台本概要
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タイトル | 記憶 |
---|---|
作者名 | しなせ (@sinase0) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 1人用台本(不問1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 商用、非商用問わず連絡不要 |
説明 |
幼い日の記憶。僕はどんな風に過ごしていただろう。
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キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
僕 | 不問 | - | 幼い頃の僕 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:ガタンゴトン
0:一定のリズムを刻み、車内は揺れる
0:電車に乗っていると
0:ふと、子供の頃を思い返す
0:
0:今は大きくなった手のひらを見つめると
0:自分はきっと大人になってしまったのだと自覚する
0:目を閉じて…記憶を探ると
0:昔の夏の色は淡く赤い
0:オレンジ色の光が瞼の裏に映る
0:夕方の思い出が強い
0:
0:大人になってから
0:夏のイメージは快晴になったが
0:コバルトブルーを溶かしたような空や
0:炭酸水のようなパチパチとした爽快さ
0:そんな爽やかさは昔の夏に無かった気がする
0:きっと世の中の青春のイメージが
0:そうさせるんだろう
0:
0:なんだか不思議な浮遊感と非現実性
0:蝉の声がうるさくて
0:夜が暮れるのが遅くて
0:なんだか…怖かったんだ
0:その時間に取り残されるようで
0:
0:汗をかいてぴったりと肌に張りついた
0:服が嫌いだった
0:小銭を握りしめて駄菓子屋へ
0:ガラクタしか出ないガチャガチャは特別で
0:宝物のように感じていた
0:キラキラした100円玉をはめて
0:錆びてうまく回らないハンドルを
0:力を込めてゆっくり回した
0:
0:外で食べるアイスクリームは
0:ひんやりと冷たくて
0:夏の暑さで溶けていく
0:ポタリと足元に垂れて
0:アイスキャンディだと
0:手を伝って垂れるから
0:焦りながら食べたっけ
0:
0:花火をするのも好きだった
0:カラフルな紙が巻かれた手持ち花火に
0:火をつけてチリチリと紙が燃える様子を見る
0:シュッという音と共に煙が上がり
0:キラキラとまばゆい光が弾けて散っていく
0:火花で火傷をしないかと心配してたなぁ
0:
0:線香花火も綺麗だったが
0:ゆっくり待たねばならなかったので
0:子供の自分は少々、退屈に感じていた
0:あれは大人になってから魅力が分かるものだろう
0:
0:夜は怖く感じた
0:少しだけ涼しくなって
0:昼間よりもすごしやすくなったが
0:夜は『出る』と言うだろう
0:夏の夜なんて墓場やら幽霊やら
0:ダークなイメージが強かったんだ
0:
0:寝ているときに足首を掴まれると想像して
0:暑いのに体を丸めて布団に隠した
0:心霊番組を見た夜なんて
0:とても怖くて
0:誰かに見られてるんじゃないかと
0:ゾッとしていた
0:
0:懐かしい
0:本当に懐かしい記憶
0:きっとあと何十年も生きるのだろうが
0:あの夏は二度と体験出来ないのだろうな
0:きっと凄く特別な思い出
0:
0:電車から降りて
0:はぁ~っと冷たい白い息をする
0:マスクの隙間から息が漏れて
0:眼鏡がうっすら曇る
0:すり足で歩くから
0:スニーカーとアスファルトが擦れて
0:ザッザッと本来なるはずの無い音が
0:真っ暗な住宅街に鳴り響く
0:電信柱と街灯の灯り
0:自販機の機械的な灯り
0:ときどきカーブミラーに自分が映る
0:
0:寒い寒い田舎町
0:冬になるとあの夏の暑さが恋しくなる
0:冷たい空気が頬を撫でる
0:昔、通ってた駄菓子屋はもう潰れてしまった
0:今はガチャガチャだけが名残のように残ってる
0:
0:きっとあの夏の残滓は町中に…
0:探せばいくらでもあるのだろう
0:
0:さぁ……そろそろ家だ
0:今日は誰と話そうか
0:私はワクワクとしながら玄関を開けた
0:
0:おわり
0:ガタンゴトン
0:一定のリズムを刻み、車内は揺れる
0:電車に乗っていると
0:ふと、子供の頃を思い返す
0:
0:今は大きくなった手のひらを見つめると
0:自分はきっと大人になってしまったのだと自覚する
0:目を閉じて…記憶を探ると
0:昔の夏の色は淡く赤い
0:オレンジ色の光が瞼の裏に映る
0:夕方の思い出が強い
0:
0:大人になってから
0:夏のイメージは快晴になったが
0:コバルトブルーを溶かしたような空や
0:炭酸水のようなパチパチとした爽快さ
0:そんな爽やかさは昔の夏に無かった気がする
0:きっと世の中の青春のイメージが
0:そうさせるんだろう
0:
0:なんだか不思議な浮遊感と非現実性
0:蝉の声がうるさくて
0:夜が暮れるのが遅くて
0:なんだか…怖かったんだ
0:その時間に取り残されるようで
0:
0:汗をかいてぴったりと肌に張りついた
0:服が嫌いだった
0:小銭を握りしめて駄菓子屋へ
0:ガラクタしか出ないガチャガチャは特別で
0:宝物のように感じていた
0:キラキラした100円玉をはめて
0:錆びてうまく回らないハンドルを
0:力を込めてゆっくり回した
0:
0:外で食べるアイスクリームは
0:ひんやりと冷たくて
0:夏の暑さで溶けていく
0:ポタリと足元に垂れて
0:アイスキャンディだと
0:手を伝って垂れるから
0:焦りながら食べたっけ
0:
0:花火をするのも好きだった
0:カラフルな紙が巻かれた手持ち花火に
0:火をつけてチリチリと紙が燃える様子を見る
0:シュッという音と共に煙が上がり
0:キラキラとまばゆい光が弾けて散っていく
0:火花で火傷をしないかと心配してたなぁ
0:
0:線香花火も綺麗だったが
0:ゆっくり待たねばならなかったので
0:子供の自分は少々、退屈に感じていた
0:あれは大人になってから魅力が分かるものだろう
0:
0:夜は怖く感じた
0:少しだけ涼しくなって
0:昼間よりもすごしやすくなったが
0:夜は『出る』と言うだろう
0:夏の夜なんて墓場やら幽霊やら
0:ダークなイメージが強かったんだ
0:
0:寝ているときに足首を掴まれると想像して
0:暑いのに体を丸めて布団に隠した
0:心霊番組を見た夜なんて
0:とても怖くて
0:誰かに見られてるんじゃないかと
0:ゾッとしていた
0:
0:懐かしい
0:本当に懐かしい記憶
0:きっとあと何十年も生きるのだろうが
0:あの夏は二度と体験出来ないのだろうな
0:きっと凄く特別な思い出
0:
0:電車から降りて
0:はぁ~っと冷たい白い息をする
0:マスクの隙間から息が漏れて
0:眼鏡がうっすら曇る
0:すり足で歩くから
0:スニーカーとアスファルトが擦れて
0:ザッザッと本来なるはずの無い音が
0:真っ暗な住宅街に鳴り響く
0:電信柱と街灯の灯り
0:自販機の機械的な灯り
0:ときどきカーブミラーに自分が映る
0:
0:寒い寒い田舎町
0:冬になるとあの夏の暑さが恋しくなる
0:冷たい空気が頬を撫でる
0:昔、通ってた駄菓子屋はもう潰れてしまった
0:今はガチャガチャだけが名残のように残ってる
0:
0:きっとあの夏の残滓は町中に…
0:探せばいくらでもあるのだろう
0:
0:さぁ……そろそろ家だ
0:今日は誰と話そうか
0:私はワクワクとしながら玄関を開けた
0:
0:おわり