台本概要
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タイトル | エンディングノート◇終末群像劇。 |
---|---|
作者名 | 音佐りんご。 (@ringo_otosa) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 5人用台本(男3、女2) ※兼役あり |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
※本作の役は全部で百個あります。 ◆あらすじ◆ ある日の正午、東京上空に謎の黒い物体が出現する。それは世界滅亡の予兆。目前の終末とそれに向き合ったり向き合わなかったりする人々の話。 ◇登場人物◇ 一人一人がモブであり当事者であり主人公。役は各二十役、五人に振り分けて合計百役です。 ……でも、一人で読んでもいいんだぜ? A:男。 B:男。 C:女。 D:女。 E:男。 117 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
A | 男 | 21 | 男。 |
B | 男 | 21 | 男。 |
C | 女 | 21 | 女。 |
D | 女 | 21 | 女。 |
E | 男 | 21 | 男。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:エンディングノート◇終末群像劇。
:
0:※本作の役は全部で百個あります。
:
0:◆あらすじ◆
0:ある日の正午、東京上空に謎の黒い物体が出現する。それは世界滅亡の予兆。目前の終末とそれに向き合ったり向き合わなかったりする人々の話。
:
0:◇登場人物◇
0:一人一人がモブであり当事者であり主人公。役は各二十役、合計百役です。
:
A:男。
B:男。
C:女。
D:女。
E:男。
:
0:◆◇◇◆
:
0:都会の雑踏、行き交う人々。
:
A:(学生)えー? マジで?
B:(学生)マジマジ、ヤバすぎ。
C:(学生)てかアリサ、ザキヤマのレポート書いた?
D:(学生)あー、ウチやってないわー。キクチは?
E:(学生)やべーじゃん、おれも。てかさ、あれ何だと思う?
:
0:空を見上げる人々、空には巨大な黒い影。
:
A:(中年会社員)ん? 何でみんな空見上げてるんだ? ……え?
B:(チャラ男)おいおいおいおい、映画かなんかかコレ!?
C:(高校生)アルマゲドン?
D:(高校生)みゆ、アルマゲドンって何?
E:(オタク風の男)巨大隕石?!
:
0:飲食店。
:
A:(若手会社員)隕石って……! NASAは何も言ってなかったぞ!?
C:(若手会社員)何そのNASAへの厚い信頼。
B:(若手会社員)でもこういう時、NASAくらいしか頼れないよね実際。
D:(若手会社員)NASAも頼れるかは微妙だけどね。
E:(若手会社員)情けねぇなおい。
:
0:大通りに面したカフェ。
:
D:(カフェ店員)外騒がしいけど、何かあったの?
B:(客)それがなんか降って来てるんだってさ。
C:(カフェ店員)えー、降水確率20%なのにですか、傘持ってきてないなー。
A:(客)いや、雨じゃ無くて隕石。
E:(客)そんな、SFじゃあるまいし。
:
0:カフェの奥まったところ。
:
A:(小説家)隕石、SF? っは! もしかしてこの私の作品が現実に……!? つまりこの小説は預言書! と言うことは、この後隕石を破壊するために超能力に目覚めた5人のヒーローが!
B:(漫画家)いや、無いでしょ。もうこの距離まで近付いてたら止めようもねぇし、万が一破壊しても破片が降り注いで文明は崩壊するから、その後に待っているのは荒廃した世界ポストアポカリプス。即ち俺の漫画だ。やっべ、預言書じゃん。
D:(探偵)小説家と漫画家の先生方が何やら物騒なことを言っているが、私はこれを事件だと思うね。誰が解決するかどうなるのか以前に誰がやったのか。それが問題だ。つまり何か裏がある。これはきっと政府の陰謀……いや、これは秘密結社の仕業だろう。しかし何のために? これは難事件だぞ! なぁ助手君!
C:(助手)いや、所長も十分物騒ですけど。大体、誰が何のためにとか言いますけど、これ人類に出来るレベル超えてますし、やる意味が分かりません。文明壊す得とか無いですよ。リスキーすぎてアホです。つまりこれは宇宙人の仕業です。これは名推理だ。そう思いますよね教授。
E:(教授)ふむ。宇宙人か。宇宙は広大だからねぇ、地球のような文明を持った知的生命体が、この銀河にも30程度はあるというし、それもあり得るかも知れないね。ただ、最短でも数十光年という距離を超えて、遠路遥々やってきてやることが侵略でも友好でも無く地球に隕石をポイ捨てしていくだけというのは、何というかそう。ロマンチックだね。
:
0:学校の屋上。
:
A:(高校生)てか、そもそもあれ隕石なの? 動いてなくね? もしかしてでっかい宇宙船とかだったりして。どう思うケンジ?
B:(高校生)バカかナオト。あれはなぁ、無茶苦茶でかくて遠くにあるからそう見えるだけで時速何万キロって速度で向かってきてんだよ。
C:(高校生)何万キロ?! それってどんくらい早いの? ウサインボルト何人分? あや分かる?!
D:(高校生)いや、比較対象おかしいよ。ボルトと隕石比べないでよ。ボルト時速44・7キロだけど、何人居てもそれボルトが並んで走ってるだけだから。そんなの不良のミツキでも分かるよ!
E:(不良高校生)うるせぇわ! なんなんだよお前ら! 授業戻れ。ったく、今日バイトだから寝とこうと思って屋上来たのによ。何なんだよマジであれ。つーか、バイト無くなったりしねぇよな?
:
0:職員室。
:
D:(国語教師)うわぁ、なんか外、大変なことになってますねぇ、柿谷(かきたに)先生。まるで世界の終わりみたい。写真撮っとこ。
B:(数学教師)気楽ですね、佐藤先生。まるで、というかその通りかも知れませんよ。政府もマスコミも公式発表まだですけど、ネットでは結構色々推測されてます。それこそ世界の終わりなんじゃ無いかって。
A:(教頭)職員室で堂々とスマホ触らないで下さい、佐藤先生、柿谷先生。生徒に示しがつきませんから一応就業中は控えて下さいといつも言っているでしょう。まぁ……、こんな状況なら見たくなるのも分かりますが。
C:(社会教師)というか教頭、これ生徒帰らせなくて良いんでしょうか? 今のところ実害は、ちょっと日当たり悪くなるくらいですけど、さっきからちょくちょく久保先生のとことか保護者からの電話も来てるみたいですし。
E:(理科教師)先生方! テレビつけて下さい! 緊急報道です!
:
0:ニュース番組。
:
D:(キャスター)番組の途中ですが、ここで臨時ニュースをお伝えします。本日正午、東京上空に現れた巨大な物体に関する新たな情報が入ってきました。国立天文台の調査によりますと、物体の大きさは直径約200キロ。現在高度5万キロで静止しているとのことです。
A:(キャスター)本日は地球物理学ジャーナリストの八幡孝昭(やはた たかあき)氏にお越し頂きました。さっそくですが八幡先生、この物体は何なのでしょうか。
B:(専門家)公式の発表は未だありませんが、落下せず衛星軌道上に留まっていることから、この物体はまず隕石、小惑星などの天体では無いとの見方が強いですね。通常、これほどの質量を持った物質ですと、地球と引き合い地表に落下するはずです。月のように運動を行っていれば別ですが、この物体は東京上空で静止しています。このような天体は他に例がありませんので、現状では隕石では無いとしか言えませんね。
E:(ゲスト)隕石で無いと言うことは、他に何が考えられるんでしょうか? 僕もお昼食べ終わって窓から外見たら気付いたって感じで。突然現れるまで誰も気付かなかった。これはもしや宇宙人なんじゃないかって。
C:(ゲスト)宇宙人ですか。もしそうだとしたら優しい宇宙人だと良いですね。今のところは落ちてくるとか、そういう心配も無いようですし、様子を見守るしかありませんけど、これちなみに、NASAとかは何も言ってないんですか?
:
0:ヒューストン。
:
A:(職員)日本上空に浮かぶあの馬鹿でかい風船は一体何なんだ? こんなに近付くまで何故誰も気付かなかった? 人類揃って昼寝でもしてたのか、なぁビル!?
B:(職員)少なくともジャック、俺は起きてたね。さっきまで酒飲んでたけどよ。まだ酔ってるみたいだ。カレン、ISSからの映像は?
D:(職員)あたしなんて久しぶりのダーリンとのランデブーだったたのにこのザマよ。こんな時に未知との遭遇なんてやんなっちゃう。届いたわ。シャーリー、アダム、共有するわ。
E:(職員)そいつはご愁傷様。それで、こいつは新しいスター・ウォーズの予告編かな? ジョージ・ルーカスに電話でもしてみた方が早いんじゃねぇの? 今まさにISSで撮影してるかもだがな。
C:(職員)ISSに映画クルーは乗れないわアダム。それに映画はハリウッドで撮るんだもの、どんなスポンサーが付いたのか知らないけど、原寸大のデス・スターを打ち上げる必要なんて無い。この馬鹿げた映像は残念ながら本物。だとしたら私達はお手上げね。これをできるやつがいるとしたら本物のヒーローだけ。
:
0:どこか深い山奥。
:
A:(赤い男)ついにこの日が来てしまったか。
B:(青い男)まさかこんなに最後の日が早いとはね。
C:(黄色い女)ここが正念場、私達がしくじれば人類に明日は無い。
D:(紫の女)責任重大ってことね。燃えるわ。
E:(緑の男)お前ら、準備はいいな? さぁ行こう。世界を救いに。
:
0:オフィス。
:
A:(会社員)なんか世界がヤバいらしいっすね先輩。
B:(会社員)ヤバいのは世界じゃ無くて納期だよ、伊藤。
C:(会社員)藤村さん、キタガワ商事の案件出来てる?
E:(会社員)いや、全然。これ、無理。みんな思ってると思うんだけどさ。いっそもう……。
D:(会社員)いっそもう世界滅ばないかなぁって感じだよねー。
:
0:レンタルスタジオ。
:
C:(ヴォーカル)なぁノリピー。明日世界滅ぶとしたらどうする? あたしはランヴォルギーニで首都高爆走。
A:(ギター)やっば。なんよ、レン。藪から棒に。まぁそうだなあ。俺はみんなと一緒に鍋とかしたいかな。もっちは?
B:(ベース)やっぱ女だな。みんなより女。セブンは?
D:(ドラム)最低か。まぁでもマジ滅ぶとしたら。あつし、お前に告る。
E:(キーボード)……マジ?
:
0:駅前。
:
A:(煽動者)皆さん聞いて下さい! これは政府の陰謀です! 政府はあの空に浮かんだ黒い物体、巨大な洗脳装置を使って我々をコントロールし、言いなりに! 家畜にしようとしているのです! 政府の卑劣な策略に屈してはいけません! 今こそ立ち上がるときです! 正義のために立ち上がりましょう!
C:(野次馬)いやいや、そんなわけ無いでしょ。でも、あれって何なんだろ? 流石に洗脳装置じゃ無いだろうけど、なんかどっかの国の兵器とかだったら嫌だなぁ。
B:(詐欺師)そんなあなたにいい話があります。安全なシェルターに優先的に逃げ込むためのチケットがあるのご存知ですか? ええ、私が聞いた話では先程あなたが仰られたように、あれはある国の戦略兵器のようなのです。そしてもうそれ程時間は残されていない。さぁ、生き残るために、チケット、買いませんか? 50万円です。
D:(宗教家)皆さん落ち着いて下さいこれは神の怒りなのです! 間もなくこの地上は神の御心のままに焼き尽くされ全ての不浄は洗い流されるでしょう! しかしそのことに戸惑いや怒りを覚えてはなりません。これは我々人類が重ねてきた罪ゆえの罰であり救済なのです。皆さん、神に報いるため、共に祈りましょう。そうすれば我々の魂は次の世界で幸福な生を送れるのです! さぁ! 祈りましょう!
E:(警察官)皆さん落ち着いて下さい! 怪しげな情報に躍らされ無いようにして下さい! この非常事態を利用して詐欺や犯罪行為が横行しています! 今、どのような事態なのか分からず不安になる気持ちは分かります! ですが情報を鵜呑みにせず落ち着いて聞いて下さい! 世界はまだ滅んでいません! 滅ぶかどうかも分かりません! ひとまずは今日を生きて下さい!
:
0:記者会見。
:
C:(記者)総理! あの巨大な物体への政府の対応は現在どうなっているのですか! 世界は本当に滅ぶのでしょうか!
B:(記者)あの物体について政府が関連しているとの声もありますが、事実関係についてはどのようにお考えでしょうか!
E:(記者)不正献金問題との関連は! やはりあれは税金で作られているということでしょうか!
D:(記者)この度の飛行物体に関して発生した災害について保障は国から出るのでしょうか!
A:(首相)えー、現在調査中です。
:
0:ファミレス。
:
E:(長髪眼鏡の男)こういう時、国ってのはほんと役に立ちませんねぇ。己の構成要素である枝葉を忘れた植物は、枯れる運命にあるというのに。ああ、美しくありませんねぇ。そうは思いませんか。アネモネ。
C:(女学生)全くその通りだな。お前にしては良いこと言うじゃねぇかナルシサス。俺も『賛成《ブルーミング》』だ。やっぱり俺達がいねぇと『始まらねぇ《ノット・スプラウティング》』そして『終われねぇ《ノット・ラスティング》』……だろ? キョウチクトウ。
D:(物静かなOL)……異議無し。故に世界、我々の為に。
A:(スーツの初老紳士)ええ、そうですな。よもや表の世界に出ることは無いと思っていましたが、世界が滅びるかどうかの瀬戸際とあらば、我々が出ない訳にもいきません。よろしいですね、トリカブト。
B:(少年)ああ、もちろんだよヒガンバナ。土が無くては美しい花を咲かせることは出来ないからね。ナルシサス、アネモネ、キョウチクトウ、ヒガンバナ、そしてこの僕トリカブト。この場に集った『七災花《セブンス・フラワー》」の面々で、さぁ、始めるとしよう――。『毒花ノ庭《ラスティ・エデン》』を。
:
0:研究所。
:
A:(研究者)それで、結局のところあれは何なんですか? 隕石でなく人工物。さりとてあんな埒外の物体を手がけられるような人間や組織があるとは思えない。つまり。
C:(研究者)超常現象。と言うと安っぽく聞こえるかも知れないがね。いっそ隕石のような天災……正しく天災だけれど、そういった物ならまだ手の打ちようもあった。SF的障害はSF的手法である程度は対処可能だからね。けれどこればかりは。
B:(研究者)シャトルに乗ってアルマゲドンしにいくわけにもいかないと。それは道理だな。ここまで来るとファンタジーだ。対処法としては、伝説の剣でぶった切るのが案外現実的かも知れないとすら思えてくるぜ。
D:(研究者)それは幻想的帰結ですね。ええ、もちろんそういう手法もあります。預言書にはね。実際、もう幾らかそうした特異な存在があの巨大な物体――仮称『黒き月』に向かっていることを確認しています。そしてリミットはおおよそ一日。
E:(研究者)黒き月と世界を救わんと立ち上がる勇者か。……まぁ、世界が明日滅ぶにせよ、それを覆し先へと針を進めるにせよ、これは興味深い事象だよ。今世紀最大にして最後のビッグイベント。これは正に審判の刻さ。
:
0:廃ビル。
:
A:(ヒーロー)邪魔をしないでくれユイ、ケイゴ! 僕はどうしてもこの世界を護らなければいけないんだ! こんなところで君達と戦っている時間なんて無い! こうしている間にもあの黒い球体は世界を飲み込もうとしている! もう僕達に時間は残されていないんだ! お願いだからそこをどいてくれ!
D:(恋人)そんな悲しいこと言わないでよマモル。あなたはもう世界なんて救わなくて良い。私、何度もそう言ってるでしょう? あなたのためを思って言ってるの! ねぇマモル。私と一緒に世界が終わるのを見届けよう? それが私達の幸せなの。一緒に滅びましょうマモル!
B:(弟)そうだよ兄さん! ユイ義姉さんの言うとおりなんだよ! 兄さんはもう戦わなくて良い! これはきっと神様も世界に死ねって言ってるってことだよ。最期の時間を穏やかに過ごすことの何が悪いの? これで世界が滅んだって、兄さんは悪くない。それでもし悪かったとしたら、僕が兄さんと罪を分け合って背負ってあげるよ! さぁ! 滅ぼう兄さん!
E:(ライバル)おいおい、ヒーローってのも大変だな。情に篤いのも結構だが、こんな時に身内に足引っ張られちまうなんて、笑えねぇ冗談だよ。オーケー、ヒーロー! 世界を救えるのはお前だけだ。ここは俺達がなんとかする。お前は先に行け。世界を頼んだぜ!
C:(恋人の親友)と、いうわけだからユイ。今度ばかりはあんたの味方はしてあげられない。あたしだって死にたくないしね。もう、そんな怖い顔しないでよ。あんた怒るとブスなんだから、マモル君に嫌われちゃうよ? もちろん、あんたが別れたら、もらっちゃうけどね。世界の平和もマモル君も。実は昔から好きだったんだ……なんて。さぁ、やる気出た? 決着つけよっか、ユイ。
:
0:病室。
:
B:(病床の少年)もう一度、この窓から桜が見たかったね。サヨちゃん。
C:(見舞いの少女)そうだね、でも明日で世界が滅ぶらしいから安心して。リクト君。
A:(病床の老人)もっと長生きしたかったのぉ、松川さん。
E:(病床の老人)いいや、十分生きたさ竹田さん。
D:(看護婦)あー、結婚したかった。
:
0:空の上。
:
A:(パイロット)こちらブラボー。予定ポイント到達。あと、この戦いが終わったら、結婚しようエイミー。
D:(オペレーター)こちら管制室。そういうのやめて、マイク。あんた死ぬよ?
B:(パイロット)こちらチャーリー。こちらもポイント到達。そんなこと言って、嬉しいんだろエイミー。
C:(パイロット)こちらデルタ。予定ポイント到達。フラグだって言ってんのよジェイコブ。隊長もそう思いますよね?
E:(パイロット)こちらアルファ。同じく予定ポイント到達。よって作戦行動に移る。だとしても帰る場所があるってのは良いことさ。お前ら、死ぬなよ。
:
0:海。
:
A:(若者)おーい! みんな空見てみろよ! すごいことになってんぞ! なんか飛行機とかミサイルとか色々飛んでる! うっわ、すっげー。花火大会みてぇ!
C:(若者)世界救うためにみんな必死なんだね。わたし結構どうでも良くなっちゃったよ。今が楽しければさ。
B:(若者)そんなことよりミヤコ! ハルキ! 肉焼けてんぞ! 早く海から上がってこーい。最後の晩餐、冷めちまうぞー!
E:(若者)お、美味そうじゃんヨシヒロ! さっすが、どうせ滅ぶからって有り金全部はたいて買った高級お肉なだけはあるわ。いやー俺ら賢すぎ。
D:(若者)それな! あ、なんか今ヒーローみたいなの飛んでった。かっこいー! おーい! 頑張れー! あたしらには応援くらいしか出来ないけど、見守ってるからぁ!
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0:◇◆◆◇
0:エンディングノート◇終末群像劇。
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0:※本作の役は全部で百個あります。
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0:◆あらすじ◆
0:ある日の正午、東京上空に謎の黒い物体が出現する。それは世界滅亡の予兆。目前の終末とそれに向き合ったり向き合わなかったりする人々の話。
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0:◇登場人物◇
0:一人一人がモブであり当事者であり主人公。役は各二十役、合計百役です。
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A:男。
B:男。
C:女。
D:女。
E:男。
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0:◆◇◇◆
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0:都会の雑踏、行き交う人々。
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A:(学生)えー? マジで?
B:(学生)マジマジ、ヤバすぎ。
C:(学生)てかアリサ、ザキヤマのレポート書いた?
D:(学生)あー、ウチやってないわー。キクチは?
E:(学生)やべーじゃん、おれも。てかさ、あれ何だと思う?
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0:空を見上げる人々、空には巨大な黒い影。
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A:(中年会社員)ん? 何でみんな空見上げてるんだ? ……え?
B:(チャラ男)おいおいおいおい、映画かなんかかコレ!?
C:(高校生)アルマゲドン?
D:(高校生)みゆ、アルマゲドンって何?
E:(オタク風の男)巨大隕石?!
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0:飲食店。
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A:(若手会社員)隕石って……! NASAは何も言ってなかったぞ!?
C:(若手会社員)何そのNASAへの厚い信頼。
B:(若手会社員)でもこういう時、NASAくらいしか頼れないよね実際。
D:(若手会社員)NASAも頼れるかは微妙だけどね。
E:(若手会社員)情けねぇなおい。
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0:大通りに面したカフェ。
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D:(カフェ店員)外騒がしいけど、何かあったの?
B:(客)それがなんか降って来てるんだってさ。
C:(カフェ店員)えー、降水確率20%なのにですか、傘持ってきてないなー。
A:(客)いや、雨じゃ無くて隕石。
E:(客)そんな、SFじゃあるまいし。
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0:カフェの奥まったところ。
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A:(小説家)隕石、SF? っは! もしかしてこの私の作品が現実に……!? つまりこの小説は預言書! と言うことは、この後隕石を破壊するために超能力に目覚めた5人のヒーローが!
B:(漫画家)いや、無いでしょ。もうこの距離まで近付いてたら止めようもねぇし、万が一破壊しても破片が降り注いで文明は崩壊するから、その後に待っているのは荒廃した世界ポストアポカリプス。即ち俺の漫画だ。やっべ、預言書じゃん。
D:(探偵)小説家と漫画家の先生方が何やら物騒なことを言っているが、私はこれを事件だと思うね。誰が解決するかどうなるのか以前に誰がやったのか。それが問題だ。つまり何か裏がある。これはきっと政府の陰謀……いや、これは秘密結社の仕業だろう。しかし何のために? これは難事件だぞ! なぁ助手君!
C:(助手)いや、所長も十分物騒ですけど。大体、誰が何のためにとか言いますけど、これ人類に出来るレベル超えてますし、やる意味が分かりません。文明壊す得とか無いですよ。リスキーすぎてアホです。つまりこれは宇宙人の仕業です。これは名推理だ。そう思いますよね教授。
E:(教授)ふむ。宇宙人か。宇宙は広大だからねぇ、地球のような文明を持った知的生命体が、この銀河にも30程度はあるというし、それもあり得るかも知れないね。ただ、最短でも数十光年という距離を超えて、遠路遥々やってきてやることが侵略でも友好でも無く地球に隕石をポイ捨てしていくだけというのは、何というかそう。ロマンチックだね。
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0:学校の屋上。
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A:(高校生)てか、そもそもあれ隕石なの? 動いてなくね? もしかしてでっかい宇宙船とかだったりして。どう思うケンジ?
B:(高校生)バカかナオト。あれはなぁ、無茶苦茶でかくて遠くにあるからそう見えるだけで時速何万キロって速度で向かってきてんだよ。
C:(高校生)何万キロ?! それってどんくらい早いの? ウサインボルト何人分? あや分かる?!
D:(高校生)いや、比較対象おかしいよ。ボルトと隕石比べないでよ。ボルト時速44・7キロだけど、何人居てもそれボルトが並んで走ってるだけだから。そんなの不良のミツキでも分かるよ!
E:(不良高校生)うるせぇわ! なんなんだよお前ら! 授業戻れ。ったく、今日バイトだから寝とこうと思って屋上来たのによ。何なんだよマジであれ。つーか、バイト無くなったりしねぇよな?
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0:職員室。
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D:(国語教師)うわぁ、なんか外、大変なことになってますねぇ、柿谷(かきたに)先生。まるで世界の終わりみたい。写真撮っとこ。
B:(数学教師)気楽ですね、佐藤先生。まるで、というかその通りかも知れませんよ。政府もマスコミも公式発表まだですけど、ネットでは結構色々推測されてます。それこそ世界の終わりなんじゃ無いかって。
A:(教頭)職員室で堂々とスマホ触らないで下さい、佐藤先生、柿谷先生。生徒に示しがつきませんから一応就業中は控えて下さいといつも言っているでしょう。まぁ……、こんな状況なら見たくなるのも分かりますが。
C:(社会教師)というか教頭、これ生徒帰らせなくて良いんでしょうか? 今のところ実害は、ちょっと日当たり悪くなるくらいですけど、さっきからちょくちょく久保先生のとことか保護者からの電話も来てるみたいですし。
E:(理科教師)先生方! テレビつけて下さい! 緊急報道です!
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0:ニュース番組。
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D:(キャスター)番組の途中ですが、ここで臨時ニュースをお伝えします。本日正午、東京上空に現れた巨大な物体に関する新たな情報が入ってきました。国立天文台の調査によりますと、物体の大きさは直径約200キロ。現在高度5万キロで静止しているとのことです。
A:(キャスター)本日は地球物理学ジャーナリストの八幡孝昭(やはた たかあき)氏にお越し頂きました。さっそくですが八幡先生、この物体は何なのでしょうか。
B:(専門家)公式の発表は未だありませんが、落下せず衛星軌道上に留まっていることから、この物体はまず隕石、小惑星などの天体では無いとの見方が強いですね。通常、これほどの質量を持った物質ですと、地球と引き合い地表に落下するはずです。月のように運動を行っていれば別ですが、この物体は東京上空で静止しています。このような天体は他に例がありませんので、現状では隕石では無いとしか言えませんね。
E:(ゲスト)隕石で無いと言うことは、他に何が考えられるんでしょうか? 僕もお昼食べ終わって窓から外見たら気付いたって感じで。突然現れるまで誰も気付かなかった。これはもしや宇宙人なんじゃないかって。
C:(ゲスト)宇宙人ですか。もしそうだとしたら優しい宇宙人だと良いですね。今のところは落ちてくるとか、そういう心配も無いようですし、様子を見守るしかありませんけど、これちなみに、NASAとかは何も言ってないんですか?
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0:ヒューストン。
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A:(職員)日本上空に浮かぶあの馬鹿でかい風船は一体何なんだ? こんなに近付くまで何故誰も気付かなかった? 人類揃って昼寝でもしてたのか、なぁビル!?
B:(職員)少なくともジャック、俺は起きてたね。さっきまで酒飲んでたけどよ。まだ酔ってるみたいだ。カレン、ISSからの映像は?
D:(職員)あたしなんて久しぶりのダーリンとのランデブーだったたのにこのザマよ。こんな時に未知との遭遇なんてやんなっちゃう。届いたわ。シャーリー、アダム、共有するわ。
E:(職員)そいつはご愁傷様。それで、こいつは新しいスター・ウォーズの予告編かな? ジョージ・ルーカスに電話でもしてみた方が早いんじゃねぇの? 今まさにISSで撮影してるかもだがな。
C:(職員)ISSに映画クルーは乗れないわアダム。それに映画はハリウッドで撮るんだもの、どんなスポンサーが付いたのか知らないけど、原寸大のデス・スターを打ち上げる必要なんて無い。この馬鹿げた映像は残念ながら本物。だとしたら私達はお手上げね。これをできるやつがいるとしたら本物のヒーローだけ。
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0:どこか深い山奥。
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A:(赤い男)ついにこの日が来てしまったか。
B:(青い男)まさかこんなに最後の日が早いとはね。
C:(黄色い女)ここが正念場、私達がしくじれば人類に明日は無い。
D:(紫の女)責任重大ってことね。燃えるわ。
E:(緑の男)お前ら、準備はいいな? さぁ行こう。世界を救いに。
:
0:オフィス。
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A:(会社員)なんか世界がヤバいらしいっすね先輩。
B:(会社員)ヤバいのは世界じゃ無くて納期だよ、伊藤。
C:(会社員)藤村さん、キタガワ商事の案件出来てる?
E:(会社員)いや、全然。これ、無理。みんな思ってると思うんだけどさ。いっそもう……。
D:(会社員)いっそもう世界滅ばないかなぁって感じだよねー。
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0:レンタルスタジオ。
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C:(ヴォーカル)なぁノリピー。明日世界滅ぶとしたらどうする? あたしはランヴォルギーニで首都高爆走。
A:(ギター)やっば。なんよ、レン。藪から棒に。まぁそうだなあ。俺はみんなと一緒に鍋とかしたいかな。もっちは?
B:(ベース)やっぱ女だな。みんなより女。セブンは?
D:(ドラム)最低か。まぁでもマジ滅ぶとしたら。あつし、お前に告る。
E:(キーボード)……マジ?
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0:駅前。
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A:(煽動者)皆さん聞いて下さい! これは政府の陰謀です! 政府はあの空に浮かんだ黒い物体、巨大な洗脳装置を使って我々をコントロールし、言いなりに! 家畜にしようとしているのです! 政府の卑劣な策略に屈してはいけません! 今こそ立ち上がるときです! 正義のために立ち上がりましょう!
C:(野次馬)いやいや、そんなわけ無いでしょ。でも、あれって何なんだろ? 流石に洗脳装置じゃ無いだろうけど、なんかどっかの国の兵器とかだったら嫌だなぁ。
B:(詐欺師)そんなあなたにいい話があります。安全なシェルターに優先的に逃げ込むためのチケットがあるのご存知ですか? ええ、私が聞いた話では先程あなたが仰られたように、あれはある国の戦略兵器のようなのです。そしてもうそれ程時間は残されていない。さぁ、生き残るために、チケット、買いませんか? 50万円です。
D:(宗教家)皆さん落ち着いて下さいこれは神の怒りなのです! 間もなくこの地上は神の御心のままに焼き尽くされ全ての不浄は洗い流されるでしょう! しかしそのことに戸惑いや怒りを覚えてはなりません。これは我々人類が重ねてきた罪ゆえの罰であり救済なのです。皆さん、神に報いるため、共に祈りましょう。そうすれば我々の魂は次の世界で幸福な生を送れるのです! さぁ! 祈りましょう!
E:(警察官)皆さん落ち着いて下さい! 怪しげな情報に躍らされ無いようにして下さい! この非常事態を利用して詐欺や犯罪行為が横行しています! 今、どのような事態なのか分からず不安になる気持ちは分かります! ですが情報を鵜呑みにせず落ち着いて聞いて下さい! 世界はまだ滅んでいません! 滅ぶかどうかも分かりません! ひとまずは今日を生きて下さい!
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0:記者会見。
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C:(記者)総理! あの巨大な物体への政府の対応は現在どうなっているのですか! 世界は本当に滅ぶのでしょうか!
B:(記者)あの物体について政府が関連しているとの声もありますが、事実関係についてはどのようにお考えでしょうか!
E:(記者)不正献金問題との関連は! やはりあれは税金で作られているということでしょうか!
D:(記者)この度の飛行物体に関して発生した災害について保障は国から出るのでしょうか!
A:(首相)えー、現在調査中です。
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0:ファミレス。
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E:(長髪眼鏡の男)こういう時、国ってのはほんと役に立ちませんねぇ。己の構成要素である枝葉を忘れた植物は、枯れる運命にあるというのに。ああ、美しくありませんねぇ。そうは思いませんか。アネモネ。
C:(女学生)全くその通りだな。お前にしては良いこと言うじゃねぇかナルシサス。俺も『賛成《ブルーミング》』だ。やっぱり俺達がいねぇと『始まらねぇ《ノット・スプラウティング》』そして『終われねぇ《ノット・ラスティング》』……だろ? キョウチクトウ。
D:(物静かなOL)……異議無し。故に世界、我々の為に。
A:(スーツの初老紳士)ええ、そうですな。よもや表の世界に出ることは無いと思っていましたが、世界が滅びるかどうかの瀬戸際とあらば、我々が出ない訳にもいきません。よろしいですね、トリカブト。
B:(少年)ああ、もちろんだよヒガンバナ。土が無くては美しい花を咲かせることは出来ないからね。ナルシサス、アネモネ、キョウチクトウ、ヒガンバナ、そしてこの僕トリカブト。この場に集った『七災花《セブンス・フラワー》」の面々で、さぁ、始めるとしよう――。『毒花ノ庭《ラスティ・エデン》』を。
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0:研究所。
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A:(研究者)それで、結局のところあれは何なんですか? 隕石でなく人工物。さりとてあんな埒外の物体を手がけられるような人間や組織があるとは思えない。つまり。
C:(研究者)超常現象。と言うと安っぽく聞こえるかも知れないがね。いっそ隕石のような天災……正しく天災だけれど、そういった物ならまだ手の打ちようもあった。SF的障害はSF的手法である程度は対処可能だからね。けれどこればかりは。
B:(研究者)シャトルに乗ってアルマゲドンしにいくわけにもいかないと。それは道理だな。ここまで来るとファンタジーだ。対処法としては、伝説の剣でぶった切るのが案外現実的かも知れないとすら思えてくるぜ。
D:(研究者)それは幻想的帰結ですね。ええ、もちろんそういう手法もあります。預言書にはね。実際、もう幾らかそうした特異な存在があの巨大な物体――仮称『黒き月』に向かっていることを確認しています。そしてリミットはおおよそ一日。
E:(研究者)黒き月と世界を救わんと立ち上がる勇者か。……まぁ、世界が明日滅ぶにせよ、それを覆し先へと針を進めるにせよ、これは興味深い事象だよ。今世紀最大にして最後のビッグイベント。これは正に審判の刻さ。
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0:廃ビル。
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A:(ヒーロー)邪魔をしないでくれユイ、ケイゴ! 僕はどうしてもこの世界を護らなければいけないんだ! こんなところで君達と戦っている時間なんて無い! こうしている間にもあの黒い球体は世界を飲み込もうとしている! もう僕達に時間は残されていないんだ! お願いだからそこをどいてくれ!
D:(恋人)そんな悲しいこと言わないでよマモル。あなたはもう世界なんて救わなくて良い。私、何度もそう言ってるでしょう? あなたのためを思って言ってるの! ねぇマモル。私と一緒に世界が終わるのを見届けよう? それが私達の幸せなの。一緒に滅びましょうマモル!
B:(弟)そうだよ兄さん! ユイ義姉さんの言うとおりなんだよ! 兄さんはもう戦わなくて良い! これはきっと神様も世界に死ねって言ってるってことだよ。最期の時間を穏やかに過ごすことの何が悪いの? これで世界が滅んだって、兄さんは悪くない。それでもし悪かったとしたら、僕が兄さんと罪を分け合って背負ってあげるよ! さぁ! 滅ぼう兄さん!
E:(ライバル)おいおい、ヒーローってのも大変だな。情に篤いのも結構だが、こんな時に身内に足引っ張られちまうなんて、笑えねぇ冗談だよ。オーケー、ヒーロー! 世界を救えるのはお前だけだ。ここは俺達がなんとかする。お前は先に行け。世界を頼んだぜ!
C:(恋人の親友)と、いうわけだからユイ。今度ばかりはあんたの味方はしてあげられない。あたしだって死にたくないしね。もう、そんな怖い顔しないでよ。あんた怒るとブスなんだから、マモル君に嫌われちゃうよ? もちろん、あんたが別れたら、もらっちゃうけどね。世界の平和もマモル君も。実は昔から好きだったんだ……なんて。さぁ、やる気出た? 決着つけよっか、ユイ。
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0:病室。
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B:(病床の少年)もう一度、この窓から桜が見たかったね。サヨちゃん。
C:(見舞いの少女)そうだね、でも明日で世界が滅ぶらしいから安心して。リクト君。
A:(病床の老人)もっと長生きしたかったのぉ、松川さん。
E:(病床の老人)いいや、十分生きたさ竹田さん。
D:(看護婦)あー、結婚したかった。
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0:空の上。
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A:(パイロット)こちらブラボー。予定ポイント到達。あと、この戦いが終わったら、結婚しようエイミー。
D:(オペレーター)こちら管制室。そういうのやめて、マイク。あんた死ぬよ?
B:(パイロット)こちらチャーリー。こちらもポイント到達。そんなこと言って、嬉しいんだろエイミー。
C:(パイロット)こちらデルタ。予定ポイント到達。フラグだって言ってんのよジェイコブ。隊長もそう思いますよね?
E:(パイロット)こちらアルファ。同じく予定ポイント到達。よって作戦行動に移る。だとしても帰る場所があるってのは良いことさ。お前ら、死ぬなよ。
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0:海。
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A:(若者)おーい! みんな空見てみろよ! すごいことになってんぞ! なんか飛行機とかミサイルとか色々飛んでる! うっわ、すっげー。花火大会みてぇ!
C:(若者)世界救うためにみんな必死なんだね。わたし結構どうでも良くなっちゃったよ。今が楽しければさ。
B:(若者)そんなことよりミヤコ! ハルキ! 肉焼けてんぞ! 早く海から上がってこーい。最後の晩餐、冷めちまうぞー!
E:(若者)お、美味そうじゃんヨシヒロ! さっすが、どうせ滅ぶからって有り金全部はたいて買った高級お肉なだけはあるわ。いやー俺ら賢すぎ。
D:(若者)それな! あ、なんか今ヒーローみたいなの飛んでった。かっこいー! おーい! 頑張れー! あたしらには応援くらいしか出来ないけど、見守ってるからぁ!
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0:◇◆◆◇