台本概要

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タイトル 【ジェアル】名探偵は闇を暴く
作者名 アール/ドラゴス  (@Dragoss_R)
ジャンル ファンタジー
演者人数 5人用台本(男2、女1、不問2)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 気だるげな名探偵は推理する。
この街で起こる凶悪な殺人事件、その内容を。
魂の重さ。大昔の魔神招来。ホルスの眼。
その仮説が浮かび上がったとき、彼らが感じるものとは。

「これが僕の推理だ。…自分でも、外れてほしいと思うけどね。」


『歴史の旅人とジェアルの神々』Episode:4

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
アライブ 不問 40 自称「不可思議の調査団」団長。 ジェアルに辿り着いた旅人。
ジャック 45 「ホルス探偵事務所」の探偵。 いつも気だるげ。
ヴェール 不問 25 居酒屋「GOAL」(ゴール)の店長。 優しい性格の持ち主。
シーセン 31 「ジェアル守護騎士団」の騎士。 事故で妻と子供を失っている。
ロイワット 31 「ホルス探偵事務所」の助手。 少しおっちょこちょい。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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0:「ジェアル」の街が賑わう午後三時過ぎ。「ホルス探偵事務所」という看板を携えた大きな建物の前に立つ影。 : アライブ:ここで合ってる…よな。「ホルス探偵事務所」。“二人”って誰なんだろう?…まあ、とりあえず入ってみよう!すみませーん! : ロイワット:お待ちしてました。 : アライブ:わっ!? ロイワット:こんにちは。初めまして、不可思議の調査団の団長さん。 アライブ:は、はじめまして!あの、あなたが私を呼んだんですか? ロイワット:いえ、私はただの助手。先生は中でお待ちです。さあ、こちらへどうぞ。 : アライブ:凄い、綺麗な廊下だー! ロイワット:当然です、私がいつもきちんと掃除していますから。…先生の代わりに。 アライブ:えっ? ロイワット:こほん、なんでもありません。さ、ここが事務所です。どうぞお入りください。 : 0:大きな扉が開くと、そこは綺麗な大部屋。ソファに腰掛ける者が二人と、奥の特等席に佇む者が一人。 : アライブ:わぁ…!綺麗な棚に、綺麗な机!ちょっぴりゴージャスでロマンチックです…! ヴェール:アライブ君!五日ぶりくらいかな? シーセン:おお、来たか旅人。 アライブ:うぇ、ヴェールさんにシーセンさん!?まさか、あの手紙に書いてあった二人って、ヴェールさんとシーセンさんのことだったんですか!? ジャック:そうだ。 : 0:そして一番奥に座るオッドアイの男が口を開く。 : ジャック:初めまして…。手紙の差出人は僕だ、アライブ。 アライブ:えっと、もしかしてあなたが…? ジャック:ああ。この事務所で探偵をしている。ジャック・ガウディだ。 ロイワット:そして、私がその助手、ロイワット・ブルネレスキです。 アライブ:は、はじめまして!アライブですっ! ジャック:…さて、揃ったね。では、始めるとしようか…。 ロイワット:はい、先生。 ヴェール:…えーっと、何が始まるのかな?僕、ここについてからまだ何も説明を受けてないんだけど…。 シーセン:おや、店長は説明を受けてないのですか? アライブ:そういうシーセンさんは知ってるんですか?私も何もわからないままここに来たんですけど…。 シーセン:本当か…。探偵さん、さすがにそこは話したほうがよかったんじゃないか? ジャック:君たちをここに呼ぶ手紙は僕ではなく助手の担当だ。…君、確かに手紙は簡潔にとは言ったが、まさか要件すら端折(はしょ)ったんじゃないだろうな…。 ロイワット:…す、すみません先生!先生の助手ともあろうものが情けないことをっ…! ジャック:まあいいさ。今から説明すればいいし、それに君は整理や洗濯などの家事は完璧だが、事務仕事となると絶対に何かが一つ抜けるからね…。 ロイワット:本当にすみません、気をつけます…。 アライブ:あはは、なんだか愉快な方々ですね。 ヴェール:本当だね。前評判では結構厳格な人たちなのかなって思ってたけど。 シーセン:私もです。まさかこんな明るい方々だとは…。 ロイワット:なっ、それは失礼です!この方は世界で(一番の名探偵なのですよ) ジャック:(被せて)助手。話がそれすぎているよ…。 ロイワット:あぁ、もう私ったら…!少し黙っておきます…! ジャック:申し訳ないがその方が助かるね…。さて、それでは本題に入るとしよう。 アライブ:め、名探偵さんがわざわざ私たちを呼びつけるだなんて…、私、何かしちゃったんでしょうかっ…! ヴェール:いや、多分違うだろうさ。きっとそんな小さな事じゃあない…。 ジャック:今回君たちを呼んだのは、今ジェアルで起こっている「連続怪死事件」についてこちらでわかったことがあるためだ…。 アライブ:れ、連続怪死事件って、もしかして…! シーセン:ああ。前に「Clown」(クラウン)で話した、あの事件だ。 ジャック:…ふむ。では騎士の人。君が一番理解している、すまないがおさらいしてくれるかな。 シーセン:承知した。では、僭越(せんえつ)ながら。 : シーセン:「ジェアル連続怪死事件」。それは、一か月ほど前からこのジェアル近郊で起きるようになった連続殺人事件だ。 : シーセン:犯行が起こるのは午前0時から午前5時の間まで。最初は三日に一回のペースで犠牲者が出ていたんだが、最近は段々とペースが速くなっている。 : シーセン:室内での犯行はなし。その時間帯に外に出ている人が襲われるらしい。…そしてこの事件の最大の特徴は、被害者には一切外傷も魔力の痕跡もない。わかりやすく言えば、死因不明ってことだ。 : シーセン:何とか足取りを掴もうと騎士団でも色々調べたんだが何も得られず…。そこでこちらの名探偵、ジャック先生に依頼し、今日はわかったことがあるということで事件を知っている俺たちが招集されたらしい。 : ジャック:分かりやすい説明をありがとう、騎士の人…。…君も見習いたまえよ、助手。 ロイワット:は、はいっ! ヴェール:…しかし、わかったことがあるならキーラも呼ぶべきだったんじゃないか? アライブ:あ、確かに!というか私なんかよりキーラさんを呼んだ方がよかったんじゃ…? ジャック:心配はご無用、彼女にはもう話してある…。たまたま事件の調査中に出会ってね。だから安心してくれたまえ…。 ロイワット:先生は抜け目ないのですよ! ジャック:ガヤは不要だ、助手…。まあいい、ではここからが本題、こちらの調査で分かったことだ。きちんと聞いていてくれたまえ…。では、助手。アレを。 ロイワット:はい、先生! : 0:そう言ってロイワットは図を手に取り、三人に分かりやすいように見せる。 : シーセン:…なんだ、そのグラフは。…体重? アライブ:おお、なんだか論理的です! ヴェール:……。 ジャック:順を追って説明しよう。…まず、この事件はとてもイレギュラーだ。被害者に外傷はおろか魔力の痕跡すらないなんて前代未聞。果たして犯人はどれだけ破天荒なのか…。まあそれはいいんだ。 ジャック:そこで僕は、まずは被害者の遺体を完膚なきまでに調べることにした。勿論いい気分はしなかったがね…。そしてその結果、一つだけ面白い発見をすることができた。 アライブ:面白い? ジャック:ああ。では、それを説明する前に…。君たちは、“魂の重さ”という都市伝説をご存知かな…? シーセン:魂の重さ…? アライブ:あぁー!知ってます知ってます!確か人間は亡くなるとその瞬間体重が21グラム軽くなるから、魂には重さがあって、その値は21グラムであるって説ですよね! ジャック:素晴らしい回答だ。流石は調査団の団長、見聞(けんぶん)を深めているね。 シーセン:しかし、それがこの件と何の関係が…? ジャック:いい質問だ。…この魂の重さ、というものは今まで諸説あった。死に至ったとき、人間の体の中で何らかの化学反応が起こり、その結果体重が減る説などなど、だね…。 ロイワット:さて、それではこの話を踏まえたうえで被害者に起こっている共通点をグラフと合わせてご覧ください!このグラフは、死亡前の体重と死亡後の体重を比較したものです。 ヴェール:…まさか、21グラム…? ジャック:その通り。被害者は全員、死亡前と死亡後で体重がきっかり21グラム減っている…。 ジャック:そして再三(さいさん)言うが、被害者には外傷や魔力の痕跡なんてないし、“身体も生きている”んだ。 シーセン:身体が生きているのに21グラム減っていて、その人物は死んでいる…? アライブ:と、いうことは…、まさか!? ロイワット:さて、推測は終わりましたか?それでは答え合わせと参りましょう!お願いします先生! ジャック:うん…。この事実、証拠からは一つの仮説が浮かび上がる。それは、 ジャック:「人間の魂の重さは本当に21グラムであり、犯人は被害者の身体から魂だけを抜き取っている。」 ヴェール:……。 アライブ:た、魂だけを…? ジャック:あぁ、言うなればこれはそう…。“魂の殺人”だ。 シーセン:そ、そんなことが可能なのか…!? ロイワット:それはわかりません。これはあくまでも仮説です。そして、その仮説を裏付ける証拠がもう一つあるのです。 シーセン:なんだって!? ジャック:…アライブ、ヴェール。君たちならもう思い至ったんじゃないか?この事件の“犯人候補”が。 アライブ:い、いや…。そんな、ありえません……。まさか…、そんなまさか! ジャック:ありえざることでも口に出すことは重要だ、アライブ。それによって推理は深まるのだから。 ヴェール:…「アシュタレト」、だね。 シーセン:えっ…!?それって…! ロイワット:はい。この地に伝わる物語、「魔神殺しの英雄譚」に登場する災厄を呼び寄せた悪魔の名です。 アライブ:さ、作中で悪魔アシュタレトは…。何らかの方法で災厄の魔神「ラムナトス」を蘇らせたのですが、どうやって蘇らせたのかは明らかになっていないんです。でも……。まさか、そんな! シーセン:でもまさか…?なんなんだ!? ヴェール:…アシュタレトがラムナトスを蘇らせた方法として最も有力な説は、“人間の魂をいけにえにした”、なんだ。 シーセン:えっ…? ヴェール:ラムナトスのことが語られている別の物語では、ラムナトスは人の魂を喰ってその生命の糧(かて)としていたという描写がある。 ヴェール:…だから、封印されたラムナトスを蘇らせる方法として最も可能性があるのは。 アライブ:何百もの人の魂をアシュタレトがかき集め、魔神にささげた……。 シーセン:ま、待ってくれ。つまり、それって…。 ロイワット:…では、シーセンさんも混乱していますし、今までの話を全てひっくるめ、整理致しましょうか。もう少しだけお付き合いください。 ロイワット:まず、仮説として、“ジェアル連続怪死事件で被害者は魂を抜き取られて死亡している。”そして、 ロイワット:神話の仮説として、“悪魔は魔神を再臨させるために何百もの人の魂を捧げていた。”というものがある。…この二つを繋げてみればもう、おわかりですよね。 シーセン:ば、馬鹿なことをっ!そんなこと、あるわけがないっ…!もし、あったとしたなら…ッ!! ジャック:だから言っているだろう。これはあくまで“仮説”。確定したわけじゃない。…では、改めて僕の推理を述べさせてもらおう。 : ジャック:“この連続怪死事件の犯人はいにしえの悪魔“アシュタレト”。そして、悪魔は今再び魔神を再臨させ、世界を混沌に陥れようと交錯している。” : シーセン:ふざけないでくれ!そんなこと、あってたまるか!第一、悪魔は“魔神殺しの英雄”と神々によって滅んだはずだッ!! ヴェール:それでも、ないとは絶対に言いきれない。…なぜなら、辻褄が合いすぎている。あまりにも飛躍した推理、考察である、とは僕も思うけどね…。 アライブ:…また、あの魔神が……。そんな恐ろしいこと、考えたくないです……っ。 ジャック:いいかい君たち。何度も言うようだが、これはただの“仮説”。僕の推理にすぎない。鵜呑(うの)みにするのも、信じすぎないのも愚行だ。 ジャック:この世界に絶対に起こりえないことはない。…実際、一切足取りがつかめないのも、あの我々の能力をはるかに上回る悪魔であるというのならば一応は説明がついてしまう。 ロイワット:この線も考えつつ、もし、本当に“災厄の事態”になっても心得があるように動く。それが今、我々にできることです。 シーセン:っ……。 ヴェール:…その推理が外れていることを願っているよ。 ジャック:ああ…。この仮説を組み立てた僕でさえそう思う。…早く犯人が捕まって、僕の仮説が飛躍しすぎた空想であることを証明してくれるのを祈っていよう。 アライブ:…それにしてもジャックさん。被害者の方の死亡する直前の体重の情報なんて、いったいどこで入手したんです? ジャック:あぁ、それは簡単なことだ。…僕には、“ホルスの眼”があるんだよ。 アライブ:ホルスの、眼…? ヴェール:…ああ、なるほど。どおりで。探偵さんのその右目、義眼だね。そしてそれも高濃度の魔力で形作られた“レリック”だ。 アライブ:れ、レリックってあれですよね!一人に一つ与えられるって言う魔法の道具…! ヴェール:ああ。キーラならあのマスケット銃、シーセンなら腰にかけてるレイピアだね。…しかし、まさか義眼がレリックとは。どういう経緯だい? ジャック:…とある町で途方に暮れていた、とある方に助けられたことがあってね。これはその時その方からもらったものだよ…。 シーセン:あの、方…? ジャック:…助手。 ロイワット:はい、説明しますね。先生はとある町で盗賊団に襲われたことがあるんです。その時に右眼を奪われてしまったらしく、お金も奪われた先生はそのあとずっと隻眼で過ごしていたらしいんですが。 ロイワット:ある時、名も知らない旅人からこの義眼を渡され、いざ眼にはめてみればそれは先生のレリックとなっていて、超高性能の情報分析能力を得たんです! アライブ:超高性能の…。 ヴェール:情報分析能力…。 ジャック:じゃあわかりやすく披露しよう。ま…アライブ。君はさっき「魔神殺しの英雄譚」の名前を出した時、少し動揺したね。 アライブ:えっ!? ジャック:それはなぜか、ずばり……。ん…?おかしい、理由が開示できない…?おかしいね、普通であれば強い感情や物に残った痕跡まで完璧に把握できるというのに…。 ロイワット:あら、故障ですかね? ジャック:…さあね。しかし、壊れたとしてもこの“ホルスの眼”の動力は僕の魔力だし、直すことはきっとあの方しかできないだろうさ…。 ヴェール:へぇ、今回は不発だったけど、凄いんだねぇ、その義眼レリック。 ジャック:ああ。この眼と培った洞察力と推理力、そしてこの街の住民の情報提供によって僕は事件を迅速に解決することができる…。 シーセン:街のみんなの協力もあるんでしょうが、本当に凄いな…。流石名探偵さんだ。 アライブ:なんだかジャックさんのその眼、伝説に聞く「千里眼」みたいで凄いですね!! ジャック:千里眼、か…。ふふ、確かにそうかもしれないね。 : 0: : ロイワット:それでは、今回お話したかったことは以上となります。皆様、お集まりいただきありがとうございました。気を付けておかえりください。 ヴェール:あぁ、ありがとうお二人さん。…これで僕も、もしもの時に備える余裕を持てる。 シーセン:そうですね。守護騎士団はこれまでよりもいっそう警備を強めます。 アライブ:私も少しでも力になれるように頑張るぞぉー!それでは、失礼します! ジャック:…いや、待て。 アライブ:へ? ジャック:先ほどの“ホルスの眼”で見れなかったアライブが動揺した理由が解明できないまま解散、というのは目の前の謎を解き明かさずに放置することと同じ…。僕の気に食わない。 ロイワット:ありゃりゃ…。こりゃ先生のスイッチが入っちゃいましたね……。 ジャック:全員残るんだ。解散はアライブの謎を解き明かしてからとする…。 アライブ:え、えぇぇー!? ヴェール:ふふふ、目の前の謎に一直線なんだね、名探偵さん。 シーセン:…気だるげな態度かと思ったらこれだから、熱意があるんだかないんだかわかりませんね。 ロイワット:失礼な!先生はいつも熱心に仕事に取り組まれています!先生は少しやる気がなくてズボラで気難しいだけです! アライブ:仕事熱心とは!? ジャック:…ふむ、なるほど。考えられる可能性としては一番近いが…。これではアンサーがシンプル過ぎる…。…いや、初歩的なところに答えは眠るもの、か。ハハ、待たせたね諸君。推理の披露と行こうじゃないか。 シーセン:言うほど待っていないが…。 ジャック:…アライブ、君には誰にも言えないとある願望がある。違うかな? アライブ:っ…。 ジャック:「魔神殺しの英雄譚」に登場する魔神を打ち倒した英雄は、今も世界のどこかに生き続けており、世界を旅しながら苦しむ者の願いを叶えている、とされている。 ジャック:君は今なにかに悩んでおり、その英雄の願いを叶える力を欲している…。これが僕の考察だ。裏表のないシンプルなアンサーとなったが、クエスチョンに対して証拠が少なすぎたのでね。いかがかな。 アライブ:…あ、はは。本当に凄いんですね、名探偵さん。 ヴェール:え。君、本当に悩み事があるのかい!? アライブ:…まあ、少し、ですけどね! シーセン:…凄い。まるで手品だ。 ロイワット:流石先生、こんな少ない情報からよく一発で当ててみせましたっ! ジャック:これくらいはすんなりとこなしてみせないと、僕を頼ってくれている街の人たちに申し訳がないからね。…ふぅ、満足だ。引き留めてすまなかったね、君たち。 アライブ:いえ、とんでもない!当てられてドキッとしちゃいました!! ヴェール:いやあ、これからは僕も面倒ごとがあったら頼らせてもらうよ、探偵さん! ロイワット:ちょっと、先生はご多忙なんです!何でも屋じゃないんですよ!? ヴェール:あはは、ごめんごめん。 シーセン:それでは、申し訳ありませんが引き続き調査を宜しくお願いします、先生。 ジャック:ああ。一刻も早く食い止めるため、死力を尽くさせていただくよ。 ヴェール:あ、そうだ。話は変わるけどアライブ君、もうすぐこの街でお祭りが始まることは知っているかい? シーセン:おお、「カロル祭」ですか。 アライブ:カロル祭っ!! ヴェール:そうとも。街全体が綺麗に色づけられ、住民も旅人もどんちゃん騒ぎの楽しいお祭りさ!事件もあるから0時を回る前には切り上げるだろうけどね。 アライブ:おぉー…!!ぜひ参加してまわりたいです、カロル祭! ヴェール:ありがとう。始まるのは二週間後だ。いっぱい騒げるように体調を整えておくんだよ? アライブ:はいっ!! ジャック:…はぁ。いいなあ、楽しそうで暇そうで…。 ロイワット:仕方ないじゃないですか。先生も大事なカロル祭までには犯人を捕まえたいでしょう? ジャック:ああ。…そのためにも。頼んだよ、助手。 ロイワット:勿論です。 ジャック:計画の実行は三日後の夜…。今回だけはヘマは許されない。慎重に行きたまえよ…? ロイワット:勿論です、先生。アタリは「支配人」、「大喰らい」、「旅芸人」、そして「旅人」。…それでは。 : ロイワット:その日まできちんと“計画”を練るとしましょうか、先生。 : 0:To be continued.

0:「ジェアル」の街が賑わう午後三時過ぎ。「ホルス探偵事務所」という看板を携えた大きな建物の前に立つ影。 : アライブ:ここで合ってる…よな。「ホルス探偵事務所」。“二人”って誰なんだろう?…まあ、とりあえず入ってみよう!すみませーん! : ロイワット:お待ちしてました。 : アライブ:わっ!? ロイワット:こんにちは。初めまして、不可思議の調査団の団長さん。 アライブ:は、はじめまして!あの、あなたが私を呼んだんですか? ロイワット:いえ、私はただの助手。先生は中でお待ちです。さあ、こちらへどうぞ。 : アライブ:凄い、綺麗な廊下だー! ロイワット:当然です、私がいつもきちんと掃除していますから。…先生の代わりに。 アライブ:えっ? ロイワット:こほん、なんでもありません。さ、ここが事務所です。どうぞお入りください。 : 0:大きな扉が開くと、そこは綺麗な大部屋。ソファに腰掛ける者が二人と、奥の特等席に佇む者が一人。 : アライブ:わぁ…!綺麗な棚に、綺麗な机!ちょっぴりゴージャスでロマンチックです…! ヴェール:アライブ君!五日ぶりくらいかな? シーセン:おお、来たか旅人。 アライブ:うぇ、ヴェールさんにシーセンさん!?まさか、あの手紙に書いてあった二人って、ヴェールさんとシーセンさんのことだったんですか!? ジャック:そうだ。 : 0:そして一番奥に座るオッドアイの男が口を開く。 : ジャック:初めまして…。手紙の差出人は僕だ、アライブ。 アライブ:えっと、もしかしてあなたが…? ジャック:ああ。この事務所で探偵をしている。ジャック・ガウディだ。 ロイワット:そして、私がその助手、ロイワット・ブルネレスキです。 アライブ:は、はじめまして!アライブですっ! ジャック:…さて、揃ったね。では、始めるとしようか…。 ロイワット:はい、先生。 ヴェール:…えーっと、何が始まるのかな?僕、ここについてからまだ何も説明を受けてないんだけど…。 シーセン:おや、店長は説明を受けてないのですか? アライブ:そういうシーセンさんは知ってるんですか?私も何もわからないままここに来たんですけど…。 シーセン:本当か…。探偵さん、さすがにそこは話したほうがよかったんじゃないか? ジャック:君たちをここに呼ぶ手紙は僕ではなく助手の担当だ。…君、確かに手紙は簡潔にとは言ったが、まさか要件すら端折(はしょ)ったんじゃないだろうな…。 ロイワット:…す、すみません先生!先生の助手ともあろうものが情けないことをっ…! ジャック:まあいいさ。今から説明すればいいし、それに君は整理や洗濯などの家事は完璧だが、事務仕事となると絶対に何かが一つ抜けるからね…。 ロイワット:本当にすみません、気をつけます…。 アライブ:あはは、なんだか愉快な方々ですね。 ヴェール:本当だね。前評判では結構厳格な人たちなのかなって思ってたけど。 シーセン:私もです。まさかこんな明るい方々だとは…。 ロイワット:なっ、それは失礼です!この方は世界で(一番の名探偵なのですよ) ジャック:(被せて)助手。話がそれすぎているよ…。 ロイワット:あぁ、もう私ったら…!少し黙っておきます…! ジャック:申し訳ないがその方が助かるね…。さて、それでは本題に入るとしよう。 アライブ:め、名探偵さんがわざわざ私たちを呼びつけるだなんて…、私、何かしちゃったんでしょうかっ…! ヴェール:いや、多分違うだろうさ。きっとそんな小さな事じゃあない…。 ジャック:今回君たちを呼んだのは、今ジェアルで起こっている「連続怪死事件」についてこちらでわかったことがあるためだ…。 アライブ:れ、連続怪死事件って、もしかして…! シーセン:ああ。前に「Clown」(クラウン)で話した、あの事件だ。 ジャック:…ふむ。では騎士の人。君が一番理解している、すまないがおさらいしてくれるかな。 シーセン:承知した。では、僭越(せんえつ)ながら。 : シーセン:「ジェアル連続怪死事件」。それは、一か月ほど前からこのジェアル近郊で起きるようになった連続殺人事件だ。 : シーセン:犯行が起こるのは午前0時から午前5時の間まで。最初は三日に一回のペースで犠牲者が出ていたんだが、最近は段々とペースが速くなっている。 : シーセン:室内での犯行はなし。その時間帯に外に出ている人が襲われるらしい。…そしてこの事件の最大の特徴は、被害者には一切外傷も魔力の痕跡もない。わかりやすく言えば、死因不明ってことだ。 : シーセン:何とか足取りを掴もうと騎士団でも色々調べたんだが何も得られず…。そこでこちらの名探偵、ジャック先生に依頼し、今日はわかったことがあるということで事件を知っている俺たちが招集されたらしい。 : ジャック:分かりやすい説明をありがとう、騎士の人…。…君も見習いたまえよ、助手。 ロイワット:は、はいっ! ヴェール:…しかし、わかったことがあるならキーラも呼ぶべきだったんじゃないか? アライブ:あ、確かに!というか私なんかよりキーラさんを呼んだ方がよかったんじゃ…? ジャック:心配はご無用、彼女にはもう話してある…。たまたま事件の調査中に出会ってね。だから安心してくれたまえ…。 ロイワット:先生は抜け目ないのですよ! ジャック:ガヤは不要だ、助手…。まあいい、ではここからが本題、こちらの調査で分かったことだ。きちんと聞いていてくれたまえ…。では、助手。アレを。 ロイワット:はい、先生! : 0:そう言ってロイワットは図を手に取り、三人に分かりやすいように見せる。 : シーセン:…なんだ、そのグラフは。…体重? アライブ:おお、なんだか論理的です! ヴェール:……。 ジャック:順を追って説明しよう。…まず、この事件はとてもイレギュラーだ。被害者に外傷はおろか魔力の痕跡すらないなんて前代未聞。果たして犯人はどれだけ破天荒なのか…。まあそれはいいんだ。 ジャック:そこで僕は、まずは被害者の遺体を完膚なきまでに調べることにした。勿論いい気分はしなかったがね…。そしてその結果、一つだけ面白い発見をすることができた。 アライブ:面白い? ジャック:ああ。では、それを説明する前に…。君たちは、“魂の重さ”という都市伝説をご存知かな…? シーセン:魂の重さ…? アライブ:あぁー!知ってます知ってます!確か人間は亡くなるとその瞬間体重が21グラム軽くなるから、魂には重さがあって、その値は21グラムであるって説ですよね! ジャック:素晴らしい回答だ。流石は調査団の団長、見聞(けんぶん)を深めているね。 シーセン:しかし、それがこの件と何の関係が…? ジャック:いい質問だ。…この魂の重さ、というものは今まで諸説あった。死に至ったとき、人間の体の中で何らかの化学反応が起こり、その結果体重が減る説などなど、だね…。 ロイワット:さて、それではこの話を踏まえたうえで被害者に起こっている共通点をグラフと合わせてご覧ください!このグラフは、死亡前の体重と死亡後の体重を比較したものです。 ヴェール:…まさか、21グラム…? ジャック:その通り。被害者は全員、死亡前と死亡後で体重がきっかり21グラム減っている…。 ジャック:そして再三(さいさん)言うが、被害者には外傷や魔力の痕跡なんてないし、“身体も生きている”んだ。 シーセン:身体が生きているのに21グラム減っていて、その人物は死んでいる…? アライブ:と、いうことは…、まさか!? ロイワット:さて、推測は終わりましたか?それでは答え合わせと参りましょう!お願いします先生! ジャック:うん…。この事実、証拠からは一つの仮説が浮かび上がる。それは、 ジャック:「人間の魂の重さは本当に21グラムであり、犯人は被害者の身体から魂だけを抜き取っている。」 ヴェール:……。 アライブ:た、魂だけを…? ジャック:あぁ、言うなればこれはそう…。“魂の殺人”だ。 シーセン:そ、そんなことが可能なのか…!? ロイワット:それはわかりません。これはあくまでも仮説です。そして、その仮説を裏付ける証拠がもう一つあるのです。 シーセン:なんだって!? ジャック:…アライブ、ヴェール。君たちならもう思い至ったんじゃないか?この事件の“犯人候補”が。 アライブ:い、いや…。そんな、ありえません……。まさか…、そんなまさか! ジャック:ありえざることでも口に出すことは重要だ、アライブ。それによって推理は深まるのだから。 ヴェール:…「アシュタレト」、だね。 シーセン:えっ…!?それって…! ロイワット:はい。この地に伝わる物語、「魔神殺しの英雄譚」に登場する災厄を呼び寄せた悪魔の名です。 アライブ:さ、作中で悪魔アシュタレトは…。何らかの方法で災厄の魔神「ラムナトス」を蘇らせたのですが、どうやって蘇らせたのかは明らかになっていないんです。でも……。まさか、そんな! シーセン:でもまさか…?なんなんだ!? ヴェール:…アシュタレトがラムナトスを蘇らせた方法として最も有力な説は、“人間の魂をいけにえにした”、なんだ。 シーセン:えっ…? ヴェール:ラムナトスのことが語られている別の物語では、ラムナトスは人の魂を喰ってその生命の糧(かて)としていたという描写がある。 ヴェール:…だから、封印されたラムナトスを蘇らせる方法として最も可能性があるのは。 アライブ:何百もの人の魂をアシュタレトがかき集め、魔神にささげた……。 シーセン:ま、待ってくれ。つまり、それって…。 ロイワット:…では、シーセンさんも混乱していますし、今までの話を全てひっくるめ、整理致しましょうか。もう少しだけお付き合いください。 ロイワット:まず、仮説として、“ジェアル連続怪死事件で被害者は魂を抜き取られて死亡している。”そして、 ロイワット:神話の仮説として、“悪魔は魔神を再臨させるために何百もの人の魂を捧げていた。”というものがある。…この二つを繋げてみればもう、おわかりですよね。 シーセン:ば、馬鹿なことをっ!そんなこと、あるわけがないっ…!もし、あったとしたなら…ッ!! ジャック:だから言っているだろう。これはあくまで“仮説”。確定したわけじゃない。…では、改めて僕の推理を述べさせてもらおう。 : ジャック:“この連続怪死事件の犯人はいにしえの悪魔“アシュタレト”。そして、悪魔は今再び魔神を再臨させ、世界を混沌に陥れようと交錯している。” : シーセン:ふざけないでくれ!そんなこと、あってたまるか!第一、悪魔は“魔神殺しの英雄”と神々によって滅んだはずだッ!! ヴェール:それでも、ないとは絶対に言いきれない。…なぜなら、辻褄が合いすぎている。あまりにも飛躍した推理、考察である、とは僕も思うけどね…。 アライブ:…また、あの魔神が……。そんな恐ろしいこと、考えたくないです……っ。 ジャック:いいかい君たち。何度も言うようだが、これはただの“仮説”。僕の推理にすぎない。鵜呑(うの)みにするのも、信じすぎないのも愚行だ。 ジャック:この世界に絶対に起こりえないことはない。…実際、一切足取りがつかめないのも、あの我々の能力をはるかに上回る悪魔であるというのならば一応は説明がついてしまう。 ロイワット:この線も考えつつ、もし、本当に“災厄の事態”になっても心得があるように動く。それが今、我々にできることです。 シーセン:っ……。 ヴェール:…その推理が外れていることを願っているよ。 ジャック:ああ…。この仮説を組み立てた僕でさえそう思う。…早く犯人が捕まって、僕の仮説が飛躍しすぎた空想であることを証明してくれるのを祈っていよう。 アライブ:…それにしてもジャックさん。被害者の方の死亡する直前の体重の情報なんて、いったいどこで入手したんです? ジャック:あぁ、それは簡単なことだ。…僕には、“ホルスの眼”があるんだよ。 アライブ:ホルスの、眼…? ヴェール:…ああ、なるほど。どおりで。探偵さんのその右目、義眼だね。そしてそれも高濃度の魔力で形作られた“レリック”だ。 アライブ:れ、レリックってあれですよね!一人に一つ与えられるって言う魔法の道具…! ヴェール:ああ。キーラならあのマスケット銃、シーセンなら腰にかけてるレイピアだね。…しかし、まさか義眼がレリックとは。どういう経緯だい? ジャック:…とある町で途方に暮れていた、とある方に助けられたことがあってね。これはその時その方からもらったものだよ…。 シーセン:あの、方…? ジャック:…助手。 ロイワット:はい、説明しますね。先生はとある町で盗賊団に襲われたことがあるんです。その時に右眼を奪われてしまったらしく、お金も奪われた先生はそのあとずっと隻眼で過ごしていたらしいんですが。 ロイワット:ある時、名も知らない旅人からこの義眼を渡され、いざ眼にはめてみればそれは先生のレリックとなっていて、超高性能の情報分析能力を得たんです! アライブ:超高性能の…。 ヴェール:情報分析能力…。 ジャック:じゃあわかりやすく披露しよう。ま…アライブ。君はさっき「魔神殺しの英雄譚」の名前を出した時、少し動揺したね。 アライブ:えっ!? ジャック:それはなぜか、ずばり……。ん…?おかしい、理由が開示できない…?おかしいね、普通であれば強い感情や物に残った痕跡まで完璧に把握できるというのに…。 ロイワット:あら、故障ですかね? ジャック:…さあね。しかし、壊れたとしてもこの“ホルスの眼”の動力は僕の魔力だし、直すことはきっとあの方しかできないだろうさ…。 ヴェール:へぇ、今回は不発だったけど、凄いんだねぇ、その義眼レリック。 ジャック:ああ。この眼と培った洞察力と推理力、そしてこの街の住民の情報提供によって僕は事件を迅速に解決することができる…。 シーセン:街のみんなの協力もあるんでしょうが、本当に凄いな…。流石名探偵さんだ。 アライブ:なんだかジャックさんのその眼、伝説に聞く「千里眼」みたいで凄いですね!! ジャック:千里眼、か…。ふふ、確かにそうかもしれないね。 : 0: : ロイワット:それでは、今回お話したかったことは以上となります。皆様、お集まりいただきありがとうございました。気を付けておかえりください。 ヴェール:あぁ、ありがとうお二人さん。…これで僕も、もしもの時に備える余裕を持てる。 シーセン:そうですね。守護騎士団はこれまでよりもいっそう警備を強めます。 アライブ:私も少しでも力になれるように頑張るぞぉー!それでは、失礼します! ジャック:…いや、待て。 アライブ:へ? ジャック:先ほどの“ホルスの眼”で見れなかったアライブが動揺した理由が解明できないまま解散、というのは目の前の謎を解き明かさずに放置することと同じ…。僕の気に食わない。 ロイワット:ありゃりゃ…。こりゃ先生のスイッチが入っちゃいましたね……。 ジャック:全員残るんだ。解散はアライブの謎を解き明かしてからとする…。 アライブ:え、えぇぇー!? ヴェール:ふふふ、目の前の謎に一直線なんだね、名探偵さん。 シーセン:…気だるげな態度かと思ったらこれだから、熱意があるんだかないんだかわかりませんね。 ロイワット:失礼な!先生はいつも熱心に仕事に取り組まれています!先生は少しやる気がなくてズボラで気難しいだけです! アライブ:仕事熱心とは!? ジャック:…ふむ、なるほど。考えられる可能性としては一番近いが…。これではアンサーがシンプル過ぎる…。…いや、初歩的なところに答えは眠るもの、か。ハハ、待たせたね諸君。推理の披露と行こうじゃないか。 シーセン:言うほど待っていないが…。 ジャック:…アライブ、君には誰にも言えないとある願望がある。違うかな? アライブ:っ…。 ジャック:「魔神殺しの英雄譚」に登場する魔神を打ち倒した英雄は、今も世界のどこかに生き続けており、世界を旅しながら苦しむ者の願いを叶えている、とされている。 ジャック:君は今なにかに悩んでおり、その英雄の願いを叶える力を欲している…。これが僕の考察だ。裏表のないシンプルなアンサーとなったが、クエスチョンに対して証拠が少なすぎたのでね。いかがかな。 アライブ:…あ、はは。本当に凄いんですね、名探偵さん。 ヴェール:え。君、本当に悩み事があるのかい!? アライブ:…まあ、少し、ですけどね! シーセン:…凄い。まるで手品だ。 ロイワット:流石先生、こんな少ない情報からよく一発で当ててみせましたっ! ジャック:これくらいはすんなりとこなしてみせないと、僕を頼ってくれている街の人たちに申し訳がないからね。…ふぅ、満足だ。引き留めてすまなかったね、君たち。 アライブ:いえ、とんでもない!当てられてドキッとしちゃいました!! ヴェール:いやあ、これからは僕も面倒ごとがあったら頼らせてもらうよ、探偵さん! ロイワット:ちょっと、先生はご多忙なんです!何でも屋じゃないんですよ!? ヴェール:あはは、ごめんごめん。 シーセン:それでは、申し訳ありませんが引き続き調査を宜しくお願いします、先生。 ジャック:ああ。一刻も早く食い止めるため、死力を尽くさせていただくよ。 ヴェール:あ、そうだ。話は変わるけどアライブ君、もうすぐこの街でお祭りが始まることは知っているかい? シーセン:おお、「カロル祭」ですか。 アライブ:カロル祭っ!! ヴェール:そうとも。街全体が綺麗に色づけられ、住民も旅人もどんちゃん騒ぎの楽しいお祭りさ!事件もあるから0時を回る前には切り上げるだろうけどね。 アライブ:おぉー…!!ぜひ参加してまわりたいです、カロル祭! ヴェール:ありがとう。始まるのは二週間後だ。いっぱい騒げるように体調を整えておくんだよ? アライブ:はいっ!! ジャック:…はぁ。いいなあ、楽しそうで暇そうで…。 ロイワット:仕方ないじゃないですか。先生も大事なカロル祭までには犯人を捕まえたいでしょう? ジャック:ああ。…そのためにも。頼んだよ、助手。 ロイワット:勿論です。 ジャック:計画の実行は三日後の夜…。今回だけはヘマは許されない。慎重に行きたまえよ…? ロイワット:勿論です、先生。アタリは「支配人」、「大喰らい」、「旅芸人」、そして「旅人」。…それでは。 : ロイワット:その日まできちんと“計画”を練るとしましょうか、先生。 : 0:To be continued.