声劇台本置き場

団長：それじゃあ、劇団はじまりの庭、千秋楽の打ち上げ、カンパーイ 俳優：乾杯 団長：いやー、本当にいい芝居だったよ金子くん。君の動きひとつ、表情ひとつから世界が見えた！ 俳優：……ありがとうございます 団長：なーに暗い顔してるんだい！素晴らしかったと言ってるだろう？ 俳優：団長、無理しなくていいっすよ 団長：無理ってなんだよ 俳優：この公演で、はじまりの庭は解散です。それを1番悲しんでるのは、団長なのは理解してます 団長：……じゃあ、君は2番目だな 俳優：それは 団長：そりゃそうか！現在の団員は、私と君しかいないんだからな！あ、は、は！ 俳優：団長、無理に笑わなくてもいいんすよ。悲しい時は泣きましょう 団長：う、う…… 俳優：ほら、ティッシュ箱5個セット買ってきたんで大丈夫ですよ 団長：で、でも、ここ居酒屋だよ 俳優：個室の隣の客が泣いてる程度、こんな所に来る人間は気にしませんよ 団長：う、ごめんねえ、ごめんねえ、……うわーん！ 俳優：あーほら、今ティッシュ箱空けましたからね、ゴミはこの袋に入れてください 団長：君は、本当に、良い奴だねー。ごめんよー。こんな不甲斐ない団長で 俳優：不甲斐ないなんて。俺を最後に輝かせるために、脚本も演出も裏方も全部やってくれたじゃないですか 団長：そりゃねえ、私が頼りないばかりにどんどん人がいなくなって解散寸前の中、唯一残ってくれたじゃないか。そんな君に報いるためさ 俳優：頼りないなんて、元々照明だったのに、元の団長が逃亡した後、押し付けられて仕方なくだったじゃないですか！ 団長：元々舞台が大好きで、この劇団が大好きだからね。そりゃあ頑張るさ 俳優：俺は、そんなあなただからこそ、ここに残ったんですよ 団長：はは、君は本当に優しくて良い奴だね 俳優：……(小声)鈍感 団長：どうした？ 俳優：失礼。団長は、今後どうするんですか？やっぱり、どこかで照明するんですか？ 団長：あー、今回の公演の事で手一杯でなんも考えてないなー。バイトはしてるけど、今どきどこの劇団も既存メンバーで手一杯だしな。間に合うかわからんけど、普通に就職かな 俳優：そう、ですか。 団長：金子くんはどうするんだ？君の演技、私は大好きだった。 俳優：……それは、その 団長：まあ、現実は厳しいよな。さて、今後の話はいいから飲むか 俳優 ……団長、いいや、花村さん 団長：久しぶりに、そう呼ばれるな 俳優：俺の、劇団に入りませんか？ 団長：……へ？ 俳優：俺、昨日劇団作ったんですよ。まだ俳優件団長1人の劇団ですからね、脚本家も演出も裏方もいないんですよ 団長：へ？え？は？ 俳優：好きな立場でいいんで、とりあえず、入りませんか？ 団長：いやいやいや、そんな話ある！？ 俳優：俺も、あなたの舞台への愛が好きです。やり直しませんか？ 団長：金子くん。……うん。そうだな！入る！ぜひ入らせてもらう！ 俳優：ありがとうございます 団長：そういえば、劇団の名前は？ 俳優：……はじまりの道で 団長：今考えたろ 俳優：バレました？ 団長：だが、悪くない 俳優：あなたとなら、どこも悪くないですよ 団長：……そうだな！ 俳優：色んな意味で 団長：どうした？ 俳優：なんでもないです。それじゃあ、結成に、カンパーイ！ 団長：乾杯！