台本概要
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タイトル | 私と新月の中に堕ちてくれますか。 |
---|---|
作者名 | 彼方 (@kanata_nozomu) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
作品及び世界観を大切にしてくださる方が演じてください。 自己解釈あり。 性別指定はありますが、作品を壊さないのであれば、性別に固執しなくて構いません。 非商用利用時は連絡不ですが作者のモチベーションに繋がるので連絡していただけると喜びます。 314 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
女 | 女 | 20 | 問う女 |
男 | 男 | 17 | 返す男 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
女:錆びた階段を、1人ゆっくりと上っていく。
コツコツと、足音が反響する以外に聞こえるものは無かった。
女:月明かりに照らされる屋上。人影は見当たらなかった。
頭から私を照らす光に、自然と視線が注目する。
0:
女:「月が綺麗ですね。」
0:
女:不意にその言葉が口をついた。
男:「愛することは命懸けですよ。」
女:「…」
男:「こんばんは。」
女:「なに、その返し」
男:「太宰治です。『雌(めす)に就(つ)いて』という作品です。よく分からないお話でした」
女:「彼の言葉に、貴方はそう返すの?」
男:「さぁ、どうでしょう。」
女:「…太宰治が好きなの?」
男:「いいえ、嫌いですよ」
女:「そう。」
女:意味の無い言葉遊び。不思議と、嫌ではなかった。
男:「月はお好きですか?」
女:「どちらでもないわ」
男:「そうですか。僕は好きです。」
女:それ以上、どちらも何も言わなかった。ただ、先程より男の三日月が深まったように感じた。
女:「月は、好きでも嫌いでもないけれど、ただ、綺麗だとは思うの。」
男:「独りでは輝けないとしても?」
女:「確かに、月は独りでは輝けない。だけど、輝いていることに変わりはないでしょう?」
男:「それが夜だけだとしても?」
女:「その代わり、主役になれるわ。夜空という舞台の主役に。」
男:「それは、これからも変わりありませんか?」
女:「えぇ、変わらないわ。」
男:「では、月が独りで輝くことは、ないんですね」
女:「その代わり、輝くのをやめることもないわ」
男:「夏目漱石が何故『月』を使ったのか、知っていますか?」
女:「何となくなら、わかるわよ」
男:「…何故彼は、あのように言ったのでしょう」
女:「なら、貴方は何故、あんな風に返したの?」
女:その問いに、男はまた、笑みを深めただけだった。
女:「ねぇ、貴方は私と一緒に新月の中に堕ちてくれる?」
男:「…あぁ、実に貴女らしい」
女:「そうかしら」
男:「えぇ、そうですよ」
女:「ところで、返事はくれないの?」
男:「あぁ、これは失礼しました」
女:「貴方の返しは?」
男:「(貴方なりの返しをどうぞ)」
女:錆びた階段を、1人ゆっくりと上っていく。
コツコツと、足音が反響する以外に聞こえるものは無かった。
女:月明かりに照らされる屋上。人影は見当たらなかった。
頭から私を照らす光に、自然と視線が注目する。
0:
女:「月が綺麗ですね。」
0:
女:不意にその言葉が口をついた。
男:「愛することは命懸けですよ。」
女:「…」
男:「こんばんは。」
女:「なに、その返し」
男:「太宰治です。『雌(めす)に就(つ)いて』という作品です。よく分からないお話でした」
女:「彼の言葉に、貴方はそう返すの?」
男:「さぁ、どうでしょう。」
女:「…太宰治が好きなの?」
男:「いいえ、嫌いですよ」
女:「そう。」
女:意味の無い言葉遊び。不思議と、嫌ではなかった。
男:「月はお好きですか?」
女:「どちらでもないわ」
男:「そうですか。僕は好きです。」
女:それ以上、どちらも何も言わなかった。ただ、先程より男の三日月が深まったように感じた。
女:「月は、好きでも嫌いでもないけれど、ただ、綺麗だとは思うの。」
男:「独りでは輝けないとしても?」
女:「確かに、月は独りでは輝けない。だけど、輝いていることに変わりはないでしょう?」
男:「それが夜だけだとしても?」
女:「その代わり、主役になれるわ。夜空という舞台の主役に。」
男:「それは、これからも変わりありませんか?」
女:「えぇ、変わらないわ。」
男:「では、月が独りで輝くことは、ないんですね」
女:「その代わり、輝くのをやめることもないわ」
男:「夏目漱石が何故『月』を使ったのか、知っていますか?」
女:「何となくなら、わかるわよ」
男:「…何故彼は、あのように言ったのでしょう」
女:「なら、貴方は何故、あんな風に返したの?」
女:その問いに、男はまた、笑みを深めただけだった。
女:「ねぇ、貴方は私と一緒に新月の中に堕ちてくれる?」
男:「…あぁ、実に貴女らしい」
女:「そうかしら」
男:「えぇ、そうですよ」
女:「ところで、返事はくれないの?」
男:「あぁ、これは失礼しました」
女:「貴方の返しは?」
男:「(貴方なりの返しをどうぞ)」