台本概要

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タイトル 森杉君のXデー
作者名 0000  (@3156_saikoro_24)
ジャンル コメディ
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 20 分
台本使用規定 商用、非商用問わず連絡不要
説明 <関係性>

二人は高校に入ってからの友達(関わり出して約二年半)

<ストーリー>

森杉が林にご飯(ラーメン屋)に誘って物語は始まる。

<注意>

※どこで使っても構いません(有料配信を含む)

※著作権は手放していません

※自作発言、転載、改変等は止めてください。常識の範囲内でご使用ください

※多少の語尾変更、一人称の変化はご自由にどうぞ

※使う場合は拡散してくれると有難い(SNSでシェアとか嬉しい(*^^*))

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
森杉 70 ・森杉:高校三年生男子 →特徴『もり』を巧みに表現する。
70 ・林:高校三年生女子 →特徴『もり』に反応してしまう。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
林:「ラーメン屋なんて何年ぶりだろう」 森杉:「22年ぶり」 林:「んなわけないでしょ! 私たち、まだ18歳よ? せいぜい2年ぶりってところだって」 森杉:「あの日から、もう……2年か」 林:「覚えてなかったくせに。何その言い方」 森杉:「そう気にしない気にしない。それより、とりあえず注文しようか」 林:「え、ええ」 森杉:「店員さん、この豚骨ラーメン。ニンニクマシマシ、野菜マシマシ、油マシマシで」 林:「す、凄いわね。全てが『盛り』だくさんっていうか。んー、じゃあ私はこの?油ラーメンをお願いします。ふぅ、注文ってあまり得意じゃないんだよね。この気持ち分かる?」 森杉:「僕には分からないかな」 林:「えー、なんか緊張しない?」 森杉:「それは注文だと思って注文するからだよ」 林:「いやいや、注文してるんだから注文だと思うでしょ」 森杉:「その考え方がダメなんだよ。注文は命令だと思えばいい。客は神様だからね」 林:「それは店側がいう言葉よ。まったくもう……適当なことばっかり言って」 森杉:「僕は水を入れて来るよ」 林:「あ、うん。ありがとう」 0:林ナレーション風「森杉君が両手に水を『持って』戻って来た」 林:「本当にありが……って、な、何その、氷の量……」 森杉:「ん?」 林:「『盛り』過ぎでしょ!」 森杉:「これぐらい有名ハンバーガーチェーンに比べれば――」 林:「確かに有名ハンバーガーチェーンは氷でかさ増ししてるって言われてるけど、そこまでじゃないわよ。森杉君が入れて来た水。9割ぐらい氷だよ?」 森杉:「氷はいずれ水に変わる。つまり、これは10割水ってことだよ!」 林:「そんな滅茶苦茶な。はぁ……」 森杉:「なぁキムチ食べるけど『森』も食べるか?」 林:「あ、お願い。後、私は『森』じゃなくて林ね。木の数を『盛らない』で!」 森杉:「キムチこれぐらい?」 林:「森杉君? 皿にキムチを『盛り』付けてくれたのは嬉しいんだけど、いくら何でもこれは『盛り』過ぎなのよ。韓国人でも一回の食事でキムチをこんなには食べないと思うわ」 森杉:「いいや、林。君は韓国人を舐めすぎだ。彼ら彼女らはこれの三倍は一回の食事で摂取するらしいぞ」 林:「え、マジ?」 森杉:「知らんけど」 林:「もー何なのよっ!」 森杉:「氷でも舐めて頭を冷やしな」 林:「そのための大量の氷だったの?」 森杉:「さぁ。それより天気悪いね」 林:「唐突に何? まぁ森杉君が言うように今日は天気が悪くて、空はどんよりとしてるわね。これぞ『曇り』って感じ」 森杉:「日も暮れてヴァンパイアの周りを飛び交う奴が出てきそう。えーっと、名前は何だっけ?」 林:「『コウモリ』ね」 森杉:「それそれ。飛び始めそうだよね。あ、トカゲに似たやつも窓をペタペタしそうじゃない?」 林:『ヤモリ』ね」 森杉:「てか、今何時?」 林:「時間ぐらい自分のスマホで見なよ。え、えっとね……丁度21時だね」 森杉:「おっ! 金曜日の夜21時。そろそろグラサン司会者が挨拶してる頃かな」 林:「グラサン司会者って、『タモリ』さんのことよね。そんな呼び方してる人、初めてだよ。普通はタモリさんか、タモさんでしょ」 森杉:「あ、街灯が!」 林:「『灯り』だしたね。街灯に反応するなんて虫みたい」 森杉:「それ酷くないか?」 林:「酷くないわ。本当のことを言っただけだもん!」 森杉:「本当のことなら尚更酷いよ……あーもうやけ酒だ! やけ酒! あ、店員さん。琉球名物の焼酎ありますか?」 林:「それは『泡盛』ね。そもそも何がやけ酒よ。私たちまだ未成年だから飲めないでしょ。店員さん、ごめんなさい。はぁ、もう変なこと言うの止めてよね!」 森杉:「18歳で成人ってことになったよね? お酒は違うの?」 林:「そうよ。今年受験なのに大丈夫そ?」 森杉:「問題ない」 林:「進路どこだっけ?」 森杉:「ハーバード大学」 林:「いや、それはかなり『盛り』過ぎ。で、本当は?」 森杉:「東京大学」 林:「それも『盛ってる』と言いたいところだけど、森杉君は全国共通テストで全教科全国1位だもんね」 森杉:「うん。全教科100点取ったら、たまたま1位になった」 林:「それはたまたまじゃないのよ。あー羨ましい」 森杉:「おっ、来た来た! ラーメン美味そう!」 林:「だね。にしても、実物を見ると盛りに盛ったわね、そのラーメン」 森杉:「確かに。いざ食べようとすると、た、食いにくい……」 0:林ナレーション風『数分後、私たちは?を啜りに啜って器の中身を空にした』 森杉:「ごちそうさま」 林:「ごちそうさまでした。美味しかったわね」 森杉:「お腹いっぱいで死にそう」 林:「バカみたいにトッピングを『盛る』からよ」 森杉:「マジで少し食(く)ってくれて助かった」 林:「ま、まぁ残すの見越して私はあっさりした?油ラーメンにしてたし」 森杉:「流石、我が親友!」 林:「ちょ、勝手に友達から親友に『盛らない』でよね!」 森杉:「……」 林:「ねぇ、急に口ご『もって』どうしたの?」 森杉:「し、親友じゃない……って」 林:「ちょ、そんな、そんなあからさまにテンション『盛り』下がらないでよ。今のは冗談というか何と言うか」 森杉:「もう今日帰ったら部屋から出ない。絶対に出ない」 林:「『引きこもり』になる『つもり』!?」 森杉:「もちろん林が学校休んで面倒見てくれるよな?」 林:「私に責任を『持って』『子守り《こもり》』をしろって言うの?」 森杉:「そうだよ。だって、なまはげ出たらどうする? 死ぬよ!?」 林:「ここは秋田じゃないから。後、死なないから安心して」 森杉:「だとしても、もしかしたら泥棒が入ってきて、それで――」 林:「もー、分かった。分かったわよ! 私たちは親友。これでいいでしょ?」 森杉:「今はそれでいい……いいことにしといてあげる!」 林:「何よ、そのツンデレヒロインみたいな反応。はぁ……キモ」 森杉:「り」 林:「何で罵倒を了解してるのよ。本当に意味分からない。それより今日、ご飯に誘った理由って何なの?」 森杉:「一つ聞きたいことがあって」 林:「え、何その声のトーン。怖いんだけど」 森杉:「何で林は僕が『盛る』といちいち反応するのかなーって思ってさ。聞きたかったんだよね」 林:「え、それは……なんかツッコみたくなるというか。んー考えたこともなかったかも。でも、急にそんなこと言い出してどうしたの?」 森杉:「いや、自分も『盛り』に『盛って』るのに、よく毎回反応出来るなと思って」 林:「私が『盛って』る? いつ?」 森杉:「今も化粧で顔を完全に『盛って』る」 林:「それは私だって女の子だし!」 森杉:「胸にパットを6枚も入れてる」 林:「なっ、何でそれを知ってるのよ!」 森杉:「クラス女子が言ってるのを耳にした。パット6枚も入れて胸筋凄くなりそうだね」 林:「これは『おもり』じゃないから。はぁ、最悪……」 森杉:「『おもり』じゃないなら何なの?」 林:「胸を大きく見せてるの! 森杉君が言う通り『盛って』るのっ!」 森杉:「なるほど。そんなに怒らなくていいのに」 林:「恥ずかしいのよ」 森杉:「そう恥ずかしがることはない。平家(へいけ)の一族の名前には『盛り』がよく付いている。だから、別に林が盛ってても恥ずかしいことじゃないよ!」 林:「ねぇっ! 勝手に私を平家の一族にしないで! 確かに平家の一族には、平敦盛(たいらのあつもり)や平兼盛(たいらのかねもり)、平清盛(たいらのきよもり)、平維盛(たいらのこれもり)、平貞盛(たいらのさだもり)、平重盛(たいらのしげもり)、平忠盛(たいらのただもり)、平知盛(たいらのとももり)、平教盛(たいらののりもり)、平頼盛(たいらのよりもり)……そして平宗盛(たいらのむねもり)がいるけどさ!」 森杉:「詳しすぎないか? 僕でもそこまでは覚えてないよ」 林:「はぁ? こんなの九九を覚えるぐらい常識でしょ!」 森杉:「ちょ、落ち着いて」 林:「……私だって胸……欲しかった……」 森杉:「成長期はこれからだよ!」 林:「もう高3の受験時期なのよ? それで、コレって……」 森杉:「僕は林を傷付ける『つもり』はなかった。ただ僕は林には何も『盛らない』で欲しかったんだ」 林:「え、どういうこと?」 森杉:「林は化粧しなくても可愛いし、胸にパット6枚入れなくても魅力的なスタイルをしている。だから、『盛らない』でほしい。ありのままの林が一番良いと思うんだ」 林:「でも……」 森杉:「でもじゃない! 周りが厚化粧しようが、パットを9枚入れようが、写真の加工で顔面の形から色々と修正しようが……林はそんなことする必要ない。そのままが一番良い。一番魅力的だ!」 林:「な、何なのよ。急に……」 森杉:「僕は林が……好きだ。そう『盛らない』。ありのままの君が好きなんだ」 林:「ま、待って! 急展開すぎるから!」 森杉:「だから、僕と……僕と! 結婚してくださいっ!」 林:「おいっ! 『盛る』な! 段階を1個、いや、6個ぐらい飛ばしてるからっ!」 森杉:「ん?」 林:「私たち、まだ付き合ってもないから」 森杉:「それもそうだった」 林:「後、付き合うとしても条件がある」 森杉:「何?」 林:「森杉君の『もり』をどうにかしてほしい」 森杉:「うん、分かった!」 林:「い、意外と聞き分けがいいわね」 森杉:「じゃあ僕は今日から『森杉』。改め『杉』になります!」 林:「ちっがぁーう! 今のはそういう意味じゃないからっ!」 森杉:「え?」 林:「はぁ、まあいいか」 森杉:「なんか納得してくれた。ってことは正式に結婚――」 林:「じゃなくて、お付き合いからだから! そこ『盛らない』で!」 森杉:「でもさ、いずれは結婚するでしょ?」 林:「色々と早いから。それは今後次第って感じ」 森杉:「そっか。とりあえず親友から彼女になってくれて嬉しい」 林:「そ、それは良かったわね。え、えっと私、付き合うとか初めてで分からないけど、こ、これから、よろしく、ね?」 森杉:「うん! 一生『守り』ます!」

林:「ラーメン屋なんて何年ぶりだろう」 森杉:「22年ぶり」 林:「んなわけないでしょ! 私たち、まだ18歳よ? せいぜい2年ぶりってところだって」 森杉:「あの日から、もう……2年か」 林:「覚えてなかったくせに。何その言い方」 森杉:「そう気にしない気にしない。それより、とりあえず注文しようか」 林:「え、ええ」 森杉:「店員さん、この豚骨ラーメン。ニンニクマシマシ、野菜マシマシ、油マシマシで」 林:「す、凄いわね。全てが『盛り』だくさんっていうか。んー、じゃあ私はこの?油ラーメンをお願いします。ふぅ、注文ってあまり得意じゃないんだよね。この気持ち分かる?」 森杉:「僕には分からないかな」 林:「えー、なんか緊張しない?」 森杉:「それは注文だと思って注文するからだよ」 林:「いやいや、注文してるんだから注文だと思うでしょ」 森杉:「その考え方がダメなんだよ。注文は命令だと思えばいい。客は神様だからね」 林:「それは店側がいう言葉よ。まったくもう……適当なことばっかり言って」 森杉:「僕は水を入れて来るよ」 林:「あ、うん。ありがとう」 0:林ナレーション風「森杉君が両手に水を『持って』戻って来た」 林:「本当にありが……って、な、何その、氷の量……」 森杉:「ん?」 林:「『盛り』過ぎでしょ!」 森杉:「これぐらい有名ハンバーガーチェーンに比べれば――」 林:「確かに有名ハンバーガーチェーンは氷でかさ増ししてるって言われてるけど、そこまでじゃないわよ。森杉君が入れて来た水。9割ぐらい氷だよ?」 森杉:「氷はいずれ水に変わる。つまり、これは10割水ってことだよ!」 林:「そんな滅茶苦茶な。はぁ……」 森杉:「なぁキムチ食べるけど『森』も食べるか?」 林:「あ、お願い。後、私は『森』じゃなくて林ね。木の数を『盛らない』で!」 森杉:「キムチこれぐらい?」 林:「森杉君? 皿にキムチを『盛り』付けてくれたのは嬉しいんだけど、いくら何でもこれは『盛り』過ぎなのよ。韓国人でも一回の食事でキムチをこんなには食べないと思うわ」 森杉:「いいや、林。君は韓国人を舐めすぎだ。彼ら彼女らはこれの三倍は一回の食事で摂取するらしいぞ」 林:「え、マジ?」 森杉:「知らんけど」 林:「もー何なのよっ!」 森杉:「氷でも舐めて頭を冷やしな」 林:「そのための大量の氷だったの?」 森杉:「さぁ。それより天気悪いね」 林:「唐突に何? まぁ森杉君が言うように今日は天気が悪くて、空はどんよりとしてるわね。これぞ『曇り』って感じ」 森杉:「日も暮れてヴァンパイアの周りを飛び交う奴が出てきそう。えーっと、名前は何だっけ?」 林:「『コウモリ』ね」 森杉:「それそれ。飛び始めそうだよね。あ、トカゲに似たやつも窓をペタペタしそうじゃない?」 林:『ヤモリ』ね」 森杉:「てか、今何時?」 林:「時間ぐらい自分のスマホで見なよ。え、えっとね……丁度21時だね」 森杉:「おっ! 金曜日の夜21時。そろそろグラサン司会者が挨拶してる頃かな」 林:「グラサン司会者って、『タモリ』さんのことよね。そんな呼び方してる人、初めてだよ。普通はタモリさんか、タモさんでしょ」 森杉:「あ、街灯が!」 林:「『灯り』だしたね。街灯に反応するなんて虫みたい」 森杉:「それ酷くないか?」 林:「酷くないわ。本当のことを言っただけだもん!」 森杉:「本当のことなら尚更酷いよ……あーもうやけ酒だ! やけ酒! あ、店員さん。琉球名物の焼酎ありますか?」 林:「それは『泡盛』ね。そもそも何がやけ酒よ。私たちまだ未成年だから飲めないでしょ。店員さん、ごめんなさい。はぁ、もう変なこと言うの止めてよね!」 森杉:「18歳で成人ってことになったよね? お酒は違うの?」 林:「そうよ。今年受験なのに大丈夫そ?」 森杉:「問題ない」 林:「進路どこだっけ?」 森杉:「ハーバード大学」 林:「いや、それはかなり『盛り』過ぎ。で、本当は?」 森杉:「東京大学」 林:「それも『盛ってる』と言いたいところだけど、森杉君は全国共通テストで全教科全国1位だもんね」 森杉:「うん。全教科100点取ったら、たまたま1位になった」 林:「それはたまたまじゃないのよ。あー羨ましい」 森杉:「おっ、来た来た! ラーメン美味そう!」 林:「だね。にしても、実物を見ると盛りに盛ったわね、そのラーメン」 森杉:「確かに。いざ食べようとすると、た、食いにくい……」 0:林ナレーション風『数分後、私たちは?を啜りに啜って器の中身を空にした』 森杉:「ごちそうさま」 林:「ごちそうさまでした。美味しかったわね」 森杉:「お腹いっぱいで死にそう」 林:「バカみたいにトッピングを『盛る』からよ」 森杉:「マジで少し食(く)ってくれて助かった」 林:「ま、まぁ残すの見越して私はあっさりした?油ラーメンにしてたし」 森杉:「流石、我が親友!」 林:「ちょ、勝手に友達から親友に『盛らない』でよね!」 森杉:「……」 林:「ねぇ、急に口ご『もって』どうしたの?」 森杉:「し、親友じゃない……って」 林:「ちょ、そんな、そんなあからさまにテンション『盛り』下がらないでよ。今のは冗談というか何と言うか」 森杉:「もう今日帰ったら部屋から出ない。絶対に出ない」 林:「『引きこもり』になる『つもり』!?」 森杉:「もちろん林が学校休んで面倒見てくれるよな?」 林:「私に責任を『持って』『子守り《こもり》』をしろって言うの?」 森杉:「そうだよ。だって、なまはげ出たらどうする? 死ぬよ!?」 林:「ここは秋田じゃないから。後、死なないから安心して」 森杉:「だとしても、もしかしたら泥棒が入ってきて、それで――」 林:「もー、分かった。分かったわよ! 私たちは親友。これでいいでしょ?」 森杉:「今はそれでいい……いいことにしといてあげる!」 林:「何よ、そのツンデレヒロインみたいな反応。はぁ……キモ」 森杉:「り」 林:「何で罵倒を了解してるのよ。本当に意味分からない。それより今日、ご飯に誘った理由って何なの?」 森杉:「一つ聞きたいことがあって」 林:「え、何その声のトーン。怖いんだけど」 森杉:「何で林は僕が『盛る』といちいち反応するのかなーって思ってさ。聞きたかったんだよね」 林:「え、それは……なんかツッコみたくなるというか。んー考えたこともなかったかも。でも、急にそんなこと言い出してどうしたの?」 森杉:「いや、自分も『盛り』に『盛って』るのに、よく毎回反応出来るなと思って」 林:「私が『盛って』る? いつ?」 森杉:「今も化粧で顔を完全に『盛って』る」 林:「それは私だって女の子だし!」 森杉:「胸にパットを6枚も入れてる」 林:「なっ、何でそれを知ってるのよ!」 森杉:「クラス女子が言ってるのを耳にした。パット6枚も入れて胸筋凄くなりそうだね」 林:「これは『おもり』じゃないから。はぁ、最悪……」 森杉:「『おもり』じゃないなら何なの?」 林:「胸を大きく見せてるの! 森杉君が言う通り『盛って』るのっ!」 森杉:「なるほど。そんなに怒らなくていいのに」 林:「恥ずかしいのよ」 森杉:「そう恥ずかしがることはない。平家(へいけ)の一族の名前には『盛り』がよく付いている。だから、別に林が盛ってても恥ずかしいことじゃないよ!」 林:「ねぇっ! 勝手に私を平家の一族にしないで! 確かに平家の一族には、平敦盛(たいらのあつもり)や平兼盛(たいらのかねもり)、平清盛(たいらのきよもり)、平維盛(たいらのこれもり)、平貞盛(たいらのさだもり)、平重盛(たいらのしげもり)、平忠盛(たいらのただもり)、平知盛(たいらのとももり)、平教盛(たいらののりもり)、平頼盛(たいらのよりもり)……そして平宗盛(たいらのむねもり)がいるけどさ!」 森杉:「詳しすぎないか? 僕でもそこまでは覚えてないよ」 林:「はぁ? こんなの九九を覚えるぐらい常識でしょ!」 森杉:「ちょ、落ち着いて」 林:「……私だって胸……欲しかった……」 森杉:「成長期はこれからだよ!」 林:「もう高3の受験時期なのよ? それで、コレって……」 森杉:「僕は林を傷付ける『つもり』はなかった。ただ僕は林には何も『盛らない』で欲しかったんだ」 林:「え、どういうこと?」 森杉:「林は化粧しなくても可愛いし、胸にパット6枚入れなくても魅力的なスタイルをしている。だから、『盛らない』でほしい。ありのままの林が一番良いと思うんだ」 林:「でも……」 森杉:「でもじゃない! 周りが厚化粧しようが、パットを9枚入れようが、写真の加工で顔面の形から色々と修正しようが……林はそんなことする必要ない。そのままが一番良い。一番魅力的だ!」 林:「な、何なのよ。急に……」 森杉:「僕は林が……好きだ。そう『盛らない』。ありのままの君が好きなんだ」 林:「ま、待って! 急展開すぎるから!」 森杉:「だから、僕と……僕と! 結婚してくださいっ!」 林:「おいっ! 『盛る』な! 段階を1個、いや、6個ぐらい飛ばしてるからっ!」 森杉:「ん?」 林:「私たち、まだ付き合ってもないから」 森杉:「それもそうだった」 林:「後、付き合うとしても条件がある」 森杉:「何?」 林:「森杉君の『もり』をどうにかしてほしい」 森杉:「うん、分かった!」 林:「い、意外と聞き分けがいいわね」 森杉:「じゃあ僕は今日から『森杉』。改め『杉』になります!」 林:「ちっがぁーう! 今のはそういう意味じゃないからっ!」 森杉:「え?」 林:「はぁ、まあいいか」 森杉:「なんか納得してくれた。ってことは正式に結婚――」 林:「じゃなくて、お付き合いからだから! そこ『盛らない』で!」 森杉:「でもさ、いずれは結婚するでしょ?」 林:「色々と早いから。それは今後次第って感じ」 森杉:「そっか。とりあえず親友から彼女になってくれて嬉しい」 林:「そ、それは良かったわね。え、えっと私、付き合うとか初めてで分からないけど、こ、これから、よろしく、ね?」 森杉:「うん! 一生『守り』ます!」