台本概要
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タイトル | ブラックコーヒーにチョコレートを添えて |
---|---|
作者名 | カタギリ (@Kata_giriV) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 商用、非商用問わず連絡不要 |
説明 |
閲覧ありがとうございます。 商用、非商用問わず作者への連絡不要ですが、Xなどで呟いていただけるととても嬉しいです。 590 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
シオネ | 女 | 70 | 新垣シオネ (アラガキシオネ)高嶺の花と言われる女子高校生 |
タツオミ | 男 | 69 | 天城タツオミ (アマギタツオミ)穏やかな雰囲気の男子高校生 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
ブラックコーヒーにチョコレートを添えて
登場人物:新垣シオネ (アラガキシオネ)高嶺の花と言われる女子高校生
登場人物:天城タツオミ (アマギタツオミ)穏やかな雰囲気の男子高校生
あらすじ:高校生の天城タツオミは下校途中にキーホルダーの落とし物を拾う。それは同じクラスの新垣シオネのものだった。それをきっかけに始まる物語。
本編:
シオネ:(人は見た目が9割だという。だからこそ、見えない何かを。)
0:間
タツオミ:(新垣シオネは、この一年で同学年から先輩後輩問わず多くの男子をその美貌で魅力してきた。)
タツオミ:(数多の男子からの熱烈なアプローチを悉く退けていった結果、『新垣シオネは高嶺の花。』というのが全校男子の総意となった。)
タツオミ:(ところが、ひょんなことから僕はそんな彼女と何故かお茶をしている。)
シオネ:どう?美味しい?
タツオミ:(時は少し巻き戻る。)
0:ある日の帰り道。
タツオミ:ん?何だろ?イルカのキーホルダーか。イニシャルが付いてる。「S.A.」、、、誰かが落としたのかな。
シオネ:あの、すいません。
タツオミ:はい、、、えっ!?(新垣さん?なんで?)
シオネ:この辺りで落とし物を探してて。イルカのキーホルダーなんですけど。
タツオミ:あっ、もしかしてこれですか?
シオネ:そう!それです!あなたが拾ってくれたんですね。ありがとうございます。
タツオミ:いえいえ、大切にされてる物に見えたので持ち主が見つかって良かったです。
シオネ:ええ、亡くなった祖母が昔、水族館で買ってくれた物で。本当にありがとうございます。何かお礼ができればいいんですけど。
タツオミ:いや、お気持ちだけで十分ですよ。それに同じ高校なのでそんなに畏まらなくていいですよ。
シオネ:ああ、どこかで見たことある顔だなと思ったけど、ごめんなさい。人の顔を覚えるのが苦手で。
タツオミ:あはは、まあ僕、影薄いから仕方ないね、あははは。
シオネ:ごめんなさい。でももう覚えたから。そんなにしょげないで。
タツオミ:ありがとう。新垣さん、思ってたより気さくで優しいんだね。
シオネ:優しいかはわからないけれど、私、人見知りであんまり学校では喋らないから変な噂流れてるよね。実際どんな風に見られてるのかな?
タツオミ:大企業の社長令嬢っていうのはよく噂されてるね。
シオネ:は?そんな訳ないじゃん。私はただの普通の会社勤めの両親の娘。
タツオミ:え?そうなの?じゃあ帰りはいつもお迎えが来てるって噂は?
シオネ:お迎えなんて来ないし、電車通学だよ。しかも2時間かけて。
タツオミ:2時間!?それは大変だね。
シオネ:案外読書したり、勉強したりしてたらあっという間だよ。それに意外と電車って気持ちよく寝られるんだよね。
タツオミ:へえ~そうなんだ。通学にそこまで時間かかる人は他にいないだろうね。
シオネ:うん、最寄りは過疎駅だから誰かと一緒に帰ったことなんてないね。少し寂しいけど。
タツオミ:誰も事情を知らないから噂に尾ひれがついてしまったのかな?
シオネ:本当、噂って碌なものじゃないわね。
タツオミ:何かごめん。
シオネ:どうして天城君が謝るのよ。
タツオミ:僕も噂、信じてしまってたからさ。
シオネ:それはしょうがないよ。誰も知らないことなんだから。
シオネ:でも、律儀だね、君は。これも何かの縁だし、落とし物のお礼でお茶でもしない?
タツオミ:えっ!?いいの?
シオネ:うん、君、悪い人じゃなさそうだし、少しお話してみたいと思った。
タツオミ:お手柔らかにお願いします。
シオネ:ふふ、何それ。じゃあ私のおすすめのお店、紹介してあげる。
0:カフェにて
タツオミ:へー古民家カフェっていうのかな?雰囲気いいお店だね。
シオネ:でしょ?ここはね、珈琲がすっごく美味しいの。それと自家製の割りチョコのセットがそれはもう絶品で。
タツオミ:珈琲か、、、実は苦いのが苦手で。でも新垣さんがそこまで熱弁するなら挑戦してみたい。
シオネ:ふふ、無理しなくてもいいのに。でもその心意気は汲んであげる。
シオネ:すいません。特製ブレンドと割りチョコセットを2つください。
0:セット×2、到着。
シオネ:どう?美味しい?
タツオミ:凄く深みのある香りだけど、うっ、やっぱり苦い。
シオネ:ふふふ、がんばれ。ほら、割りチョコも食べてみて。
タツオミ:はむっ、うま~い。
シオネ:でしょ?珈琲の苦味と割チョコの甘みがとっても合うんだ。
タツオミ:これなら珈琲もいけそう。最初は苦いけど、すぐチョコの甘みで中和されて、クセになりそう。
シオネ:布教成功かな?
タツオミ:新垣さんは普通に珈琲飲めるんだね。
シオネ:今はね。昔はあなたみたいに苦い汁なんて思ってたよ。
タツオミ:ふふ、汁って。そうなんだ。ちょっと安心した。
シオネ:安心なんで?
タツオミ:いや、珈琲飲めないとおこちゃまに見えないかなって。
シオネ:あはは、そんなこと思わないよ。別に砂糖でもミルクでもお好みで入れたらいいと思うし、楽しみ方なんて人それぞれなんだから。
タツオミ:言われてみればそうだね。悩んでたのが馬鹿馬鹿しくなってきたよ。
シオネ:でも、君にも少しはプライドがあったんだね。
タツオミ:そうみたいだね。小さすぎて恥ずかしいよ。
シオネ:ふふ、ごめん、ごめん。言い過ぎたね。
タツオミ:それにしても新垣さんって珈琲が似合うね。
シオネ:どうしたの急に?でも、少し嬉しいかも。
タツオミ:すごい絵になるっていうか、格好いいなって思ってつい。
シオネ:女の子は可愛いって呼ばれた方が喜ぶと思うけど、君変わってるね。まあ嫌いじゃないけど。
タツオミ:いや、可愛いとも思ってるよ。
シオネ:なっ!?急に何言い出すのよ、君は!
タツオミ:ああ!そんな勢いよく立ち上がったら珈琲こぼれちゃうよ!
シオネ:君が訳わからないこと言うからでしょ!もう、、、。
タツオミ:ごめん、、、。
シオネ:いや、私もちょっと慌てすぎたよ。ごめん、、、。可愛いって言われるのも悪くないかも。(ボソッ)
タツオミ:えっ?
シオネ:何でもない!ほら、珈琲冷めちゃうよ。
タツオミ:あ!そうだね!うっ!にがっ!
シオネ:ふふ、ほんと変な人。
0:カフェの帰り道。
タツオミ:なんやかんや満足したよ。ありがとう。新垣さん。
シオネ:こちらこそ。なんやかんや楽しかったよ。また行きたいね。
タツオミ:僕でよければ是非。
シオネ:もちろん、約束ね。
タツオミ:そろそろ新垣さんは帰らないとね。
シオネ:そうだね。じゃあ今日はこの辺で。またね。天城くん。
タツオミ:うん、またね。
0:間
シオネ:(可愛いなんて言われ慣れちゃったと思ったけど、何でだろ?天城君に言われたら顔が熱くなって。、、、また、お喋りしたいな。)
0:翌日。
タツオミ:(翌日、教室に入るなり、クラスの男子達に囲まれた。「お前、昨日新垣さんと一緒にカフェ行ったってほんとかよ!?」「どんな裏技使ったんだ。」「お前が新垣さんに見合う訳ないだろ。」「ふざけんな!羨ましいんだよ!このヤロウ!」など散々な言われたようだった。)
シオネ:少しいいかしら?
タツオミ:あっ。新垣さん。
シオネ:先程、彼に私が見合わないって聞こえてきたのだけれど、私が誰と仲良くするかは私が決めることで私の勝手です。それと私は外面ばかり見て人の本質を少しも理解しようとしない人達と仲良くするつもりは毛頭ありませんのでよろしく。
タツオミ:それだけ言って去っていった。男子達は皆、憧れの女子にお叱りを受けたことが余程堪えたのか、肩を落として自席に戻っていった。これにて僕への異端審問会は一瞬で閉会となった。
0:その日の帰り道。
シオネ:あら。天城君。
タツオミ:新垣さん、今日はありがとう。
シオネ:ん?ああ今朝のことね。大したことしてないわ。私が言いたかっただけの自己満足だし。
タツオミ:それでも僕は嬉しかったよ。ありがとう。
シオネ:どういたしまして。
シオネ:じゃあ、一つお願いがあるのだけど、聞いてくれる?
0:後日、水族館にて。
シオネ:わぁ、懐かしいな。
タツオミ:改装したみたいだけど、ところどころ昔の面影が残ってるよね。
シオネ:うん、久々に来てみたかったんだ、水族館。付き合ってくれてありがとね。
タツオミ:いいよ。、僕も久々に行きたくなったし。楽しみだね。じゃあ行こうか。
シオネ:あっ、イルカだ!気持ちよさそうに泳いでる!かわいい!
タツオミ:ほんとだ。あっ、イルカショーもやってるんだね。後で観に行こうか?
シオネ:そうね!あっちにはペンギンがいるわ!テチテチ歩いてる!なんて愛らしいの!
タツオミ:ああ待ってよ、新垣さん。(ふふ、子供みたいにはしゃいでる。)
シオネ:うーん、カクレクマノミ、見つからないわね。
タツオミ:あっ、ここにいるよ。ほら。
シオネ:ん?あ、ほんとだ。すごいわね、天城君。私、全然わからなかった。
タツオミ:昔から探し物は得意で。ほら、何とかを探せ!とかさ。
シオネ:懐かしい。ふふ、なんかわかる気がする。
シオネ:あっ、チンアナゴ!
タツオミ:ぴょこぴょこして面白いね。へぇー日本犬のチンに似てるからチンアナゴって言うんだ。
シオネ:言われてみれば見えなくもない、かも?
タツオミ:もうそろそろイルカショー始まるよ。
シオネ:もう、そんな時間!?急がなきゃね。
タツオミ:おおー迫力あるね。
シオネ:わぁ~かわいいし、かっこいい!
タツオミ:最前列に座ってしまった。コート買ったけど、水飛沫が。あっ、新垣さん!
シオネ:きゃあ!
タツオミ:大丈夫?結構水かかったけど?
シオネ:ぷっ、あははは!サービス精神旺盛な子達ね!そういうの大好きよ!
タツオミ:はは、楽しそうで何より。風邪引くといけないから、これ使って。
シオネ:タオル持ってるなんて用意周到ね。ありがとう。
0:水族館からの帰り道。
タツオミ:楽しかったね。
シオネ:うん!私もすっごく楽しかった!
タツオミ:また二人で来れるといいね。
シオネ:ふふ、そうね。天城君、これあげる。
タツオミ:あっ、イルカのキーホルダー。
シオネ:売店で見つけてね。懐かしくなって買っちゃった。今日のお礼も兼ねて。
タツオミ:ありがとう!新垣さんと色違いだね!大切にするよ!
シオネ:何度も言ってしまうけど、とっても楽しかった。あなたって不思議な人だよね。
タツオミ:そうかな?
シオネ:謙虚そうに見えて、色んなことよく見て、考えられて。
タツオミ:なんか照れ臭いな。急にどうしたの?
シオネ:(小声)そういうところに惹かれたのかな?
シオネ:ふふ、やっぱり何でもないわ。でも、あなたは私にとって特別ってこと。
タツオミ:えっ、それって。
シオネ:さぁ、日も暮れてきたし、遅くならないうちに帰りましょ!
タツオミ:ちょっ、ちょっと待ってよ!新垣さん!
シオネ:あははは、遅い、遅い!置いてっちゃうわよ!
0:ある日のカフェにて。
タツオミ:ふふふ。
シオネ:タツオミ?何笑ってるのよ。
タツオミ:ふふ、昔のこと思い出しちゃって。
シオネ:急に笑い出したら気味悪いわよ。
タツオミ:ごめん。あっ、珈琲のセット来たみたいだ。
シオネ:どう?美味しい?
タツオミ:うっ、やっぱ苦い。
シオネ:ふふ、でも、甘いでしょ?
タツオミ:うん、とってもね。
0:おしまい
ブラックコーヒーにチョコレートを添えて
登場人物:新垣シオネ (アラガキシオネ)高嶺の花と言われる女子高校生
登場人物:天城タツオミ (アマギタツオミ)穏やかな雰囲気の男子高校生
あらすじ:高校生の天城タツオミは下校途中にキーホルダーの落とし物を拾う。それは同じクラスの新垣シオネのものだった。それをきっかけに始まる物語。
本編:
シオネ:(人は見た目が9割だという。だからこそ、見えない何かを。)
0:間
タツオミ:(新垣シオネは、この一年で同学年から先輩後輩問わず多くの男子をその美貌で魅力してきた。)
タツオミ:(数多の男子からの熱烈なアプローチを悉く退けていった結果、『新垣シオネは高嶺の花。』というのが全校男子の総意となった。)
タツオミ:(ところが、ひょんなことから僕はそんな彼女と何故かお茶をしている。)
シオネ:どう?美味しい?
タツオミ:(時は少し巻き戻る。)
0:ある日の帰り道。
タツオミ:ん?何だろ?イルカのキーホルダーか。イニシャルが付いてる。「S.A.」、、、誰かが落としたのかな。
シオネ:あの、すいません。
タツオミ:はい、、、えっ!?(新垣さん?なんで?)
シオネ:この辺りで落とし物を探してて。イルカのキーホルダーなんですけど。
タツオミ:あっ、もしかしてこれですか?
シオネ:そう!それです!あなたが拾ってくれたんですね。ありがとうございます。
タツオミ:いえいえ、大切にされてる物に見えたので持ち主が見つかって良かったです。
シオネ:ええ、亡くなった祖母が昔、水族館で買ってくれた物で。本当にありがとうございます。何かお礼ができればいいんですけど。
タツオミ:いや、お気持ちだけで十分ですよ。それに同じ高校なのでそんなに畏まらなくていいですよ。
シオネ:ああ、どこかで見たことある顔だなと思ったけど、ごめんなさい。人の顔を覚えるのが苦手で。
タツオミ:あはは、まあ僕、影薄いから仕方ないね、あははは。
シオネ:ごめんなさい。でももう覚えたから。そんなにしょげないで。
タツオミ:ありがとう。新垣さん、思ってたより気さくで優しいんだね。
シオネ:優しいかはわからないけれど、私、人見知りであんまり学校では喋らないから変な噂流れてるよね。実際どんな風に見られてるのかな?
タツオミ:大企業の社長令嬢っていうのはよく噂されてるね。
シオネ:は?そんな訳ないじゃん。私はただの普通の会社勤めの両親の娘。
タツオミ:え?そうなの?じゃあ帰りはいつもお迎えが来てるって噂は?
シオネ:お迎えなんて来ないし、電車通学だよ。しかも2時間かけて。
タツオミ:2時間!?それは大変だね。
シオネ:案外読書したり、勉強したりしてたらあっという間だよ。それに意外と電車って気持ちよく寝られるんだよね。
タツオミ:へえ~そうなんだ。通学にそこまで時間かかる人は他にいないだろうね。
シオネ:うん、最寄りは過疎駅だから誰かと一緒に帰ったことなんてないね。少し寂しいけど。
タツオミ:誰も事情を知らないから噂に尾ひれがついてしまったのかな?
シオネ:本当、噂って碌なものじゃないわね。
タツオミ:何かごめん。
シオネ:どうして天城君が謝るのよ。
タツオミ:僕も噂、信じてしまってたからさ。
シオネ:それはしょうがないよ。誰も知らないことなんだから。
シオネ:でも、律儀だね、君は。これも何かの縁だし、落とし物のお礼でお茶でもしない?
タツオミ:えっ!?いいの?
シオネ:うん、君、悪い人じゃなさそうだし、少しお話してみたいと思った。
タツオミ:お手柔らかにお願いします。
シオネ:ふふ、何それ。じゃあ私のおすすめのお店、紹介してあげる。
0:カフェにて
タツオミ:へー古民家カフェっていうのかな?雰囲気いいお店だね。
シオネ:でしょ?ここはね、珈琲がすっごく美味しいの。それと自家製の割りチョコのセットがそれはもう絶品で。
タツオミ:珈琲か、、、実は苦いのが苦手で。でも新垣さんがそこまで熱弁するなら挑戦してみたい。
シオネ:ふふ、無理しなくてもいいのに。でもその心意気は汲んであげる。
シオネ:すいません。特製ブレンドと割りチョコセットを2つください。
0:セット×2、到着。
シオネ:どう?美味しい?
タツオミ:凄く深みのある香りだけど、うっ、やっぱり苦い。
シオネ:ふふふ、がんばれ。ほら、割りチョコも食べてみて。
タツオミ:はむっ、うま~い。
シオネ:でしょ?珈琲の苦味と割チョコの甘みがとっても合うんだ。
タツオミ:これなら珈琲もいけそう。最初は苦いけど、すぐチョコの甘みで中和されて、クセになりそう。
シオネ:布教成功かな?
タツオミ:新垣さんは普通に珈琲飲めるんだね。
シオネ:今はね。昔はあなたみたいに苦い汁なんて思ってたよ。
タツオミ:ふふ、汁って。そうなんだ。ちょっと安心した。
シオネ:安心なんで?
タツオミ:いや、珈琲飲めないとおこちゃまに見えないかなって。
シオネ:あはは、そんなこと思わないよ。別に砂糖でもミルクでもお好みで入れたらいいと思うし、楽しみ方なんて人それぞれなんだから。
タツオミ:言われてみればそうだね。悩んでたのが馬鹿馬鹿しくなってきたよ。
シオネ:でも、君にも少しはプライドがあったんだね。
タツオミ:そうみたいだね。小さすぎて恥ずかしいよ。
シオネ:ふふ、ごめん、ごめん。言い過ぎたね。
タツオミ:それにしても新垣さんって珈琲が似合うね。
シオネ:どうしたの急に?でも、少し嬉しいかも。
タツオミ:すごい絵になるっていうか、格好いいなって思ってつい。
シオネ:女の子は可愛いって呼ばれた方が喜ぶと思うけど、君変わってるね。まあ嫌いじゃないけど。
タツオミ:いや、可愛いとも思ってるよ。
シオネ:なっ!?急に何言い出すのよ、君は!
タツオミ:ああ!そんな勢いよく立ち上がったら珈琲こぼれちゃうよ!
シオネ:君が訳わからないこと言うからでしょ!もう、、、。
タツオミ:ごめん、、、。
シオネ:いや、私もちょっと慌てすぎたよ。ごめん、、、。可愛いって言われるのも悪くないかも。(ボソッ)
タツオミ:えっ?
シオネ:何でもない!ほら、珈琲冷めちゃうよ。
タツオミ:あ!そうだね!うっ!にがっ!
シオネ:ふふ、ほんと変な人。
0:カフェの帰り道。
タツオミ:なんやかんや満足したよ。ありがとう。新垣さん。
シオネ:こちらこそ。なんやかんや楽しかったよ。また行きたいね。
タツオミ:僕でよければ是非。
シオネ:もちろん、約束ね。
タツオミ:そろそろ新垣さんは帰らないとね。
シオネ:そうだね。じゃあ今日はこの辺で。またね。天城くん。
タツオミ:うん、またね。
0:間
シオネ:(可愛いなんて言われ慣れちゃったと思ったけど、何でだろ?天城君に言われたら顔が熱くなって。、、、また、お喋りしたいな。)
0:翌日。
タツオミ:(翌日、教室に入るなり、クラスの男子達に囲まれた。「お前、昨日新垣さんと一緒にカフェ行ったってほんとかよ!?」「どんな裏技使ったんだ。」「お前が新垣さんに見合う訳ないだろ。」「ふざけんな!羨ましいんだよ!このヤロウ!」など散々な言われたようだった。)
シオネ:少しいいかしら?
タツオミ:あっ。新垣さん。
シオネ:先程、彼に私が見合わないって聞こえてきたのだけれど、私が誰と仲良くするかは私が決めることで私の勝手です。それと私は外面ばかり見て人の本質を少しも理解しようとしない人達と仲良くするつもりは毛頭ありませんのでよろしく。
タツオミ:それだけ言って去っていった。男子達は皆、憧れの女子にお叱りを受けたことが余程堪えたのか、肩を落として自席に戻っていった。これにて僕への異端審問会は一瞬で閉会となった。
0:その日の帰り道。
シオネ:あら。天城君。
タツオミ:新垣さん、今日はありがとう。
シオネ:ん?ああ今朝のことね。大したことしてないわ。私が言いたかっただけの自己満足だし。
タツオミ:それでも僕は嬉しかったよ。ありがとう。
シオネ:どういたしまして。
シオネ:じゃあ、一つお願いがあるのだけど、聞いてくれる?
0:後日、水族館にて。
シオネ:わぁ、懐かしいな。
タツオミ:改装したみたいだけど、ところどころ昔の面影が残ってるよね。
シオネ:うん、久々に来てみたかったんだ、水族館。付き合ってくれてありがとね。
タツオミ:いいよ。、僕も久々に行きたくなったし。楽しみだね。じゃあ行こうか。
シオネ:あっ、イルカだ!気持ちよさそうに泳いでる!かわいい!
タツオミ:ほんとだ。あっ、イルカショーもやってるんだね。後で観に行こうか?
シオネ:そうね!あっちにはペンギンがいるわ!テチテチ歩いてる!なんて愛らしいの!
タツオミ:ああ待ってよ、新垣さん。(ふふ、子供みたいにはしゃいでる。)
シオネ:うーん、カクレクマノミ、見つからないわね。
タツオミ:あっ、ここにいるよ。ほら。
シオネ:ん?あ、ほんとだ。すごいわね、天城君。私、全然わからなかった。
タツオミ:昔から探し物は得意で。ほら、何とかを探せ!とかさ。
シオネ:懐かしい。ふふ、なんかわかる気がする。
シオネ:あっ、チンアナゴ!
タツオミ:ぴょこぴょこして面白いね。へぇー日本犬のチンに似てるからチンアナゴって言うんだ。
シオネ:言われてみれば見えなくもない、かも?
タツオミ:もうそろそろイルカショー始まるよ。
シオネ:もう、そんな時間!?急がなきゃね。
タツオミ:おおー迫力あるね。
シオネ:わぁ~かわいいし、かっこいい!
タツオミ:最前列に座ってしまった。コート買ったけど、水飛沫が。あっ、新垣さん!
シオネ:きゃあ!
タツオミ:大丈夫?結構水かかったけど?
シオネ:ぷっ、あははは!サービス精神旺盛な子達ね!そういうの大好きよ!
タツオミ:はは、楽しそうで何より。風邪引くといけないから、これ使って。
シオネ:タオル持ってるなんて用意周到ね。ありがとう。
0:水族館からの帰り道。
タツオミ:楽しかったね。
シオネ:うん!私もすっごく楽しかった!
タツオミ:また二人で来れるといいね。
シオネ:ふふ、そうね。天城君、これあげる。
タツオミ:あっ、イルカのキーホルダー。
シオネ:売店で見つけてね。懐かしくなって買っちゃった。今日のお礼も兼ねて。
タツオミ:ありがとう!新垣さんと色違いだね!大切にするよ!
シオネ:何度も言ってしまうけど、とっても楽しかった。あなたって不思議な人だよね。
タツオミ:そうかな?
シオネ:謙虚そうに見えて、色んなことよく見て、考えられて。
タツオミ:なんか照れ臭いな。急にどうしたの?
シオネ:(小声)そういうところに惹かれたのかな?
シオネ:ふふ、やっぱり何でもないわ。でも、あなたは私にとって特別ってこと。
タツオミ:えっ、それって。
シオネ:さぁ、日も暮れてきたし、遅くならないうちに帰りましょ!
タツオミ:ちょっ、ちょっと待ってよ!新垣さん!
シオネ:あははは、遅い、遅い!置いてっちゃうわよ!
0:ある日のカフェにて。
タツオミ:ふふふ。
シオネ:タツオミ?何笑ってるのよ。
タツオミ:ふふ、昔のこと思い出しちゃって。
シオネ:急に笑い出したら気味悪いわよ。
タツオミ:ごめん。あっ、珈琲のセット来たみたいだ。
シオネ:どう?美味しい?
タツオミ:うっ、やっぱ苦い。
シオネ:ふふ、でも、甘いでしょ?
タツオミ:うん、とってもね。
0:おしまい