台本概要

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タイトル 東西戦争 ~Bustle of the outfield~ 下
作者名 MXAC  (@MXAC_Dicepest)
ジャンル ファンタジー
演者人数 4人用台本(男2、女2)
時間 30 分
台本使用規定 商用、非商用問わず連絡不要
説明 ノルデンエイリーク

……54もの国がひしめき合うこの大陸で、中央に鎮座したその“二国”だけが、圧倒的に異彩を放っている。東にあるは皇帝ガリウスが率いるレヴァンティン。西にあるは、女王シャルロットが統すべしエーベルヴァイン……




周りの国々は、既に全て、対立するこの二強のどちらかに屈し……今まさに大陸統一。



東西の因縁に、決着がつこうとしていた。

その外側で、民は何を思い、何を生きているのだろうか。
注意事項



この作品は

Before United War 〜最終戦争のその前に〜

URL→ https://lit.link/tsukuenoueno

の二次創作です。

オリジナルのキャラクター

オリジナルの設定

原作との相違

の要素が多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。読まれてからの内容についてのクレームはお受けいたしかねます。ご了承ください。



この本は、個人的な非公式台本です。原作者様などとの関連はありません。



性別転換はご遠慮ください。



作中のアドリブは演者様たちにお任せ致します。公式と同じく、大筋のストーリーが変わらないのであれば、演者がキャラクターの性格を想像し、お好きに楽しく合いの手を入れた方が、自然に仕上がると思うからです。



作者は作品の著作権の放棄は致しません。よって、無断転載及び自作発言、また改変や無断転載など、著作権を侵害する行為はおやめください。



使用する際は、必ず概要欄・詳細文などに

タイトル:東西戦争 ~Bustle of the outfield~ 上

作者:MXAC(エムザック)

(台本のURL)

そしてこの台本が二次創作物であること

以上を必ず明記してください。



個人や友人間の趣味の範囲内でしたら、好きにお使いいただいて構いません。金銭の派生しない活動や放送、各種配信サイトでの投げ銭機能などでの利益分に関しては連絡不要です。

舞台化や台本を使った作品の販売はご相談ください。


以上、どうかご了承ください。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ロビン 31 ロビン・バッド・ストロング。 50歳男。大衆酒場兼冒険者ギルド「黒牛亭」のマスター。元冒険者であり、西国の前女王と親しかった。戦闘に関しては二本の黒い刃が付いたハンドガンバヨネット、「シュワッツェ・クー」を二丁持って戦っていたという。二つ名が「暴虐の黒牛」
リズ 35 リスラム・M・ストックマイン 29歳女。国を放浪するお医者様。冒険者に薬草や、医療に使うモノの調達を依頼しながら移動診療所と銘打って人々を治療していく。東の国の出身だが、医療や科学に造詣が深そうな西国に移住。現在は休業しており、薬や、新しい治療法の研究をしている
ソフィア 35 ソフィア・ウィンスレット 28歳女。世界をまたにかける大商会の長。職業柄人の顔は一瞬で覚えて忘れない記憶力の持ち主。他の大陸とも貿易をしており、別大陸の技術を応用した新しい武器の開発など手掛けている。西国には専属の鍛冶屋や、武器の製造ルートがあるので、東国が主な商売相手で武器を派手に買うから好きとのこと。
フィン 35 フィン・サンズ 25歳男。フリーの傭兵。東国が戦争に向かう兵を募った時に真っ先に志願した。酒、女、金、うまい飯、血沸き肉躍る殺し合い、と中々イカレた欲望に忠実な男。東国の国王の荒々しさが気に入ったため、東国に加担するが、正直殺し合いができれば何でもいい。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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ロビン:「それじゃ、戦争の終結を祝して。乾杯!」 リズ:「かんぱーい!あーきぶんがいいわ!人のおごりで飲むお酒さいっこう!」 ソフィア:「私も戦争のおかげでうっはうは!このくらいの飲み代わけもないくらいに稼げた!今日は飲んで食ってさわぐぞー!」 フィン:「チクショウ!今回の賭けで一番損したのは俺かよ!クッソ!」 ロビン:「そんなに荒れてどうしたんだフィン?せっかくの祝いの場なのになんだか暗いじゃねえか。どうかしたのか?」 フィン:「敗戦国の傭兵には金品はほぼ支払われねえんだよ!それに加え装備品のいろいろに加えて賭けの飲み代まで払わなきゃいけねえんだよ!笑ってられるか!」 ソフィア:「言い出しっぺの法則だねぇ。まあこの中で一番損をしたのは間違いなくフィンだと思うよ?でも戦争に行って生きてるだけで私は幸せだと思うけど。」 リズ:「戦闘に関してだけはこいつすごいのよねぇ。今回の戦争も相当厳しい戦場だったはずなのにほぼ無傷で帰ってきたのよ?幸運というかなんというか。」 フィン:「ちげえよ!今回の戦、あの鐘が鳴らなきゃこっちが勝ってた!」 ソフィア:「そんな単純な話じゃないでしょ、あの鐘はさ。」 リズ:「Norden Eirik endkampf(ノルデンエイリーク・エンカムス)、よくできたシステムだとは思うけど。」 フィン:「だとしてもだ!被害を少なくしてんだからこっちにも温情ぐらいあっても……!」 ロビン:「まあ生きて帰ってこれただけでよかったじゃねえか。飲むだけ飲んで忘れちまえよ。うまい飯もたくさん用意したんだ。元気出せって。」 フィン:「その金は俺の借金からできてるんだよ!!!」 ソフィア:「無利息で貸してあげてるんだから感謝してほしいくらいだけどね。」 フィン:「ふざけんじゃねえぞ!いつもありがとうございますぅ!!!」 リズ:「あッはッは!律儀に感謝はするのねおっかしいわ!」 ロビン:「お前なんだかんだ言って根は真面目なんだよなぁほんと。お前を見てるとなんか安心するわ面白くて。」 フィン:「なんだよ!ケンカ売ってんのかおっさん!今の俺はいらいらしてんだ!やるんだったらやってやるぞ!」 ロビン:「…ほう?」 リズ:「あっ。」 ソフィア:「あーあー。やっちゃった。」 フィン:「…やっべ。」 ロビン:「なるほどなるほど、おっさん、ねぇ?お前は俺のことを本心ではそう思っていたということか。えぇ?いい度胸してるじゃないかフィン・サンズ?この俺がお前のような若造ごときにわざわざケンカを吹っ掛けると、そういうんだな?」 フィン:「い、いやそんなことないです違うんですマスター。」 ソフィア:「フィン、マスターの地雷ふんじゃった。ほんと馬鹿だねぇ。」 リズ:「もう私知らないわよ?」 ロビン:「そこまで言うならやってやるよ!オラ小僧表出ろやぁ!」 フィン:「ああクッソ上等だゴラァ!クソジジイに引導渡してやるわ!」 ソフィア:「きちんと回りに配慮してやるんだよー?あ、なんか壊れたらぜひうちの商会で治してね!安くしとくからさぁ!」 リズ:「ほんと、バカばっかりじゃない。…ソフィー、飲んでるとこ悪いけど治療の準備手伝ってちょうだい。」 ソフィア:「いいよ~!あ、そうだ。どっちが勝つか賭けでもする?」 リズ:「馬鹿ね、そんなの賭けにならないわ。マスターの圧勝よ。」 ソフィア:「それもそっか。んじゃあ気長に待ちますかぁ。」 :(間) ロビン:「すまんな。お待たせ。すぐに料理作るから待っててくれ。」 ソフィア:「お疲れさまー。意外と早かったね。見た感じ疲れもしてないのすごいねぇ。」 リズ:「もう片方はぼろ雑巾みたいになってるけどね。フィン大丈夫?」 フィン:「そう見えるなら眼をいしゃにみてもらった方がいいと思うがな…」 リズ:「そんな言い方するなら?目の悪い医者は手元が狂ってしまうかもしれないので?治療しようとおもったけどこれじゃあできないなー?」 フィン:「ごめんなさい許してください貴方様は世界で一番のお医者様です助けてください本当に申し訳ございませんでした。」 リズ:「よろしい。まったく、あんたもバカねぇ。マスターにケンカ売るから。」 ソフィア:「まあ、賭けの時点で私は儲けを確信してたから乗ったけど、後先考えずにかけ事を始めるその癖を辞めた方がいいと思うけど?それよりうちの商会で豪遊してくれた方がありがたいまであるわ。」 フィン:「クッソぉ…絶対勝つと思ったのによぉ!あの皇帝負けやがってあの女王様の笑顔が今でも忘れられん。」 リズ:「に、しても女王様も考えたわよね。自分と並び立った人間の力を信じて、温情をかけて自分の部下に加えるなんて、ねぇ。」 フィン:「絶対いつか後悔するぜあの女。温情をかけたとしても元は野心家の皇帝だぞ?いつか寝首をかかれるにきまってるんだ。」 ロビン:「いや、そうでもないと思うぞ。あの嬢ちゃんなら、あの赤髪のクソガキが義を立てる男だっていうことは知っているはずだ。昔からそうだったからな。そしてお互い、ノルデンエイリークを愛し、守る強い心を持っている。そんな男に情をかけずにはいられなかったんだろうよ。」 ソフィア:「『嬢ちゃん』、『クソガキ』?」 リズ:「『昔からそうだった』?」 フィン:「…マスター、正直に答えてくれ、あんた、あの二人に会ったことがあるのか?」 ロビン:「ん?あれ、言ってなかったか。この国の先代女王が専属で指名してた冒険者は俺だ。いろんなところで護衛にも就いたし、いろいろ勲章取っちまって社交会なんかも参加しなきゃいけないことが多くてだな。」 フィン:「…ハァ!?なんだそりゃ!?そんなん初めて聞いたぞ!?」 リズ:「先代女王の専属って…『暴虐の黒牛』なのマスター!?」 ソフィア:「ああ、だからあったことあるのか。…絵画に書かれてるより全然人相良いからわかんなかった。じゃあ、もしかしてマスターの本名、ロビン・B・ストロング?」 ロビン:「正確にはロビン・バッド・ストロング、だな。バッドってのが厳ついからBを使ってはいるが。」 リズ:「いろいろと有名になったらそんな心配が必要になるの?大変なのね。」 フィン:「冒険者は、名前が命だからな。少しの威圧感で食い扶持がなくなるなんてざらだ。有名だからそういうことをするんじゃなく、そこまで気を配れて有能な奴がのし上がれる稼業なんだよ。俺にはできない芸当だ。」 ソフィア:「ハンドガンバヨネット使ってるってなった時に武器を見せてもらえばよかった。親の商会にいたころに武器の設計図だけは見たことがある。あの、二刀の奇銃。」 ロビン:「『シュワッツェ・クー』だな。ウィンスレットの息子を助けたときにできたコネで、オーダーメイドで作ってもらった俺の愛銃だ。」 リズ:「本当、強さの理由が分かった気がするわ。それだけ修羅場をくぐっていればそうなるわよねぇ。ここは冒険者ギルドも兼ねてるから引退した冒険者だとは思ってたけどそれほどとは…」 フィン:「店の名前が『暴虐の黒牛』からとってたのは知ってたがよ、まさか本人だとは思わねえよそんなん…なぁ?」 リズ:「まあ、それはそうよね。私たちが子供のころの英雄だもの。本物に会えるなんて思ったこともなかったわ。」 ソフィア:「それはそうとなんで二強の皇帝とどこで会ったの?結構昔から知っているみたいだけど。」 ロビン:「ああ、確かあんときはライラ…ああ、先代の女王だな。あいつに王位継承権を持つ子供たちの社交界デビューに付き合わされたんだ。ノルデンエイリーク中の王侯貴族が集まる中、あの二人はなんだか。うん、そうだ。あの時から周りの奴らとは何か違ったんだ。そうだな、俺から見たら異様な存在感だった。そんな二人が最初のダンスを踊ることになった、とありゃあまあ覚えているもんだ。」 フィン:「はー!だからアイツラなんだか変な距離感だったのか!」 ロビン:「まあ、それっきりなんだろうよ。特に交流を深めるわけでもないが、何となく覚えている人間みたいな立ち位置だったはずだお互いに。その相手が急に敵国になったとなれば、まあ微妙な距離感になっちまったんだろう。」 ソフィア:「でも、そのくらいの面識じゃあんな呼び方にはならないでしょ?何かあったの?」 リズ:「まあそれもそうよね。お嬢ちゃんとクソガキっていうくらいの仲だったんでしょうから、それなりに交流があったんじゃないの?」 ロビン:「あのクソガキに関しちゃ、簡単なことでな。戦争が起こっていなかった時代に、王位が決まっている少年がいて、その少年がやんちゃだ。とくれば窓口は冒険者が適任でな。いろんな話をしてやったり、遊んでやったら餓鬼は喜ぶ。それであいつは偉そうだったからクソガキ。ただそれだけだな。」 フィン:「皇帝をクソガキ呼ばわりだぜ…やべえなこの人。」 ソフィア:「まあ親子くらいの年の差あるしそんなもんなんじゃないの?子供と大人って。」 リズ:「それで、お嬢ちゃんっていうのは?」 ロビン:「ん、あーあの子に関してはまあ、いろいろあったよ。不正の資料やらなんやらを集めたりしたもんだ。あのお嬢ちゃんは曲がったことが嫌いなくせに、断罪のためなら平気で自分の手を汚そうとする。誇り高いが危なっかしいお嬢ちゃんだった。まあパトリシアちゃんやヤーカルムのせがれのおかげでいい王になったがな。当時はそれはそれは危ないもんだったよ。ただ、実力はずば抜けていたし、それ以外が腐りすぎていたのも大きかったな。」 フィン:「なんかあんたも中々に苦労してんだなぁ。」 ソフィア:「伝説になるくらいだから苦労してないなんて言わせない。」 ロビン:「…まあ、それなりに苦労はした。それ以上に苦労している人間を知っているってだけでな。王なんて、誉だが楽なもんじゃない。」 リズ:「相当色々あったのが今の一言で分かったわ。…まあ、ここでマスターしてるくらいだし国とコネがあってもおかしくはないわね。」 ソフィア:「この事実を知ってる人はどのくらいいるの?」 ロビン:「お嬢ちゃんとヤーカルムのせがれ、そして貴族の一部、だな。」 ソフィア:「…もしかしてこのコネは商人としてはだいぶん重要なのでは?」 フィン:「…ここで冒険者登録すれば食い扶持には困らないのでは?」 リズ:「ちょっとあんたたちやめなさいよ。変な気起こさないの!」 ロビン:「まあ、料理番の俺と話す奴なんてそういないからな。仕事はカウンターでキレイどころがやってくれるし、事務処理は裏方がしっかりとしてる。ギルドマスターっつってもここはそんなに仕事はないんだよ。」 フィン:「へ―そんなもんなのか…?」 リズ:「そんなわけないでしょ。マスターっていうのはそんなに甘いもんじゃないわ。」 ソフィア:「マスターの仕事は、王城であるこの国の方針を決める会議への出席や、予算の決定。付近に問題や異常がないかの監視と、発見した場合の報告。それに犯罪者の発券業務なんかもある。そのうえ発注や納品もこなして、その上ここのギルドは、エーベルヴァインのギルドの統括でもあるからその業務もあるはず。加えて料理番もしてる。」 リズ:「…マスター、あなたそれでよく倒れないわね?栄養ドリンクでも作ろうか?結構効き目あって、風邪とかの患者に飲ませると結構よくなるの。」 ロビン:「本当か?良ければたのむよ。」 ソフィア:「リズ、レシピを教えて?大丈夫、売り上げの一割を毎月収める。」 フィン:「うっわ金のにおいがしたとたんに目が輝き始めやがったコイツ…。本当そういうところお前目ざといよなぁ。」 リズ:「んーまあ、薬草なんかが怖いから、きちんと薬に詳しい店員なんかを用意してくれたら教えるわ。」 ソフィア:「やった。人員のことは任せて。うちの商会の医者を呼ぶ。」 ロビン:「本当ソフィアの商会はいろいろやってんなぁ。」 フィン:「それが大体成功してるのがなかなかすげえとこだよな。」 ソフィア:「最近他の大陸で色々あってるみたいだし、こういうこともやっとけばいい感じにお金が入るのよねー。これからいろいろと荒れるとおもうから。」 フィン:「…へぇ?これからいろいろ荒れるってことは、まだ戦争は終わらないってことか?そりゃあいい!」 リズ:「よくはないでしょ。…でも、その話は気になるわね。少し詳しく教えて?」 ソフィア:「任せて。ここで登場するのが、こちらでございまーす。」 フィン:「なんだそれ?球が付いた台座?球になんか地図みたいなのが書いてあるぞ。」 ソフィア:「この世界はまあるい球体になってることが分かったらしいの。それをもとに地図を球体にして、大陸の広さの歪みをなくした優れもの。『地球儀』っていうんだ。」 リズ:「へぇ、珍しいものね。これで世界のすべてが分かっちゃうってわけ。」 ソフィア:「全てじゃないけどね。っとと、そうだ。説明。最初に言うのはここ。この小さな島国、『ヒイズル』だよ。小さいながらにも大陸に匹敵する力を持ってるところだね。」 ロビン:「俺も少しなら知っているぞ。ヒイズル国は『カタナ』という剣がすごいんだとか。」 ソフィア:「あの技術はすごいよぉ!『サムライ』っていう兵士が使う剣だけど鉄をも切り裂く切れ味だ!弓も全然作りが違ってね!ロングボウよりも大きくて、一説によれば木の城壁くらいなら簡単に壊すんだとか!」 フィン:「そりゃ本当に弓なのか?そんなバカのような弓があるなんて信じられないんだが。」 リズ:「そんなもの人体に浴びたらと思うとぞっとするわね。本当に。」 ソフィア:「私的には、アグレランド大陸のマキシマ帝国が興味あるわね!絡繰りと蒸気の国で、なんと、人が乗れて自動で動く絡繰りや、オートマタなんかがいるらしいの!一回行ってみたいんだけど、何しろ遠いのよねぇ。」 ロビン:「あそこは絡繰りを軍事利用しようとしてるから発展も早い。そもそもハンドガンだってあそこの発祥だからな。どんな兵器を考えててもおかしくはない。」 フィン:「そんなもんに頼らなくても勝てるように体鍛えればいいのにな。」 リズ:「逆に鍛えていない人間でも人を簡単に殺せるってことでしょう?一番恐ろしいわ。」 ソフィア:「でも今のところこの大陸に進行するような動きは見えてないし、なんなら周りの大陸に阻まれてすぐにはここには来れないわ。」 ロビン:「位置的には今あげた二国は遠い。ここと戦争にすぐなる、ってことはないだろうよ。多分な。」 リズ:「そうなのね…それなら安心だわ。怖い情報ばっかりだったもの。」 フィン:「でもさっきの言い方だと、戦争になりそうな大陸があるんだよな?そういうところを教えて欲しいぜ。」 ロビン:「こういうところだけ頭の回転が速いなぁお前。ああそうだよ。戦争になりそうなところが一つある。といっても情報は少ないんだが。」 リズ:「…そんなあぶないところが。それはいったいどこなの?」 ソフィア:「シュッドガルド。海を挟んでおとなりさま。最近めきめきと力をつけてきていて、この大陸の商人はあまり近寄りたがらないのさ。危ないし、なにより商人の情報っていうのは貴重だからね。捕まえられて拷問されて、情報を吐かされた挙句に自分の大陸では売国奴といわれるかもしれないんだ。」 ロビン:「戦争するそぶりがないのに力を蓄えているとなると、それはそれは危険としか言いようがないんだ。でも戦争のそぶりはないからほかの大陸の猛者も手を出せないでいる。」 リズ:「でも、それならなにもしなければうちの大陸に来ることはないんじゃないの?」 ソフィア:「今までなら、そうだったかもしれない。ノルデンエイリークはずっと内乱の途中で、ずっと戦闘態勢だった。そんな危ない所を狙うような大馬鹿はいない。」 フィン:「…待てよ、それなら今回この大陸は一つに統一されたことによって、ほかの大陸から狙われない要素がなくなったってことか?」 ロビン:「そういうことになるな。当たり前のことだが、それがなければこの大陸は、運河もあり、資源も豊富にある。そりゃあ他の大陸にも資源はあるが、内乱が終わった直後の大陸ってのがでかい。」 リズ:「なるほど。基盤ができていないから乗っ取りやすいってことかしら?」 ソフィア:「そういうこと。戦争して乗っ取るのなら今が絶好のチャンスだって話なの。」 フィン:「ってことは、直近に起こるであろう戦争はそのシュッドガルドってとことの戦争である可能性が高いってことか?」 ロビン:「まあ、そうなるな。」 リズ:「大陸の中だけじゃなくて大陸間での戦争もあるってわけ。はぁ、いつになったら完全な平和ってくるのかしら。」 フィン:「いんや、そんなもんはこねえよ。人間生きている限り何かと戦わなきゃいけねえ。それは逃れることのできない運命だ。平和なんて戦争の間の騙しあいでしかないんだから。そもそもこの中ですら意見が割れてんのに全世界皆同じ考えってのは無理があるぜ。」 ソフィア:「商売も客をどれだけ他の商会から取れるかっていう戦いだし、高給取りになるために仲間同士でも争わなきゃいけないんだから、人と争いは切っても切れないもの。まっとうに生きていれば必ず誰かの恨みを買うはずだから。」 リズ:「それはそうかもしれないけど、それでも誰もが傷つかない世界は見てみたいじゃない。誰もが一つの差別も、苦しみもなく笑いあえる世界なんてものが実現したら、って思ってしまうのよ。」 ロビン:「まあ、その気持ちはわかんなくもねえよ。少なかれ、世界には苦しんでる人間がいて、それが自分の知り合いや友人、家族だったりしたらいたたまれない気持ちになる。その範囲が狭いか広いかの話ってだけでだな。ここでそんなん言い合ってるだけ不毛ってことだ。」 フィン:「まあでも、安心はできないって話だな。」 ロビン:「…昨日の国の会議で、元東国皇帝ガリウスとその部下二名を他の大陸に向かわせる、という話があっていた。どう考えてもシュッドガルドに向かわせるつもりなんだろう。」 ソフィア:「それを先に言ってよマスター。これは多分どころか確定で何か起きるじゃん。準備にも時間がかかるんだから。早速明日から働かなきゃ。」 フィン:「俺はそれまでここで冒険者兼傭兵やって自分を鍛えておくとするかな。マスター部屋を一部屋貸してくれないか。」 リズ:「他の大陸との戦争、ねぇ。これからこの世界はどうなっていくのかしら。」 ロビン:「そんなんわかんねえよ。それこそ机の上の地球儀にでも書いてあるんじゃねえか?なんてな。」

ロビン:「それじゃ、戦争の終結を祝して。乾杯!」 リズ:「かんぱーい!あーきぶんがいいわ!人のおごりで飲むお酒さいっこう!」 ソフィア:「私も戦争のおかげでうっはうは!このくらいの飲み代わけもないくらいに稼げた!今日は飲んで食ってさわぐぞー!」 フィン:「チクショウ!今回の賭けで一番損したのは俺かよ!クッソ!」 ロビン:「そんなに荒れてどうしたんだフィン?せっかくの祝いの場なのになんだか暗いじゃねえか。どうかしたのか?」 フィン:「敗戦国の傭兵には金品はほぼ支払われねえんだよ!それに加え装備品のいろいろに加えて賭けの飲み代まで払わなきゃいけねえんだよ!笑ってられるか!」 ソフィア:「言い出しっぺの法則だねぇ。まあこの中で一番損をしたのは間違いなくフィンだと思うよ?でも戦争に行って生きてるだけで私は幸せだと思うけど。」 リズ:「戦闘に関してだけはこいつすごいのよねぇ。今回の戦争も相当厳しい戦場だったはずなのにほぼ無傷で帰ってきたのよ?幸運というかなんというか。」 フィン:「ちげえよ!今回の戦、あの鐘が鳴らなきゃこっちが勝ってた!」 ソフィア:「そんな単純な話じゃないでしょ、あの鐘はさ。」 リズ:「Norden Eirik endkampf(ノルデンエイリーク・エンカムス)、よくできたシステムだとは思うけど。」 フィン:「だとしてもだ!被害を少なくしてんだからこっちにも温情ぐらいあっても……!」 ロビン:「まあ生きて帰ってこれただけでよかったじゃねえか。飲むだけ飲んで忘れちまえよ。うまい飯もたくさん用意したんだ。元気出せって。」 フィン:「その金は俺の借金からできてるんだよ!!!」 ソフィア:「無利息で貸してあげてるんだから感謝してほしいくらいだけどね。」 フィン:「ふざけんじゃねえぞ!いつもありがとうございますぅ!!!」 リズ:「あッはッは!律儀に感謝はするのねおっかしいわ!」 ロビン:「お前なんだかんだ言って根は真面目なんだよなぁほんと。お前を見てるとなんか安心するわ面白くて。」 フィン:「なんだよ!ケンカ売ってんのかおっさん!今の俺はいらいらしてんだ!やるんだったらやってやるぞ!」 ロビン:「…ほう?」 リズ:「あっ。」 ソフィア:「あーあー。やっちゃった。」 フィン:「…やっべ。」 ロビン:「なるほどなるほど、おっさん、ねぇ?お前は俺のことを本心ではそう思っていたということか。えぇ?いい度胸してるじゃないかフィン・サンズ?この俺がお前のような若造ごときにわざわざケンカを吹っ掛けると、そういうんだな?」 フィン:「い、いやそんなことないです違うんですマスター。」 ソフィア:「フィン、マスターの地雷ふんじゃった。ほんと馬鹿だねぇ。」 リズ:「もう私知らないわよ?」 ロビン:「そこまで言うならやってやるよ!オラ小僧表出ろやぁ!」 フィン:「ああクッソ上等だゴラァ!クソジジイに引導渡してやるわ!」 ソフィア:「きちんと回りに配慮してやるんだよー?あ、なんか壊れたらぜひうちの商会で治してね!安くしとくからさぁ!」 リズ:「ほんと、バカばっかりじゃない。…ソフィー、飲んでるとこ悪いけど治療の準備手伝ってちょうだい。」 ソフィア:「いいよ~!あ、そうだ。どっちが勝つか賭けでもする?」 リズ:「馬鹿ね、そんなの賭けにならないわ。マスターの圧勝よ。」 ソフィア:「それもそっか。んじゃあ気長に待ちますかぁ。」 :(間) ロビン:「すまんな。お待たせ。すぐに料理作るから待っててくれ。」 ソフィア:「お疲れさまー。意外と早かったね。見た感じ疲れもしてないのすごいねぇ。」 リズ:「もう片方はぼろ雑巾みたいになってるけどね。フィン大丈夫?」 フィン:「そう見えるなら眼をいしゃにみてもらった方がいいと思うがな…」 リズ:「そんな言い方するなら?目の悪い医者は手元が狂ってしまうかもしれないので?治療しようとおもったけどこれじゃあできないなー?」 フィン:「ごめんなさい許してください貴方様は世界で一番のお医者様です助けてください本当に申し訳ございませんでした。」 リズ:「よろしい。まったく、あんたもバカねぇ。マスターにケンカ売るから。」 ソフィア:「まあ、賭けの時点で私は儲けを確信してたから乗ったけど、後先考えずにかけ事を始めるその癖を辞めた方がいいと思うけど?それよりうちの商会で豪遊してくれた方がありがたいまであるわ。」 フィン:「クッソぉ…絶対勝つと思ったのによぉ!あの皇帝負けやがってあの女王様の笑顔が今でも忘れられん。」 リズ:「に、しても女王様も考えたわよね。自分と並び立った人間の力を信じて、温情をかけて自分の部下に加えるなんて、ねぇ。」 フィン:「絶対いつか後悔するぜあの女。温情をかけたとしても元は野心家の皇帝だぞ?いつか寝首をかかれるにきまってるんだ。」 ロビン:「いや、そうでもないと思うぞ。あの嬢ちゃんなら、あの赤髪のクソガキが義を立てる男だっていうことは知っているはずだ。昔からそうだったからな。そしてお互い、ノルデンエイリークを愛し、守る強い心を持っている。そんな男に情をかけずにはいられなかったんだろうよ。」 ソフィア:「『嬢ちゃん』、『クソガキ』?」 リズ:「『昔からそうだった』?」 フィン:「…マスター、正直に答えてくれ、あんた、あの二人に会ったことがあるのか?」 ロビン:「ん?あれ、言ってなかったか。この国の先代女王が専属で指名してた冒険者は俺だ。いろんなところで護衛にも就いたし、いろいろ勲章取っちまって社交会なんかも参加しなきゃいけないことが多くてだな。」 フィン:「…ハァ!?なんだそりゃ!?そんなん初めて聞いたぞ!?」 リズ:「先代女王の専属って…『暴虐の黒牛』なのマスター!?」 ソフィア:「ああ、だからあったことあるのか。…絵画に書かれてるより全然人相良いからわかんなかった。じゃあ、もしかしてマスターの本名、ロビン・B・ストロング?」 ロビン:「正確にはロビン・バッド・ストロング、だな。バッドってのが厳ついからBを使ってはいるが。」 リズ:「いろいろと有名になったらそんな心配が必要になるの?大変なのね。」 フィン:「冒険者は、名前が命だからな。少しの威圧感で食い扶持がなくなるなんてざらだ。有名だからそういうことをするんじゃなく、そこまで気を配れて有能な奴がのし上がれる稼業なんだよ。俺にはできない芸当だ。」 ソフィア:「ハンドガンバヨネット使ってるってなった時に武器を見せてもらえばよかった。親の商会にいたころに武器の設計図だけは見たことがある。あの、二刀の奇銃。」 ロビン:「『シュワッツェ・クー』だな。ウィンスレットの息子を助けたときにできたコネで、オーダーメイドで作ってもらった俺の愛銃だ。」 リズ:「本当、強さの理由が分かった気がするわ。それだけ修羅場をくぐっていればそうなるわよねぇ。ここは冒険者ギルドも兼ねてるから引退した冒険者だとは思ってたけどそれほどとは…」 フィン:「店の名前が『暴虐の黒牛』からとってたのは知ってたがよ、まさか本人だとは思わねえよそんなん…なぁ?」 リズ:「まあ、それはそうよね。私たちが子供のころの英雄だもの。本物に会えるなんて思ったこともなかったわ。」 ソフィア:「それはそうとなんで二強の皇帝とどこで会ったの?結構昔から知っているみたいだけど。」 ロビン:「ああ、確かあんときはライラ…ああ、先代の女王だな。あいつに王位継承権を持つ子供たちの社交界デビューに付き合わされたんだ。ノルデンエイリーク中の王侯貴族が集まる中、あの二人はなんだか。うん、そうだ。あの時から周りの奴らとは何か違ったんだ。そうだな、俺から見たら異様な存在感だった。そんな二人が最初のダンスを踊ることになった、とありゃあまあ覚えているもんだ。」 フィン:「はー!だからアイツラなんだか変な距離感だったのか!」 ロビン:「まあ、それっきりなんだろうよ。特に交流を深めるわけでもないが、何となく覚えている人間みたいな立ち位置だったはずだお互いに。その相手が急に敵国になったとなれば、まあ微妙な距離感になっちまったんだろう。」 ソフィア:「でも、そのくらいの面識じゃあんな呼び方にはならないでしょ?何かあったの?」 リズ:「まあそれもそうよね。お嬢ちゃんとクソガキっていうくらいの仲だったんでしょうから、それなりに交流があったんじゃないの?」 ロビン:「あのクソガキに関しちゃ、簡単なことでな。戦争が起こっていなかった時代に、王位が決まっている少年がいて、その少年がやんちゃだ。とくれば窓口は冒険者が適任でな。いろんな話をしてやったり、遊んでやったら餓鬼は喜ぶ。それであいつは偉そうだったからクソガキ。ただそれだけだな。」 フィン:「皇帝をクソガキ呼ばわりだぜ…やべえなこの人。」 ソフィア:「まあ親子くらいの年の差あるしそんなもんなんじゃないの?子供と大人って。」 リズ:「それで、お嬢ちゃんっていうのは?」 ロビン:「ん、あーあの子に関してはまあ、いろいろあったよ。不正の資料やらなんやらを集めたりしたもんだ。あのお嬢ちゃんは曲がったことが嫌いなくせに、断罪のためなら平気で自分の手を汚そうとする。誇り高いが危なっかしいお嬢ちゃんだった。まあパトリシアちゃんやヤーカルムのせがれのおかげでいい王になったがな。当時はそれはそれは危ないもんだったよ。ただ、実力はずば抜けていたし、それ以外が腐りすぎていたのも大きかったな。」 フィン:「なんかあんたも中々に苦労してんだなぁ。」 ソフィア:「伝説になるくらいだから苦労してないなんて言わせない。」 ロビン:「…まあ、それなりに苦労はした。それ以上に苦労している人間を知っているってだけでな。王なんて、誉だが楽なもんじゃない。」 リズ:「相当色々あったのが今の一言で分かったわ。…まあ、ここでマスターしてるくらいだし国とコネがあってもおかしくはないわね。」 ソフィア:「この事実を知ってる人はどのくらいいるの?」 ロビン:「お嬢ちゃんとヤーカルムのせがれ、そして貴族の一部、だな。」 ソフィア:「…もしかしてこのコネは商人としてはだいぶん重要なのでは?」 フィン:「…ここで冒険者登録すれば食い扶持には困らないのでは?」 リズ:「ちょっとあんたたちやめなさいよ。変な気起こさないの!」 ロビン:「まあ、料理番の俺と話す奴なんてそういないからな。仕事はカウンターでキレイどころがやってくれるし、事務処理は裏方がしっかりとしてる。ギルドマスターっつってもここはそんなに仕事はないんだよ。」 フィン:「へ―そんなもんなのか…?」 リズ:「そんなわけないでしょ。マスターっていうのはそんなに甘いもんじゃないわ。」 ソフィア:「マスターの仕事は、王城であるこの国の方針を決める会議への出席や、予算の決定。付近に問題や異常がないかの監視と、発見した場合の報告。それに犯罪者の発券業務なんかもある。そのうえ発注や納品もこなして、その上ここのギルドは、エーベルヴァインのギルドの統括でもあるからその業務もあるはず。加えて料理番もしてる。」 リズ:「…マスター、あなたそれでよく倒れないわね?栄養ドリンクでも作ろうか?結構効き目あって、風邪とかの患者に飲ませると結構よくなるの。」 ロビン:「本当か?良ければたのむよ。」 ソフィア:「リズ、レシピを教えて?大丈夫、売り上げの一割を毎月収める。」 フィン:「うっわ金のにおいがしたとたんに目が輝き始めやがったコイツ…。本当そういうところお前目ざといよなぁ。」 リズ:「んーまあ、薬草なんかが怖いから、きちんと薬に詳しい店員なんかを用意してくれたら教えるわ。」 ソフィア:「やった。人員のことは任せて。うちの商会の医者を呼ぶ。」 ロビン:「本当ソフィアの商会はいろいろやってんなぁ。」 フィン:「それが大体成功してるのがなかなかすげえとこだよな。」 ソフィア:「最近他の大陸で色々あってるみたいだし、こういうこともやっとけばいい感じにお金が入るのよねー。これからいろいろと荒れるとおもうから。」 フィン:「…へぇ?これからいろいろ荒れるってことは、まだ戦争は終わらないってことか?そりゃあいい!」 リズ:「よくはないでしょ。…でも、その話は気になるわね。少し詳しく教えて?」 ソフィア:「任せて。ここで登場するのが、こちらでございまーす。」 フィン:「なんだそれ?球が付いた台座?球になんか地図みたいなのが書いてあるぞ。」 ソフィア:「この世界はまあるい球体になってることが分かったらしいの。それをもとに地図を球体にして、大陸の広さの歪みをなくした優れもの。『地球儀』っていうんだ。」 リズ:「へぇ、珍しいものね。これで世界のすべてが分かっちゃうってわけ。」 ソフィア:「全てじゃないけどね。っとと、そうだ。説明。最初に言うのはここ。この小さな島国、『ヒイズル』だよ。小さいながらにも大陸に匹敵する力を持ってるところだね。」 ロビン:「俺も少しなら知っているぞ。ヒイズル国は『カタナ』という剣がすごいんだとか。」 ソフィア:「あの技術はすごいよぉ!『サムライ』っていう兵士が使う剣だけど鉄をも切り裂く切れ味だ!弓も全然作りが違ってね!ロングボウよりも大きくて、一説によれば木の城壁くらいなら簡単に壊すんだとか!」 フィン:「そりゃ本当に弓なのか?そんなバカのような弓があるなんて信じられないんだが。」 リズ:「そんなもの人体に浴びたらと思うとぞっとするわね。本当に。」 ソフィア:「私的には、アグレランド大陸のマキシマ帝国が興味あるわね!絡繰りと蒸気の国で、なんと、人が乗れて自動で動く絡繰りや、オートマタなんかがいるらしいの!一回行ってみたいんだけど、何しろ遠いのよねぇ。」 ロビン:「あそこは絡繰りを軍事利用しようとしてるから発展も早い。そもそもハンドガンだってあそこの発祥だからな。どんな兵器を考えててもおかしくはない。」 フィン:「そんなもんに頼らなくても勝てるように体鍛えればいいのにな。」 リズ:「逆に鍛えていない人間でも人を簡単に殺せるってことでしょう?一番恐ろしいわ。」 ソフィア:「でも今のところこの大陸に進行するような動きは見えてないし、なんなら周りの大陸に阻まれてすぐにはここには来れないわ。」 ロビン:「位置的には今あげた二国は遠い。ここと戦争にすぐなる、ってことはないだろうよ。多分な。」 リズ:「そうなのね…それなら安心だわ。怖い情報ばっかりだったもの。」 フィン:「でもさっきの言い方だと、戦争になりそうな大陸があるんだよな?そういうところを教えて欲しいぜ。」 ロビン:「こういうところだけ頭の回転が速いなぁお前。ああそうだよ。戦争になりそうなところが一つある。といっても情報は少ないんだが。」 リズ:「…そんなあぶないところが。それはいったいどこなの?」 ソフィア:「シュッドガルド。海を挟んでおとなりさま。最近めきめきと力をつけてきていて、この大陸の商人はあまり近寄りたがらないのさ。危ないし、なにより商人の情報っていうのは貴重だからね。捕まえられて拷問されて、情報を吐かされた挙句に自分の大陸では売国奴といわれるかもしれないんだ。」 ロビン:「戦争するそぶりがないのに力を蓄えているとなると、それはそれは危険としか言いようがないんだ。でも戦争のそぶりはないからほかの大陸の猛者も手を出せないでいる。」 リズ:「でも、それならなにもしなければうちの大陸に来ることはないんじゃないの?」 ソフィア:「今までなら、そうだったかもしれない。ノルデンエイリークはずっと内乱の途中で、ずっと戦闘態勢だった。そんな危ない所を狙うような大馬鹿はいない。」 フィン:「…待てよ、それなら今回この大陸は一つに統一されたことによって、ほかの大陸から狙われない要素がなくなったってことか?」 ロビン:「そういうことになるな。当たり前のことだが、それがなければこの大陸は、運河もあり、資源も豊富にある。そりゃあ他の大陸にも資源はあるが、内乱が終わった直後の大陸ってのがでかい。」 リズ:「なるほど。基盤ができていないから乗っ取りやすいってことかしら?」 ソフィア:「そういうこと。戦争して乗っ取るのなら今が絶好のチャンスだって話なの。」 フィン:「ってことは、直近に起こるであろう戦争はそのシュッドガルドってとことの戦争である可能性が高いってことか?」 ロビン:「まあ、そうなるな。」 リズ:「大陸の中だけじゃなくて大陸間での戦争もあるってわけ。はぁ、いつになったら完全な平和ってくるのかしら。」 フィン:「いんや、そんなもんはこねえよ。人間生きている限り何かと戦わなきゃいけねえ。それは逃れることのできない運命だ。平和なんて戦争の間の騙しあいでしかないんだから。そもそもこの中ですら意見が割れてんのに全世界皆同じ考えってのは無理があるぜ。」 ソフィア:「商売も客をどれだけ他の商会から取れるかっていう戦いだし、高給取りになるために仲間同士でも争わなきゃいけないんだから、人と争いは切っても切れないもの。まっとうに生きていれば必ず誰かの恨みを買うはずだから。」 リズ:「それはそうかもしれないけど、それでも誰もが傷つかない世界は見てみたいじゃない。誰もが一つの差別も、苦しみもなく笑いあえる世界なんてものが実現したら、って思ってしまうのよ。」 ロビン:「まあ、その気持ちはわかんなくもねえよ。少なかれ、世界には苦しんでる人間がいて、それが自分の知り合いや友人、家族だったりしたらいたたまれない気持ちになる。その範囲が狭いか広いかの話ってだけでだな。ここでそんなん言い合ってるだけ不毛ってことだ。」 フィン:「まあでも、安心はできないって話だな。」 ロビン:「…昨日の国の会議で、元東国皇帝ガリウスとその部下二名を他の大陸に向かわせる、という話があっていた。どう考えてもシュッドガルドに向かわせるつもりなんだろう。」 ソフィア:「それを先に言ってよマスター。これは多分どころか確定で何か起きるじゃん。準備にも時間がかかるんだから。早速明日から働かなきゃ。」 フィン:「俺はそれまでここで冒険者兼傭兵やって自分を鍛えておくとするかな。マスター部屋を一部屋貸してくれないか。」 リズ:「他の大陸との戦争、ねぇ。これからこの世界はどうなっていくのかしら。」 ロビン:「そんなんわかんねえよ。それこそ机の上の地球儀にでも書いてあるんじゃねえか?なんてな。」