声劇台本置き場

0：あの日、君と別れるまで 登場人物： 健：たける。 翼：つばさ。 0：本編 翼：あのさ… 健：うん？ 翼：私たち、もう終わりにしない？ 健：…なにを？ 翼：… 健：… 翼：…こうやって一緒にいるの、終わりにしない？ 健：………そっか、わかった 翼：私から切り出しておいてなんだけどさ…ううん、なんでもない 健：なんだよ、言いたいことがあるならはっきり言えよ 翼：…ほんと、そういうところが嫌い 健：…ごめん 翼：またそうやって謝る…健はいつもそう。謝ればいいと思ってる 健：っ！そんなことは！ 翼：そんなこと…あるでしょ？なにが悪いかも反省しないで、ただ漠然と言葉を重ねて…そして気に食わなければすぐ怒鳴る 健：… 翼：そして最後はだんまり決め込むのよ 健：俺は… 翼：なに？私間違ったこと言った？言ってないよね？ 健：それは… 翼：じゃあ、話も終わったみたいだし…そろそろいいかな？ 健：待っ… 翼：待って欲しいの？なんで？ 健：まだ…まだちゃんと翼と話せてない…から 翼：ふぅん？何を話すの？話すことあるの？ 健：…ある 翼：だって、私から別れを切り出すまで受け身で待ってたくせに…私の感情にもわかったって一言で返したくせに…！いまさら何か言うことがあるの！？ 健：まずはお互い冷静になろ…？ 翼：なってるよ…私は最初から冷静だよ！？ 健：ううん、翼は怒ってるとき露骨に声を荒げるからすぐわかる 翼：…(深呼吸)で？何を話すの？ 健：ごめん… 翼：何がごめんなの？ 健：俺さ、ほんとはもっと翼と一緒にいたい 翼：… 健：でも、翼が俺と別れたいって言うならそれは仕方のないことだと思った 翼：…それで？ 健：きっと俺がまた何か翼を傷つけてしまったんだろうなぁって…きっともう我慢できないことしちゃったんだろうなって 翼：それは… 健：だからまずは別れたいって理由を聞くべきだった…ごめん 翼：… 健：翼はどうして俺と別れたいの？ 翼：… 健：俺のことが嫌いだから？それとも愛想を尽かしちゃったから？ 翼：どっちも違う… 健：そっか…なら、どうして別れたいって思ったの？ 翼：… 健：俺は翼がこうやって一生懸命考えて、そうして言葉にしてくれるところ好きだよ 翼：そういうところだよ 健：え？ 翼：私は健のこと全部嫌いってしか返せない…でも健は私のことなんでも褒めてくれる… 健：… 翼：私は…ぐすっ…嫌なんだよ…ほんとは大好きなのに…ちゃんと伝えられないの… 健：そっか… 翼：だから…私じゃダメなんだって…私じゃ健を傷つけるだけだから…一緒にいちゃいけないんだって… 健：そっか…だから翼は別れ話を… 翼：うん…わかってくれた？ 健：うん 翼：そっか… 健：だから、ちゃんとお別れしよう 翼：あっ………そうだよね、やっぱりこんな私と(一緒にいたくないんだよね) 健：(被せて)そんな翼や俺とはお別れしよう 翼：言ってること…変わらないじゃん…やっぱり私のこと嫌いなの？ 健：お互い、素直になって…もう一回やり直せないかな？ 翼：えっ…？ 健：ごめん、俺さ…言葉にするのすごく苦手で…なんて言ったらいいんだろう…えっと… 翼：ごめんなさい… 健：ん？ 翼：ほんとはね、健が口下手なの知ってるよ…？だってずっと一緒にいたんだもん…だから、ゆっくりでいいから…健の気持ち教えて？ 健：うん…ありがとう。つまり、俺が言いたかったのはお互いちゃんと悪いところを反省して、認め合って…もう一回二人で始められないかなってこと 翼：こんな私でも…一緒にいてくれるの？ 健：全部含めて翼だから 翼：ぐすっ… 健：ほんとは翼と別れたくない…君の気持ちを優先しようとして…そして間違えた 翼：うん… 健：俺は今でも翼のことが好きだよ…これからもずっと一緒にいたい 翼：… 健：だから、別れるなんて言わないで？ 翼：うん…！ 健：あっ、もちろんほら…俺のことが嫌いになったとかあれば、遠慮なく言ってね…？ 翼：もう！いい話の時にそうやって自分を貶すのは健の悪いところだよ？ 健：そ、そっか…ごめん 翼：ふふっ、なんか…お腹すいたね？ 健：そうだね…何か食べる？ 翼：そうだなぁ…健の作ってくれるオムライスが食べたい！ 健：えー？材料あったかなぁ？ 翼：ないなら一緒に買いに行こうよ？ 健：それもそっか 翼：うん 健：そうだ、オムライス食べたら…久しぶりに水族館とかどう？ 翼：いいけど…急になんで？ 健：ほら、一番最初に翼とデートしたのが水族館だから… 翼：もう！ 健：ご、ごめん… 翼：い、今のもう！は照れ隠し…！怒ってるわけじゃないから謝らなくていいの！ 健：そっか…ふふっ 翼：うふふ！早くオムライス作って水族館行こ？ 健：材料がなかったら水族館が先になるけどね？ 翼：んー、健と一緒にいられるならどっちでもいい 健：そっか 翼：うん 健：翼 翼：ん？ん！？(健に抱きしめられる) 健：ちゃんと話す機会作ってくれてありがとう。ちゃんと翼と話せてよかった… 翼：う、うん… 健：翼、大好きだよ 翼：わ、私も…健のこと好きだよ？ 健：ふふっ、ありがと 翼：は、早く調べてお出かけしよ？ 健：それもそうだね 翼：ふふっ、私すごく幸せだよ 健：そっか… 翼：うん！ 0：数年後　とある場所にて 健：翼…すごく綺麗だよ 翼：そうかな？ 健：うん、綺麗だし似合ってる 翼：だってこの日この瞬間のために色々努力してきたし…当然じゃない？ 健：それもそうだね 翼：うん 健：じゃあ…俺は先に行くね 翼：うん… 健：どうしたの？もしかして…緊張してる？ 翼：健だって足震えてるじゃん 健：だって…緊張するよね？ 翼：ふふっ、健を見てると落ち着いてきた 健：俺は逆に緊張が増してきたよ… 翼：…健、こんな私を選んでくれてありがと 健：それは俺のセリフでもあるからさ 翼：うん 健：この日を翼と迎えられて、すごく幸せだよ 翼：わ、わかったってば… 健：照れてる翼も好きだよ？ 翼：も、もう緊張は取れたでしょ！？ほら、いってらっしゃい！ 健：うん、また後で 翼：一度は終わりを迎えた私たち 健：お互いの気持ちを認め合い、伝え合い 翼：そうしてまた、歩き始める 健：祝福の鐘がなる、幸せな未来へと