台本概要

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タイトル melt(メルト)加筆修正版
作者名 ころけ まぬ
ジャンル その他
演者人数 2人用台本(女2)
時間 10 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 女性二人の会話劇です。

「全部とけてしまえばいいのにな」




・著作権を放棄しておりません

・配信アプリ内での使用
「視聴料」をいただかない場合はご自由に。
スパチャ等も免除とさせていただきます。
その際は【シナリオタイトル/作者名/声劇台本置き場さんのURL】をコメント欄等、目につく箇所にご記入ください。

……視聴料という名目でなくても有料枠等、視聴するにあたってリスナーが金銭を支払う必要がある場合は免除外になります。

アーカイブにテキストが残らない際は必ずシナリオタイトルと作者名、掲載先が声劇台本置き場さんであることを【口頭でお伝えください】

・アーカイブ等を動画化・ボイスドラマ化について
非商用の場合はご自由に。
視聴料がかかったり再生数が金銭として投稿者に還ってくる等
収益化されたチャンネルでのアップロードはご遠慮ください。

・登場人物の性別について
登場人物の性別の変更はご遠慮ください。
ただしキャストさんの性別は問いません。

・アドリブについて
改変に近いものはご遠慮ください。
それ以外はご自由に。

・引用について
シナリオの一部を告知記事や告知画像に掲載しても大丈夫です。
その際は引用部分を「」で括り【作者名/シナリオタイトル】を小さくても構わないので添えてください


数あるシナリオの中からお目にとめていただき、ここまでお読みいただきありがとうございます。


※こちらは別名義で発表したものを加筆修正しました

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
立花 38 リッカ。島に住む女性。都会からの出戻りで実家が営む商店の店員をしている。
六花 28 ロッカ。島に住む女性。立花の幼馴染。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
立花:(M)「リッカロッカ再結成だね!」と言って笑う彼女のいたずらな顔が真夏の日差しに溶けていったーー 0:(間) 立花:らっしゃせぇ 六花:あらヤダー、相変わらずやる気のない店員ですこと! 立花:はいはい。で、今日は何にするー?氷?アイスクリン?それともモナカ? 六花:うーん今日はねぇ…… 0:六花、立花の顔をじっと見つめた後、店内の冷凍庫からかき氷を二つ取る 六花:こ、れっ!イチゴ氷にするー! 立花:おっ、良いチョイス!さっ、食べよ! 0:(間) 立花:(M)本州から切り離された島。田舎も田舎なここが私の故郷だ。「島民は家族」なんて言っちゃうぐらいの少ない人口、小さな島で、退屈な時間がただただ流れる平凡な場所 立花:(M)こんな場所に生まれてしまったことを嘆いて、私はここを飛び出したことがある。三年、いや、二年とちょっと?それぐらい前の話だ。両親には当然反対されたが半ば家出の様に飛び出した。刺激が欲しかった。退屈ではない日々とけばけばしい都会(まち)に憧れたのだ。表向きの理由は 0:(間) 立花:あっつー……。ほーんと……なんもない、とこぉー…… 六花:またそれですかぁ?口癖になってません?確かに田舎だし、ちっちゃい島だけど。でも、私は嫌いじゃないよ。立花が戻って来てくれた時は、嬉しかった…… 立花:へへっ。あん時は父さん達にはまあ当然っちゃ当然だけど怒鳴られて、近所のジジババにも気まずそうにされてさあ。でも六花は「リッカロッカ再結成だね」って子どもの時みたいに笑うんだもんねー…… 六花:うん。凄く嬉しかったんだもん。本当だよ…… 0:立花、イチゴ氷の残りを豪快に飲み込んで 立花:……話、あるんだよね? 0:(間) 六花:……うん 立花:なあに? 0:(間) 六花:私、ナツと付き合ってるでしょ…… 立花:うん?なに、珍しい。もしかして夏生(ナツオ)君と喧嘩した?まあ、夏生君も都会からわざわざこんな島に来た変わり者っちゃ変わり者だし?どした、訳わからんことでもあった? 六花:ううん。そうじゃなくてさ…… 立花:ほう?あ、六花。それ、氷の残り食べないとどろどろになるよ? 六花:…… 0:六花、溶けかけたイチゴ氷を飲み込む 六花:ナツってさ水産会社の息子なのね。ここに来たのは漁業関係の研修みたいなものなの 立花:へぇ。そうだっけ。初めて聞いた気がする 六花:初めて……話すかな。うん、そうだね。立花には都会から来た人だよとしか言ってなかったかな 立花:まっ、六花の彼氏について私があれこれ聞くこともないし?で、その御曹司?がどしたー? 六花:……実はね、ナツの研修が、もう終わるの 立花:…… 0:沈黙する立花と六花 0:(間) 0:立花、やや早口気味に 立花:へえ。大変だね。それじゃあ遠距離恋愛になるんだ?それって大丈夫なの?いやさあ、元々都会の人間がこんなとこに満足してるとは思えないし?帰ったらそりゃ色んなもんに目移りするよね……って 立花:六花。何で、泣いてんの 六花:……立花。私ね 立花:うん 六花:ナツと結婚する 立花:…… 六花:だから来年、ここを出るの 立花:……うん 0:六花は静かに泣き続けている。立花、気まずさを払おうとするかの様に喋り出す 立花:ね、ねえ、何で泣くの。ちょっとぉ嬉し泣きには見えないんですけどー?めでたい、ことじゃん…… 六花:私たち、名前も似ていて双子みたいに育ったじゃない?だからさ、立花が何も言わずにここを出た時、私、正直裏切られたみたいに思っちゃってさ。悲しかったんだ。ずっと一緒にいたのにさぁ…… 立花:……はぁ?その話がどう繋がんのよ 六花:いいから聞いてよ。ずっと一緒に、変わらないまま、過ごしていくもんだと思ってたの。ここで二人でおばあさんズになるもんだと思ってたの…… 立花:うん…… 六花:でもそんなの、自分勝手な妄想だったって気付かされて、ショックで、悲しくて。……立花がさぁ、戻って来た時、私がどれだけ嬉しかったか。立花が思うよりもずっと、ずっと、ずっと……嬉しかったんだよ 六花:でも、私はナツと恋をしていたから。立花が戻って来る前に二人で島を出ていたら良かった何て、卑怯なことを最近思う様になって……。頭ぁ、ぐちゃぐちゃでさぁ 立花:……私がいつ戻るか何て分からないし、もしかしたら二度と戻らなかったかも知れないじゃない。エスパーじゃないんだから。ちょっと、考え過ぎだって……。あっ!マリッジブルーってやつじゃ(ないの) 六花:それでも!何だかショックだったの。私は立花とは双子のつもりだったから。双子って片割れって言うじゃない?その片割れを信じ切れなかったっていうかさ……。せっかく立花が戻って来たのに、今度は私が出ていくなんて…… 立花:六花…… 六花:じゃあナツとの結婚を取り止めれば良いって話になるけど、そんなこと出来なくて。結局、オトコなんだよなぁ……って。自分でも、上手く言えないんだけど…… 0:(間) 六花:(M)でも、何か、やっぱりーー"ごめんね" 立花:(M)彼女のことを見て来た。見れば見る程胸が痛み、恨んだ。だから私はその思いを都会の中に混ぜ込もうとしたのだ。混ぜて、混ぜて、いつか慌ただしい生活の中でそれが見えなくなってしまえば良いと思った 立花:(M)だけどそれは虚しいだけで。失くそうとしたものを凝り固まらせただけだった 0:(間) 立花:……変なことに悩んでんなよ 六花:だから、変なことじゃないって! 立花:変なことだよ。何?私と六花は双子みたいなもんだから?だから何よ。双子だって別の人間だっつーの。私は立花で、あんたは六花。全く違う。それに私達もういい年齢(とし)なんだよ?それぞれ生きていかなきゃ…… 立花:夏生くんと結婚したいんでしょ。彼と出会ったことを後悔してるんじゃないでしょ?私をさ、勝手に二人のおじゃま虫みたいにするのはやめてよ。……おめでとうって、祝いたいよ 六花:立花ぁ。立花のこと、私、すごく大切に思ってる。大切に思ってるの…… 六花:でも、何か、やっぱりーー"ごめんね" 0:(間) 立花:(M)夏が彼女を攫って行く。どこかそれに安堵していた 0:(間) 立花:(M)あれから六花は便りを欠かさない。ことあるごとに丁寧なハガキをくれるが返事を出したことは一度もない。出してたまるか。ハガキに印刷された彼女はもうすっかりあか抜けていて、未来の社長夫人様が板に付いていた 立花:(M)「変わらず元気にしていますか」という毎回変わらない手書きの文字を笑い、私はどろどろになったイチゴ氷を飲み干した 0:(間) 立花:はいはい。こちらは相変わらず、情けなくやってますよーだ。私ね、ガキの頃からあんたのこと……キライだった 六花:(M)立花へ。変わらず元気にしていますか。こちらは元気にしています 立花:キラキラした目でこっちを見てくるのがウザかった。私の隣にいるフリをして、いつも高い位置にいるあんたにムカついてた 六花:(M)実は、立花に伝えたいことがあるの。実はこの度、子どもを授かりました。身内以外では誰よりも早く立花に知らせたくて…… 立花:あんたから離れたかった。あんたのいない場所であんたの知らない私になって、あんたのことなんか…… 六花:(M)立花があの時言ってくれたことを今、改めて実感しています。立花は立花。私は私。それぞれの人生、幸せがある。私、とても幸せです。立花は今、幸せですか? 立花:…… 0:(間) 立花:(M)涙が印刷された六花の笑顔を滲ませ、溶かしていく 0:立花の嗚咽と六花の笑い声が重なる 0:(了)

立花:(M)「リッカロッカ再結成だね!」と言って笑う彼女のいたずらな顔が真夏の日差しに溶けていったーー 0:(間) 立花:らっしゃせぇ 六花:あらヤダー、相変わらずやる気のない店員ですこと! 立花:はいはい。で、今日は何にするー?氷?アイスクリン?それともモナカ? 六花:うーん今日はねぇ…… 0:六花、立花の顔をじっと見つめた後、店内の冷凍庫からかき氷を二つ取る 六花:こ、れっ!イチゴ氷にするー! 立花:おっ、良いチョイス!さっ、食べよ! 0:(間) 立花:(M)本州から切り離された島。田舎も田舎なここが私の故郷だ。「島民は家族」なんて言っちゃうぐらいの少ない人口、小さな島で、退屈な時間がただただ流れる平凡な場所 立花:(M)こんな場所に生まれてしまったことを嘆いて、私はここを飛び出したことがある。三年、いや、二年とちょっと?それぐらい前の話だ。両親には当然反対されたが半ば家出の様に飛び出した。刺激が欲しかった。退屈ではない日々とけばけばしい都会(まち)に憧れたのだ。表向きの理由は 0:(間) 立花:あっつー……。ほーんと……なんもない、とこぉー…… 六花:またそれですかぁ?口癖になってません?確かに田舎だし、ちっちゃい島だけど。でも、私は嫌いじゃないよ。立花が戻って来てくれた時は、嬉しかった…… 立花:へへっ。あん時は父さん達にはまあ当然っちゃ当然だけど怒鳴られて、近所のジジババにも気まずそうにされてさあ。でも六花は「リッカロッカ再結成だね」って子どもの時みたいに笑うんだもんねー…… 六花:うん。凄く嬉しかったんだもん。本当だよ…… 0:立花、イチゴ氷の残りを豪快に飲み込んで 立花:……話、あるんだよね? 0:(間) 六花:……うん 立花:なあに? 0:(間) 六花:私、ナツと付き合ってるでしょ…… 立花:うん?なに、珍しい。もしかして夏生(ナツオ)君と喧嘩した?まあ、夏生君も都会からわざわざこんな島に来た変わり者っちゃ変わり者だし?どした、訳わからんことでもあった? 六花:ううん。そうじゃなくてさ…… 立花:ほう?あ、六花。それ、氷の残り食べないとどろどろになるよ? 六花:…… 0:六花、溶けかけたイチゴ氷を飲み込む 六花:ナツってさ水産会社の息子なのね。ここに来たのは漁業関係の研修みたいなものなの 立花:へぇ。そうだっけ。初めて聞いた気がする 六花:初めて……話すかな。うん、そうだね。立花には都会から来た人だよとしか言ってなかったかな 立花:まっ、六花の彼氏について私があれこれ聞くこともないし?で、その御曹司?がどしたー? 六花:……実はね、ナツの研修が、もう終わるの 立花:…… 0:沈黙する立花と六花 0:(間) 0:立花、やや早口気味に 立花:へえ。大変だね。それじゃあ遠距離恋愛になるんだ?それって大丈夫なの?いやさあ、元々都会の人間がこんなとこに満足してるとは思えないし?帰ったらそりゃ色んなもんに目移りするよね……って 立花:六花。何で、泣いてんの 六花:……立花。私ね 立花:うん 六花:ナツと結婚する 立花:…… 六花:だから来年、ここを出るの 立花:……うん 0:六花は静かに泣き続けている。立花、気まずさを払おうとするかの様に喋り出す 立花:ね、ねえ、何で泣くの。ちょっとぉ嬉し泣きには見えないんですけどー?めでたい、ことじゃん…… 六花:私たち、名前も似ていて双子みたいに育ったじゃない?だからさ、立花が何も言わずにここを出た時、私、正直裏切られたみたいに思っちゃってさ。悲しかったんだ。ずっと一緒にいたのにさぁ…… 立花:……はぁ?その話がどう繋がんのよ 六花:いいから聞いてよ。ずっと一緒に、変わらないまま、過ごしていくもんだと思ってたの。ここで二人でおばあさんズになるもんだと思ってたの…… 立花:うん…… 六花:でもそんなの、自分勝手な妄想だったって気付かされて、ショックで、悲しくて。……立花がさぁ、戻って来た時、私がどれだけ嬉しかったか。立花が思うよりもずっと、ずっと、ずっと……嬉しかったんだよ 六花:でも、私はナツと恋をしていたから。立花が戻って来る前に二人で島を出ていたら良かった何て、卑怯なことを最近思う様になって……。頭ぁ、ぐちゃぐちゃでさぁ 立花:……私がいつ戻るか何て分からないし、もしかしたら二度と戻らなかったかも知れないじゃない。エスパーじゃないんだから。ちょっと、考え過ぎだって……。あっ!マリッジブルーってやつじゃ(ないの) 六花:それでも!何だかショックだったの。私は立花とは双子のつもりだったから。双子って片割れって言うじゃない?その片割れを信じ切れなかったっていうかさ……。せっかく立花が戻って来たのに、今度は私が出ていくなんて…… 立花:六花…… 六花:じゃあナツとの結婚を取り止めれば良いって話になるけど、そんなこと出来なくて。結局、オトコなんだよなぁ……って。自分でも、上手く言えないんだけど…… 0:(間) 六花:(M)でも、何か、やっぱりーー"ごめんね" 立花:(M)彼女のことを見て来た。見れば見る程胸が痛み、恨んだ。だから私はその思いを都会の中に混ぜ込もうとしたのだ。混ぜて、混ぜて、いつか慌ただしい生活の中でそれが見えなくなってしまえば良いと思った 立花:(M)だけどそれは虚しいだけで。失くそうとしたものを凝り固まらせただけだった 0:(間) 立花:……変なことに悩んでんなよ 六花:だから、変なことじゃないって! 立花:変なことだよ。何?私と六花は双子みたいなもんだから?だから何よ。双子だって別の人間だっつーの。私は立花で、あんたは六花。全く違う。それに私達もういい年齢(とし)なんだよ?それぞれ生きていかなきゃ…… 立花:夏生くんと結婚したいんでしょ。彼と出会ったことを後悔してるんじゃないでしょ?私をさ、勝手に二人のおじゃま虫みたいにするのはやめてよ。……おめでとうって、祝いたいよ 六花:立花ぁ。立花のこと、私、すごく大切に思ってる。大切に思ってるの…… 六花:でも、何か、やっぱりーー"ごめんね" 0:(間) 立花:(M)夏が彼女を攫って行く。どこかそれに安堵していた 0:(間) 立花:(M)あれから六花は便りを欠かさない。ことあるごとに丁寧なハガキをくれるが返事を出したことは一度もない。出してたまるか。ハガキに印刷された彼女はもうすっかりあか抜けていて、未来の社長夫人様が板に付いていた 立花:(M)「変わらず元気にしていますか」という毎回変わらない手書きの文字を笑い、私はどろどろになったイチゴ氷を飲み干した 0:(間) 立花:はいはい。こちらは相変わらず、情けなくやってますよーだ。私ね、ガキの頃からあんたのこと……キライだった 六花:(M)立花へ。変わらず元気にしていますか。こちらは元気にしています 立花:キラキラした目でこっちを見てくるのがウザかった。私の隣にいるフリをして、いつも高い位置にいるあんたにムカついてた 六花:(M)実は、立花に伝えたいことがあるの。実はこの度、子どもを授かりました。身内以外では誰よりも早く立花に知らせたくて…… 立花:あんたから離れたかった。あんたのいない場所であんたの知らない私になって、あんたのことなんか…… 六花:(M)立花があの時言ってくれたことを今、改めて実感しています。立花は立花。私は私。それぞれの人生、幸せがある。私、とても幸せです。立花は今、幸せですか? 立花:…… 0:(間) 立花:(M)涙が印刷された六花の笑顔を滲ませ、溶かしていく 0:立花の嗚咽と六花の笑い声が重なる 0:(了)