台本概要

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タイトル never wonderland 2
作者名 てくす  (@daihooon)
ジャンル その他
演者人数 3人用台本(女3)
時間 40 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 何かを好きになることは難しい。
自分を、人とは違うものを。
それを乗り越えた二人。
そんな二人を見たある人は
変わりたいと、願ってしまった。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
145 ファンタジーが好きな女の子。ベースボーカル。
128 自分の見た目が嫌いだった女の子。ギター。
137 変わりたいと願った女の子。ドラム。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
舞:(私が、2人を観たのは多分…奇跡) 直:次が最後の曲です! 春:今日は観に来てくれてありがとうございます 春:少し私の話をさせてください! 舞:(そうやって始まった最後の曲…) 春:私は普通の女子高生が好きなものより違うものが好きでした 春:それは不思議なもの、ファンタジー、特に不思議の国のアリスです 春:高校生にもなって、なんて笑う人もいるかもしれません 春:私自身も変なのかな?って 春:自分の好きなものに正直になれない、窮屈だなって思ってました 春:だけどそんな時、直に出会いました 舞:(始まる自分語り…ちょっと馬鹿にした) 春:そんな私をこの世界に、バントを好きにさせてくれたのは直で 春:この世界なら自分の好きなものを表現できるって教えてくれて… 直:春だけじゃありません 直:私も、私の見た目を好きになれませんでした 直:この中にも私の目のこと、変に思っている人もいるかもしれません 舞:(だけど、違った 舞:2人とも何かに悩んでいた 舞:キラキラした舞台に立って浮かれている 舞:そんな人たちじゃなかった) 直:私はこの世界が好きになって、春と出会って 直:この見た目も欠点も本当は宝物だって!気付きました! 直:だから春とならこの道を目指してみようってそう思えるようになって 春:自分の好きなものも、自分の欠点も 春:考えも、伝えたいことも歌になら乗せられる 直:少し恥ずかしいけど私たちの歌で皆んなに少しでも 直:私がもらったように勇気をあげられたらいいなって思います 舞:(ここからはもう、2人から目が離せなくなっていた) 春:自己満かもしれません 春:だけど皆んなに聴いて欲しくて 春:今回は私と直の出会いを歌にしました! 春:…届いてくれるといいな 直:届くよ、絶対 舞:(2人の想いが音になる瞬間だった) 春:……聴いてください 春:『Alice』 舞:(私は…私は2人みたいに…好きになれるだろうか…) 0:【間】 直:春! 春:直!緊張したぁ… 直:良かったよ、春 直:さぁ!このあとはオバドラだ! 春:上でみる? 直:嫌!下!最前行くよ! 春:ちょ!直!…もう! 0:【間】 春:直、早すぎ…って見失ったなぁ… 春:最前列にいるのは分かってるし 春:私はここら辺で観てようかな 舞:あの! 春:え?はい! 舞:2組の七原さんだよね… 春:うん、そうだけど 舞:私、1組の神崎 舞って言います 春:あ、え!?同じ学校!? 春:えっと、2組の七原 春です 舞:さっきの観させてもらいました 春:あ、ありがとう! 舞:えっと…その…それでね…わっ! 春:あ!Over Drive始まっちゃう 春:そうだ!ライブ終わった後、時間ある? 舞:う、うん!大丈夫! 春:じゃあ、今は楽しも! 0:【間】 直:う〜〜ん!最高! 直:やっぱりオバドラはかっこいいなぁ… 直:あ!春!ごめんねー!置いて行って 春:あはは、大丈夫 春:かっこよかったね 直:ヒロさんのMCも相変わらず良き! 直:…で、それでその子は? 春:あぁ、うん、えっとね 舞:1組の神崎 舞です 直:1組?ってことは同じ学校? 春:そうなの!私たちのライブも観てくれたって! 直:え!ありがとう! 舞:すごく良かった 舞:私、ライブなんて初めてで 直:初めてだったんだ? 直:何か目当てのバンドいたの? 春:それがね 舞:うん…2人を観に来たんだ 直:え!? 0:【間】 直:ごめんね、手伝ってもらって 直:…えっと…舞、だっけ? 舞:ううん、気にしないで 春:片付けにちょっと時間かかっちゃった 春:じゃあ私の家でいいかな? 舞:ほ、本当に泊まっていいの? 春:うん!大丈夫だよ! 直:春の部屋見ると引くよ〜 春:あー!やっぱ変に思ってたんだ! 直:あはは!嘘嘘! 舞:仲…いいんだね 舞:羨ましいな 直:積もる話は春の部屋で聞きますか 春:そうだね…寒っ 春:もう冬だね〜 舞:そうだね…えっと 舞:私、友達の家にお泊まりするの初めてなんだ 舞:だからちょっと楽しみ 春:私も楽しみ! 直:じゃあ、今日のライブの話でもして 直:帰りますかー! 0:【間、春の部屋】 舞:な、なんか凄いね… 春:変かなァ!? 舞:う、ううん!変じゃないよ! 春:変なんじゃん… 直:なんかデジャヴが… 直:それで、舞は何で私たちのバンドを? 舞:あ…うん 舞:私、ね…昔から人見知りで、自分に自信持てなくて 舞:友達と話す時も、周りの様子ばかり伺って… 舞:当たり障りのないように必死だった 春:わかるなぁ…私もこんなんだからさ 春:周りと合わせるのに必死だった 直:私だって春と出会う前は人と壁を作ってた 直:人の目とか、周りの様子って気になるからね 舞:やっぱり2人も何かあったんだ 春:うん、今はもうそんなことも 春:少しは無くなってきたと思うけどね 舞:そっか… 舞:あ、それでね、噂を聞いたの 直:噂? 舞:同じ学校でバンドしてる人がいるって 舞:それも女の子で同じ学年って 春:え!?噂になってたの!? 直:いや、私も知らなかった 舞:最初はね?別に気にしてなくて 舞:そうなんだーってくらいで… 舞:そう思ってたんだけど、心では気にしてたみたいで 舞:同じ歳の女の子が何かに頑張ってるって 舞:どんな感じなんだろーとか、どんな人なのかなーとか 舞:…私は今まで何かを好きになったことがなかったから 舞:自信が無くて、そんな私が何かを好きになっていいのかな?って 舞:そう思ってたから 春:そんなことない!好きものは好きでいいんだよ! 直:春の言う通りだよ、悪いことじゃない 舞:ありがとう…だけど無理だったんだ 舞:けど、ずっと気になって気づいたら 舞:チケット買ってライブハウスに行ってた 舞:初めてだったし、一人だったし 舞:冷静になったら怖くなったりして 直:ライブ参戦するって初めは勇気いるからね 春:私は直と一緒だったから安心だったけど 春:たしかにそうだよね 直:一人で行くのは…って思ってる人 直:結構いるんだよね、特に女の人は 直:私は…ほら、美咲さんとも仲良くなったから 直:行きやすかったけどね 舞:だけど何故だか前に進めて 舞:それで2人のこと観たんだ 春:あ!ねぇ、どうだった? 舞:うん!凄くかっこよかった 舞:…だけど最初はちょっと馬鹿にしちゃった 直:え?どういうこと? 舞:キラキラした舞台に浮かれてるだけとか 舞:そんなに真剣にやることなのかなって 舞:私の嫌な部分が2人を観てたら出てきて 舞:だけど、最後の曲の時に思ったの 舞:そうじゃないって、2人の想い?っていうのかな 舞:それが伝わってね、もう目が離せなかった 春:よかったぁ…伝わったんだ…ね、直 直:うん、嬉しい 舞:怒らないの? 春:全然!むしろ話してくれてありがとう 直:私もそういう目で、昔観たことあるから 直:舞の気持ちもわからなくないよ 舞:それで思ったの 舞:私も2人みたいになりたいって 舞:何かを好きになりたいって 春:きっと大丈夫だよ! 春:一人でライブに行く勇気もあるんだから! 春:舞ならきっとできるよ! 直:なんなら、一緒にバンドする? 舞:…へ? 春:あ!いいね!新メンバーだ! 舞:え、いや、ちょっと待って! 舞:私、そんなこと 直:できるよ、絶対 春:舞は楽器したことある? 舞:中学は吹部だったから 舞:ドラムを少しだけしたことあるくらいで 直:え? 春:なんと!直、これはスカウトだね! 直:うん、逃がさないよ! 舞:え、いや!なんで!? 春:実は私たちのバンドって直と2人なの 春:ドラムは美咲さんって言ってライブハウスのドンみたいな 直:春〜、それ美咲さんに言っていい? 春:じょ、冗談!冗談だから! 直:その美咲さんにサポートって感じでお願いしてて 直:正規メンバーってわけじゃないんだ 直:だから、舞がよければ一緒にしない? 舞:でも私、上手くないし 春:私だってベース上手くないよ 春:難しいのできないもん 直:春も初心者だったし 直:それで曲も作ったから難しくはないよ 直:美咲さんは…勝手に色々してたけど 春:私は舞と一緒にしてみたいな 春:初めてだっからさ!友達に観てもらうの 春:それに舞と一緒だったら楽しそう 舞:とも…だち 春:もう、友達でしょ? 直:家にも泊まってるし 舞:友達… 0:【ちょっと間】 舞:(多分これが私の人生を変える一歩だったと思う) 舞:…やってみる… 春:っ!直! 直:よーし!メンバー揃ったぞー! 直:よかったね、春 春:うん! 舞:え? 春:実は前々から、ちゃんとメンバー欲しくて 春:ずっと美咲さんに頼むのも悪いし 春:けど、舞とだったら楽しくできると思うから! 直:頑張ろう、舞 舞:…うん! 0:【間】 0:【学校の放課後】 舞:えぇ!?じゃあ最初は仲良くなかったの? 直:仲良くなかったとかじゃなくて 直:私が一方的に…ね 春:嫌いってはっきり言われたけどね 直:それはごめんって! 春:あはは、気にしてないよ 直:…まぁ、そんな感じでね 直:だけど、ちゃんと私を見てくれたのが春で 直:それからかな 春:私も直に初めて好きな物の話してね 春:受け入れてくれたから嬉しかった 舞:いいなぁ… 春:舞も見つかるといいね 舞:…うん 直:自信が無くても好きなことは好きって 直:言える方がかっこいいよ 直:春もそうだけど私たちには歌があるから 春:いつか舞の好きなもの 春:みんなに届けられるといいね 舞:できるかな…あ、ううん 舞:頑張る! 直:それで、春 直:持ってきた? 舞:何? 直:舞のドラム聞かせてもらったけど 直:私は問題なかったと思うんだ 直:だから、今ある曲は練習するとして 直:新しい曲も増やそうかなって 春:アルバル作れるくらいには曲欲しいよねって 春:前に話してたんだ…だけど 直:春?どうかした? 春:とりあえず、これ見て 0:【間】 舞:春ちゃんって英語歌詞で歌うんじゃないの? 春:うん…そうなんだけど 春:Aliceって曲…直との出会いの曲なんだけど 春:それだけ日本語歌詞にしてみて思ったの 春:みんなに伝わる言葉で歌うのもいいなぁって 春:だから今回は日本語歌詞にしてみた 直:成長だね 春:そうなのかな? 春:どう思う? 直:私は好き 直:春って感じの曲だ 舞:私も良いと思う! 舞:…凄いなぁ…春ちゃんは 春:え!?いや、そんなことないよ! 直:それで他の曲は? 舞:他の曲? 直:そう、二曲くらい書いてくるって話だったから 春:うん、そのことなんだけど 春:せっかく舞が新メンバーで入ってくれたから 春:舞の曲書いてもいいかな? 舞:えぇ!?私の曲!? 春:もし、舞が書けるなら書いて欲しいし 春:私たちで一緒に書いてもいいって思ってる 春:それと…3人の曲も作りたい 直:3人の曲? 春:うん、直は作曲してくれるけど 春:歌詞にも直の気持ち乗せてみたい 直:そっか… 舞:えっと、え?私の曲って 春:私はね、直に言われて音楽なら 春:好きなものを素直に表現できるって知った 春:舞も音楽に乗せて自分の気持ち話してみない? 舞:私の気持ち… 直:もしかしたら舞みたいな人多いかもしれない 直:素直な舞の気持ち書いてみたら? 舞:そっか…私の気持ち… 舞:春ちゃん…手伝ってくれる? 春:もちろん!書いてみよ、舞! 舞:が、頑張ってみる! 直:じゃあ、新曲は3曲になるね 直:私も歌詞書くのかー、考えてなかったな 春:3人の曲名は決めてるから! 直:え?そうなの? 春:うん!このバンド名でもある 春:Wonderland! 舞:ワンダーランド… 直:あはは、いいね、それ 直:代表曲みたい 春:そう!それを考えてた! 舞:(不思議の国…私が一歩踏み出したから行けた場所…) 舞:そっか…私、行けたんだ 春:舞? 舞:ううん、なんでもない 0:【間】 舞:『何もない暗い部屋に閉じこもって 舞:誰か出してって、そう一人で心の中で叫んでた 舞:自分で鍵は持っているはずなのに 舞:それが見えなくて、見ないふりして』 春:舞はさ、この曲どうしたい? 舞:え?…どうしたい? 春:えっと…これが私が初めて書いたSoraって曲 春:最初は暗いイメージで、2番から明るくなっていって 春:最後はハッピーエンドなんだ 舞:なるほど… 春:だから舞は、この曲をどうしたいかなって 舞:私… 舞:(この曲の主人公は私だ 舞:引きこもって、何もしなくて 舞:誰かに助けを求めて…自分じゃ何もしなくて… 舞:だけど、私は一歩進んだ 舞:だからこの曲を聞いた人たちが…) 舞:一歩進めるような…みんなが自分で歩けるような! 春:うん!じゃあそういう風に作ろ! 春:舞の気持ちもっと書いていこ! 0:【間】 直:うん、イメージは掴めた 直:ちょっと考えさせて 春:わかった 舞:へ、変かな? 直:正直、驚いた 直:春が提案したことだけど 直:ここまで書けると思わなかったし 直:なんだろ…凄く気持ちが伝わった 直:もしかしたら作詞の才能あるんじゃない? 舞:え!?いや!それは…褒めすぎ…だよ 春:直も思った? 春:後半あんまり手伝うことなかったんだ 直:あはは!これからは半々で 直:曲書いた方がいいんじゃない? 春:あ!それいいかも 舞:え!?嘘でしょ!?2人とも 直:それくらい舞の曲が良かったんだよ 直:絶対いい曲に仕上げるから待ってて 直:あ、それと3人の曲もね 直:舞はこの曲の曲名考えててね 舞:あ、そっか 舞:どうしよう… 春:このバンドの曲って 春:なんとなーくファンタジーって感じの 春:曲名にしてたからなぁ 舞:そうだよね…うーん…あ! 春:浮かんだ? 舞:少し…だけね 0:【間】 直:って感じなんだけど、舞どう? 舞:すごい…すごいよ!直ちゃん! 舞:イメージぴったり! 直:そう?よかった 直:それで、曲名はできた? 春:へへーっ、凄いよ 舞:ちょ!春ちゃん! 舞:…曲名は『Mirror New World』 直:やっぱ才能あるよ、舞 舞:え!? 春:それと、3人の曲も!はい! 直:これは春が? 春:ううん、舞と一緒に 春:あとは直も考えてくれれば完成かな! 直:じゃあ完成させよう 0:【間】 春:できたね!直、舞! 舞:うん! 直:曲名は 春:もちろん!『Wonderland』! 直:よし!これで三曲完成! 直:そして、このタイミングで報告です! 舞:報告? 直:ライブ、決まったよ 春:じゃあ新曲お披露目だね! 舞:え!?え、ライブ!?もう!? 直:美咲さん気が早いからなぁ 直:新メンバーと新曲できたって言ったら 直:すぐに組み込んでくれたみたい 春:あはは、美咲さんらしいね 舞:え、待って!私、まだ準備が 直:舞、大丈夫だよ 直:失敗しても誰も怒らないし 直:楽しんでやろう 直:そうすればきっと皆んな分かってくれる 直:それに春だって初ライブのMCで噛んで 春:ちょっと!それ言わないでよ!直ぉ! 直:あはは!だから大丈夫 直:言ってもまだ時間あるし頑張ろう、舞 舞:う、うん!頑張る 舞:…それで春が噛んだって話は 春:舞まで!?もぉー!その話はいいじゃん! 0:【笑い合う3人】 0:【間】 春:えーっと、『Sora』、『水色のソラ』、『Wonderland』 春:それから… 直:舞の曲入れて4曲…あと1曲入れていいかも 春:うーん、それじゃあ 舞:Aliceは歌わないの? 春:あれはライブ向きじゃないかなーって 舞:そっか… 直:舞はそれが良かった? 舞:ううん!私が好きな曲ってだけで 舞:そうだよね、ライブだから観てくれる人のこと 舞:考えないといけないんだね 直:曲が多いバンドになると決めるのも大変そうだね 直:CDの発売でやるライブなら、そのアルバムから 直:決めればいいんだろうけど 春:Wonderlandはこれからずっとやっていきたいよね 直:そうだね 舞:じゃあミルクティーかな? 春:直は? 直:異論なし! 春:じゃあ、これで! 舞:いいの!? 春:舞の初舞台だし!私も異論なし! 直:よーし、曲が決まれば練習あるのみ! 直:2人とも!頑張ろ! 0:【間】 0:【ライブ当日】 舞:えっと…ここがこれで?え?アレ? 春:舞!顔!顔! 舞:え!?あ、え!? 直:緊張しすぎ!もっと肩の力抜いて! 直:はい、深呼吸! 舞:ふぅー 春:落ち着いた? 舞:ありがとう、2人とも 直:セッティング分からなかったら美咲さんいるから 直:まだリハだし、大丈夫 舞:うん、大丈夫 舞:…よし、いける 春:最初はSoraから行くよ 春:…じゃあ始めます! 0:【間】 舞:緊張した… 春:わかるよ、舞〜 春:私も最初ヤバかったもん 直:噛んだしね 春:また言う!? 舞:あはは 舞:そっか、私ステージに立つんだ 舞:(あの日から、一歩進んだ私が 舞:自分の世界を変えたんだ、だから) 舞:緊張するし、失敗もしちゃうかもしれないけど 舞:私、頑張るから!3人で楽しかった!って言えるように! 春:私も頑張る!新曲もあるしね! 直:じゃあ、アレやりますか? 春:アレ? 直:ちょっと憧れてたんだよね〜 直:ほら、集まって 直:…ライブ前にさ、メンバーで集まって円陣組んで 直:気合を入れる! 春:掛け声は? 舞:頑張るぞー? 直:あはは、僭越ながら私が…いくよ? 直:ネバワン!楽しむぞ! 春・舞:おー! 0:【間】 0:【ライブスタート】 春:今日は皆さんに報告です! 春:新メンバーの舞です! 舞:え!?あ、えっと、こんばんは! 直:あはは 直:まだまだ不慣れな3人ですが 直:これからも頑張っていきます! 春:次の曲は、一歩を踏み出せない、勇気が出ない 春:そんな女の子の曲です 春:だけど、一歩踏み出せば世界は変わる 春:…そうだよね、舞 舞:私が一歩踏み出せたから 舞:誰だって歩けるはず 舞:だから… 直:『Mirror New World』 0:【曲が始まる】 舞:(最初は暗い曲だったと自分でも思う 舞:だけど、春が言ってくれた 舞:この曲をどうしたいかって 舞:だから伝わるといいな 舞:誰だって一歩踏み出せるって 舞:その勇気を、歩き出す道を見つけられるって 舞:そして、私も…見つけられたって言えるように) 0:【間】 春:最後の曲です! 春:この曲は3人で作りました! 春:最後まで楽しんでいってください! 春:『Wonderland』 0:【間】 舞:…… 直:何、ぼーっとしてんの? 舞:え?あ、直ちゃん 舞:余韻が抜けなくて… 直:どうだった? 舞:…うん、すごく楽しかった 直:よかった 直:途中ドラム走ってたぞ 舞:え!?ご、ごめん! 直:あはは!けど私も楽しかった 直:やっぱり舞が来てくれてよかったよ 春:直ー!舞ー! 春:褒めてもらえたー! 舞:え? 春:新曲、どれもすごく良かったって! 春:舞の曲もみんな感動したーって! 舞:ほ、本当!? 春:うん!やったね!舞! 舞:うん! 舞:ありがとう2人とも 舞:本当に楽しかった 直:さぁー、忙しくなるぞー 春:え?何かあるの? 直:美咲さんと話してさ 直:美咲さんが正規メンバーの 直:ビストロビスタってわかるよね? 春:うん、観にも行ったから知ってるよ 直:あのバンドとちょっと色々とね 直:ま、それまでにすることあるから 直:はい、質問です! 舞:何? 直:この中で絵が上手い人! 春:絵!?絵かぁ… 舞:少しだけなら… 直:はい!じゃあ舞に描いてもらいます! 舞:え!?何を!? 直:このバンドのロゴ 直:私も春も手伝うからさ! 春:ロゴ!?嘘!楽しみ! 舞:え、私でいいの? 直:私、絵心ないし 直:プロに頼んでもいいけどお金が…ね? 舞:そんな!私、全然上手くないよ!? 春:とりあえず描いてみようよ! 春:明日みんなで集合! 0:【間】 0:【次の日】 春:え!?もう描いてきたの!? 舞:どう…かな? 舞:一応5パターンくらい描いたんだけど 春:…… 直:…… 舞:へ、変かな? 春:えぇー!? 直:どんな才能持ってんのよ! 直:うわっ!デジャヴだ! 春:私もなんかデジャヴ! 直:いや、歌詞も凄かったけど 直:絵も上手いじゃん 春:これ可愛い、あー!けどこっちも捨てがたい! 舞:よかった… 舞:えっとね、全部アリスを想像して描いたんだけど 直:わかるよ、これとかまさにそうだよね 春:あ! 直:春? 春:これがいい! 直:…うん、これがいいね 舞:あっ、それ 舞:私もこれかなって 春:決まりだね! 春:これシェチャ猫の尻尾? 舞:そう!丸の中がワンダーランドのイメージで 舞:中に3人いるのが私たち 直:円の周りをアリスっぽく飾ってるわけね 舞:これが帽子屋の帽子で、これが白うさぎで 春:トランプもある!…この中のドラゴンは? 舞:それはソラ 舞:春ちゃんが一番最初に書いた曲だから 舞:入れてみたんだ 春:アリスにもドラゴンっぽいのいるんだよねー! 春:けどソラかぁ…可愛い! 直:アリスに出てくるの怪物だからね 直:ソラの方がいいね 舞:へぇ、そんなキャラもいるんだ 舞:あ!えっとね、バンド名入れてるのは 舞:パソコンでフォント変えれるから 舞:そこは2人と相談しようと思って 春:このままでも十分だけど 春:あとで色々見てみよう! 直:よし、ロゴが決まったところで 直:次はアー写だね! 春:え!?それも撮るの!? 舞:な、なんか本物のアーティストみたい 直:何言ってんの!ライブにも出てるじゃない! 直:…まぁ、レコード会社に入ってるわけじゃないけど 春:そういえば 春:なんで急にロゴとか作るって言い出したの? 直:あ、そっか説明してなかったね 直:その美咲さんのバンドとね、話ししてさ 直:春とは去年観に行ったけど覚えてる? 直:豊音祭 春:あ!あの5月にあったやつ? 舞:豊音祭? 直:舞は知らない?ここら辺の地元のお祭りなんだけど 直:正式には、確か豊作祈願音楽祭だったかな? 直:まぁそこにね、毎年美咲さんたち出てるんだ 直:他にも地元のインディーズの人達もいるし 直:趣味でやってる、おじさんバンドとかもね 直:それで今年はそこに私たちも出てみないかって 春:えー!?ライブハウス以外でライブするってこと!? 直:そうなるね 舞:もしかして…いろんな人が観に来るんじゃ 直:私たちの目標は夏フェス! 直:まぁ、舞台は小さいかもしれないけどさ 直:野外ライブだから 直:夏フェスの予行練習と思って頑張ってみない? 春:…舞!頑張ろう! 春:私も緊張するけど、絶対楽しいよ! 舞:春ちゃん…うん! 舞:私も頑張る! 直:よし、決意も固まったところで 直:アー写撮りに行くぞー! 春・舞:おー! 0:【間】 春:うわぁー… 舞:美咲さんの写真もされるんですか? 直:多才ですよねー… 春:すごい!本物だ! 直:どう言う意味よ、それ 直:…なにしてんの春? 春:待ち受けにしようとしてる 直:後で美咲さんからデータ送って貰えば? 春:はっ!その手があったか! 春:美咲さん!お願いします! 舞:けど、春ちゃんの言う通り 舞:こうやってみると本物のアーティストみたい 直:恥ずかしいけど、何か気合入るね 春:よーし!本番まで練習頑張るぞー! 0:【間】 舞:(それから私たちは豊音祭に出た 舞:何人か学校の人がいたのが見えた気がする 舞:最初は緊張したけど、後ろから見る2人の背中が 舞:時々、振り返って笑顔を送ってくれる2人に救われながら 舞:2人に笑い返せるくらいに楽しくて仕方がない 舞:そう思えるほどに私は…) 0:【間】 春:ま…ぃ…舞!…舞! 舞:ふぇ!?え?あれ?春ちゃん? 直:何?どうかした? 春:舞が寝てた 直:ちょ!大丈夫!? 直:もうすぐ出番だよ! 舞:え?出番? 春:今日はボイロックでしょ! 舞:ボイロック… 直:しっかりしてよ 直:やっと私たちの、夢の夏フェスなんだから 舞:…あ!そっか! 舞:ごめん! 春:緊張して眠れなかったの 春:私だけじゃなくてよかったー! 直:そういうことじゃないでしょ! 直:はぁー…気合入れ直すよ!集まって! 春:今日は思い切り楽しもう! 直:まだ一番小さいステージだけど 直:夏フェスに出れたんだ 直:次は一番大きいメインステージ目指すよ! 舞:うん! 舞:…3人でいつまでも 春:不思議な国へ 直:ネバワン!行くよ! 0:【間】 舞:ぅ…ん 春:舞、疲れてるなぁ 直:豊音祭に、それからすぐに新曲作ったりしたからね 春:もう少し寝かせてあげる? 直:そうだね…あっ 舞:…あれ?2人ともボイロックは? 春:ボイロック?なんで夏フェス? 直:ははーん、なるほどねぇ 舞:え?…あ!私、寝ちゃってた!? 直:どうだった?夏フェスのステージは? 舞:うぅ…言わないで〜… 春:あはは! 春:けど、いいなぁ、夢でもステージに行けて 直:いつか正夢になるから 直:春は楽しみにとっときなさい 春:そうだね、そうなるといいね 舞:……行けるよ、絶対 春:舞… 春:…じゃあ、夏フェスに一足先に立った舞先輩に 春:新曲書いてもらおーっと! 舞:えぇ!? 0:【少し間】 舞:(自分に自信が持てなくて、何も好きになれなくて 舞:2人を初めてみた時、私も何かを 舞:好きになれるのか不安だった 舞:だけど、あの時勇気を出した一歩が私を変えた 舞:ううん、2人が変えてくれたのかも 舞:今でも私は自分に自信が持てるわけじゃない 舞:だけど、大切なものを見つけられた 舞:2人と過ごした、この不思議な世界で、私は…) 舞:…あのね 舞:…私… 春:ん?何? 直:どした? 舞:直!、春! 0:【顔を見つめ合う直と春】 春:…! 直:…! 舞:大好きだよ 舞:(3人でいつまでも、この不思議な世界で) 0:【終わり】

舞:(私が、2人を観たのは多分…奇跡) 直:次が最後の曲です! 春:今日は観に来てくれてありがとうございます 春:少し私の話をさせてください! 舞:(そうやって始まった最後の曲…) 春:私は普通の女子高生が好きなものより違うものが好きでした 春:それは不思議なもの、ファンタジー、特に不思議の国のアリスです 春:高校生にもなって、なんて笑う人もいるかもしれません 春:私自身も変なのかな?って 春:自分の好きなものに正直になれない、窮屈だなって思ってました 春:だけどそんな時、直に出会いました 舞:(始まる自分語り…ちょっと馬鹿にした) 春:そんな私をこの世界に、バントを好きにさせてくれたのは直で 春:この世界なら自分の好きなものを表現できるって教えてくれて… 直:春だけじゃありません 直:私も、私の見た目を好きになれませんでした 直:この中にも私の目のこと、変に思っている人もいるかもしれません 舞:(だけど、違った 舞:2人とも何かに悩んでいた 舞:キラキラした舞台に立って浮かれている 舞:そんな人たちじゃなかった) 直:私はこの世界が好きになって、春と出会って 直:この見た目も欠点も本当は宝物だって!気付きました! 直:だから春とならこの道を目指してみようってそう思えるようになって 春:自分の好きなものも、自分の欠点も 春:考えも、伝えたいことも歌になら乗せられる 直:少し恥ずかしいけど私たちの歌で皆んなに少しでも 直:私がもらったように勇気をあげられたらいいなって思います 舞:(ここからはもう、2人から目が離せなくなっていた) 春:自己満かもしれません 春:だけど皆んなに聴いて欲しくて 春:今回は私と直の出会いを歌にしました! 春:…届いてくれるといいな 直:届くよ、絶対 舞:(2人の想いが音になる瞬間だった) 春:……聴いてください 春:『Alice』 舞:(私は…私は2人みたいに…好きになれるだろうか…) 0:【間】 直:春! 春:直!緊張したぁ… 直:良かったよ、春 直:さぁ!このあとはオバドラだ! 春:上でみる? 直:嫌!下!最前行くよ! 春:ちょ!直!…もう! 0:【間】 春:直、早すぎ…って見失ったなぁ… 春:最前列にいるのは分かってるし 春:私はここら辺で観てようかな 舞:あの! 春:え?はい! 舞:2組の七原さんだよね… 春:うん、そうだけど 舞:私、1組の神崎 舞って言います 春:あ、え!?同じ学校!? 春:えっと、2組の七原 春です 舞:さっきの観させてもらいました 春:あ、ありがとう! 舞:えっと…その…それでね…わっ! 春:あ!Over Drive始まっちゃう 春:そうだ!ライブ終わった後、時間ある? 舞:う、うん!大丈夫! 春:じゃあ、今は楽しも! 0:【間】 直:う〜〜ん!最高! 直:やっぱりオバドラはかっこいいなぁ… 直:あ!春!ごめんねー!置いて行って 春:あはは、大丈夫 春:かっこよかったね 直:ヒロさんのMCも相変わらず良き! 直:…で、それでその子は? 春:あぁ、うん、えっとね 舞:1組の神崎 舞です 直:1組?ってことは同じ学校? 春:そうなの!私たちのライブも観てくれたって! 直:え!ありがとう! 舞:すごく良かった 舞:私、ライブなんて初めてで 直:初めてだったんだ? 直:何か目当てのバンドいたの? 春:それがね 舞:うん…2人を観に来たんだ 直:え!? 0:【間】 直:ごめんね、手伝ってもらって 直:…えっと…舞、だっけ? 舞:ううん、気にしないで 春:片付けにちょっと時間かかっちゃった 春:じゃあ私の家でいいかな? 舞:ほ、本当に泊まっていいの? 春:うん!大丈夫だよ! 直:春の部屋見ると引くよ〜 春:あー!やっぱ変に思ってたんだ! 直:あはは!嘘嘘! 舞:仲…いいんだね 舞:羨ましいな 直:積もる話は春の部屋で聞きますか 春:そうだね…寒っ 春:もう冬だね〜 舞:そうだね…えっと 舞:私、友達の家にお泊まりするの初めてなんだ 舞:だからちょっと楽しみ 春:私も楽しみ! 直:じゃあ、今日のライブの話でもして 直:帰りますかー! 0:【間、春の部屋】 舞:な、なんか凄いね… 春:変かなァ!? 舞:う、ううん!変じゃないよ! 春:変なんじゃん… 直:なんかデジャヴが… 直:それで、舞は何で私たちのバンドを? 舞:あ…うん 舞:私、ね…昔から人見知りで、自分に自信持てなくて 舞:友達と話す時も、周りの様子ばかり伺って… 舞:当たり障りのないように必死だった 春:わかるなぁ…私もこんなんだからさ 春:周りと合わせるのに必死だった 直:私だって春と出会う前は人と壁を作ってた 直:人の目とか、周りの様子って気になるからね 舞:やっぱり2人も何かあったんだ 春:うん、今はもうそんなことも 春:少しは無くなってきたと思うけどね 舞:そっか… 舞:あ、それでね、噂を聞いたの 直:噂? 舞:同じ学校でバンドしてる人がいるって 舞:それも女の子で同じ学年って 春:え!?噂になってたの!? 直:いや、私も知らなかった 舞:最初はね?別に気にしてなくて 舞:そうなんだーってくらいで… 舞:そう思ってたんだけど、心では気にしてたみたいで 舞:同じ歳の女の子が何かに頑張ってるって 舞:どんな感じなんだろーとか、どんな人なのかなーとか 舞:…私は今まで何かを好きになったことがなかったから 舞:自信が無くて、そんな私が何かを好きになっていいのかな?って 舞:そう思ってたから 春:そんなことない!好きものは好きでいいんだよ! 直:春の言う通りだよ、悪いことじゃない 舞:ありがとう…だけど無理だったんだ 舞:けど、ずっと気になって気づいたら 舞:チケット買ってライブハウスに行ってた 舞:初めてだったし、一人だったし 舞:冷静になったら怖くなったりして 直:ライブ参戦するって初めは勇気いるからね 春:私は直と一緒だったから安心だったけど 春:たしかにそうだよね 直:一人で行くのは…って思ってる人 直:結構いるんだよね、特に女の人は 直:私は…ほら、美咲さんとも仲良くなったから 直:行きやすかったけどね 舞:だけど何故だか前に進めて 舞:それで2人のこと観たんだ 春:あ!ねぇ、どうだった? 舞:うん!凄くかっこよかった 舞:…だけど最初はちょっと馬鹿にしちゃった 直:え?どういうこと? 舞:キラキラした舞台に浮かれてるだけとか 舞:そんなに真剣にやることなのかなって 舞:私の嫌な部分が2人を観てたら出てきて 舞:だけど、最後の曲の時に思ったの 舞:そうじゃないって、2人の想い?っていうのかな 舞:それが伝わってね、もう目が離せなかった 春:よかったぁ…伝わったんだ…ね、直 直:うん、嬉しい 舞:怒らないの? 春:全然!むしろ話してくれてありがとう 直:私もそういう目で、昔観たことあるから 直:舞の気持ちもわからなくないよ 舞:それで思ったの 舞:私も2人みたいになりたいって 舞:何かを好きになりたいって 春:きっと大丈夫だよ! 春:一人でライブに行く勇気もあるんだから! 春:舞ならきっとできるよ! 直:なんなら、一緒にバンドする? 舞:…へ? 春:あ!いいね!新メンバーだ! 舞:え、いや、ちょっと待って! 舞:私、そんなこと 直:できるよ、絶対 春:舞は楽器したことある? 舞:中学は吹部だったから 舞:ドラムを少しだけしたことあるくらいで 直:え? 春:なんと!直、これはスカウトだね! 直:うん、逃がさないよ! 舞:え、いや!なんで!? 春:実は私たちのバンドって直と2人なの 春:ドラムは美咲さんって言ってライブハウスのドンみたいな 直:春〜、それ美咲さんに言っていい? 春:じょ、冗談!冗談だから! 直:その美咲さんにサポートって感じでお願いしてて 直:正規メンバーってわけじゃないんだ 直:だから、舞がよければ一緒にしない? 舞:でも私、上手くないし 春:私だってベース上手くないよ 春:難しいのできないもん 直:春も初心者だったし 直:それで曲も作ったから難しくはないよ 直:美咲さんは…勝手に色々してたけど 春:私は舞と一緒にしてみたいな 春:初めてだっからさ!友達に観てもらうの 春:それに舞と一緒だったら楽しそう 舞:とも…だち 春:もう、友達でしょ? 直:家にも泊まってるし 舞:友達… 0:【ちょっと間】 舞:(多分これが私の人生を変える一歩だったと思う) 舞:…やってみる… 春:っ!直! 直:よーし!メンバー揃ったぞー! 直:よかったね、春 春:うん! 舞:え? 春:実は前々から、ちゃんとメンバー欲しくて 春:ずっと美咲さんに頼むのも悪いし 春:けど、舞とだったら楽しくできると思うから! 直:頑張ろう、舞 舞:…うん! 0:【間】 0:【学校の放課後】 舞:えぇ!?じゃあ最初は仲良くなかったの? 直:仲良くなかったとかじゃなくて 直:私が一方的に…ね 春:嫌いってはっきり言われたけどね 直:それはごめんって! 春:あはは、気にしてないよ 直:…まぁ、そんな感じでね 直:だけど、ちゃんと私を見てくれたのが春で 直:それからかな 春:私も直に初めて好きな物の話してね 春:受け入れてくれたから嬉しかった 舞:いいなぁ… 春:舞も見つかるといいね 舞:…うん 直:自信が無くても好きなことは好きって 直:言える方がかっこいいよ 直:春もそうだけど私たちには歌があるから 春:いつか舞の好きなもの 春:みんなに届けられるといいね 舞:できるかな…あ、ううん 舞:頑張る! 直:それで、春 直:持ってきた? 舞:何? 直:舞のドラム聞かせてもらったけど 直:私は問題なかったと思うんだ 直:だから、今ある曲は練習するとして 直:新しい曲も増やそうかなって 春:アルバル作れるくらいには曲欲しいよねって 春:前に話してたんだ…だけど 直:春?どうかした? 春:とりあえず、これ見て 0:【間】 舞:春ちゃんって英語歌詞で歌うんじゃないの? 春:うん…そうなんだけど 春:Aliceって曲…直との出会いの曲なんだけど 春:それだけ日本語歌詞にしてみて思ったの 春:みんなに伝わる言葉で歌うのもいいなぁって 春:だから今回は日本語歌詞にしてみた 直:成長だね 春:そうなのかな? 春:どう思う? 直:私は好き 直:春って感じの曲だ 舞:私も良いと思う! 舞:…凄いなぁ…春ちゃんは 春:え!?いや、そんなことないよ! 直:それで他の曲は? 舞:他の曲? 直:そう、二曲くらい書いてくるって話だったから 春:うん、そのことなんだけど 春:せっかく舞が新メンバーで入ってくれたから 春:舞の曲書いてもいいかな? 舞:えぇ!?私の曲!? 春:もし、舞が書けるなら書いて欲しいし 春:私たちで一緒に書いてもいいって思ってる 春:それと…3人の曲も作りたい 直:3人の曲? 春:うん、直は作曲してくれるけど 春:歌詞にも直の気持ち乗せてみたい 直:そっか… 舞:えっと、え?私の曲って 春:私はね、直に言われて音楽なら 春:好きなものを素直に表現できるって知った 春:舞も音楽に乗せて自分の気持ち話してみない? 舞:私の気持ち… 直:もしかしたら舞みたいな人多いかもしれない 直:素直な舞の気持ち書いてみたら? 舞:そっか…私の気持ち… 舞:春ちゃん…手伝ってくれる? 春:もちろん!書いてみよ、舞! 舞:が、頑張ってみる! 直:じゃあ、新曲は3曲になるね 直:私も歌詞書くのかー、考えてなかったな 春:3人の曲名は決めてるから! 直:え?そうなの? 春:うん!このバンド名でもある 春:Wonderland! 舞:ワンダーランド… 直:あはは、いいね、それ 直:代表曲みたい 春:そう!それを考えてた! 舞:(不思議の国…私が一歩踏み出したから行けた場所…) 舞:そっか…私、行けたんだ 春:舞? 舞:ううん、なんでもない 0:【間】 舞:『何もない暗い部屋に閉じこもって 舞:誰か出してって、そう一人で心の中で叫んでた 舞:自分で鍵は持っているはずなのに 舞:それが見えなくて、見ないふりして』 春:舞はさ、この曲どうしたい? 舞:え?…どうしたい? 春:えっと…これが私が初めて書いたSoraって曲 春:最初は暗いイメージで、2番から明るくなっていって 春:最後はハッピーエンドなんだ 舞:なるほど… 春:だから舞は、この曲をどうしたいかなって 舞:私… 舞:(この曲の主人公は私だ 舞:引きこもって、何もしなくて 舞:誰かに助けを求めて…自分じゃ何もしなくて… 舞:だけど、私は一歩進んだ 舞:だからこの曲を聞いた人たちが…) 舞:一歩進めるような…みんなが自分で歩けるような! 春:うん!じゃあそういう風に作ろ! 春:舞の気持ちもっと書いていこ! 0:【間】 直:うん、イメージは掴めた 直:ちょっと考えさせて 春:わかった 舞:へ、変かな? 直:正直、驚いた 直:春が提案したことだけど 直:ここまで書けると思わなかったし 直:なんだろ…凄く気持ちが伝わった 直:もしかしたら作詞の才能あるんじゃない? 舞:え!?いや!それは…褒めすぎ…だよ 春:直も思った? 春:後半あんまり手伝うことなかったんだ 直:あはは!これからは半々で 直:曲書いた方がいいんじゃない? 春:あ!それいいかも 舞:え!?嘘でしょ!?2人とも 直:それくらい舞の曲が良かったんだよ 直:絶対いい曲に仕上げるから待ってて 直:あ、それと3人の曲もね 直:舞はこの曲の曲名考えててね 舞:あ、そっか 舞:どうしよう… 春:このバンドの曲って 春:なんとなーくファンタジーって感じの 春:曲名にしてたからなぁ 舞:そうだよね…うーん…あ! 春:浮かんだ? 舞:少し…だけね 0:【間】 直:って感じなんだけど、舞どう? 舞:すごい…すごいよ!直ちゃん! 舞:イメージぴったり! 直:そう?よかった 直:それで、曲名はできた? 春:へへーっ、凄いよ 舞:ちょ!春ちゃん! 舞:…曲名は『Mirror New World』 直:やっぱ才能あるよ、舞 舞:え!? 春:それと、3人の曲も!はい! 直:これは春が? 春:ううん、舞と一緒に 春:あとは直も考えてくれれば完成かな! 直:じゃあ完成させよう 0:【間】 春:できたね!直、舞! 舞:うん! 直:曲名は 春:もちろん!『Wonderland』! 直:よし!これで三曲完成! 直:そして、このタイミングで報告です! 舞:報告? 直:ライブ、決まったよ 春:じゃあ新曲お披露目だね! 舞:え!?え、ライブ!?もう!? 直:美咲さん気が早いからなぁ 直:新メンバーと新曲できたって言ったら 直:すぐに組み込んでくれたみたい 春:あはは、美咲さんらしいね 舞:え、待って!私、まだ準備が 直:舞、大丈夫だよ 直:失敗しても誰も怒らないし 直:楽しんでやろう 直:そうすればきっと皆んな分かってくれる 直:それに春だって初ライブのMCで噛んで 春:ちょっと!それ言わないでよ!直ぉ! 直:あはは!だから大丈夫 直:言ってもまだ時間あるし頑張ろう、舞 舞:う、うん!頑張る 舞:…それで春が噛んだって話は 春:舞まで!?もぉー!その話はいいじゃん! 0:【笑い合う3人】 0:【間】 春:えーっと、『Sora』、『水色のソラ』、『Wonderland』 春:それから… 直:舞の曲入れて4曲…あと1曲入れていいかも 春:うーん、それじゃあ 舞:Aliceは歌わないの? 春:あれはライブ向きじゃないかなーって 舞:そっか… 直:舞はそれが良かった? 舞:ううん!私が好きな曲ってだけで 舞:そうだよね、ライブだから観てくれる人のこと 舞:考えないといけないんだね 直:曲が多いバンドになると決めるのも大変そうだね 直:CDの発売でやるライブなら、そのアルバムから 直:決めればいいんだろうけど 春:Wonderlandはこれからずっとやっていきたいよね 直:そうだね 舞:じゃあミルクティーかな? 春:直は? 直:異論なし! 春:じゃあ、これで! 舞:いいの!? 春:舞の初舞台だし!私も異論なし! 直:よーし、曲が決まれば練習あるのみ! 直:2人とも!頑張ろ! 0:【間】 0:【ライブ当日】 舞:えっと…ここがこれで?え?アレ? 春:舞!顔!顔! 舞:え!?あ、え!? 直:緊張しすぎ!もっと肩の力抜いて! 直:はい、深呼吸! 舞:ふぅー 春:落ち着いた? 舞:ありがとう、2人とも 直:セッティング分からなかったら美咲さんいるから 直:まだリハだし、大丈夫 舞:うん、大丈夫 舞:…よし、いける 春:最初はSoraから行くよ 春:…じゃあ始めます! 0:【間】 舞:緊張した… 春:わかるよ、舞〜 春:私も最初ヤバかったもん 直:噛んだしね 春:また言う!? 舞:あはは 舞:そっか、私ステージに立つんだ 舞:(あの日から、一歩進んだ私が 舞:自分の世界を変えたんだ、だから) 舞:緊張するし、失敗もしちゃうかもしれないけど 舞:私、頑張るから!3人で楽しかった!って言えるように! 春:私も頑張る!新曲もあるしね! 直:じゃあ、アレやりますか? 春:アレ? 直:ちょっと憧れてたんだよね〜 直:ほら、集まって 直:…ライブ前にさ、メンバーで集まって円陣組んで 直:気合を入れる! 春:掛け声は? 舞:頑張るぞー? 直:あはは、僭越ながら私が…いくよ? 直:ネバワン!楽しむぞ! 春・舞:おー! 0:【間】 0:【ライブスタート】 春:今日は皆さんに報告です! 春:新メンバーの舞です! 舞:え!?あ、えっと、こんばんは! 直:あはは 直:まだまだ不慣れな3人ですが 直:これからも頑張っていきます! 春:次の曲は、一歩を踏み出せない、勇気が出ない 春:そんな女の子の曲です 春:だけど、一歩踏み出せば世界は変わる 春:…そうだよね、舞 舞:私が一歩踏み出せたから 舞:誰だって歩けるはず 舞:だから… 直:『Mirror New World』 0:【曲が始まる】 舞:(最初は暗い曲だったと自分でも思う 舞:だけど、春が言ってくれた 舞:この曲をどうしたいかって 舞:だから伝わるといいな 舞:誰だって一歩踏み出せるって 舞:その勇気を、歩き出す道を見つけられるって 舞:そして、私も…見つけられたって言えるように) 0:【間】 春:最後の曲です! 春:この曲は3人で作りました! 春:最後まで楽しんでいってください! 春:『Wonderland』 0:【間】 舞:…… 直:何、ぼーっとしてんの? 舞:え?あ、直ちゃん 舞:余韻が抜けなくて… 直:どうだった? 舞:…うん、すごく楽しかった 直:よかった 直:途中ドラム走ってたぞ 舞:え!?ご、ごめん! 直:あはは!けど私も楽しかった 直:やっぱり舞が来てくれてよかったよ 春:直ー!舞ー! 春:褒めてもらえたー! 舞:え? 春:新曲、どれもすごく良かったって! 春:舞の曲もみんな感動したーって! 舞:ほ、本当!? 春:うん!やったね!舞! 舞:うん! 舞:ありがとう2人とも 舞:本当に楽しかった 直:さぁー、忙しくなるぞー 春:え?何かあるの? 直:美咲さんと話してさ 直:美咲さんが正規メンバーの 直:ビストロビスタってわかるよね? 春:うん、観にも行ったから知ってるよ 直:あのバンドとちょっと色々とね 直:ま、それまでにすることあるから 直:はい、質問です! 舞:何? 直:この中で絵が上手い人! 春:絵!?絵かぁ… 舞:少しだけなら… 直:はい!じゃあ舞に描いてもらいます! 舞:え!?何を!? 直:このバンドのロゴ 直:私も春も手伝うからさ! 春:ロゴ!?嘘!楽しみ! 舞:え、私でいいの? 直:私、絵心ないし 直:プロに頼んでもいいけどお金が…ね? 舞:そんな!私、全然上手くないよ!? 春:とりあえず描いてみようよ! 春:明日みんなで集合! 0:【間】 0:【次の日】 春:え!?もう描いてきたの!? 舞:どう…かな? 舞:一応5パターンくらい描いたんだけど 春:…… 直:…… 舞:へ、変かな? 春:えぇー!? 直:どんな才能持ってんのよ! 直:うわっ!デジャヴだ! 春:私もなんかデジャヴ! 直:いや、歌詞も凄かったけど 直:絵も上手いじゃん 春:これ可愛い、あー!けどこっちも捨てがたい! 舞:よかった… 舞:えっとね、全部アリスを想像して描いたんだけど 直:わかるよ、これとかまさにそうだよね 春:あ! 直:春? 春:これがいい! 直:…うん、これがいいね 舞:あっ、それ 舞:私もこれかなって 春:決まりだね! 春:これシェチャ猫の尻尾? 舞:そう!丸の中がワンダーランドのイメージで 舞:中に3人いるのが私たち 直:円の周りをアリスっぽく飾ってるわけね 舞:これが帽子屋の帽子で、これが白うさぎで 春:トランプもある!…この中のドラゴンは? 舞:それはソラ 舞:春ちゃんが一番最初に書いた曲だから 舞:入れてみたんだ 春:アリスにもドラゴンっぽいのいるんだよねー! 春:けどソラかぁ…可愛い! 直:アリスに出てくるの怪物だからね 直:ソラの方がいいね 舞:へぇ、そんなキャラもいるんだ 舞:あ!えっとね、バンド名入れてるのは 舞:パソコンでフォント変えれるから 舞:そこは2人と相談しようと思って 春:このままでも十分だけど 春:あとで色々見てみよう! 直:よし、ロゴが決まったところで 直:次はアー写だね! 春:え!?それも撮るの!? 舞:な、なんか本物のアーティストみたい 直:何言ってんの!ライブにも出てるじゃない! 直:…まぁ、レコード会社に入ってるわけじゃないけど 春:そういえば 春:なんで急にロゴとか作るって言い出したの? 直:あ、そっか説明してなかったね 直:その美咲さんのバンドとね、話ししてさ 直:春とは去年観に行ったけど覚えてる? 直:豊音祭 春:あ!あの5月にあったやつ? 舞:豊音祭? 直:舞は知らない?ここら辺の地元のお祭りなんだけど 直:正式には、確か豊作祈願音楽祭だったかな? 直:まぁそこにね、毎年美咲さんたち出てるんだ 直:他にも地元のインディーズの人達もいるし 直:趣味でやってる、おじさんバンドとかもね 直:それで今年はそこに私たちも出てみないかって 春:えー!?ライブハウス以外でライブするってこと!? 直:そうなるね 舞:もしかして…いろんな人が観に来るんじゃ 直:私たちの目標は夏フェス! 直:まぁ、舞台は小さいかもしれないけどさ 直:野外ライブだから 直:夏フェスの予行練習と思って頑張ってみない? 春:…舞!頑張ろう! 春:私も緊張するけど、絶対楽しいよ! 舞:春ちゃん…うん! 舞:私も頑張る! 直:よし、決意も固まったところで 直:アー写撮りに行くぞー! 春・舞:おー! 0:【間】 春:うわぁー… 舞:美咲さんの写真もされるんですか? 直:多才ですよねー… 春:すごい!本物だ! 直:どう言う意味よ、それ 直:…なにしてんの春? 春:待ち受けにしようとしてる 直:後で美咲さんからデータ送って貰えば? 春:はっ!その手があったか! 春:美咲さん!お願いします! 舞:けど、春ちゃんの言う通り 舞:こうやってみると本物のアーティストみたい 直:恥ずかしいけど、何か気合入るね 春:よーし!本番まで練習頑張るぞー! 0:【間】 舞:(それから私たちは豊音祭に出た 舞:何人か学校の人がいたのが見えた気がする 舞:最初は緊張したけど、後ろから見る2人の背中が 舞:時々、振り返って笑顔を送ってくれる2人に救われながら 舞:2人に笑い返せるくらいに楽しくて仕方がない 舞:そう思えるほどに私は…) 0:【間】 春:ま…ぃ…舞!…舞! 舞:ふぇ!?え?あれ?春ちゃん? 直:何?どうかした? 春:舞が寝てた 直:ちょ!大丈夫!? 直:もうすぐ出番だよ! 舞:え?出番? 春:今日はボイロックでしょ! 舞:ボイロック… 直:しっかりしてよ 直:やっと私たちの、夢の夏フェスなんだから 舞:…あ!そっか! 舞:ごめん! 春:緊張して眠れなかったの 春:私だけじゃなくてよかったー! 直:そういうことじゃないでしょ! 直:はぁー…気合入れ直すよ!集まって! 春:今日は思い切り楽しもう! 直:まだ一番小さいステージだけど 直:夏フェスに出れたんだ 直:次は一番大きいメインステージ目指すよ! 舞:うん! 舞:…3人でいつまでも 春:不思議な国へ 直:ネバワン!行くよ! 0:【間】 舞:ぅ…ん 春:舞、疲れてるなぁ 直:豊音祭に、それからすぐに新曲作ったりしたからね 春:もう少し寝かせてあげる? 直:そうだね…あっ 舞:…あれ?2人ともボイロックは? 春:ボイロック?なんで夏フェス? 直:ははーん、なるほどねぇ 舞:え?…あ!私、寝ちゃってた!? 直:どうだった?夏フェスのステージは? 舞:うぅ…言わないで〜… 春:あはは! 春:けど、いいなぁ、夢でもステージに行けて 直:いつか正夢になるから 直:春は楽しみにとっときなさい 春:そうだね、そうなるといいね 舞:……行けるよ、絶対 春:舞… 春:…じゃあ、夏フェスに一足先に立った舞先輩に 春:新曲書いてもらおーっと! 舞:えぇ!? 0:【少し間】 舞:(自分に自信が持てなくて、何も好きになれなくて 舞:2人を初めてみた時、私も何かを 舞:好きになれるのか不安だった 舞:だけど、あの時勇気を出した一歩が私を変えた 舞:ううん、2人が変えてくれたのかも 舞:今でも私は自分に自信が持てるわけじゃない 舞:だけど、大切なものを見つけられた 舞:2人と過ごした、この不思議な世界で、私は…) 舞:…あのね 舞:…私… 春:ん?何? 直:どした? 舞:直!、春! 0:【顔を見つめ合う直と春】 春:…! 直:…! 舞:大好きだよ 舞:(3人でいつまでも、この不思議な世界で) 0:【終わり】