台本概要

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タイトル 《1人読み台本》喫煙所
作者名 穹乃 羽癒 -ソラノ ウユ-  (@uyu_snt_tuy)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 1人用台本(女1)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 少し長めの1人読み台本です。
性別改変ありで、性別に合わせての口調などの改変もOKです。
後に男性目線台本や、二人用の台本も出そうと思ってるのでよろしくお願いします!

桂維(ケイ)
璃都(リツ)

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
桂維 29 作家をしている22歳の女性。基本ポーカーフェイスの容姿端麗。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
桂維:「スゥッ……はぁ」 0: 桂維:煙草を1口吸って、口から出た煙を眺める。 0: 桂維:私が煙草を始めたきっかけなんてしょうもない。 桂維:ただ、その時付き合ってた彼氏が吸ってたから。 桂維:男と付き合う度に相手に合わせて煙草を変え、別れたらまた適当な煙草に変える。 桂維:特別吸ってたい訳でもないんだけど、吸ってると何となく気持ちが落ち着くから吸ってるだけ。 0: 桂維:煙草を2、3回吸った時に喫煙所の扉が開いた。 桂維:狭い喫煙所だから、私は少し奥に詰めながら「おう」と挨拶をした。 0: 桂維:入ってきたのは私よりも30cm近く背の高い男。…璃都というらしい。この喫煙所で会う度に駄べるくらいの関係だ。 桂維:お互いの名前くらいしか知らない。 桂維:多少話したあと、私は煙草を灰皿に擦り付け喫煙所から出た。 桂維:外の冷たい空気で肺が綺麗になるような感覚を覚えながら家に帰る。 0: 桂維:私の職業は、まぁ…作家だから外に行くのなんてバイトか、煙草か、ネタ探しか。 桂維:こんな私だが、小説はまあまあ売れてるし、なんなら顔も整ってる方、スタイルもいい方だからモテるし、恋人も切らしたことはない。 桂維:だけど、世の中の男は自分より強い女は好みではないようで、毎回「思ったのと違った」と振られるのがオチだ。 0: 桂維:恋愛なんて暇潰しでしかない。 桂維:私の恋人は私の小説なんだから、友達も恋人も居てもいなくてもどうでもいいのだ。 桂維:そんなことを考えながらスマホに目を向けると、今の恋人から「もう着いた?」とメッセージが届いていた。 0: 桂維:…もう、着いた?あー。すっかり忘れてた。 桂維:今日はこいつとのデートの予定だった。 桂維:私は「ごめん!少し遅れる!」と打つと、髪の毛をササッと整えて鞄を掴み最寄りの駅まで走る。 桂維:待ち合わせが家の近くで良かった。 0: 桂維:清潔そうな服を着た男性がこちらを見て手を振る。 桂維:私も手を振り返しながら駆け寄り、できるだけ感情の込めた声で謝っておく。 0: 桂維:こいつはバイト先の先輩で、2ヶ月前に告られたので小説のネタ集めも含め付き合った。 桂維: 2人でショッピングモールを回った後、カラオケに行き、そこで恋人は申し訳なさそうに言う。 0: 桂維:聞きなれた言葉だ。 桂維:「思ってたのと違った」「友達に戻ろう」 桂維:私は「またか」と心の中で思いながら相手に気を使わせないように「それなー?私も思ってたんだよねw友達の方がいい距離感」と返した。 0: 桂維:家に帰り、相手に合わせて買っていた煙草をゴミ箱に捨て再び家を出る。 桂維:徒歩5分のコンビニに行き、水とツナマヨのおにぎりを手に取った。 桂維:レジ前で煙草を眺めながら、ふと目に付いた煙草を買う。 桂維:コンビニの袋を手にぶら下げたまま、一服して帰ろうといつもの喫煙所に立ち寄ると先客がいた。 0: 桂維:「おう」と声をかけながら喫煙所に入ると、璃都は煙を吐きながら奥へ詰める。 桂維:璃都は煙草を灰皿に擦り付けるとポケットから再び煙草の箱を取り出す。 桂維:が、さっきの煙草が最後の1本だったようでこちらを見ると「煙草。1本貰える?」と言ってきた。 桂維:私は軽く返事をしながら煙草を渡す。 0: 桂維:璃都は煙草を受け取りながら「煙草変えたんだ。…彼氏と別れたから?」と聞いてきた。 桂維:いつもは私のプライベートについて一切触れてこない奴なので、少し驚きつつ「あっははwせーかい!」と答えた。 0: 桂維:璃都はふーん。そうなんだ。と呟くと「なぁ、知ってる?」と私の顔を見る。 桂維:そして、煙草を口に咥えながら「これ、俺が吸ってるのと一緒なの」といい、顔を近づける。「火、貰える?」璃都の意外な行動にドキッとしつつ咥えていた煙草を璃都に向ける。 0: 桂維:璃都は煙草を1口吸って煙を吐くと「…ま、本当は火じゃなくて直接その唇貰いたいんだけどね」と呟いた。いや、私の聞き間違いだったかもしれない。だけど、そう言ったようにしか聞こえず、鼓動が早くなり、落ち着かず、煙のせいなのか何なのか息苦しくなって、煙草の火を消すと急いで喫煙所を後にした。 0: 桂維:それから1週間、私はその喫煙所に行かなかった。 桂維:こんな気持ちになったのは初めてで、気持ちが悪い。が、嫌な気分という訳でもない。 桂維:喫煙所には行かなかったが、私は変わらずあの璃都と同じ銘柄の煙草を吸っていた。 桂維:外に出る度に、喫煙所の近くを通る度、鼓動が少しだけ早くなる。 0: 桂維:そんな曇り空のある日、気分転換とネタ探しで家の近くを歩いていた。 桂維:公園、古びた家、商店街、子どもの声、目に入る情報で頭の中に物語を作っていく。 桂維:小学生、夫婦、女子高生、背が高い……男。 0: 桂維:私が璃都を見つけたとき、ちょうど璃都と目が合った。 0: 桂維:私は焦る気持ちが表情に出ないように必死に笑って「おー」と声を絞り出す。 桂維:そのまま自然な感じで通り過ぎようとした時、璃都が私の肩に腕を回して「煙草、付き合えよ」と笑う。 桂維:私は何故か断れずに「お、おう」と返事をしてしまった。 0: 桂維:……いつもの狭い喫煙所。 桂維:見上げる程の身長差のおかげで、何とか顔は見ずに済んでいる。 桂維:璃都はこちらを向かずに「煙草、1本貰える?」と言った。私は、少し慌てながら煙草を取り出すと璃都に渡す。その煙草を璃都は口で咥えて受け取ると「煙草変えてないんだ」と言った。 0: 桂維:私は黙って口に煙草を咥えるとライターで火をつける。少し吸い、煙を吐くと璃都は「火、貰える?」と聞いてきた。覚えのある流れに戸惑いながら、煙草を璃都に向ける。2回目のシガーキス。また鼓動が早くなる。璃都が煙草を吸うのを横目に見ながら私も煙を吐く。 0: 桂維:と、その途端私の口が塞がれる。 0: 桂維:口に璃都の吐いた煙が入ってきて、息が苦しくなる。頭が真っ白になり、一瞬何が起こったのか分からなかった。 桂維:璃都は1度口を離すと、私に目線が合うように屈み、もう一度口付けをした。 0: 桂維:私はだんだんと頭が追いついてきて、思わず後ろへ下がってしまった。 桂維:「痛っ…」喫煙所が狭いせいで灰皿にぶつかり、声を出してしまう。 桂維:璃都はそれを見て可笑しそうに笑った。 0: 桂維:恥ずかしさと戸惑いと知らない感情とでぐちゃぐちゃになりながら口をパクパクさせている私に「顔赤ぇ」としばらく馬鹿にした後、璃都はスっと真顔になると「次の恋人は俺にすれば?」と口にした。 0: 桂維:私は答えることが出来ずに、背中で喫煙所のドアを押し開け外に出ると、1度大きく深呼吸をした。 そして、少しだけ気持ちを整え、喫煙所に戻る。 璃都は吸い終わった煙草の火を消しているところだった。 0: 桂維:「いいよ。付き合おうよ」自分の知らない気持ち全部含めて小説のネタにしてやろうと言う気持ちで私は璃都に言った。 0: 桂維:名前以外知らない彼は口角を上げて笑うと、「煙草、1本貰える?」と言った。

桂維:「スゥッ……はぁ」 0: 桂維:煙草を1口吸って、口から出た煙を眺める。 0: 桂維:私が煙草を始めたきっかけなんてしょうもない。 桂維:ただ、その時付き合ってた彼氏が吸ってたから。 桂維:男と付き合う度に相手に合わせて煙草を変え、別れたらまた適当な煙草に変える。 桂維:特別吸ってたい訳でもないんだけど、吸ってると何となく気持ちが落ち着くから吸ってるだけ。 0: 桂維:煙草を2、3回吸った時に喫煙所の扉が開いた。 桂維:狭い喫煙所だから、私は少し奥に詰めながら「おう」と挨拶をした。 0: 桂維:入ってきたのは私よりも30cm近く背の高い男。…璃都というらしい。この喫煙所で会う度に駄べるくらいの関係だ。 桂維:お互いの名前くらいしか知らない。 桂維:多少話したあと、私は煙草を灰皿に擦り付け喫煙所から出た。 桂維:外の冷たい空気で肺が綺麗になるような感覚を覚えながら家に帰る。 0: 桂維:私の職業は、まぁ…作家だから外に行くのなんてバイトか、煙草か、ネタ探しか。 桂維:こんな私だが、小説はまあまあ売れてるし、なんなら顔も整ってる方、スタイルもいい方だからモテるし、恋人も切らしたことはない。 桂維:だけど、世の中の男は自分より強い女は好みではないようで、毎回「思ったのと違った」と振られるのがオチだ。 0: 桂維:恋愛なんて暇潰しでしかない。 桂維:私の恋人は私の小説なんだから、友達も恋人も居てもいなくてもどうでもいいのだ。 桂維:そんなことを考えながらスマホに目を向けると、今の恋人から「もう着いた?」とメッセージが届いていた。 0: 桂維:…もう、着いた?あー。すっかり忘れてた。 桂維:今日はこいつとのデートの予定だった。 桂維:私は「ごめん!少し遅れる!」と打つと、髪の毛をササッと整えて鞄を掴み最寄りの駅まで走る。 桂維:待ち合わせが家の近くで良かった。 0: 桂維:清潔そうな服を着た男性がこちらを見て手を振る。 桂維:私も手を振り返しながら駆け寄り、できるだけ感情の込めた声で謝っておく。 0: 桂維:こいつはバイト先の先輩で、2ヶ月前に告られたので小説のネタ集めも含め付き合った。 桂維: 2人でショッピングモールを回った後、カラオケに行き、そこで恋人は申し訳なさそうに言う。 0: 桂維:聞きなれた言葉だ。 桂維:「思ってたのと違った」「友達に戻ろう」 桂維:私は「またか」と心の中で思いながら相手に気を使わせないように「それなー?私も思ってたんだよねw友達の方がいい距離感」と返した。 0: 桂維:家に帰り、相手に合わせて買っていた煙草をゴミ箱に捨て再び家を出る。 桂維:徒歩5分のコンビニに行き、水とツナマヨのおにぎりを手に取った。 桂維:レジ前で煙草を眺めながら、ふと目に付いた煙草を買う。 桂維:コンビニの袋を手にぶら下げたまま、一服して帰ろうといつもの喫煙所に立ち寄ると先客がいた。 0: 桂維:「おう」と声をかけながら喫煙所に入ると、璃都は煙を吐きながら奥へ詰める。 桂維:璃都は煙草を灰皿に擦り付けるとポケットから再び煙草の箱を取り出す。 桂維:が、さっきの煙草が最後の1本だったようでこちらを見ると「煙草。1本貰える?」と言ってきた。 桂維:私は軽く返事をしながら煙草を渡す。 0: 桂維:璃都は煙草を受け取りながら「煙草変えたんだ。…彼氏と別れたから?」と聞いてきた。 桂維:いつもは私のプライベートについて一切触れてこない奴なので、少し驚きつつ「あっははwせーかい!」と答えた。 0: 桂維:璃都はふーん。そうなんだ。と呟くと「なぁ、知ってる?」と私の顔を見る。 桂維:そして、煙草を口に咥えながら「これ、俺が吸ってるのと一緒なの」といい、顔を近づける。「火、貰える?」璃都の意外な行動にドキッとしつつ咥えていた煙草を璃都に向ける。 0: 桂維:璃都は煙草を1口吸って煙を吐くと「…ま、本当は火じゃなくて直接その唇貰いたいんだけどね」と呟いた。いや、私の聞き間違いだったかもしれない。だけど、そう言ったようにしか聞こえず、鼓動が早くなり、落ち着かず、煙のせいなのか何なのか息苦しくなって、煙草の火を消すと急いで喫煙所を後にした。 0: 桂維:それから1週間、私はその喫煙所に行かなかった。 桂維:こんな気持ちになったのは初めてで、気持ちが悪い。が、嫌な気分という訳でもない。 桂維:喫煙所には行かなかったが、私は変わらずあの璃都と同じ銘柄の煙草を吸っていた。 桂維:外に出る度に、喫煙所の近くを通る度、鼓動が少しだけ早くなる。 0: 桂維:そんな曇り空のある日、気分転換とネタ探しで家の近くを歩いていた。 桂維:公園、古びた家、商店街、子どもの声、目に入る情報で頭の中に物語を作っていく。 桂維:小学生、夫婦、女子高生、背が高い……男。 0: 桂維:私が璃都を見つけたとき、ちょうど璃都と目が合った。 0: 桂維:私は焦る気持ちが表情に出ないように必死に笑って「おー」と声を絞り出す。 桂維:そのまま自然な感じで通り過ぎようとした時、璃都が私の肩に腕を回して「煙草、付き合えよ」と笑う。 桂維:私は何故か断れずに「お、おう」と返事をしてしまった。 0: 桂維:……いつもの狭い喫煙所。 桂維:見上げる程の身長差のおかげで、何とか顔は見ずに済んでいる。 桂維:璃都はこちらを向かずに「煙草、1本貰える?」と言った。私は、少し慌てながら煙草を取り出すと璃都に渡す。その煙草を璃都は口で咥えて受け取ると「煙草変えてないんだ」と言った。 0: 桂維:私は黙って口に煙草を咥えるとライターで火をつける。少し吸い、煙を吐くと璃都は「火、貰える?」と聞いてきた。覚えのある流れに戸惑いながら、煙草を璃都に向ける。2回目のシガーキス。また鼓動が早くなる。璃都が煙草を吸うのを横目に見ながら私も煙を吐く。 0: 桂維:と、その途端私の口が塞がれる。 0: 桂維:口に璃都の吐いた煙が入ってきて、息が苦しくなる。頭が真っ白になり、一瞬何が起こったのか分からなかった。 桂維:璃都は1度口を離すと、私に目線が合うように屈み、もう一度口付けをした。 0: 桂維:私はだんだんと頭が追いついてきて、思わず後ろへ下がってしまった。 桂維:「痛っ…」喫煙所が狭いせいで灰皿にぶつかり、声を出してしまう。 桂維:璃都はそれを見て可笑しそうに笑った。 0: 桂維:恥ずかしさと戸惑いと知らない感情とでぐちゃぐちゃになりながら口をパクパクさせている私に「顔赤ぇ」としばらく馬鹿にした後、璃都はスっと真顔になると「次の恋人は俺にすれば?」と口にした。 0: 桂維:私は答えることが出来ずに、背中で喫煙所のドアを押し開け外に出ると、1度大きく深呼吸をした。 そして、少しだけ気持ちを整え、喫煙所に戻る。 璃都は吸い終わった煙草の火を消しているところだった。 0: 桂維:「いいよ。付き合おうよ」自分の知らない気持ち全部含めて小説のネタにしてやろうと言う気持ちで私は璃都に言った。 0: 桂維:名前以外知らない彼は口角を上げて笑うと、「煙草、1本貰える?」と言った。