台本概要

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タイトル エレベーター【怪談】
作者名 音佐りんご。  (@ringo_otosa)
ジャンル コメディ
演者人数 1人用台本(不問1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 エレベーターなのに「かいだん」というボケは置いといて、エレベーターと鏡をモチーフにした怪談です。
語り手の言葉とオチが軽いので、多分コメディ。異論は認める。

▲あらすじ▽
仕事終わり、いつものようにエレベーターの鏡で目の下のクマをチェックしていると、誰かが乗り込んできて……。そういう下りの怪談です。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
不問 68 語り手。名前は後藤。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:エレベーター【怪談】 : 0:△▼▲▽ : 僕:エレベーターの中ってよく鏡あるじゃないですか。 : 僕:姿見みたいに大きいやつとか、上の方にちょこんとついた小さいカーブミラーみたいなやつとか。 : 僕:あれって身嗜み整えるためとか防犯目的だとか言ったりしますけど、ほんとのところは車いすの人が利用した時、後ろ向きで出るのに便利なように、みたいな理由あったりするそうですね。 : 僕:僕があの鏡でチェックするの大抵目の下のクマなんですけどね。 : 僕:さておき、僕の職場のエレベーターにも足までうつる大きな鏡あったんですけど、これはその職場のエレベーター――呪いのエレベーターの話。 : 僕:さっきも言いましたけど、僕、エレベーター乗るといつもクマチェックするんですよ。 : 僕:というのも、仕事が繁忙期で残業続いてて、あんまり眠れてなかったんです。 : 僕:その日もだから、乗ったらボタン押してそのまま鏡っていう流れで扉側に背を向けてたんですよ。 : 僕:さっき防犯の話しましたけど、背中向けてても人が乗り込んできたら分かるじゃないですか。鏡で。 : 僕:その時も鏡越しに男性社員が乗ってきたのに気付きました。 : 僕:こいつめっちゃ鏡見てんじゃんって思われるのなんか恥ずかしくて、鏡見たままとりあえず、 : 僕:「お疲れさまです。」 : 僕:って言ったんですよ。いやー最近忙しいっすねとか。 : 僕:返事返ってこないんですよね。 : 僕:残業仲間なのにリアクション無いの寂しいなとか思ってたんですけど、なんか、鏡にうつる爪先こっち向いてるんですよね。 僕:つまり僕の背中じっと見てるわけですね。 : 僕:何故? : 僕:で、よくよく考えたら、オフィスに今残ってるのって上司だけのはずなんですよ。 僕:いや、上司置いて先に上がって良いのかよってつっこみはこの際置いといて……女性なんですよ。 : 僕:ヒールなんですよ。僕の上司。 : 僕:鏡にうつってるの……、 : 僕:革靴。 : 僕:で、扉閉まりました。 : 僕:あ、これやっべ。 : 僕:そう思って、あー残業きついなーとか、上司にLINEしなきゃ! とか言って、誤魔化して、あと、クマめっちゃ確認。 : 僕:まぁでも偶々迷い込んできた人かも知れないし、業者さんの可能性も否定は出来ない。 : 僕:時計見たらほぼ深夜0時。 : 僕:あり得る? それ。 : 僕:そうこうしてるうちに一階。 : 僕:やった! : 僕:過去いちきれいな回れ右でした。 僕:不審者、それとも……さぁどっち!? : 0:間。 : 僕:……いや、居ないんですよね。 : 僕:マジで誰も。 : 僕:僕、ダッシュでかご出て退社。 僕:ゲットワイルド歌いましたね。 : 僕:何もこわくはない~とか言って。 : 僕:でもふと頭を過ったんです。 : 僕:あ、上司。 : 僕:引き返しながら電話しました。 : 僕:「もしもし後藤です! 高橋さん、会社まだ居ますか!」 : 僕:不機嫌そうに出た彼女に経緯説明して、 : 僕:「高橋さん、僕と一緒に帰りましょう!」 : 僕:って言いました。 : 僕:ちょうど帰るとこだったらしくて上司、半笑いでいいよって。 僕:もうね、まじ女神。 : 僕:でも、一緒に帰ろうって言ったのは良いんですけど、僕、ビルに入ってエレベーターの前まで辿り着いてから、ボタン押すのめっちゃ躊躇してたんですよね。 僕:これ、エレベーター呼んで大丈夫なやつ? : 僕:非常階段から行こうかと思ったんですけど、うちの非常階段、半物置と化してて蛍光灯も切れてるし、それはそれで怖いんですよね。 : 僕:「それでも高橋さんの為に行くしかねぇ! 怖いけど……!」 : 僕:とか、電話で言ってたら「びびりの後藤君のために私が迎えに行くよ。待ってて」って。 : 僕:いや、ほんと僕、情けない。そして上司たのもしい。 : 僕:でもその後彼女こう言ったんです。 : 僕:でも、 : 僕:「うちのエレベーター、鏡なんてあったっけ?」 : 僕:「え?」 : 僕:電話切れました。 : 僕:動き出すエレベーター。汗ぶわーって出る。 : 僕:扉が開く。 : 僕:降りてきたのは、上司。 : 僕:ほっとしながら、恐る恐る上司の背後見たんですよ。 僕:鏡なんて無かったです。 : 僕:おわり。 : 僕:ちなみに、その一件以来、僕と高橋さんは一緒に帰るようになり、この度、お付き合いすることになりました。 : 僕:以上、のろけのエレベーターでした。 : 僕:冗談です。 : 僕:ああ、そういえばうちのエレベーターって6人乗りなんですけど、5人でもブザー鳴るときあるとか。誰もボタン押してないのに勝手に止まったり、ドア閉まったりするっていう噂があります。 : 僕:まぁ、ことの真相は分からないんですけど、鏡の件も、革靴の男の件も、もしかしたら僕以外の社員で知ってる人居るかも知れませんね。 : 僕:高橋さんと一緒に帰るようになってからはずっと、鏡付きのエレベーターを見ていませんが、それでもなんとなく、エレベーターの中でスマホとか見ないようにしてます。 : 僕:何でって? : 僕:もし映り込んだりしたら嫌じゃ無いですか。スマホの画面に反射とかして。 : 0:間。 : 僕:さて、皆さん。 : 僕:皆さんの職場のエレベーターにはついていますか? 鏡。 : 僕:でもそれって、本当に鏡ですか? もしかして、別のモノがついていたりなんか……しませんよね? : 僕:以上、呪いのエレベーターでした。

0:エレベーター【怪談】 : 0:△▼▲▽ : 僕:エレベーターの中ってよく鏡あるじゃないですか。 : 僕:姿見みたいに大きいやつとか、上の方にちょこんとついた小さいカーブミラーみたいなやつとか。 : 僕:あれって身嗜み整えるためとか防犯目的だとか言ったりしますけど、ほんとのところは車いすの人が利用した時、後ろ向きで出るのに便利なように、みたいな理由あったりするそうですね。 : 僕:僕があの鏡でチェックするの大抵目の下のクマなんですけどね。 : 僕:さておき、僕の職場のエレベーターにも足までうつる大きな鏡あったんですけど、これはその職場のエレベーター――呪いのエレベーターの話。 : 僕:さっきも言いましたけど、僕、エレベーター乗るといつもクマチェックするんですよ。 : 僕:というのも、仕事が繁忙期で残業続いてて、あんまり眠れてなかったんです。 : 僕:その日もだから、乗ったらボタン押してそのまま鏡っていう流れで扉側に背を向けてたんですよ。 : 僕:さっき防犯の話しましたけど、背中向けてても人が乗り込んできたら分かるじゃないですか。鏡で。 : 僕:その時も鏡越しに男性社員が乗ってきたのに気付きました。 : 僕:こいつめっちゃ鏡見てんじゃんって思われるのなんか恥ずかしくて、鏡見たままとりあえず、 : 僕:「お疲れさまです。」 : 僕:って言ったんですよ。いやー最近忙しいっすねとか。 : 僕:返事返ってこないんですよね。 : 僕:残業仲間なのにリアクション無いの寂しいなとか思ってたんですけど、なんか、鏡にうつる爪先こっち向いてるんですよね。 僕:つまり僕の背中じっと見てるわけですね。 : 僕:何故? : 僕:で、よくよく考えたら、オフィスに今残ってるのって上司だけのはずなんですよ。 僕:いや、上司置いて先に上がって良いのかよってつっこみはこの際置いといて……女性なんですよ。 : 僕:ヒールなんですよ。僕の上司。 : 僕:鏡にうつってるの……、 : 僕:革靴。 : 僕:で、扉閉まりました。 : 僕:あ、これやっべ。 : 僕:そう思って、あー残業きついなーとか、上司にLINEしなきゃ! とか言って、誤魔化して、あと、クマめっちゃ確認。 : 僕:まぁでも偶々迷い込んできた人かも知れないし、業者さんの可能性も否定は出来ない。 : 僕:時計見たらほぼ深夜0時。 : 僕:あり得る? それ。 : 僕:そうこうしてるうちに一階。 : 僕:やった! : 僕:過去いちきれいな回れ右でした。 僕:不審者、それとも……さぁどっち!? : 0:間。 : 僕:……いや、居ないんですよね。 : 僕:マジで誰も。 : 僕:僕、ダッシュでかご出て退社。 僕:ゲットワイルド歌いましたね。 : 僕:何もこわくはない~とか言って。 : 僕:でもふと頭を過ったんです。 : 僕:あ、上司。 : 僕:引き返しながら電話しました。 : 僕:「もしもし後藤です! 高橋さん、会社まだ居ますか!」 : 僕:不機嫌そうに出た彼女に経緯説明して、 : 僕:「高橋さん、僕と一緒に帰りましょう!」 : 僕:って言いました。 : 僕:ちょうど帰るとこだったらしくて上司、半笑いでいいよって。 僕:もうね、まじ女神。 : 僕:でも、一緒に帰ろうって言ったのは良いんですけど、僕、ビルに入ってエレベーターの前まで辿り着いてから、ボタン押すのめっちゃ躊躇してたんですよね。 僕:これ、エレベーター呼んで大丈夫なやつ? : 僕:非常階段から行こうかと思ったんですけど、うちの非常階段、半物置と化してて蛍光灯も切れてるし、それはそれで怖いんですよね。 : 僕:「それでも高橋さんの為に行くしかねぇ! 怖いけど……!」 : 僕:とか、電話で言ってたら「びびりの後藤君のために私が迎えに行くよ。待ってて」って。 : 僕:いや、ほんと僕、情けない。そして上司たのもしい。 : 僕:でもその後彼女こう言ったんです。 : 僕:でも、 : 僕:「うちのエレベーター、鏡なんてあったっけ?」 : 僕:「え?」 : 僕:電話切れました。 : 僕:動き出すエレベーター。汗ぶわーって出る。 : 僕:扉が開く。 : 僕:降りてきたのは、上司。 : 僕:ほっとしながら、恐る恐る上司の背後見たんですよ。 僕:鏡なんて無かったです。 : 僕:おわり。 : 僕:ちなみに、その一件以来、僕と高橋さんは一緒に帰るようになり、この度、お付き合いすることになりました。 : 僕:以上、のろけのエレベーターでした。 : 僕:冗談です。 : 僕:ああ、そういえばうちのエレベーターって6人乗りなんですけど、5人でもブザー鳴るときあるとか。誰もボタン押してないのに勝手に止まったり、ドア閉まったりするっていう噂があります。 : 僕:まぁ、ことの真相は分からないんですけど、鏡の件も、革靴の男の件も、もしかしたら僕以外の社員で知ってる人居るかも知れませんね。 : 僕:高橋さんと一緒に帰るようになってからはずっと、鏡付きのエレベーターを見ていませんが、それでもなんとなく、エレベーターの中でスマホとか見ないようにしてます。 : 僕:何でって? : 僕:もし映り込んだりしたら嫌じゃ無いですか。スマホの画面に反射とかして。 : 0:間。 : 僕:さて、皆さん。 : 僕:皆さんの職場のエレベーターにはついていますか? 鏡。 : 僕:でもそれって、本当に鏡ですか? もしかして、別のモノがついていたりなんか……しませんよね? : 僕:以上、呪いのエレベーターでした。