台本概要
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タイトル | サチヨとハルオと時々アキエ |
---|---|
作者名 | 柿間朱夏 (@syuka_kakima) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 2人用台本(女1、不問1) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
友達いない歴=年齢の姉に、陽キャの弟から電話が掛かってきた。 友達がいない事がバレないように姉が繰り出した作戦とは。 ~柿間作品共通事項~ ・演者の性別不問(女性が男性役など) ・物語が破綻しないなら役の性転換もOK ・物語が破綻しないならアドリブもOK ・台本使用時の連絡不要(でもXでメンションつけてポストしてくれるととても嬉しい) 275 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
私 | 女 | 82 | 私。多肉植物だけがお友達。意外な特技があるらしい。 私Mは心の声 |
弟 | 不問 | 81 | 弟。彼女と東京旅行に行く予定。 妹にしてもOK |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
私:はぁ…暇ねー…。外はこんなにいいお天気だっていうのに、私には何の予定もない…。花の女子大生だというのに、毎日のように部屋に引きこもりっぱなし……。私の若さは、こうして失われていくのかしら……はあ〜…。
私:せめて、友達の一人でも居れば……ふふ、なんてね。何バカなこと言ってるのかしら…友達なんてこれまで出来たこともなかったくせに……
私:(机の上のサボテン達に微笑んで)アンタ達以外にはね。
私:サチヨは今日も元気そうだね、ふふ…。よしよし。あいてて、トゲ刺さないでよー、もー
:
0:スマホの着信音がn
私:はいもしもし!!!
弟:うわ!びっくりした!え、今呼び出し音した!?
私:なんだ…アンタか…
弟:なんだって何だよ!可愛い弟から電話が来て嬉しいだろ?
私:1ミリも可愛くないし、嬉しくない
弟:ひっでぇな!
私:で、何の用?父さんがまたぎっくり腰にでもなった?
弟:(甘えた声で)あー、それがさぁ~?姉ちゃんにぃ、ちょっとぉ、お願いがあってぇ~
私:うわー、嫌な予感しかしない。なにその猫なで声。気持ち悪いんだけど
弟:来週さぁ?彼女とぉ、東京旅行行こうと思っててぇ〜
私:言っとくけど観光案内なんて出来ないわよ?
弟:いやそんなの分かってるっての。引きこもりにそんなの頼まないよ
私:ひっ、引きこもってなんか、ないわよ!
弟:そっかそっかぁ〜、東京ライフを満喫してるんだねぇ〜、さすが姉ちゃん!
私:ふふん、当たり前よ!
弟:んでさぁ〜?お願いっていうのはぁ、ホテル代が足りなくってさぁ〜?
私:え、待ってまさか
弟:姉ちゃんの家に泊めてくれないかな?
私:嫌!絶対嫌、死んでも嫌、世界が滅びても嫌!
弟:そこをなんとか〜、お姉様ぁ〜!
私:なんで弟がイチャついてるところを見なきゃいけないのよ!冗談じゃない!お・こ・と・わ・り!お断りします
弟:お願いしますよクリステルぅ
私:誰がクリステルよ!ネタが古いのよ!
弟:言い出しっぺ姉ちゃんじゃん
私:それにね、うちには毎日のように友達が遊びに来てるから!アンタ達が入れるスペースなんてないの!
弟:嘘ばっか。姉ちゃん友達居ないじゃん
私:はああああ!?居ますけど?居ますけどおお!!
弟:へー、じゃあ今もそこに友達居るの?
私:ええもちろんそうですよー?所狭しとみんな居ますよー?
弟:電話替わってよ
私:え?
弟:挨拶したい
私:いやいやいやいや、いーよ!いーよ!なんでよ!
弟:だって姉ちゃんの友達なんて初めてじゃん!うちの姉をよろしくお願いしますって頼んでおかないと
私:いいってばそんなの!
弟:言ーいーたーいー!言いたい、言いたい!言ーいーたーいー!
私:あーもう、うるっさい!分かったってば!みんなー!弟がよろしくってー!はい、よろしくー。良かったね、みんながよろしくってさー
弟:嘘だろ
私:は?
弟:(ため息)そんな嘘ついてて悲しくならない?姉ちゃん
私:嘘じゃないって言ってんでしょ!分かったわよ!そこまで言うなら替わってやるわよ!ちょっと待ってなさい!
私M:あああああ、何言ってんのよ私のバカあ!うう、でもこうなったら引くに引けないわ!何としてでも姉の威厳を死守してやる!
私:(サチヨ)こんにちは、弟さん。サチヨです
弟:こんにちは。サチヨさんは、姉のお友達なんですか?
私:(サチヨ)ええそうよ。親友なの
弟:へえー。普段はどんな話で盛り上がってるんですか?
私:(サチヨ)え?ええーっと、そうね…、アレかしら、化粧品とか
弟:え!?姉ちゃん化粧するようになったんですか?
私:(サチヨ)そうよー。すごく上手だからいつも参考にさせてもらってるの
弟:へえー。化粧かー!あの、イモ丸出しだった姉ちゃんが!
私:誰がイモ丸出しよ!
弟:あれ、姉ちゃん?
私:(サチヨ)ゲフンゲフン!何言ってるのよ、サチヨさんよ?
弟:あ、そうですか、一瞬姉ちゃんの声が聞こえた気がしました。ところでサチヨさんの好きなコスメブランドはどこですか?
私:(サチヨ)え?ええーっと、なんだったかしら、ド忘れしちゃったみたい
弟:じゃあ、ファンデーションはどこのを使ってるんですか?
私:(サチヨ)ふぁ、ふぁんでえしょん?あーえっとねー、ほら今CMやってる、あのー、コマンタレブーみたいな名前のやつ
弟:まさかと思うけどコフレドールって言いたいんですか?
私:(サチヨ)あーそれそれ、あら私そう言わなかった?
弟:言ってませんね。むしろコマンタレブーからコフレドールを導き出した俺が天才でした。じゃあ次は、
私:(サチヨ)あっ!ごめんね、他の人もあなたと話したがってるみたい。ちょっと替わるわね
弟:えっ、ちょっ、
私:(ハルオ・男性声で)こんにちは!弟さん!ハルオです!
弟:ハルオさん…男性、ですか?
私:(ハルオ)ええ!そうですよ!ちょっと男にしては声が高いんだけどね!はっはっは!
弟:へー、そうなんですねー。あっ、もしかしてハルオさんて、姉ちゃんの恋人なんですか?
私:(ハルオ)いや、違うよ!僕が彼女に片思いしているだけさ!君のお姉さんはとっても素敵な人だからね。大学でもブイブイ言わせてるよ!
弟:ブイブイ…
私:(ハルオ)イケイケゴーゴー!って感じだね!
弟:ハルオさんの言葉ってなんか古いですよね、まるで姉ちゃんみたい
私:(ハルオ)そ、そうかな!?そんな事ないと思うけどな!お姉さんがあまりに魅力的だからつい真似してしまったかもしれないな!はっはっは!
弟:ところで、ハルオさんは姉ちゃんのどこが好きなんですか?
私:(ハルオ)どこって、ええと、そうだね、すごく、オシャレな所かな!
弟:オシャレ!?あの、イモンの婦人服売り場でしか服を買ったことのない姉ちゃんが!?
私:イモンのどこが悪いのよ!
弟:あれっ、姉ちゃん?
私:(ハルオ)ゴホッゴホッ!最近は渋谷とかのオシャレなビルで買い物しているみたいだよ
弟:えー!いいなぁー!僕も渋谷とか行ってみたいなー!
私:(ハルオ)はっはっはー!君の方こそイモ丸出しじゃないか!この芋洗坂係長め!
弟:言い返したくなるほど悔しかったんだね?
私:(ハルオ)ちょっと何言ってるか分からないなー!
弟:ところで、姉がよく買い物に行くっていう、そのオシャレなビルの名前はなんですか?今度東京に行く時に寄ろうと思うので教えてください
私:(ハルオ)えーと、えー、僕はよく分からないなー、でもすんごくオシャレなビルだよ!あのビルよりオシャレなビルは日本には無いね!
弟:へえー。姉ちゃんって、どこのアパレルブランドの服をよく着てるんですか?
私:(ハルオ)あぱ!?えーと、えー
私M:コイツ本当に鋭い質問してくるわね…!こうなったら私の知識を総動員して絞り出すしかないわ!出てこい!よく聞くカタカナのやつ!
弟:ハルオさん?どうしたんですか?
私M:思い出した!
私:(ハルオ)ケイン・コスギだね!
弟:ケイン・コスギ!?リポディタンDの?
私M:しまった!思い出せてなかった!
私:(ハルオ)間違えた!えーと〇✕△(聞き取れないように誤魔化してごにょごにょ言う)だったかな!
弟:え、なんて?
私:(ハルオ)〇✕△(同じように言う)だよ
弟:え、よく聞き取れないんですけど。さっきまで滑舌そんなに悪くなかったですよね?
私:(ハルオ)(急に滑舌が悪くなって)えー、しょうだったかなー、じゅっとこんにゃ感じだったけじょなむ
弟:もしかして分からないんですか?だからハッキリ言えないんですか?
私M:しつこいなー!コイツー!仕方ない、こうなったら適当に言うしかないわ!
私:(ハルオ)(滑舌元に戻して)あー!思い出した!アンジェラ・アキだったよ!
弟:あーはいはい、アンジェラ・アキね!有名ですよね!
私M:よっしゃミラクルきたああ!でかしたぞアンジェラ・アキ!
弟:そうなんですねー。アンジェラ・アキか…。確かにオシャレですもんね
私:(ハルオ)だよねー!僕もアンジェラ・アキの服をよく着てるんだよ!
弟:あのー。アンジェラ・アキって女性アーティストの名前ですよ?ピアノの弾き語りとかしてる人ですよ?
私M:な、なにぃぃぃ!?まさかフェイントを入れてくるとは…!くっ、完全にやられた!
私:(ハルオ)あー!これは僕とした事が完全に勘違いしていたよー!ははははー!恥ずかしいから他の人と替わるねー!
弟:ちょっと、姉ちゃん(いい加減にしてよ)
私:(サチヨ)こんにちは、弟さん
弟:あれ?サチヨさん?
私M:やっば!出す声を間違えた!
私:(アキエ・カタコト)ち、違うヨー、私はアキエ!
弟:アキエさん…ごめんなさい、サチヨさんの声がした気がしたので
私:(アキエ)気にしないでいいヨ、よく言われるネ!
弟:ありがとうございます。ところでアキエさんは日本の方ではないんですか?
私:(アキエ)そうヨー。東南アジア系ヨー
弟:へえー。姉とはどこで知り合ったんですか?
私:(アキエ)そりゃもちろん、スタパだヨ!
弟:あー、声だけでもドヤってるのがビンビンに伝わってきました。田舎者の憧れですもんね、スタパ
私:(アキエ)えーそうカナ?東京に住んでいれば、スタパなんて全然普通だけどネ〜。毎日行っちゃうケドネ〜!私の血液はスタパで出来てるカラネ〜!
弟:へえー。とんでもない血糖値ですねー
私:マアネー!
弟:じゃあ、そんなアキエさんがスタパで一番好きなメニューは何ですか?
私M:くっ!コイツまたしても嫌な質問してきやがって!ふっ。でも今回は完全な回答を用意してるのよ!いけ!必殺、質問返し!
私:(アキエ)逆に、アナタはナニ?
弟:そうですねぇ、やっぱりキャラメル・フランペチーノですかねー
私:(アキエ)ウワー!奇遇ネー、私も(それが一番好き)
弟:でも定番すぎて面白くないですよね!通(つう)のアキエさんなら、もっと別のオススメありますよね?教えてくださいよー
私:(アキエ)オ、オススメ!?え、えーと、えーと
弟:ほら、期間限定とか、コラボとか。色々あるじゃないですかー
私:(アキエ)そうネー、アルねー、うん、あるヨネー、うんうん
弟:今って期間限定何やってるんですっけ?
私:(アキエ)ええーと、そうダネー、今は、ミ…ミルクキャラメル・フランダース・フランチャイズかなー!
弟:ミルクキャラメル・フランダース・フランチャイズ!?え、フランチャイズ?飲み物なんですかそれ!?
私:(アキエ)あっ、裏メニューだカラ素人には分からないかもしれナイネ!それか東京限定かもしれナイ!うん、そうダネ、きっとそうダヨ!
弟:(叱るように)姉ちゃん!
私:はい!!あっ、ちがう
私:(アキエ)姉チャンじゃナイヨ、アキエだよー
弟:もうそんな嘘つかなくていいから!バレバレだから!
私:嘘じゃないもん!
弟:大体さ、みんな名前が古臭いんだよ。サチヨ、ハルオ、アキエって!昭和かよ!どうせ姉ちゃんがいつも読んでる純文学の影響だろ?
私:す、するどい…さすが我が弟…
弟:あと致命的にカタカナに弱い。なにがアンジェラ・アキだよ、ミルクキャラメル・フランダース・フランチャイズだよ!バッカじゃねーの?
私:うわーん!気にしてることをー!
弟:まあ弟に見栄を張りたかった気持ちは分かるけどね…
私:弟よー!
弟:てか、姉ちゃん、意外な特技あるんだね!
私:え?特技?
弟:それだけ色々な声出せるのってすごいよ!
私:そ、そうかなー?えへへ…えー?そうかなー?そんなにすごいー?
弟:どうやって練習したの?
私:練習なんかしてないよー。ほら、私の友達って多肉植物とか、サボテンでしょ?
弟:え?いや知らないけど…そうなの?
私:そうなの。でね、サボテンとかってほら、喋れないでしょ?
弟:そりゃ植物だからね。喋ったら怖いよ
私:だからさ、いつも私がみんなの声を代わりに出してたんだ
弟:へ、へえ〜…え、もしかしてサチヨさんって、
私:サボテン
弟:サボテンに名前つけてんだ…
私:ハルオはハオルチアで、アキエはアロエ。他にもたくさん居るのよ
弟:姉ちゃんの友達って多肉植物しかいないの?
私:うん!
弟:うわぁ…
私:毎日みんなで話してたらね、いつの間にか色々な声が出せるようになったの、
弟:みんなで話してたって…。はたから見たら姉ちゃんが植物相手にブツブツ独り言いってるだけじゃん…いや怖いわ、我が姉ながらぶっ飛んでるわ…
私:失礼な事言わないでよ!私はいたってマトモなんだから!
弟:と、とりあえず声が出せるようになった経緯はどうあれ、せっかく身についた特技なんだからさ、なんか配信アプリとかで披露してみたら?もしかしたら、友達になってくれる人が居るかもしれないよ?
私:配信アプリ…なるほど…確かにいいかも!
弟:だろ!それに、上手くいって人気の配信者になれば、ファンに投げ銭してもらってお小遣い稼ぎにもなるし!
私:人気配信者!私が!人気者に!
弟:いやなれるとは限らないけどさ
私:はあー、夢が広がるわー!ありがとう!なんだか急に未来が明るくなった気がする!よし、善は急げね!早速登録して始めてみることにするわ!それじゃバイバイ!
弟:あっ、じゃなくて彼女と…って切れてるし…まぁいいか、こんなヤバい姉がいるって知られたらドン引きされるしな。大人しく格安ホテルにでも泊まろっと!
私:はぁ…暇ねー…。外はこんなにいいお天気だっていうのに、私には何の予定もない…。花の女子大生だというのに、毎日のように部屋に引きこもりっぱなし……。私の若さは、こうして失われていくのかしら……はあ〜…。
私:せめて、友達の一人でも居れば……ふふ、なんてね。何バカなこと言ってるのかしら…友達なんてこれまで出来たこともなかったくせに……
私:(机の上のサボテン達に微笑んで)アンタ達以外にはね。
私:サチヨは今日も元気そうだね、ふふ…。よしよし。あいてて、トゲ刺さないでよー、もー
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0:スマホの着信音がn
私:はいもしもし!!!
弟:うわ!びっくりした!え、今呼び出し音した!?
私:なんだ…アンタか…
弟:なんだって何だよ!可愛い弟から電話が来て嬉しいだろ?
私:1ミリも可愛くないし、嬉しくない
弟:ひっでぇな!
私:で、何の用?父さんがまたぎっくり腰にでもなった?
弟:(甘えた声で)あー、それがさぁ~?姉ちゃんにぃ、ちょっとぉ、お願いがあってぇ~
私:うわー、嫌な予感しかしない。なにその猫なで声。気持ち悪いんだけど
弟:来週さぁ?彼女とぉ、東京旅行行こうと思っててぇ〜
私:言っとくけど観光案内なんて出来ないわよ?
弟:いやそんなの分かってるっての。引きこもりにそんなの頼まないよ
私:ひっ、引きこもってなんか、ないわよ!
弟:そっかそっかぁ〜、東京ライフを満喫してるんだねぇ〜、さすが姉ちゃん!
私:ふふん、当たり前よ!
弟:んでさぁ〜?お願いっていうのはぁ、ホテル代が足りなくってさぁ〜?
私:え、待ってまさか
弟:姉ちゃんの家に泊めてくれないかな?
私:嫌!絶対嫌、死んでも嫌、世界が滅びても嫌!
弟:そこをなんとか〜、お姉様ぁ〜!
私:なんで弟がイチャついてるところを見なきゃいけないのよ!冗談じゃない!お・こ・と・わ・り!お断りします
弟:お願いしますよクリステルぅ
私:誰がクリステルよ!ネタが古いのよ!
弟:言い出しっぺ姉ちゃんじゃん
私:それにね、うちには毎日のように友達が遊びに来てるから!アンタ達が入れるスペースなんてないの!
弟:嘘ばっか。姉ちゃん友達居ないじゃん
私:はああああ!?居ますけど?居ますけどおお!!
弟:へー、じゃあ今もそこに友達居るの?
私:ええもちろんそうですよー?所狭しとみんな居ますよー?
弟:電話替わってよ
私:え?
弟:挨拶したい
私:いやいやいやいや、いーよ!いーよ!なんでよ!
弟:だって姉ちゃんの友達なんて初めてじゃん!うちの姉をよろしくお願いしますって頼んでおかないと
私:いいってばそんなの!
弟:言ーいーたーいー!言いたい、言いたい!言ーいーたーいー!
私:あーもう、うるっさい!分かったってば!みんなー!弟がよろしくってー!はい、よろしくー。良かったね、みんながよろしくってさー
弟:嘘だろ
私:は?
弟:(ため息)そんな嘘ついてて悲しくならない?姉ちゃん
私:嘘じゃないって言ってんでしょ!分かったわよ!そこまで言うなら替わってやるわよ!ちょっと待ってなさい!
私M:あああああ、何言ってんのよ私のバカあ!うう、でもこうなったら引くに引けないわ!何としてでも姉の威厳を死守してやる!
私:(サチヨ)こんにちは、弟さん。サチヨです
弟:こんにちは。サチヨさんは、姉のお友達なんですか?
私:(サチヨ)ええそうよ。親友なの
弟:へえー。普段はどんな話で盛り上がってるんですか?
私:(サチヨ)え?ええーっと、そうね…、アレかしら、化粧品とか
弟:え!?姉ちゃん化粧するようになったんですか?
私:(サチヨ)そうよー。すごく上手だからいつも参考にさせてもらってるの
弟:へえー。化粧かー!あの、イモ丸出しだった姉ちゃんが!
私:誰がイモ丸出しよ!
弟:あれ、姉ちゃん?
私:(サチヨ)ゲフンゲフン!何言ってるのよ、サチヨさんよ?
弟:あ、そうですか、一瞬姉ちゃんの声が聞こえた気がしました。ところでサチヨさんの好きなコスメブランドはどこですか?
私:(サチヨ)え?ええーっと、なんだったかしら、ド忘れしちゃったみたい
弟:じゃあ、ファンデーションはどこのを使ってるんですか?
私:(サチヨ)ふぁ、ふぁんでえしょん?あーえっとねー、ほら今CMやってる、あのー、コマンタレブーみたいな名前のやつ
弟:まさかと思うけどコフレドールって言いたいんですか?
私:(サチヨ)あーそれそれ、あら私そう言わなかった?
弟:言ってませんね。むしろコマンタレブーからコフレドールを導き出した俺が天才でした。じゃあ次は、
私:(サチヨ)あっ!ごめんね、他の人もあなたと話したがってるみたい。ちょっと替わるわね
弟:えっ、ちょっ、
私:(ハルオ・男性声で)こんにちは!弟さん!ハルオです!
弟:ハルオさん…男性、ですか?
私:(ハルオ)ええ!そうですよ!ちょっと男にしては声が高いんだけどね!はっはっは!
弟:へー、そうなんですねー。あっ、もしかしてハルオさんて、姉ちゃんの恋人なんですか?
私:(ハルオ)いや、違うよ!僕が彼女に片思いしているだけさ!君のお姉さんはとっても素敵な人だからね。大学でもブイブイ言わせてるよ!
弟:ブイブイ…
私:(ハルオ)イケイケゴーゴー!って感じだね!
弟:ハルオさんの言葉ってなんか古いですよね、まるで姉ちゃんみたい
私:(ハルオ)そ、そうかな!?そんな事ないと思うけどな!お姉さんがあまりに魅力的だからつい真似してしまったかもしれないな!はっはっは!
弟:ところで、ハルオさんは姉ちゃんのどこが好きなんですか?
私:(ハルオ)どこって、ええと、そうだね、すごく、オシャレな所かな!
弟:オシャレ!?あの、イモンの婦人服売り場でしか服を買ったことのない姉ちゃんが!?
私:イモンのどこが悪いのよ!
弟:あれっ、姉ちゃん?
私:(ハルオ)ゴホッゴホッ!最近は渋谷とかのオシャレなビルで買い物しているみたいだよ
弟:えー!いいなぁー!僕も渋谷とか行ってみたいなー!
私:(ハルオ)はっはっはー!君の方こそイモ丸出しじゃないか!この芋洗坂係長め!
弟:言い返したくなるほど悔しかったんだね?
私:(ハルオ)ちょっと何言ってるか分からないなー!
弟:ところで、姉がよく買い物に行くっていう、そのオシャレなビルの名前はなんですか?今度東京に行く時に寄ろうと思うので教えてください
私:(ハルオ)えーと、えー、僕はよく分からないなー、でもすんごくオシャレなビルだよ!あのビルよりオシャレなビルは日本には無いね!
弟:へえー。姉ちゃんって、どこのアパレルブランドの服をよく着てるんですか?
私:(ハルオ)あぱ!?えーと、えー
私M:コイツ本当に鋭い質問してくるわね…!こうなったら私の知識を総動員して絞り出すしかないわ!出てこい!よく聞くカタカナのやつ!
弟:ハルオさん?どうしたんですか?
私M:思い出した!
私:(ハルオ)ケイン・コスギだね!
弟:ケイン・コスギ!?リポディタンDの?
私M:しまった!思い出せてなかった!
私:(ハルオ)間違えた!えーと〇✕△(聞き取れないように誤魔化してごにょごにょ言う)だったかな!
弟:え、なんて?
私:(ハルオ)〇✕△(同じように言う)だよ
弟:え、よく聞き取れないんですけど。さっきまで滑舌そんなに悪くなかったですよね?
私:(ハルオ)(急に滑舌が悪くなって)えー、しょうだったかなー、じゅっとこんにゃ感じだったけじょなむ
弟:もしかして分からないんですか?だからハッキリ言えないんですか?
私M:しつこいなー!コイツー!仕方ない、こうなったら適当に言うしかないわ!
私:(ハルオ)(滑舌元に戻して)あー!思い出した!アンジェラ・アキだったよ!
弟:あーはいはい、アンジェラ・アキね!有名ですよね!
私M:よっしゃミラクルきたああ!でかしたぞアンジェラ・アキ!
弟:そうなんですねー。アンジェラ・アキか…。確かにオシャレですもんね
私:(ハルオ)だよねー!僕もアンジェラ・アキの服をよく着てるんだよ!
弟:あのー。アンジェラ・アキって女性アーティストの名前ですよ?ピアノの弾き語りとかしてる人ですよ?
私M:な、なにぃぃぃ!?まさかフェイントを入れてくるとは…!くっ、完全にやられた!
私:(ハルオ)あー!これは僕とした事が完全に勘違いしていたよー!ははははー!恥ずかしいから他の人と替わるねー!
弟:ちょっと、姉ちゃん(いい加減にしてよ)
私:(サチヨ)こんにちは、弟さん
弟:あれ?サチヨさん?
私M:やっば!出す声を間違えた!
私:(アキエ・カタコト)ち、違うヨー、私はアキエ!
弟:アキエさん…ごめんなさい、サチヨさんの声がした気がしたので
私:(アキエ)気にしないでいいヨ、よく言われるネ!
弟:ありがとうございます。ところでアキエさんは日本の方ではないんですか?
私:(アキエ)そうヨー。東南アジア系ヨー
弟:へえー。姉とはどこで知り合ったんですか?
私:(アキエ)そりゃもちろん、スタパだヨ!
弟:あー、声だけでもドヤってるのがビンビンに伝わってきました。田舎者の憧れですもんね、スタパ
私:(アキエ)えーそうカナ?東京に住んでいれば、スタパなんて全然普通だけどネ〜。毎日行っちゃうケドネ〜!私の血液はスタパで出来てるカラネ〜!
弟:へえー。とんでもない血糖値ですねー
私:マアネー!
弟:じゃあ、そんなアキエさんがスタパで一番好きなメニューは何ですか?
私M:くっ!コイツまたしても嫌な質問してきやがって!ふっ。でも今回は完全な回答を用意してるのよ!いけ!必殺、質問返し!
私:(アキエ)逆に、アナタはナニ?
弟:そうですねぇ、やっぱりキャラメル・フランペチーノですかねー
私:(アキエ)ウワー!奇遇ネー、私も(それが一番好き)
弟:でも定番すぎて面白くないですよね!通(つう)のアキエさんなら、もっと別のオススメありますよね?教えてくださいよー
私:(アキエ)オ、オススメ!?え、えーと、えーと
弟:ほら、期間限定とか、コラボとか。色々あるじゃないですかー
私:(アキエ)そうネー、アルねー、うん、あるヨネー、うんうん
弟:今って期間限定何やってるんですっけ?
私:(アキエ)ええーと、そうダネー、今は、ミ…ミルクキャラメル・フランダース・フランチャイズかなー!
弟:ミルクキャラメル・フランダース・フランチャイズ!?え、フランチャイズ?飲み物なんですかそれ!?
私:(アキエ)あっ、裏メニューだカラ素人には分からないかもしれナイネ!それか東京限定かもしれナイ!うん、そうダネ、きっとそうダヨ!
弟:(叱るように)姉ちゃん!
私:はい!!あっ、ちがう
私:(アキエ)姉チャンじゃナイヨ、アキエだよー
弟:もうそんな嘘つかなくていいから!バレバレだから!
私:嘘じゃないもん!
弟:大体さ、みんな名前が古臭いんだよ。サチヨ、ハルオ、アキエって!昭和かよ!どうせ姉ちゃんがいつも読んでる純文学の影響だろ?
私:す、するどい…さすが我が弟…
弟:あと致命的にカタカナに弱い。なにがアンジェラ・アキだよ、ミルクキャラメル・フランダース・フランチャイズだよ!バッカじゃねーの?
私:うわーん!気にしてることをー!
弟:まあ弟に見栄を張りたかった気持ちは分かるけどね…
私:弟よー!
弟:てか、姉ちゃん、意外な特技あるんだね!
私:え?特技?
弟:それだけ色々な声出せるのってすごいよ!
私:そ、そうかなー?えへへ…えー?そうかなー?そんなにすごいー?
弟:どうやって練習したの?
私:練習なんかしてないよー。ほら、私の友達って多肉植物とか、サボテンでしょ?
弟:え?いや知らないけど…そうなの?
私:そうなの。でね、サボテンとかってほら、喋れないでしょ?
弟:そりゃ植物だからね。喋ったら怖いよ
私:だからさ、いつも私がみんなの声を代わりに出してたんだ
弟:へ、へえ〜…え、もしかしてサチヨさんって、
私:サボテン
弟:サボテンに名前つけてんだ…
私:ハルオはハオルチアで、アキエはアロエ。他にもたくさん居るのよ
弟:姉ちゃんの友達って多肉植物しかいないの?
私:うん!
弟:うわぁ…
私:毎日みんなで話してたらね、いつの間にか色々な声が出せるようになったの、
弟:みんなで話してたって…。はたから見たら姉ちゃんが植物相手にブツブツ独り言いってるだけじゃん…いや怖いわ、我が姉ながらぶっ飛んでるわ…
私:失礼な事言わないでよ!私はいたってマトモなんだから!
弟:と、とりあえず声が出せるようになった経緯はどうあれ、せっかく身についた特技なんだからさ、なんか配信アプリとかで披露してみたら?もしかしたら、友達になってくれる人が居るかもしれないよ?
私:配信アプリ…なるほど…確かにいいかも!
弟:だろ!それに、上手くいって人気の配信者になれば、ファンに投げ銭してもらってお小遣い稼ぎにもなるし!
私:人気配信者!私が!人気者に!
弟:いやなれるとは限らないけどさ
私:はあー、夢が広がるわー!ありがとう!なんだか急に未来が明るくなった気がする!よし、善は急げね!早速登録して始めてみることにするわ!それじゃバイバイ!
弟:あっ、じゃなくて彼女と…って切れてるし…まぁいいか、こんなヤバい姉がいるって知られたらドン引きされるしな。大人しく格安ホテルにでも泊まろっと!