台本概要
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タイトル | ノリトイキオイ3 |
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作者名 | シンタマ (@UdonguRataN) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 5人用台本(不問5) ※兼役あり |
時間 | 40 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
思ったより長くなってしまった。 誤字脱字は後程直します。 年齢性別変更可。 兼ね役あります。どなたがやっても構いません。 少しでも読んだ、演じた方に楽しんで頂けたら幸いです。 265 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
早瀬 | 男 | 106 | 早瀬 佐須良(はやせ さすら) 見た目20代後半 |
伊吹 | 男 | 151 | 早瀬 伊吹(はやせ いぶき) 17歳くらい |
ぬらりちゃん | 不問 | 85 | 妖怪 |
比織 | 女 | 169 | 戸都開 比織(ととかい ひおり) 17歳くらい |
おにぎり | 女 | 95 | 綮 舞(むすびめ まい) 17歳くらい |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:神社の境内
伊吹:おっす!俺の名前は早瀬伊吹!
伊吹:とある神社で、神主兼師匠である早瀬佐須良(はやせさすら)、元大妖怪ぬらりひょんのぬらりちゃんと一緒に暮らしてるアオハル真っ只中の高校2年生だぜ!
ぬらりちゃん:ぬらー
比織:え?え?
伊吹:そして、このほぼ毎日遊びに来るめちゃくちゃ可愛い子は戸都開比織ちゃん!
比織:あ、ど、どうも。
伊吹:いずれ将来を誓い合いたい存在だぜ。
比織:それは無理かな。
ぬらりちゃん:ばっさりー。
伊吹:ひどいぜ。
比織:伊吹くんこそ突然どうしたのよ。急にその・・・変な自己紹介始めちゃって。
ぬらりちゃん:へんなのはいつものことー。
伊吹:・・・ふっ。
比織:伊吹くん?
ぬらりちゃん:ぬら?
伊吹:・・・二人共・・・。3年9か月ぶりだね。元気だった?
比織:あ。
ぬらりちゃん:ぬらー。
伊吹:どうかな?なんか口調とかおかしくない?頑張って当時っぽくしてみたんだけど?
伊吹:キャラぶれてないかな?俺のこと覚えてる?ぜ?
ぬらりちゃん:いぶきおちつけ。
伊吹:そもそも一人称も俺だっけ・・・?僕だった気も・・・ワンチャン私・・・?
伊吹:あれ?俺・・・ってなんだっけ・・・。
比織:伊吹くんしっかりして!!
伊吹:はっ!・・・あ、比織ちゃん、それにぬらりちゃんも・・・。
伊吹:俺は一体何をしてたんだぜ?
ぬらりちゃん:よかったー。
比織:ほんとね。あ、そうだそんなことよりさすらさんいる?
伊吹:いっそ清々しいぜ。師匠は部屋でなんか仕事してる。
比織:そうなんだ。なら私の出番ね。公私共に支え合う素敵な関係。うふふ。
伊吹:公私共に邪魔してると思うぜ。
比織:ひどい!さすらさんがそんなこと思う訳ないでしょ。
ぬらりちゃん:そのさすらが言ってt
比織:なぁにぬらりちゃん?
ぬらりちゃん:・・・さすらがたすかるなーて言ってた。
比織:ほーらね!やっぱりさすらさんには私が必要なんだから。
伊吹:おいぬらりちゃん。
ぬらりちゃん:だっていぶきー。
比織:さぁて、今日はどこに隠れてるんですかねさすらさんは。ほんと照れ屋さんなんだから。
比織:そこがまた魅力なんだけど。うふふ。
伊吹:師匠すまねぇ。俺達には止められなかったぜ。
ぬらりちゃん:ぬらー。
比織:・・・あ、そういえば。
伊吹:なんだぜ?
比織:デュラちゃんは?
伊吹:あー、デュラか。
比織:なんだか随分会ってないような気がするし、
比織:さっきの変な自己紹介にも出てこなかったよね。
伊吹:ああ、あいつはその・・・いなくなったぜ。
比織:いなくなった!?
ぬらりちゃん:ぬらー。
比織:な、え、その、なんで?
伊吹:そこは大人の都合ってやつだぜ。
ぬらりちゃん:あらがえないー。
比織:・・・どういうこと?
伊吹:比織ちゃん、いまここには何人いる?
比織:私、伊吹くん、ぬらりちゃんの3人だよ。
伊吹:そう。それと師匠。これで4人だぜ。
比織:うん。
伊吹:つまり後一人しか出られないってこと。
比織:え!?
ぬらりちゃん:ぬらー。
伊吹:同時に出られるのは5人まで。これは絶対のルールだぜ。
比織:そんな理不尽な・・・でもそれが正しい気もしてくる不思議な感覚・・・。
比織:はっ!?じゃあデュラちゃんは・・・。
伊吹:あいつが出るとなると他の人が出られない。
伊吹:だからあいつは今回、そしてきっとその次も
ぬらりちゃん:ぎせいー。
比織:デュラちゃん・・・。
伊吹:確かに不自由で理不尽、明日は我が身かと思う5人ルールだけど、
伊吹:どこかそんなルールに縛られていた事が嬉しくも懐かしく思うぜ。
ぬらりちゃん:いぶき・・・。
比織:伊吹くん・・・。あ、だったら兼ね役は?あれならいくらでも
伊吹:正直あれは難しいと思うぜ?
比織:ちょっと!
ぬらりちゃん:あくまでこじんのかんそうー。
伊吹:書く方もやる方も楽しいのは楽しいけど実際やり切るのは大変だぜ。
伊吹:前半で出番は終わったと思って油断して、
伊吹:後半の一言二言ある兼ね役のセリフ出とちったり。
比織:それは伊吹くんの方に問題があるんじゃないかしら。
伊吹:そもそも短い時間で一本のシナリオ中にころころ役なんて変えられる訳ないぜ!
伊吹:役どころか年齢や性別まで変わったりしたらもはや別録り(べつどり)案件だろ!
ぬらりちゃん:しょうじんがたりんー。
伊吹:うっ。
比織:うーん、これは、ほんとはやりたいけど出来ない人の匂いがしますね。
伊吹:そそそそんなことはないぜ!?
伊吹:こうみえても地元じゃ、「七色の声の使い手」、「歩くDJ」と呼ばれたもんだぜ。
ぬらりちゃん:きいたことないし、そもそもでぃーじぇいはあるくだろ。
伊吹:・・・とにかく俺は!兼ね役が絶対必要なくらい振り切ったシナリオ以外は
伊吹:キャストもキャラも最大5人という縛りの中で書き上げた方が絶対面白いと心の底から言いたいんだぜ!
早瀬:何を訳わからんことをいつまでもぐだぐだぐだぐだぬかしてるんですか!
早瀬:このバカ弟子がぁっ!!
伊吹:ぐっはぁっ!?
早瀬:もういっちょう!!
伊吹:どぅっはーーっっ・・・ぁぁぁ・・・。
ぬらりちゃん:いぶきとんでった。
早瀬:・・・全くあのバカ弟子ときたら。
早瀬:迂闊な発言は後々自分を苦しめることになると何度言ったら分かるんですか。
早瀬:あ、そうだぬらりちゃん。もし戸都開さんが来たら私は
比織:はいなんですか私のさすらさん。
早瀬:私は・・・ここにいます、と伝えて下さい。
比織:はい!今日も素敵です!
ぬらりちゃん:さすがさすらはうかつじゃない。
伊吹:あー効いたぜ。
比織:ほんと伊吹くんて頑丈よね。
ぬらりちゃん:それだけがとりえー。
伊吹:他にもあるぜ!
早瀬:ほー。では私が書き物をしている間、
早瀬:伊吹は祝詞(のりと)の奏上の練習をしていたはずです。早速披露してください。
伊吹:・・・へ?
早瀬:伊吹?どうしました?
伊吹:のりと・・・?そう・・・じょう?
ぬらりちゃん:かんぜんにわすれてるかおー。
比織:これが3年9か月の代償ですか・・・。
早瀬:・・・伊吹・・・。
伊吹:なんだぜ師匠。
早瀬:とっとと・・・。
伊吹:はむた?
早瀬:とっとと、思い出しなさいこのバカ弟子―!!
伊吹:だぁぁぁぁっ!!・・・・ぁぁぁぁ・・・・っ。
ぬらりちゃん:さっきよりとんだー。
比織:さすらさんかっこいい・・・。
ぬらりちゃん:・・・ひおりー。
伊吹:いてて・・・。
早瀬:目は覚めましたか、伊吹。
伊吹:ああ師匠、ありがと。なーんとなくしっくり来てきたぜ。
早瀬:普段からちゃんと修行をしていればこんなことにはならないんですよ。
伊吹:はーーん。
早瀬:・・・なんですかそのふざけた返事は。
伊吹:師匠の言葉に素直に「はい」と言いたい気持ちと
伊吹:どうせやらない。でも嘘はつきたくない気持ちの「うーん」が合わさった返事だぜ。
早瀬:・・・っ。
比織:伊吹くんてほんと・・・。
ぬらりちゃん:ものすごくポジティブにいうとすなお
伊吹:第二の取り柄だぜ!
比織:むしろ欠点じゃ・・・。
伊吹:え?
ぬらりちゃん:さすらー。
早瀬:なんですかぬらりちゃん。
ぬらりちゃん:ぬららー。
早瀬:・・・それはえーと
ぬらりちゃん:あたらしいへんじ―
早瀬:・・・そう、ですか。・・・うん!実にいい!いい感じですね!
ぬらりちゃん:ぬらー。
比織:え?これは私も新しい返事を考えないといけない流れ?
比織:ひ、ひっおりーん。きゃるーん。
早瀬:無理にやらないで大丈夫ですから!
伊吹:いやめちゃくちゃ可愛さが増したぜ比織ちゃん!
比織:そ、そう?・・・こういう路線で攻めるのもありかな・・・。
早瀬:伊吹もいい加減なことを言うんじゃありません!
早瀬:さっきもなんですか・・・デュラちゃんがもう出てこないとか消滅したとか。
伊吹:そこまでは言ってないぜ。
比織:違うんですか?
伊吹:違わないぜ。
早瀬:伊吹。
伊吹:ってのは嘘だぜ。
比織:その切り替わりのよさがたまに怖いよ伊吹くん!?
伊吹:それも取り柄だぜ!
比織:えええ・・・。
伊吹:実は比織ちゃん、あいつは・・・。
比織;うん。
伊吹:旅に出たんだぜ。
比織:旅!?
早瀬:なんでもこの辺りでは物足りなくなったとかで。
ぬらりちゃん:おれよりつよいやつにあいにゆくー。
伊吹:あいつあの見た目で普通に街を出歩くからドキドキだぜ?
比織:結構自由なんですね。
早瀬:悪しき力の大部分を失っているからでしょうか。
ぬらりちゃん:ゆるゆるー。
早瀬:ぬいぐるみに着ぐるみ、ARにVR・・・。街の人への言い訳も尽きました・・・。
伊吹:まぁやっていることは園児や小学生相手に3輪車でレース仕掛けるだけだからな。
比織:はぁ・・・。
伊吹:そんなあいつが意外と女の子に人気者になってるのがちょっとムカつくぜ。
ぬらりちゃん:おまえがにんきないのはそういうとこだぞ。
伊吹:え?
比織:そうかもですね。
伊吹:え?
早瀬:すいませんね伊吹。その事に関しては私は余りに無力で・・・。
伊吹:師匠まで!?
比織:そのうち伊吹くんにもいい出会いがあると思うよ。多分。
ぬらりちゃん:ぬらー。
おにぎり:というかぁ、もう出会ってるにゃー。
比織:え?そうなんだ?なんだ、伊吹くんも結構・・・って!
ぬらりちゃん:ぬらっ!?
早瀬:なっ!?
伊吹:お、お前は・・・っ!
おにぎり:えへ、えへ・・・。いーぶきーぃ。会いたかったにゃー。
伊吹:おにぎり!?
0:
伊吹:ノリトイキオイ第3話「オレトシリアイ」
0:
比織:おにぎり?・・・わぁ、可愛い子・・・。でもすっごく大きな刀持ってる・・・。
伊吹:な、なななんでお前がここにいるんだぜ、おにぎり!そして離れろ・・・苦しっ。
おにぎり:そんなの伊吹に会いに来たに決まってるにゃー。
おにぎり:毎日毎日、次いつ会えるかを楽しみにぃ・・・。
おにぎり:今日だけでも3353文字、大体〇〇分くらい待ってたんだにゃー。
伊吹:そ、そうか。分かったからとっとと帰るんだぜ!
おにぎり:いーやぁ。それとぉ、おにぎり、だなんて可愛くない呼び方しないでぇ、
おにぎり:前みたいにぃ、「おむすび」とか「まい」って呼んで欲しいにゃー。
伊吹:おにぎりはおにぎりだろ!それに少なくとも「まい」って呼んだ記憶だけはないぜ!
おにぎり:もーぅ。
比織:なんで全部お米繋がりなんですか・・・。というかそのくっつき過ぎじゃないですか?
おにぎり:いつもぉ。いーぶきぃー。
伊吹:な訳ないぜ・・・っざけんなこの。
早瀬:・・・お久しぶりです。綮(むすびめ)さん。
おにぎり:神主様もぉ、お久しぶりにゃー。
ぬらりちゃん:ぬらー。
おにぎり:ぬらちゃんもぉ元気そうで何よりぃ。
比織:あ、あの・・・。
早瀬:ああ、彼女は
比織:あー!私分かりました!分かっちゃいました!
早瀬:・・・はい?
おにぎり:にゃー?
比織:ふっふっふ・・・。私もこの手のことには大分慣れましたからね!
比織:この子の正体は・・・ズバリ!猫又ですね!
早瀬:と、戸都開さん?
おにぎり:・・・。
比織:真実をつかれた驚きのあまり声も出ないようですね!根拠は・・・ズバリ!
伊吹:よくズバるぜ。
比織:茶々入れない!
伊吹:はい。
比織:・・・ズバリ!そのにゃーにゃーいう語尾です!
おにぎり:ほかにはぁ?
比織:ないです!
ぬらりちゃん:ぬらー・・・。
比織:完全に決まりましたね。
伊吹:ああ、決まったぜ。
比織:誉めてくれてもいいんですよ?猫ですもんね。距離感が少し近いのも納得です。
早瀬:あの・・・。
比織:はい!さすらさんもこれで如何に私がお役に立てるかが分かったかt
早瀬:彼女は普通に人です。
比織:・・・え?
おにぎり:えへ。
伊吹:普通に人だけど普通な人じゃないぜ。
おにぎり:ひどいにゃー。
比織:え?じゃ、じゃあなんでそんなにゃーにゃー言ってるんですか?!
おにぎり:それはぁキャラ付け。おむすびがイタい子だからだにゃー。
比織:あー、そうですか。そういうキャラ付けならしょうがないですね。
比織:確かにイタい。イタタタ・・・。納得です・・・って、え!?
ぬらりちゃん:こういうこー。
おにぎり:えへ、そうなのぅ。
比織:はぁ・・・。
おにぎり:・・・むー。
比織:な、なんですか?
おにぎり:でぇ、あなたは誰にゃ?
比織:わ、私は戸都開比織です。
ぬらりちゃん:ふつうにへんなこー。
比織:ぬらりちゃん?!
おにぎり:・・・伊吹がすきそぉ。
比織:へ?
伊吹:好きだぜ!
比織:ごめんなさい。
早瀬:伊吹・・・。
おにぎり:やぁっぱりぃ、ライバル、にゃー?
比織:ライバル!?ひょっとしてこ、恋のですか?!
おにぎり:にゃー。
比織:今のやりとり見てました?私は全然そんな気ありませんから。
おにぎり:ほんとぉ?
比織:ほんとです。大体最初っからこんな軽々しく好き好き言う人なんて信じられません。
伊吹:そういうのはせめて俺のいない所で話して欲しいぜ。
ぬらりちゃん:つよい。
比織:それに私が好きなのはさすらさんですから!ね?さ・す・ら・さん?
早瀬:あ、あははは・・・。親愛的な意味ですよね。ほんとそれでお願いします。
比織:もう。
おにぎり:ってことはぁ、伊吹はおむすびがもらってもいいってことにゃー?
比織:も、勿論です。
おにぎり:だぁってさーっ、伊吹ぃーっ。
伊吹:だぁっ!?いい加減は、はな、離れろ・・・!
おにぎり:伊吹ぃーい。
比織:・・・ふーん、よかったですね伊吹くん。。
伊吹:よくないぜ!
比織:だめですよ?こんなに可愛い子に好かれてるのに他の子にもちょっかいかけて。
ぬらりちゃん:・・・ひおりちょっとおこってる?
早瀬:怒ってますね。
比織:怒ってません。・・・ほんのちょっと見損なっただけです。
伊吹:比織ちゃん!?
比織:ふんっ。・・・えっと綮(むすびめ)さん。伊吹くんとはいつからその・・・
おにぎり:おむすびと伊吹の出会いぃ?
比織:うん。
おにぎり:おむすびと伊吹の出会いぃーっ。それはぁとぉっても甘いものだったにゃー。
伊吹:つか・・・いい加減離せ!そして変なことは言うんじゃないぜ!
おにぎり:あれはおむすびがぉ、まだこむすびだったころぉ・・・。
早瀬:違う意味に聞こえますね。
ぬらりちゃん:まくうちー。
おにぎり:こむすびは毎日毎日辛いつらぁい修行で毎日毎日泣いてたのぉ・・・。
伊吹:おいっ!?
おにぎり:そしたらぁ伊吹がぁ・・・。
伊吹:やめろぉぉぉおにぎりぃぃぃぃ!
0:(回想)
少女おにぎり:えーん、えーん・・・。ひっく、ひっく・・・。
少年伊吹:よ。
少女おにぎり:ひっく、ひっく・・・い、伊吹・・・。
少年伊吹:まーた泣いてんのか。相変わらずおむすびは泣き虫なやつだぜ。
少女おにぎり:わ、私は泣き虫じゃないもん・・・。う、うう・・・ぐすっ。
少年伊吹:・・・ったく。よし!
少年伊吹:いいかおむすび、そんなお前をこの俺が一瞬で元気にしてやるぜ!
少女おにぎり:・・・え?
少年伊吹:いくぜ。
少女おにぎり:・・・うん。
少年伊吹:いたいのいたいのー・・・ぶっとばぜー!
少女おにぎり:・・・へ?
少年伊吹:ん?なんかちょっと違う気もする・・・けどまぁいいぜ。
少年伊吹:これはな!俺の師匠が、俺がケガした時にやってくれるすごいおまじないなんだぜ!
少年伊吹:なにせすっごい!すーぐ痛くなくなっちまう!な?効くだろ?
少年伊吹:まぁ、師匠本人が殴った後もこれ使ってくるのはマッチポンプな気もするけどな。
少女おにぎり:・・・子供だまし。
少年伊吹:なっ!?
少女おにぎり:こんなので治った気になるなんて伊吹が単純なだけ。
少年伊吹:ひどいぜ!?
少女おにぎり:・・・でも
少年伊吹:ん?
少女おにぎり:でも、なんか・・・痛くなくなった・・・。
0:(回想終了)
伊吹:あああああああああっ!!?
おにぎり:えへ、えへ、あの時の伊吹ぃかっこよかったにゃぁ。
おにぎり:それ以来ぃおむすびの心は伊吹だけぇ・・・。
比織:へ、へー。
伊吹:あ・・・あ、あ、あ、ああっ・・・。
ぬらりちゃん:いたいのいたいのー?
早瀬:ぶっとばせー(笑))
伊吹:やめてくれぬらりちゃん!師匠!
比織:ほーーーーーーーん。
伊吹:早瀬伊吹最大の黒歴史だぜ・・・。
おにぎり:それからおむすびは一生懸命修行も頑張ってぇ、
おにぎり:伊吹に可愛いって言ってもらえるよう努力してぇ・・・。
伊吹:努力の方向も違うし、そもそも望んでないぜ。
比織:そんな言い方しちゃ可哀そうでしょ!
比織:でも凄いなぁ・・・。そんなに相手を思えるなんて。
おにぎり:えへ、この気持ちはぁ・・・ほんものぉ。
比織:・・・あ、そういえばさっきも言ってた修行って何の修行?まさか花嫁修業!?
ぬらりちゃん:あたまおはなばたけかなー。
比織:ちょっと!?
早瀬:ぬらりちゃん、少し言い過ぎですよ。
伊吹:傷だらけになる花嫁修業とか嫌過ぎるぜ。
比織:う。
おにぎり:伊吹のDVならぁ、いくらでもぉ。
伊吹:やらねーよ!
比織:じゃ、じゃあ何の修行なの?
伊吹:・・・だからおにぎりだぜ。
比織:・・・はい?
早瀬:こればっかりはおにぎりですね。
比織:おにぎりの修行って
伊吹:だからこいつは・・・。
早瀬:「鬼斬」(おにぎり)。・・・鬼を斬る子です。
比織:・・・へ?
おにぎり:えへ。改めて名乗るにゃー。姓は「綮」(ぬすびめ)ぇ名はぁ元、「巻」(まい)ぃ。
比織:元(もと)?
早瀬:綮さんのご実家、綮一族は代々、人に仇成す(あだなす)怪異、
早瀬:その中でも最も恐ろしい存在である鬼の退治を専門とする家系です。
早瀬:長い歴史において多くの人を救った・・・つまりひたすらに鬼を殺し続けた「綮」。
早瀬:その修行は凄惨を極め、それを終え一人前と認められた後も
早瀬:生涯務めからは逃れることは出来ず、また一族の在り方は完全なる実力主義。
早瀬:当代において最も強く優れたものが長となり、初代から続く「名」を受け継ぎます。
早瀬:・・・それが
おにぎり:「鬼斬」ぃ。だから今はぁ「綮鬼斬」(むすびめおにぎり)って名前ぇ。
おにぎり:全然可愛くないにゃー。
比織:鬼を斬る一族の・・・当主!?
おにぎり:にゃー。
ぬらりちゃん:まじつよいー。
伊吹:そういうことだぜ。でもこれで分かってくれただろ?
伊吹:例え顔がどんだけ可愛くてもこいつだけはないって。
おにぎり:か!?かわわわかわかわっ!?
ぬらりちゃん:こいつ・・・。
比織:んっ、んっんっ・・・こほんえふんっ。あー急に喉が、咳払いしたくなったなー。
伊吹:急になんだぜ?
おにぎり:かかわかわかわかかわかわ
早瀬:綮さんも少し落ち着いて下さい。
比織:こいつだけはないって言いながらいつまでもデレッデレしてくっついてますけど。
伊吹:それはこいつの力が強くて!?
おにぎり:伊吹ぃー。
比織:はいはい、よかったですねー。そもそも何の説明にもなってないよ!
比織:綮さんが鬼斬・・・凄い怖い鬼と人を守る為にずっと戦ってる、
比織:そんな大変なお務めをずっとしなくちゃいけない・・・。
比織:でもそれと伊吹くんが気持ちを受け入れない理由にならないでしょ!
比織:その・・・こんなに本気で好かれてるんだから!むしろ支えてあげたいとか思えないの!?
伊吹:・・・っ。
比織:・・・何よ。何か言いたいことがあるなら・・・はっきり言えば?
伊吹:・・・。
比織:ちゃんと、聴くから。
伊吹:俺鬼だぜ。
比織:・・・・ん?
伊吹:だから、俺、鬼だぜ。
比織:んん?
早瀬:・・・言ってませんでしたっけ。
ぬらりちゃん:ぬらー。
比織:え?伊吹くんって鬼、なの?
伊吹:そうだぜ。っていっても純粋な鬼じゃなくて、師匠曰く・・・鬼の血のバジリコだぜ。
ぬらりちゃん:きゅうないたりあん。
早瀬:混じり子(まじりご)です、バカ弟子。
比織:混じり子・・・。それって
伊吹:俺の先祖の誰かが鬼で、その鬼と人の血が混ざったってだけだぜ?
伊吹:ピラフとかパエリアみたいな。
比織:全然意味分からないし、なんでそんな重大なことをさらっとぱらっと言うの!?
伊吹:チャーハンの方が分かりやすかったか。
比織:そうじゃない!
ぬらりちゃん:ひおりだいかつやくー。
比織:はぁ・・・はぁ・・・。えっとつまり伊吹くんは鬼の混じり子で。
伊吹:おう。
比織:綮さんは鬼斬。
おにぎり:そぉう。
比織:お務め的に混じり子はオッケーとかは?
おにぎり:ないにゃー。鬼は鬼ぃ。必ず殺すのがぁ綮、そしてぇそれが鬼斬にゃー。
比織:ってことはつまり。
早瀬:伊吹もその対象、ということですね。
ぬらりちゃん:ぬらー。
比織:ですよね。
比織:はいはい、つまり、伊吹くんは綮さんにとって大好きな人で殺害対象ってことですか。
おにぎり:せぇいかぁい。
伊吹:困ったもんだぜ。
比織:やっと追いつきましたよこの状況にー。凄く大変じゃないですか。あはは。
伊吹:そうだぜ。背後から抱き疲れてるこの状況、いつこの首が切られるかひやひやしてるぜ!
おにぎり:えへ、えへ。いーぶきぃーの心音が聞こえるにゃー。
伊吹:あはは。いい加減離れろよーおまえー。
おにぎり:やぁだぁ。
比織:もう。事情が分かると別の意味で見ていられないですよ二人共!あははは。
比織:あはは・・・あは・・・今ほんとに不味くないですか!?
早瀬:正直かなり。
比織:ですよね!?
早瀬:ですが・・・。綮さん。
おにぎり:・・・なぁにぃ?
早瀬:まだ、その時ではないはずです。
ぬらりちゃん:ぬらー。そろそろはなれよっか?
おにぎり:・・・はぁい。ほぉんと厄介な保護者達にゃぁ。
早瀬:あはは。厄介なお客様が多いもので。
比織:・・・私じゃないよね?
ぬらりちゃん:いままじめなしーん。
比織:あ、はい。
おにぎり:でもでもぉ。神主さんもぉ気づいてるんでしょうぅ?
おにぎり:もぉうぅ、限界なんじゃないかにゃぁって。
早瀬:そんなことありません。伊吹はその為に毎日修行に励んで
伊吹:ないぜ。
早瀬:っ。・・・毎日じゃないにしてもときにはしっかりと修行をしています。
伊吹:おう!
早瀬:後でじっくりと話をしましょう伊吹。ええ、それはもうじっくりと。
伊吹:え。
おにぎり:どれだけの神力(しんりょく)で抑えようとぉ、
おにぎり:どれだけそれに抗う力を得ようとぉ。
おにぎり:そんなものでぇ、どうにかなる存在じゃないにゃー。鬼はぁ。
早瀬:・・・。
おにぎり:とくにぃ・・・伊吹のはぁ。感じるもん。いっぱいぃ。
おにぎり:伊吹ぃ。最近おかしくなってないぃ?
ぬらりちゃん:もとからー。
比織:それは元からです!
伊吹:やかましいぜ!さっきも聞いたし!
おにぎり:・・・記憶が曖昧にぃなってたりぃ。
伊吹:・・・それは。
おにぎり:自分がぁ誰だかぁわからなくなってきてないかにゃぁ?
伊吹:そ、そんなこと。今日は!今日はたまたま・・・その。
早瀬:伊吹。
伊吹:はは。だーいじょうぶだぜ。師匠。なにをそんな真剣な顔してるんですか?
伊吹:僕はいつも通り。何も問題ありません・・・だ、ぜ・・・?
ぬらりちゃん:いぶきー。
比織:伊吹くん。
おにぎり:ほぉら、ほぉら。
伊吹:皆もどうしたんです、だぜ。俺は全然平気です。特に問題は、ただその少しだけ
早瀬:伊吹!・・・綮さん!それ以上刺激するのはやめなさい!
おにぎり:えへ、おむすびはなぁんにもしてないにゃぁ。
おにぎり:たぁだぁ、伊吹にぃ、呼びかけてるだけにゃぁ。ねぇ、伊吹ぃ?
早瀬:だからそれをやめろと!
おにぎり:・・・伊吹?それが僕の名前、なのか?俺の、僕の名前は
おにぎり:そうだよぉ?違うよねぇ?今のあなたはぁ?!
早瀬:伊吹!この声に惑わされてはいけません!心を強くもつのです!
伊吹:し、ししょ・・・はや、せ・・・さ、す。
比織:なに?どういうこと?!伊吹くん!伊吹くんが、ねぇ!?
ぬらりちゃん:・・・おにぎりはおにをきる。
ぬらりちゃん:そして、よりおおく、もっといっぱいきるために、おにをよぶ。
比織:それって。
ぬらりちゃん:いぶきのなかのおにをよんでる。
比織:そんな!?伊吹くん!
伊吹:お、れ・・・は、ぼ・・・k
おにぎり:いいよ、いいよぉ。おにぎりはぁずっとずっとぉこの時を待ってたにゃぁ。
おにぎり:鬼の意識が強くなる日をぉ。
早瀬:綮、さん・・・!
おにぎり:おむすびは鬼斬ぃ。そして伊吹は鬼なんてぇ。
おにぎり:なんて素敵な関係にゃぁ。
おにぎり:いずれ来るぅ「その時」なんて待ってたらおむすびはぁ絶対狂ぅ。
おにぎり:あの日ぃ伊吹に「いたいのいたいの」ぶっとばされてぇ。
おにぎり:いたいいたいがなくなってぇ、もっとずっと会いたい会いたい。
おにぎり:いたいいたいのとんでって会いたい居たいもっと痛い
おにぎり:痛い会いたいもっと居たいから。
おにぎり:いっそ遺体でずっと居よ?
おにぎり:・・・出てこい、鬼ぃ。
伊吹:ぐっ・・・!?あああっ・・・あ、ああ・・・。
おにぎり:・・・にゃー。
早瀬:伊吹!
伊吹:お、お、あ・・・。・・・。
ぬらりちゃん:・・・いぶき。
比織:・・・伊吹くん?だい、じょうぶ?
早瀬:いけません!戸都開さん離れて!
比織:え?っきゃー!?
ぬらりちゃん:せーふ。
比織:ありがとうぬらちゃん・・・。伊吹くん、一体どうしたの?
ぬらりちゃん:あいつはいぶきじゃない。
比織:・・・え?
早瀬:出てきた早々、いたいけな女性に攻撃とはご挨拶ですね。
良亜:・・・攻撃?
比織:なんかぶわってしました!あなた誰ですか!伊吹くんは!?
良亜:・・・ああ、僕がただ手を振るう。それだけで人間は死ぬのだったね。
良亜:ごめんごめん。悪気はないよ。
早瀬:・・・久しぶりです。良亜(らあ)。
良亜:そうだね、早瀬。
比織:良亜・・・?さすらさんの知り合い?
早瀬:ええ、大分古くからの付き合いです。最悪なことに。
良亜:あはは。それはお互い様さ。
ぬらりちゃん:あれは、おに。
比織:え。
ぬらりちゃん:いぶきのなかにいる、おに。
比織:伊吹くんのなかに・・・?じゃ、じゃあ早くいつもみたくあいつを追い出して
ぬらりちゃん:できない。
比織:え?
ぬらりちゃん:あいつといぶきはいっしょだから。
比織:一緒って、そんな・・・。
良亜:思ったより早い再会かな。少し瘦せましたか?
早瀬:ご心配なく。健康診断もまるで問題ありませんでしたよ?
良亜:彼と貴方で名を封じ、どれだけの時間が過ぎたのでしょう。
早瀬:さぁ?出来ればそのままでいて欲しいものですけど。
良亜:それは望み過ぎというものです。しかし貴方は
早瀬:・・・。
良亜:本当に弱くなりましたね。見る影もない。
早瀬:・・・っ。
良亜:神に愛されたとはいえ所詮人の身、
良亜:・・・いえ、むしろよくもった方だというべきでしょうね。よくやりました。
早瀬:それはどうも。
比織:・・・あなた、良亜、さん。
良亜:・・・なんですか?ただの人間如きが僕に話しかけるなんて。
ぬらりちゃん:だめ、ひおり。
比織:伊吹くんを返して。
良亜:返す・・・。
比織:そうです。早く出てってください!
早瀬:戸都開さん!いけません!この存在に関わってはいけない!
比織:でも!
良亜:・・・少し、不快だな。
良亜:よし、その身に一生消えない傷でもつければ大人しくなるよね?
早瀬:待て!良亜!
良亜:上手く加減が出来なくて、うっかり殺しても怒らないでね。
比織:・・・ひっ。
ぬらりちゃん:ぬら!?
比織:伊吹くん起きてよ!
良亜:・・・だから黙れと
おにぎり:死ぃねぇっ。
良亜:・・・鬼斬か。
比織:おむすびさん!?
良亜:はぁ・・・。
おにぎり:死ねぇ、死ね死ね死ね死ね死ねぇ!鬼はみぃんなぁ死ねぇ!!
良亜:本当に懲りないね、何年も何代も君達は。
おにぎり:死ぃねぇ!鬼ぃぃぃっ!
良亜:おっと。危ない危ない。
おにぎり:っくぅぅぅ!?はぁぁぁっ!
比織:・・・凄い、あんなに大きな刀を軽々と・・・。
早瀬:あれこそ代々「鬼斬」の名とともに受け継がれる名刀。
早瀬:ひとたび抜けば、その一振りで鬼を斬る為に千里を駆ける力を授かると言われています。
早瀬:その名は・・・。
比織:「振駆(ふりかけ)」、じゃないですよね?
早瀬:おお、戸都開さんご存じでしたか。
ぬらりちゃん:ひおりすごいー。
比織:当たって欲しくなかった!?
おにぎり:はぁっ!
良亜:ほらもう少しだよ?頑張れ頑張れ。
おにぎり:ちぃぃっ!うるさい!!
良亜:あはは。
比織:おにぎりさん、ほんとに強いんだ。
早瀬:ええ。今の私ではとてもこの戦いについていけないでしょう。
ぬらりちゃん:べつじげん。
比織:そんなに・・・。あ、でも、もし良亜さんを倒したら伊吹くんも・・・。
早瀬:・・・いえ、それは・・・。
比織:早瀬さん?
おにぎり:かはっ!?
良亜:あれー?今の当たっちゃうんだ?当てる気なかったんだけどね。
おにぎり:・・・あ、あ、ぐはっ・・・。
比織:おむすびさん!?
おにぎり:はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。
良亜:あはは。もう限界かな?
おにぎり:お、おにぃ・・・っ。
良亜:・・・またこれか。
おにぎり:・・・なにが?
良亜:鬼斬だなんて大仰な名を名乗って、結局やってることは雑魚狩りばかり。
おにぎり:・・やめろ。
良亜:本当に討ちたい鬼にはいつも敵わない。君達は全くいつまでたっても
おにぎり:やめろ。
良亜:惨めだね。
おにぎり:やめろぉぉぉっ!
良亜:もういいよ。・・・「散れ」。
おにぎり:あ。あがっ・・・きゃあああああぁっ!!?
早瀬:綮さん!?
ぬらりちゃん:ぬらっ!?
比織:おむすびさん!?何?何をしたの!?
早瀬:・・・「呪言(じゅごん)」です。
比織:じゅごん・・・ああ、鳥羽水族館にいる。
ぬらりちゃん:いおりほんとにくうきよんで?
比織:はい・・・。
早瀬:力を込めた呪いの言葉。良亜の能力です。
良亜:派手に血を吹いたけど安心して。殺してないよ。
比織:え?
良亜:多分。
早瀬:え?
良亜:・・・死んでないよな。
おにぎり:・・・ぅ。
良亜:・・・ほらね。
ぬらりちゃん:ぬらー。
良亜:さて、勘も戻って来たことだし、次は君だ。腕と足どっちがいい?
比織:ひ・・・。
早瀬:良亜!
ぬらりちゃん:させない!
良亜:「伏せろ」。
早瀬:ぐぅっ?!
ぬらりちゃん:ぬらっ!?
比織:さすらさん!?ぬらりちゃん!?
良亜:この程度の拘束も防げないんだもん、ほんと弱くなったね。
早瀬:ぐ・・・。戸都開さん・・・逃げて、下さい・・・。
良亜:あはは。・・・逃がすとでも?
比織:あ・・・あ・・・。
ぬらりちゃん:ひおり!
良亜:さて、どっちにしようかなー。
早瀬:やめろぉっ!
比織:い、いやぁぁぁっ。
良亜:よし決めた。・・・ちっ。
比織:・・・え?
良亜:嘘だろ?比織ちゃんには指一本ふれさせ、今いい所なんだから大人しく、
良亜:ん?だからぼ、俺の体を返せせめて触れるならその後で、君は何を言ってるんだ?
良亜:しつこいなぁいいかい、うるせぇ早く、ああもう、絶対にさせないぜっ、ったく・・・。
比織:これは・・・。
早瀬:伊吹。・・・それでこそ、ですよね。
良亜:なんか調子戻ってきた気がするぜ、何を根拠にそんなことを、いいかみとけよ
良亜:見れる訳ないだろ君は僕なんだから、そういうことじゃないんだぜこまかいこというな!
ぬらりちゃん:おきろ!いぶき!
比織:伊吹くん!
良亜:おう!待ってろ皆いますぐっ、・・・ああうるさい。本当にもう少し大人しくしとけ。
良亜:あだっ!?・・・はぁ、流石に限界かな。
良亜:鬼斬のやつめ・・・強引に覚醒させやがって。おかげで計画がずれたよ。
早瀬:良亜・・・。
良亜:早瀬、残念ながらこん
早瀬:さようなら。安らかに眠ってください。
良亜:せめて最後まで言わせてくれない?
早瀬:嬉しくてつい。
良亜:・・・まぁいいさ。
良亜:もう少し自由に動けるかと思ったけど・・・これも修行の成果ってことかな?
早瀬:自慢の弟子ですから。
良亜:でも、まだ足りないよ。
早瀬:・・・今は、ね。
良亜:・・・そう。さて、そろそろ時間かな。またね、おちぶれ妖怪ちゃん。
ぬらりちゃん:ふぁーっくごーほーむ。
良亜:おお、こわいこわい。そして比織。
比織:え?なんで私の名前を知ってるんですか?
良亜:なにせ同じ体だからね。そんなことよりさ。
比織:・・・な、なんですか?
良亜:次は必ず君を貰う。
比織:・・・う。
ぬらりちゃん:・・・ひおりかおあかい?
比織:そ、そんなことない!あーやだなー!絶対そんなことさせませんからね!
良亜:あはは。・・・早瀬。忘れるなよ、もう時間はない。せいぜい足掻けよ。
早瀬:・・・ええ。
良亜:それじゃあ、
良亜:(早瀬も同時に)いずれまたその時に。
早瀬:・・・。
伊吹:・・・ししょ
早瀬:ふんっ!
伊吹:いってぇぇ!?いきなり何するんだぜ師匠!?
早瀬:ああ、急にやり場のない怒りに襲われて。
伊吹:理不尽すぎる!
早瀬:これも愛ですよ。おかえり伊吹。
伊吹:愛が重いぜ。
比織:伊吹くん!
ぬらりちゃん:いぶきー。よかったー。
伊吹:おう。二人にも迷惑かけたぜ。
比織:・・・むー。
伊吹:どうしたんだぜ比織ちゃん?
比織:ちょっと真顔で「必ず君を貰う」って言ってみて。
伊吹:え?
ぬらりちゃん:ひおり・・・。
伊吹:真顔・・・な。んー、ん、ん、よし、いくぜ。
比織:うん。
伊吹:必ず君を貰う。
比織:・・・なんか思ってたのと違う。
伊吹:なんかってなんだぜ!?
ぬらりちゃん:いぶき・・・。
比織:やっぱり私はさすらさん一筋!
伊吹:ひどい。
早瀬:あはは・・・。
おにぎり:・・・う、うーん。
比織:おむすびさん、気がついた?
伊吹:うげっ。
おにぎり:・・・にゃー。
比織:よかった、にゃーに戻ってる。
伊吹:い、今の俺はかんっぜん俺だからな。変なことすんじゃねーぞ。
おにぎり:もうそんな元気ないにゃあ。それよりいぶきぃ、ひざまくらしてぇ?
伊吹:やる訳ないぜ!
おにぎり:いじわるぅ。
早瀬:・・・綮さん。
おにぎり:分かってます。皆さんを危険にさらしたこと、大変申し訳ありませんでした。
ぬらりちゃん:ぬらー。
おにぎり:強引に鬼を呼び起こした挙句、こうも見事に返り討ち。
おにぎり:おまけに手心まで加えられるとはね。でもあくまで今回のことは私の独断専行。
おにぎり:一族の総意ではないことだけは理解してほしい、かにゃあ?
早瀬:・・・いいでしょう。
おにぎり:ありがとにゃあ。さぁて、帰ってぇ、いっぱいいっぱい怒られてくるかぁ。
伊吹:帰るって、おい。
比織:そんな傷だらけなのに・・・。
おにぎり:えへへ・・・死ななきゃ元気がモットーの鬼斬にゃぁ。
伊吹:おむすび。
おにぎり:・・・にゃあ?
伊吹:あー・・・あんまひとりで無理すんなよ。前みたく、話しくらいならいつでも聞くぜ。
おにぎり:っ・・・。・・・いぶきはぁほんと・・・。
おにぎり:ほんとぉ・・・ずっといたくなる、にゃあ・・・。
伊吹:殺されるのはごめんだけどな。
おにぎり:じゃぁ今ちょっとだけ刺すのはいぃい?
伊吹:言い訳ないぜ!?
おにぎり:えへへ・・・。じゃあ、またにゃあ。
比織:うん、またね・・・って、え、あれ、おむすびさん?
ぬらりちゃん:きえたー。
伊吹:・・・ったく来るのも帰るのも唐突なやつだぜ。
ぬらりちゃん:ぬらー。
早瀬:伊吹。
伊吹:・・・師匠。
早瀬:いよいよあなたに、あなたにまつわる全てを話す時が来たのかも知れません。
伊吹:・・・。
早瀬:いえ、全てを話すことを私が恐れていたのです。その覚悟をもてなかった。
早瀬:日頃偉そうなことを言っている割に、情けない師匠ですね。
伊吹:そんなことない。師匠は、最高の師匠だぜ。
早瀬:・・・ありがとう。受け入れる覚悟の方は、もう大丈夫みたいですね。
伊吹:おう!大丈夫だぜ!
早瀬:伊吹、私は今日ほどあなたの成長を嬉しく思ったことはありません。
伊吹:それは俺も嬉しいぜ。
早瀬:たまに修行をさぼってもやる時はやっている。それでいいじゃないですか。
早瀬:では少々長くなりますが、心して聞く
伊吹:しかし腹減ったぜ。
早瀬:伊吹―。
比織:ちょっと伊吹くん。
伊吹:比織ちゃんは空いてないの?
比織:う・・・それはまぁ言われてみれば・・・ちょっとは。
伊吹:素直になった方がいいぜ。なー師匠―。
早瀬:・・・ぬ。
ぬらりちゃん:あきらめもかんじん。
早瀬:・・・はぁ、そうですね。仕方ありません。たまには皆で外食でもしますか。
伊吹:やったぜ!ケチな師匠が珍しい!よーし、そうと決まれば早く行こうぜ!
伊吹:一番最初に神社の階段降りたやつが優勝な!よーい、スタート!
比織:え、優勝ってなに!?ちょっと伊吹くーん!?
ぬらりちゃん:あいつほんとがき。でもまけるのもしゃくー。
早瀬:あはは・・・。
伊吹:おーい!ししょー!ししょーは老人だからゆっくりでいいぜー!
早瀬:あははは!伊吹ー!私が追いついた時があなたの最後ですよー!
伊吹:え。・・・逃げっ、逃げるぜ二人共!
比織:私は関係ないでしょ!
ぬらりちゃん:ぬら!
早瀬:全く、バカ弟子が。
早瀬:・・・この日常、誰にも奪わせませんよ。決して。
0:神社の境内
伊吹:おっす!俺の名前は早瀬伊吹!
伊吹:とある神社で、神主兼師匠である早瀬佐須良(はやせさすら)、元大妖怪ぬらりひょんのぬらりちゃんと一緒に暮らしてるアオハル真っ只中の高校2年生だぜ!
ぬらりちゃん:ぬらー
比織:え?え?
伊吹:そして、このほぼ毎日遊びに来るめちゃくちゃ可愛い子は戸都開比織ちゃん!
比織:あ、ど、どうも。
伊吹:いずれ将来を誓い合いたい存在だぜ。
比織:それは無理かな。
ぬらりちゃん:ばっさりー。
伊吹:ひどいぜ。
比織:伊吹くんこそ突然どうしたのよ。急にその・・・変な自己紹介始めちゃって。
ぬらりちゃん:へんなのはいつものことー。
伊吹:・・・ふっ。
比織:伊吹くん?
ぬらりちゃん:ぬら?
伊吹:・・・二人共・・・。3年9か月ぶりだね。元気だった?
比織:あ。
ぬらりちゃん:ぬらー。
伊吹:どうかな?なんか口調とかおかしくない?頑張って当時っぽくしてみたんだけど?
伊吹:キャラぶれてないかな?俺のこと覚えてる?ぜ?
ぬらりちゃん:いぶきおちつけ。
伊吹:そもそも一人称も俺だっけ・・・?僕だった気も・・・ワンチャン私・・・?
伊吹:あれ?俺・・・ってなんだっけ・・・。
比織:伊吹くんしっかりして!!
伊吹:はっ!・・・あ、比織ちゃん、それにぬらりちゃんも・・・。
伊吹:俺は一体何をしてたんだぜ?
ぬらりちゃん:よかったー。
比織:ほんとね。あ、そうだそんなことよりさすらさんいる?
伊吹:いっそ清々しいぜ。師匠は部屋でなんか仕事してる。
比織:そうなんだ。なら私の出番ね。公私共に支え合う素敵な関係。うふふ。
伊吹:公私共に邪魔してると思うぜ。
比織:ひどい!さすらさんがそんなこと思う訳ないでしょ。
ぬらりちゃん:そのさすらが言ってt
比織:なぁにぬらりちゃん?
ぬらりちゃん:・・・さすらがたすかるなーて言ってた。
比織:ほーらね!やっぱりさすらさんには私が必要なんだから。
伊吹:おいぬらりちゃん。
ぬらりちゃん:だっていぶきー。
比織:さぁて、今日はどこに隠れてるんですかねさすらさんは。ほんと照れ屋さんなんだから。
比織:そこがまた魅力なんだけど。うふふ。
伊吹:師匠すまねぇ。俺達には止められなかったぜ。
ぬらりちゃん:ぬらー。
比織:・・・あ、そういえば。
伊吹:なんだぜ?
比織:デュラちゃんは?
伊吹:あー、デュラか。
比織:なんだか随分会ってないような気がするし、
比織:さっきの変な自己紹介にも出てこなかったよね。
伊吹:ああ、あいつはその・・・いなくなったぜ。
比織:いなくなった!?
ぬらりちゃん:ぬらー。
比織:な、え、その、なんで?
伊吹:そこは大人の都合ってやつだぜ。
ぬらりちゃん:あらがえないー。
比織:・・・どういうこと?
伊吹:比織ちゃん、いまここには何人いる?
比織:私、伊吹くん、ぬらりちゃんの3人だよ。
伊吹:そう。それと師匠。これで4人だぜ。
比織:うん。
伊吹:つまり後一人しか出られないってこと。
比織:え!?
ぬらりちゃん:ぬらー。
伊吹:同時に出られるのは5人まで。これは絶対のルールだぜ。
比織:そんな理不尽な・・・でもそれが正しい気もしてくる不思議な感覚・・・。
比織:はっ!?じゃあデュラちゃんは・・・。
伊吹:あいつが出るとなると他の人が出られない。
伊吹:だからあいつは今回、そしてきっとその次も
ぬらりちゃん:ぎせいー。
比織:デュラちゃん・・・。
伊吹:確かに不自由で理不尽、明日は我が身かと思う5人ルールだけど、
伊吹:どこかそんなルールに縛られていた事が嬉しくも懐かしく思うぜ。
ぬらりちゃん:いぶき・・・。
比織:伊吹くん・・・。あ、だったら兼ね役は?あれならいくらでも
伊吹:正直あれは難しいと思うぜ?
比織:ちょっと!
ぬらりちゃん:あくまでこじんのかんそうー。
伊吹:書く方もやる方も楽しいのは楽しいけど実際やり切るのは大変だぜ。
伊吹:前半で出番は終わったと思って油断して、
伊吹:後半の一言二言ある兼ね役のセリフ出とちったり。
比織:それは伊吹くんの方に問題があるんじゃないかしら。
伊吹:そもそも短い時間で一本のシナリオ中にころころ役なんて変えられる訳ないぜ!
伊吹:役どころか年齢や性別まで変わったりしたらもはや別録り(べつどり)案件だろ!
ぬらりちゃん:しょうじんがたりんー。
伊吹:うっ。
比織:うーん、これは、ほんとはやりたいけど出来ない人の匂いがしますね。
伊吹:そそそそんなことはないぜ!?
伊吹:こうみえても地元じゃ、「七色の声の使い手」、「歩くDJ」と呼ばれたもんだぜ。
ぬらりちゃん:きいたことないし、そもそもでぃーじぇいはあるくだろ。
伊吹:・・・とにかく俺は!兼ね役が絶対必要なくらい振り切ったシナリオ以外は
伊吹:キャストもキャラも最大5人という縛りの中で書き上げた方が絶対面白いと心の底から言いたいんだぜ!
早瀬:何を訳わからんことをいつまでもぐだぐだぐだぐだぬかしてるんですか!
早瀬:このバカ弟子がぁっ!!
伊吹:ぐっはぁっ!?
早瀬:もういっちょう!!
伊吹:どぅっはーーっっ・・・ぁぁぁ・・・。
ぬらりちゃん:いぶきとんでった。
早瀬:・・・全くあのバカ弟子ときたら。
早瀬:迂闊な発言は後々自分を苦しめることになると何度言ったら分かるんですか。
早瀬:あ、そうだぬらりちゃん。もし戸都開さんが来たら私は
比織:はいなんですか私のさすらさん。
早瀬:私は・・・ここにいます、と伝えて下さい。
比織:はい!今日も素敵です!
ぬらりちゃん:さすがさすらはうかつじゃない。
伊吹:あー効いたぜ。
比織:ほんと伊吹くんて頑丈よね。
ぬらりちゃん:それだけがとりえー。
伊吹:他にもあるぜ!
早瀬:ほー。では私が書き物をしている間、
早瀬:伊吹は祝詞(のりと)の奏上の練習をしていたはずです。早速披露してください。
伊吹:・・・へ?
早瀬:伊吹?どうしました?
伊吹:のりと・・・?そう・・・じょう?
ぬらりちゃん:かんぜんにわすれてるかおー。
比織:これが3年9か月の代償ですか・・・。
早瀬:・・・伊吹・・・。
伊吹:なんだぜ師匠。
早瀬:とっとと・・・。
伊吹:はむた?
早瀬:とっとと、思い出しなさいこのバカ弟子―!!
伊吹:だぁぁぁぁっ!!・・・・ぁぁぁぁ・・・・っ。
ぬらりちゃん:さっきよりとんだー。
比織:さすらさんかっこいい・・・。
ぬらりちゃん:・・・ひおりー。
伊吹:いてて・・・。
早瀬:目は覚めましたか、伊吹。
伊吹:ああ師匠、ありがと。なーんとなくしっくり来てきたぜ。
早瀬:普段からちゃんと修行をしていればこんなことにはならないんですよ。
伊吹:はーーん。
早瀬:・・・なんですかそのふざけた返事は。
伊吹:師匠の言葉に素直に「はい」と言いたい気持ちと
伊吹:どうせやらない。でも嘘はつきたくない気持ちの「うーん」が合わさった返事だぜ。
早瀬:・・・っ。
比織:伊吹くんてほんと・・・。
ぬらりちゃん:ものすごくポジティブにいうとすなお
伊吹:第二の取り柄だぜ!
比織:むしろ欠点じゃ・・・。
伊吹:え?
ぬらりちゃん:さすらー。
早瀬:なんですかぬらりちゃん。
ぬらりちゃん:ぬららー。
早瀬:・・・それはえーと
ぬらりちゃん:あたらしいへんじ―
早瀬:・・・そう、ですか。・・・うん!実にいい!いい感じですね!
ぬらりちゃん:ぬらー。
比織:え?これは私も新しい返事を考えないといけない流れ?
比織:ひ、ひっおりーん。きゃるーん。
早瀬:無理にやらないで大丈夫ですから!
伊吹:いやめちゃくちゃ可愛さが増したぜ比織ちゃん!
比織:そ、そう?・・・こういう路線で攻めるのもありかな・・・。
早瀬:伊吹もいい加減なことを言うんじゃありません!
早瀬:さっきもなんですか・・・デュラちゃんがもう出てこないとか消滅したとか。
伊吹:そこまでは言ってないぜ。
比織:違うんですか?
伊吹:違わないぜ。
早瀬:伊吹。
伊吹:ってのは嘘だぜ。
比織:その切り替わりのよさがたまに怖いよ伊吹くん!?
伊吹:それも取り柄だぜ!
比織:えええ・・・。
伊吹:実は比織ちゃん、あいつは・・・。
比織;うん。
伊吹:旅に出たんだぜ。
比織:旅!?
早瀬:なんでもこの辺りでは物足りなくなったとかで。
ぬらりちゃん:おれよりつよいやつにあいにゆくー。
伊吹:あいつあの見た目で普通に街を出歩くからドキドキだぜ?
比織:結構自由なんですね。
早瀬:悪しき力の大部分を失っているからでしょうか。
ぬらりちゃん:ゆるゆるー。
早瀬:ぬいぐるみに着ぐるみ、ARにVR・・・。街の人への言い訳も尽きました・・・。
伊吹:まぁやっていることは園児や小学生相手に3輪車でレース仕掛けるだけだからな。
比織:はぁ・・・。
伊吹:そんなあいつが意外と女の子に人気者になってるのがちょっとムカつくぜ。
ぬらりちゃん:おまえがにんきないのはそういうとこだぞ。
伊吹:え?
比織:そうかもですね。
伊吹:え?
早瀬:すいませんね伊吹。その事に関しては私は余りに無力で・・・。
伊吹:師匠まで!?
比織:そのうち伊吹くんにもいい出会いがあると思うよ。多分。
ぬらりちゃん:ぬらー。
おにぎり:というかぁ、もう出会ってるにゃー。
比織:え?そうなんだ?なんだ、伊吹くんも結構・・・って!
ぬらりちゃん:ぬらっ!?
早瀬:なっ!?
伊吹:お、お前は・・・っ!
おにぎり:えへ、えへ・・・。いーぶきーぃ。会いたかったにゃー。
伊吹:おにぎり!?
0:
伊吹:ノリトイキオイ第3話「オレトシリアイ」
0:
比織:おにぎり?・・・わぁ、可愛い子・・・。でもすっごく大きな刀持ってる・・・。
伊吹:な、なななんでお前がここにいるんだぜ、おにぎり!そして離れろ・・・苦しっ。
おにぎり:そんなの伊吹に会いに来たに決まってるにゃー。
おにぎり:毎日毎日、次いつ会えるかを楽しみにぃ・・・。
おにぎり:今日だけでも3353文字、大体〇〇分くらい待ってたんだにゃー。
伊吹:そ、そうか。分かったからとっとと帰るんだぜ!
おにぎり:いーやぁ。それとぉ、おにぎり、だなんて可愛くない呼び方しないでぇ、
おにぎり:前みたいにぃ、「おむすび」とか「まい」って呼んで欲しいにゃー。
伊吹:おにぎりはおにぎりだろ!それに少なくとも「まい」って呼んだ記憶だけはないぜ!
おにぎり:もーぅ。
比織:なんで全部お米繋がりなんですか・・・。というかそのくっつき過ぎじゃないですか?
おにぎり:いつもぉ。いーぶきぃー。
伊吹:な訳ないぜ・・・っざけんなこの。
早瀬:・・・お久しぶりです。綮(むすびめ)さん。
おにぎり:神主様もぉ、お久しぶりにゃー。
ぬらりちゃん:ぬらー。
おにぎり:ぬらちゃんもぉ元気そうで何よりぃ。
比織:あ、あの・・・。
早瀬:ああ、彼女は
比織:あー!私分かりました!分かっちゃいました!
早瀬:・・・はい?
おにぎり:にゃー?
比織:ふっふっふ・・・。私もこの手のことには大分慣れましたからね!
比織:この子の正体は・・・ズバリ!猫又ですね!
早瀬:と、戸都開さん?
おにぎり:・・・。
比織:真実をつかれた驚きのあまり声も出ないようですね!根拠は・・・ズバリ!
伊吹:よくズバるぜ。
比織:茶々入れない!
伊吹:はい。
比織:・・・ズバリ!そのにゃーにゃーいう語尾です!
おにぎり:ほかにはぁ?
比織:ないです!
ぬらりちゃん:ぬらー・・・。
比織:完全に決まりましたね。
伊吹:ああ、決まったぜ。
比織:誉めてくれてもいいんですよ?猫ですもんね。距離感が少し近いのも納得です。
早瀬:あの・・・。
比織:はい!さすらさんもこれで如何に私がお役に立てるかが分かったかt
早瀬:彼女は普通に人です。
比織:・・・え?
おにぎり:えへ。
伊吹:普通に人だけど普通な人じゃないぜ。
おにぎり:ひどいにゃー。
比織:え?じゃ、じゃあなんでそんなにゃーにゃー言ってるんですか?!
おにぎり:それはぁキャラ付け。おむすびがイタい子だからだにゃー。
比織:あー、そうですか。そういうキャラ付けならしょうがないですね。
比織:確かにイタい。イタタタ・・・。納得です・・・って、え!?
ぬらりちゃん:こういうこー。
おにぎり:えへ、そうなのぅ。
比織:はぁ・・・。
おにぎり:・・・むー。
比織:な、なんですか?
おにぎり:でぇ、あなたは誰にゃ?
比織:わ、私は戸都開比織です。
ぬらりちゃん:ふつうにへんなこー。
比織:ぬらりちゃん?!
おにぎり:・・・伊吹がすきそぉ。
比織:へ?
伊吹:好きだぜ!
比織:ごめんなさい。
早瀬:伊吹・・・。
おにぎり:やぁっぱりぃ、ライバル、にゃー?
比織:ライバル!?ひょっとしてこ、恋のですか?!
おにぎり:にゃー。
比織:今のやりとり見てました?私は全然そんな気ありませんから。
おにぎり:ほんとぉ?
比織:ほんとです。大体最初っからこんな軽々しく好き好き言う人なんて信じられません。
伊吹:そういうのはせめて俺のいない所で話して欲しいぜ。
ぬらりちゃん:つよい。
比織:それに私が好きなのはさすらさんですから!ね?さ・す・ら・さん?
早瀬:あ、あははは・・・。親愛的な意味ですよね。ほんとそれでお願いします。
比織:もう。
おにぎり:ってことはぁ、伊吹はおむすびがもらってもいいってことにゃー?
比織:も、勿論です。
おにぎり:だぁってさーっ、伊吹ぃーっ。
伊吹:だぁっ!?いい加減は、はな、離れろ・・・!
おにぎり:伊吹ぃーい。
比織:・・・ふーん、よかったですね伊吹くん。。
伊吹:よくないぜ!
比織:だめですよ?こんなに可愛い子に好かれてるのに他の子にもちょっかいかけて。
ぬらりちゃん:・・・ひおりちょっとおこってる?
早瀬:怒ってますね。
比織:怒ってません。・・・ほんのちょっと見損なっただけです。
伊吹:比織ちゃん!?
比織:ふんっ。・・・えっと綮(むすびめ)さん。伊吹くんとはいつからその・・・
おにぎり:おむすびと伊吹の出会いぃ?
比織:うん。
おにぎり:おむすびと伊吹の出会いぃーっ。それはぁとぉっても甘いものだったにゃー。
伊吹:つか・・・いい加減離せ!そして変なことは言うんじゃないぜ!
おにぎり:あれはおむすびがぉ、まだこむすびだったころぉ・・・。
早瀬:違う意味に聞こえますね。
ぬらりちゃん:まくうちー。
おにぎり:こむすびは毎日毎日辛いつらぁい修行で毎日毎日泣いてたのぉ・・・。
伊吹:おいっ!?
おにぎり:そしたらぁ伊吹がぁ・・・。
伊吹:やめろぉぉぉおにぎりぃぃぃぃ!
0:(回想)
少女おにぎり:えーん、えーん・・・。ひっく、ひっく・・・。
少年伊吹:よ。
少女おにぎり:ひっく、ひっく・・・い、伊吹・・・。
少年伊吹:まーた泣いてんのか。相変わらずおむすびは泣き虫なやつだぜ。
少女おにぎり:わ、私は泣き虫じゃないもん・・・。う、うう・・・ぐすっ。
少年伊吹:・・・ったく。よし!
少年伊吹:いいかおむすび、そんなお前をこの俺が一瞬で元気にしてやるぜ!
少女おにぎり:・・・え?
少年伊吹:いくぜ。
少女おにぎり:・・・うん。
少年伊吹:いたいのいたいのー・・・ぶっとばぜー!
少女おにぎり:・・・へ?
少年伊吹:ん?なんかちょっと違う気もする・・・けどまぁいいぜ。
少年伊吹:これはな!俺の師匠が、俺がケガした時にやってくれるすごいおまじないなんだぜ!
少年伊吹:なにせすっごい!すーぐ痛くなくなっちまう!な?効くだろ?
少年伊吹:まぁ、師匠本人が殴った後もこれ使ってくるのはマッチポンプな気もするけどな。
少女おにぎり:・・・子供だまし。
少年伊吹:なっ!?
少女おにぎり:こんなので治った気になるなんて伊吹が単純なだけ。
少年伊吹:ひどいぜ!?
少女おにぎり:・・・でも
少年伊吹:ん?
少女おにぎり:でも、なんか・・・痛くなくなった・・・。
0:(回想終了)
伊吹:あああああああああっ!!?
おにぎり:えへ、えへ、あの時の伊吹ぃかっこよかったにゃぁ。
おにぎり:それ以来ぃおむすびの心は伊吹だけぇ・・・。
比織:へ、へー。
伊吹:あ・・・あ、あ、あ、ああっ・・・。
ぬらりちゃん:いたいのいたいのー?
早瀬:ぶっとばせー(笑))
伊吹:やめてくれぬらりちゃん!師匠!
比織:ほーーーーーーーん。
伊吹:早瀬伊吹最大の黒歴史だぜ・・・。
おにぎり:それからおむすびは一生懸命修行も頑張ってぇ、
おにぎり:伊吹に可愛いって言ってもらえるよう努力してぇ・・・。
伊吹:努力の方向も違うし、そもそも望んでないぜ。
比織:そんな言い方しちゃ可哀そうでしょ!
比織:でも凄いなぁ・・・。そんなに相手を思えるなんて。
おにぎり:えへ、この気持ちはぁ・・・ほんものぉ。
比織:・・・あ、そういえばさっきも言ってた修行って何の修行?まさか花嫁修業!?
ぬらりちゃん:あたまおはなばたけかなー。
比織:ちょっと!?
早瀬:ぬらりちゃん、少し言い過ぎですよ。
伊吹:傷だらけになる花嫁修業とか嫌過ぎるぜ。
比織:う。
おにぎり:伊吹のDVならぁ、いくらでもぉ。
伊吹:やらねーよ!
比織:じゃ、じゃあ何の修行なの?
伊吹:・・・だからおにぎりだぜ。
比織:・・・はい?
早瀬:こればっかりはおにぎりですね。
比織:おにぎりの修行って
伊吹:だからこいつは・・・。
早瀬:「鬼斬」(おにぎり)。・・・鬼を斬る子です。
比織:・・・へ?
おにぎり:えへ。改めて名乗るにゃー。姓は「綮」(ぬすびめ)ぇ名はぁ元、「巻」(まい)ぃ。
比織:元(もと)?
早瀬:綮さんのご実家、綮一族は代々、人に仇成す(あだなす)怪異、
早瀬:その中でも最も恐ろしい存在である鬼の退治を専門とする家系です。
早瀬:長い歴史において多くの人を救った・・・つまりひたすらに鬼を殺し続けた「綮」。
早瀬:その修行は凄惨を極め、それを終え一人前と認められた後も
早瀬:生涯務めからは逃れることは出来ず、また一族の在り方は完全なる実力主義。
早瀬:当代において最も強く優れたものが長となり、初代から続く「名」を受け継ぎます。
早瀬:・・・それが
おにぎり:「鬼斬」ぃ。だから今はぁ「綮鬼斬」(むすびめおにぎり)って名前ぇ。
おにぎり:全然可愛くないにゃー。
比織:鬼を斬る一族の・・・当主!?
おにぎり:にゃー。
ぬらりちゃん:まじつよいー。
伊吹:そういうことだぜ。でもこれで分かってくれただろ?
伊吹:例え顔がどんだけ可愛くてもこいつだけはないって。
おにぎり:か!?かわわわかわかわっ!?
ぬらりちゃん:こいつ・・・。
比織:んっ、んっんっ・・・こほんえふんっ。あー急に喉が、咳払いしたくなったなー。
伊吹:急になんだぜ?
おにぎり:かかわかわかわかかわかわ
早瀬:綮さんも少し落ち着いて下さい。
比織:こいつだけはないって言いながらいつまでもデレッデレしてくっついてますけど。
伊吹:それはこいつの力が強くて!?
おにぎり:伊吹ぃー。
比織:はいはい、よかったですねー。そもそも何の説明にもなってないよ!
比織:綮さんが鬼斬・・・凄い怖い鬼と人を守る為にずっと戦ってる、
比織:そんな大変なお務めをずっとしなくちゃいけない・・・。
比織:でもそれと伊吹くんが気持ちを受け入れない理由にならないでしょ!
比織:その・・・こんなに本気で好かれてるんだから!むしろ支えてあげたいとか思えないの!?
伊吹:・・・っ。
比織:・・・何よ。何か言いたいことがあるなら・・・はっきり言えば?
伊吹:・・・。
比織:ちゃんと、聴くから。
伊吹:俺鬼だぜ。
比織:・・・・ん?
伊吹:だから、俺、鬼だぜ。
比織:んん?
早瀬:・・・言ってませんでしたっけ。
ぬらりちゃん:ぬらー。
比織:え?伊吹くんって鬼、なの?
伊吹:そうだぜ。っていっても純粋な鬼じゃなくて、師匠曰く・・・鬼の血のバジリコだぜ。
ぬらりちゃん:きゅうないたりあん。
早瀬:混じり子(まじりご)です、バカ弟子。
比織:混じり子・・・。それって
伊吹:俺の先祖の誰かが鬼で、その鬼と人の血が混ざったってだけだぜ?
伊吹:ピラフとかパエリアみたいな。
比織:全然意味分からないし、なんでそんな重大なことをさらっとぱらっと言うの!?
伊吹:チャーハンの方が分かりやすかったか。
比織:そうじゃない!
ぬらりちゃん:ひおりだいかつやくー。
比織:はぁ・・・はぁ・・・。えっとつまり伊吹くんは鬼の混じり子で。
伊吹:おう。
比織:綮さんは鬼斬。
おにぎり:そぉう。
比織:お務め的に混じり子はオッケーとかは?
おにぎり:ないにゃー。鬼は鬼ぃ。必ず殺すのがぁ綮、そしてぇそれが鬼斬にゃー。
比織:ってことはつまり。
早瀬:伊吹もその対象、ということですね。
ぬらりちゃん:ぬらー。
比織:ですよね。
比織:はいはい、つまり、伊吹くんは綮さんにとって大好きな人で殺害対象ってことですか。
おにぎり:せぇいかぁい。
伊吹:困ったもんだぜ。
比織:やっと追いつきましたよこの状況にー。凄く大変じゃないですか。あはは。
伊吹:そうだぜ。背後から抱き疲れてるこの状況、いつこの首が切られるかひやひやしてるぜ!
おにぎり:えへ、えへ。いーぶきぃーの心音が聞こえるにゃー。
伊吹:あはは。いい加減離れろよーおまえー。
おにぎり:やぁだぁ。
比織:もう。事情が分かると別の意味で見ていられないですよ二人共!あははは。
比織:あはは・・・あは・・・今ほんとに不味くないですか!?
早瀬:正直かなり。
比織:ですよね!?
早瀬:ですが・・・。綮さん。
おにぎり:・・・なぁにぃ?
早瀬:まだ、その時ではないはずです。
ぬらりちゃん:ぬらー。そろそろはなれよっか?
おにぎり:・・・はぁい。ほぉんと厄介な保護者達にゃぁ。
早瀬:あはは。厄介なお客様が多いもので。
比織:・・・私じゃないよね?
ぬらりちゃん:いままじめなしーん。
比織:あ、はい。
おにぎり:でもでもぉ。神主さんもぉ気づいてるんでしょうぅ?
おにぎり:もぉうぅ、限界なんじゃないかにゃぁって。
早瀬:そんなことありません。伊吹はその為に毎日修行に励んで
伊吹:ないぜ。
早瀬:っ。・・・毎日じゃないにしてもときにはしっかりと修行をしています。
伊吹:おう!
早瀬:後でじっくりと話をしましょう伊吹。ええ、それはもうじっくりと。
伊吹:え。
おにぎり:どれだけの神力(しんりょく)で抑えようとぉ、
おにぎり:どれだけそれに抗う力を得ようとぉ。
おにぎり:そんなものでぇ、どうにかなる存在じゃないにゃー。鬼はぁ。
早瀬:・・・。
おにぎり:とくにぃ・・・伊吹のはぁ。感じるもん。いっぱいぃ。
おにぎり:伊吹ぃ。最近おかしくなってないぃ?
ぬらりちゃん:もとからー。
比織:それは元からです!
伊吹:やかましいぜ!さっきも聞いたし!
おにぎり:・・・記憶が曖昧にぃなってたりぃ。
伊吹:・・・それは。
おにぎり:自分がぁ誰だかぁわからなくなってきてないかにゃぁ?
伊吹:そ、そんなこと。今日は!今日はたまたま・・・その。
早瀬:伊吹。
伊吹:はは。だーいじょうぶだぜ。師匠。なにをそんな真剣な顔してるんですか?
伊吹:僕はいつも通り。何も問題ありません・・・だ、ぜ・・・?
ぬらりちゃん:いぶきー。
比織:伊吹くん。
おにぎり:ほぉら、ほぉら。
伊吹:皆もどうしたんです、だぜ。俺は全然平気です。特に問題は、ただその少しだけ
早瀬:伊吹!・・・綮さん!それ以上刺激するのはやめなさい!
おにぎり:えへ、おむすびはなぁんにもしてないにゃぁ。
おにぎり:たぁだぁ、伊吹にぃ、呼びかけてるだけにゃぁ。ねぇ、伊吹ぃ?
早瀬:だからそれをやめろと!
おにぎり:・・・伊吹?それが僕の名前、なのか?俺の、僕の名前は
おにぎり:そうだよぉ?違うよねぇ?今のあなたはぁ?!
早瀬:伊吹!この声に惑わされてはいけません!心を強くもつのです!
伊吹:し、ししょ・・・はや、せ・・・さ、す。
比織:なに?どういうこと?!伊吹くん!伊吹くんが、ねぇ!?
ぬらりちゃん:・・・おにぎりはおにをきる。
ぬらりちゃん:そして、よりおおく、もっといっぱいきるために、おにをよぶ。
比織:それって。
ぬらりちゃん:いぶきのなかのおにをよんでる。
比織:そんな!?伊吹くん!
伊吹:お、れ・・・は、ぼ・・・k
おにぎり:いいよ、いいよぉ。おにぎりはぁずっとずっとぉこの時を待ってたにゃぁ。
おにぎり:鬼の意識が強くなる日をぉ。
早瀬:綮、さん・・・!
おにぎり:おむすびは鬼斬ぃ。そして伊吹は鬼なんてぇ。
おにぎり:なんて素敵な関係にゃぁ。
おにぎり:いずれ来るぅ「その時」なんて待ってたらおむすびはぁ絶対狂ぅ。
おにぎり:あの日ぃ伊吹に「いたいのいたいの」ぶっとばされてぇ。
おにぎり:いたいいたいがなくなってぇ、もっとずっと会いたい会いたい。
おにぎり:いたいいたいのとんでって会いたい居たいもっと痛い
おにぎり:痛い会いたいもっと居たいから。
おにぎり:いっそ遺体でずっと居よ?
おにぎり:・・・出てこい、鬼ぃ。
伊吹:ぐっ・・・!?あああっ・・・あ、ああ・・・。
おにぎり:・・・にゃー。
早瀬:伊吹!
伊吹:お、お、あ・・・。・・・。
ぬらりちゃん:・・・いぶき。
比織:・・・伊吹くん?だい、じょうぶ?
早瀬:いけません!戸都開さん離れて!
比織:え?っきゃー!?
ぬらりちゃん:せーふ。
比織:ありがとうぬらちゃん・・・。伊吹くん、一体どうしたの?
ぬらりちゃん:あいつはいぶきじゃない。
比織:・・・え?
早瀬:出てきた早々、いたいけな女性に攻撃とはご挨拶ですね。
良亜:・・・攻撃?
比織:なんかぶわってしました!あなた誰ですか!伊吹くんは!?
良亜:・・・ああ、僕がただ手を振るう。それだけで人間は死ぬのだったね。
良亜:ごめんごめん。悪気はないよ。
早瀬:・・・久しぶりです。良亜(らあ)。
良亜:そうだね、早瀬。
比織:良亜・・・?さすらさんの知り合い?
早瀬:ええ、大分古くからの付き合いです。最悪なことに。
良亜:あはは。それはお互い様さ。
ぬらりちゃん:あれは、おに。
比織:え。
ぬらりちゃん:いぶきのなかにいる、おに。
比織:伊吹くんのなかに・・・?じゃ、じゃあ早くいつもみたくあいつを追い出して
ぬらりちゃん:できない。
比織:え?
ぬらりちゃん:あいつといぶきはいっしょだから。
比織:一緒って、そんな・・・。
良亜:思ったより早い再会かな。少し瘦せましたか?
早瀬:ご心配なく。健康診断もまるで問題ありませんでしたよ?
良亜:彼と貴方で名を封じ、どれだけの時間が過ぎたのでしょう。
早瀬:さぁ?出来ればそのままでいて欲しいものですけど。
良亜:それは望み過ぎというものです。しかし貴方は
早瀬:・・・。
良亜:本当に弱くなりましたね。見る影もない。
早瀬:・・・っ。
良亜:神に愛されたとはいえ所詮人の身、
良亜:・・・いえ、むしろよくもった方だというべきでしょうね。よくやりました。
早瀬:それはどうも。
比織:・・・あなた、良亜、さん。
良亜:・・・なんですか?ただの人間如きが僕に話しかけるなんて。
ぬらりちゃん:だめ、ひおり。
比織:伊吹くんを返して。
良亜:返す・・・。
比織:そうです。早く出てってください!
早瀬:戸都開さん!いけません!この存在に関わってはいけない!
比織:でも!
良亜:・・・少し、不快だな。
良亜:よし、その身に一生消えない傷でもつければ大人しくなるよね?
早瀬:待て!良亜!
良亜:上手く加減が出来なくて、うっかり殺しても怒らないでね。
比織:・・・ひっ。
ぬらりちゃん:ぬら!?
比織:伊吹くん起きてよ!
良亜:・・・だから黙れと
おにぎり:死ぃねぇっ。
良亜:・・・鬼斬か。
比織:おむすびさん!?
良亜:はぁ・・・。
おにぎり:死ねぇ、死ね死ね死ね死ね死ねぇ!鬼はみぃんなぁ死ねぇ!!
良亜:本当に懲りないね、何年も何代も君達は。
おにぎり:死ぃねぇ!鬼ぃぃぃっ!
良亜:おっと。危ない危ない。
おにぎり:っくぅぅぅ!?はぁぁぁっ!
比織:・・・凄い、あんなに大きな刀を軽々と・・・。
早瀬:あれこそ代々「鬼斬」の名とともに受け継がれる名刀。
早瀬:ひとたび抜けば、その一振りで鬼を斬る為に千里を駆ける力を授かると言われています。
早瀬:その名は・・・。
比織:「振駆(ふりかけ)」、じゃないですよね?
早瀬:おお、戸都開さんご存じでしたか。
ぬらりちゃん:ひおりすごいー。
比織:当たって欲しくなかった!?
おにぎり:はぁっ!
良亜:ほらもう少しだよ?頑張れ頑張れ。
おにぎり:ちぃぃっ!うるさい!!
良亜:あはは。
比織:おにぎりさん、ほんとに強いんだ。
早瀬:ええ。今の私ではとてもこの戦いについていけないでしょう。
ぬらりちゃん:べつじげん。
比織:そんなに・・・。あ、でも、もし良亜さんを倒したら伊吹くんも・・・。
早瀬:・・・いえ、それは・・・。
比織:早瀬さん?
おにぎり:かはっ!?
良亜:あれー?今の当たっちゃうんだ?当てる気なかったんだけどね。
おにぎり:・・・あ、あ、ぐはっ・・・。
比織:おむすびさん!?
おにぎり:はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。
良亜:あはは。もう限界かな?
おにぎり:お、おにぃ・・・っ。
良亜:・・・またこれか。
おにぎり:・・・なにが?
良亜:鬼斬だなんて大仰な名を名乗って、結局やってることは雑魚狩りばかり。
おにぎり:・・やめろ。
良亜:本当に討ちたい鬼にはいつも敵わない。君達は全くいつまでたっても
おにぎり:やめろ。
良亜:惨めだね。
おにぎり:やめろぉぉぉっ!
良亜:もういいよ。・・・「散れ」。
おにぎり:あ。あがっ・・・きゃあああああぁっ!!?
早瀬:綮さん!?
ぬらりちゃん:ぬらっ!?
比織:おむすびさん!?何?何をしたの!?
早瀬:・・・「呪言(じゅごん)」です。
比織:じゅごん・・・ああ、鳥羽水族館にいる。
ぬらりちゃん:いおりほんとにくうきよんで?
比織:はい・・・。
早瀬:力を込めた呪いの言葉。良亜の能力です。
良亜:派手に血を吹いたけど安心して。殺してないよ。
比織:え?
良亜:多分。
早瀬:え?
良亜:・・・死んでないよな。
おにぎり:・・・ぅ。
良亜:・・・ほらね。
ぬらりちゃん:ぬらー。
良亜:さて、勘も戻って来たことだし、次は君だ。腕と足どっちがいい?
比織:ひ・・・。
早瀬:良亜!
ぬらりちゃん:させない!
良亜:「伏せろ」。
早瀬:ぐぅっ?!
ぬらりちゃん:ぬらっ!?
比織:さすらさん!?ぬらりちゃん!?
良亜:この程度の拘束も防げないんだもん、ほんと弱くなったね。
早瀬:ぐ・・・。戸都開さん・・・逃げて、下さい・・・。
良亜:あはは。・・・逃がすとでも?
比織:あ・・・あ・・・。
ぬらりちゃん:ひおり!
良亜:さて、どっちにしようかなー。
早瀬:やめろぉっ!
比織:い、いやぁぁぁっ。
良亜:よし決めた。・・・ちっ。
比織:・・・え?
良亜:嘘だろ?比織ちゃんには指一本ふれさせ、今いい所なんだから大人しく、
良亜:ん?だからぼ、俺の体を返せせめて触れるならその後で、君は何を言ってるんだ?
良亜:しつこいなぁいいかい、うるせぇ早く、ああもう、絶対にさせないぜっ、ったく・・・。
比織:これは・・・。
早瀬:伊吹。・・・それでこそ、ですよね。
良亜:なんか調子戻ってきた気がするぜ、何を根拠にそんなことを、いいかみとけよ
良亜:見れる訳ないだろ君は僕なんだから、そういうことじゃないんだぜこまかいこというな!
ぬらりちゃん:おきろ!いぶき!
比織:伊吹くん!
良亜:おう!待ってろ皆いますぐっ、・・・ああうるさい。本当にもう少し大人しくしとけ。
良亜:あだっ!?・・・はぁ、流石に限界かな。
良亜:鬼斬のやつめ・・・強引に覚醒させやがって。おかげで計画がずれたよ。
早瀬:良亜・・・。
良亜:早瀬、残念ながらこん
早瀬:さようなら。安らかに眠ってください。
良亜:せめて最後まで言わせてくれない?
早瀬:嬉しくてつい。
良亜:・・・まぁいいさ。
良亜:もう少し自由に動けるかと思ったけど・・・これも修行の成果ってことかな?
早瀬:自慢の弟子ですから。
良亜:でも、まだ足りないよ。
早瀬:・・・今は、ね。
良亜:・・・そう。さて、そろそろ時間かな。またね、おちぶれ妖怪ちゃん。
ぬらりちゃん:ふぁーっくごーほーむ。
良亜:おお、こわいこわい。そして比織。
比織:え?なんで私の名前を知ってるんですか?
良亜:なにせ同じ体だからね。そんなことよりさ。
比織:・・・な、なんですか?
良亜:次は必ず君を貰う。
比織:・・・う。
ぬらりちゃん:・・・ひおりかおあかい?
比織:そ、そんなことない!あーやだなー!絶対そんなことさせませんからね!
良亜:あはは。・・・早瀬。忘れるなよ、もう時間はない。せいぜい足掻けよ。
早瀬:・・・ええ。
良亜:それじゃあ、
良亜:(早瀬も同時に)いずれまたその時に。
早瀬:・・・。
伊吹:・・・ししょ
早瀬:ふんっ!
伊吹:いってぇぇ!?いきなり何するんだぜ師匠!?
早瀬:ああ、急にやり場のない怒りに襲われて。
伊吹:理不尽すぎる!
早瀬:これも愛ですよ。おかえり伊吹。
伊吹:愛が重いぜ。
比織:伊吹くん!
ぬらりちゃん:いぶきー。よかったー。
伊吹:おう。二人にも迷惑かけたぜ。
比織:・・・むー。
伊吹:どうしたんだぜ比織ちゃん?
比織:ちょっと真顔で「必ず君を貰う」って言ってみて。
伊吹:え?
ぬらりちゃん:ひおり・・・。
伊吹:真顔・・・な。んー、ん、ん、よし、いくぜ。
比織:うん。
伊吹:必ず君を貰う。
比織:・・・なんか思ってたのと違う。
伊吹:なんかってなんだぜ!?
ぬらりちゃん:いぶき・・・。
比織:やっぱり私はさすらさん一筋!
伊吹:ひどい。
早瀬:あはは・・・。
おにぎり:・・・う、うーん。
比織:おむすびさん、気がついた?
伊吹:うげっ。
おにぎり:・・・にゃー。
比織:よかった、にゃーに戻ってる。
伊吹:い、今の俺はかんっぜん俺だからな。変なことすんじゃねーぞ。
おにぎり:もうそんな元気ないにゃあ。それよりいぶきぃ、ひざまくらしてぇ?
伊吹:やる訳ないぜ!
おにぎり:いじわるぅ。
早瀬:・・・綮さん。
おにぎり:分かってます。皆さんを危険にさらしたこと、大変申し訳ありませんでした。
ぬらりちゃん:ぬらー。
おにぎり:強引に鬼を呼び起こした挙句、こうも見事に返り討ち。
おにぎり:おまけに手心まで加えられるとはね。でもあくまで今回のことは私の独断専行。
おにぎり:一族の総意ではないことだけは理解してほしい、かにゃあ?
早瀬:・・・いいでしょう。
おにぎり:ありがとにゃあ。さぁて、帰ってぇ、いっぱいいっぱい怒られてくるかぁ。
伊吹:帰るって、おい。
比織:そんな傷だらけなのに・・・。
おにぎり:えへへ・・・死ななきゃ元気がモットーの鬼斬にゃぁ。
伊吹:おむすび。
おにぎり:・・・にゃあ?
伊吹:あー・・・あんまひとりで無理すんなよ。前みたく、話しくらいならいつでも聞くぜ。
おにぎり:っ・・・。・・・いぶきはぁほんと・・・。
おにぎり:ほんとぉ・・・ずっといたくなる、にゃあ・・・。
伊吹:殺されるのはごめんだけどな。
おにぎり:じゃぁ今ちょっとだけ刺すのはいぃい?
伊吹:言い訳ないぜ!?
おにぎり:えへへ・・・。じゃあ、またにゃあ。
比織:うん、またね・・・って、え、あれ、おむすびさん?
ぬらりちゃん:きえたー。
伊吹:・・・ったく来るのも帰るのも唐突なやつだぜ。
ぬらりちゃん:ぬらー。
早瀬:伊吹。
伊吹:・・・師匠。
早瀬:いよいよあなたに、あなたにまつわる全てを話す時が来たのかも知れません。
伊吹:・・・。
早瀬:いえ、全てを話すことを私が恐れていたのです。その覚悟をもてなかった。
早瀬:日頃偉そうなことを言っている割に、情けない師匠ですね。
伊吹:そんなことない。師匠は、最高の師匠だぜ。
早瀬:・・・ありがとう。受け入れる覚悟の方は、もう大丈夫みたいですね。
伊吹:おう!大丈夫だぜ!
早瀬:伊吹、私は今日ほどあなたの成長を嬉しく思ったことはありません。
伊吹:それは俺も嬉しいぜ。
早瀬:たまに修行をさぼってもやる時はやっている。それでいいじゃないですか。
早瀬:では少々長くなりますが、心して聞く
伊吹:しかし腹減ったぜ。
早瀬:伊吹―。
比織:ちょっと伊吹くん。
伊吹:比織ちゃんは空いてないの?
比織:う・・・それはまぁ言われてみれば・・・ちょっとは。
伊吹:素直になった方がいいぜ。なー師匠―。
早瀬:・・・ぬ。
ぬらりちゃん:あきらめもかんじん。
早瀬:・・・はぁ、そうですね。仕方ありません。たまには皆で外食でもしますか。
伊吹:やったぜ!ケチな師匠が珍しい!よーし、そうと決まれば早く行こうぜ!
伊吹:一番最初に神社の階段降りたやつが優勝な!よーい、スタート!
比織:え、優勝ってなに!?ちょっと伊吹くーん!?
ぬらりちゃん:あいつほんとがき。でもまけるのもしゃくー。
早瀬:あはは・・・。
伊吹:おーい!ししょー!ししょーは老人だからゆっくりでいいぜー!
早瀬:あははは!伊吹ー!私が追いついた時があなたの最後ですよー!
伊吹:え。・・・逃げっ、逃げるぜ二人共!
比織:私は関係ないでしょ!
ぬらりちゃん:ぬら!
早瀬:全く、バカ弟子が。
早瀬:・・・この日常、誰にも奪わせませんよ。決して。