台本概要
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タイトル | 山ノ怪 |
---|---|
作者名 | ケンタ (@kenta_geki) |
ジャンル | ホラー |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) ※兼役あり |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
明治初期 冬の山奥の村のお話 ボイコネに投稿した初投稿作品です ※有料配信含むどこでお使いいただいても大丈夫です ※上演連絡頂けたらとても喜びます ※著作権は手放していません。自作発言、転載、改変等はおやめください。常識の範囲内でご使用ください ※役の性別は固定です。中の人の性別は問いません。多少の語尾変、一人称の変化ご自由にどうぞ 226 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ギン | 男 | 6 | 村人総出の山姥狩りの最中瀕死の山姥を発見した子供 |
ヨシ | 女 | 16 | たびたび村人を襲う山姥 |
アキ | 男 | 7 | ヨシの子供 (ギン役の方兼ね) |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:邂逅
ギンN:夕陽が落ちてあたりは闇に包まれはじめたころ
ギンN:山あいの木々のなか遠くにぽつぽつと松明の灯りがみえる
ギンN:村の人間が総出で、この近辺に出没する山姥を狩るために、大規模な山狩をおこなっている
ギンN:この村では山姥に狩猟中の猟師や、麓の町に買い付けにいく行商人がたびたび襲われていた。
ギンN:ある日村の集会で山姥狩りが決まり、昼から動ける村人総出で山に入った。
ギンN:日が大分西に傾きかけたころ、猟師の一人が山姥に怪我をおわせたが、惜しくも逃げられたとの報が集会所に届いた。
ギンN:村長からの通達で、今日のうちに決着をつけるべしと、こうして日が落ちた今の刻限も村人達は松明を片手に山の中をさがしまわっている
ギンN:大人たちが恐ろしい形相で、必死に手負いの山姥を追って山中を探し回っている中
ギンN:ギンの目の前に、額から角のはえた大柄で異形の女が血みどろで木の縁によりかかっている。
ヨシ:「・・・ぜぇ・・・・・ぜぇ・・」
ギン:「み・・みつけた!!」
ヨシ:「・・あぁ・・あぁ・・お前が・・迎えにきてくれたんだねぇ」
ヨシ:「死ぬ前にお前の顔がみれるなんて・・」
ギン:「なにいってんだ!!お前なんかしらない!!」
ヨシ:「・・なんだい・・お迎えじゃないのかい」
ヨシ:「(呟くように)あの子に瓜ふたつだ・・最後に命をとりにくるのが、あの子そっくりの村の子供とは・・これも呪いかね」
ギン:「お・・お前は・・隣のゴロウおじさんの仇だ!!やっつけてやる!!」
ヨシ:「ゴロウ?・・・あぁあの男か・・」
ヨシ:「あいつは喉笛食いちぎってやったわ・・くく・・口をパクパクさせてみっともない死に様だった」
ヨシ:「他の村人がいなければもっといたぶって殺してやったものを・・一息で殺してやっただけありがたいと思え」
ギン:「・・この・・鬼めっ!!」
ヨシ:「・・・鬼?・・・鬼だと?」
ヨシ:「鬼はどっちだ・・貴様ら村の者のほうがよっぽど鬼であろうが!!」
ギン:「な・・なにを言っている」
ヨシ:「貴様ら村の人間があたしらをさげすみ!!あげくかわいいあの子をせせら笑いながら責め殺した!!」
ヨシ:「絶対に許さない!!殺してもまだたりない!!」
0:過去
ヨシN:あたしの家は父の代から村八分だった
ヨシN:食うのもままならない、それこそ木の根を噛って飢えをしのいだ
アキ:「おっかぁ!!これ食べて!!」
ヨシ:「アキ?おかえり」
ヨシ:「食べてって・・・お前・・その干し肉・・そんな高価な物どうしたんだい!?」
アキ:「いいから!!いい加減食わないとおっかぁ死んじまうよ!!」
ヨシ:「お前・・・まさか盗ってきたのかい!?」
ヨシ:「馬鹿な子だね!!早く返してくるんだよ!!」
アキ:「誰にもみられてない!あんなやつらに気をつかって飢え死にしたら、それこそ馬鹿みたいじゃないか!!」
ヨシ:「大人しくしていればお前が大きくなる頃には、村八分もとけるかもしれないじゃないか」
アキ:「あいつらにそんな気なんかないよ!!」
アキ:「あいつらが俺とおっかぁの事馬鹿にしてるのを何度も何度もきいてる!」
ヨシ:「それでも!!・・それでもお天道様に顔向けできない事はしないでおくれ・・お願いだから」
アキ:「・・おっかぁ・・」
ヨシ:「あたしならまだ大丈夫だから」
ヨシ:「ばれてないなら・・ばれてないうちに返してきておくれ」
ヨシ:「ね?そしたら二人で山菜採りにいこう?ほとんど枯れてしまっているかもだけど、まだ食べられそうなものもあるかもしれない」
ヨシ:「それに兎なんかもみつかるかも知れない。ね?」
アキ:「・・・わかったよ・・ごめんよおっかぁ」
ヨシN:走っていくあの子の背中を見送った
ヨシN:なんであたしはあの時あの子と一緒にいかなかったのか
ヨシN:あたしは村の人間も許せないが・・あたし自身も許せなかった
0:
0:
ヨシN:陽が陰りはじめた時刻になっても、あの子は帰ってこなかった。嫌な予感に駆られてあたしは村に走った
ヨシN:あたしが村に辿りついた時、あの子は村人達に囲まれて、もとの顔がわからないほど殴られ虫の息で地面に横たわっていた
ヨシ:「いやぁあ!!アキ!!アキィ!!!」
ギンN:村人達は嘲笑まじりに「おお盗人の母親がきおった」「やはり盗人の家系は盗人だのう」と口々に罵った
ヨシ:「そんな・・子供のしたことではありませぬか!!ましてや盗んだ物も返しにいったのに・・・ここまでの仕打ちはあまりにも!」
ギンN:「この実りの少ない村で冬の備蓄品に手をだすなんぞ許される行為ではない」「皆の好意で村の外れに住まわせてやっている恩も忘れて」
ギンN:村人達はそう言いながらも、横たわっているアキに追い打ちで蹴りをいれた
ヨシ:「もう!もう勘弁してください!あたしが!あたしが償いますから!!」
ヨシN:あたしはやまない暴力にさらされているあの子にかけよって、庇うように覆い被さった
ギンN:「当たり前だ!!」「躾もろくにできんのか」「親が親なら子も子だな」覆い被さったヨシの背中に向けても容赦ない暴力が振るわれる
アキ:「・・おっ・・か・・ごめ・・・ごめんよぅ」
ヨシ:「いい!!いいの!!まもってやれなくてごめんよ!!」
0:
0:
ヨシN:泣きながら庇うあたしへの暴力に飽きて、村人達が散っていった頃には、あの子はあたしの腕の中で冷たくなっていた
ギンN:慟哭が響く
ギンN:声が枯れてもなを我が子を呼び続けるヨシの耳元に声が響く
ギンN:ニクイニクイ、ニクイダロウ?コロスコロス、コロシテヤロウ。ミンナミンナミナゴロシダ。チカラヲカシテヤル。フクシュウシテヤロウ。
ギンN:耳に響くその声を・・・ヨシは受け入れた
0:
0:
ギンN:一刻ほどして一人の村人が静かになった二人の様子をみに来たときには二人の姿はなかったそうだ
ギンN:1週間後、山に入った猟師のひとりが襲われた
ギンN:一緒に猟に入っていた男に目撃されたのは異形の女。死体は凄惨に食い散らかされていた
ギンN:その後も1人で町に降りる者、悪天候のなか山に入る者、一向に山姥の足取りは掴めないまま犠牲者が増えていった。
ギンN:それから1年が過ぎた頃、犠牲者は増え続け、皆が命がけで山姥を討たねば村が全滅してしまう。という話になり村人総出の山狩が決定した
0:連環
ギンN:俺にむかって激高しながら過去の話をしていた山姥は、語るうちに落ち着きを取り戻していた。
ギンN:俺に似ているといった子供の面影をみているのだろうか、寂しそうな目をして俺に呟いた。
ヨシ:「・・早く殺せ・・・殺してくれ、、ここで生き長らえたら・・あたしはまたおまえらを殺す」
ヨシ:「もう解放されたい・・生きている限りこの恨みは消えぬ・・」
ヨシ:「腕の中で笑うあの子の顔が、誇らしげな表情でとってきた果実をみせてくれたあの子の顔が」
ヨシ:「、、、目の前で絶望のまま命の灯が消えてゆくあの子の顔が」
ヨシ:「あたしに恨みを絶やす事を許さない・・こんな希望もなにもない人生の中で!あの子だけがあたしの光だった!!」
ヨシ:「あの子がこんな事を望まないと知っていても!!」
ヨシ:「もう・・死ぬまで恨み続ける事しかできない・・頭の中で響く声がずっと恨め、殺せと囁いてくる」
ヨシ:「後生だよ、、、頼むおわらせておくれ」
ヨシ:「こんなあたしなんかのために泣いてくれるお前になら、殺されてもいい」
ギンN:ギンは涙を流していた。目の前の哀れな女も懇願しながら涙をこぼした。
ギン:「、、俺は、、俺は!!!」
0:
0:
0:
0:
ギンN:ギンは震える手で山姥の喉元に小刀を突き立てている
ギンN:手の震えを止めようと、溢れ出る涙をこらえようと、強く、強く歯をかみしめた。
ギンN:ギンは深く同情していた。
ギンN:些細な罪で暴力にさらされ命を奪われた少年に。理不尽に子の命を奪われこんな異形に形をかえた復讐者に。
ギンN:そんな相手の命を奪う事でしか救えなかった自分に絶望していた。
ギンN:自分からはみえなかった大人達の醜さに嫌悪感を覚えた。・・・そんな奴らは、死んでしまえばいい
ギンN:ギンの耳元に声が響いた
0:
0:
ヨシN:数週間後、また村人に犠牲者がでた
ヨシN:目撃されたのは追い立てた異形の女ではなく、小柄な異形の男の化物だったという
0:邂逅
ギンN:夕陽が落ちてあたりは闇に包まれはじめたころ
ギンN:山あいの木々のなか遠くにぽつぽつと松明の灯りがみえる
ギンN:村の人間が総出で、この近辺に出没する山姥を狩るために、大規模な山狩をおこなっている
ギンN:この村では山姥に狩猟中の猟師や、麓の町に買い付けにいく行商人がたびたび襲われていた。
ギンN:ある日村の集会で山姥狩りが決まり、昼から動ける村人総出で山に入った。
ギンN:日が大分西に傾きかけたころ、猟師の一人が山姥に怪我をおわせたが、惜しくも逃げられたとの報が集会所に届いた。
ギンN:村長からの通達で、今日のうちに決着をつけるべしと、こうして日が落ちた今の刻限も村人達は松明を片手に山の中をさがしまわっている
ギンN:大人たちが恐ろしい形相で、必死に手負いの山姥を追って山中を探し回っている中
ギンN:ギンの目の前に、額から角のはえた大柄で異形の女が血みどろで木の縁によりかかっている。
ヨシ:「・・・ぜぇ・・・・・ぜぇ・・」
ギン:「み・・みつけた!!」
ヨシ:「・・あぁ・・あぁ・・お前が・・迎えにきてくれたんだねぇ」
ヨシ:「死ぬ前にお前の顔がみれるなんて・・」
ギン:「なにいってんだ!!お前なんかしらない!!」
ヨシ:「・・なんだい・・お迎えじゃないのかい」
ヨシ:「(呟くように)あの子に瓜ふたつだ・・最後に命をとりにくるのが、あの子そっくりの村の子供とは・・これも呪いかね」
ギン:「お・・お前は・・隣のゴロウおじさんの仇だ!!やっつけてやる!!」
ヨシ:「ゴロウ?・・・あぁあの男か・・」
ヨシ:「あいつは喉笛食いちぎってやったわ・・くく・・口をパクパクさせてみっともない死に様だった」
ヨシ:「他の村人がいなければもっといたぶって殺してやったものを・・一息で殺してやっただけありがたいと思え」
ギン:「・・この・・鬼めっ!!」
ヨシ:「・・・鬼?・・・鬼だと?」
ヨシ:「鬼はどっちだ・・貴様ら村の者のほうがよっぽど鬼であろうが!!」
ギン:「な・・なにを言っている」
ヨシ:「貴様ら村の人間があたしらをさげすみ!!あげくかわいいあの子をせせら笑いながら責め殺した!!」
ヨシ:「絶対に許さない!!殺してもまだたりない!!」
0:過去
ヨシN:あたしの家は父の代から村八分だった
ヨシN:食うのもままならない、それこそ木の根を噛って飢えをしのいだ
アキ:「おっかぁ!!これ食べて!!」
ヨシ:「アキ?おかえり」
ヨシ:「食べてって・・・お前・・その干し肉・・そんな高価な物どうしたんだい!?」
アキ:「いいから!!いい加減食わないとおっかぁ死んじまうよ!!」
ヨシ:「お前・・・まさか盗ってきたのかい!?」
ヨシ:「馬鹿な子だね!!早く返してくるんだよ!!」
アキ:「誰にもみられてない!あんなやつらに気をつかって飢え死にしたら、それこそ馬鹿みたいじゃないか!!」
ヨシ:「大人しくしていればお前が大きくなる頃には、村八分もとけるかもしれないじゃないか」
アキ:「あいつらにそんな気なんかないよ!!」
アキ:「あいつらが俺とおっかぁの事馬鹿にしてるのを何度も何度もきいてる!」
ヨシ:「それでも!!・・それでもお天道様に顔向けできない事はしないでおくれ・・お願いだから」
アキ:「・・おっかぁ・・」
ヨシ:「あたしならまだ大丈夫だから」
ヨシ:「ばれてないなら・・ばれてないうちに返してきておくれ」
ヨシ:「ね?そしたら二人で山菜採りにいこう?ほとんど枯れてしまっているかもだけど、まだ食べられそうなものもあるかもしれない」
ヨシ:「それに兎なんかもみつかるかも知れない。ね?」
アキ:「・・・わかったよ・・ごめんよおっかぁ」
ヨシN:走っていくあの子の背中を見送った
ヨシN:なんであたしはあの時あの子と一緒にいかなかったのか
ヨシN:あたしは村の人間も許せないが・・あたし自身も許せなかった
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ヨシN:陽が陰りはじめた時刻になっても、あの子は帰ってこなかった。嫌な予感に駆られてあたしは村に走った
ヨシN:あたしが村に辿りついた時、あの子は村人達に囲まれて、もとの顔がわからないほど殴られ虫の息で地面に横たわっていた
ヨシ:「いやぁあ!!アキ!!アキィ!!!」
ギンN:村人達は嘲笑まじりに「おお盗人の母親がきおった」「やはり盗人の家系は盗人だのう」と口々に罵った
ヨシ:「そんな・・子供のしたことではありませぬか!!ましてや盗んだ物も返しにいったのに・・・ここまでの仕打ちはあまりにも!」
ギンN:「この実りの少ない村で冬の備蓄品に手をだすなんぞ許される行為ではない」「皆の好意で村の外れに住まわせてやっている恩も忘れて」
ギンN:村人達はそう言いながらも、横たわっているアキに追い打ちで蹴りをいれた
ヨシ:「もう!もう勘弁してください!あたしが!あたしが償いますから!!」
ヨシN:あたしはやまない暴力にさらされているあの子にかけよって、庇うように覆い被さった
ギンN:「当たり前だ!!」「躾もろくにできんのか」「親が親なら子も子だな」覆い被さったヨシの背中に向けても容赦ない暴力が振るわれる
アキ:「・・おっ・・か・・ごめ・・・ごめんよぅ」
ヨシ:「いい!!いいの!!まもってやれなくてごめんよ!!」
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ヨシN:泣きながら庇うあたしへの暴力に飽きて、村人達が散っていった頃には、あの子はあたしの腕の中で冷たくなっていた
ギンN:慟哭が響く
ギンN:声が枯れてもなを我が子を呼び続けるヨシの耳元に声が響く
ギンN:ニクイニクイ、ニクイダロウ?コロスコロス、コロシテヤロウ。ミンナミンナミナゴロシダ。チカラヲカシテヤル。フクシュウシテヤロウ。
ギンN:耳に響くその声を・・・ヨシは受け入れた
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ギンN:一刻ほどして一人の村人が静かになった二人の様子をみに来たときには二人の姿はなかったそうだ
ギンN:1週間後、山に入った猟師のひとりが襲われた
ギンN:一緒に猟に入っていた男に目撃されたのは異形の女。死体は凄惨に食い散らかされていた
ギンN:その後も1人で町に降りる者、悪天候のなか山に入る者、一向に山姥の足取りは掴めないまま犠牲者が増えていった。
ギンN:それから1年が過ぎた頃、犠牲者は増え続け、皆が命がけで山姥を討たねば村が全滅してしまう。という話になり村人総出の山狩が決定した
0:連環
ギンN:俺にむかって激高しながら過去の話をしていた山姥は、語るうちに落ち着きを取り戻していた。
ギンN:俺に似ているといった子供の面影をみているのだろうか、寂しそうな目をして俺に呟いた。
ヨシ:「・・早く殺せ・・・殺してくれ、、ここで生き長らえたら・・あたしはまたおまえらを殺す」
ヨシ:「もう解放されたい・・生きている限りこの恨みは消えぬ・・」
ヨシ:「腕の中で笑うあの子の顔が、誇らしげな表情でとってきた果実をみせてくれたあの子の顔が」
ヨシ:「、、、目の前で絶望のまま命の灯が消えてゆくあの子の顔が」
ヨシ:「あたしに恨みを絶やす事を許さない・・こんな希望もなにもない人生の中で!あの子だけがあたしの光だった!!」
ヨシ:「あの子がこんな事を望まないと知っていても!!」
ヨシ:「もう・・死ぬまで恨み続ける事しかできない・・頭の中で響く声がずっと恨め、殺せと囁いてくる」
ヨシ:「後生だよ、、、頼むおわらせておくれ」
ヨシ:「こんなあたしなんかのために泣いてくれるお前になら、殺されてもいい」
ギンN:ギンは涙を流していた。目の前の哀れな女も懇願しながら涙をこぼした。
ギン:「、、俺は、、俺は!!!」
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ギンN:ギンは震える手で山姥の喉元に小刀を突き立てている
ギンN:手の震えを止めようと、溢れ出る涙をこらえようと、強く、強く歯をかみしめた。
ギンN:ギンは深く同情していた。
ギンN:些細な罪で暴力にさらされ命を奪われた少年に。理不尽に子の命を奪われこんな異形に形をかえた復讐者に。
ギンN:そんな相手の命を奪う事でしか救えなかった自分に絶望していた。
ギンN:自分からはみえなかった大人達の醜さに嫌悪感を覚えた。・・・そんな奴らは、死んでしまえばいい
ギンN:ギンの耳元に声が響いた
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ヨシN:数週間後、また村人に犠牲者がでた
ヨシN:目撃されたのは追い立てた異形の女ではなく、小柄な異形の男の化物だったという