夢じゃなくて現実だってことに… 娘:目を覚ませー!(彼氏に平手打ち) 彼氏:いたい、いたい、いたい、いたい 父:(引く)そ、そのへんにしておけ 彼氏:まさか久美子さんのお父さんが、渡辺さんだったなんて… 母:(娘に)言ってなかったの? 娘:言ったら、田中さん。 娘:お父さんに気をつかうと思って 母:そうね 彼氏:もし分かっていたら採用してないですよ 父:なぜだ!? 母:気まずいからでしょ 娘:そういえば、お父さんよく田中さんに店の裏に連れて行かれてた 母:店の裏? なんでまた 彼氏:できるだけ人の目にふれない所で、なんていうか、その 母:オヤジ狩り!? 彼氏:違いますよ! 母:残念だけど、この人500円玉しか持ってないわよ 父:おい 母:本当のことでしょ 父:それは…小遣いが少ないから 母:は? 父:うそ、うそ。冗談ですよ〜 父:(愛想笑い)あは、あははっ 母:何その気持ち悪い笑顔 娘:お父さん、こうやって仕事のミスを愛想笑いでごまかすの、窓越しに何度も見た 母:つまり人前で叱るのを遠慮して、店の裏に連れて行ってたのね 彼氏:(気まずそうに)はい… 娘:田中さん優しい 彼氏:いや、そんなこと 娘:田中さん、だいすき 彼氏:僕も…久美子さんのこと/ 父:あー!!!!? 彼氏:あぁ、良いとこなのに 父:おい、久美子。 父:私がいる時間帯に、いつも店にいたよな? 娘:うん。それが何? 父:もしや!?  父:汗水たらして働く私の応援じゃなくて、コイツに会いに来ていたのか!? 母:コイツ? 父:んぐっ、て、店長に 彼氏:コイツで大丈夫です 娘:そうだよ。悪い? 娘:ちなみに私は週5で通う常連客だから 父:常連客ってお前な。 父:週5で、しかもピークの時間帯にドリンクバーだけでねばるんじゃないよ! 父:クレーマーよりタチ悪いぞ 娘:なにそれ、今までそんなこと一度も言わなかったのに 父:それは父である私を心配して見守っていると思ったからだ。 父:でもこの男に会いに来ていたなら話は別だ。勘当だ! 彼氏:渡辺さん、お、落ち着いて/ 娘:(舌打ち)バイトのくせに偉そうに 父:なんだと? 娘:私はね、店長の嫁よ! 娘:たかがバイトの分際で誰に口聞いているのよ!? 父:すごいこと言うんだな 彼氏:久美子さんも、お、落ち着いて 娘:喜んで! 店長様がそう言うなら。 娘:だいすき 彼氏:僕も…久美子さんのこと/ 父:茶番はやめろ! 彼氏:あぁ、もう! 良いとこなのに 父:文句あるか? 父:恋人の父親にクレームつける気か? 彼氏:申し訳ございません! 母:あなたバイトなのかクレーマーなのか分からないわね 娘:(彼氏に)時給下げちゃえば? 父:久美子! 父:そんなに私のことが気に入らないなら、今すぐこの家から出ていけ! 母:バイトにそんな権限はありませーん 父:(母に)お前も出ていけー! 母:はぁ?(怒り) 父:うそ、うそ。冗談ですよ〜 父:(愛想笑い)あは、あははっ 母:私が出て行ったら、あなた一人で生活していけると思っているの 父:そ、それは 母:今だに洗濯機ひとつ回せないでしょ。 母:そんなんだからバイトでも同じミス繰り返すんじゃないの!? 父:(母に)社会にでてないお前に何が分かるって言うんだ!? 母:かちーん 娘:あーあ、地雷踏んじゃった 彼氏:店のSNSを渡辺さんに任せると、すぐ炎上するんだよ 娘:なんで任せるの? だめじゃない? 彼氏:だって立候補するから。 彼氏:広報の経験があるから心配ないって言うし 娘:あぁ、言いそう 母:あなたね、私の500円貯金箱から何度もこっそりお金取っているの。 母:気がついてないと思っているの? 父:いや、え、あの、ちょっと借りただけじゃないか 娘:最っ低 彼氏:だからさっき500円玉しか持ってないって 父:うるさい。 父:そもそもファミレスの時給が低いのが問題だ! 彼氏:渡辺さん。今のは本音ですか? 父:うそ、うそ。冗談ですよ〜、店長。 父:(愛想笑い)あは、あははっ 彼氏:その気持ち悪い笑顔は、すでに本部に報告済みです 父:やばくない? 娘:家でも店でも炎上かい。 娘:消防車 呼ぶ? 母:泥棒だから、110番。 母:警察呼んでちょうだい 父:やめてー! 彼氏:あの! 一度ちゃんと落ち着きましょう 父:それは指図か? 彼氏:指図? 父:店長としての威厳を、この家にまで持ち込むつもりか!? 彼氏:だから、そんなつもりありませんよ 娘:お父さん、もうちょっと田中さんに寄りそってさ/ 父:久美子! お前は知っているのか? 娘:なに? 父:この男がアルバイトのJKに言い寄っているのを 娘:はぁ?(怒) 母:あら〜、形勢逆転かしら 彼氏:いやいや、ないよ。ないない 父:嘘をつくな。 父:おととい、みっちゃんを店の裏に連れて行くのを見たぞ 彼氏:あ、あれは 娘:え? わたし知らない。 娘:あ、ファンタメロン20杯目の時かな… 父:ファンタだけ減りが異常なのは、お前のせいか 彼氏:ぜひコーラとスプライトも飲んでほしい 母:待って。 母:でも店の裏ってことは、あなたと同じお説教なのでは? 父:いいや、店に戻ってきたコイツの全身から、ほら、あの、いちごオレと同じあまーいピンクの匂いが…。 父:なぁ。分かるだろ? 母:恋ね 娘:うりゃ、うりゃ、うりゃ、うりゃ(彼氏に拳) 彼氏:いたい、いたい、いたい、いたい。 彼氏:ぐ、グーパンチ!? 父:ラブラブだな 彼氏:どこがー? 娘:お母さん、110番して。 娘:新婚初日に殺人事件が発生したって 彼氏:殺すつもり!? 父:私はまだ結婚を認めていない! 母:『不倫』と『浮気』の狭間(はざま)にいる男、田中店長 彼氏:どちらも地獄。 彼氏:あれは本当にただ相談にのって 父:相談? なんだ相談って? 彼氏:言えません 娘:言えない相談ってなんだよ。 娘:詐欺師に金ふんだくられたか? 娘:唐揚げの正しいレモンのしぼり方を聞かれたか? 娘:それともオナラが止まらない相談でもされたのか!? 彼氏:オナラが止まらないなら、とりあえずファンタ飲むのやめたら 娘:は? 彼氏:オナラ100回でたら死んじゃうって説もあるし 娘:私の話じゃねー!  娘:そもそもそれは、オナラじゃなくてゲップだろ 母:しゃっくりでしょ 娘:そうだっけ? 父:なんでも良いがナイショの話は  父:恋愛相談だろ? 父:みっちゃんに『店長のこと好きになっちゃいました。どうしよう?』 父:って、言われたんだろ!? 彼氏:もうやめてください! 娘:じゃあ何だよ? 彼氏:それは… 母:秘密にするなら、結婚は認められないわね 父:当然 彼氏:そんな… 娘:ドリンクバー全部いちごオレになる呪いかけてやる 彼氏:えー 母:ファンタじゃなくて良いの? 娘:田中はいちごオレが飲めないから。 娘:嫌がらせ 母:ふーん、なるほど… 娘:果物アレルギーだし、そもそも甘ったるい飲み物が全然ダメ 母:え? じゃあなんで田中さんから、いちごオレの/ 彼氏:あの!  彼氏:実は、渡辺さんのことで相談されて 父:私? な、なにかな?(期待) 彼氏:渡辺さんにあだ名で呼ばれるのが気持ち悪いって 父:うそ…みっちゃんが 娘:うわ。セクハラじゃん 彼氏:他にも渡辺さんに対するクレームが山のように 母:どんな? 彼氏:お会計を間違えておじいさんに怒鳴られたり、ドリンクバーの補充が遅いって常連客に睨まれたり 父:店長!? 父:それはコイツがファンタばかり飲むからですよ! 娘:知らんぷり 父:知らんぷりするな! 彼氏:フロアで働く同僚からも 彼氏:『コイツ、マトモニ リョウリ ハコベナイ ニャ。キュウリョウ ドロボウ』 彼氏:とか言われたりもして 母:猫型の配膳ロボットからもクレームきてるの? 娘:そういえばお父さん、よくロボットに体当たりしてる/ 父:(食い気味に)よーし、分かった! 父:結婚を認めよう! 彼氏:あ、ありがとうございます! 娘:やったー! 母:良かったわね 父:ただし、条件がある 彼氏:条件…なんですか? 父:みっちゃんのLINEのID教えて 彼氏:あなた、クビです 0:(了)

:『娘さんを僕にください① アルバイトの父 編』   0:実家のリビング。 0:娘とその彼氏が並んで座っている。そしてテーブルをはさんだ先に、娘の父と母が座る。 0:父は腕を組み、彼氏は大量の汗をかき、ものすごい緊張感である…   彼氏:お父さん。 彼氏:どうか、娘さんを僕にください! 父:君と私は、どこかで会ったことがあるよね? 彼氏:(気まずそうに)はい 娘:嘘でしょ。 娘:お父さん、気づいてなかったの? 父:お前は黙っていなさい 母:もしかして、初対面じゃないってこと? 父:週3で会ってる 母:そんなにー!? 父:私のことを覚えているか? 彼氏:そりゃ週に3日も会っていれば。 彼氏:シフトによっては4日の時もあるし 父:なんだその言い方は。 父:私の顔は見飽きたと言いたいのか!? 彼氏:そんなことは 娘:お父さん。 娘:田中さんにそんな偉そうな口聞いて良いわけ? 父:いいい、良いに決まってるだろ!? 父:おれはお前の父親だぞ 父:(彼氏に)そう、そうですよね? 彼氏:も、もちろんです! 父:ほれみろ 娘:うぜー 母:(父に)ちょっと。 母:田中さんと、どこでそんな会っているのよ? 父:駅前のファミリーレストラン。 父:だよな? 彼氏:はい 母:ファミリーレストラン!? 母:なんでまた 娘:推しがいるんだよ 母:推しって?  娘:お気に入りのアルバイトの子がいるみたい 母:えっ、アルバイト目当てに通いつめているの? 娘:しかも女子高生だよ 母:JK!? やだ、もうお父さんったら 父:ち、ちがう(むせる) 娘:全身から甘い良い匂いがして、癒されるんだって 母:リアルで気色悪いわね。 母:出禁にした方が良いんじゃない? 父:違う! 私は客じゃない! 母:じゃあ何? 彼氏:渡辺さんは…アルバイトです 母:アルバイト!? え、誰が? 父:私だ 母:ひえ〜 父:そして彼が、そこの店長だ。 父:(彼氏に)そう、そうですよね? 彼氏:(気まずそうに)はい 母:冗談でしょ。そんな夢みたいな話 彼氏:夢ならばどれほど良かったでしょう 娘:これは現実だよ 母:お父さんがアルバイトで、田中さんがそこの店長なの? 父:そう言っているだろ、何度も言わせるな 母:悲惨 父:なに? 母:悲惨すぎるわ。 母:会社をリストラされて働きはじめたバイト先の店長が、久美子の旦那さんだなんて 父:私はまだ結婚を認めていない! 母:バイトにそんな権限はありませーん 父:なんだと 娘:確かに。 娘:バイトはバイトでも、せめてバイトリーダーくらいのポジションになってもらわなきゃ、人の結婚に口出しできないよね 父:(彼氏に)おい。 父:今すぐ店長代理に昇格させろ! 彼氏:待ってください! 僕もびっくりで 父:何がだ 彼氏:これが夢じゃなくて現実だってことに… 娘:目を覚ませー!(彼氏に平手打ち) 彼氏:いたい、いたい、いたい、いたい 父:(引く)そ、そのへんにしておけ 彼氏:まさか久美子さんのお父さんが、渡辺さんだったなんて… 母:(娘に)言ってなかったの? 娘:言ったら、田中さん。 娘:お父さんに気をつかうと思って 母:そうね 彼氏:もし分かっていたら採用してないですよ 父:なぜだ!? 母:気まずいからでしょ 娘:そういえば、お父さんよく田中さんに店の裏に連れて行かれてた 母:店の裏? なんでまた 彼氏:できるだけ人の目にふれない所で、なんていうか、その 母:オヤジ狩り!? 彼氏:違いますよ! 母:残念だけど、この人500円玉しか持ってないわよ 父:おい 母:本当のことでしょ 父:それは…小遣いが少ないから 母:は? 父:うそ、うそ。冗談ですよ〜 父:(愛想笑い)あは、あははっ 母:何その気持ち悪い笑顔 娘:お父さん、こうやって仕事のミスを愛想笑いでごまかすの、窓越しに何度も見た 母:つまり人前で叱るのを遠慮して、店の裏に連れて行ってたのね 彼氏:(気まずそうに)はい… 娘:田中さん優しい 彼氏:いや、そんなこと 娘:田中さん、だいすき 彼氏:僕も…久美子さんのこと/ 父:あー!!!!? 彼氏:あぁ、良いとこなのに 父:おい、久美子。 父:私がいる時間帯に、いつも店にいたよな? 娘:うん。それが何? 父:もしや!?  父:汗水たらして働く私の応援じゃなくて、コイツに会いに来ていたのか!? 母:コイツ? 父:んぐっ、て、店長に 彼氏:コイツで大丈夫です 娘:そうだよ。悪い? 娘:ちなみに私は週5で通う常連客だから 父:常連客ってお前な。 父:週5で、しかもピークの時間帯にドリンクバーだけでねばるんじゃないよ! 父:クレーマーよりタチ悪いぞ 娘:なにそれ、今までそんなこと一度も言わなかったのに 父:それは父である私を心配して見守っていると思ったからだ。 父:でもこの男に会いに来ていたなら話は別だ。勘当だ! 彼氏:渡辺さん、お、落ち着いて/ 娘:(舌打ち)バイトのくせに偉そうに 父:なんだと? 娘:私はね、店長の嫁よ! 娘:たかがバイトの分際で誰に口聞いているのよ!? 父:すごいこと言うんだな 彼氏:久美子さんも、お、落ち着いて 娘:喜んで! 店長様がそう言うなら。 娘:だいすき 彼氏:僕も…久美子さんのこと/ 父:茶番はやめろ! 彼氏:あぁ、もう! 良いとこなのに 父:文句あるか? 父:恋人の父親にクレームつける気か? 彼氏:申し訳ございません! 母:あなたバイトなのかクレーマーなのか分からないわね 娘:(彼氏に)時給下げちゃえば? 父:久美子! 父:そんなに私のことが気に入らないなら、今すぐこの家から出ていけ! 母:バイトにそんな権限はありませーん 父:(母に)お前も出ていけー! 母:はぁ?(怒り) 父:うそ、うそ。冗談ですよ〜 父:(愛想笑い)あは、あははっ 母:私が出て行ったら、あなた一人で生活していけると思っているの 父:そ、それは 母:今だに洗濯機ひとつ回せないでしょ。 母:そんなんだからバイトでも同じミス繰り返すんじゃないの!? 父:(母に)社会にでてないお前に何が分かるって言うんだ!? 母:かちーん 娘:あーあ、地雷踏んじゃった 彼氏:店のSNSを渡辺さんに任せると、すぐ炎上するんだよ 娘:なんで任せるの? だめじゃない? 彼氏:だって立候補するから。 彼氏:広報の経験があるから心配ないって言うし 娘:あぁ、言いそう 母:あなたね、私の500円貯金箱から何度もこっそりお金取っているの。 母:気がついてないと思っているの? 父:いや、え、あの、ちょっと借りただけじゃないか 娘:最っ低 彼氏:だからさっき500円玉しか持ってないって 父:うるさい。 父:そもそもファミレスの時給が低いのが問題だ! 彼氏:渡辺さん。今のは本音ですか? 父:うそ、うそ。冗談ですよ〜、店長。 父:(愛想笑い)あは、あははっ 彼氏:その気持ち悪い笑顔は、すでに本部に報告済みです 父:やばくない? 娘:家でも店でも炎上かい。 娘:消防車 呼ぶ? 母:泥棒だから、110番。 母:警察呼んでちょうだい 父:やめてー! 彼氏:あの! 一度ちゃんと落ち着きましょう 父:それは指図か? 彼氏:指図? 父:店長としての威厳を、この家にまで持ち込むつもりか!? 彼氏:だから、そんなつもりありませんよ 娘:お父さん、もうちょっと田中さんに寄りそってさ/ 父:久美子! お前は知っているのか? 娘:なに? 父:この男がアルバイトのJKに言い寄っているのを 娘:はぁ?(怒) 母:あら〜、形勢逆転かしら 彼氏:いやいや、ないよ。ないない 父:嘘をつくな。 父:おととい、みっちゃんを店の裏に連れて行くのを見たぞ 彼氏:あ、あれは 娘:え? わたし知らない。 娘:あ、ファンタメロン20杯目の時かな… 父:ファンタだけ減りが異常なのは、お前のせいか 彼氏:ぜひコーラとスプライトも飲んでほしい 母:待って。 母:でも店の裏ってことは、あなたと同じお説教なのでは? 父:いいや、店に戻ってきたコイツの全身から、ほら、あの、いちごオレと同じあまーいピンクの匂いが…。 父:なぁ。分かるだろ? 母:恋ね 娘:うりゃ、うりゃ、うりゃ、うりゃ(彼氏に拳) 彼氏:いたい、いたい、いたい、いたい。 彼氏:ぐ、グーパンチ!? 父:ラブラブだな 彼氏:どこがー? 娘:お母さん、110番して。 娘:新婚初日に殺人事件が発生したって 彼氏:殺すつもり!? 父:私はまだ結婚を認めていない! 母:『不倫』と『浮気』の狭間(はざま)にいる男、田中店長 彼氏:どちらも地獄。 彼氏:あれは本当にただ相談にのって 父:相談? なんだ相談って? 彼氏:言えません 娘:言えない相談ってなんだよ。 娘:詐欺師に金ふんだくられたか? 娘:唐揚げの正しいレモンのしぼり方を聞かれたか? 娘:それともオナラが止まらない相談でもされたのか!? 彼氏:オナラが止まらないなら、とりあえずファンタ飲むのやめたら 娘:は? 彼氏:オナラ100回でたら死んじゃうって説もあるし 娘:私の話じゃねー!  娘:そもそもそれは、オナラじゃなくてゲップだろ 母:しゃっくりでしょ 娘:そうだっけ? 父:なんでも良いがナイショの話は  父:恋愛相談だろ? 父:みっちゃんに『店長のこと好きになっちゃいました。どうしよう?』 父:って、言われたんだろ!? 彼氏:もうやめてください! 娘:じゃあ何だよ? 彼氏:それは… 母:秘密にするなら、結婚は認められないわね 父:当然 彼氏:そんな… 娘:ドリンクバー全部いちごオレになる呪いかけてやる 彼氏:えー 母:ファンタじゃなくて良いの? 娘:田中はいちごオレが飲めないから。 娘:嫌がらせ 母:ふーん、なるほど… 娘:果物アレルギーだし、そもそも甘ったるい飲み物が全然ダメ 母:え? じゃあなんで田中さんから、いちごオレの/ 彼氏:あの!  彼氏:実は、渡辺さんのことで相談されて 父:私? な、なにかな?(期待) 彼氏:渡辺さんにあだ名で呼ばれるのが気持ち悪いって 父:うそ…みっちゃんが 娘:うわ。セクハラじゃん 彼氏:他にも渡辺さんに対するクレームが山のように 母:どんな? 彼氏:お会計を間違えておじいさんに怒鳴られたり、ドリンクバーの補充が遅いって常連客に睨まれたり 父:店長!? 父:それはコイツがファンタばかり飲むからですよ! 娘:知らんぷり 父:知らんぷりするな! 彼氏:フロアで働く同僚からも 彼氏:『コイツ、マトモニ リョウリ ハコベナイ ニャ。キュウリョウ ドロボウ』 彼氏:とか言われたりもして 母:猫型の配膳ロボットからもクレームきてるの? 娘:そういえばお父さん、よくロボットに体当たりしてる/ 父:(食い気味に)よーし、分かった! 父:結婚を認めよう! 彼氏:あ、ありがとうございます! 娘:やったー! 母:良かったわね 父:ただし、条件がある 彼氏:条件…なんですか? 父:みっちゃんのLINEのID教えて 彼氏:あなた、クビです 0:(了)