台本概要

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タイトル 花実月
作者名 かがり じゅん  (@romancesyndrome)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 3人用台本(女3) ※兼役あり
時間 20 分
台本使用規定 商用、非商用問わず連絡不要
説明 ーハナミズキの花言葉ー
永続性、返礼、華やかな恋



ーあらすじー
十和野美月が死に、その直後に彼女と親交の深かった男達の行方が知れなくなってから一月半が経った。
三人の女が集まり、いなくなった者たちについて語り合う。
やがて女達の狂気が牙を剥く。



ー登場人物ー

花音:石作 花音(いしづくり かのん)
花音: パッション系、明るく快活、我が強い
花音:天空のダメなところに庇護欲をくすぐられている。
花音:美月を崇拝している

深鳥:庫持 深鳥(くらもち みどり)
深鳥:クール系、サバサバしている、冷めている
深鳥:大地の真面目さに惹かれている
深鳥:美月の事を愛している

風歌:岩笠 風歌(いわかさ ふうか)
風歌:キュート系、天然、自信がない
風歌:海人の頼もしさに助けられている
風歌:美月に畏れを抱いている

謎の人物:花音役、深鳥役、風歌役の誰かが演じる

美月:十和野 美月(とわの みつき)
美月:美しい女
美月:美月の葬式の日、仲の良かった男たちが三人行方不明になっている
美月:謎の人物以外の役の誰かが演じる

ニュース:謎の人物と十和野美月以外の役が演じる



大地:安倍 大地(あべ だいち)男性
大地:十和野美月の恋人
大地:誠実で真面目、一途
大地:友情に熱く直情的
大地:作中のセリフ無し

天空:大伴 天空(おおとも てんくう)
天空:安倍大地の友人
天空:十和野美月とも知人
天空:内向的で自己肯定感が低い
天空:涙もろいが、いうべきことはちゃんと言う。
天空:作中のセリフ無し

海人:石上 海人(いしがみ かいと)
海人:安倍大地の友人
海人:十和野美月とも知人
海人:軽薄で軟派だが友人思いでもある人情派
海人:頭の回転は早い
海人:作中のセリフ無し

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
花音 44 石作 花音(いしづくり かのん) パッション系、明るく快活、我が強い 天空のダメなところに庇護欲をくすぐられている。 美月を崇拝している
深鳥 41 庫持 深鳥(くらもち みどり) クール系、サバサバしている、冷めている 大地の真面目さに惹かれている 美月の事を愛している
風歌 40 岩笠 風歌(いわかさ ふうか) キュート系、天然、自信がない 海人の頼もしさに助けられている 美月に畏れを抱いている
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
ーハナミズキの花言葉ー 永続性、返礼、華やかな恋 ーあらすじー 十和野美月が死に、その直後に彼女と親交の深かった男達の行方が知れなくなってから一月半が経った。 三人の女が集まり、いなくなった者たちについて語り合う。 やがて女達の狂気が牙を剥く。 ー登場人物ー 花音:石作 花音(いしづくり かのん) 花音: パッション系、明るく快活、我が強い 花音:天空のダメなところに庇護欲をくすぐられている。 花音:美月を崇拝している 深鳥:庫持 深鳥(くらもち みどり) 深鳥:クール系、サバサバしている、冷めている 深鳥:大地の真面目さに惹かれている 深鳥:美月の事を愛している 風歌:岩笠 風歌(いわかさ ふうか) 風歌:キュート系、天然、自信がない 風歌:海人の頼もしさに助けられている 風歌:美月に畏れを抱いている 謎の人物:花音役、深鳥役、風歌役の誰かが演じる 美月:十和野 美月(とわの みつき) 美月:美しい女 美月:美月の葬式の日、仲の良かった男たちが三人行方不明になっている 美月:謎の人物以外の役の誰かが演じる ニュース:謎の人物と十和野美月以外の役が演じる 大地:安倍 大地(あべ だいち)男性 大地:十和野美月の恋人 大地:誠実で真面目、一途 大地:友情に熱く直情的 大地:作中のセリフ無し 天空:大伴 天空(おおとも てんくう) 天空:安倍大地の友人 天空:十和野美月とも知人 天空:内向的で自己肯定感が低い 天空:涙もろいが、いうべきことはちゃんと言う。 天空:作中のセリフ無し 海人:石上 海人(いしがみ かいと) 海人:安倍大地の友人 海人:十和野美月とも知人 海人:軽薄で軟派だが友人思いでもある人情派 海人:頭の回転は早い 海人:作中のセリフ無し ー本編ー 謎の人物:これで終わり… 謎の人物:そうでしょ? 謎の人物:美月、十和野美月。 謎の人物:ぜんぶ…ぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶ! 謎の人物:全部!私が!美月!! ー間ー 風歌:あ!花音ちゃん! 深鳥:花音、遅刻だよ。こんな日くらいちゃんとしてよね。 花音:ごっめーん!ちょっと気合い入れて化粧してたら、いつの間にか時間過ぎちゃっててさー! 深鳥:もう。今日は美月の四十九日だから、みんなで集まろうって言ったでしょう。 深鳥:こんな日にくらい、約束の時間を守りなさいよ。 花音:だからー、ごめんってばー。 風歌:み、みどりちゃん、花音ちゃんも悪気はなかったんだし、反省もしてるみたいだし、さ? 花音:そーだよー。そんなに怒ってると眉間のしわが取れなくなっちゃうって、海人にもよく言われてたじゃん! 風歌:か、花音ちゃん! 深鳥:…… 花音:あっ…、ご、ごめん。 深鳥:別に私に謝ることじゃないよ。 花音:そう、だね。 ー間ー 風歌:三人がいなくなったのも美月ちゃんのお葬式の日だったもんね… 深鳥:…だね。いったい何やってんだか。 花音:きっと、また天空がドジってやらかしたんでしょ! 花音:なーんか抜けてるんだよねえ。 花音:地味っていうか臆病っていうか。 深鳥:あんただって似たようなもんでしょ? 深鳥:いつも一言多いんだから、よく大地がしかめっ面してた。 風歌:それを海人君が茶化すから、ますます話がまとまらないんだよね、いつも。 風歌:懐かしいなぁ。 花音:って、やめやめ!男共は別に死んだって決まったわけじゃないんだから! 深鳥:だね。まあ、そのうちひょっこり現れるでしょ。 花音:そうそう。気にするだけ無駄だってー! 風歌:…… 風歌:やっぱり、美月ちゃんのことが原因なのかな… 深鳥:えっ… 花音:なに?どういうこと? 風歌:あっ、ごめん。 風歌:何でもないよ。 花音:何でもないことないでしょ。 花音:まあ、確かに大地は美月と付き合ってたわけだし、何かあってもおかしくないとは思うけどさ。 深鳥:花音!不謹慎だよ。 深鳥:大地が二人を巻き込んで失踪したって言いたいの? 花音:だってそうでしょ? 花音:天空が、そんな人に迷惑をかけるようなこと、自分からするはずないじゃん。 風歌:み、深鳥ちゃん!花音ちゃんも大地君のことを悪く言ってるわけじゃ… 深鳥:何?風花も花音の味方をするの? 深鳥:大地は、美月が死んでおかしくなったから、二人を道連れにしたんじゃないかって? 風歌:べ、別にそんなつもりは… 深鳥:じゃあ、何のつも(りなのかはっきりいいなさいよ) 花音:(かぶせて) 花音:大地が好きだったからって、逆ギレ? 深鳥:っ!! 風歌:えっ、あっ! 花音:あんたが大地に気があることなんて、見てればバレバレじゃん。 花音:今だって大地の事になったとたんムキになってさ、わっかりやすー。 深鳥:あんた… 花音:何?言っとくけど私にキレるのは違うからね。 花音:風花が、美月のせいみたいな言い方するからさ。 花音:大体さ、全部大地が悪いんだよ。 花音:あいつみたいなフツーの奴が、美月と付き合っていいはずがない。 花音:美月は私らとは違う。もっと遠い存在なんだ! 花音:それを穢(けが)した大地はいなくなって当然なんだよ!! ー間ー 花音:(M) 花音:十和野美月は美しい子だった。 花音:初めて出合った頃の彼女は、怪しげな魅力を放(はな)っていて、誰もが彼女に夢中だった。 花音:地味な私は彼女の魅力に憧れて、少しでも近づきたくて頑張った。 花音:でもどれだけ頑張っても、彼女のようにはなれなかった。 花音:だって彼女は、本当に特別な人なのだから。 ー間ー 深鳥:花音… 風歌:花音ちゃん、そんな言い方しなくても… 花音:じゃあどんな言い方ならいいわけ?本当の事でしょ? 花音:あーそっか。風歌、あんたはあんたで海人に惚れてたもんね。 風歌:えっ!そんなっ!私なんて… 深鳥:花音。悪ふざけも大概(たいがい)にしなよ。 深鳥:よりにもよって、こんな日にする話じゃないでしょうが。 花音:深鳥はいつもそうだよね。 深鳥:え? 花音:そうやっていつもいい子ちゃんぶって、何かあればいつも私を悪者扱い。 花音:確かに私はあんたみたいに頭良くないし、バカばっかやってるよ。 花音:でもさ、いつもいつもあんたが正しかったわけじゃないじゃん。 花音:なのに決まって頼られるのは深鳥で、私はトラブルメーカー。 深鳥:別に、私はそんなつもり… 花音:ねえ、美月に頼りにしてもらえて気持ちよかった? 花音:何かあれば、私を問題児扱いすればよかったもんね? 花音:その愛想のいい顔の下じゃ、私の事バカにしてたんでしょ? 風歌:もうやめて! 風歌:誰も花音ちゃんの事バカにしたりなんかしてないよ! 風歌:深鳥ちゃんも花音ちゃんの事をいつも(思ってて) 深鳥:(かぶせて) 深鳥:バカにしてるのはどっちよ!! 花音:へぇ? 深鳥:さっきから好き勝手言ってくれるじゃない。 深鳥:いい子ちゃんぶって?悪者扱い? 深鳥:都合よく私を利用してたのはあんた達じゃない! 風歌:み、どり…ちゃん。 深鳥:面倒なことや厄介ごとはいつも私に無茶ぶりして、自分達は楽しく遊んでばっか。 深鳥:美月に頼られる?そうよ、頼られてたでしょうよ。 深鳥:でも頼られた私はいつも一人! 深鳥:予定立てたり、段取り組んだり、あんたたち一度でも手伝ってくれたことある!? 花音:それが本音ってわけ? 深鳥:それだけじゃないわよ。 深鳥:私はね、本当だったらあんた達みたいになりたかったわよ。 深鳥:あんた達はいつも美月の横にいた。 深鳥:美月があんた達に見せる顔を私にも向けてほしかった。 深鳥:なんでなの!? 深鳥:あんた達がのほほんと遊んでる間、私ばっかり苦労して! 深鳥:それで美月の親友ポジションにいるのが当然みたいな顔して! 風歌:そんな風に、思ってたの? 深鳥:いけない!? 深鳥:私の事なんだと思ってたの!? 深鳥:使いっ走り!?召使い!? 深鳥:私はそんなのこれっぽっちも望んでない! 深鳥:私は!本当は…! 花音:何よ?言いなよ。 深鳥:…美月に愛されたかった!! ー間ー 深鳥:(M) 深鳥:十和野美月は美しい子だった。 深鳥:物静かに見えて、深いまなざしや思慮深い言葉からは、彼女の才覚と心の美しさが感じ取れた。 深鳥:私の目が彼女の姿を追うようになるのに、時間はかからなかった。 深鳥:いつしか私の心は、彼女のことでいっぱいになっていった。 深鳥:だって彼女は、本当に愛しい人なのだから。 ー間ー 風歌:深鳥ちゃん… 花音:はぁ? 花音:あんた正気? 花音:美月に愛されるなんて、そんなことありえるわけないじゃん。 深鳥:っ…! 深鳥:このっ!!! 風歌:花音ちゃん。ありえないってどういうこと? 花音:はあ。 花音:あのね、美月は私たちとは違うの。 花音:私たちみたいな人間とはもうまったく、全然違う存在なんだよ。 花音:それなのに、よりによって、愛!? 花音:そんないやらしい目で美月のことを見てたとか、身の程知らずってやつでしょ。 風歌:でも、それは大地君だって同じでしょ? 花音:そうだよ。 花音:大地だって身の程知らず。 花音:でも、美月の遺伝子を残す道具としてなら、百歩譲って許せなくもなかった。 花音:でも深鳥は違うでしょ? 花音:美月の為に、美月が喜ぶように、美月の手足となって支えればいいんだよ。 深鳥:美月はモノじゃない! 深鳥:そんな風に美月を扱う花音の方が美月を馬鹿にしてるわ!! 花音:馬鹿になんかしてない! 花音:美月は神様なの! 花音:それがわからない深鳥の方が頭イってんじゃない!? 風歌:でもそれっておかしいよね? 花音:風花!あんたは引っ込(んでて) 風歌:大地君と美月ちゃんの仲を、一番に取り持ってたのって深鳥ちゃんだったよね? 風歌:深鳥ちゃんが、美月ちゃんのことを愛してたっていうなら、なんでわざわざ自分以外の人とくっつけたりなんかしたの? 深鳥:それ、は… 風歌:私、何か変なこと言ってる? 風歌:だってそうでしょ? 風歌:好きな人が、自分以外の人と愛し合ってる様子を見るのって、辛いことだよね? 風歌:大地君だったら、美月ちゃんと付き合ってよかったの? 風歌:大地君がよかったの? 深鳥:風花、やめて… 花音:ふう、か…? 風歌:深鳥ちゃんは美月ちゃんのことを愛してた。 風歌:いいよ、それは、うん、納得した。 風歌:でもね?私、大地君のことは納得できないの。 風歌:だって、深鳥ちゃんは大地君のことだって、ちゃんと好きだったはずだよね? 深鳥:お願い… 風歌:美月ちゃんと出会う前に、大地君のことを私に相談したのは、深鳥ちゃんでしょ? 風歌:好きな人が好きな人とくっつくのは許せたってこと? 風歌:大地君と美月ちゃんを好きな気持ちより、二人を応援する気持ちが勝ったの? 深鳥:いや、言わないで、風歌… 花音:ちょっと、風歌、おかしいんじゃない… 風歌:おかしいのは私? 風歌:私から見たら二人の方がおかしいよ。 風歌:今まで仲良くしてた友達なのに、突然こんな風に喧嘩して。 風歌:それもこれも全部美月ちゃんが原因。 風歌:美月ちゃんのせいで、みんなみんなおかしくなっていく。 深鳥:ごめんなさい、私が悪かったの… 花音:どうしたの深鳥!? 風歌:そうだよね?深鳥ちゃんもいけなかったよね? 風歌:だって大事なお友達の大地君を陥(おとしい)れて、美月ちゃんを奪おうとしてたんだもんね? 深鳥:あ、ああ… 花音:深鳥!深鳥!! 風歌:やっぱり、最初から美月ちゃんなんか、いなくなっちゃえばよかったんだ。 ー間ー 風歌:(M) 風歌:十和野美月は美しい子だった。 風歌:その美しさは人を惑わせ、狂わせる魔性の美しさだ。 風歌:平積みの本を手に取るような気軽さで人の心に付け入り、枝毛の処理のように関係を切る。 風歌:気まぐれで、無邪気に、悪意なく、それを私に見せつける。 風歌:人として道を外れた行い。してはならないこと。 風歌:なのに私は、彼女を止めることができなかった。 風歌:だって彼女は、本当に自由な人なのだから。 ー間ー 深鳥:(うつろな表情で泣いている) 花音:風歌!あんた!! 風歌:花音ちゃんも花音ちゃんだよね。 風歌:遺伝子を残す道具、だっけ? 花音:な、何?それがどうしたってのよ!? 風歌:ふうん。じゃあ花音ちゃんも知ってたんだね。 風歌:美月ちゃん…あの子があちこちで関係を持ってたこと。 花音:ぐっ… 風歌:でも私が美月ちゃんと寝たことがあるってことは、さすがに知らないよね? 花音:なぁっ!? 深鳥:ぇ… 風歌:あの子はね、誰でも、本当に誰でもいいの。 風歌:誰にでも近づくし、皆の求めるあの子になれる。 風歌:私たちだけが、特別仲が良かったなんてことないんだよ。 風歌:きっと大地君だって、興味がなくなったら切られてた。 風歌:そうなる前にあの子がいなくなって、むしろ大地君は幸せだったと思うよ。 花音:まって、ちょっと待って… 風歌:天空君はまだましな方だったな。 風歌:彼が求める関係がプラトニックだったおかげで、私たちの中では一番傷が浅かったもの。 花音:待ってって言ってるでしょ! 風歌:海人君が一番かわいそう。 風歌:みんなのことを一番よく考えて、あえて誰よりも外れくじを引いて、最後は一番あの子に取り込まれちゃった。 花音:風花!!やめないとただじゃ(おかないんだから!!) 深鳥:(かぶせて) 深鳥:聞きたくない… 風歌:(二人のセリフにかぶせて) 風歌:あの子が死んでやっと解放されたっていうのに、二人の中にまだあの子がいる! 風歌:ねえ、なんで? 風歌:もういない人間の方がそんなに大事なの!? 花音:美月をそんな風に言うな! 深鳥:…助けて、美月。 風歌:あんな子なんて! 花音:美月は神様だああああ!!! 風歌:死んで当然だったのよ!!! 深鳥:…美月、愛してる。 ーたっぷりの間ー ーエピローグー (このシーンは三人全員で読むか、謎の人物だけ参加せずに二人だけで掛け合って進めて下さい) 花音:ごめーん!遅れちゃったー! 花音:あー、私が最後? 花音:待たせちゃって、ほんとごめんね? 深鳥:もう、また? 深鳥:んー、ま、大丈夫でしょ。 深鳥:こうなると思ってあらかじめ準備してたもの。 風歌:私のせいで、ごめんなさい。 風歌:今日が楽しみで、昨日遅くまで付き合わせちゃったから… 花音:いや、悪いのは遅刻した私だって。 花音:ここは!私の顔に免じて、お昼おごらせて! 花音:こないだ、おーいしーとこ見つけたんだよねー! 深鳥:いいわよ、そんなに気にしなくても。 深鳥:そんなに謝られたら、私が悪者みたいじゃない。 深鳥:…私だって楽しみにしてたんだから、気持ちはおんなじよ… 風歌:ふふふ。なんだかんだ言って、やさしいよね。 風歌:そういうところが好きなんだぁ。 風歌:私、友達で良かったぁ。 花音:あははっ!じゃあ行こっか! 花音:今日はいーっぱい楽しむぞー! 深鳥:もう!恥ずかしいからそういうことを… 深鳥:まあ、今日はいっか。 深鳥:さ、行きましょう! 風歌:うん! ーエピローグ2ー (このシーンは前のシーンを三人で読んだ場合は美月一人で、  二人で読んでいる場合は謎の人物と美月の二人で掛け合ってください。) 美月:私、つまらないわ。 美月:置いてきぼりなんて、ひどいじゃない。 謎の人物:美月… 美月:でも、こういうの、悪くないものね。 美月:こういうの、初めての経験だもの。 謎の人物:私が、いるよ。 美月:ふふふふ。 美月:そうね。 美月:これからどうしようかしら?どうしたらいいかしら? 謎の人物:美月は、美月のままでいいの。 美月:あははははは! 美月:素敵!素敵素敵素敵!! 美月:そうよ!私が置いて行かれたんじゃなくて、私が置いて行ってしまったのね! 美月:だって私だもの!だから私なんだもの!! 謎の人物:美月… 謎の人物:あなたって、本当に… ー間ー ニュース:本日未明、身元不明の女性二人の遺体が発見されました。

ーハナミズキの花言葉ー 永続性、返礼、華やかな恋 ーあらすじー 十和野美月が死に、その直後に彼女と親交の深かった男達の行方が知れなくなってから一月半が経った。 三人の女が集まり、いなくなった者たちについて語り合う。 やがて女達の狂気が牙を剥く。 ー登場人物ー 花音:石作 花音(いしづくり かのん) 花音: パッション系、明るく快活、我が強い 花音:天空のダメなところに庇護欲をくすぐられている。 花音:美月を崇拝している 深鳥:庫持 深鳥(くらもち みどり) 深鳥:クール系、サバサバしている、冷めている 深鳥:大地の真面目さに惹かれている 深鳥:美月の事を愛している 風歌:岩笠 風歌(いわかさ ふうか) 風歌:キュート系、天然、自信がない 風歌:海人の頼もしさに助けられている 風歌:美月に畏れを抱いている 謎の人物:花音役、深鳥役、風歌役の誰かが演じる 美月:十和野 美月(とわの みつき) 美月:美しい女 美月:美月の葬式の日、仲の良かった男たちが三人行方不明になっている 美月:謎の人物以外の役の誰かが演じる ニュース:謎の人物と十和野美月以外の役が演じる 大地:安倍 大地(あべ だいち)男性 大地:十和野美月の恋人 大地:誠実で真面目、一途 大地:友情に熱く直情的 大地:作中のセリフ無し 天空:大伴 天空(おおとも てんくう) 天空:安倍大地の友人 天空:十和野美月とも知人 天空:内向的で自己肯定感が低い 天空:涙もろいが、いうべきことはちゃんと言う。 天空:作中のセリフ無し 海人:石上 海人(いしがみ かいと) 海人:安倍大地の友人 海人:十和野美月とも知人 海人:軽薄で軟派だが友人思いでもある人情派 海人:頭の回転は早い 海人:作中のセリフ無し ー本編ー 謎の人物:これで終わり… 謎の人物:そうでしょ? 謎の人物:美月、十和野美月。 謎の人物:ぜんぶ…ぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶ! 謎の人物:全部!私が!美月!! ー間ー 風歌:あ!花音ちゃん! 深鳥:花音、遅刻だよ。こんな日くらいちゃんとしてよね。 花音:ごっめーん!ちょっと気合い入れて化粧してたら、いつの間にか時間過ぎちゃっててさー! 深鳥:もう。今日は美月の四十九日だから、みんなで集まろうって言ったでしょう。 深鳥:こんな日にくらい、約束の時間を守りなさいよ。 花音:だからー、ごめんってばー。 風歌:み、みどりちゃん、花音ちゃんも悪気はなかったんだし、反省もしてるみたいだし、さ? 花音:そーだよー。そんなに怒ってると眉間のしわが取れなくなっちゃうって、海人にもよく言われてたじゃん! 風歌:か、花音ちゃん! 深鳥:…… 花音:あっ…、ご、ごめん。 深鳥:別に私に謝ることじゃないよ。 花音:そう、だね。 ー間ー 風歌:三人がいなくなったのも美月ちゃんのお葬式の日だったもんね… 深鳥:…だね。いったい何やってんだか。 花音:きっと、また天空がドジってやらかしたんでしょ! 花音:なーんか抜けてるんだよねえ。 花音:地味っていうか臆病っていうか。 深鳥:あんただって似たようなもんでしょ? 深鳥:いつも一言多いんだから、よく大地がしかめっ面してた。 風歌:それを海人君が茶化すから、ますます話がまとまらないんだよね、いつも。 風歌:懐かしいなぁ。 花音:って、やめやめ!男共は別に死んだって決まったわけじゃないんだから! 深鳥:だね。まあ、そのうちひょっこり現れるでしょ。 花音:そうそう。気にするだけ無駄だってー! 風歌:…… 風歌:やっぱり、美月ちゃんのことが原因なのかな… 深鳥:えっ… 花音:なに?どういうこと? 風歌:あっ、ごめん。 風歌:何でもないよ。 花音:何でもないことないでしょ。 花音:まあ、確かに大地は美月と付き合ってたわけだし、何かあってもおかしくないとは思うけどさ。 深鳥:花音!不謹慎だよ。 深鳥:大地が二人を巻き込んで失踪したって言いたいの? 花音:だってそうでしょ? 花音:天空が、そんな人に迷惑をかけるようなこと、自分からするはずないじゃん。 風歌:み、深鳥ちゃん!花音ちゃんも大地君のことを悪く言ってるわけじゃ… 深鳥:何?風花も花音の味方をするの? 深鳥:大地は、美月が死んでおかしくなったから、二人を道連れにしたんじゃないかって? 風歌:べ、別にそんなつもりは… 深鳥:じゃあ、何のつも(りなのかはっきりいいなさいよ) 花音:(かぶせて) 花音:大地が好きだったからって、逆ギレ? 深鳥:っ!! 風歌:えっ、あっ! 花音:あんたが大地に気があることなんて、見てればバレバレじゃん。 花音:今だって大地の事になったとたんムキになってさ、わっかりやすー。 深鳥:あんた… 花音:何?言っとくけど私にキレるのは違うからね。 花音:風花が、美月のせいみたいな言い方するからさ。 花音:大体さ、全部大地が悪いんだよ。 花音:あいつみたいなフツーの奴が、美月と付き合っていいはずがない。 花音:美月は私らとは違う。もっと遠い存在なんだ! 花音:それを穢(けが)した大地はいなくなって当然なんだよ!! ー間ー 花音:(M) 花音:十和野美月は美しい子だった。 花音:初めて出合った頃の彼女は、怪しげな魅力を放(はな)っていて、誰もが彼女に夢中だった。 花音:地味な私は彼女の魅力に憧れて、少しでも近づきたくて頑張った。 花音:でもどれだけ頑張っても、彼女のようにはなれなかった。 花音:だって彼女は、本当に特別な人なのだから。 ー間ー 深鳥:花音… 風歌:花音ちゃん、そんな言い方しなくても… 花音:じゃあどんな言い方ならいいわけ?本当の事でしょ? 花音:あーそっか。風歌、あんたはあんたで海人に惚れてたもんね。 風歌:えっ!そんなっ!私なんて… 深鳥:花音。悪ふざけも大概(たいがい)にしなよ。 深鳥:よりにもよって、こんな日にする話じゃないでしょうが。 花音:深鳥はいつもそうだよね。 深鳥:え? 花音:そうやっていつもいい子ちゃんぶって、何かあればいつも私を悪者扱い。 花音:確かに私はあんたみたいに頭良くないし、バカばっかやってるよ。 花音:でもさ、いつもいつもあんたが正しかったわけじゃないじゃん。 花音:なのに決まって頼られるのは深鳥で、私はトラブルメーカー。 深鳥:別に、私はそんなつもり… 花音:ねえ、美月に頼りにしてもらえて気持ちよかった? 花音:何かあれば、私を問題児扱いすればよかったもんね? 花音:その愛想のいい顔の下じゃ、私の事バカにしてたんでしょ? 風歌:もうやめて! 風歌:誰も花音ちゃんの事バカにしたりなんかしてないよ! 風歌:深鳥ちゃんも花音ちゃんの事をいつも(思ってて) 深鳥:(かぶせて) 深鳥:バカにしてるのはどっちよ!! 花音:へぇ? 深鳥:さっきから好き勝手言ってくれるじゃない。 深鳥:いい子ちゃんぶって?悪者扱い? 深鳥:都合よく私を利用してたのはあんた達じゃない! 風歌:み、どり…ちゃん。 深鳥:面倒なことや厄介ごとはいつも私に無茶ぶりして、自分達は楽しく遊んでばっか。 深鳥:美月に頼られる?そうよ、頼られてたでしょうよ。 深鳥:でも頼られた私はいつも一人! 深鳥:予定立てたり、段取り組んだり、あんたたち一度でも手伝ってくれたことある!? 花音:それが本音ってわけ? 深鳥:それだけじゃないわよ。 深鳥:私はね、本当だったらあんた達みたいになりたかったわよ。 深鳥:あんた達はいつも美月の横にいた。 深鳥:美月があんた達に見せる顔を私にも向けてほしかった。 深鳥:なんでなの!? 深鳥:あんた達がのほほんと遊んでる間、私ばっかり苦労して! 深鳥:それで美月の親友ポジションにいるのが当然みたいな顔して! 風歌:そんな風に、思ってたの? 深鳥:いけない!? 深鳥:私の事なんだと思ってたの!? 深鳥:使いっ走り!?召使い!? 深鳥:私はそんなのこれっぽっちも望んでない! 深鳥:私は!本当は…! 花音:何よ?言いなよ。 深鳥:…美月に愛されたかった!! ー間ー 深鳥:(M) 深鳥:十和野美月は美しい子だった。 深鳥:物静かに見えて、深いまなざしや思慮深い言葉からは、彼女の才覚と心の美しさが感じ取れた。 深鳥:私の目が彼女の姿を追うようになるのに、時間はかからなかった。 深鳥:いつしか私の心は、彼女のことでいっぱいになっていった。 深鳥:だって彼女は、本当に愛しい人なのだから。 ー間ー 風歌:深鳥ちゃん… 花音:はぁ? 花音:あんた正気? 花音:美月に愛されるなんて、そんなことありえるわけないじゃん。 深鳥:っ…! 深鳥:このっ!!! 風歌:花音ちゃん。ありえないってどういうこと? 花音:はあ。 花音:あのね、美月は私たちとは違うの。 花音:私たちみたいな人間とはもうまったく、全然違う存在なんだよ。 花音:それなのに、よりによって、愛!? 花音:そんないやらしい目で美月のことを見てたとか、身の程知らずってやつでしょ。 風歌:でも、それは大地君だって同じでしょ? 花音:そうだよ。 花音:大地だって身の程知らず。 花音:でも、美月の遺伝子を残す道具としてなら、百歩譲って許せなくもなかった。 花音:でも深鳥は違うでしょ? 花音:美月の為に、美月が喜ぶように、美月の手足となって支えればいいんだよ。 深鳥:美月はモノじゃない! 深鳥:そんな風に美月を扱う花音の方が美月を馬鹿にしてるわ!! 花音:馬鹿になんかしてない! 花音:美月は神様なの! 花音:それがわからない深鳥の方が頭イってんじゃない!? 風歌:でもそれっておかしいよね? 花音:風花!あんたは引っ込(んでて) 風歌:大地君と美月ちゃんの仲を、一番に取り持ってたのって深鳥ちゃんだったよね? 風歌:深鳥ちゃんが、美月ちゃんのことを愛してたっていうなら、なんでわざわざ自分以外の人とくっつけたりなんかしたの? 深鳥:それ、は… 風歌:私、何か変なこと言ってる? 風歌:だってそうでしょ? 風歌:好きな人が、自分以外の人と愛し合ってる様子を見るのって、辛いことだよね? 風歌:大地君だったら、美月ちゃんと付き合ってよかったの? 風歌:大地君がよかったの? 深鳥:風花、やめて… 花音:ふう、か…? 風歌:深鳥ちゃんは美月ちゃんのことを愛してた。 風歌:いいよ、それは、うん、納得した。 風歌:でもね?私、大地君のことは納得できないの。 風歌:だって、深鳥ちゃんは大地君のことだって、ちゃんと好きだったはずだよね? 深鳥:お願い… 風歌:美月ちゃんと出会う前に、大地君のことを私に相談したのは、深鳥ちゃんでしょ? 風歌:好きな人が好きな人とくっつくのは許せたってこと? 風歌:大地君と美月ちゃんを好きな気持ちより、二人を応援する気持ちが勝ったの? 深鳥:いや、言わないで、風歌… 花音:ちょっと、風歌、おかしいんじゃない… 風歌:おかしいのは私? 風歌:私から見たら二人の方がおかしいよ。 風歌:今まで仲良くしてた友達なのに、突然こんな風に喧嘩して。 風歌:それもこれも全部美月ちゃんが原因。 風歌:美月ちゃんのせいで、みんなみんなおかしくなっていく。 深鳥:ごめんなさい、私が悪かったの… 花音:どうしたの深鳥!? 風歌:そうだよね?深鳥ちゃんもいけなかったよね? 風歌:だって大事なお友達の大地君を陥(おとしい)れて、美月ちゃんを奪おうとしてたんだもんね? 深鳥:あ、ああ… 花音:深鳥!深鳥!! 風歌:やっぱり、最初から美月ちゃんなんか、いなくなっちゃえばよかったんだ。 ー間ー 風歌:(M) 風歌:十和野美月は美しい子だった。 風歌:その美しさは人を惑わせ、狂わせる魔性の美しさだ。 風歌:平積みの本を手に取るような気軽さで人の心に付け入り、枝毛の処理のように関係を切る。 風歌:気まぐれで、無邪気に、悪意なく、それを私に見せつける。 風歌:人として道を外れた行い。してはならないこと。 風歌:なのに私は、彼女を止めることができなかった。 風歌:だって彼女は、本当に自由な人なのだから。 ー間ー 深鳥:(うつろな表情で泣いている) 花音:風歌!あんた!! 風歌:花音ちゃんも花音ちゃんだよね。 風歌:遺伝子を残す道具、だっけ? 花音:な、何?それがどうしたってのよ!? 風歌:ふうん。じゃあ花音ちゃんも知ってたんだね。 風歌:美月ちゃん…あの子があちこちで関係を持ってたこと。 花音:ぐっ… 風歌:でも私が美月ちゃんと寝たことがあるってことは、さすがに知らないよね? 花音:なぁっ!? 深鳥:ぇ… 風歌:あの子はね、誰でも、本当に誰でもいいの。 風歌:誰にでも近づくし、皆の求めるあの子になれる。 風歌:私たちだけが、特別仲が良かったなんてことないんだよ。 風歌:きっと大地君だって、興味がなくなったら切られてた。 風歌:そうなる前にあの子がいなくなって、むしろ大地君は幸せだったと思うよ。 花音:まって、ちょっと待って… 風歌:天空君はまだましな方だったな。 風歌:彼が求める関係がプラトニックだったおかげで、私たちの中では一番傷が浅かったもの。 花音:待ってって言ってるでしょ! 風歌:海人君が一番かわいそう。 風歌:みんなのことを一番よく考えて、あえて誰よりも外れくじを引いて、最後は一番あの子に取り込まれちゃった。 花音:風花!!やめないとただじゃ(おかないんだから!!) 深鳥:(かぶせて) 深鳥:聞きたくない… 風歌:(二人のセリフにかぶせて) 風歌:あの子が死んでやっと解放されたっていうのに、二人の中にまだあの子がいる! 風歌:ねえ、なんで? 風歌:もういない人間の方がそんなに大事なの!? 花音:美月をそんな風に言うな! 深鳥:…助けて、美月。 風歌:あんな子なんて! 花音:美月は神様だああああ!!! 風歌:死んで当然だったのよ!!! 深鳥:…美月、愛してる。 ーたっぷりの間ー ーエピローグー (このシーンは三人全員で読むか、謎の人物だけ参加せずに二人だけで掛け合って進めて下さい) 花音:ごめーん!遅れちゃったー! 花音:あー、私が最後? 花音:待たせちゃって、ほんとごめんね? 深鳥:もう、また? 深鳥:んー、ま、大丈夫でしょ。 深鳥:こうなると思ってあらかじめ準備してたもの。 風歌:私のせいで、ごめんなさい。 風歌:今日が楽しみで、昨日遅くまで付き合わせちゃったから… 花音:いや、悪いのは遅刻した私だって。 花音:ここは!私の顔に免じて、お昼おごらせて! 花音:こないだ、おーいしーとこ見つけたんだよねー! 深鳥:いいわよ、そんなに気にしなくても。 深鳥:そんなに謝られたら、私が悪者みたいじゃない。 深鳥:…私だって楽しみにしてたんだから、気持ちはおんなじよ… 風歌:ふふふ。なんだかんだ言って、やさしいよね。 風歌:そういうところが好きなんだぁ。 風歌:私、友達で良かったぁ。 花音:あははっ!じゃあ行こっか! 花音:今日はいーっぱい楽しむぞー! 深鳥:もう!恥ずかしいからそういうことを… 深鳥:まあ、今日はいっか。 深鳥:さ、行きましょう! 風歌:うん! ーエピローグ2ー (このシーンは前のシーンを三人で読んだ場合は美月一人で、  二人で読んでいる場合は謎の人物と美月の二人で掛け合ってください。) 美月:私、つまらないわ。 美月:置いてきぼりなんて、ひどいじゃない。 謎の人物:美月… 美月:でも、こういうの、悪くないものね。 美月:こういうの、初めての経験だもの。 謎の人物:私が、いるよ。 美月:ふふふふ。 美月:そうね。 美月:これからどうしようかしら?どうしたらいいかしら? 謎の人物:美月は、美月のままでいいの。 美月:あははははは! 美月:素敵!素敵素敵素敵!! 美月:そうよ!私が置いて行かれたんじゃなくて、私が置いて行ってしまったのね! 美月:だって私だもの!だから私なんだもの!! 謎の人物:美月… 謎の人物:あなたって、本当に… ー間ー ニュース:本日未明、身元不明の女性二人の遺体が発見されました。